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米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の返還合意から22年。名護市辺野古での新基地建設を巡り、安倍政権が民意を無視した土砂の投入に着手した。トラックから土砂がなだれ落ちるさまは翠玉(すいぎょく)色の命あふれる海が悲鳴を上げているように映る。
来年2月に建設の賛否を問う県民投票が行われる予定であり、その前に反対派の意思をくじこうとの目論見(もくろみ) すら感じられる。暴挙がこのまま続くようでは、民主主義国家と確たる自信を持って言えまい。
県民は建設反対の意思を繰り返し示してきた。 9月の県知事選では、急逝した翁長雄志前知事の遺志を継いだ玉城デニー氏が過去最多得票で当選し、「辺野古ノー」の民意を改めて突き付けもした。
それにもかかわらず、である。選挙で示された民意をこれほどないがしろにする政権がかつてあっただろうか。もはや「強行」というより「暴走」という表現が似つかわしい。安倍首相の言う「県民の思いに寄り添う」とはまさかこういうことを指すのか。民意に対する謙虚さがみじんも感じられない。
沖縄県は建設費用が最大2兆5500億円に上り、当初計画の10倍以上に膨らむと試算する。無論、税金だ。県はまた、運用まで13年を要すると見込んでもいる。想定通りなら普天間の早期の危険性除去は望めず、辺野古移設の破綻は明らかだ。
防衛相も日米が掲げた早ければ2022年度の返還は困難との認識を示している。「辺野古が唯一の解決策」と語り、建設を強行することの理が全くうかがえない。
「一刻も早く工事を進めて既成事実を積み重ね、県民を諦めさせようと躍起になっている」。玉城知事の批判にもだから説得力がある。
責めを負うべきは政権の振る舞いを論難することなく、結果的に黙認してきた私たちも同じと言えよう。くしくも普天間近くの保育園や小学校に米軍ヘリの部品が落下して1年。子どもたちの安全を願い、当たり前の日常を望む保護者の思いにどれほど真摯に向き合ってきただろう。
沖縄県民の苦渋を私たちの苦渋として引き受ける意識が今こそ求められている。 政権の独善的な姿勢を許さず、民主主義をこそ取り戻す。この日を決して忘れてはならない。
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