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帰ったほうがいい 学者たるものは研究室へ 式典やテレビに惑わされず 学問の本旨に戻って 帰ったほうがいい お笑いタレントは 寄席に戻っておくれ 政治評論や大学で教鞭とるなど ったく烏滸の沙汰 帰ったほうがいい 銀行は預金と融資に専念しろ 預金利子を上げろ 証券やら保険やらから撤退して 本業の原点に回帰せよ 帰ったほうがいい 犬も猫も もう日が暮れた 早く さあ さあ ねぐらに戻ろうか
2009.04.21
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いまもなお 心象風景の裡に ででっぽっぽーが鳴き 樹林にゆらぐ翳がある かの女流詩人が身まかってより すでに何年が過ぎたことだろう 想い出はすべて過去形であっても 過去完了形ではない なのに そこに連なる思いは すべて はじけて飛び散る シャボン玉のようだ それこそ ささやかな接点にしか過ぎなかったのだが いまはなき 詩人たちへの想い出よぎるひと日 なかぞらをわたる鎮魂の鐘の音を背に 桜咲く季節半ばは かすかな痛みを道連れに ひたひたと感傷へと誘うのだ 謹啓 拝啓 拝復 前略 敬具 早々 失礼の段は ご宥恕願うとして・・・ S・H様 無宗教のお別れ会は 清楚にして森厳でした 白菊の香り漂う彩がいまも眼裏にくっきり残っています 天国ではさぞかし 李白や陶淵明や西脇順三郎と 酒を酌みかわしていらっしゃるのでしょうか T・F様 『いつの間にこんなに字の乱れが出てきたのでしょう いつの間にこんなに字がきたなくなってきたのでしょう ・・・・・』 あなたからの書信にはこう書かれていました それから半年後に新聞の訃報記事を見たのでした 書信の文面と筆跡から あなたの苦しみを察するべきだったのです いまにして無念の思いが胸をふたぎます Y・I様 風呂敷ほどもある超大判の一枚っきり それを折り畳んだあなたの詩誌は 体裁 内容ともにとてもユニークでしたのに 作品の形式は散文調でも 凝縮された抒情がたちこめていました 惜しみてあまりある 早すぎる歳月でした R・T様 「やあ やあ やあ」 「どうも どうも どうも」 気さくに手を差し伸べられれば 握手を返さざるを得ない その強い握力からはいつも生命力の逞しさを 感じていましたのに 短躯にして多肉質 チューリップ・ハットを冠った ルパン三世よろしく あなたは いまも 桜の花影からひょっこり現れて来そうです ご指導ほんとに有難うございました 烏兎怱怱 さてさて 生きてあるうちは 生に執着することなく 生を楽しみたいものだが わが身を省みれば いまは 詮方なく 仙崖和尚の言葉を恃むとしよう 『六十歳は人生の花 七十歳で迎えがきたら留守だといえ 八十歳で迎えがきたら早すぎるといえ 九十歳で迎えがきたら急ぐなといえ 百 歳で迎えがきたらぼつぼつ考えようといえ』 と 以上 恐々謹言
2009.04.13
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