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8月31日、防衛省は過去最大の軍事費の概算要求を決定しましたが、それを報じた当日のNHK「ニュースウオッチ9」とテレビ朝日「報道ステーション」の内容の差です。
5兆2551億円の概算要求について、「ニュースウオッチ9」は、要求額の紹介のあと、迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の購入が、金額を明示しない「事項要求」という形で盛り込まれた、と伝えて終わりです。この間わずか25秒でした。
一方、「報道ステーション」は、6分近くの時間で、概算要求が持つ危険な側面を伝えています。概算要求の中に島しょ防衛用の射程距離数百キロのミサイル開発の研究費があります。番組は、このミサイルは改良すれば射程距離を数倍に伸ばすことができるという専門家の解説を紹介し、 これは敵基地攻撃能力を備えることだと指摘しました。 同時に、 自民党が敵基地攻撃能力の保有検討を求める提言 をしていることも併せて伝えています。
「ニュースウオッチ9」の画面のテロップは「北朝鮮ミサイル・高まる脅威、防衛省概算要求過去最大に」というものでした。北朝鮮の脅威、したがって軍備増強が現実的だ、という社会の「空気」をなぞった形です。
しかし、この軍拡路線は二重に非現実的です。 第一に、ではいざとなったら全面核戦争に突入するのか、そんなことはあり得ない、 という非現実性、 第二はミサイル迎撃が本当に可能なのか、という点の非現実性 です。北朝鮮が多数のミサイルを同時に発射すれば全部は撃ち落とせません。
これからも軍備に関するニュースは続くでしょう。テレビジャーナリズムに望みたいのは、時代の空気にあらがい、懐疑する精神です。 軍事に対して軍事で対抗する愚を鋭く批判すること、 これが今ほど必要な時期はないでしょう。
(とざき・けんじ=元NHKディレクター)
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