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75年前、朝鮮人強制労働で発電所建設
水力発電所「北電藻岩発電所」は1934年、札幌市藻岩浄水場と一体に工事がおこなわれ、それぞれ36年と37年に完成しました。現在も札幌市民に電気と水を供給しています。
発電所工事は、北電の前身のひとつ、北海水力電気が発注元。工事の元請けは鹿島組(現在の鹿島建設)と伊藤組です。配下に中請けの組があり、さらにその下に、「タコ部屋」とよばれる下請けの作業員宿舎がありました。
「札幌郷土を掘る会」の聞き取り調査などによると、日本が朝鮮半島などへの植民地支配を強めるなか、周旋屋などが、土地を奪われた朝鮮人や貧困にあえぐ日本の労働者・学生に甘い言葉をかけ、だまして「タコ部屋」に売り渡しました。
人権無視の過酷な「タコ部屋」労働やリンチ、工期優先で安全対策を怠ったことによる事故で、朝鮮人5人を含む38人が死亡したことが判明しています。しかし、全容はいまだ解明されていません。
工事に従事した労働者は約4000人。そのうち朝鮮人が300人以上いたとみられ、強制労働と差別という「二重の苦しみ」を強いられました。
いま、同発電所がある藻岩山は、市民から親しまれ、観光客や若いカップルでにぎわう夜景スポット。しかし、発電所の建設をめぐる歴史は、市民にもほとんど知られていません。
在日朝鮮人と日本の若者たちが中心となり、おこなった市民劇「今も聞こえる藻岩の叫び」(演出・志村智雄)は、92年に札幌で上演された同タイトルのリメーク。「韓国併合」100年をきっかけに再演が決定しました。出演する10代・20代の在日と日本の若者らは、現地でのフィールドワークなど歴史を学びながら準備してきました。
市民劇は、「韓国併合条約」発効100年にあたる8月29日、札幌市の教育文化会館のホールにで開かれました。約400人の観客の中には、朝鮮の民族衣装、チマ・チョゴリの制服を着た生徒の姿も。
曽祖父は土地奪われ日本に来た
物語は現代のとある中学校から始まります。自国の歴史に強い関心を抱く在日朝鮮人4世の生徒・朴(バク)が藻岩の「タコ部屋」労働を知り、教師の安田に現地調査への参加を持ちかけます。安田は、しぶしぶ参加を承諾。安田の父は藻岩発電所工事でやってきた朝鮮人でした。あるとき、安田は工事がおこなわれた時代にタイムスリップして…。
朴役を務めたのは、同市の高校3年で演劇部に所属する信山紘希(ひろき)さん(17)。出演がきっかけで藻岩の「タコ部屋」労働を知りました。
「すごいことが知らされた。中途半端な気持ちではできない」と語っていた信山さん。朝鮮人の『代弁者』として演じました。
朝鮮の少年人夫役・コイチを演じたのは、北海道朝鮮初中高級学校・高級部2年の女子生徒で、在日朝鮮人4世の金志潤(キム・チユン)さん(16)。初級部3年のとき父親から、曽祖父は日本の植民地支配で土地を奪われ、仕事を求めてやってきたことを知らされました。自身の『ルーツ』を背負っての出演です。
公演後、緊張がとけた金さんは、「(歴史の事実を)伝えることができて良かった」と号泣しました。
観客のひとり、短大生の女性(19)=札幌市=は、「自分たちが住む近くでこんなことがあったんですね。(事実を)伝えていきたいです」と興奮気味に話していました。
日本人の人夫役を演じた沖縄県出身で、大学3年の護得久朝滋(ごえく・ともしげ)さん(21)はいいます。
「自分で動いて調べてほしい。どうして『タコ部屋』があったのか、日本の侵略戦争や植民地支配との関係も含め、深い部分まで知ってほしい」
歴史認識を共有するための若者たちの挑戦は始まったばかりです。
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