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坊や おじさんはネ こころがずっと風邪をひいていたのだよ 躁の状態なら人一倍はしゃぎまくる 鬱のときは眠ったようにとじこもる さあね 風邪薬も効かないし 昼夜のけじめもなかったろうね どうも べつの世界を浮き沈みしていたんだろう おじさんが 亡くなったあと 部屋を掃除していたら 腕時計が三つもでてきたよ ソファの下から一つ 読みさしの文庫本の下に一つ 書棚の棚板に一つ 三つとも コチコチと時を刻んでいた 主がなくっても 時間だけは 非情にも 行き過ぎるものだよね 腕時計を三つも 部屋に 置き忘れて おじさんは天国で困っていないだろうかって? 大丈夫だよ 坊や おじさんには 夢も現(うつつ)もなかったのだから その方が幸せだったのだよ きっと
2010.04.30
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北原白秋の詩にある 利休鼠ってどんな色 和名の色見本帖を調べてみると やや緑を帯びつつ沈潜した灰色 そのいろあいは言葉では表現しにくいが・・・ 焼き物の世界に 釉裏金彩(ゆうりきんさい)なる技法がある 釉(うわぐすり)の下に金箔を置いて 金色を沈潜させたものである 利休鼠をこの伝で表現すれば 灰裏緑彩とでも言えるだろうか 今年の春は いつ来て いつ去るのか 桜の花も いつ咲いて いつ散ったのか 「花は桜木 人は武士」というが その散りぎわの潔さが 影をひそめたとあれば 逝く春へ 一抹の寂しさを感ずる 雨の色目の その背景にある 季節の綾目の色調は まさに利休鼠そのものである
2010.04.27
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雨は降る降る城ヶ島の磯に 利休鼠の雨が降る 北原白秋の詩の一節 白から黒の中間色 鼠色にも濃淡いろいろ段階がある ある政治家の場合 限りなく黒に近いグレイだとたたかれたが さて いかがなものだろうか いま 桜前線は列島のどのあたりか 八重桜の厚ぼったい濃いピンク 山桜の淡い色調 染井吉野の散り失せたあとにも 桜の花の色を 読むのは楽しい
2010.04.19
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