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2009.06.29
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 取り上げている本は、

『この人の閾(いき)』保坂和志(新潮社)

 です。
 小説を読み終えたものの、もうひとつ「しっくりいかず」(読後感が悪いというわけではありません)、私はふと、図書館へと向かったのでありました。

 (前回までのあらすじ終わり)

 なぜ図書館に行ってみようと思ったのかを述べますね。
 本の総題にもなっている「この人の閾」という短編が、前回冒頭で触れましたように、芥川賞を受賞していたので、その時の「選評」を読んでみようと思ったんですね。
 確か図書館に、『芥川賞全集』といったたぐいの本があったように思い出したんですね。
 まぁそれだけ、この小説が気になったわけです。

 やはり、ありました。本作は、『芥川賞全集第17巻』にありました。

 それによると、この作品の芥川賞受賞を決めた選考会に出席していた小説家は9名でした。
 ざっとそれぞれの選評を読んでみました。
 以下に、ごく短く、最も特徴的と思える部分を抜き出してみました。

日野啓三
 明日世界が滅ぶとしたらこんな最後の一日を過ごしたいとも思う。

河野多恵子
 男女共学の収穫の達成を想わせる人たちの創造に成功した文学作品が、ついに出現したのである。

黒井千次
 もし危機が訪れるとしても、それがいかなる土壌の上に発生するかを確認しておく作業も等閑には出来まい。

三浦哲郎
 どこかに、たった一つだけでも、読む者の心に文学的表現としての文章なり情感のひと撲ちがあれば、という気がしたのである。

大江健三郎
 これから作家生活を続けてゆかれるには、やはり小説らしい物語をつくる能力が--あるいは、それを試みてみようとする意欲が--必要ではないだろうか。

丸谷才一
 しかし人生そのものはこんな調子だとしても、小説のなかの人生としてはこれでは退屈なのぢやないか。小説のなかに生の人生を切り取つて貼付けたとて、それが小説家の手柄なのかしら。

大庭みな子
 よく見知っているなつかしい世界のように思っていただけに、もの足りない淡さがあった。しかしこの優しさ、快さは、不快にぎすぎすしたものに疲れている読者を魅きつける。

古井由吉
 今の世の神経の屈曲が行き着いたひとつの末のような、妙にやわらいだ表現の巧みさを見せた。しかし、これは出発点なのだろう。表現の対象である日常が、すでに土台から揺すられている。

田久保英夫
 ここで終始くり返される会話は、あまりに日常的で散漫すぎる。

 こんな感じでした。

 以下、次回。

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Last updated  2009.06.29 06:25:44
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analog純文 @ Re[1]:父親という苦悩(06/04)  七詩さん、コメントありがとうございま…
七詩 @ Re:父親という苦悩(06/04) 親子二代の小説家父子というのは思いつき…
analog純文 @ Re:方丈記にあまり触れない方丈記(03/03)  おや、今猿人さん、ご無沙汰しています…
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