遊心六中記

遊心六中記

PR

×

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

茲愉有人

茲愉有人

Calendar

2017.04.02
XML
カテゴリ: 探訪 [再録]

2015年4月 7日(火)京都国立博物館に行く前に 名勝「渉成園」 を久しぶりに訪れ、庭園に咲く桜の花の観賞を兼ね、しばし静かな庭園散策を楽しみました。

名勝「渉成園」は真宗大谷派(東本願寺)の飛地境内地(別邸)です。
現在10年計画で 「渉成園」の保存修理事業が進行しています。 楼閣「傍花閣」の屋根の葺き替え、「印月池」の護岸、傾いた石組みの修理、生育が進んだために築地塀をゆがませている樹木の伐採などが計画的に実施されているようです。 「創建当初の姿に近づけていきたい」といういうこと のようです。
一方、工事期間中ですが、 拝観は通常通り行われています。

私は、本格的な修理工事が開始される直前に、久々に「渉成園」を拝見しました。
現状では、園内のどこか一部が工事にかかっていて、部分的に拝見できないという制約があるとは思いますが、かなり広い園内ですから、全体的には四季折々の趣在る風情を味わうことが十分にできることと思います。

ビフォー・アフターではありませんが、今回ご紹介する記録写真と、部分的に修復工事が完了した後の箇所の姿もしくは庭園全体の姿を対比してご覧いただけると、おもしろみが加わるかもしれません。 保存修理事業が本格化する直前の渉成園の姿という前提で、再録しご紹介します。

冒頭の写真は、渉成園の南門 (からすまどおり) を結ぶ東西の通りである 下珠数屋町通 (しもじゅずやまちどおり) に面しています。「じゅず」は普通「数珠」と漢字で書きますが、ここの通り名は「珠数」と表記するのです。あるとき、このことを知りました。


普段の入園口は間之町通 (あいのまちとおり) に面したこちらの西門となっています。 東本願寺の方からは、烏丸通を横断し、中珠数屋町通を東に歩むと、この西門が近いです。

渉成園は、北は上珠数屋町通、南は下珠数屋通、西は烏丸通、東は河原町通に囲まれた区画にあります。
地図(Mapion)はこちらをご覧ください。

西門を入ると、右側に拝観受付所があります。拝見するには、500円以上の協力寄付金が必要ですが、後ほどご紹介する立派なA4サイズのパンフレットをいただけるのです。(いくつかの種類を準備されていて、選ぶこともできます。)入手したパンフレットを主に参照しながらご紹介します。 (資料1) 必要に応じて他資料も併用させていただきます。

東本願寺は、慶長7年(1602)、教如上人(東本願寺12代)が徳川家康から寺地を寄進されて、現在地に建立されました。 13代宣如上人の時に、徳川家光が東本願寺の東側の土地を寄進 したそうです。 宣如上人が1653(承応2)年に退隠したとき、この場所を自らの隠居所とし、「渉成園」と名づけられた のです。洛北にある詩仙堂を開いた 石川丈山による作庭と伝えられているのです。

この名称は、中国の詩人・陶淵明の「帰去来辞」という有名な詩の一節「園日渉而以成趣 (園、日に渉って以て趣を成す) 」から採られたそうです。
(あれ) なんとす 胡 (なん) ぞ帰らざる」という詩の冒頭をかすかに記憶しているのですが、渉成園の由来の一節は記憶に残っていません。
少し調べて見ますと、由来の一節は漢詩のこんな文脈の中にある一節なのです。部分引用させていただきます。

 「南の窓に寄りかかってくつろいでいると、
  狭いながらも我が家はやはり居心地がいい、


  庭園は日に日に趣が増してくる。
  門はあるが常に閉ざしていて
  訪ねてくる者もいない。

  杖をついて散歩し、
  時に立ち止まって遠くを眺める。」  (資料2)


周囲に枳殻 (からたち) を生垣として植えられたことから、「枳穀邸 (きこくてい) 」とも称される ようになったそうです。それ以外にも様々な呼び方がありますが省略します。門を入ったところに広いスペースがあり、左側には桜が満開でした。


一隅に、この「園内マップ」の案内板が設置されています。




門を入った正面に見えるのが、この「高石垣」です。
石垣の前に植えられているのが「カラタチ(枳穀)」です。

ご覧のように、池の石橋に仕えそうな直方体の大きな石や礎石、石臼など、大きさも含め様々な石を組み合わせて築かれています。私はこの高石垣を見るたびに、モダンさを感じるのです。破格のおもしろみがあります。
 こんな巨木が背後に見えます。

この高石垣を左方向に進んで行き、右折します。
 庭園北口までのアプローチはこんな景色です。
この通路にもいろいろな趣があります。

こんな遊び心が見られます。瓦と石臼のおもしろい組み合わせ。

通路右手は、高石垣の東側にある建物群と庭への入口です。

通路の北側は竹垣で、南は門に続く源氏塀 。その前には瓦が塀の屋根下に並べられ、石が配されています。

更に歩むと、塀の前に、 織部灯籠 が置かれています。

歩んできたアプローチを振り返ると、こんな眺めです。


庭園北口の手前で、右側の一角に以前は見過ごしていたものが目に止まりました。
ちょこんと、 石のうさぎが出迎えてくれているのです 。なぜ、ここにうさぎがいるのでしょう・・・・。

庭園北口 のところは、北と南の建物を結ぶ廊下の役割を果たす建物に入口としての開口門が設けられているのです。

この北口を入ると、目の前は植栽があり、 南に進めば園林堂・傍花閣、北に進めば臨池亭・滴翠軒 があります。

私は好みの傍花亭の方にまず向かうことにしました。パンフレットに記載のガイドマップは逆なのですが・・・・・。
 右(南)に進むと、 園林堂の手前に池 があります。

池の南側には園林堂 (おんりんどう) 、           西側にはこの建物
       一見、蔵のようなおもしろい建物・・・説明はありません。

               北東角から眺めた「園林堂」

渉成園の建物は幾度か火災に遭遇しているようです。直近の火災は1864(元治元)年の蛤御門の変により渉成園の建物が炎上したのだそうです。この建物は1957(昭和32)年に再建されたもの。 持仏堂 です。 「園林」は仏典では「浄土」を表す表現として用いられる言葉 だそうです。
この園林堂の扁額が掛けられた 正面から東の方を眺めると、

池の手前にあるのが「 傍花閣 (ぼうかかく) 」です。

これは園林堂(持仏堂)に対して、山門にあたる位置に建てられているそうです。
庭園内に楼門作りの建物があるというめずらしさ。


傍花閣の方から園林堂を眺める とこんな景色です。
             現在の建物は1892(明治25)年に再建されたものです。

園林堂から近づいていくと、

楼門の下からは、池の北辺の通路に 通じています。途中で右折すれば池に架かる侵雪橋に行けます。


楼門の両脇は外に張り出した形で、花頭窓が設えられた待合になっています。ちょっと腰掛けて休憩したり、人待ちできる趣です。
左右側面に階上に上がれる山廊と呼ばれる階段とその入口があります。

入口前に立ち、山廊を眺めたところ


         池側から見た楼門の両側面

この傍花閣のこけら葺きの屋根が傷んできていることから、葺き替え工事の対象となっていました。

この階上には四畳半の部屋 が設けられていて、 「部屋の天井中央には磁石板に十二支を配した珍しい図様が描かれています」 (資料1) とのこと。 数寄屋造の手法も兼ね備えた個性的な建物 なのです。

階上の欄のこの形状もシンプルですがちょっとおもしろい意匠です。


今年(2017)の京都の開花報道も先日ありました。この桜並木の桜がそろそろ咲き始めたでしょうか。

つづく

参照資料
1) 「名勝 渉成園-枳穀邸-」 当日いただいたA4サイズのパンフレット
2) 帰去来辞  陶淵明 :「漢詩の朗読」

【 付記 】 
「遊心六中記」と題しブログを開設していた「eo blog」が2017.3.31で終了しました。
ある日、ある場所を探訪したときの記録です。私の記憶の引き出しを維持したいという目的でこちらに適宜再録を続けています。
再録を兼ねた探訪記等のご紹介です。再読して適宜修正加筆、再編集も加えています。
少しはお役に立つかも・・・・・。他の記録もご一読いただけるとうれしいです。


補遺
渉成園   :「東本願寺」ホームページ
蛤御門の変とどんど焼け   都市史25 :「フィールド・ミュージアム京都」
禁門の変   :ウィキペディア
禁門の変   :「コトバンク」
禁門の変とは~蛤御門の変の経緯などの詳細版   :「幕末・維新風雲伝」
石川丈山   :ウィキペディア
石川丈山   :「安城市中央図書館」
詩仙堂  ホームページ
帰りなんいざ、田園將に蕪れなんとす:帰去来   :「陶淵明 詩と構想の世界」

   ネットに情報を掲載された皆様に感謝!


その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。
その点、ご寛恕ください。)


スポット探訪  [再録] 京都・下京 「渉成園」(枳穀邸)細見 -2 鑓水・蘆菴と露地の景色 へ
スポット探訪 [再録] 京都・下京 「渉成園」(枳穀邸)細見 -3 閬風亭・双梅檐・臥龍堂・漱枕居・源融ゆかりの塔・侵雪橋 へ
スポット探訪 [再録] 京都・下京 「渉成園」(枳穀邸)細見 -4 五松塢・縮遠亭・塩釜・塩釜の手水鉢・碧玉の石幢・印月池ほか へ
スポット探訪 [再録] 京都・下京 「渉成園」(枳穀邸)細見 -5 回棹廊・紫藤岸・獅子吼・丹楓渓 へ
スポット探訪 [再録] 京都・下京 「渉成園」(枳穀邸)細見 -6 臨池亭・滴翠軒・檜垣の燈籠・代笠席・亀の甲の井戸・大玄関 へ

スポット探訪 京都・下京 東本願寺細見 -1 阿弥陀堂門・総合案内所・阿弥陀堂ほか へ
スポット探訪 京都・下京 東本願寺細見 -2 阿弥陀堂・鐘楼(新調梵鐘)・東本願寺撞鐘(梵鐘)へ
スポット探訪 京都・下京 東本願寺細見 -3 御影堂・御影堂門・参拝接待所 へ
スポット探訪 京都・下京 東本願寺細見 -4 手水舎・御影堂門 へ
スポット探訪 京都・下京 東本願寺細見 -5 東本願寺の外を堀沿いに巡る へ





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2017.04.04 18:13:05
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: