フリーページ
自民党が公示前に、NHKと在京民放5社に「公平な報道を求める」という文書を送り、出演者の選定などにまで細かく口を出した ことが影響したともいわれる。民放の番組担当者は「選挙前にテレビ局にくぎを刺し、選挙への興味や関心をそいだ。安倍政権の思うつぼだった」と振り返る。 (藤浪繁雄、中村信也)
◆3分の2
テレビ番組の放送内容を調査・分析しているエム・データ(東京都港区)がNHKとEテレ、在京民放キー局5社の政見放送を除く全番組を対象に調べた衆院選関連の話堰の放送時間は、公示日から1週間(2~8日)分の総計で24時間17分56秒。前回2012年衆院選の同時期(12月4~10日)の37時間11分45秒に比べて約13時間減り、ほぼ3分の2になっていた。
民放キー局の情報番組スタッフは「前回の衆院選はテレビで人気がある維新の橋下徹氏や元東京都知事の石原慎太郎氏らスター性のある人がいて、彼らによる『第三極』の動きを取り上げれば視聴率が上がった。今回、橋下氏は結局、選挙に出ず、肩透かしだった」と話す。ジャーナリストの田原総一朗氏は自民党文書に関する記者会見の席で「テレビの選挙報道が減っているのは、視聴率が取れないからだ」と指摘した。
立教大の服部孝章教授(メディア法)は「放送時間数の減少も、低投票率の原因になったのだろう。テレビは総じて引いてしまい、政権の広報メディアのように感じた」と話す。
◆情熱放棄
投票終了直後に放送された民放の選挙特番。安倍晋三首相がキャスターの質問を遮るかのようにイヤホンを外し、一方的にしゃべり続ける場面があった。元日テレディレクターの水島宏明法政大教授(テレビ報道論)は「生放送の面白さはここにある。本来、このような討論は選挙(投票)の前にやるのが本来のテレビ報道なのに」と残念がる。
水島教授は、公示後に施行された特定秘密保護法の伝え方にも疑問を呈する。「施行のニュースとしては扱ったが、選挙の争点に結び付けた報道は私の知る限りなかった。 この問題を長く取り上げれば与党批判になり、公平性からまずいという判断だろう 」。原発再稼働や集団的自衛権の行使容認などの政策を掘り下げた番組はほとんどないまま終わった。「選挙報道がつまらないのは、テレビが本来持つ『面白くしよう』『少しでも分かりやすく』という情熱を制作側が放棄してしまっているからだ」と話す。
◆割り切り
テレビ局は、放送法や公選法で制約された選挙報道に神経質になっている。そこに来た自民党の要請文書。民放各社は「報道は萎縮しない」とコメントしているが、ある民放局員は「会議でお達しがあった。結果的に、番組での選挙の扱いは激減した」と証言する。
「出演者の発言回数や時間などの『公平性』を追求すれば生放送はできない。『この人は自民寄り』などと、ゲストを色分けもはっきりできない。要請に応じようとすると、街頭インタビューはできない、知識人のゲストは駄目、となる」と水島教授。「余計なことをすると面倒だと、テレビ局は機械的に各政党を同じ時間にした”割り切り報道”になる。これでは争点をきちんと伝えられない」という。
来年4月には統一地方選が控える。服部教授は「地域の課題をデータで提示したり、取材で追及したりすべきだ。選挙の時こそ遠慮せず、争点や課題をえぐり出してほしい」と訴える。
アベノミクスは、隠れ蓑!?(30日の日… 2016年07月30日
大橋巨泉の遺言(29日の日記) 2016年07月29日
憲法と違う回路で進む恐ろしさ(23日の… 2016年07月23日
PR
キーワードサーチ
コメント新着