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アメリカの2情報機関、CIAとNSAはSCSという情報収集活動で協力関係にあり、大使館を活動拠点として使っているとシュピーゲル誌は報道している。同誌によると、拠点の数は全世界で約80カ所におよび、そのうち19カ所はヨーロッパだという。 大使館をアメリカが情報収集活動の拠点にしていることは以前から知られている。マイクロ波のネットワークが張り巡らされた大都会に大使館はあり、相手国も手を出せないからだ。国際通信を傍受するためには、海底ケーブルへ装置を接続したり、通信衛星の信号をアンテナでキャッチする方法もあるが、地上のマイクロ波を監視する方法が最も容易だということもある。 大使館にマイクロ波傍受設備を設置しているのはアメリカだけでなく、UKUSAの仲間も同様。内部告発者のマイク・フロストによると、NSAの圧力でカナダ大使館は1971年からマイクロ波の傍受を実施、通信傍受に関する本を書いているニッキー・ハガーはオーストラリアのDSDも大使館での傍受を行っているとしていた。 GCHQを抱えるイギリスには、メンウィズ・ヒル基地という大きな通信傍受の施設が存在する。イギリスの電話会社のマイクロ波ネットワークや通信用のケーブルとつながっていて、衛星や無線による通信を傍受し、スパイ衛星の基地としても機能していることをジャーナリストのダンカン・キャンベルは1980年に伝えている。(Duncan Campbell & Linda Melvern, ‘America's big ear on Europe,’ New Statesman, 18 July 1980)最近、この基地は無人機の作戦に関係しているともいう。 そのほかオーストラリアのパイン・ギャップ、2004年まで稼働していたドイツのバッド・アイブリングも有名。かつて日本の上瀬谷通信施設も知られていたが、今では三沢基地が拠点になっているようだ。日本だけでなく、中国をはじめとする東アジアの通信傍受でこの基地が中心的な役割を演じているはずだ。 通信衛星をターゲットにした傍受基地としては、イギリスのモーウェンストー基地、アメリカのヤキマ基地、シュガーグローブ基地、香港にはGCHQの基地があった。香港が中国へ返還されることになると、オーストラリアのショール・ベイ基地へ移動したと言われている。三沢基地の重要度も高まった。1990年前後にはニュージーランドのワイホパイに基地がつくられ、オーストラリアのジェラルトン基地も加わり、アフリカ大陸の西にあるアセンション島にも傍受基地が建設された疑いもある。 UKUSAとはアメリカのNSAとイギリスのGCHQが中心になって組織された電子情報機関の連合体で、カナダのCSE、オーストラリアのDSD、ニュージーランドのGCSBが協力している。米英以外の3国の場合、自国政府ではなく、アメリカやイギリスの情報機関の命令で動いている、つまり「国家内国家」として機能している疑いが濃厚である。 例えば、1972年にオーストラリアで労働党のゴフ・ホイットラムが首相に就任すると情報機関にメスを入れる動きを見せ、パイン・ギャップを閉鎖するのではと米英両国は恐れた。そして1975年、イギリス女王エリザベス二世の総督、ジョン・カーはホイットラム首相を解任するという行動に出た。ニュージーランドの場合、1984年に労働党で反核政策を掲げていたデイビッド・ラングが首相になると内閣の指揮下から離れていた。 NSAやGCHQをはじめ、UKUSAの電子情報機関が各国政府を監視しているということは有名な話。何度か書いたことだが、ランパート誌の1972年8月号に掲載された記事の中で元NSA分析官はNSAが全ての政府を監視してると語っている。アメリカとEUとの関係がエドワード・スノーデンの内部告発で険悪になるというのも奇妙な話なのである。ドイツなどEU側は自国民の反応を見ながらアメリカとの関係悪化を演出しているだけではないかという気もする。NSAのキース・アレキサンダー長官は、EUで収集した情報はEU各国の情報機関と共有していると下院情報委員会で語っているが、おそらく本当だろう。
2013.10.31
中東/北アフリカの情勢、エドワード・スノーデンが内部告発したNSAの監視活動など世界には大きな問題が山積しているが、そうした中でも11月8日にも始まると言われている東電福島第一原発4号機の使用済み核燃料プールからの燃料棒取り出し作業は注目され、世界の人びとは固唾をのんで見守っている。 現在、4号機のプールには1533本(使用済み1331本と未使用202本)の燃料棒が保管されていて、それを来年末までに「共用プール」へ移す予定だという。この燃料棒に含まれる放射性物質は広島に落とされた原爆の約1万4000発分に相当、プールが倒壊したり水が抜けたなら現場へ近づけなくなり、福島第一原発の敷地内にある1万1000本以上の燃料棒から放射性物質が放出される事態も想定できるという。 その場合、セシウム137放出量で比較すると、米国放射線防護審議会が見積もったチェルノブイリ事故の85倍以上になり、その影響は地球規模に及ぶと見られている。そこで、燃料棒取り出し作業は全面核戦争の寸前だったキューバ危機なみのリスクがあると言う人もいるわけだ。 こうした危険性のある作業だということが日本の外では指摘されているのだが、国内では、それほどでない。事故直後に放出された放射性物質の量にしても、日本では事実を無視した計算で過小評価されているとする指摘がある。 設計では、圧力抑制室(トーラス)の水で99%の放射性物質が除去されることになっているのだが、気体は爆発的にトーラスへ噴出、しかも水は沸騰していたので、水が放射性物質を除去するという前提が成立しない。しかも、格納容器は破損しているわけで、放射性物質の大半が環境中に出てしまったと見るべきだ。そこで、福島第一原発で放出された放射性物質をチェルノブイリ原発の2倍から5倍になると原子力技術者のアーニー・ガンダーセンは見積もっている。(アーニー・ガンダーセン著『福島第一原発』集英社新書) 事故の実態にしても、これから行われる作業のリスクにしても、日本の政府やマスコミは沈黙している。現場で働く人びとの劣悪な状況を伝えるのもインターネットや外国のメディアだ。政治家、官僚、企業の経営者や労働組合、学者、マスコミの主流は原発推進派であり、事実を隠蔽するために広域暴力団が暗躍している。原発の推進は犯罪的だが、原発推進派は犯罪の領域に足を突っ込んでいる。 放射線量の高い劣悪な現場で働かされている多くの人が社会的な弱者。騙され、連れてこられた人も少なくないと言われている。家族がいなければ、体調を壊しても闇から闇に葬ることが容易。こうした実態を取り上げるメディアの多くは外国系だ。必要な人間は騙して連れてくる・・・「従軍慰安婦」の場合と似ている。
2013.10.31
中国北京市にある天安門の前でスポーツ型多目的車が人混みの中に突入して炎上、車内の3名、そして巻き込まれた2名が死亡し、38名が負傷したという。車内の3名のほかに事件に関与したとされる5名が逮捕された。いずれも新疆ウイグル自治区の出身者だとされている。 事件の背景は不明だが、イスラム教の影響が強い新疆ウイグル自治区にアル・カイダが入り込んでいることは以前から指摘されている。アル・カイダの後ろ盾になっているのがサウジアラビアだということも広く知られるようになってきた。そのサウジアラビアは、遅くとも2007年にはネオコン(アメリカの親イスラエル派)やイスラエルと手を組み、シリアやイランの体制転覆を目指す秘密工作を始めたと伝えられている。 イスラエルは強力なロビー団体を持っていたが、1970年代から聖書根本主義派、あるいは福音派と呼ばれているキリスト教系のカルト集団と手を組むことで、アメリカでさらなに大きな影響力を持つ。その勢力を背景にしてネオコンが台頭してくるわけだ。 サウジアラビアとアメリカを結びつけているのは言うまでもなく石油。アメリカへの石油供給を保証し、ペルシャ湾のダーランに基地を建設することを許す一方、サウジアラビアは武器/兵器を受け取り、軍事訓練を受けるということになっている。最近ではアメリカを財政的に支援したり、石油相場を操作したり、米国企業の株式を購入するなどしてアメリカへの影響力を強めている。 しかし、最近でイスラエルやサウジアラビアとの関係に疑問を抱くアメリカ人も増えている。果てしなく続く不合理な戦いに巨額の資金を投入し、アメリカの評判を落とし、血を流す意味を見いだせないということだ。サウジアラビアがコントロールしているアル・カイダはアフガニスタンやリビアで「西側」の役に立ったが、野放しにしておく危険性をアメリカは感じ始めている。 シリアへ軍事攻撃を仕掛けたなら、ミサイル発射への対応を見ても、ロシアは本気で反撃してくる可能性がある。しかもロシアの情報は化学兵器を反シリア政府軍が使用したことを示しているので、「大義なき戦争」を戦うことになりかねない。 ともかく、バラク・オバマ政権はシリアへの軍事侵攻を取りやめ、イランとの話し合いを始めた。こうしたアメリカ政府の動きに対し、ネオコン、イスラエル、サウジアラビアが怒っていることは間違いない。10月17日にサウジアラビアは国連安全保障理事会の非常任理事国に選ばれ、その翌日にポストを拒否するという声明を出したのも怒りの表現。 当然、シリアへの武力侵攻を阻止したロシアや中国へも怒りは向いている。7月31日にサウジアラビアのバンダル・ビン・スルタン総合情報庁長官はロシアを訪問、シリアから手を引く代償として150億ドルのロシア製兵器を購入すると持ちかけた、あるいはシリアへ介入し続ければソチで開かれるオリンピックに武装集団(アル・カイダ)を送り込むことを示唆して脅したと言われているが、この買収、あるいは脅しは効果がなかったようだ。 10月2日にはバンダル・ビン・スルタンがイスラエルを訪問したと見られている。その後、ビン・スルタンはヨーロッパの外交官をリヤドの自宅に招き、アメリカ政府がイランと話し合いをはじめ、シリアへの軍事侵攻を止めたことを非難、報復を口にしたという。報復はアメリカだけでなく、ロシアや中国にも向けられる。
2013.10.30
ギリシャでロマ民族の夫妻と生活しているブロンドの少女が注目され、誘拐事件であるかのようにメディアは報道し、当局も同じような姿勢で動いた。そしてふたりは起訴される。 ところがその後、夫妻が当初から主張していたように、ブルガリアに住むロマの女性が少女を里子に出したことが確認される。アイルランドでもロマの育てていた子どもを当局は連れ去ったのだが、後に実の親子だということが判明した。「無実が証明されない限り有罪」という姿勢をロマに対してギリシャやアイルランドの当局は示したわけだ。ヨーロッパにロマ差別があることは有名な話で、今回の出来事でも多くの人びとは事実関係が明らかになる前からロマ夫妻を有罪だと決めつけていた。 フランスでは2010年からロマを出身国へ追い返すプロジェクトが展開され、今月9日にはスクール・バスで移動していたロマの15歳になる少女が警察に拘束され、彼女の家族はコソボへ強制送還されている。コソボで生活を始めて間もなく、家族は何者かに襲撃され、母親は入院するほどのけがを負ったようだ。少女は強いショックを受けたという。 コソボは「西側」の支援でユーゴスラビアから分離独立した国。1991年から独立運動が始まり、セルビアの治安当局はこれも許容していたのだが、人権擁護団体やメディアはセルビア側の「弾圧」を宣伝、その一方で武装勢力の編成を始める。1992年頃から武器はアルバニア経由で供給された。 そして台頭してきたのがコソボ解放軍(KLA、あるいはUCKと表記)だ。KLAが麻薬の密輸で資金を調達していたことは有名な話だが、臓器の密売にも手を出していたと報告されている。 1996年2月にコソボ北部にいたセルビア人難民を襲撃してKLAは活動を開始、98年にはアメリカのマデリーン・オルブライト国務長官が空爆の支持を表明する。間もなくしてビル・クリントン大統領はコソボから軍隊を引き揚げなければセルビアを空爆するとスロボダン・ミロシェビッチ大統領を脅し、セルビア側は要求を受け入れる。 しかし、戦闘は収まらない。ヘンリー・キッシンジャーによると、1998年10月から99年2月の期間における停戦違反の80%はKLAだった。その翌月、1999年3月にNATO軍はユーゴスラビアを先制攻撃、その際にミロシェビッチの自宅や中国大使館を空爆で破壊している。 KLAはクロアチアの排外的な勢力と関係が深い。その歴史をたどると、ウスタシに行き着く。この組織は1920年代の後半に創設され、「クロアチア人の国」をつくろうとしていた。 当時、クロアチアではクロアチア人が全体の49.6%を占めていたのだが、過半数には足りない。そこでセルビア人の3分の1を殺害、3分の1を追放、3分の1をカトリックへ改宗させようとしていた。1941年4月にウスタシはドイツ軍と一緒にザグレブへ入って独立を宣言、セルビア人をはじめ、ユダヤ人やロマなど少数派の虐殺を始める。 ナチスはコミュニスト、社会主義者、ユダヤ人などと同様、ロマも弾圧、多くの人が殺されているのだが、ユダヤ人に対してとは違い、「西側」は責任を感じていないようだ。ヨーロッパにロマの国をつくろうという声も聞こえてこない。 歴史的に見ても、コソボはロマにとって安全な場所とは言えない。独立の際にもセルビア人が虐殺されている国だ。こうした事情を承知の上でフランス政府はロマの家族をコソボへ強制送還し、家族は襲撃されたということになる。
2013.10.29
菅直人元首相が自身のブログに書いた「みのもんた氏に対する陰謀説」が話題になっているようだ。菅元首相もアメリカ支配層の意向に沿う政策を打ち出した人物だが、「原発ゼロ」を主張し、その政策が政治家やマスコミから攻撃されたことも事実。そうした体験を踏まえて書いたようだ。 そのブログによると:「みのもんた氏は汚染水問題など原発問題で東電と安倍総理を厳しく批判していた。この発言に対して原子力ムラがみのもんた氏失脚の陰謀を仕掛けたという説が流れている。 私はみのもんた氏の息子の事件に関しては、マスコミ報道以上のことは知らない。しかし、原子力ムラがスポンサーとして膨大なコマーシャル料を支出することにより、マスコミに対する影響力を行使して、自分に批判的な報道に圧力をかけてきたことは知っている。事実、公開された東電のテレビ会議の記録を読めば東電幹部間でのそうしたやり取りが出ている。」 テレビ業界と何らかの関係のある人なら、みの親子に対する今回のバッシングに不自然さを感じるのではないだろうか。この業界の内部が腐敗し、セクハラが日常茶飯事だということは昔から言われている。テレビ局と緊密な関係にある芸能の世界が今でも犯罪組織とつながっていることは否定できず、その影響はテレビ局にも及んでいる。週刊誌にしても似た構図がある。 みのの次男が窃盗未遂の容疑で逮捕され、日本テレビを諭旨解雇になったという。その容疑が正しかったとしても、処罰されるべき人物は次男であり、みのに対するバッシングが常軌を逸していることは間違いない。 みのバッシングの記事を掲載すると週刊誌の売り上げが伸びるようだが、昔から多くの人は有名人が転落するのを見たがるもの。人気があるということは、その一方で嫌われていることが多く、そうした人びとの感情をバッシングがくすぐるのだろう。バッシング自体が好きな人もいる。そうした心理を利用するのも支配層は得意だ。 菅元首相は「原子力ムラ」という表現をしたが、「原子力ムラ」は支配システムの一部分を指しているにすぎない。日本を支配している私利私欲のネットワークはアメリカの支配層と手を組み、大きな力を持っている。その力をより強大にするため、国家安全保障基本法案、特定秘密保護法案、国家安全保障会議、集団的自衛権、TPP、国家戦略特区、原発再稼働といった話が出てくる。 みのもんたの行ったことがテレビ業界で珍しいことでないということは、次に誰がバッシングされても不思議ではないということになり、安倍政権が持ち出した法案や政策に何か言う雰囲気ではなくなるだろう。 とはいうものの、「核」が日本とアメリカの支配層を結びつける重要な要素だということも確かである。日本では1960年代から極秘裏に核兵器の開発が進められていたが、これはアメリカの情報機関もつかんでいた。こうしたプロジェクトをジミー・カーター政権は止めようとしたが、次のロナルド・レーガン政権は協力に転じる。アメリカの核兵器開発が予算面から厳しい状況になり、日本の資金に目をつけ、資金提供の代償として核兵器の開発に協力し始めたというのだ。 CIAの幹部に情報源を持つジョセフ・トレントによると、アメリカの一部勢力は最高機密である核兵器製造施設に日本人が立ち入ることを許し、機微な技術を日本へ提供、日本は70トンの核兵器級プルトニウムを蓄積してきたという。 日本の核政策に少しでも批判的な姿勢を示すと報復されるとも言われている。そうしたひとりだと言われているのが佐藤栄佐久前福島県知事。水谷建設の絡んだスキャンダルで排除されたのだが、裁判を通じて事実上の冤罪だったことが明確になっている。 このときに捜査の指揮を執ったのが佐久間達哉東京地検特捜副部長(当時)。佐藤前知事の事件で主任検事を務めた山上秀明は今年、東京地検特捜部長に就任している。東京地検特捜部は日米の支配システムを守る暴力装置のひとつだ。検察が東京電力や経産省にメスを入れるわけがないということでもある。
2013.10.29
安倍晋三政権は秘密で覆われた政府を実現しようとしている。アメリカ政府からの要求に応じているのだと主張しているが、本当かどうかは不明。何しろ、日本の支配層は自分たちが望む理不尽な主張をアメリカからの要求だと言ってごり押しすることがある。 そのアメリカでは、有権者に選ばれたわけでもない人間が秘密のベールに守られながら勝手に国を動かしている。こうした現状を「秘密政府」が「自動操縦」で国を動かしていると表現、警鐘を鳴らす声が出ている。エドワード・スノーデンが内部告発したNSAの情報収集システムも「秘密政府」の一部だ。 本ブログでは何度も書いたことだが、NSAが全世界の政府を監視していることは、ランパート誌の1972年8月号に掲載された元NSA分析官のインタビュー記事で明らかにされている。つまり、ドイツにしろ、フランスにしろ、スペインにしろ、イタリアにしろ、ブラジルにしろ、各国政府は自分たちが監視されていることを遅くともその時点で知ったはずだ。 その当時、アメリカの議会では情報機関の違法活動が調査され、NSAに関する情報も出てきた。それを踏まえ、フランク・チャーチ上院議員はその危険性を訴えている。通話や電報など全てを監視するNSAの能力はアメリカの人びとをターゲットにする可能性があり、そうなるとアメリカ人にプライバシーはなくなり、そこには隠れる場所がなくなるだろうというわけだ。40年近く前、現在の状況を見通していたと言えるだろう。 スノーデンが内部告発する前から各国政府は通信傍受の実態を把握していたはず。この告発の意味は一般庶民が自分たちの住む世界について知る機会を得たという点にある。巨大資本が官僚や政治家を使って秘密裏に国を動かす仕組みを多くの人が知ることになった。 その結果、秘密のベールを取り払うべきだという声が世界的に高まっているのだが、日本では秘密のベールで政府も企業も覆ってしまおうとしている。現時点でも日本は秘密度の高い国、つまり民主度の低い国で、情報公開を徹底できない事情が支配層にはあるのだろうが、そんな支配層の都合をいつまでも受け入れているわけにはいかない。
2013.10.29
昨年、フランスでは大統領選挙があったのだが、その際にエリゼ宮殿(大統領官邸)がサイバー攻撃された。多くの人はアメリカのNSAが実行したと推測、フランスもそう考えたようで、情報機関DGSEの要員をアメリカへ派遣して説明を求めている。この疑惑をアメリカ側は否定していたのだが、今回、ル・モンド紙が入手した文書によると、実行したのはイスラエルの情報機関、モサドだった疑いがあるという。 イスラエルが電子情報戦に力を入れていることは確かで、1980年代にはトラップ・ドア付きの情報収集/分析システムをミラー・グループの総帥だったロバート・マクスウェルが自分の設立した会社で販売していた。その会社にはジョン・タワー元米上院議員も所属、つまりタワーはイスラエルに協力していた人物だ。なお、マクスウェルは1991年に行方不明となり、膨張した裸の死体がカナリア諸島沖で発見されている。 イスラエル軍の8200部隊も世界規模で盗聴しているのだが、形式上は退役した「元部隊員」が会社を設立、民間企業として情報活動を展開している。そのうち何社かはウォール街で株式が取り引きされているという。 2001年にFOXニュースはFBIがイスラエル系の通信関連会社、アムドクス社を捜査していると伝えている。この会社はビジネス・サポート・システム用のソフトウェアを開発、サービスを提供する会社で、通信に関する請求書も作成、アメリカのほぼ全ての通話記録を保有しているとされていた。ホワイト・ハウスも外部と連絡する際、アムドクス社に記録を残すことになる。保安、監視、情報収集などを目的にしたソフトウェアやハードウェアーを提供しているベリント社もイスラエル系で、アメリカ政府とも契約、情報収集活動をしていた疑いがある。群衆監視システムを製造しているナルスも疑惑を持たれているイスラエル系の会社だ。 こうした状況のため、アメリカ政府の機密情報がこのルートから漏れている、つまりイスラエルへ流れている疑惑は消えない。NSAなどアメリカの情報機関が集めた情報がイスラエルへ垂れ流し状態ではないかと懸念する声があり、NSAやGCHQの活動で最も利益を得てきたのはイスラエルだと言う人もいる。アメリカ側の機密情報はイスラエル系の犯罪組織にも流れていたと伝えられている。 また、イランの核施設がコンピュータ・ウィルス(スタックスネットとフレーム)で攻撃されているが、そのウィルスを開発したのはアメリカとイスラエルの情報機関や軍だと伝えられている。イスラエルとアメリカの情報機関はライバルという側面もあるが、緊密な関係にもある。
2013.10.27
国家安全保障基本法案や特定秘密保護法案の成立を狙い、TPPにのめり込み、国家戦略特区をつくり、国家安全保障会議を創設し、原発を再稼働させようとしているのが安倍晋三内閣。軍事的には集団的自衛権の行使、つまりアメリカの侵略に荷担する道を進もうとしている。 こうした法案や政策の背後にはアメリカの支配層、特に好戦的な勢力に存在している。そうした勢力が日本で活発に動き始めたのは1990年代の半ばで、ひとつの切っ掛けは樋口レポートにあった。 樋口レポートを読み、日本が自立の道を歩き出そうとしていると国防大学のマイケル・グリーンとパトリック・クローニンは判断、友人のカート・キャンベル国防次官補を介してジョセフ・ナイ国防次官補とエズラ・ボーゲルに彼らの考えを売り込む。これが1994年頃のこと。1995年にナイは報告書を公表し、その報告書に基づいてい97年には新ガイドラインという形でまとめられ、99年の周辺事態法につながる。 周辺事態とは、「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」を意味、その周辺事態を認定するのはアメリカ政府。全世界の出来事が対象になる。 ナイやリチャード・L・アーミテージ元国防副長官を中心とするグループは2000年にアーミテージ報告を作成、「日本が集団的自衛権を禁じていることが両国の同盟協力を制約している。この禁止を解除すれば、より緊密かつ効果的な安保協力が見込まれる。」としている。 このレポートの作成メンバーには、アーミテージ、ナイ、キャンベル、グリーン、そしてネオコンの中心的存在であるポール・D・ウォルフォウイッツが含まれている。ウォルフォウィッツは1991年の段階でシリア、イラン、イラクを殲滅すると話していた人物。このグループに従属している日本の支配層が2003年のイラク侵略に賛成したのは必然だ。 イラクを先制攻撃する前、アメリカやイギリスの政府は大量破壊兵器の危険性を宣伝していたが、この話が「眉唾」だと多くの人は考えていた。少なくとも大量破壊兵器が存在する確かな証拠はなく、言いがかりにすぎない。アメリカ軍の内部でも開戦に反対する意見は多かった。当然、日本の政府もそうした事情を理解していたはずだ。 大量破壊兵器が存在しないことをサダム・フセイン政権が証明しなかったことに戦争の原因があるかのように安倍首相は言うが、この発想も興味深い。気に入らない奴は難癖をつけて潰す。いやなら自らが潔白だと言うことを証明しろ、しかも証明されたかどうかは自分たちが判断するというわけだ。迷惑防止条例、あるいはチンピラの喝上げと基本的に同じ。 暴力で相手を屈服させるネオコン流を真似している安倍首相だが、そのネオコン流が通用しなくなっているのが現在の世界。ネオコン、イスラエル、サウジアラビアはこの手法で中東/北アフリカの秩序を作り替えようとしたが、シリアで躓いた。 リビアと違ってNATOの空爆がロシアや中国に阻止され、雇っていたイスラム武装勢力(カタール系のムスリム同胞団やサウジアラビア系のアル・カイダ)の残虐さが明るみに出て「アラブの春」という呪文も効力をなくした。政府軍が化学兵器を使用したという話も崩れ去り、サウジアラビアが黒幕だとする情報が流れている。ロシアが国連に提出した報告書は公表されていないが、各国政府に与えた影響は小さくないようだ。 アメリカが軍事的な圧倒しているという神話も崩れ始めている。例えば、9月3日には地中海の中央から東へ向かって2発のミサイルが発射されたが、このミサイルをロシアの早期警戒システムがすぐに探知、2発とも海中に落ちたとされている。 直後にイスラエル国防省はアメリカと合同で行ったミサイル発射実験だと発表したが、事前に周辺国(少なくともロシア)へ通告はなく、シリアに向かって発射されたと思われても仕方のない状況だった。 実際にシリアへの攻撃を始めたのだとする説もある。スペインにあるNATOの基地から発射されたミサイルをロシア軍が撃墜したとレバノンのメディアは報道しているのだ。ジャミングでミサイルのGPSが狂って落下したとも言われている。いずれにしろ、アメリカ軍の攻撃が機能しなかったということになる。 その当時、地中海にはアメリカ軍、ロシア軍、中国軍の艦船が集結し、軍事衝突に発展しても不思議ではない状況にあった。ミサイルが発射された直後にロシア側からアメリカ側へ強い抗議があったという。ロシア側の軍事的な能力と反応を「西側」は見誤っていた可能性が高い。 ミサイル発射の後、その状況が大きく変化する。ロシア政府の提供した情報でシリア攻撃の「大義」がないことは明らかになっていたが、ミサイルが人為的に落とされたのならば、軍事衝突になってもアメリカ軍が勝てる保証はないことを意味する。 アメリカと最も緊密な関係にある国はイギリス。そのイギリスの下院はシリア攻撃に関する政府提出の動議を否決、デイビッド・キャメロン首相は武力行使を断念すると表明せざるをえなくなった。アメリカのバラク・オバマ大統領も開戦の責任を議会へ押しつける形で戦争を避ける方向へ動き始める。サウジアラビアはロシアやアメリカを脅したが、効果はなかったようだ。 アメリカは経済が破綻してるだけでなく、軍事的に世界を制圧する力もない。金融の世界にのめり込んだアメリカでは経済が急速に疲弊、ものをつくる能力も衰え、その影響は軍事の世界にも波及している。そうしたアメリカのために集団的自衛権を行使しようとしているのが日本の安倍政権だが、日本も足下が崩れ始めている。
2013.10.27
正確な情報なしに適切な判断はできない。正確な情報が庶民へ届かず、支配層の悪事に気づかないようにすることが「特定秘密保護法案」の目的だ。10月25日に安倍晋三首相はこの法案を国会へ提出している。 この法案の国会審議を担当するのは森雅子少子化担当相だというが、この人物、法案が国会へ提出される3日前に興味深い発言をしている。この法律の処罰対象として、沖縄返還に伴う密約を報じた西山太吉記者の逮捕を引き合いに出したのだ。 西山が明らかにしたのは、返還にともなう復元費用400万ドルはアメリカが自発的に払うことになっていたが、実際には日本が肩代わりする旨の密約が存在するという事実。後にこの報道を裏付ける文書がアメリカの公文書館で発見され、返還交渉を外務省アメリカ局長として担当した吉野文六も密約の存在を認めている。 別の密約も明らかになっている。佐藤栄作首相の密使を務めた若泉敬によると、「重大な緊急事態が生じた際には、米国政府は、日本国政府と事前協議を行った上で、核兵器を沖縄に持ち込むこと、及び沖縄を通過する権利が認められることを必要とする」というアメリカ側の事情に対し、日本政府は「かかる事前協議が行われた場合には、遅滞なくそれらの必要をみたす」ということになっていたという。(『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』文藝春秋、1994年) 要するに、西山記者が明らかにした事実以外にも密約は存在した。両国政府が交わした密約は不問に付されたまま、密約を明るみに出した西山記者は有罪判決を受けたわけだ。マスコミも国民も西山記者を見殺しにした。 西山バッシングの中核になったフレーズは「ひそかに情を通じ」だ。女性事務官との私的な関係に国民の意識は誘導されていったとも言える。国民全てが関係する「公」の話が、個人的な「私」の問題にすり替えられたのだ。しかも、この「私」の問題もきちんと検証されたようには見えない。 この事件は、1974年1月の一審判決で西山は無罪、事務官は有罪ということになる。すると2月から事務官の夫も現れ、夫妻で週刊誌やテレビへ登場して「反西山」の立場から人びとの心情へ訴え始めた。このキャンペーンにマスコミも協力する。 こうしたキャンペーンが毎日新聞の経営にダメージを与え、倒産の一因になったと見る人もいる。この推測が正しいなら、政府の情報統制という点でもこの事件は大きな意味を持つ。 ちなみに、これは密約の事件と関係のない話だが、当時、自衛隊の某情報将校は工作用のエージェントを抱えていたという情報がある。ターゲットを操るため、その性格に合わせ、カネなり趣味なり女性なりを利用していたというのだが、その最終的な目的は日本の進む方向をコントロールすることだった。
2013.10.26
安倍晋三内閣が「特定秘密保護法案」を国会に提出したという。「主権が国民に存することを宣言」している日本国憲法を否定、一部の支配層が情報の統制を強化することを目的にしていることは言うまでない。 アメリカの巨大資本が支配する体制を築くためにTPPが導入されようとしているが、その交渉内容は秘密にされている。情報を公開したなら「99%」の人びとが激しく反発することが予想されるために内容を隠しているわけだ。「特定秘密保護法案」はその拡大版とも言える。 支配層は「特定秘密」の中に核関連の情報も含めるのだろう。少なくとも各国情報機関の間では、日本が核兵器の開発を進めていることは常識。そうした問題に日本のマスコミは触れないが、そうした軍事関連でなくても核問題をタブー視してきた。東電福島第一原発の事故はそうした実態の一端を明らかにしたが、さらに情報が漏れることを支配層は恐れている。 事故から9カ月後、野田佳彦首相(当時)は原発が「安定状態に達し、事態は収束したと言える」と述べ、それを受けて国際原子力協会はその宣言を歓迎すると応じた。アメリカ国務省はこのニュースを聞いて嬉しく思うという声明を出している。これが公式見解。 しかし、野田首相が収束を宣言したときも、そして現在も原発の状態は危機的であり、今年9月の初めには、ネーチャー誌が時期は収束したとする主張を否定、東京電力では対処しきれないと指摘している。これが常識的な見方だ。 燃料棒は溶融して圧力容器の底に穴を開けて格納容器の底へ落下したことは東電も認めざるをえない状況であり、鋼鉄製の壁やコンクリートを溶かしながら下へ進み、地中に入り込んでいる可能性は高い。 そうした状況下で多くの人が作業、その人集めに広域暴力団が関わっていることは公然の秘密。騙してかき集めた人を現場へ送り込み、ピンハネで大儲けしている。当然、政府も東電も知っているはずだ。その実態をロイターは10月25日に伝えている。 国外では来月8日にも始まる4号機使用済み核燃料プールからの燃料集合体取り出しを心配している。1533本の燃料集合体をミスなく取り出さなければならないわけだが、失敗したなら、北半球全域が深刻な放射能汚染で壊滅する恐れがあると考えられているからだ。この推測が正しくても、そんな恐ろしい話は「特定秘密」になるのだろう。 日本と違い、どのような法律があっても、アメリカでは内部告発する人が出てくる。そのひとりがエドワード・スノーデン。この人物が提供した資料を元にしてグレン・グリーンワルドなどのジャーナリストが記事を書いている。 そうした告発記事を書いている記者を止めるとNSAのキース・アレキサンダー長官は発言している。WikiLeaksのジュリアン・アッサンジやスノーデンを追い詰めるためにアメリカ政府は各国に圧力をかけて拘束しようとしている。殺害を目論んでいる疑いもある。拘束すれば、当然、厳罰に処すだろう。 特定秘密保護法も内部告発を押さえ込むだけでなく、その告発を記者が伝えないようにすることを目的にしているはずだ。そうした告発を記事にする記者は圧倒的に少ないが、少ないからといって放置しておくことはなさそうだ。
2013.10.26
ドイツ外務省はアメリカ大使を呼び出した。アンゲラ・メルケル首相の携帯電話をアメリカの情報機関が盗聴していたことが発覚、その行為に抗議するためだという。ドイツのほか、ブラジル、メキシコ、フランスなども盗聴されていたことが明らかにされ、温度差はあるものの、各国で抗議の声が挙がっている。その温度差は政府がどれだけ自国民を恐れているかで決まるようだ。 アメリカの電子情報機関NSAが世界中の政府を監視していることは、遅くとも1972年の時点で知られていた。この年、ランパート誌の8月号に元NSA分析官をインタビューした記事が掲載されているが、その中で全ての政府をNSAは監視していると語っているのだ。世界の政府はアメリカに監視されていることを知っているはず。 このNSAとパートナー関係にあるイギリスの電子情報機関GCHQの存在は1976年にダンカン・キャンベルとマーク・ホゼンボールがタイム・アウト誌で明らかにした。キャンベルは1988年、地球規模の通信傍受システムECHELONが存在していることをニュー・ステーツマン誌で暴露している。ECHELONを動かしているのは、NSAとGCHQが中心になっている情報機関の連合体、UKUSAだ。 日本の支配層はアメリカへ何でも知らせているようだが、アメリカの情報機関が本気で追跡している情報がある。プルトニウムだ。アメリカ支配層の一部は日本がアメリカの核兵器製造施設に立ち入ることを許し、1980年代以降、70トンの核兵器級プルトニウムを蓄積することを可能にしたとジャーナリストのジョセフ・トレントは主張している。この情報はアメリカの情報機関にとって重要な監視対象のようだ。 日本が1960年代から秘密の核兵器計画があり、その後も核兵器の開発と続けているとCIAやNSAは確信している。動力炉・核燃料開発事業団(動燃/現在は日本原子力研究開発機構)が使っていたシステムにはトラップ・ドアが仕込まれていた可能性が高い。プルトニウムの動きを監視するためだ。 ロナルド・レーガンが大統領だった1980年代からアメリカは日本の核兵器開発に協力するようになる。その理由として、トレントは予算の問題を指摘する。アメリカの核兵器開発が予算面から厳しい状況になり、日本の資金に目をつけたという。資金提供の代償として、核兵器の開発に協力するというわけだ。 日本企業の動きも、こうした視点から見る必要がある。アメリカやイギリスの核兵器産業と日本は深く結びついている。それだけの存在になっている日本だからこそ、CIAやNSAは監視対象にしているのだ。 2011年3月8日付けのインディペンデント紙によると、「日本は1年以内に核兵器を開発することができる」と石原慎太郎都知事(当時)は語っている。彼にとっての仮想的国は中国、朝鮮、ロシアなど。核兵器を持てばこうした国々を恫喝でき、全世界に対しても「強いメッセージ」を送ることになるとも主張している。彼によると、外交の交渉力とは核兵器を意味しているらしい。 日本の核兵器開発に関する情報を持っている人びとにとって、石原の発言は無視できないだろう。この記事が掲載された翌日に三陸沖でマグニチュード7.3の地震があり、この地震に誘発されたかのようにして11日にマグニチュード9.0の巨大地震、いわゆる「東北地方太平洋沖地震」が発生している。 この地震で東電福島第一原発は「過酷事故」をおこし、今でも危機的な状態が続いているわけだが、事故の前年、東電はイスラエルのマグナBSPとセキュリティ・システムに関する契約を結んでいる。2011年3月15日付けエルサレム・ポスト紙や3月18日付けハーレツ紙によると、原子炉の周辺にセットされたカメラは立体映像で、熱や放射性物質も感知できたようだ。このシステムがなぜ設置されたのか、事故後にどうなったのかは不明だ。
2013.10.24
大量殺人行為の場合、国連安全保障理事会常任理事国の拒否権を一時停止するようにフランスのローラン・ファビウス外務大臣は提案したという。「多数の住民が虐殺され、アサド政権が子供や女性、民間人に化学兵器を大量に使用する最悪の事態を迎えた」ことから得た教訓だというが、実際は、フランスを含む外国勢力によるシリアへの軍事侵略が妨害され、その不満が「拒否権を一時停止」という表現で外相の口から飛び出したにすぎない。 住民の虐殺にしろ、化学兵器の使用にしろ、実行者は反政府軍だった可能性が高い。例えば、ホウラで虐殺があった際、「西側」は政府もメディアも政府軍が実行したと主張していたが、現地を調査した東方カトリックの修道院長も反政府軍のサラフィ主義者や外国人傭兵が実行したと報告、その内容はローマ教皇庁の通信社が伝えている。ドイツのフランクフルター・アルゲマイネ紙も、キリスト教徒やスンニ派の国会議員の家族が犠牲になっていると伝えた。ちなみに、サラフィー/タクフィール主義者はサウジアラビアとの関係が強い。 本ブログでは何度も指摘しているように、シリアの体制転覆は遅くとも1991年から動き始めている。ウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官によると、この年、ネオコン(親イスラエル派)のポール・ウォルフォウィッツ国防次官(当時)はシリア、イラン、イラクを殲滅すると話していた。 2001年9月11日から数週間後になると、ジョージ・W・ブッシュ政権はアフガニスタンに続き、イラク、イラン、シリア、リビア、レバノン、ソマリア、スーダンを攻撃する計画をたてていたともクラーク大将は語っている。 WikiLeaksが公表した2006年2月21日付け外交文書には、その時点でアメリカ政府がシリアの反体制派を支援していたことがわかり、2007年にシーモア・ハーシュは、アメリカ政府がサウジアラビアやイスラエルと共同でシリアやイランをターゲットにした秘密工作を開始したとニューヨーカー誌に書いている。 要するに、アメリカ(ネオコン)、イスラエル、サウジアラビアは遅くとも2000年代の半ばに中東/アフリカを制圧するプロジェクトを始動させている。その中にシリアも含まれていた。中東の情勢をウォッチしている人にとって、こうしたことは基本的な情報のはずだ。「西側」のメディアやアル・ジャジーラの編集者や記者も知らないはずはない。 ホウラを調査した東方カトリックの修道院長は「もし、全ての人が真実を語るならば、シリアに平和をもたらすことができる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は地上の真実と全く違っている。」と語っていた。また、現地で宗教活動を続けてきたキリスト教の聖職者、マザー・アグネス・マリアムも外国からの干渉が事態を悪化させていると批判している。ファビウス外相はこうした「バチカン情報」に挑戦しているわけだ。 ところで、ファビウスは昨年5月16日からフランスの外相を務めている。前任者はアラン・ジュペ。シリアでバシャール・アル・アサド政権に対する軍事的な攻撃が始まったころの外相はこのジュペだった。 2011年3月にアル・ジャジーラやフランス 24などがシリアで情勢が緊迫していると伝えた直後、フランス外務省はシリア情勢を調査するために係員を派遣するのだが、報告はそうした報道とは全く違う内容だった。 その報告に怒ったのがジュペ外相。シリア政府は「流血の弾圧」を行っていなければならないというわけだ。そこで、事実に反する報告書の作成を拒否するシリア駐在のエリック・シュバリエ大使はジュベ外相と対立することになり、大使館は2012年3月に閉鎖される。その後もフランスはイギリス、アメリカ、トルコ、イスラエル、サウジアラビア、カタールなどと手を組み、イスラム武装勢力を使って軍事的にシリアの体制を転覆させようとしてきた。 ところで、「具体的には、安保理が大量殺人行為について態度を表明すべきときには、常任理事国は拒否権を一時停止することを約束する」とファビウスは主張しているが、勿論、アフガニスタンやイラクでアメリカを中心とする軍隊が行っている「大量殺人行為」、あるいはイスラエルがパレスチナ人に対して行ってきた「大量殺人行為」に対する決議でも拒否権を一時停止するべきだとフランス政府は主張しなければならない。
2013.10.23
情報を統制するため、安倍晋三政権は「特定秘密保護法案法案」を成立させようとしている。日本を植民地化するためには、どうしても必要な法律のひとつだ。 日本国憲法は「主権が国民に存することを宣言」、行政など「公」に関する情報は主権者である国民のものであるはずなのだが、この宣言は無視されているのが実態。情報は官僚が独占し、民主主義国の基本が日本ではないがしろにされている。国の政策、あり方、進むべき方向などを議論するために必要な基本的な情報が官僚に囲い込まれているため、国民は闇の中で議論するか、議論自体を放棄するしかない。 このところ情報統制を強めているアメリカに比べても日本の秘密度は高い。人生をかけて内部告発する人が出てくるアメリカと違い、沈黙を守るのも日本人の特徴。内部告発者が袋だたきにあう環境では仕方がないかもしれないが。 日本の秘密主義を象徴する人物がチャールズ・ウィロビーだろう。この人物はドイツ出身で、占領時代の日本でGHQ/SCAPのG2(情報担当)を統括、ダグラス・マッカーサーから「かわいいファシスト」と呼ばれるような親ファシスト/反コミュニスト派だ。「小ヒトラー」と呼ばれていたとも言われている。退役後はスペインの独裁者でファシストとして有名なフランシスコ・フランコの非公式顧問に就任している。 秘密工作、破壊活動を実行した人間の中でもウィロビーは大物で世界的に注目されているのだが、その活動の詳しい内容は明らかになっていない。その最大の理由は、アメリカで日本関係の情報公開が遅れていることにある。日本側の要請で公開にブレーキがかかっていると見られている。 日本時代、ウィロビーの下には旧日本軍の将校が集められ、秘密工作を展開していた。有末精三陸軍中将、河辺虎四郎陸軍中将、辰巳栄一陸軍中将、服部卓四郎陸軍大佐、中村勝平海軍少将、大前敏一海軍大佐ら、いわゆる「KATO機関」は有名だ。 辰巳を除く5名が拠点にしていた東京駅前の日本郵船ビルには「歴史課」と「地理課」があり、歴史課には杉田一次陸軍大佐、原四郎陸軍中佐、田中兼五郎陸軍中佐、藤原岩市陸軍中佐、加登川幸太郎陸軍少佐、大田庄次陸軍大尉、曲寿郎陸軍大尉、小松演陸軍大尉、大井篤海軍大佐、千早正隆海軍中佐らが、地理課には山崎重三郎陸軍中佐などが出入りしていた。 服部は市ヶ谷駅の近くに「史実研究所」を作って活動していたが、台湾での秘密工作にも協力している。中国大陸での戦いに敗れて台湾へ逃れた蒋介石は岡村寧次大将と連絡をとり、「台湾義勇軍」を編成することで合意する。その義勇軍を指揮することなったのが富田直亮少将で、「白鴻亮」を名乗るようになる。そこで、この義勇軍は「白団」と呼ばれるようになった。白団は1950年の初頭に台湾へ渡る。この白団へ服部卓四郎大佐、西浦進大佐、堀場一雄大佐、海軍の及川古四郎大将や大前敏一大佐たちは軍事情報を提供したのだ。 ウィロビーの下で働いた旧日本軍の軍人には「731部隊」の部隊長を務めた石井四郎中将も含まれている。日本が降伏した後、帰国した石井はCIC(米陸軍対諜報部隊)の尋問を受けているが、その過程で親しくなったウィロビーは石井たちを庇護するようになる。 1946年になると、厚木基地の近くで「406医療一般研究所」というアメリカ軍の部隊が活動を開始、後に丸の内の三菱ビル内へ本部を移した。この部隊には309名が所属していたが、そのうち107名は日本人だったと言われている。 1950年6月に朝鮮戦争が始まるのだが、52年にアメリカが生物化学兵器を使ったと後にウィリアム・コルビーCIA長官が議会の公聴会で証言した。ただ、関連文書は1972年から73年にかけて破棄されたため、詳細は不明だという。ジョン・F・ケネディ政権時代に統合参謀本部の特殊作戦部長を務めていたL・フレッチャー・プラウティ空軍大佐も朝鮮戦争で生物兵器が使われたと断言している。 日本人以外でウィロビーと近い関係なのは、例えば、日本の略奪財宝にからんで登場するエドワード・ランズデール、「闇ドル」で名前が浮上したブルーノ・ビッテル神父など。ランズデールは後に情報機関の秘密工作で中心的な役割を果たすチームに所属することになり、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺でも関係者として名前が囁かれている。 ウィロビーに限らず、日本政府は自分たちが保有している情報を公開しない。全ての情報が明らかになったら、自分たちの悪事が露見するからだ。「30年、50年たっても出せないものが全くないとは断言できない」(石破茂自民党幹事長)どころか、半永久的に出さない(日本の体制が崩壊しないかぎり)ということになるだろう。
2013.10.22
東電福島第一原発では汚染水貯蔵タンクを囲う堰の内側から雨水があふれ出たと発表された。隠せない場所で汚染水が漏れてしまったのだろう。事故以来、汚染水は海へ流れ続けている可能性が高く、それも港湾内へ流れ出ているとは限らない。 1カ月余り前、IOC(国際オリンピック委員会)の総会で安倍晋三首相は「汚染水による影響が福島第1原発の港湾内0.3平方キロメートルの範囲内で完全にブロックされている」としたうえで、「健康問題については、今までも現在も将来も全く問題ないということをお約束いたします」言い切ったらしい。安倍首相には虚言癖か妄想癖があるようだ。 結局、2020年のオリンピックは東京で開かれることになったようだが、こんな安倍首相の戯言をIOCの委員が信じたとは思えない。開催地決定には別の力学が働いているのだろう。 総会の直前、ネーチャー誌は福島第一原発の事故が収束しているとする見方を否定、東京電力では対処しきれないと指摘していた。燃料棒は溶融して圧力容器の底に穴を開けて格納容器の底へ落下したことは東電も認めざるをえない状況。鋼鉄製の壁やコンクリートを溶かしながら下へ進み、地中に入り込んでいる可能性は高い。その溶融物を地下水が「冷却」して汚染水が発生し、その汚染水が海へ流れ込んでいると考えても不自然ではないだろう。 ともかく福島第一原発は非常に危険な状態で、エネルギー・コンサルタントのマイケル・シュナイダーが日本政府の「現実逃避的な姿勢」を批判するのは当然だ。現実から逃げ出し、妄想の世界へ入り込んでいるということであり、「神風」が吹いてい戦争に勝つという次元の話。 妄想の世界にいる安倍首相は日本のファシズム化し、アメリカの巨大資本へ叩き売ろうとしている。 国家安全保障基本法案で憲法の機能を停止、特定秘密保護法案で情報を統制し、TPPで議会の機能を停止させ、国家戦略特区で国民を保護する規定を破壊、アメリカ支配層からの命令を実行するために国家安全保障会議を創設するつもりらしい。要するにクーデターを実行している。 こうした動きが「軍国主義化」と表現されることがある。1936年の二・二六事件あたりを意識しているのかもしれないが、それはファシズム化、新自由主義化のひとつの結果でしかない。その13年前に起こった関東大震災の復興資金を調達するため、日本政府はJPモルガンに頼るわけだが、それ以来、日本経済はこの巨大金融機関の影響下に入った。 しかも、大正天皇の妻、つまり貞明皇后が子どもの頃に親しくなったアリス・ペリーが後に結婚したジョセフ・グルーは、1932年から41年にかけて駐日アメリカ大使を務めた人物。ジョセフの親戚、ジェーン・グルーはジョン・ピアポント・モルガン・ジュニア、つまりモルガン財閥総帥と結婚している。つまり、皇室とJPモルガンは緊密な関係にあった。 関東大震災の翌年には治安維持法を公布され、28年には山東出兵、張作霖爆殺。中国への侵略が始まる。1930年にはJPモルガンが望んでいた金解禁を実施、31年には満州事変を引き起こし、32年に「満州国」の建国を宣言した。この年にはJPモルガンと対立していたフランクリン・ルーズベルトが大統領選で勝利、日米関係は難しくなる。二・二六事件はその4年後だ。 明治維新以来、日本では民主化を求める運動を徹底的に弾圧していたが、治安維持法は特別な意味を持つ。日本のファシズム化はこのときから始まったと言うべきだろう。その延長線上に「軍国主義化」はある。1923年から36年までの出来事が重要なのだ。 戦後、日本を「右旋回」させたジャパン・ロビーの中枢にジョセフ・グルーがいたことは偶然でない。関西学院大学の豊下楢彦教授はジョン・フォスター・ダレスと昭和天皇が日本の進路を決めたと指摘しているが、ダレスはウォール街の大物弁護士だ。当然、JPモルガンとも結びついている。 アメリカは2001年10月に発効した愛国者法で憲法が機能を停止、ファシズム化が急速に進むのだが、その準備は1982年に始まっている。この年に始まったCOGプロジェクトはFEMAをベースにして、国家が「緊急事態」になったときに憲法を無力化して「地下政府」を設置することを目的にしていた。 このプロジェクトにはジョージ・H・W・ブッシュ、リチャード・チェイニー、ドナルド・ラムズフェルド、ジェームズ・ウールジー(ビル・クリントン政権のCIA長官)、またイラン・コントラ事件で名前が出てくるオリバー・ノース中佐も参加していたと言われている。 1987年7月、ノースはイラン・コントラ事件の公聴会に呼び出されているが、その際に下院のジャック・ブルックス議員から、「NSCで、一時期、大災害時に政府を継続させる計画に関係した仕事を担当したことはありませんか?」と質問されている。 公の席でCOGが話題になった最初だと言われているが、この質問を委員長だったダニエル・イノウエ上院議員が「高度の秘密性」が理由にして遮ってしまう。ブルックス議員はマイアミ・ヘラルド紙などが伝えていると反論、その計画はアメリカ憲法を停止させる内容を含んでいると主張したが、打ち切られてしまった。 安倍内閣の動きを見ていると、こうしたアメリカの流れを連想する。
2013.10.21
エクアドルの熱帯雨林を破壊し、住民に健康被害をもたらしたアメリカの巨大石油企業のシェブロンが住民側の弁護士をニューヨークで訴えた。TPPを推進している勢力の考え方をよく示す出来事だ。 南米エクアドルの北部、ヌエバ・ロハの近くで油田が発見されたのは1960年代のことだった。1972年にテキサコ(2001年にシェブロンと合併、現在の社名はシェブロン)は石油の採掘を本格的に開始、それにともなって原油や廃液を環境中に放出、自然が破壊され、農作物や家畜が被害を受けただけでなく、住民の間に深刻な健康被害をもたらしたと報告されている。 石油採掘による環境破壊が明確になる中、1993年に住民はニューヨークでテキサコを訴えるのだが、その2年後に同社は「掃除」を約束、当時のエクアドル政府はさらなる訴訟を起こさないことで合意した。事実上、テキサコが行った環境破壊を不問に付すということである。テキサコがシェブロンと合併した2001年に裁判は棄却されてしまう。2005年には「テキサコ」という名前が社名から完全に消される。 テキサコの責任を免除した1995年当時の大統領、シスト・ドゥラン・バジェンは新自由主義政策を推進していた人物、つまり巨大資本の操り人形。こうした政策は2007年にラファエル・コレアが大統領に就任するまで続く。 アメリカ資本の傀儡が実権を握っていたなら住民は泣き寝入りになっていただろうが、2006年の大統領選挙でコレアが勝利するとエクアドルの雰囲気は大きく変化、被害を受けた住民はエクアドルでシェブロンを相手に裁判を起こした。 同社は2009年にハーグの仲裁裁判所に仲裁を請求、2011年に同裁判所はエクアドルに対し、シェブロンに対するすべての判決の執行を中止するよう命じたが、その直後にエクアドルの裁判所はシェブロンに対し、180億ドルを支払うように命じる。それに対し、シェブロンはエクアドルの住民に協力していたアメリカの弁護士、スティーブン・ドンジガーを不正行為があったとしてニューヨークで訴えた。ドンジガー側はシェブロンの主張は事実無根だとしている。 ドンジガーに対する訴訟でシェブロンが連れてきた証人はエクアドルの元判事、アルベルト・ゲラだが、この人物は証言の代償として3万8000ドルをシェブロンから受け取り、その家族は毎月生活費として1万ドルと居住費として2000ドルを受け取ることになっていると伝えられている。しかも、ゲラが「元判事」になった理由にも関心が集まっている。 また、住民の依頼で環境汚染に関する報告作成に協力した調査会社、ストラタス・コンサルティングもシェブロンからの圧力に屈したようだ。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、ストラタスと契約する保険会社はシェブロンが起こした裁判の費用を負担しないと主張、ストラタスの少なくとも1件の顧客に対し、同社との契約を打ち切るよう促したという。 アメリカの司法制度が腐敗していることは公然の秘密であり、NSA(アメリカの電子情報機関)がエクアドル側の通信を傍受し、データを盗んでシェブロンを支援することは間違いなく、ドンジガーには厳しい判決が出る可能性もある。が、アメリカの巨大石油企業がアマゾンの熱帯雨林を破壊し、住民に健康被害を及ぼしたことは明確。シェブロンがそうしたことに責任を感じているとは思えないが、そうした現実を世界の人びとが見ている。
2013.10.20
国連では10月17日、安全保障理事会の非常任理事国の改選があった。今年末で任期満了になる5カ国が対象で、新たに選ばれたのはサウジアラビア、チャド、ナイジェリア、リトアニア、チリ。そのうち、サウジアラビアは18日に非常任理事国のポストを拒否するという声明を出した。 サウジアラビアやカタールは傭兵を使い、シリアの体制転覆を目指してきたが、状況は思惑通りに進んでいない。しかも、リビアの体制を転覆させた後、カタールと関係の深いムスリム同胞団とサウジアラビア系のサラフィー/タクフィール主義者(アル・カイダ)が対立している。 最近、シリアではアル・カイダ系のジャバト・アル・ヌスラを中心とする「イスラム主義者同盟」が反政府軍の75%を占めるようになったとする報道もある。サウジアラビアが主導権を握ったということだ。 非常任理事国のポストを拒否する理由のひとつとして、バシャール・アル・アサド政権に対して化学兵器使用を理由とした制裁を科せなかったことも挙げているようだが、サウジアラビアこそが化学兵器を使ったとする情報も流れている。状況を考えても、アサド政権が化学兵器を使ったとは考えにくく、「サウジアラビア黒幕説」は説得力がある。 まず、8月21日のゴータへの攻撃について、ロシアのビタリー・チュルキン国連大使は文書と衛星写真に基づき、反シリア政府軍が支配しているドーマから2発のミサイルが発射され、毒ガス攻撃を受けたとされるゴータで着弾していることを国連の臨時会合で示したという情報が流れたが、おそらく、サウジアラビアが化学兵器を使った攻撃の黒幕だと最初に示唆したのはミントプレス。8月29日のことだ。 後に筆者として名前が載っていたひとりが記事と自分は無関係だと主張するのだが、編集長のムナル・ムハウェシュはその主張を全面否定、電子メールのやりとりもあると反論、それに対する再反論はないようだ。 10月に入ると「ロシア外交筋」からの情報として、サウジアラビアと化学兵器とを結びつける話が流れてきた。ゴータで化学兵器を使ったのはサウジアラビアがヨルダン経由で送り込んだ秘密工作チームであり、この作戦はサウジアラビア系のイスラム武装勢力、リワ・アル・イスラムが支援したというのだ。 さらに、アフガニスタンの反政府軍支配地域で「第三国」がアル・ヌスラなどシリアの反政府軍に対し、化学兵器の使い方を訓練しているとする報告があると、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は語り、サウジアラビアが化学兵器による攻撃の黒幕だということを示唆している。 10月2日、サウジアラビアのバンダル・ビン・スルタン総合情報庁長官はイスラエルを訪問したと言われているが、それほど両国にとって厳しい状況だということだろう。サウジアラビアが非常任理事国のポストを拒否したもの、ある種の脅しのように見える。 アメリカの国防総省はサウジアラビアとアラブ首長国連邦に対し、108億ドル相当のバンカー・バスター爆弾(GBU-39/B)や巡航ミサイル(SLAM-ERやJSOW)を供給すると伝えられているが、これはサウジアラビアをなだめるためなのか、アメリカ政府の内部で対立があるのか・・・いずれにしろ、中東の情勢が大きく変化する可能性がある。
2013.10.19
アメリカでは政府と共和党が医療保険制度改革をめぐって対立、得票数で負けた共和党が「ゲリマンダー」で多数派になっている下院で「債務上限引き上げ」を拒否し、政府機関が閉鎖される事態になった。この戦術への批判が強いこともあり、3カ月は「債務上限引き上げ」が認められたようだが、肥大化した金融のために社会システムは崩壊、経済も破綻している状況に変化はなく、アメリカが抱える問題が解決されたわけではない。 現在、アメリカは日本と中国の資金に支えられているが、そのうち中国がアメリカ一辺倒だった投資先を分散させようとしていると言われている。中国の若手エリートには親米派が多いようだが、アメリカと心中する気はないだろう。そうなるとアメリカは国家存亡の危機。BRICSが新たな通貨を作るという話もあり、ドルを印刷してしのぐことも難しくなっている。 日本や中国から引っ張ったカネでアメリカは軍事侵攻を続けてきたが、儲かるのは戦争ビジネスやエネルギー産業など巨大資本だけ。国は疲弊する。かつては「アメリカン・ドリーム」という幻想で騙されていたアメリカの庶民も、自分たちの無残な姿に気づき始めている。アメリカの支配層は日本を食いつぶそうとしているが、それで立ち直ることもできない。 これまでアメリカの資金で世界有数の核兵器保有国となったイスラエルにとっても厳しい状況と言える。イスラエルへ流した資金の一部はアメリカの企業や政治家へ還流され、そうした資金を当て込んでイスラエルへ金を出すという構図もあったが、これも機能しなくなる可能性が高い。イスラエルにとっても国家存亡の危機だ。 いわゆる「大イスラエル」を実現し、地中海東岸で発見された天然ガスを支配できれば生きながらえることも可能だろうが、シリアでつまづいている。イスラエル国内でも貧困が問題になっていて、先行きは暗い。 2022年にイスラエルは存在しないとヘンリー・キッシンジャーが語ったとする記事が昨年、ニューヨーク・ポスト紙に掲載された。後にキッシンジャーのスタッフはこの発言を否定したようだが、キッシンジャーがそう話したとしても不思議ではない状況だとは言える。すでに「アメリカ後」の世界が話題になっているが、中東では「イスラエル後」が議論されている。
2013.10.18
ムアンマル・アル・カダフィ政権が倒された後、リビアは無政府状態になっている。例えば、10月2日にロシア大使館が襲撃され、5日にはアメリカの特殊部隊SEALチーム6がナジー・アブドゥル・ハメド・アル・ラカイ(別名、アブ・アナス・アル・リビー)を拘束、10日にはアリ・ゼイダン首相がトリポリ市内のホテルから拉致され、数時間後に解放されるという出来事があった。 リビアの民衆が蜂起して「独裁者」を打倒、「革命」を成功させたと信じている人は、現在の状況に戸惑っているかもしれないが、その実態はアル・カイダの手を借りた外国の侵略だった。カダフィ体制が倒された後、ベンガジでは裁判所の建物にアル・カイダの旗が掲げられている。 その様子を撮影した映像がすぐにYouTubeにアップロードされ、「西側」のメディアもその事実を伝えていることからもわかるように、この「革命」ではアル・カイダが重要な役割を演じた。 最終的にはNATOが空爆しているが、地上軍の主力は「西側」の特殊部隊から支援を受けたアル・カイダ系武装集団のLIFGだった。そのほか、反カダフィ軍には元内務大臣のアブデルファター・ユニス将軍をはじめとする軍からの離反組、サヌーシ教団の影響が強いベンガジには分離独立派が含まれ、イスラエルやアメリカの訓練を受けてきたというNFSLなども加わっていた。 イギリス軍は武器、通信機器、そして精鋭部隊をトリポリに送り込んでいたが、LIFGをはじめとする反カダフィ軍の攻撃プランをイギリスの情報機関MI6のオフィサーが添削し、同国の特殊部隊SASが潜入していた疑いもある。 LIFGとMI6の協力関係は遅くとも1996年に始まる。この年、パレードの際にLIFGはカダフィを爆殺しようと試みて失敗しているのだが、MI5(イギリスの治安機関)の元オフィサー、デイビッド・シャイラーによると、暗殺計画の黒幕はMI6だった。この計画にもリビーは加わっているが、その当時、彼はイギリスから庇護されていたと言われている。その後、1998年にリビーはケニアとタンザニアにあるアメリカ大使館を爆破した容疑でFBIから指名手配される。 1999年になると、リビーをスコットランド・ヤード(ロンドン警視庁)が逮捕するのだが、このときは証拠不十分で釈放されてしまう。後に家宅捜索で破壊活動の訓練マニュアルが発見されているが、国外へ脱出した後だった。リビーはアメリカでなく、イギリスに使われてきたと言えそうだ。 リビアの混乱が激しくなった一因はサウジアラビアとカタールの対立があり、その影響はエジプトでも政権転覆という形で現れている。カタールはムスリム同胞団に強い影響力を持っているが、今回、武装集団に拉致されたゼイダン首相もムスリム同胞団と緊密な関係にあると言われている。なお、サウジアラビアはサラフィー/タクフィール主義者と関係が深い。 現在、シリアではサラフィー/タクフィール主義者の勢力が拡大、ムスリム同胞団と緊密な関係にあるトルコの現政権は警戒しているようだ。
2013.10.18
安倍晋三政権が検討しているという「国家戦略特区」を「解雇特区」と民主党の海江田万里代表が表現、批判したところ、安倍首相は不快感を示したという。企業が労働者を解雇しやすくするのでそのように呼ばれているだけであり、図星だったため、不快になったのだろうか? もっとも、巷間流れている呼び名の中では穏やかな方で、ブラック特区、奴隷特区という表現もある。すでに、日本における労働環境の悪化は深刻で、女性の中には性的な奉仕を強要されるケースもあるらしく、まさに奴隷化だ。安倍首相が言うところの「世界で一番ビジネスのしやすい環境をつくる」とは、こういうことにほかならない。 低賃金で劣悪な労働環境の中で働かされたあげく簡単に解雇される人が増えれば、当然のことながら生活保護の受給者が増えることになる。本来、企業が支払うべき対価を公的な機関に払わせようということだ。勿論、大企業や富豪たちは資産を隠し、課税を回避する手段があるので、間接的にも庶民に適切な対価を払うようなことにはならない。 多くの人が指摘しているようだが、安倍政権の政策はTPP、つまりアメリカの巨大資本による支配の先取りであろう。解雇しやすくするだけでなく、医療のルール破壊、公立学校の私有化、企業による農地所有の自由化などを検討事項に挙げているらしい。日本の支配層は自分たちの懐を暖めるため、庶民をアメリカ資本にたたき売ろうとしている。 ミハイル・ゴルバチョフに言わせると、ソ連の支配体制が崩れ始めたのは1986年のこと。チェルノブイリ原発の事故で危機的な状況になっているにもかかわらず、国家が自国民を守れないという事態になった時だという。 東電の福島第一原発の事故ではサイトの周辺だけでなく、関東地方も深刻な汚染があり、影響はアメリカ大陸にも広がっている。日本の場合、支配層は事故直後から自国民を守る意思がなく、マスコミを使って庶民を騙そうとしているだけだ。TPPでは、自国民を守るどころか、痛めつけようとしている。 今のところ、多くの日本人は支配層の嘘を信じようとしているが、何かの拍子に目が覚めれば、一気に支配体制は崩壊する。「特定秘密保護法案」も庶民を騙すための武器として使うつもりなのだろうが、どこまで通用するか・・・ 社会的な弱者である庶民から富を搾り取ることしか考えていないのが現在の強者である巨大資本や富豪。こうした仕組みの経済が長続きするはずはなく、金融が肥大化している国からシステムが破綻しはじめている。1920年代から30年代にかけての動きと同じだ。 かつて、フランクリン・ルーズベルト大統領は強欲な経済システムを変えようとしていたが、ウォール街は最高裁も使い、妨害していた。それでも、第2次世界大戦の勝利が見通せるようになった1944年1月には、戦後を見据え、ニューディール政策を推進すると演説している。 その中で、十分な食べ物、衣服、休養を得る権利、全ての農民が家族を養うに十分な収入で作物を育て、売る権利、国内外の独占企業による不公正な競争や支配からの自由、きちんとした住宅に住む権利、医療と健康的に生活する権利、老年、病気、事故、失業に伴う経済的な恐怖から守られる権利、良い教育を受ける権利等々が国民にはあると主張していた。 しかし、ルーズベルトの側近だったヘンリー・ウォーレスは1944年の大統領選挙で副大統領候補から外され、ルーズベルト自身、45年4月に執務中、急死してしまう。ということで、1944年の年頭教書演説は実現されなかった。ホワイトハウスの主導権をウォール街が奪還したということだ。 鶴見俊輔によると、日本がアメリカ軍に占領されていた時代、ハーバード時代の同級生だという「リーバマンが、こう言ったんですよ。これからアメリカは、ファシストの国になるって。」(鶴見俊輔、上野千鶴子、小熊英二著『戦争が遺したもの』新曜社、2004年)
2013.10.16
このところ、「アメリカ後」が話題になっている。政府機関が閉鎖された時点で政府が約束していた義務を果たさなかったことになり、すでに「債務不履行」だという意見もあるのだが、事態はそこに止まらない。資本主義は富の滞留を「是」とする経済システムではあるが、1970年代の後半から導入された新自由主義は投機を盛んにして金融を肥大化させ、富の集中を加速度的に早めた。必然的に経済の破綻も早まり、アメリカは身動きがとれない状態になっている。 富を蓄積した人びと、つまり巨大資本やそうした資本と結びついた富豪たちは破綻した国の私有化を目論んでいる。そのために進めているプロジェクトのひとつがTPPだ。その先に「新世界秩序」はあるが、その醜悪な姿は広く知られるようになり、抵抗は強まっている。 最近、話題になっているのはBRICSを中心とする国々。BRICSが新たな通貨を作ったら大きな力を持つことは間違いない。バスケット方式が噂になっている。 2000年にはイラクのサダム・フセインが石油取引をドルからユーロに変更する姿勢を見せ、リビアのムアンマル・アル・カダフィは新たな通貨(金貨ディナール)の導入を計画していたが、両国とも軍事侵略を受けて体制は崩壊してしまった。 それに対し、BRICSは強力。メンバー国はブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカだが、イランやベネズエラなどとも関係は深く、SCO(上海協力機構)も連動する可能性が高い。何しろ、SCOも中心は中国とロシアだからだ。さらに、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタンが加わる。オブザーバー国としてインド、イラン、モンゴル、パキスタンも参加している。こうした国々を軍事的に制圧することは無理だろう。 欧米の富豪とは、過去に世界中から財宝を盗んだ連中。十字軍で西アジアを荒らし回って富と知識を奪い、ラテン・アメリカでは先住民が保有していた貴金属や財宝を強奪、ポトシ銀山などの鉱山から膨大な量の金銀を持ち去っている。近代ヨーロッパは、そうして手に入れた金銀財宝の上に成立している。 それだけでなく、アメリカの一部支配層は第2次世界大戦でドイツや日本が占領地で盗んだ財宝を世界支配のために使っているとも言われている。いわゆる「ナチ・ゴールド」や「金の百合」だ。金本位制に戻すという話も、この辺から出てきているのだろう。
2013.10.15
シリアで政府軍が化学兵器を使ったことにして、アメリカをはじめとする「西側」の軍隊が直接、軍事侵攻するというシナリオは破綻した。「西側」のメディアはその筋書きを宣伝していたが、現地の証言が直接、インターネットに流れたこと、さらにロシアが証拠を関係国に知らせたことなどから信用されなくなったのであろう。反政府軍、その中でもアル・カイダ系の武装集団が攻撃に使い、その化学兵器はサウジアラビアが供給した可能性が高い。 ところで、「米陸軍フィールド・マニュアル30-31B」という1970年3月18日付けの文書が存在する。アメリカの同盟国でコミュニストへの対応が甘くなった場合、その国の政府や国民を目覚めさせるために特殊作戦(破壊活動など)を実行しなければならないという内容で、1970年代にタイやトルコで伝えられている。 1982年にもこの文書はローマ空港で発見されたのだが、その文書を隠し持っていたのはアンヌ・ジェッリ。非公然秘密結社P2のトップとしてイタリアで大きな影響力を持っていたリチオ・ジェッリの娘だ。文書はCIAから渡されたのだという。 1970年代のイタリアは「テロ」が頻発していた。例えば、1969年にはパドゥア大学、ミラノの産業フェア、ミラノのフォンタナ広場にある国立農業銀行で爆弾が炸裂、1980年のボローニャ駅爆破事件まで何度も繰り返されている。 一連の爆破は「極左」の「赤い旅団」が実行したとされていた。この団体はトレント大学の学生が1969年に創設、当初は比較的に穏健で、理想主義的なグループ。その路線が大きく変化したのは1974年のこと。切っ掛けは創設メンバーでリーダー格だった人物の逮捕だ。新たにグループを率いることになったマリオ・モレッティが「テロ路線」へ舵を切ったと言われている。指導的な立場にあったメンバーのうち、この人物だけはなぜか逮捕されなかった。 1974年にアメリカとイタリアの関係を緊張させる出来事が起こる。アルド・モロ首相がアメリカを訪問してヘンリー・キッシンジャー国務長官と会談したのだが、その際、コミュニストを政権に入れることは許さないとアメリカ側から脅されたとエレオノーラ、つまりアルドの妻は語っている。モロの親アラブ的な言動も問題になったという。 ちなみに、その前年、キッシンジャーはチリで軍事クーデターを仕掛け、軍事独裁体制を成立させ、アメリカの巨大企業にとって目障りな人びとを大量殺戮している。すでにキッシンジャーの手は血で赤く染まっていたわけだ。 1978年3月にモロは誘拐され、5月に遺体が発見される。(この時点における首相はジュリオ・アンドレオッチ)「赤い旅団」の犯行だとされたが、この「公式見解」に説得力はない。5名の護衛を伴って自動車で移動していたモロを6名のグループが襲撃、護衛を全て殺害したうえ、モロを無傷の状態で連れ去っていることを考えると、訓練を受けたか場数を踏んだプロの仕業。素人にできる芸当ではない。赤い旅団が主犯だとは考えられない。 事件前、モロの護衛チームは自分たちが監視されている気配を感じ、不審な自動車のナンバーを警察に通報する。その一方、内務省には防弾使用の自動車を手配するように求めているが、これは拒否されてしまった。当時、同省は防弾仕様の自動車48台を保有、拒否する理由はなかった。そこで、内務省も何らかの形でモロ殺害に関係していたと疑う声もある。 この時期、バチカン銀行を舞台にした不正融資事件が発覚、アンブロシアーノ銀行が倒産している。不正融資の流れた先はポーランドの「連帯」だとスキャンダルの中心人物は語っていた。 連帯には資金だけでなく、ファクシミリ、印刷機械、送信機、電話、短波ラジオ、ビデオ・カメラ、コピー機、テレックス、コンピュータ、ワープロなど当時の最新機器が数トン、アメリカ側から密輸されていたとジャーナリストのカール・バーンスタイン(ウォーターゲート事件で有名。ワシントン・ポスト紙を去った後、CIAとメディアの関係を詳しく書いている)は明らかにしている。連帯の指導者だったレフ・ワレサも自伝の中で、戒厳令布告後に「書籍・新聞の自立出版所のネットワークが一気に拡大」したと認めた。 この不正融資にはP2、その背後にはCIAが存在していたのだが、1978年にその仕組みを揺るがす出来事が起こる。CIAと緊密な関係にあったパウロ6世が死亡、アルビーノ・ルチャーニが新しい教皇、ヨハネ・パウロ1世に選ばれたのである。 当時、バチカン銀行の総裁はパウロ6世の側近でシカゴ出身のポール・マルチンクス。社会的な弱者に目を向けていたルチャーニとは考え方が正反対の人物で、以前から両者の関係は良くなかった。 しかし、この窮地からCIAはすぐに抜け出してしまう。ヨハネ・パウロ1世が在位1カ月余りで急死、ポーランド出身のカロル・ヨゼフ・ボイティーワが新教皇、ヨハネ・パウロ2世として連帯を支援しはじめるのだ。 とはいうものの、すでに金融スキャンダルは明るみに出ている。1981年3月に財務警察隊は金融スキャンダルの黒幕と見られていたリチオ・ジェッリの自宅などを家宅捜索、その際に秘密結社P2の会員名簿を押収し、イタリアの支配システムを揺るがすことになる。 この年は3月にロナルド・レーガン大統領が、5月にはヨハネ・パウロ2世が銃撃(銃撃犯はNATOの秘密部隊につながる)されているが、教皇銃撃の1週間後にアンブロシアーノ銀行のロベルト・カルビ頭取が逮捕される。6月になるとカルビは姿を消してしまい、その8日後にロンドンのブラックフライヤーズ橋で死体が発見される。 FM30-31Bがローマの空港で見つかるのは、その翌年。アメリカの下院や国務省などは偽物だと主張している文書だが、その後、本物ではないかと思わせる展開になる。1990年10月、イタリアのジュリオ・アンドレオッチ首相はNATOの秘密部隊、グラディオの存在を認める報告書を公表したのだ。米英の支配層はNATOの秘密部隊を使い、左翼を装って「テロ」を実行、左翼への支持者を減らし、治安体制を強化しようとしたのである。いわゆる「緊張戦略」。 キューバに対するアメリカ軍の軍事侵攻を正当化するため、アメリカの情報機関や軍の好戦派が1960年代の前半、キューバを装って「テロ」を実行する「ノースウッズ作戦」を計画していたことも後に判明している。たとえFM30-31Bが偽物であっても、そこに書かれいるようなことをアメリカが計画、実行していたことは間違いない。
2013.10.14
パキスタンでイスラム武装勢力から銃撃されたマララ・ユスフザイを「西側」は自分たちの中東/北アフリカ侵略を正当化するために利用している。ところが、10月11日にマララはホワイトハウスを訪問してバラク・オバマ大統領と会った際、マララは無人機による攻撃がテロリズムを煽っていると懸念を示したという。戦闘とは無関係の人びとが殺され、パキスタン人の間に憎しみを広めているということだ。 1970年代にアメリカがアフガニスタンでの秘密工作を始めたことは本ブログで何度も書いたこと。その工作にパキスタンは協力していた。 工作の中心的な存在がズビグネフ・ブレジンスキー。1979年5月にCIAイスタンブール支局長はアフガニスタンのリーダーたちと会談するのだが、そのセッティングをしたのがパキスタンの情報機関ISIだった。 その会談でCIAが手駒として選んだ相手が麻薬業者のグルブディン・ヘクマチアル。7月にジミー・カーター大統領はアフガニスタンのイスラム武装勢力に対する秘密支援を承認する。 その年の12月にソ連軍の機甲部隊がアフガニスタンへ侵攻、イスラム武装勢力との戦闘が始まる。ブレジンスキーの作戦通り、ソ連軍はアフガニスタンへ引きずり込まれたわけだ。後にブレジンスキーはフランスのヌーベル・オプセルヴァトゥール誌に対し、「秘密工作はすばらしいアイデアだった」と語っていた。 今でもアメリカの情報機関はイスラム武装勢力との関係を維持している。その武装勢力の雇い主がサウジアラビアであり、責任者はバンダル・ビン・スルタン総合情報庁長官。1983年から2005年まで駐米大使を務め、「バンダル・ブッシュ」と呼ばれるほどブッシュ家と親しくしている。 ブレジンスキーがアフガニスタンで作り上げたイスラム武装勢力からアル・カイダは生まれ、その看板として扱われたのがオサマ・ビン・ラディン。サウジアラビアの富豪一族で王室とも関係の深いビン・ラディン家ともバンダル・ブッシュは緊密な関係にある。 リビアやシリアの反政府軍は外部勢力、つまりアメリカ、イギリス、フランス、トルコ、サウジアラビア、カタール、イスラエルなどから支援を受けていた。地上部隊の戦闘員を雇っていたのはサウジアラビアやカタールなのだが、リビアの体制転覆に成功した後に内部対立が生じたようだ。 カタールはムスリム同胞団と近く、サウジアラビアはアフガニスタン以来の戦闘グループを使っていたのだが、カタール系の勢力が「戦利品」を抑えてしまい、サウジアラビア系が不満を募らせたとも言われている。ベンガジのアメリカ領事館が襲撃され、クリストファー・スティーブンス大使を含むアメリカ人4名が殺されたのも、この対立が関係しているという説もある。 シリアではFSAがカタールの影響を強く受けていたのだが、最近はアル・カイダ系のアル・ヌスラを中心とする「イスラム主義者同盟」が反政府軍の75%を占めるようになったとも報道された。 この勢力にサウジアラビアが化学兵器を提供していると8月29日にミントプレスが伝えている。後に筆者として名前が載っていたひとりが記事と自分は無関係だと主張するのだが、編集長のムナル・ムハウェシュはその主張を全面否定、電子メールのやりとりもあると反論した。 10月に入ると「ロシア外交筋」からの情報として、サウジアラビアと化学兵器とを結びつける話が流れてくる。ゴータで化学兵器を使ったのはサウジアラビアがヨルダン経由で送り込んだ秘密工作チームであり、この作戦はサウジアラビア系のイスラム武装勢力、リワ・アル・イスラムが支援したという。 ブレジンスキーがソ連軍をアフガニスタンへ誘い込むことに成功した当時からサウジアラビアはイスラエルと手を組んでいた。シーモア・ハーシュは2007年に書いた記事の中で、アメリカ、サウジアラビア、イスラエルの3国は共同でシリアやイランをターゲットにした秘密工作を開始していたとしている。 10月2日、イスラエルでは湾岸諸国の政府高官がイスラエルを訪問したと伝えられているが、この高官はサウジアラビアのバンダル・ブッシュだと見られている。サウジアラビアはアメリカの金融界や石油業界と関係が深く、イスラエルは強力なロビー団体を動かし、議会やメディアの大きな影響力を持っている。 問題はサウジアラビアとイスラエルが目指している方向。アメリカの利益に反する戦略のため、この2カ国はアメリカを使おうとしている。そこでアメリカ支配層の一部はロシアへ接近することになった。 そのロシアをバンダル・ブッシュは7月31日に訪問したのだが、その際、チェチェンの武装グループにソチ・オリンピックを襲わせると示唆、シリアでの工作を邪魔するなと脅したのだが、これは逆効果になってしまう。ロシア政府を怒らせてしまったのである。その後、サウジアラビアと化学兵器の使用を結びつける情報が出てきたのは偶然でないだろう。 アメリカのバラク・オバマ政権がサウジアラビアとイスラエルからの圧力を跳ね返したなら、この両国の立場は厳しいものになってしまう。アメリカに対するサウジアラビアとイスラエルの攻撃は激しくなる可能性がある。
2013.10.13
アメリカではバラク・オバマ政権が打ち出した医療保険制度改革に共和党の議員が反発し、債務上限引き上げを拒否して政府機関が閉鎖される事態になっている。 オバマ政権の改革も治療内容という点で現在の制度と大差はないとする指摘もあるが、それはともかく、ロナルド・レーガン政権時代に司法長官を務めたエドウィン・ミース、あるいは石油関連事業で財をなしたチャールズ・コークとデイビッド・コークの富豪兄弟など富裕層はオバマ政権の改革を攻撃する。ちなみに、「オバマケア」とは、オバマ政権が進める医療保険制度に反対する勢力がイメージ悪化キャンペーンのために作り出した造語だ。 財政赤字を理由にして、警察や消防を除く公務員の医療保険負担や年金負担を大幅に引き上げ、労働組合の団体交渉権を剥奪するという政策を打ち出したウィスコンシン州のスコット・ウォーカー知事を操っていることでもコーク兄弟は有名で、気候変動の研究を攻撃するキャンペーンのスポンサーでもある。 アメリカでは私的な保険に入るしかなく、医療を受ける権利と収入が連動している。その結果、治療内容は保険会社が決定することになり、保険に入れない低所得層は事実上、医療を受ける権利を奪われている。オバマ政権の改革はともかく、公的な保険制度がないに等しい現在の状態を放置しておくべきではないことは確かだ。 この問題はマイケル・ムーアが監督した映画『SiCKO(シッコ)』で取り上げられ、日本でも広く知られるようになった。TPPの導入など「アメリカ流」にシステムを作り替えようとしている日本の「エリート」にとっては忌々しい映画であり、マスコミも扱いが大きくはなかった。 現在、金融の世界ではレポ(買い戻し条件付き)取引を利用した「闇の金融システム」が肥大化、不安定な状態になっている。オバマ政権の保険改革を潰すためなら債務不履行も辞さないと共和党の強硬派は考えているようだが、こうした時にアメリカが債務不履行ということになると、未曾有の金融恐慌へ突入しかねない。
2013.10.13
日本企業がエンジニアや研究員として外国、例えばインドや中国の大学で学ぶ学生を採用するようになって久しい。昨日、今日、始まった話ではない。その理由として、企業が生産拠点を国外へ移していることのほか、日本の大学生/大学院生の能力が落ちていることを現役のエンジニアや研究員は指摘する。 企業が生産拠点を外へ出した最大の理由は、日本に市場としての魅力がなくなってきたということ。巨大企業の要請に応え、日本政府が巨大企業本位の政策を推進した結果、富の集中が起こって庶民は貧困化、その購買力が極度に低下し、マーケットとして魅力がなくなったのである。 企業側から見ると、オフショア市場/タックス・ヘイブンを利用して資産を隠し、課税を回避することが容易になり、溜まった資金を生産のために投資する必要がなくなった。投機/マネー・ゲームに投入するようになったのだ。 日本の大企業を動かしている経営者には、コストを下げれば利益が増えると単純に信じている人が少なくない。その結果、働く人びとへの負荷が高まって疲弊、しかも非正規社員が増えて地位が不安定化して企業活動の現場は荒廃している。 大企業ではエンジニアや研究者の中に精神を病む人が増えているという話を耳にするようになったのは10年ほど前から。コストを下げるため、経営者が必要な人員をそろえようとしないことが大きい。 1980年前後の「合理化」で生産体制はぎりぎりまで切り詰められて余裕をなくし、一時期は改善されたようだが、その後の「リストラ」で必要最低限の生産体制も維持されなくなった。生産現場が崩壊するのは当然のことだ。政府、官僚、経営者は現場で働く人びとを人間とは見なしていない。 庶民の貧困化は教育水準を下げる一因になっているが、教育水準の低下は国策でもある。例えば、教育課程審議会の会長を務めた三浦朱門は、「平均学力が下がらないようでは、これからの日本はどうにもならんということです。」と語る。多くの国民は「実直な精神だけを養っておいてもらえばいいんです」(斎藤貴男著『機会不平等』文藝春秋)と言うのだ。 つまり、庶民から思考力を奪い、支配層へ盲目的に従属するように洗脳するということだ。そうした洗脳の仕掛けのひとつとして「日の丸/君が代の強制」がある。日の丸/君が代を支配層へ服従する儀式として利用しているのだ。企業がそうした人間を求めていたことは、丸紅元会長の鳥海巌が日の丸/君が代に反対する人間を「徹底的につぶさないと禍根が残る」と発言したことからもうかがえる。 しかし、生産拠点を国外へ移し、エンジニアや研究員も現地で採用するということは、日本の洗脳教育を否定する行為でもある。彼らは企業に絶対服従などしない。
2013.10.12
ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相によると、アフガニスタンの反政府軍支配地域で「第三国」がアル・ヌスラなどシリアの反政府軍に対し、化学兵器の使い方を訓練しているとする報告があるそうだ。シリアで「偽旗作戦」を展開することが目的だと見られている。アル・ヌスラはイラクへ毒物を持ち込む計画も持っているという。 シリアの戦乱を軍事的に解決することはないと、NATOのアナス・フォー・ラスムセン事務局長は10月10日に語ったようだが、1カ月前にはシリアに対するアメリカ軍の軍事行動を「国際共同体」は支持すると語っていた。トーン・ダウンしたわけだ。こうした状況を壊すことが偽旗作戦の目的だということになるだろう。 イギリス、フランス、アメリカなどがシリアに対する直接的な軍事介入に向かって動き始めたとき、ブレーキをかけたのはロシア。8月21日のゴータへの攻撃について、ロシアのビタリー・チュルキン国連大使は文書と衛星写真に基づき、反シリア政府軍が支配しているドーマから2発のミサイルが発射され、毒ガス攻撃を受けたとされるゴータで着弾していることを国連の臨時会合で示したというのだ。この情報はジャーナリストのペペ・イスコバルが8月27日にフェイスブックで明らかにしている。その後、シリア攻撃を主張する声は急速に小さくなり、アメリカ政府も軍事介入を中止した。 ゴータで化学兵器が使われたかどうかを調べていた国連のチームが9月15日に報告書を潘基文事務総長へ提出、それを都合良く解釈してアメリカの政府やメディアは政府軍がサリンを使ったと再び叫びはじめるのだが、今度は「ロシア外交筋」からサウジアラビアと化学兵器とを結びつける情報が流される。国連がロシアの報告書を封印してしまったので、ロシア自らが情報を外部へ伝えはじめたのかもしれない。 つまり、ゴータで化学兵器を使ったのはサウジアラビアがヨルダン経由で送り込んだ秘密工作チームだというのだ。この作戦はサウジアラビア系のイスラム武装勢力、リワ・アル・イスラムが支援したという。 サウジアラビアが化学兵器使用の黒幕だとする情報は、8月29日にミントプレスが伝えていた。記事はデイル・ガブラクとヤフヤ・アバブネの名前で書かれていたが、後にガブラクは筆者として名前が出されていることに抗議している。 それに対し、編集長のムナル・ムハウェシュは、ガブラク自身が記事を28日に編集部へ持ち込んだと反論している。アバブネがシリアへ入り、サウジアラビアが反政府軍に化学兵器を提供し、それを反政府軍の戦闘員が誤って爆発させたとする証言を得たと説明したという。しかも、彼女はその情報をガブラクは同僚やヨルダン政府の高官に尋ね、サウジアラビアが化学兵器を反政府軍へ渡していることを確認したと語ったとしている。 もし、ロシア政府がサウジアラビアと化学兵器の使用を結びつける証拠を握っているならば、シリアで停戦を実現する大きな武器になる。サウジアラビア王室とイスラム武装勢力との関係は公然の秘密であり、「9/11」ではイスラエルと同じように疑惑の目で見られているが、サウジアラビアが化学兵器使用の黒幕だと公に認めざるをえなくなれば、アメリカ政府としても何らかの「制裁」をする必要が出てくる。そんなことをすれば石油も資金も止まり、日米欧の経済は大混乱に陥る可能性が高い。 投機で金融が肥大化、「闇の金融システム」がいつ破綻してもおかしくない状況の中、サウジアラビアを失うことはできないだろう。大勝負を仕掛けるという手はあるが、そうなると人類の存続に関わる問題になりかねない。
2013.10.11
オリエントコーポレーションを経由してみずほ銀行が広域暴力団へ融資していたのだという。みずほ銀行といえば、第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行が統合されて作られた金融機関。2000年にこの3行は持ち株会社のみずほホールディングスを設立、その完全子会社になり、02年に3行がみずほ銀行として統合されたわけである。 過去に銀行が何をしてきたかを考えれば、今回のケースも驚くほどのことではない。今回の取り引きは第一勧銀に根があるようだが、例えば、富士銀行にも興銀にも怪しげな過去がある。例えば1990年代には、富士銀行の支店幹部が架空の預金証書を発行、ノンバンクから約2600億円を引き出し、東洋信用金庫が発行した架空の預金証書を利用して興銀系の金融機関が約1500億円を出したことが明らかになっている。マネー・ロンダリングを行っていた疑いが濃厚なのだが、東洋信金が架空の預金証書を渡した大阪の料亭経営者、尾上縫は広域暴力団、山口組のダミーだったと言われている。 山口組は住友銀行(2001年から三井住友銀行)とも関係が深かった。一連の取り引きでは、伊藤寿永光、許永中、池田保次が暗躍する。池田は山口組の総本部長だった岸本才三の下にいた人物だと言われ、伊藤は同組のナンバー2だった宅見勝と親しくしていたという。岸本も宅見も「山口組の金庫番」と呼ばれた時期がある。なお、宅見は1997年に「新神戸オリエンタルホテル」のティーラウンジで射殺されている。 住友銀行の絡む出来事で最も注目されたのは、おそらく平和相互銀行の買収だろう。この相互銀行は「政治家の財布」とも呼ばれていたが、さらにさかのぼると略奪財宝の噂が出てくる。 略奪財宝のうち、持ち運びが簡単なダイヤモンドは降伏する直前、ある憲兵が日本へ運び込み、敗戦のどさくさの中、千葉銀行へ預けたと言われている。この千葉銀行は平和相銀と同様、川崎財閥の系統。住友銀行の平和相銀買収では同財閥の資産管理会社である川崎定徳が登場する。 外国の銀行も腐敗している。例えば、2006年にはワチョビアという金融機関が麻薬資金をロンダリングしていた事実が浮かび上がり、この銀行を2年後にウェルズ・ファーゴが吸収している。 麻薬をはじめとする犯罪絡みの資金だけでなく、巨大企業や富豪たちは資産を隠し、課税から逃れるためにオフショア市場/タックス・ヘイブンを利用する。こうしたタックス・ヘイブンの近代的ネットワークは、1970年代からロンドンのシティを中心に広がってきた。 1980年代に入ると強者総取りの新自由主義が各国で導入され、富の集中が加速度的に進む。勿論、集まったカネを巨大企業や富豪たちが社会へ還元するはずもなく、投機市場へ流れていく。そして金融が肥大化、「カジノ経済」と呼ばれる状況が生まれた。 そうした中、レポ(買い戻し条件付き)取引を利用した「闇の金融システム」が大きくなっていく。例えば、手元の資金が遊んでいる場合、それを投資銀行へ持ち込み、その担保として債券を受け取る。時期がきたなら、債券を渡し、金利を上乗せした資金を受け取るというようなもの。問題はこの取り引きが破綻したときで、通常の銀行取引と違い、保険がかけられていないので被害は大きくなる。 2008年に投資銀行のリーマン・ブラザースが倒産、金融システムが揺らいだ。いわゆる「リーマン・ショック」だ。 そのときに金融機関を救済、庶民につけが回されることになる。「大きすぎて潰せない」だけでなく、「大きすぎて罪に問えない」ということで、責任者たちは責任を大して問われず、今でも天文学的な額の収入を得ている。この金融破綻も原因は闇金システムにある。BRICSがさほど深手を負わなかったのは、闇金システムにさほど浸食されていなかったからだと言われている。 リーマン・ショックの際、イギリスでは無政府状態になることも想定、外出禁止令を出し、軍隊を出動させることも議論したという。 闇金システムが健在である以上、さらに大きな金融破綻は不可避。アメリカの国土安全保障省は4、5年の間に16億発という膨大な数量の弾丸を購入する計画だというが、これは暴動に備えてのことだと疑う人もいる。
2013.10.11
イギリスの治安機関、MI5のアンドリュー・パーカー局長はNSAの監視活動を内部告発したエドワード・スノーデンを批判した。スノーデンが明るみに出した資料はアル・カイダのような「テロリスト」に対する「贈り物」で、国家安全保障を危険にさらすというのだ。 リビアやシリアでの戦闘で明確になったが、アメリカ、イギリス、フランス、トルコ、サウジアラビア、カタール、イスラエルといった国々はアル・カイダのようなイスラム武装勢力を傭兵として使ってきた。こうした国々は資金や武器/兵器を提供するだけでなく戦闘員を訓練しているわけで、「テロリスト」に「贈り物」を提供、国家安全保障を危険にさらしているのはパーカー局長たちだ。 イギリスもアル・カイダと浅からぬ関係がある。例えば、1996年にMI6(イギリスの対外情報機関)はLIFGを使い、ムアンマル・アル・カダフィを暗殺しようとする証言がある。このLIFGは2007年に正式なアル・カイダ加盟団体になったようだが、それ以前から関係はあった。実際、この暗殺未遂事件の絡み、カダフィ政権はオサマ・ビン・ラディンに逮捕令状を出している。 カダフィ体制が倒された後、ベンガジでアル・カイダの旗が掲げられたことも象徴的な出来事。YouTubeの映像だけでなく、デイリー・メイル紙も報道している。この後、アル・カイダの戦闘員は武器/兵器を携えてシリアへ移動した。 ダマスカス郊外のゴータで8月21日未明に化学兵器が使われたとされているが、その直前、17日と19日にヨルダンから特殊工作の訓練を受けた部隊がシリアへ入ったと伝えられている。この部隊もアル・カイダと無関係ではないだろう。 フランスのフィガロ紙によると、最初のグループは300人程度で編成され、イスラエルやヨルダンの特殊部隊メンバーやCIAの要員から支援を受けていたという。最初は250名、2番目は300名という情報もある。 MI5の局長がアル・カイダを持ち出してくるのは滑稽である。自分たちこそがそうした武装集団を助けているのだ。スノーデンが明らかにしたのはNSAやGCHQによる監視システムであり、そのターゲットは戦争に反対し、平和を望む人びと。 まだドイツが東と西に分かれていた時代、東ドイツにはシュタージという情報/治安機関が存在していた。今でも国民を監視する機関の代名詞のように使われる名前だが、このシュタージに限らず、情報機関や治安機関は外国だけでなく自国の国民を監視、中でもアメリカのNSAやイギリスのGCHQはその能力が突出している。 NSAとGCHQはカナダのCSE、オーストラリアのDSD、ニュージーランドのGCSBを従える形でUKUSA(ユクザ)という連合体を形成、その実態をエドワード・スノーデンは内部告発した。 この告発にアメリカ政府は怒り、ポルトガル、スペイン、フランス、イタリアといったヨーロッパの国々を脅し、モスクワから帰国する途中のボリビア大統領機を強制着陸させたりしている。スノーデンが搭乗していると疑ったようだ。 当初の予定ではポルトガルのリスボンで給油することになっていたのだが、モスクワを離陸した直後にポルトガルは給油の拒否を通告、そこで、次にスペインのカナリア諸島へ向かおうとする。ところが今度はスペインが拒否。フランスやイタリアも同様だった。燃料が残り少なくなった状態でボリビア大統領機はオーストリアへ降りている。墜落させようとしたと言われても仕方のない状況だ。 MI5のアンドリュー・パーカー局長こそが「テロリスト」と呼ばれるにふさわしい。
2013.10.09
東電福島第一原発の事故を見る世界の人びとの目は厳しくなり、世界の英知を集めて対処すべきだという意見も出ている。原発事故について関心を失いつつある日本人とは対照的だ。そうした日本の状況を作り出す上で重要な役割を演じているのがマスコミである。 事故が発生して以来、日本政府も東京電力も情報を隠し、国民に嘘をつき続けてきた。外国の専門家が作業に加わればデータが外部へ明らかにされ、自分たちの悪事が露見する可能性が高い。倒産させれば財務内容もチェックされてしまい、日本の支配システムが崩壊するかもしれない。 原発事故の影響では、作業員の深刻な健康状態に関する噂が流れているほか、住民の間で甲状腺の異常だけでなく癌が増え始めていることも注目されているが、カナダではニシンのひれ、腹部、あご、眼球などから出血が報告され、サケへの影響が懸念されている。こうした現象と福島第一原発事故との関係を疑う声も出ているのだ。ヤマトシジミに遺伝的な異常が出たとする調査結果もある。 事故から4カ月半後にアメリカのNRCが開いた会議(PDF)では、1マイル以上吹き飛ばされた燃料棒の破片が話題になった。ゲイリー・ホラハン新炉局副局長はその出所は圧力容器の中だと推測している。そうした破片に関する情報を東電、政府、マスコミがきちんと伝えたとは思えない。 選挙が当分の間ない、つまり自民党と公明党の政権が倒れる心配がないということもあり、マスコミはタンクから高濃度汚染水が漏れ出ているという程度のことは伝えているものの、「安全神話」を広める活動は今でも続けられ、東京で安心してオリンピックを開催できるかのように宣伝している。 勿論、福島第一原発の状態が安全だとは到底、言えない。事故で圧力容器も格納容器も破損、溶融した燃料棒がどこにあるかは確認できず、鋼鉄の壁やコンクリートを溶かして地中へ潜り込み、「チャイナ・シンドローム」の状態になっている可能性も小さくない。そうなると、溶融物を「冷却」した地下水が高濃度の汚染水になり、未知の場所から海へ流れ出ているだろう。また、何らかの原因で使用済み燃料棒プールが崩壊したなら、北半球が全滅する事態もありえると心配されている。 核問題の中でも特に核武装については秘密度が高い。各国の情報機関は日本が今でも核兵器の開発をしていると確信しているが、日本でこの問題に触れることはタブーに近い。日本の核兵器開発にはアメリカの一部支配層が協力、アメリカの最高機密である核兵器製造施設に立ち入ることを許し、機微な技術を日本へ提供、1980年代から日本は70トンの核兵器級プルトニウムを蓄積してきたという。 2011年3月8日付けのインデペンデント紙に掲載された記事によると、石原慎太郎都知事(当時)は1年以内に核兵器を保有できると語り、仮想敵国として中国や朝鮮のほか、ロシアを挙げている。外交の交渉力とは思考力や知恵ではなく、核兵器で決まると彼は信じているようだ。 この記事が掲載された翌日に三陸沖でマグニチュード7.3の地震があり、3日後にほぼ同じ場所でマグニチュード9.0の巨大地震が発生する。この巨大地震で東電の福島第1原発が「過酷事故」を起こし、大量の放射性物質を環境中に放出することになったわけだ。 日本の政府や企業に課せられた情報公開の義務は緩い。企業も行政機関も公にできない情報が多いということだ。情報を公にしたなら悪事も公になってしまうということだ。そうした情報の隠蔽にマスコミも協力している。 ベトナム戦争の際に起こったソンミ村(ミ・ライ)での虐殺(フェニックス・プログラムの一部)を記事にし、イスラエルの核兵器を取り上げ、2007年にはアメリカ、イスラエル、サウジアラビアのシリアやイランに対する秘密工作を明らかにした調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュは、NBCやABCのようなネットワーク局のニュース部門を閉鎖し、編集者の90%を解雇して気骨ある人を引き上げるべきだと語っているが、日本ではそれ以上のことをする必要があるだろう。
2013.10.08
10月5日にアメリカの特殊部隊、SEALチーム6がソマリアとリビアで軍事作戦を実行したという。ケニアのナイロビにあるショッピング・モールを9月21日に襲撃したアル・カイダ系の武装グループ、アル・シャバブの幹部がターゲットで、リビアではひとりを拘束したという。 ソマリアで襲われたのはチェチェン出身の武装グループ幹部で、拘束には失敗したようだ。リビアで拘束されたナジー・アブドゥル・ハメド・アル・ラカイ(別名、アブ・アナス・アル・リビー)は1998年にケニアとタンザニアにあるアメリカ大使館を爆破した容疑でFBIから指名手配されていた人物だという。 大使館爆破事件より3年間前、反ムアンマル・アル・カダフィ派のアル・リビーはイギリスに庇護されていた。アメリカ大使館爆破の翌年、スコットランド・ヤード(ロンドン警視庁)はアル・リビーを逮捕するのだが、証拠不十分で釈放している。後に家宅捜索で破壊活動の訓練マニュアルが発見されているが、そのときには国外へ脱出していた。 ナイロビにあるショッピング・モール襲撃も奇妙なことになっている。襲撃をケニア当局は前日に知っていて、事件の数時間前にはケニアの情報機関員が現場に配置され、人質が取られた直後にはイスラエルの治安部隊が中に入ってケニア人部隊を指揮、イギリスのMI6も支援、また襲撃に遭遇した世界銀行の弁護士によると、アメリカの治安チームもいたというのだ。 当初、襲撃グループのリーダーはイギリス出身のサマンサ・ルースウェイト、通称「白い未亡人」だと言われたのだが、後にケニアの警察当局は襲撃チームに女性も外国人も含まれていないと発表している。実際のリーダーはスーダン出身のアブ・バーラ・アル・スダニだという。 ところで、今回の襲撃作戦を実行したSEALチーム6は2011年5月、パキスタンでオサマ・ビン・ラディンを殺害したとされているが、この情報にも疑問が出ている。襲撃された家にオサマ・ビン・ラディンは住んでいなかったと住民は主張、襲撃の様子も「公式発表」とは違う証言がある。 テレビで放送された証言によると、襲撃されることになる家の上空に1機のヘリコプターが飛んできて、10人から12人を屋根に降ろして飛び去り、20分ほどして戻って着て降りていた人を回収したのだが、爆発で炎上してしまったという。このとき、別のヘリコプターもいたという。 しかも、この作戦に参加していた人びとはパシュトゥーン人の言葉を話していたと住民は話している。SEALの隊員がパシュトゥーン語を話していたのか、SEALが襲撃したとする説明が嘘だということになるだろう。残骸などはすぐに片付けられたという。 この3カ月後、アフガニスタンでCH-47ヘリコプターが墜落して38名が死亡、そのうち22名がSEALの隊員で、その中にはビン・ラディン襲撃に参加したメンバーも含まれていると噂されている。 ビン・ラディンを象徴とするアル・カイダをアメリカ、イギリス、フランス、トルコ、サウジアラビア、カタール、イスラエルといった国々は傭兵として利用している。リビアでムアンマル・アル・カダフィ体制が倒された際、この事実が明確になった。 そのリビアでは、国内にもある程度の力を持つ反カダフィ軍が存在していた。が、シリアでは外国からの部隊がバシャール・アル・アサド政権と戦っているという構図だ。要するに「内戦」ではなく、侵略戦争。シリアでも「西側」は当初、「独裁者に立ち向かう民衆」、「ゴリアテと戦うダビデ」というように戦争を描いていた。 アル・カイダ系のジャバト・アル・ヌスラを中心とする「イスラム主義者同盟」が反政府軍の75%を占めるようになったとする報道もあるが、そのアル・カイダは最初から住民を虐殺、人間の臓器を口にしてみせてきた。シリアで戦いの構図が変わったわけではない。しかも、ここにきてアル・カイダはサウジアラビアから入手した化学兵器を使っている疑いも強まっている。
2013.10.07
日本国憲法は「主権が国民に存することを宣言」している。国のあり方に関わる公的な情報は本来、主権者のものであり、国民に公開されなければならない。民主主義を名乗る国なら絶対に必要なルールだ。 それにもかかわらず、日本の政治家や官僚は公的な情報を私物化、主権者である国民に関する情報を大量に集め、管理/支配に使っている。電子技術の進歩は管理/支配力を飛躍的に強めることになった。さらに情報の独占力を強めるため、安倍晋三政権は「特定秘密保護法案」の成立を目指している。つまり、日本は民主主義と逆の方向へ進もうとしている。 こうした事態に立ち至った最大の理由は、支配層の暴走を止める勢力が日本に存在していなことにある。勿論、個人的には権力を批判し、民主主義を目指そうとしている人はいるが、如何せん、圧倒的な少数派だ。 マスコミに「権力の監視」を求める人もいるが、組織としては昔からプロパガンダ機関にすぎず、1980年代からは気骨ある記者の徹底的なパージが全マスコミで推進されてきた。そうした中、1987年10月に兵庫県西宮市にある朝日新聞阪神支局が襲撃され、小尻知博記者が死亡、犬飼兵衛記者が重傷を負っている。 1980年代の後半は日本を取り囲む政治経済的な環境が大きく変化した時期でもある。例えば、1985年にニューヨークのプラザ・ホテルで開かれたG5でドル安/円高が決められ、88年にBISが銀行は8%相当の自己資本を保有しなければならないと定め、89年に日米構造協議が始まると「ケイレツ」が問題になる。日本の製造業を支えていた優秀な中小企業群を潰しに掛かったのだ。 1990年に株価が暴落して証券スキャンダルが発覚、さらに銀行の不正融資が明らかにされる。銀行が何を行っていたかは曖昧なまま幕引きになったが、巨大企業や広域暴力団を巻き込む大規模なマネーロンダリングが行われていた可能性はきわめて高い。この後、銀行は経営状態が健全な中小企業も融資引き上げで潰していく。 CIAと関係が深いシンクタンクCSISは「日米21世紀委員会」を設置、1996年にメリーランド州で最初の会議を開き、98年に報告書を出している。強者総取りの新自由主義経済に基づいてい日本を作り替えるための委員会だった。その延長線上に「社会保障の切り捨て」と「消費税引き上げ/法人税引き下げ」はある。「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本政府への米国政府の年次改革要望書」が出され始めたのも同じ頃だという。そして小泉純一郎が登場してくる。 資金力、スポンサーや銀行との関係、政府や巨大企業に偏る情報源、支配層からの攻撃に対する恐怖などからマスコミはプロパガンダ機関への道を歩むことになるのだが、それだけでなく、より積極的にマスコミを操るプロジェクトも存在した。 例えば、第2次世界大戦が終わって3年ほどすると、アメリカでは情報操作を目的としたプロジェクトが始まっている。その中心にいたのはウォール街の弁護士で情報活動を指揮していたアレン・ダレス、やはりウォール街の弁護士でダレスの側近として破壊工作を担当していたフランク・ウィズナー、祖父が国際的な投資家だったリチャード・ヘルムズ、そしてワシントン・ポスト紙の社主だったフィリップ・グラハム。グラハムの妻、キャサリンの父親は世界銀行の初代総裁になるユージン・メイヤーだ。 CBSのウィリアム・ペイリー社長、TIME/LIFEを発行していたヘンリー・ルース、ニューヨーク・タイムズ紙の発行人だったアーサー・シュルツバーガー、クリスチャン・サイエンス・モニターの編集者だったジョセフ・ハリソン、フォーチュンやLIFEの発行人だったC・D・ジャクソンなどもプロジェクトに協力している。 1980年代に入ると米英両国のエリートはBAPというプロジェクトをはじめた。ロナルド・レーガン大統領の好戦的な政策に反発するイギリス人が増えたことを懸念、軌道修正させることが目的だった。このプロジェクトには多くのメディア関係者が参加している。 日本でもマスコミは強者総取りの経済政策や好戦的な外交政策を支持、ファシズム化の推進に協力している。テレビ、新聞、雑誌、出版・・・こうした業種に「左翼」などは存在しない。
2013.10.06
安倍晋三首相は10月3日、「特定秘密保護法案」を審議する「特別委員会」を衆議院に設置するよう指示したという。この日、日米両政府は「より力強い同盟とより大きな責任の共有に向けて」という共同文書を発表、その中で「情報保全の法的枠組みの構築における日本の真剣な取組を歓迎」するとしている。 情報が外部へ漏れないようにアメリカ政府は日本政府に求めているわけだが、そのアメリカは現在、エドワード・スノーデンの内部告発でNSA(アメリカの電子情報機関)が行ってきた民主主義に反する監視プロジェクトが露見、批判されている。基本的に1970年代から指摘されてきたことではあるが、最近の事例が具体的に明かされたことで理論的な推測から具体的な話に変化し、大きな問題になった。 支配層は自分たちに関する情報が漏れることを極度に恐れているが、その一方で庶民に関する膨大な情報を集めている。個人情報が支配層に漏れているのだ。 インターネットの利用者が犯罪から身を守るためには「秘密保護」は重要な要素。匿名性や通信内容の暗号化は安全のために必要なのだが、こうした仕組みを破壊しているのがNSAやGCHQ(イギリスの電子情報機関)などだ。最近明らかにされた情報では、接続経路を匿名化するTorというソフトウェアの利用者を特定し、そのコンピュータを攻撃していたことが明らかにされた。 スノーデンに限らず、内部告発で明らかにされる「秘密情報」は庶民に知られると困るという類いのもの。情報機関が狙っている情報ではない。第2次世界大戦の当時は日本の特務機関員として、戦後はOPCやCIAのエージェントとして活動した人物に言わせると、スパイ防止法のような法律は彼らには何の影響もない。こうした法律のターゲットは庶民。実際、スノーデンの内部告発で政府が慌てているのは、自分たちの悪事が露見してしまうからだ。 日本のマスコミは国や企業が集めた情報が漏れることを問題にするが、本当の問題は情報が集められていることにある。1970年代の後半になると不特定多数の個人情報を集めたうえで分析、保管するシステムが開発されていた。その中でも優秀だったPROMISを日本の法務総合研究所が注目していたことは本ブログでも何度か書いたこと。 21世紀に入ると、国防総省のDARPAは個人の学歴、銀行口座の内容、ATMの利用記録、投薬記録、運転免許証のデータ、航空券の購入記録、住宅ローンの支払い内容、電子メールに関する記録、インターネットでアクセスしたサイトに関する記録、クレジット・カードのデータなどあらゆるデータの収集と分析できるシステムを開発している。 PASMOやSUICAといったIC乗車券も個人の動きを追跡する道具になるが、GPSを搭載したスマートホンは追跡手段だけでなく、あらゆる個人情報を入手する道具として使うことができる。最近は指紋を認証に使う製品も売り出されたようだが、これは当局に指紋を盗られる可能性があることを意味している。 情報機関や治安機関が庶民を監視する最大の理由は、自分たちが奉仕している支配層の利益に反する行動をする人物を探し出し、弾圧することにある。例えば、FBIが1950年代に始めた「COINTELPRO」も、CIAが1967年に始めたMHケイアスも、戦争に反対する人物を監視することが目的だった。反戦/平和運動は支配層にとって「テロ行為」なのである。反体制派、人権擁護や環境運動の活動家、ジャーナリスト、学生指導者、少数派、労働運動の指導者、政敵も監視のターゲットになる。 情報と富が集まる場所に権力は存在するわけで、「特定秘密」を決める人びと、つまり官僚や政治家が強大な権力を握ることになる。そうした人びとを操るのがアメリカの支配層だ。富の問題では、消費税率の引き上げと法人税率の引き下げがセットで行われようとしている。庶民から搾り取り、大企業や富裕層へ富を集中させようという安倍政権の政策を象徴している。 共同文書の中には、「民主主義、法の支配、自由で開放的な市場及び人権の尊重という両国が共有する価値」があると書かれているのだが、これは妄想か悪い冗談。民主主義を否定し、法律を無視、人権などお構いなしに殺戮と破壊を繰り返しているのがアメリカであり、それに追随しているのが日本。そのアメリカでは、情報機関や国防総省と契約すると企業は情報を開示しないですむ。国民がチェックできないということだ。日本もそうした国にしたいのだろう。
2013.10.05
8月21日にダマスカス郊外、ゴータで化学兵器を使ったのはサウジアラビアがヨルダン経由で送り込んだ秘密工作チームだとする話をインターファックスが流している。この作戦はサウジアラビア系のイスラム武装勢力、リワ・アル・イスラムが支援したという。ロシア外交筋からの情報だというが、ここにきて反政府軍の内部対立が激しくなり、反サウジアラビア派から情報が伝えられているもようだ。 化学兵器の使用とサウジアラビアとを結びつけた記事は8月29日にミントプレスが伝えている。デイル・ガブラクとヤフヤ・アバブネの署名入りだったが、後にガブラクが自分と記事は無関係だと言い出す。 それに対し、編集長のムナル・ムハウェシュは、ガブラク自身が記事を28日に編集部へ持ち込んだと反論している。彼女は同僚のヤフヤ・アバブネがシリアへ入っているとしたうえで、反政府軍、その家族、ゴータの住民、医師をアバブネが取材した結果、サウジアラビアが反政府軍に化学兵器を提供し、それを反政府軍の戦闘員が誤って爆発させたと説明したという。しかも、その情報をガブラクは同僚やヨルダン政府の高官に尋ね、サウジアラビアが化学兵器を反政府軍へ渡していることを確認したと編集長に話していたとしている。 シリアの和平交渉を妨害する動きがあり、ロシア政府は腹に据えかねて刺激的な情報を流しているのかもしれない。 そのロシアは国連の調査チームより前に詳しい報告書を国連に提出している。が、国連はそれを公表していない。国連のチームはサリンが使われたかどうかを調べるだけだと潘基文事務総長は話しているが、それ以上のことを報告書に含めるなら、ロシアの報告書を無視できなくなるからだという可能性もある。 しかし、「西側」がサウジアラビアを指弾することは難しい。石油を握っているだけでなく、その背後にはイスラエルが存在しているからだが、そこをロシアは突き始めた。この両国は2001年9月11日の出来事でも名前が出てきただけに、大変な問題に発展する可能性もある。
2013.10.04
来年の春、アメリカ空軍が長距離無人偵察機のグローバル・ホーク2、3機を日本へ配備すると日米当局者は語ったようだ。グアムのアンダーセン空軍基地には配備済みだが、そこからだと距離がありすぎ、東アジアを偵察する場合、その活動内容が制約されてしまうからだという。 12月には新型の対潜哨戒機P-8(ポセイドン)も日本へ持ち込むほか、航空自衛隊の経ヶ岬分屯基地に新しい対弾道ミサイルのレーダー・システム(Xバンド・レーダー)を設置、来年中には稼働させるという。 グローバル・ホークは1万8000メートル以上の高度を28時間にわたって飛行でき、朝鮮の近くを飛行するという。現在の米中関係を考えると、中国を仮想敵だとするわけにはいかず、朝鮮を口実に利用しているだけのことだろう。勿論、尖閣諸島/釣魚台群島のための動きでもない。すでに現在の軍事力を維持するだけの体力がなくなっているアメリカとしては、「平和ボケ」の「戦争オタク」を操り、日本を利用できるだけ利用しようとしているだけだ。 アメリカと中国との関係を考える場合、忘れてならないのはフィリピンの買収。先住民を殲滅した後、アメリカはラテン・アメリカへ目を向ける。そうしたときに引き起こされたのが1898年の「メイン号」爆沈。アメリカの自作自演だった可能性が強いが、ともかくこれを口実にアメリカはスペインと戦争を始め、ラテン・アメリカを支配下に置いただけでなくフィリピンを手に入れたわけだ。 1923年には関東大震災の復興資金調達に協力するという形でアメリカ金融界に君臨していたJPモルガンが日本に大きな影響力を及ぼすようになり、日本は中国への侵略を本格化させていった。第2次世界大戦で日本は敗れるが、天皇制官僚システムは生き残り、本来なら戦争責任を問われるべき多くの人びとがアメリカの手先として戦後も活動することになる。(この辺の事情は以前、本ブログでも触れたことであり、より詳しくは別の機会に書きたい。) 日本が敗北すると、中国では国民党軍と紅軍(1947年3月に人民解放軍へ改称)が軍事衝突する。フランクリン・ルーズベルト亡き後のアメリカ政府は国民党軍を支援、資金や武器/兵器を提供するだけでなく、軍事顧問団も派遣したのだが、人びとに支持されたのは紅軍/人民解放軍で、1949年10月に中華人民共和国が成立する。 中国から撤退した情報機関員は1950年春になると朝鮮半島での秘密工作を開始する。現在は評判の悪い朝鮮だが、この当時は朝鮮軍へ投降する韓国軍の兵士も多く、金九のように朝鮮半島に統一国家を作ろうと考える政治家もいた。こうした動きを全て止めるための工作だ。 こうした工作もあり、38度線の付近では1日に何度も軍事衝突が起こるようになり、軍事的な緊張は極度に高まる。そして1950年6月25日に戦争が勃発したわけだ。 ジャーナリストのウィリアム・イングダールによると、「開戦」の2日前から韓国空軍は北側を空爆、地上軍は海州(ヘジュ)を占領している。また、ダグラス・マッカーサーに同行して日本にいた歴史家のジョン・ガンサーによると、半島からマッカーサーに入った最初の電話連絡は「韓国軍が北を攻撃した」というものだったという。 山岳地帯での戦闘に不慣れなアメリカ軍は劣勢になり、カーチス・ルメイは大規模な空爆を実施する。ルメイ自身の話では、3年間に人口の20%にあたる人を殺したという。地上での戦闘は旧日本軍の将校が顧問としてアドバイスして戦況を好転させたようだ。 朝鮮戦争の勃発にタイミングを合わせるようにして国民党軍がCIAの軍事顧問団とともに中国領内に侵入したが追い出され、翌年8月の中国侵攻も失敗に終わった。少なくともCIAは中国の体制転覆を目標にしていたということだ。 朝鮮戦争が休戦になると国民党軍は東南アジアへ移動、1954年1月にジョン・フォスター・ダレス国務長官はベトナムでのゲリラ戦を準備するようにNSC(国家安全保障会議)で提案、ベトナム戦争につながる。つまり、朝鮮戦争とベトナム戦争はひとつの流れの中で起こったことであり、そのターゲットは中国だった可能性が高い。1972年2月にリチャード・ニクソン大統領が中国を訪問、翌年の1月にアメリカとベトナムとの間で和平協定が成立したのは象徴的だ。 しかし、当時から現在に至るまで中国を制圧しようとする勢力はいる。例えば、2000年にネオコンのシンクタンク、PNACが出した『アメリカ国防の再構築』は東アジアで軍事的な緊張を高める政策を提唱、海兵隊のオスプレイもそうした戦略に必要だとしている。 1980年代の後半から90年代の前半にかけて日本ではネオコン派が影響力を強め、その関係がアメリカへも影響している可能性がある。経済的にアメリカと中国が深く結びついていることは確かだが、その一方で東アジアに戦乱を広げようとしている勢力も存在していることを忘れてはならないだろう。
2013.10.04
朝鮮半島の軍事的な緊張を高めようとしている勢力がアメリカ、日本、韓国に存在していることは本ブログで何度か指摘した。安倍晋三首相もそうした一派に属している。 9月25日にアメリカのハドソン研究所で演説した際、安倍首相は自分を右翼の軍国主義者と呼びたいなら呼べと開き直り、アメリカが主導的な役割を演じている地域、そして世界における安全保障の枠組みに対する日本のつながりが弱くなっていはいけないと語ったという。 アメリカが主導する安全保障の枠組みとは軍事侵略に外ならない。21世紀に入ってアメリカが中東/北アフリカで行っていることを見れば明らかであり、アル・カイダとも手を組むということになる。最近、安倍首相は「積極的平和主義」というフレーズを好んで使うようだが、アメリカとの関係を考えるなら、軍事力で相手を屈服させて「平和」を実現するということになる。安倍首相は「軍事侵略宣言」をしたのだ。 今年4月、自民党の石破茂幹事長はフジテレビ番組で自衛隊による敵基地攻撃能力の保有を検討すべきだと発言したという。そのころ朝鮮半島で軍事的な緊張が高まっていた。ただ、そうした緊張が最近になって急に高まったわけではない。 東アジアの軍事的な緊張を一気に高めることになったのは、OPLAN 5027-98の作成。1998年のことだ。金正日体制を倒して朝鮮を消滅させ、アメリカの傀儡が主導する新たな国を建設することを目指している。朝鮮側もこうした情報を入手していただろう。 この年の8月、朝鮮は太平洋に向かって「ロケット」を発射し、翌1999年の3月には海上自衛隊が能登半島の沖で「不審船」に対し、規定に違反して「海上警備行動」を実行している。この年には金体制が崩壊、あるいは第2次朝鮮戦争が勃発した場合に備える目的でCONPLAN 5029が検討され始め、日本も朝鮮戦争に備え、アメリカ軍が日本や太平洋地域に駐留することを認めたと言われている。 2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターにあった超高層ビル2棟に航空機が突入、ほぼ同時に国防総省の本部庁舎が攻撃され、それを切っ掛けにしてアメリカは20年近くかけて準備してきた「戒厳令」が始動、翌月にはアフガニスタンを攻撃、2003年3月にはイラクを先制攻撃する。 このイラク攻撃とほぼ同時に空母カール・ビンソンを含む艦隊が朝鮮半島の近くに派遣された。6機のステルス攻撃機F117が韓国に移動、グアムには24機のB1爆撃機とB52爆撃機が待機していたという。この年、核攻撃を想定したCONPLAN 8022を作成したとも言われている。 WikiLeaksが公表した文書がによると、2009年7月に韓国の玄仁沢統一相はカート・キャンベル米国務次官(当時)と会談、朝鮮の金正日総書記の健康状態は悪く、余命はあと3年から5年であり、息子の金正恩への継承が急ピッチで進んでいると説明している。 この会談で玄統一相は朝鮮が11月に話し合いへ復帰すると見通していたのだが、こうした流れを壊す動きが韓国側から出てくる。10月に韓国の艦艇が1日に10回も領海を侵犯、11月に両国は交戦、話し合いどころではなくなったのだ。 2010年9月には中国と日本との関係を悪化させる出来事が引き起こされる。尖閣諸島/釣魚台群島の付近で操業していた中国の漁船を海上保安庁が「日中漁業協定」を無視する形で取り締まり、その際に漁船が巡視船に衝突してきたとして船長を逮捕したのだ。 漁業協定に従うなら、日本と中国は自国の漁船を取締り、相手国漁船の問題は外交ルートでの注意喚起を行うことになっていた。このことは事件直後に自民党の河野太郎議員が指摘している。この協定を無視した海上保安庁は国土交通省の外局。事件当時の国土交通大臣は前原誠司で、その直後に外務大臣に就任している。 2011年3月8日になると、石原慎太郎都知事(当時)は日本も核兵器を作るべきだとインデペンデント紙のインタビューで語る。佐藤栄作政権が独自に核兵器の開発を続けていたならば、朝鮮による「拉致事件」も起こらなかったと主張する。もっとも、日本が今でも核兵器の開発をしているとアメリカの情報機関は確信しているようだが。 その翌日、三陸沖(北緯38.3度、東経143.3度)でM7.2の地震があり、11日にもきわめて近い場所(北緯38.0度、東経142.9度)でM9.0の巨大地震が発生、東電福島第一原発は破壊され、環境中に大量の放射性物質を放出し続けている。 この地震で緩和された日中間の緊張を再び強めたのが石原親子。まず2011年12月に石原伸晃がハドソン研究所で講演し、尖閣諸島を公的な管理下に置いて自衛隊を常駐させ、軍事予算を大きく増やすと発言、翌年の4月には石原慎太郎が「ヘリテージ財団」主催のシンポジウムで講演、尖閣諸島の魚釣島、北小島、南児島を東京都が買い取る意向を示している。ここから日中関係は急速に悪化した。 今年3月11日には米韓合同軍事演習が始まる。朝鮮軍部内の強硬派を鎮圧して情勢を安定させるという想定の演習だったようで、参加した韓国軍は10万人以上、アメリカ軍のB-2ステルス爆撃機が派遣され、F-22ステルス戦闘機がオサン(烏山)空軍基地に配置された。 今年8月28日、韓国の政界を揺るがす出来事が引き起こされる。情報/治安機関の国家情報院(NIS)は統合進歩党の李石基議員に対する家宅捜索を実施、後に逮捕、起訴したのだ。5月に開かれた党の会合で警察署や通信施設、石油施設などの破壊を話し合ったというが、統合進歩党のスポークスパーソンは容疑を事実無根だと主張、リークされた録音記録は、彼らの意図に合わせて歪曲され操作されたものだという。 統合進歩党側の説明では、朝鮮とアメリカとの対立が戦争に発展する可能性を懸念した李議員は「平和と統一をめざす我が統合進步党の党員たちはどのように対処していくか」という問題を語ったのだという。今年4月、朝鮮半島の軍事的な緊張が危険な段階に達していたことは確かだ。 もうひとつ指摘されているのは、昨年12月に行われた大統領選挙に対する批判。NISはセヌリ党を勝たせるために工作を実施したものの、最終的な得票率はセヌリ党の朴槿惠が51.6%、民主党統合党の文在寅が48.0%という僅差の勝負になった。今年に入るとNISに対する抗議活動が盛り上がり、8月10日にソウルで行われた集会には5万人が集まったという。そうした抗議活動に今回の逮捕劇が水を差したことは確かだろう。 日本では地検特捜部がNISのような役割を果たしてきたが、より効率的に弾圧できる機関の創設を安倍政権は狙っているのだろう。特定秘密保護法案もそうした弾圧の道具だ。
2013.10.03
中東には世界有数の核兵器保有国が存在する。言うまでもなくイスラエルだ。生物化学兵器も大量に保有していると考えられ、シリアが化学兵器を保有した一因になっている。シリアのバシャール・アル・アサド政権が化学兵器を破棄すると宣言した現在、国連にはイスラエルに「大量破壊兵器」の廃棄を求める義務があるのだが、そうした動きを阻止しているのが「西側」。要するに、欧米諸国は大量破壊兵器が問題だと思っているのではなく、イラクやリビアと同じように、シリアの体制も転覆させたいと考えているだけだ。 北アフリカから中東にかけての地域に戦乱を広めている主因は3つある。戦争ビジネスの思惑、イスラエルの戦略、エネルギー資源の利権問題だ。戦争ビジネスは単純に戦争を求めているだけだが、イスラエルの戦略やエネルギー資源の利権になると、地域の支配が問題になる。 イスラエルを作り上げたシオニストの中には、旧約聖書に書かれた「約束の地」、つまりナイル川とユーフラテス川に挟まれた地域をイスラエルの領土にしようと考えている勢力が存在する。イスラエルやパレスチナは勿論、エジプトの東部、ヨルダン、レバノン、シリア、イラクの大半、さらにクウェート、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、オマーン、イエメン、トルコの一部も含まれるという人もいる。 イスラエルはシリアの後、イランの体制を転覆させようとしているが、これはサウジアラビアも同様。シリアの反政府軍へ化学兵器を提供、あるいは「偽旗作戦」で化学兵器を使ったと疑われている2カ国だ。 イスラエルの思惑とは衝突するのだが、西はモーリタニアから東はアフガニスタンまでの地域を欧米諸国が分割統治するという話が2000年代に入ると流れはじめた。アメリカとイギリスを中心にするグループとフランスとドイツを中心とするグループでエネルギー資源の宝庫を分け合おうという計画だという。フランス/ドイツは地中海連合を考えているのだというが、そこにはイスラエルとトルコ、アメリカ/イギリスのグループに近い2カ国が食い込んでいる。 こうした計画と並行する形でアメリカは中東で戦争を始めている。2001年10月にアフガニスタンへ軍事侵攻、2003年3月にはイラクを先制攻撃した。9/11から間もない頃、国防総省はイラク、イラン、シリア、リビア、レバノン、ソマリア、スーダンを攻撃する計画を立て、その通りに実行してきた。 2007年にニューヨーカー誌に掲載されたシーモア・ハーシュの記事によると、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアは、シリアやイランをターゲットにした秘密工作をその時点で開始していたという。 この年、アメリカはアフリカ大陸を担当する統合軍、AFRICOMを創設した。軍事力でアフリカの資源を支配しようというわけだが、アフリカ諸国もそうした存在を拒否する。そこで司令部はドイツに置かれ、ジブチの基地が橋頭堡的な役割を果たすことになった。ジブチにはJCTF(統合連合機動部隊)が駐留している。AFRICOMを拒否した象徴的な存在がリビアのムアンマル・アル・カダフィ。カダフィを倒した後、「西側」はアフリカ大陸で活発に動き始めている。
2013.10.02
安倍晋三首相は消費税率を5%から8%へ引き上げるのだという。彼に言わせると「企業の景況感が改善」し、「経済指標が堅調」で税率を引き上げても大丈夫だというのだ。勿論、引き上げるために化粧をさせただけであり、単に安倍首相は消費税率を引き上げたいだけの話。 しかし、日本のマスコミは安倍晋三政権の経済政策、いわゆる「アベノミクス」を必死に宣伝している。スポンサーや融資を受けている銀行の意向には逆らえないのかもしれないが、それに対し、ロイターはもう少し冷静に伝えている:「安倍首相が昨年12月の就任以降に行ってきた刺激策をもってしても国内における民間セクター投資の退潮傾向にはほとんど歯止めが掛かっていない。逆に日本企業のアジア諸国における投資を驚くほど加速させている。」実際、日本の巨大企業は生産拠点を国外へ移してきた。 税金も含め、日本企業の社会に対する負担が軽いことは広く指摘されていること。そうした負担が原因で国外へ逃げているわけではない。構造的な問題がそこにはある。巨大企業本位の政策を推進してきた結果、庶民の購買力が極度に低下、市場としての魅力がなくなったのである。 そこへ持ってきて東電福島第一原発の事故。東北地方を中心に日本列島は放射性物質で汚染され、生態系への悪影響が出始めている。それだけでなく、太平洋の汚染も深刻で、北アメリカでも海洋汚染に対する懸念が強まっている。それでもまだ原発を稼働させるのだという。日本の前途は暗く、企業は日本に見切りをつけている。勿論、そうした事態を作り上げた自分たちの責任など、微塵も考えていない。 「強者総取り」をさらに強化することがアベノミクスの本質であり、庶民から巨大企業/富裕層への富の移動を促進させようということ。法人税率を下げ、消費税率を上げるのは象徴的だ。 巨大企業/富裕層に滞留した資金の一部は外国で生産への投資に使われるが、多くは投機市場へ流れていく。金融は肥大化し、経済は疲弊する。今後、TPPが締結されれば日本はアメリカの巨大資本に支配されることになるだろうが、勿論、端から彼らに日本を繁栄させようという気はなく、骨の髄まで吸い尽くすだけだ。
2013.10.01
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