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トルコとシリアを隔てる国境線の西側、NATOが大きな影響力を持ち、反シリア政府軍が拠点にしているインシルリク米空軍基地がある地域から物資がシリアへ運び込まれている実態をドイツのメディアが伝えた。物資の内容や行き先は明らかでなく、IS(イスラム国、ISIS、ISIL、IEILとも表記)への兵站線ではないか言われている。 しかし、ISの戦闘員がトルコからシリアへ入っていることは有名で、ジョー・バイデン米副大統領は10月2日、ハーバード大学で「多くの戦闘員がシリアへ越境攻撃することを許してISの強大化させたと後悔していた」と語っている。もっとも、トルコ政府が後悔しているようには見えず、ハイデンの「政治的配慮」だろう。人が出入りしているなら、物資が運ばれて当然だ。 こうした人や物資の動きをトルコで調べていたイランのテレビ局プレスTVの記者、セレナ・シムが10月19日に「交通事故」で死亡している。自動車でトルコからシリアへ向かっていた際、大型車と激突したのだというが、その前日、MIT(トルコの情報機関)から彼女はスパイ扱いされ、脅されていた。このジャーナリストの死を西側の政府やメディアが無視するのは都合が悪いからだろう。これまでのことを考えれば驚きでも何でもない。 トルコからシリアへISの戦闘員を運び込むためにWFP(世界食糧計画)やNGO(非政府組織)のトラックが利用されている事実を彼女はつかみ、それを裏付ける映像を入手したと言われているが、事故後、映像は行方不明になっているという。1980年代以降、アメリカ政府がNGOを秘密工作の隠れ蓑に使っていることは広く知られている話で、今回も同じことをしているのだろう。 シリアで政府軍と戦う武装集団の傭兵は多くの国からやって来ているが、そうした人の中にはチェチェンやウイグルから来た人も含まれている。 チェチェンの反ロシア勢力はグルジアのパンキシ渓谷を拠点にしているが、そこでCIAはチェチェン人をリクルート、訓練して戦闘員に育てている。その一部がシリアへ派遣され、ISの戦闘員として200名から1000名が戦っていると伝えられている。 ウイグル系の人びとは今年の夏に急増、新疆ウイグル自治区からカンボジアやインドネシアを経由、トルコの情報機関MITの手引きでシリアへ入るのだとされている。その後、戦闘員は中国へ戻ったりロシアへ移動して攻撃に参加する可能性が高い。 ISへはペルシャ湾岸の産油国から資金が出ていると言われているが、最近は油断地帯を押さえ、そこで石油を盗んで売りさばいて稼いでいるという。まずトルコのジェイハンへパイプラインで運び、そこからタンカーでイスラエルへ輸送、そこで偽造書類を受け取り、EUで売りさばくという仕組みだというのだ。販売を請け負っていると言われているARAMCOはSOCAL(スタンダード石油カリフォルニア)、テキサコ、スタンダード・オイル・オブ・ニュージャージー、ソコニー・バキューム(後のモービル)が出資して創設され、1976年にサウジアラビアが国有化。この会社はCIAとの関係が深いとも言われている。 本当にアメリカ/NATOがISを脅威だと考えているなら、NATO加盟国であるトルコにISの戦闘員やIS向け物資の移動、あるいは石油の輸送を止めさせ、アメリカの「友好国」であるサウジアラビアやカタールに資金の提供をやめるように求めれば良い。ISの戦闘員がいないような場所を空爆しても仕方がないのだ。イラクでアメリカ軍は「間違い」でISへ物資を投下することも難しくはないだろう。アメリカの支配層は日本や沖縄だけで碌でもないことをしているわけではない。
2014.11.30

日本もアメリカと同じ:「最良の奴隷は自分が奴隷だと気づいていない奴隷。」出典:Zero Hedge
2014.11.30
カタールにあるアメリカ空軍の基地で、アメリカ側の支援を受けながらFSA(自由シリア軍)など「穏健派」の戦闘員が訓練を受けていると伝えられている。カタールはサウジアラビアと同様、アメリカ/NATOの体制転覆プロジェクトに協力、アル・カイダ系の戦闘集団を支援してきた。「穏健派」という修飾語には何の意味もない。 本ブログでは何度も指摘しているが、シリアの反政府軍はアメリカ/NATOを後ろ盾とする侵略軍にすぎず、FSAもアル・ヌスラ(アル・カイダ系)もIS(イスラム国。ISIS、ISIL、IEILとも表記)も中身は一緒で、衣装を取り替えているだけのことだ。 2012年にはISの主要メンバーもヨルダン北部に設置された秘密基地でアメリカのCIAや特殊部隊から訓練を受けたと伝えられている。資金はやはりサウジアラビアやカタールから出ていたという。 カタールで訓練を受けている戦闘員はシリア政府とIS、両方と戦うとしているが、ISがアメリカ/NATOやペルシャ湾岸の産油国と敵対関係にあるとする主張には疑問がある。例えば、9月23日にアメリカ軍が空爆した際に破壊されたビルは蛻の殻だったとする報道もある。 当日、現地で取材していたCNNのアーワ・デイモンは翌日朝の放送で、ISの戦闘員は空爆の前に極秘情報を入手、攻撃の15から20日前に戦闘員は避難して住民の中に紛れ込んでいたと伝えているのだ。デイモンが上司に無断で事実を伝えたのか、あるいは単に口が滑ったのかは不明だが、話題になっている。 このISはイラクやシリアで破壊と虐殺を繰り返し、その残虐さを誇示しているのだが、ガザで破壊と殺戮を繰り返すイスラエル、富を王室など一部の特権階級が独占している腐敗したペルシャ湾岸の産油国をISが攻撃していない。これも奇妙な話だ。EUを刺激してアメリカ/NATOの軍事介入に賛成させるような雰囲気作りをしているので、アメリカで何らかの破壊活動をしないとは言えないが、不可解な点は多い。 そもそも、シリアの体制転覆プロジェクトは遅くとも1991年に始まっている。この年にアメリカ軍はイラクへ軍事侵攻、サダム・フセイン体制を倒さずに停戦した。この裏ではソ連からの圧力があったとも言われているが、アメリカのネオコン/シオニストはソ連軍が出てこなかったことに注目したとも言われている。 ウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官によると、ネオコン/シオニストのポール・ウォルフォウィッツ国防次官(当時)はシリア、イラン、イラクを5年か10年で殲滅すると語っていたという。2001年9月11日の攻撃から2カ月後、クラークは国防総省で7カ国、つまりイラク、シリア、レバノン、リビア、イラン、ソマリア、スーダンを攻撃するという話を聞いたと語っている。 2007年になると、調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュがニューヨーカー誌にアメリカ、イスラエル、サウジアラビアの3国同盟による秘密工作が始まったことを明らかにしている。シリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラがターゲット。その手駒としてアル・カイダが使われるのは必然だった。ちなみに、イラクではAQI(イラクのアル・カイダ)を中心にISの母体が2006年に編成されている。 ジョージ・W・ブッシュ政権は2003年にイラクを先制攻撃、11年にリビアとシリアで「民主化」を口実にした軍事蜂起が引き起こされた。2011年の春にはトルコにある米空軍インシルリク基地でアメリカの情報機関員や特殊部隊員、あるいはイギリスとフランスの特殊部隊員らが戦闘員を訓練し始めている。 リビアではアル・カイダ系のLIFGが地上軍の主力になり、NATOの空爆と連携してムアンマル・アル・カダフィ体制を倒し、その戦闘員は武器を携えてシリアへ移動していくのだが、シリアではNATOの空爆をロシアが阻止、反政府軍は外国からの侵略軍に過ぎないことからシリア国民に支持されなかった。そこで体制転覆は今でも実現していない。 そうした中、登場したのがISだ。イラクで活動していたアル・カイダ系の戦闘集団がシリアへも部隊を入れてきたのだ。ISのメンバーがヨルダン北部で軍事訓練を受けた2012年、アメリカではネオコン/シオニストのデイビッド・ペトレイアスCIA長官がスキャンダルで辞任、翌年には兵器産業ロッキード・マーチンの代理人とも言われるヒラリー・クリントン国務長官もホワイトハウスを去り、好戦的な雰囲気は弱まったとみられたのだが、こうした中、西側メディアは春と夏にシリア政府が化学兵器を使ったという宣伝を開始する。 しかし、この話は嘘だということが明らかになり、NATOの空爆は実現しなかった。ただ、NATOの攻撃が予想されていた9月3日に地中海の中央から東へ向かって2発のミサイルが発射されている。途中で海中に落ちたのだが、これはジャミングで落とされたのではないかとも言われている。 その間、2013年5月にダマスカスの近くで大きな爆発があった。イスラエルが攻撃したとする説が有力だが、このときに小型核爆弾、いわゆる「スーツケース爆弾」が使われたという噂がある。かつてはプルトニウム239の周囲をウラニウム238で囲むという仕組みだったが、最近はウラニウムを必要としなくなり、小型化が進んでいるという。イラクでも劣化ウラン弾では説明のできない放射性物質が発見されているようだ。
2014.11.30
よく「ペトロダラー(オイルダラー)」という用語が使われるが、これは産油国が石油の売却代金をドルで受け取り、それを西側の金融/投機市場へ還流させるという資金の流れを指している。ここにきて話題になっているのは、この流れに異変が見られるということ。 BNP(国立パリ銀行)の調査によると、2012年には2480億ドルのペトロダラーが金融市場へ流入していたのだが、13年には600億ドルへ減少、今年は76億ドルの流出。石油相場が下がり続ければ、産油国はさらに資金を金融市場から引き揚げることになる。 石油相場を下落させている主因のひとつはアメリカ政府の意向を受けてサウジアラビアが増産しているからだと言われている。石油輸出への依存度が高いロシアを締め上げることが目的だというが、一連の「ロシア制裁」はロシアと中国とを接近させる引き金になっただけでなく、世界的なドル離れも後押しすることになった。 そうした動きのひとつの結果が5月に結ばれた天然ガスの供給契約。11月には「西ルート(またはアルタイ・ルート)」の施設を使い、ロシアから中国へ天然ガスが提供されることが明らかになった。前者は年間380億立方メートル、後者は年間300億立方メートルの天然ガスをロシアから中国へ供給されるという大型契約である。 世界のエネルギー源は現在でも石油が中心だが、その産出国の中でロシアはサウジアラビアとアメリカに続く第3位。2020年までにアメリカがトップになるという見通しもあるのだが、これはシェール(堆積岩の一種である頁岩)層から天然ガスや石油を採取する手法である。 この手法はフラッキング(水圧破砕)。まずシェール層まで垂直に掘り下げ、層に到達したところで横へ掘り進み、「フラクチャリング液体」を流し込んで圧力をかけて割れ目(フラクチャー)を作り、砂粒を滑り込ませてガスやオイルを継続的に回収するというものだ。 このフラッキングは地震を誘発すると言われ、化学薬品を使うために環境汚染が問題になっているが、それだけでなくシェール・オイルの採掘予測が間違っている、あるいは嘘だという指摘がある。つまり、シェール・ガスやシェール・オイルの産出量は急減する可能性があり、しかも最近は石油相場が下落、コストの問題で採掘可能量の減少に拍車がかかるとも言われている。当分の間、サウジアラビアをはじめとするペルシャ湾岸の産油国やロシアが石油の供給元になるということになると見るべきだろう。 すでにアメリカは生産活動の分野が崩壊、社会システムは崩れ、「シェール・オイル幻想」も消えかかっている。危機的状況であるにもかかわらず、政治は「イスラエル第1」のネオコン/シオニストにコントロールされているのが実態。 このグループは中東/北アフリカでアル・カイダ系の武装集団、ウクライナでネオ・ナチを使って地域を不安定化させ、アメリカを軍事的に暴走させようとしている。その上で世界を制覇しようと目論んでいるのかもしれないが、こうした行為は人類の死滅を招きかねない。この狂気の目論見に直結しているのが集団的自衛権だ。 こうした中、常軌を逸する金融緩和を続けているのが日本。これで景気が回復すると宣伝しているが、この「理屈」はすでに否定されている。理論的にありえず、実際にそうしたことは起こっていない。勿論、この「景気」が一部の大企業や富裕層のカネ回りを意味しているなら正しいが、庶民の生活は破壊される。大企業や富裕層を豊かにする大きな要因は投機市場に対する刺激だ。 こうした政策を推進している安倍晋三首相と黒田東彦総裁を日本のマスコミは支えてきたが、国際的には「狂気のコンビ」とも呼ばれている。自国の経済を破壊しようと必死だからだ。金融緩和を進めれば資金は投機市場へ流れ込んで金融の世界が肥大化するだろうが、実体経済は好転させない。これは構造的な必然であり、消費税の税率引き上げと法人税率の引き下げは実体経済を破壊する。さらにGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も投機集団のカモとして提供されるようだ。こうした自殺行為を日本では官民挙げて推進している。
2014.11.28
8月9日、ミズーリ州ファーガソンでヨーロッパ系の警官、ダレン・ウィルソンは丸腰のアフリカ系男性、マイケル・ブラウンを射殺した。この場合、警官を正当化する要素はほとんどなく、抗議活動が起こったのは当然なのだが、すぐに重武装の警官隊が投入されて火に油を注ぐことになる。 このとき、警官隊は海兵隊のような装備で出動、装甲車やヘリコプターも投入され、その様子を取材していたワシントン・ポスト紙とハッフィントン・ポスト紙の記者が逮捕され、撮影の準備をしていたアル・ジャジーラの取材班は催涙ガスを投げつけられている。取材陣に対する恫喝だったことは確かだろう。 ここ十数年、アメリカは国外で軍事侵攻を繰り返す一方、国内では警察の軍事化が進められ、それが実際に始動したと言えるのだろう。そして11月24日に警官の不起訴が公表されるのだが、その1週間前には非常事態が宣言されていた。 ファーガソンの住民はアフリカ系が多数派だが、政治的には無力。日常的に警官から嫌がらせや不当な扱いを受けている。つまり人種差別。しかも、こうした行為の責任を警官は問われない。今回もそうした一例だ。 装備だけが軍隊化しているわけではなく、やることも軍事侵攻したイラクで行っているようなことをしはじめた。パレスチナ人を弾圧しているイスラエルのようになったと言う人もいる。ジョージア州ではSWATが午前3時に住宅へ押し入り、ベビーベッドの中に衝撃弾を投げ込んで爆発させ、赤ん坊は大けがをして人工呼吸器なしには生きられない状態になり、今後の生存確率は50%だという。 アメリカではFBIもCIAも昔から反戦/平和運動を敵視してきた。FBIは1950年代からCOINTELPRO、CIAは1960年代からMHケイアスという国民監視プロジェクトを実行していたが、2001年に制定された「愛国者法」によって令状なしの盗聴、家宅捜索、逮捕が可能になり、拷問も行われているようだ。警察の軍隊化もそうした流れの中で行われている。 このように警察を占領地に派遣された軍隊のようにしているアメリカ政府だが、今年2月にウクライナでネオ・ナチを中心とするクーデターが実行されたときには警官隊に対して事実上、無抵抗を強く要求していた。 その警官隊と衝突したグループはチェーン、ナイフ、棍棒を手に、石や火炎瓶を投げ、ブルドーザーなどを持ち出し、中にはピストルやライフルを撃っている。その際、警官や市民が狙撃されているのだが、スナイパーがアメリカ/NATOに支援された集団の中にいたことはエストニアのウルマス・パエト外相も認めている。(この件に関しては本ブログで何度も書いているので、今回は割愛する。) クーデター後、ネオ・ナチのグループはベルクト(警官隊)のメンバーを拉致、拷問、そして殺害しているのだが、中には目を潰された状態で発見されたケースもある。多くの隊員がロシアに保護を求め、東/南部でキエフ軍と戦っている元隊員もいるようだ。 こうしたウクライナの暴力集団を「民主化の活動家」であるかのように西側では宣伝しているが、アメリカで警官による市民殺害に抗議している人びとをアメリカ政府は「犯罪者」として扱っている。これがアメリカ流の「呪術」なのだろう。
2014.11.27

日本の国民はすでに「安倍晋三的政策」を否定する意思を示している。民主党が総議席の3分の2に迫る議席を獲得した2009年の総選挙だ。その結果を潰したのがマスコミと東京地検特捜部だった。 腐敗した自民党政権を変えたいという気持ちが小泉純一郎を首相に押し上げたが、この人物は日本をアメリカの巨大資本へ叩き売ろうとしただけ。自民党ではその流れを止められないということで、日本人としては清水の舞台から飛び降りる気持ちだったのだろう、民主党へ流れたわけだ。 そして誕生したのが鳩山由紀夫政権だが、この勝利における最大の功績者は小沢一郎だろう。小沢や鳩山もアメリカに従っている点では自民党と変わりないが、庶民の生活を破壊することには反対していた。そして始まるのがマスコミと東京地検特捜部の小沢攻撃。秘書が逮捕されたのに続き、土地取得の時期が2カ月ずれ、土地の代金支払いの時期が2カ月ずれていたという理由で小沢自身も「強制起訴」されている。 言いがかり、でっち上げの事件。検察でさえ小沢を不起訴にしたが、この決定を検察審査会がひっくり返したのだ。マスコミの雰囲気作りも影響したが、それ以上に検察審査システムの怪しさを浮かび上がらせる結果になった。審理の過程で虚偽の調書や捜査報告書が作成されていたことが判明している。 小沢議員に関する捜査を指揮していた人物は佐久間達哉東京地検特捜部長(当時)だという。駐米大使館の一等書記官を経験、原発に慎重な姿勢を見せていた福島県の佐藤栄佐久知事(当時)を事実上、でっち上げで葬り去っている。佐久間は駐米大使館の一等書記官を務めた経験があり、その時にアメリカ支配層とつながったと疑う人もいる。 その一方、鳩山攻撃も続いた。自民党政権ならありえない。しかも民主党の内部から鳩山を引きずり下ろそうとする動きが出てくる。そして菅直人と野田佳彦が首相に就任、自民党政権時代の流れに戻す。「社会保障の切り捨て」と「消費税引き上げ/法人税引き下げ」だ。ついでに野田は民主党を破壊する。それが2012年。そして安倍晋三の登場だ。 自民党政権や民主党の菅直人や野田佳彦が推進した政策はアメリカからきている。証券会社や金融機関がスキャンダルで揺れた後、1996年に「日米21世紀委員会」なるグループが編成されたのは象徴的だ。 ちなみに、この委員会の日本側メンバーは:名誉委員長:宮沢喜一元首相委 員 長:堺屋太一(後に経済企画庁長官)副 委員長:田中直毅委 員:土井定包(大和証券)、福川伸次(電通、元通産事務次官)、稲盛和夫(京セラ)、猪口邦子(上智大学教授、防衛問題懇談会委員)、小林陽太郎(富士ゼロックス)、中谷巌(竹中平蔵の『兄貴分」)、奥山雄材(第二電電、元郵政事務次官)、山本貞雄(京セラ・マルチメディア)、速水優(後に日銀総裁)顧 問:小島明(日本経済新聞) この委員会はCIAとの関係が深いシンクタンク、CSISのプロジェクト。1998年に発表された報告書には次のように謳われている:小さく権力が集中しない政府(巨大資本に政府を支配する体制。つまり国の破壊)均一タイプの税金導入(累進課税を否定、消費税の依存度を高めることになる)教育の全面的な規制緩和と自由化(公教育の破壊) そして登場したのが小泉だった。 集団的自衛権、特定秘密保護法、国家安全保障基本法、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)、消費税の税率引き上げ、法人税の税率引き下げ等々。安倍政権の政策とは、アメリカの侵略体制へ日本を組み込み、国民が自体を理解できないように情報を隠し、反対の声を封じ込め、国会や政府から政策を決定する権利を奪い、富を巨大資本や富裕層へ集中させるということだ。金融緩和が富裕層を富ませるだけだということはIMFでさえ認めているのだが、それを日本では推進している。 こうした政策はアメリカを中心とする西側支配層の基本方針であり、その基盤が新自由主義。EUはギリシャなど財政破綻した国々に緊縮財政を押しつけようとしてきたが、こうした政策を主張する人を「狂人」と呼んだ人物がいる。前のIMF専務理事、ドミニク・ストロス-カーンだ。アメリカにおける富の分配 この人物は2011年4月、ブルッキングス研究所で演説を行った。その中で失業や不平等は不安定の種をまき、市場経済を蝕むことになりかねないとし、その不平等を弱め、より公正な機会や資源の分配を保証するべきだとしている。進歩的な税制と結びついた強い社会的なセーフティ・ネットは市場が主導する不平等を和らげることができ、健康や教育への投資は決定的だと語っただけでなく、停滞する実質賃金などに関する団体交渉権も重要だとしている。 ストロス-カーンはアメリカの傀儡と見なされ、だからこそ出世したわけだが、こうした主張を聞いて強欲なアメリカの支配層は怒ったことだろう。ところで、彼は演説の翌月、アメリカで逮捕される。レイプ容疑だったが、限りなく冤罪に近いようだ。ストロス-カーンの後任がクリスティーヌ・ラガルドである。
2014.11.26
バラク・オバマ政権の国防長官は次で4人目ということになる。チャック・ヘイグ国防長官は国家安全保障問題担当補佐官のスーザン・ライス、その下にいるベン・ローズ、国連大使のサマンサ・パワーといった血まみれの好戦派と対立、追い出されることになったようだ。 ライスとパワーのほか、ウクライナでネオ・ナチと「オリガルヒ」を使ってクーデターを成功させ、東/南部でロシア語系の住民を虐殺、追放するプロジェクトを指揮しているビクトリア・ヌランド国務次官補という戦争好きの女性がオバマ政権にはいる。いわば「3人の魔女」。 このうち、ライスはユーゴスラビアを先制攻撃した際の国務長官、マデリーン・オルブライトと関係が深い。ライスの母親がブルッキングス研究所の研究員だったこともあり、彼女の自宅にはオルブライトが訪問、子どもの頃からライスと知り合いになっている。なお、ライスの父親はコーネル大学で経済学を教え、1979年には連邦準備制度理事会の理事に就任した経歴の持ち主。つまり、アメリカ支配層のために働いている。 このオルブライトはコロンビア大学でズビグネフ・ブレジンスキーに学んでいる。オルブライトはチョコスロバキア出身で父親は外交官、ブレジンスキーはポーランド出身で父親はやはり外交官だった。オバマ大統領自身、コロンビア大学でブレジンスキーに仕込まれたという。こうした人脈を考えると、オバマ大統領はブレジンスキーから大きな影響を受けている可能性が高く、ウクライナでクーデターを実行した理由もわかる。 ビル・クリントン政権で最初に国務長官を務めたウォーレン・クリストファーはユーゴスラビアへの先制攻撃に反対していたが、1997年にオブライトと交代させられている。今回、国務省から追い出されたヘイグはクリストファーに近い考え方の人物。ブレジンスキーがウクライナを重視したのはロシアを潰すためであり、ユーゴスラビアと同じこと、つまり軍事侵略すれば世界大戦の可能性が高まる。 オバマ政権で最初の国防長官、ロバート・ゲーツは前政権でも同じポストに座っていたが、ネオコン/シオニストとは一線を画している。1980年代にジェームズ・ベーカー国務長官がネオコン/シオニストと対立した際にはベーカーのグループに属していた。オバマ政権でベーカーが対立した相手はラーム・エマニュエル大統領首席補佐官。かつてイスラエル軍の軍人だった人物で、筋金入りのネオコン/シオニストだ。 このゲーツは自身の回顧録『任務』の中で、1991年の終わりにソ連が崩壊した際にリチャード・チェイニーは、ソ連やロシア帝国だけではなく、ロシアそのものが取り除かれるところを見たいと語っていたという。ジョージ・W・ブッシュ政権で軍事侵略は副大統領のチェイニーが主導していたようだが、その先にはロシアとの戦争があったということになる。(Robert M. Gates, “Duty,” Alfred A. Knopf, 2014) 現在、ウクライナで暴力を全面に出した工作を進めているのがヌランド。ヌランドが結婚した相手のロバート・ケーガンはネオコン/シオニストの大物であり、ウクライナで民族浄化を主導していると言われるドネプロペトロフスク州のイーゴリ・コロモイスキー知事はウクライナ、イスラエル、キプロスの三重国籍を持つ。この人物はネオコン/シオニストに近い。 一昨年終盤から昨年初めにかけてネオコン/シオニストに操られたデイビッド・ペトレイアスCIA長官と軍需産業ロッキード・マーチンの代理人と言われるヒラリー・クリントン国務長官がホワイトハウスを去った時点では好戦派の勢いが弱まったと見られていたが、ここにきて強烈な巻き返しを図っている。ブレジンスキーの好戦的な戦略から逃れられないオバマ大統領はそこをネオコン/シオニストにつけ込まれ、世界を破滅的な方向へ引きずっていこうとしている。高をくくっていると本当に人類は破滅しかねない。 アメリカは侵略国家というだけでなく、ナチズムを支持していることを認識する必要がある。子どもの頃に刷り込まれた「自由と民主主義の国」という幻影も事実を見れば自ずと消えていくだろうが、その単純なことをできない人が少なくない。
2014.11.25

チャック・ヘーゲル国防長官がバラク・オバマ大統領に辞表を提出したようだ。中間選挙で民主党が惨敗した後、好戦派の圧力に屈した形だ。オバマはコロンビア大学の時代からズビグネフ・ブレジンスキーの弟子になったと言われているが、ヘーゲルはジョー・バイデン米副大統領、レオン・パネッタ前国防長官と同じようにジェームズ・ベーカー元国務長官とリー・ハミルトン元下院外交委員長を中心とするグループに所属している。次の国防長官が誰になるかにもよるが、軍事力で世界制覇を目指すネオコン/シオニストにオバマ政権が押されている可能性は高い。 ネオコン/シオニストに担がれていたジョージ・W・ブッシュ大統領のイラクへの先制攻撃に反対するためにベーカー/ハミルトン・グループは編成された。ベーカーはロナルド・レーガン政権で国務長官を務めていた際にもイラク政策をめぐり、ネオコン/シオニストと対立している。 イスラム武装勢力を1970年代に編成し、そうした集団を自分たちの手駒として使うプロジェクトを始めたのはブレジンスキー。そのプロジェクトで戦闘員集めに協力したのがパキスタンの情報機関ISI、武器を提供し、軍事訓練を行ったのがアメリカのCIAや特殊部隊、資金を出したのがサウジアラビアをはじめとするペルシャ湾岸の産油国。アメリカの秘密工作に協力していたイスラエルも関係してくる。こうして訓練を受けた戦闘員のコンピュータ・ファイル(データベース)がアル・カイダ(アラビア語で「ベース」の意味)だということはロビン・クック元英外相も指摘している。 調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュが2007年にニューヨーカー誌に書いた記事によると、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアの三国同盟が手を組み、シリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラをターゲットにした秘密工作を始めたという。 この延長線上に「アラブの春」はあり、リビアでアル・カイダ系の武装集団はNATOの地上部隊として活動した。ムアンマル・アル・カダフィの排除に成功してから武器と少なからぬ戦闘員はシリアへ移動するが、その際に武器のデポとして使われたと言われているのがベンガジのアメリカ領事館だ。 こうした戦闘集団をシリアでは反政府派も侵略者と認識、バシャール・アル・アサド体制を倒すというネオコン/シオニストの目論見は成功しない。NATOの空爆を実現するために「化学兵器話」を西側の政府やメディアは宣伝するが、その嘘はロシア政府や独立系のジャーナリストによって暴かれてしまう。 3月の場合、成分を分析したロシアは「家内工業的な施設」で製造されたサリンだと主張、その結果は80ページの報告書にまとめられ、国連の潘基文事務総長に提出された。イスラエルのハーレツ紙は別の側面から西側のプロパガンダに疑問を投げかける。攻撃されたのがシリア政府軍の検問所であり、死亡したのはシリア軍の兵士だということが不自然だという指摘だ。国連独立調査委員会メンバーのカーラ・デル・ポンテも反政府軍が化学兵器を使用した疑いは濃厚だと発言している。 5月にマケインはトルコからシリアへ密入国しているが、その段取りをしたシリア緊急タスクフォースはイスラエルのロビー団体AIPAC系。その際、FSAのイドリス・サレム、アル・カイダ系アル・ヌスラの幹部であるモハマド・ヌール、後にIS(イスラム国。ISIS、ISIL、IEILとも表記)を率いるイブラヒム・アル・バドリ(別名、アブ・バクル・アル・バグダディ)と会っている。FSAもアル・カイダもISも中身は同じ。 夏にも化学兵器の使用を西側は宣伝したが、すぐにロシアのビタリー・チュルキン国連大使は、反シリア政府軍が支配しているドーマから2発のミサイルを発射、ゴータに着弾していることを示す文書や衛星写真を示したとジャーナリストがフェースブックに書き込んでいる。 その後、化学兵器とサウジアラビアを結びつける記事がミントプレスに掲載され、12月になると、調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュもこの問題に関する記事を発表、反政府軍がサリンの製造能力を持ち、実際に使った可能性があるとしている。国連の元兵器査察官のリチャード・ロイドとマサチューセッツ工科大学のセオドール・ポストル教授は化学兵器をシリア政府軍が発射したとするアメリカ政府の主張を否定する報告書を公表している。 イスラエルのマイケル・オーレン駐米大使もシリアに対するイスラエルの姿勢を明確に語っている。エルサレム・ポスト紙のインタビューで、イスラエルは最初からシリアの体制転覆を望み、アル・カイダを支援してシリアのバシャール・アル・アサド体制を倒そうとしてきたというのだ。 その間、攻撃が予想されていた昨年9月3日には地中海の中央から東へ向かって2発の弾道ミサイルが実際に発射され、このミサイル発射をロシアの早期警戒システムがすぐに探知している。2発とも海中に落ち、その直後にイスラエル国防省はアメリカと合同で行ったミサイル発射実験だと発表しているが、ジャミングなどで落とされたとも言われている。 昨年9月以降、オバマ政権はシリアへのアメリカ/NATOによる直接的な攻撃に消極的な姿勢を見せていたが、これに不満を抱いてきたのがネオコン/シオニストをはじめとする好戦派。そしてISが登場してくる。 そうした好戦派が主導権を握ったアメリカがISを使ってシリア、さらにロシアを攻撃、ウクライナではネオ・ナチを使った新たな軍事作戦をはじめる可能性は小さくない。集団的自衛権はこうした「アメリカの戦争」に荷担することを意味する。
2014.11.24

オランダ中央銀行によると、アメリカに預けている金塊のうち122.5トンをアムステルダムへ移動させ、オランダで保管する金塊は189.9トン、アメリカが同じく189.9トン、カナダ122.5トン、イギリス110.3トンになった。 1500トンの金塊を引き揚げようとしていたドイツの計画はアメリカに拒否され、2020年までにアメリカとフランスから合計674トンを引き揚げる計画を昨年1月に発表した。1年あたり84トン強になるが、昨年に取り戻せたのは37トン、そのうちアメリカからは5トンだけ。こうした状況のまま、ドイツは今年6月に引き揚げ計画を断念しているのだが、とりあえず122.5トンを渡すだけの余裕はアメリカにあったわけだ。 ドイツの引き揚げ断念はスイスの動きと関連しているとする説もある。11月30日にスイスでは住民投票が実施され、(1) スイス中央銀行は、国外に保管している全ての金準備をスイスへ持ち帰る、(2) スイス中央銀行の全資産の20%を金準備とする、(3) スイス中央銀行の金準備の売却を行わない、の是非が問われる。 金準備を全資産の20%まで引き上げるためには1500トンの金を5年以内に購入する必要があり、国外に保管されている金は2年以内にスイス国内へ引き揚げなければならなくなる。ドイツの引き揚げ計画を上回るインパクトだ。この住民投票で金の引き揚げへの賛成が増えないように、ドイツは引き揚げを断念した、あるいは断念するようにアメリカから強く要求された可能性がある。アメリカとしては報復、例えばスイスのタックスヘイブンとしての役割に対する攻撃を考えているかもしれない。 かつて、金はイギリスが支配していた。ボーア戦争(南アフリカ戦争)で金やダイヤモンドを産出する南アフリカを制圧したことによる。ウィンストン・チャーチルが台頭してくるのも、この戦争の時だ。 この利権で巨万の富と権力を握ったひとりがセシル・ローズであり、その後継者になるアルフレッド・ミルナーはRIIA(王立国際問題研究所)を創設する。アメリカで今でも大きな影響力を持つCFR(外交問題評議会)は当初、RIIAのアメリカ支部と見なされていた。 第1次世界大戦が終わった頃、南アフリカで算出される金はイギリス銀行を通じて売却されることになっていたため、結果として金取引をイギリスがコントロールできることになった。銀本位制でなく金本位制が広がった理由のひとつはイギリスの利害が関係している。 しかし、現在は金が「ペトロダラー」(石油取引をエンジンとしたドル体制)を揺るがす存在になりつつある。マレーシアの首相だったマハティール・ビン・モハマドは貿易決済に使う通貨として「金貨ディナール」を提唱、リビアのムアンマル・アル・カダフィも同じ方向へ進もうとしていた。金の保有量を増やし、自国で保管しようという動きもドルへの不審がある。 現在のドルは単なる印刷物にすぎず、為替取引は事実上、架空の「商品」を取り引きしているゲームにすぎない。ドルを印刷しているのはアメリカの市中銀行の出資する連邦準備銀行。この制度が成立したのはセオドア・ルーズベルト時代。 この政権は国家通貨委員会を設立し、委員長にネルソン・オルドリッチ上院議員(ジョン・ロックフェラーJrの義理の父で、モルガン財閥にも近い)を選んだ。オルドリッチはジキル島にあるモルガン財閥の別荘に巨大金融機関の代表を集めて秘密の会議を開き、連邦準備制度の青写真を作り上げている。そして1913年に連邦準備法が制定され、通貨政策を民間の銀行が支配する仕組みができあがった。 この不合理を是正するため、例えばジョン・F・ケネディ大統領は1963年6月に連邦準備制度の枠外で銀兌換紙幣を発行するように命令しているが、その5カ月後に大統領は暗殺され、命令は取り消されて市中に流通していた紙幣は回収された。大統領令が出された月にケネディはソ連との平和共存を訴える演説をアメリカン大学の卒業式で行っている。このふたつの出来事がアメリカ支配層を刺激したことは間違いない。 すでにロシアや中国を中心とするBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)やSCO(中国、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタン)がドル離れの動きを鮮明にし、中国はカタールとの間で元を使った通貨スワップを結んだと伝えられている。G20でのBRICS 中国とロシアのドル離れも石油/天然ガスの大型取引が絡んでいるが、ペトロダラーの本丸、ペルシャ湾岸の国が同じ方向に進み始めた意味は重く、アメリカが覇権を維持しようとするなら、本気でロシアや中国を潰さなければならない。そのためにはロシアと中国を離反させる必要があるのだが、それにしては中国を刺激しすぎた。
2014.11.24
ロシアが提出した決議が国連総会第3委員会で採択された。「ナチズム、ネオナチズム、人種差別、人種的区別、外国人嫌悪、関連した不寛容さの現代的形態を助長するその他の行為に対する賛美と闘う」という内容で、賛成115カ国、反対3カ国、棄権55カ国。反対したのはアメリカ、カナダ、そしてウクライナだけだ。 日本にも当てはまりそうな部分があるものの、この決議がウクライナを念頭においていることは明らかで、アメリカとウクライナが反対したことでロシアの目的は達成されたと言えるだろう。西側の政府やメディアが言うところの「民主化」の実態が「ナチス化」だということをロシアはこの決議で再確認しようとしている。日頃、アメリカの顔色をうかがっている西側の国々も内容が内容だけに反対はできず、大半は棄権した。日本も棄権。そうした中、アメリカに同調したカナダは無様だ。 戦前も戦後もアメリカの巨大資本は親ナチス。それを妨害していたのがフランクリン・ルーズベルト大統領だったが、ドイツ降伏の直前、執務中に急死してしまう。それ以降、アメリカ政府はナチスの幹部たちを救い出して保護、雇い入れている。その延長線上にアメリカのファシズム化がある。 ルーズベルトが大統領選ではじめて勝利したのは1932年。それにショックを受けたJPモルガンなどウォール街の住人がクーデターを計画したことはスメドリー・バトラー少将らの議会証言に残っているが、そのJPモルガンは関東大震災以降の日本に大きな影響力を持っていた。JPモルガンの代理人で駐日大使を務め、戦後はジャパンロビーの中心的存在として日本を「右旋回」させたジョセフ・グルーは日本の皇室にも太いパイプを持つ存在。戦後、ホワイトハウスは天皇と直に交渉しているが、その下地はここにある。 アメリカの支配層が撒き散らす嘘、幻影、例えば「アラブの春」やウクライナの「民主化」を信じたふりをしている人物は何を自称していようと、結果としてナチズム、ファシズムを支持していることになる。
2014.11.22
ジョー・バイデン米副大統領がキエフへ乗り込み、11月21日にはロシアのウクライナ情勢への対応を「受け入れがたい」と批判、9月の停戦合意を守るべきだと発言したようだ。バイデンの後、キエフへは武器が空輸されると見られている。つまり戦争を再開するという宣言だ。 副大統領の尻を叩くためなのか、バイデンの息子はウクライナ最大の天然ガス会社ブリスマの重役になっている。地下に資源が眠る東/南部から住民を排除しなければカネにならない立場だ。 アメリカ/NATOがウクライナ制圧を狙う理由はエネルギー源の支配以外にもある。ズビグネフ・ブレジンスキーの戦略では、ポーランドからウクライナを押さえてロシアを占領することになっている。「唯一の超大国」アメリカの世界支配だ。 そのため、2004年から05年にかけて実行されたのが「オレンジ革命」。この革命は投機家のジョージ・ソロスが黒幕として暗躍、ボリス・エリツィン時代のロシアで不公正な手段を使って巨万の富を築いたボリス・ベレゾフスキーもスポンサーのひとりだった。 ところが、その実態が明らかになると人心は離反し、クーデターが計画される。その中心にいたのがビクトリア・ヌランド国務次官補。ネオコンの大物、ロバート・ケーガンと結婚した女性だ。 そして今年2月にクーデターを成功させる。その際、最前線で戦っていたのがネオ・ナチのグループ。その背後にはアメリカ/NATOが存在していた。当然、憲法の規定は無視しての出現だ。 西側に支持されたその政権は爆撃で住宅を破壊、住民を虐殺するために白リン弾やクラスター爆弾を使っている。それがアメリカ/NATOが後ろ盾になっているキエフ政権の実態であり、アメリカに従属している日本では政府やマスコミだけでなく、「リベラル派」や「革新勢力」も虐殺を見て見ぬ振り。 民族浄化のために侵攻してきた部隊を住民が支持するはずはなく、正規軍の兵士も士気があがらない。虐殺の主力はアメリカ/NATOの訓練を受けてきたネオ・ナチだったが、壊滅的な敗北を喫し、キエフ政権は停戦を受け入れた。 そこで、停戦合意の直後からキエフ側は新たな軍事作戦を準備する時間稼ぎのために停戦したにすぎず、「和平プロセス」を尊重する意思がないと指摘されていた。しかも現場のネオ・ナチ部隊は停戦合意を意思はなく、攻撃を続けている。当然、アメリカ/NATOは態勢の立て直しを図り、武器を供給して次の戦闘へ準備を始める。 ウクライナにとってバイデンは死に神。前回、バイデンがキエフに乗り込んだのは4月22日だが、それから間もなくしてオデッサの虐殺があった。 バイデンがキエフ入りする2日前にはニューヨーク・タイムズ紙が東/南部におけるロシア軍の活動を示す証拠写真なるものを掲載した。シリアで偽情報を平然と流していたあのBBCにまで批判されるような怪しげな代物。イラクを先制攻撃する前、同紙のジュディス・ミラー記者は侵略を正当化するために偽情報を流していたが、同じことをしたわけである。 その写真は解像度が悪く見にくいのだが、鮮明な写真も存在していた。新聞社の人間なのか写真を新聞社に提供した人物なのかは不明だが、何者かが解像度を下げ、それを掲載したわけだ。その人物はロシアを「悪魔化」するため、意図的に行ったことは間違いないだろう。実は、今回もロシア軍がウクライナで活動しているとキエフ政権は主張、それを西側メディアは垂れ流している。 ウクライナの東/南部での民族浄化はドニエプロペトロフスクのイゴール・コロモイスキー知事が黒幕だと言われている。ウクライナ、イスラエル、キプロスの三重国籍を持つ「オリガルヒ」で、生活の拠点はスイスのジュネーブ。「私兵」を組織、オデッサでの虐殺も彼が主導的な役割を果たしたとされている。 このオリガルヒの周辺にはネオ・ナチの人脈が存在、その背後にはアメリカ/NATOが控えている。その影響をペトロ・ポロシェンコ大統領も受け、住民虐殺を公然と主張するようになった。11月13日に大統領はオデッサTVで東/南部に住み、ネオ・ナチのクーデターを拒否している人びとについて次のように演説している: 「我々には仕事があるが、奴らにはない。我々には年金があるが、奴らにはない。我々は子どもや人民や定年退職者の面倒をみるが、奴らは面倒をみない。我々の子どもは学校や幼稚園へ通うが、奴らの子どもは地下室に隠れるだけだ。奴らには何もできないからだ。こうやって我々はこの戦争に勝つのだ。」 4月22日にバイデン副大統領がウクライナを訪問したときにはキエフでオデッサでの虐殺計画に関する会議が開かれている。議長はアレクサンドル・トゥルチノフ大統領代行が務め、ネオ・ナチを統括しているアンドレイ・パルビー国家安全保障国防会議議長代行、アルセン・アバコフ内相、バレンティン・ナリバイチェンコSBU長官、そしてコロモイスキー知事もオブザーバーとして同席していた。なお、SBUはウクライナの治安機関だ。 オデッサの虐殺は5月2日に実行されたが、その数日前に数十着の防弾チョッキをパルビーはオデッサのネオ・ナチへ運び、その装具を受け取ったミコラ・ボルコフは虐殺の当日、労働組合会館へ向かって銃を発射している。彼が状況を何者かに報告する様子が映像に記録されている。 虐殺の幕は午前8時に「サッカー・ファン」を乗せた列車が到着して開いた。フーリガンやネオ・ナチを誘導し、住民を虐殺する状況を作り上げる上で重要な役割を果たした集団は赤いテープを腕に巻いていたのだが、その集団は「NATOの秘密部隊」ではないかと疑われているUNA-UNSOだという。こうした暴力集団が警官隊の後ろから投石や銃撃を繰り返している映像もある。 キエフが手配した暴力集団は女性や子どもを労働組合会館へ誘導し、そこで住民を虐殺している。多くの人が地下室で惨殺され、総数は120名から130名だと住民は証言している。メディアは犠牲者数を50名弱と伝えていたが、これは上の階へ逃げようとした人びと。この人たちもネオ・ナチは惨殺、放火した。一部の住民は焼き殺されている。 この出来事をロシア政府は徹底的に調査するように求めたが、キエフ政権は勿論、西側の「民主主義国」も拒否している。マレーシア航空17便の撃墜に関する調査を曖昧にしているのと同じ態度だ。この件も例によって日本を含む西側では、政府やマスコミだけでなく「リベラル派」や「革新勢力」も見て見ぬ振りだ。 アメリカ/NATOに話し合いで解決する意思がないことはヌランド次官補の発言が示している。話し合いで解決しよという「EUなんかくそくらえ(F*ck the EU)」というわけだ。
2014.11.22
安倍晋三政権は消費税率を引き上げて庶民の生活にダメージを与え、その一方で法人税を引き下げようと必死な一方、金融緩和で投機市場を支えて巨大企業や富裕層のカネ儲けに協力、「国土強靱化」と称して国土を破壊、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)で国の主権を巨大資本へ贈呈しようとし、集団的自衛権でアメリカのために戦費と戦闘員を提供しようとしている。こうした悪臭を放つ政策を売り込む上で重要な役割を果たしているのがマスコミ。何度も書いていることだが、マスコミに「右」も「左」もない。 日本では昔から立身出生の象徴として、朝鮮半島を侵略して破壊と殺戮の記録を日本列島の外に刻んだ豊臣秀吉がもてはやされてきた。「勝てば官軍」ということも言われる。何をしても勝てば良いだろうと考えている人が少なくないのだろう。勝てると思えば何でもやるということだ。 日本には「アングロ・サクソンは強い」という信仰の持ち主が少なくないようだ。つまり、その強い米英に付き従っていれば自分も勝者になれ、何をしても許されるという思考。「日米同盟」、つまり日本をアメリカの属国にするという方針を絶対視するエリートたちの考え方につながる。 その米英は現在、世界制覇を目指してロシアと戦っている。ソ連の消滅時にボリス・エリツィンを使ってクーデターを実行、自分たちの属国にしたつもりだったようだが、ウラジミル・プーチンはロシアを自立させてしまった。かつてズビグネフ・ブレジンスキーはロシア支配のカギはウクライナが握っていると考えていたようだが、そのウクライナでアメリカは今年2月、ネオ・ナチを使ってクーデターを実行している。 中東/北アフリカでアメリカはイラクに続き、アル・カイダを使ってリビアのムアンマル・アル・カダフィを排除し、シリアのバシャール・アル・アサド体制を倒そうとしている。欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)で最高司令官を務めたウェズリー・クラークによると、国防次官だったポール・ウォルフォウィッツは1991年の段階でシリア、イラン、イラクを殲滅すると話していたが、そのプラン通りに動いている。 その翌年、ウォルフォウィッツをはじめとするネオコン/シオニスト人脈は国防総省の内部でDPG(国防計画指針)の草案を作成した。潜在的なライバルを潰し、資源を押さえてアメリカの支配する新しい世界秩序を築こうというビジョンを描いていた。これがいわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」だ。 中東/北アフリカでの制圧作戦を現場で指揮してきたのはジョン・マケイン上院議員。2011年2月4日にNATOが開いた会議で「アラブの春」はスタート、議長を務めていたのがマケインだとされている。そして16日にアル・カイダ系のLIFGがベンガジで抗議活動を始めた。 22日にはレバノンでマケインは「未来運動」のメンバーと会っているが、この運動はサード・ハリリを中心とするグループが2006年に結成したもので、武装組織も含まれている。そのスポンサーがデイビッド・ウェルチ米国務省次官補(当時)を黒幕とする「ウェルチ・クラブ」だとされている。 2013年にマケインはトルコからシリアへ密入国、その段取りをしたシリア緊急タスクフォースはイスラエルのロビー団体AIPAC系だ。その際、FSAのイドリス・サレム、アル・カイダ系アル・ヌスラの幹部であるモハマド・ヌール、後にIS(イスラム国。ISIS、ISIL、IEILとも表記)を率いるイブラヒム・アル・バドリ(別名、アブ・バクル・アル・バグダディ)と会った。その翌年、つまり今年、アメリカ議会は秘密会議を開き、アル・ヌスラとISへ資金援助することを認めたとも言われている。 長い間、アル・カイダを動かしてきたのはバンダル・ビン・スルタン王子。1983年から2005年までは駐米大使、12年から今年4月までは総合情報庁の長官、現在は国家安全保障問題担当の顧問を務めている人物だが、ISを指揮しているのはアブドゥル・ラーマン・アル・ファイサル王子。 アメリカとサウジアラビアはイスラエルとともに中東/北アフリカで戦っている。調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュによると、ニューヨーカー誌の2007年3月5日号でこの3カ国がシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラに対する秘密工作を始めた。 そのサウジアラビアは現在、石油相場を急落させ、ロシアやイランにプレッシャーをかけている。ロシアにクリミアを押さえられた時点で投機家のジョージ・ソロスは石油相場を引き下げてロシアに報復するべきだと発言、6月から相場は下がった。9月の初めにアメリカのジョン・ケリー国務長官とサウジアラビアのアブドラ国王が紅海の近くで会談してからは急落している。1985年ソ連経済を攻撃したのと同じ手口だ。 ロシアはウクライナを迂回するルートを建設する計画を立てていたが、資金面で締め上げることでこの計画を挫折させようとしたのだろう。ところがロシアは中国との大型契約を発表、ロシアと中国との接近を印象づけた。中国をコントロールしているつもりだったアメリカはショックを受けたようだが、軍事的に中国を囲い込もうとしている国を信じろという方が無理だ。 しかも、この2カ国を中心にドル離れを始めている。石油をドルで売り、そのドルが投機市場へ流れるというサイクルが収縮する流れになったということ。その替わりなのか、アメリカの財務省証券を連邦準備銀行と日本が買っているようだ。 また、アメリカ政府はシェール・ガスやシェール・オイルを盛んに宣伝してきた。この採掘はフラッキング(水圧破砕)が使われる。これによる環境破壊が問題になっているが、原油相場の急落でビジネス自体が成り立たなくなりそうだ。そうなると中東/北アフリカの資源を軍事的に支配する必要性が高まる。 ウクライナをめぐってはロシアを屈服させることに失敗したアメリカ/NATOが武器をキエフ政権へ提供し始め、本格的な戦闘の準備と見られている。ISへの空爆は北上してロシアに対する軍事的な圧力を強めるように即しているのだという見方もある。何しろISはアメリカ、イスラエル、サウジアラビアが作り、恐らく今でも操っている武装集団。世界を戦乱へ導いている元凶はアメリカ。そのアメリカを日本では今でも「民主主義」の国だと主張する人がいるが、本音では「勝てば官軍」だと思っているだけのような気もする。
2014.11.22
総選挙を決断した安倍晋三。一見「右翼」に見えるが、実際はウォール街の支配者たちの命令に従い、アメリカの戦争に協力し、日本の巨大企業や富裕層を豊かにしようとしているだけのこと。彼が「回帰」したがっている戦前もJPモルガンをはじめとするウォール街の影響下にあった。このことは本ブログで何度か書いた通りだ。安倍に限らず、日本政府の政策はアメリカ支配層の戦略を知ることなしに理解することはできない。 こうした日米構図が崩れたのは1933年から45年4月まで、つまりフランクリン・ルーズベルトが大統領だった時期だけだ。1933年にはJPモルガンを中心とする勢力がファシズム体制を目指したクーデターを計画していたとスメドリー・バトラー少将やジャーナリストが議会で証言している。ちなみに、日本が「満州国」なる傀儡国家をでっち上げたのは1932年のことだ。 少し前、控えめで穏やかに話すアメリカの言うことを聞く人はいないとコンドリーサ・ライス元国務長官はFOXニュースのインタビューで語っている。暴力で脅さなければ誰もアメリカに従わないということだが、日本は例外らしい。 通常、暴力で脅す前に買収を図る。これは政治家や官僚だけでなく、メディアの人間も同じだ。ドイツの有力紙、フランクフルター・アルゲマイネ紙(FAZ)の元編集者でヘルムート・コール首相の顧問を務めた経験もあるウド・ウルフコテによると、ドイツだけでなく多くの国のジャーナリストがCIAに買収され、例えば、人びとがロシアに敵意を持つように誘導するプロパガンダを展開している。 そうした仕組みを作り挙げるため、アメリカの支配層はドイツの有力な新聞、雑誌、ラジオ、テレビのジャーナリストを顎足つきでアメリカに招待、取り込んでいく。そうして築かれた「交友関係」を通じてジャーナリストは洗脳されるわけだ。日本にも「鼻薬」を嗅がされたマスコミ社員は少なくないと言われている。 こうした買収工作は1970年代にカール・バーンスタインがローリング・ストーン誌で明らかにしている。言うまでもなく、バーンスタインはウォーターゲート事件を調べたワシントン・ポスト紙の記者。彼によると、CIAに雇われているジャーナリストは400名以上で、大手メディアの大半が協力関係にあることも具体的に指摘している。(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977) 関東大震災以降、日本はJPモルガンの影響下にあったが、ナチス時代のドイツへも多額の資金がウォール街から流れていたことがわかっている。そうしたこともあり、第2次世界大戦が勃発した段階で「日本・アングロ(米英)・ファシスト同盟」を結成してソ連と戦おうという案があったとされている。(Anthony Cave Brown, ““C”: The Secret Life of Sir Stewart Graham Menzies”, Macmillan, 1988) ウィンストン・チャーチルは首相時代、1945年5月にドイツが降伏するとJPS(合同作戦本部)に対し、ソ連に軍事侵攻するための作戦を立案するように命令している。「アンシンカブル作戦」だが、それによると、7月初頭に数十万人の米英軍が再武装したドイツ軍約10万人を伴って奇襲攻撃することになっていた。実行されなかったのは、参謀本部が計画を拒否したため。 その直後にチャーチルは首相を辞任するが、1946年にはアメリカで「鉄のカーテン」演説を行って冷戦の幕開けを宣言、イギリスのデイリー・メール紙によると、彼は1947年にアメリカのスタイルス・ブリッジス上院議員と会い、ソ連を核攻撃するようハリー・トルーマン大統領を説得して欲しいと頼んでいたという。 1980年代に入ってアメリカでは「クーデター」が始まっている。本ブログでは何度か取り上げたCOGがその中核にある。一種の戒厳令プロジェクトで、1982年に核戦争への準備としてスタート、88年には対象が「国家安全保障上の緊急事態」に変化し、2001年9月11日に始動するわけだ。「愛国者法」は19年をかけて作成された法律だということになる。 その間、1991年にソ連が消滅した。そこでアメリカ支配層の一角を占めるネオコン/シオニストはアメリカが「唯一の超大国」になったと認識、潜在的なライバルを潰すという方針を打ち出す。そして作成されたのがDPG(国防計画指針)の草案。国防次官だったポール・ウォルフォウィッツを中心に書き上げられたことから「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。 このウォルフォウィッツはシリア、イラン、イラクを殲滅すると1991年に語っていたという。これはウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官の話。湾岸戦争でジョージ・H・W・ブッシュ大統領がイラクからサダム・フセインを排除する前に停戦したことにネオコンは怒り、この発言につながった。 アングロ・サクソンの一部は単にソ連を倒したかっただけでないことをロバート・ゲーツ元国防長官の回顧録『任務』が示唆している。それによると、1991年の終わりにソ連が崩壊した際、チェイニーは次のように言ったという。ソ連や帝政ロシアだけではなく、ロシアそのものが取り除かれるところを見たいと語っていた。そうすれば、残りの世界への脅威には2度とならないということだったという。(Robert M. Gates, “Duty,” Alfred A. Knopf, 2014)つまり、自分たちの言いなりにならない、脅しに屈しないのはロシアだけだとチェイニーは考えているのだろう。 第1次世界大戦の最中、1917年3月に帝政ロシアは革命(二月革命、または三月革命)で倒されているが、その時に樹立された臨時革命政権の中枢は産業資本家。この政権に反対していた勢力からはイギリスの傀儡と言われていた。 このとき、ウラジミール・レーニンやレフ・トロツキーといったボルシェビキ(ロシア社会民主労働党の一分派)の幹部は亡命中か、刑務所の中。イギリス政府はレーニンやトロツキーを嫌っていたが、逆に目をつけたのがドイツ。戦争に反対していたこともあり、ボルシェビキの幹部が帰国するのを助けている。 そして11月の革命でボルシェビキは資本家の政権を倒した。このふたつの革命は全くの別物なわけだが、混同した「解説」を目にすることが少なくない。それではチャーチルやアメリカの好戦派がソ連を倒そうとした理由は理解できないだろう。こうした反ソ連/ロシア勢力にとってナチスは大戦中から同盟者であり、ウクライナでその末裔を利用しているのは必然だ。
2014.11.20

1990年代の後半から日本の実質賃金は下がり続け、その一方で巨大企業は大儲け、一部の富裕層は資産を膨らませている。庶民から搾り取った富を巨大企業や富裕層へ移動させているのだ。そうした政策を安倍晋三政権も推進、法人税の税率を引き下げるのと並行して消費税の税率を5%から8%へ引き上げ、2017年には10%にすると宣言している。 こうした搾取の仕組みを誤魔化すために考えられた言い訳が「トリクルダウン」。富裕層を豊かにすれば庶民もお零れにあずかれるというのだが、富裕層が聖人君子であるわけでもなく、単なる戯言。実際、そんなことが起こったためしはない。 マスコミが宣伝に使う「実効税率」のインチキは以前から専門家に指摘されてきた。これは法人税、法人住民税、法人事業税を合計した法律の定める税率なのだが、実際の納税額を反映した数値ではない。そこで中央大学の富田幸雄名誉教授は個別企業の利潤に対する実際の納税額の負担割合を試算、本ブログでも紹介したように、その低さを明らかにしている。(富岡幸雄著『税金を払わない巨大企業』文藝春秋、2014年) 今から10年前、神奈川県総務部税制企画担当課長だった井立雅之は法人所得課税だけでなく、企業課税、法人が負担する不動産課税、そして社会保険料の事業主負担を加えた総額の対GDP比を国際比較している。2004年では次にようになっていた:A【法人所得課税】日:3.8、米:2.2、英:2.9、独:1.6、伊:2.8、仏:2.8B【A、地方事業課税等、不動産課税、社会保険料負担】日:9.4、米:7.2、英:8.3、独:9.2、伊:14.3、仏:15.8C【B、民間医療保険負担】日:9.4、米:11.2、英:8.3、独:9.2、伊:14.3、仏:15.8 巨大企業や富裕層の社会に対する負担を軽くする政策は1970年代の後半から本格化、その理屈に使われたのが「新自由主義」、つまりフリードリッヒ・ハイエクやミルトン・フリードマンの「経済アナーキズム」だ。 軍事クーデターで登場したチリのオーグスト・ピノチェトから始まり、イギリスのマーガレット・サッチャー首相、アメリカのロナルド・レーガン大統領、西ドイツのヘルムート・コール首相、そして日本の中曽根康弘首相らが導入、1980年代には中国、90年代にはロシアへも伝染した。 こうした人脈が導入を図っているTPPでも明らかなように、彼らは国を巨大資本の支配下に置こうとしている。世界をボリス・エリツィン時代のロシアのようにしようとしている。自分たちを規制する存在を破壊したいのだ。 アメリカの巨大資本は第1次世界大戦の前から国を資本の下に置く仕組みを作り始めている。大きな節目は1913年の連邦準備制度導入。こうした流れに逆らうフランクリン・ルーズベルトが1932年の大統領選挙で当選すると、JPモルガンなどはクーデターを計画したとスメドリー・バトラー少将は議会で告発している。ルーズベルトも自由に政策を決定できたわけではないが、それでも巨大企業の活動を制限、労働者の権利を認める仕組みをある程度は作った。 しかし、1945年4月にルーズベルトが急死するとウォール街の反撃が始まり、巨大企業は活動の自由を取り戻し、労働者から権利は剥奪されてきた。その最終段階で現れたのが新自由主義であり、日本では非正規雇用が常態化してきた。 戦後、アメリカではOSSを引き継ぐ形でCIAなど情報機関が設置されたが、その幹部はウォール街の弁護士やエリート大学の卒業生。例えば、OSSの長官だったウィリアム・ドノバン、CIAに君臨したアレン・ダレス、破壊(テロ)活動を行い、CIAの秘密工作部門になるOPCを指揮していたフランク・ウィズナーなどもウォール街の弁護士だ。 CIAをはじめとする情報機関は「安全保障」を口実にして議会の監視を免れ、政府でさえ活動の内容を把握できていない。つまり国家の管理下にない。こうした組織を使い、巨大資本は国家を操作してきたのだが、1970年代の前半にフランク・チャーチ上院議員らが情報機関の違法活動にメスを入れると、議員を抱き込む一方、「民営化」を進めて監視を免れてきた。 NSA(アメリカの電子情報機関)がプライバシー、インターネットの自由、人間の基本的自由を破壊していると内部告発したエドワード・スノーデンはブーズ・アレン・ハミルトンに務めていたが、この会社も情報機関と密接な関係にある「民間企業」だ。 こうした情報機関と民間企業のネットワークは巨大資本を背景とし、選挙を背景とする政府や議会を凌ぐ力を今では持っている。その力は外国の政府にも及び、投機市場の相場を動かしていると見られている。 アメリカの情報機関とは巨大資本が国を支配するために作られてきたのであり、「安全保障」を口実とした秘密は、自分たちの犯罪的な行為を人びとが気づかないようにするために主張されている。彼らは単に「カネ儲け」を目的としているのではなく、自分たちが世界を支配し、富を独占する体制を築こうとしている。 そうした体制を築く上で最大の障害になっているのはロシア。エリツィン時代に制圧したはずだったが、ウラジミル・プーチンが実権を握ると西側巨大資本の支配体制を崩してしまい、中国も巻き込んできた。若手をアメリカへ留学させ、懐柔したはずの中国もロシアに接近、自立への道を進み始めている。
2014.11.19
安倍晋三首相は消費税の税率を2017年に引き上げると宣言した上で12月に総選挙を実施すると発表した。来年になれば日本経済の破綻が明確になり、口先で騙すことは不可能になるとでも思ったのだろう。世界的に安倍政権は「狂っている」と見られている。その政権が選挙で消滅しないようなら、日本人は世界で物笑いになるだろう。 1990年代の後半から実質賃金は下がり続け、「アベノミクス」とやらで歯止めを掛けられなかったどころか、悪化させている。同志社大学の浜矩子教授は安倍政権の「政策」を「アホノミクス」と呼んだが、この政権が日本における経済活動を好転させようとして考えているのなら、その通り。 しかし、おそらく安倍政権はそうしたことに興味はない。ウォール街の支配者たちの命令に従い、日本の巨大企業や富裕層を豊かにすることのみに関心を持っているようにしか見えない。実際、こうしたグループは豊かになっている。安倍政権は「アホ」なのではなく、腐っているのだ。 アメリカでは上位0.1%の富裕層が保有する富が全体の22%を占め、下位90%のそれと同じだと本ブログでも紹介した。特に富の集中が激しいのは上位0.01%で、全体の11%が彼らのものだ。その一方で生産活動は破綻、社会は崩壊している。「格差社会」というオブラートに包んだような表現を聞くが、有り体に言うなら「階級社会」だ。しかも腐敗がひどい。その腐敗した階級社会をアメリカは基軸通貨を印刷する特権で支えてきたが、それも世界的なドル離れで怪しくなっている。ドル離れを引き起こす流れを作っているのがロシアと中国を中心とするBRICS。このグループをアメリカは力尽くで倒そうとしている。 本ブログで前にも書いたことだが、「経済活動が上向かない最大の理由は、人びとが実際に生活する社会で資金が一部に集中して循環が滞り、金融/投機市場へ大量に漏れ出していることにある。その原因を作ったのはイギリスのマーガレット・サッチャー政権やアメリカのロナルド・レーガン政権」。日本で言えば中曽根康弘だ。金融/投機市場へ流れ出る資金を放置しておいて「金融緩和」すれば投機市場が肥大化するだけのことである。 サッチャー、レーガン、中曽根たちが推進した政策は「新自由主義」に基づくもの。いわば原理主義的な資本主義で、マーケットを信奉している。その新自由主義が社会を破壊するにしたがい、怒りは国家単位で高まった。そのひとつの結果がオイルダラーを軸にした経済の衰退であり、ロシアや中国の影響力を高めるエネルギーになっている。 現在、世界の人びとは「ポスト・ドル」を見据え、金に注目している。例えばウーゴ・チャベス時代のベネズエラやムアンマル・アル・カダフィ時代のリビア。マレーシアの首相だったマハティール・ビン・モハマドは貿易決済に使う通貨として「金貨ディナール」を提唱していたが、アル・カダフィは「金貨ディナール」なる通貨を石油取引の決済に使おうとしていた。 こうした動きはドイツにも波及、ドイツはアメリカへ預けている1500トンの金塊を引き揚げようとしたのだが、連邦準備銀行は拒否する。2013年1月の発表によると、両国の交渉で300トンを2020年までにアメリカからドイツへ引き揚げることにしたのだというのだが、2013年に戻ったのは5トンにすぎず、今年6月には取り戻すことをドイツはあきらめたという。 各国は多くの金塊をニューヨーク連銀やケンタッキー州フォート・ノックスにある財務省管理の保管所に預けているが、確認はできていない。ドイツのこともあり、預けてあるはずの金塊はないのではないかと言われている。ドル崩壊を予想した何者かが金塊を盗み出した疑いがある。 その一方、ウクライナが保管していた金塊もクーデター後に消えてしまったようだ。3月7日の午前2時、ポリスポリ空港に4輌のトラックと2輌の貨物用のミニバスが現れ、そこから40個以上の箱をマークのない航空機へ運び込まれたという話は本ブログでも紹介したが、事実だったようだ。
2014.11.18
11月16日に行われた沖縄県の知事選で翁長雄志が勝利した。36万0820票を獲得、前知事の仲井真弘多が得た26万票1076票を10万票近く上回ったことになる。 翁長は米軍普天間飛行場を名護市辺野古へ移設することに反対すると公約していた。県民がこの主張を支持、つまり日本政府や仲井真の進めようとしている計画に反対の意思表示をしたことになる。 多くの人が指摘していることだが、国土面積で0.6%にすぎない沖縄県に在日米軍基地の74%が集中している。そもそも日本にアメリカ軍が駐留していること自体がおかしいのだが、そのアメリカ軍が沖縄県に集中している状況は異常だ。その背景にはアメリカの思惑と昭和天皇の意思、そしてそれを容認してきた日本国民の無責任さがある。 第2次世界大戦で日本が降伏した当時、すでにアメリカやイギリスの少なくとも一部支配層はソ連との戦争に踏み出していた。大戦中、ドイツ軍がソ連に攻め込み、スターリングラード(現在のボルゴグラード)では1942年から43年にかけて死闘が繰り広げられたが、この戦闘をアメリカやイギリスは傍観する形になっていた。フランクリン・ルーズベルト米大統領には支援の意思があったようだが、それだけでは動かない事情が西側にはあったということだ。 この攻防戦で勝利したソ連が西へ向かって進撃を始めるとアメリカはあわててシチリア島へ上陸、ノルマンディー上陸作戦を敢行してパリを制圧、そして1945年2月のヤルタ会談につながる。ただ、ドイツとの戦いでソ連は2000万人以上が殺され、工業地帯の3分の2が破壊され、そのダメージは戦後も影響を及ぼすことになる。 ヤルタ会談の2カ月後に反ファシストのルーズベルトが執務室で急死して「連合国」の空気が変わる。その翌月にドイツが降伏するとイギリスのウィンストン・チャーチル首相はJPS(合同作戦本部)に対してソ連に軍事侵攻するための作戦を立案するように命令、そして出来上がったのが「アンシンカブル作戦」だ。 この作戦では、7月初頭に数十万人の米英軍が再武装したドイツ軍約10万人を伴ってソ連を奇襲攻撃することになっていたのだが、これは参謀本部が計画を拒否したために実行されていない。その直後にチャーチルは下野する。 首相に返り咲くのは1951年だが、その間、1947年にアメリカのスタイルス・ブリッジス上院議員と会い、ソ連を核攻撃するようハリー・トルーマン大統領を説得して欲しいと頼んでいたという。この提案をする前年、チャーチルはアメリカで「鉄のカーテン」演説をして世界を冷戦へ導いた。 アメリカにもソ連を攻撃したいと考える人が軍や情報機関にもいて、1948年に「ロバート・マックルア将軍は、統合参謀本部に働きかけ、ソ連への核攻撃に続く全面的なゲリラ戦計画を承認させ」(クリストファー・シンプソン著、松尾弌訳『冷戦に憑かれた亡者たち』時事通信社、1994年)、その翌年に出された統合参謀本部の研究報告ではソ連の70都市へ133発の原爆を落とす(Oliver Stone & Peter Kuznick, “The Untold History of the United States,” Gallery Books, 2012)ことになっていた。 この好戦派は1957年にソ連への先制核攻撃計画をスタートさせ、実行する最適な時期は1963年の後半と考えていたのだが、その前に立ちふさがったのがジョン・F・ケネディ大統領。1963年6月に大統領はアメリカン大学の卒業式でソ連との平和共存を訴える演説を行っている。 その好戦派の中には日本の大都市で住民を焼き殺し、広島や長崎に原爆を落としたカーティス・ルメイ、あるいは1955年から57年にかけて琉球民政長官を務めたライマン・レムニッツァー(ドワイト・アイゼンハワー政権で統合参謀本部議長になり、ケネディ大統領は再任拒否した人物)も含まれている。レムニッツァーが民政長官だった時代に沖縄の基地化が推進され、比嘉秀平琉球主席が55歳の若さで急死している。 この沖縄に基地が集中するきっかけを作ったのは昭和天皇。アメリカによる沖縄の軍事占領が「25年から50年、あるいはそれ以上にわたる長期の貸与(リース)というフィクション」のもとでおこなわれることを求めるという内容のメッセージを1949年9月に天皇は出しているのだ。(豊下楢彦著『安保条約の成立』) レムニッツァーが民政長官だった時期とアメリカで先制核攻撃の計画をスタートさせた時期は重なる。当然、基地化が進められた沖縄は核戦争の前線基地と位置づけられていたはずだ。 そうした沖縄だが、現在のアメリカ軍にとって重要度は当時よりかなり低くなっている。攻撃された場合、在日米軍は簡単に壊滅してしまう脆弱さを沖縄の基地は抱えているが、攻撃拠点と考えれば意味があり、「殴り込み部隊」とも言われる海兵隊は沖縄に基地が欲しいかもしれない。 その海兵隊が使っているオスプレイを重要視しているのがネオコン/シオニスト。ソ連が消滅した翌年、1992年にネオコン人脈はDPG(国防計画指針)の草案を作成した。国防次官を務めていたポール・ウォルフォウィッツが作成の中心的存在だったことから「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれ、バラク・オバマ政権もこの政策に従っているようだ。このDPGに基づいてネオコンのシンクタンクPNACが書き上げ、2000年に公表した『アメリカ国防の再構築』にはオスプレイの必要性が主張されている。 DPGはアメリカが「唯一の超大国」になったという認識で書かれた指針で、その軍事機関として位置づけられているのがNATO。活動範囲も加盟国も拡大させ、東アジアもカバーしようとしている。太平洋にはふたつの軍事同盟、日米安保とANZUS(アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドの3カ国)が存在するのだが、ANZUSからニュージーランドが脱落、アメリカ、日本、オーストラリアが組み込まれることになる。ウォルフォウィッツ・ドクトリンを無視して日米関係も語れないわけで、これに触れずに日米関係を語る意見は信用しない方が良いだろう。 このNATOは中東/北アフリカやウクライナでも「アメリカの関東軍」的な役割を果たしている。そうした勢力を背景にしているウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領は11月13日にオデッサTVで東/南部の住民について次のように演説している: 「我々には仕事があるが、奴らにはない。我々には年金があるが、奴らにはない。我々は子どもや人民や定年退職者の面倒をみるが、奴らは面倒をみない。我々の子どもは学校や幼稚園へ通うが、奴らの子どもは地下室に隠れるだけだ。奴らには何もできないからだ。こうやって我々はこの戦争に勝つのだ。」 ポロシェンコ大統領は住民への爆撃を認めている。こうした思考回路をするアメリカ/NATOやその仲間たちを拒否する意思を明確に示したのが今回の沖縄知事選だ。
2014.11.17
ロシアのチャンネル1が明らかにした衛星写真は捏造されたものだとする主張を紹介していたイギリスのデイリー・メール紙だが、シリアで政府軍を「悪魔化」する報道で捏造が指摘されている。勿論、西側メディアはアメリカ/NATOの描くシナリオを正当化させるためにあらゆることをしてきただけに驚きではない。 デイリー・メール紙やテレグラフ紙が伝えた映像には、スナイパーに撃たれながら少女を助け出した少年の様子が映っている。不死身の少年。これをテレグラフ紙は「劇的」と表現しているが、確かに「劇的」だった。 イギリスのミラー紙によると、マルタでノルウェーのフィルム作家、ラース・クレブベルグが5月に有名映画のセットを使って撮影した映像だったのである。少年と少女はマルタの俳優だという。打ち合わせの場面もYouTubeにアップロードされている。 シリアでは政府軍を「悪魔化」するため、西側メディアは少なからぬ捏造報道をしてきた。そうした中で有名になった人物がシリア系イギリス人のダニー・デイエムだろう。この人物の「現地報告」という形で「西側メディア」は自分たちに都合の良い話を作り上げていたのだが、「シリア軍の攻撃」をダニーや仲間が演出する様子を含む映像が流出、その実態が明るみに出てしまった。西側メディアはこうした事実を無視したものの、インターネット上では流れ、広く知られてしまった。 現在、アメリカ/NATOはIS(イスラム国。ISIS、ISIL、IEILとも表記)を利用してシリア政府の打倒を正当化しようと宣伝しているが、そうした中で現れた捏造映像だ。
2014.11.16
ロシアのチャンネル1が明らかにした衛星写真は、マレーシア航空17便が撃墜される寸前に撮影されたとされている。前回も指摘したように、状況証拠と合致しているだけに偽造写真の可能性もあるのだが、ロシア技術者組合のイワン・アンドリエフスキー第1副委員長はそうした痕跡を発見できなかったとしている。 自分に都合の悪い事実が発覚した場合、証拠の中に偽物を紛れ込ませ、それを指摘して全体を否定するという手法があるので、アンドリエフスキーとしても慎重に調べたはず。もし偽物だったなら、「巧妙な偽物」ということになる。 以前にも書いたことだが、MH17が戦闘機に撃ち落とされた可能性が高いことは残骸に残された穴が示している。入射穴と出射穴があるなど銃撃されたことを示す痕跡が残っているのだ。OSCE(欧州安全保障協力機構)の調査官も榴散弾ではなく左右から銃撃された可能性が高いと語っている。 しかし、これまで西側の有力メディアはアメリカ/NATO/キエフ政権の主張に沿うストーリーでこの撃墜を語ってきた。つまり新ロシア(ドネツクとルガンスクの統合人民共和国)軍かロシア軍が「ブーク」ミサイルで撃墜したと主張してきたわけだが、今回の写真に関係なく、地対空ミサイルで旅客機が撃墜された可能性は限りなくゼロに近い。 勿論、それでもこの写真を本物だと西側メディアがすんなり認めることは考えられないのだが、それでも大半のメディアはロシアのテレビ局が戦闘機に撃墜されたとする写真を公表したと報道している。7月下旬にミサイルの発射地点とされた地域を調査したBBCロシアの取材チームのレポートを削除したBBCも基本的にそうした姿勢を示している。 そうした中、デイリー・メールが写真の「捏造説」をまとめ、報道している。「国内外のメディアやインターネットで『捏造画像だ』との批判が噴出」という程度のことが書いてあるだけの記事は読むに値しないが、デイリー・メールの記事はチェックしておく必要があるだろう。信頼できるかどうかは別として具体的な話を展開している。
2014.11.16

7月17日にウクライナの戦闘地域上空で撃墜されたマレーシア航空17便に関する興味深い衛星写真をロシアの「チャンネル1」が明らかにした。「ジョージ・ビルト」と名乗る人物(勿論、偽名を使っているだろう)からロシア技術者組合のイワン・アンドリエフスキー第1副委員長へ送られてきたようだが、その写真には旅客機と戦闘機と思われる航空機が写っていて、戦闘機がミサイルを発射した痕跡と思える白い線も見える。 アンドリエフスキーはMH17の撃墜に関する分析を発表(英語訳は9月)、その分析に同意するというEメールに写真は添付されていたという。この衛星写真はイギリスかアメリカのものだとロシア側は推測しているようだが、ロシア軍はアメリカのスパイ衛星が撃墜時に上空にいたと主張している。状況証拠と合致しているだけに偽造写真の可能性もあるのだが、アンドリエフスキーによると、そうした痕跡は発見できなかったという。 アンドリエフスキーは分析の中でブーク・ミサイル・システムが使われたとは考えにくいとしたうえで、残骸に残された弾痕と思われる穴の状況も考慮、戦闘機のスホイ15かミグ29が空対空ミサイルと銃撃で劇津視させた可能性が高いとしていた。彼によると、スホイ15とミグ29はレーダー上、同じように表示されるのだという。 実は、西側が主張するようにブークが使われたとすると、キエフ軍が発射したか、ロシア軍が撃ったのか、ロシアからシステムが持ち込まれたとしか考えられない。キエフ政権のビタリー・ヤレマ検事総長は軍からの情報として、反キエフ軍がこうしたミサイルを奪取したことはないと発表しているからだが、ロシアの関与を西側は否定している。そうなると、新ロシア(ドネツクとルガンスクの統合人民共和国)軍に撃墜された可能性は限りなくゼロに近づいてしまう。 これはアンドリエフスキーも指摘していることだが、ブークはミサイルを発射する際に大きな音を出し、強烈な光を発する。しかも軌道に沿って白い煙を残していく。つまり遠くからでも確認でき、住民は気づくだろう。携帯電話が普及している現在なら、誰かが映像を残しているはずだが、そうしたことはない。 それどころか、7月下旬にミサイルの発射地点とされた地域を調査したBBCロシアの取材チームに対し、旅客機の近くを戦闘機が飛んでいたと証言、キエフ軍の航空機は民間機の影に隠れながら爆撃しているという話も映像に記録している。ミサイルの発射地点とされた地域を調査したところ、ウクライナの治安機関SBUが主張する発射現場から実際にミサイルが発射されていないことを確認したとも報告している。 これはアメリカやキエフにとって都合の悪い情報。BBCはこの映像をすぐに削除したようだが、今回の衛星写真についての報道は一応、している。ただ、これまで反キエフ軍、あるいはロシア軍が撃墜したと宣伝してきたこともあり、「偽造説」を紹介しているが、その根拠は示していない。反キエフ軍やロシア軍を非難するときに根拠、証拠の類いを手提示してこなかったが、同じことの繰り返しだ。(この撃墜に関して本ブログでも何度か取り上げたが、この出来事についてまとめた記事が一水会の機関紙「月刊レコンキスタ」の「平成26年9月1日」付け紙面に掲載されている。) 今回の衛星写真公表はオーストラリアでG20の会議開催にタイミングを合わせている。そのオーストラリアの首相、トニー・アボットはMH17撃墜に関し、ロシアのウラジミル・プーチン大統領を繰り返し非難している。1975年にアメリカ政府はイギリス女王エリザベス2世の総督、ジョン・カーを使ってゴフ・ウィットラム首相を解任したが、その後のオーストラリア政府はアメリカの完全な操り人形。その役割をアボットは必死に果たそうとしたのだろう。 そうしたオーストラリア首相はともかく、G20に参加する国々の首脳に対しては少なからぬ影響を今回の衛星写真は及ぼす可能性は小さくない。嘘を取り繕うために嘘をつくという悪循環は自らの首を絞めることにもなる。すでにドル離れが世界的に起こりはじめている現在、アメリカにとっては嫌な流れだ。
2014.11.15
アメリカ政府はシリアの体制転覆を再び主張しはじめた。その口実として使われているのがIS(イスラム国。ISIS、ISIL、IEILなどとも表記)の勢力拡大。その過程でアメリカはISに関する情報をイラク政府へ伝えず、トルコ、イスラエル、そしてアメリカ系の石油会社ARAMCOがISの石油輸送や販売に協力、アメリカはそうした行為を妨害していないとされている。ISの勢力拡大はアメリカや、その同盟国が演出している可能性が高いということであり、昨年夏に失敗したシリア攻撃を実行したいという願望が見える。 ISへの攻撃をアメリカが主張し始めるは、フォトジャーナリストのジェームズ・フォーリーをISが殺したと8月19日に伝えられてから。この斬首はシリアへの空爆を誘うことが本当の目的ではないかと言われ、予想された展開ではあるが、シナリオがあまりにも単純だ。 ISなどアル・カイダ系の武装集団はこれ見よがしに残虐な行為を誇示、フォーリーより前にISは多くの人の首を切り落としてきたとされているが、それまでアメリカ政府は「冷静」だった。アメリカ人が殺されたということで激怒して見せたわけだ。 しかし、この斬首場面には疑問がある。彼が殺されたのはカメラの前ではなく、問題の場面は演技だと指摘する人が少なくないのだ。首の前で6回ほどナイフは動いているものの、実際に切っていないうえ、血が噴き出していない。少なくともこの時には首を切っていない可能性が高いということだ。 そうした事情はともかく、西側のメディアは「首切り」を宣伝し、アメリカ政府は「反イスラム国(IS)連合」を結成した。攻撃に参加するのはアメリカのほか、エジプト、イラク、ヨルダン、レバノン、そしてサウジアラビアやカタールを含むペルシャ湾岸の6カ国だとされたが、この中にはISを背後で操ってきた国々が含まれている。 ISはアル・カイダ系の組織であり、その歴史は1970年代の終わりまでさかのぼることができる。ズビグネフ・ブレジンスキーが計画した秘密工作に基づき、ソ連軍と戦わせる戦闘集団の中から生まれたのだ。 その戦闘員はサウジアラビアの資金で雇われ、CIAが武器を提供して訓練しているのだが、その「ムジャヒディン」のコンピュータ・ファイル(データベース)がアル・カイダ(アラビア語で「ベース」の意味)。これはロビン・クック元英外相も指摘している。なお、この事実を新聞に書いた翌月、クックは保養先のスコットランドで心臓発作に襲われて死亡してしまった。享年59歳。 ソ連軍がアフガニスタンから撤退、さらにソ連が消滅した後にアブ・ムサブ・アル・ザルカウィなる人物がアル・タウヒドという戦闘集団を結成、2004年からアル・カイダへ所属して名称をAQI(イラクのアル・カイダ)へ変更、06年にアル・ザルカウィが死亡すると、AQIを中心にいくつかのグループが集合しISI(イラクのイスラム国)が編成される。 この翌年、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアの三国同盟がシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラに対する秘密工作を始めたと調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュはニューヨーカー誌の2007年3月5日号で書いた。当時のアメリカ大統領はネオコンに操られていたジョージ・W・ブッシュだ。 ISIのリーダーはアブ・アブドゥラ・アル・ラシド・アル・バグダディとアブ・アユブ・アルーマスリだが、このふたりは2010年に殺され、新しくアブ・バクル・アル・バグダディが次のリーダーになる。これがISで、その黒幕はサウジアラビアのアブドゥル・ラーマン・アル・ファイサル王子だと言われている。 当初、アル・カイダを指揮していたのは、やはりサウジアラビア王室の一員であるバンダル・ビン・スルタン。この人物は駐米大使から総合情報庁長官になり、現在は今は国家安全保障問題担当顧問を務め、「バンダル・ブッシュ」と呼ばれるほどブッシュ家と深い関係にある。 アメリカ/NATOはリビアのムアンマル・アル・カダフィ体制を倒す際にもアル・カイダ系の武装集団、LIFG(リビア・イスラム戦闘団)を地上軍の主力として使った。西側やペルシャ湾岸の産油国は特殊部隊や情報機関を潜入させていたが、体制打倒で大きな役割を果たしたのはNATOによる空爆だろう。リビアでのプロジェクトを成功させたアメリカ/NATOはアル・カイダ系の戦闘員をシリアへ移動させる。 2012年にはヨルダンの北部に設置された秘密基地でアメリカの情報機関や特殊部隊がISの主要メンバー数十人を含む戦闘員を軍事訓練したと伝えられ、戦闘員をシリアへ潜入させる際にはトルコの情報機関MITが支援しているという。 この年、アメリカではデイビッド・ペトレイアスCIA長官が辞任、翌年の2月にはヒラリー・クリントン国務長官もホワイトハウスを去った。中東/北アフリカ/ウクライナでの侵略活動はCIAと国務省が主導しているが、その中心人物が排除されたわけで、アメリカ支配層の内部でもネオコン/シオニストは危険だと考える勢力が巻き返しを図った可能性が高い。 それに対し、三国同盟のひとつ、イスラエルの駐米大使だったマイケル・オーレンは退任前の2013年9月、イスラエルはシリアの体制転覆が希望だと明言している。バシャール・アル・アサド体制よりアル・カイダの方がましだとエルサレム・ポスト紙のインタビューで語っている。つまりイスラエルもシリアの体制転覆を支援していたわけだ。 昨年夏にはシリア政府軍が化学兵器を使ったという偽情報(この辺の事情は何度か書いているので、今回は割愛する)を使ってアメリカはNATO軍に空爆させようとしたが、ロシアが嘘を指摘、同じ趣旨の報道もあり、実行されなかった。地中海から発射したミサイルが海中に落下するという出来事も影響した可能性がある。ここでオバマ政権がシリア攻撃を中止、イランと話し合いを始めたのは非ネオコン/シオニスト派の意向だろう。 それをアメリカのネオコン/シオニストは怒っていたが、ここにきてISが暴れ始め、シリアでの空爆も実現、アサド体制の打倒をバラク・オバマ政権はまた言い始めた。ネオコン/シオニスト派が巻き返してきたのだろうが、ロシアの出方次第では大きな戦争が勃発する可能性がある。
2014.11.14
外国為替市場の指標レート操作を理由に、アメリカ、イギリス、スイスの当局は6銀行に合計で約43億ドル相当の支払いを命じたという。アメリカの通貨監督庁(OCC)はバンク・オブ・アメリカに対して2億5000万ドル、JPモルガン・チェースとシティ・グループに対してそれぞれ3億5000万ドルという制裁金を科すと発表、これにアメリカの商品先物取引委員会(CFTC)とイギリスの金融行動監視機構(FCA)、スイスの金融市場監督機構(FINMA)による約33億ドルの制裁金が加わる。が、こうした違法行為は日常茶飯事だろう。 アメリカでは「大きすぎて潰せない」とか「大きすぎて処罰できない」ということが言われるが、そうした表現を生み出したのが2008年に問題化したサブプライム・ローンの破綻。高いリスクの商品をリスクが低いかのように言って経済的に豊かでない人びとに売りまくって庶民の生活を破壊、銀行は大儲け、その経営が傾くと庶民のカネを投入して助けてもらい、その経営者は刑事訴追されなかったという出来事だ。 この商売を法律に違反していると会社幹部に警告していた弁護士がいる。JPモルガン・チェースで働いていたアレイン・フレイシュマンだ。そうした実態を2006年から上司へ何度か伝えているが、後に判明したところによると、その前から会社側は違法な商売だと言うことを認識していた。そして2008年の初頭、危機が表面化する直前に彼女は解雇される。 その4年後、証券取引委員会(SEC)がフレイシュマンに接触してきたが、このときは細かい話がテーマだった。その年の終わりには司法省の捜査官と会い、詳細を語ることになるのだが、その件を調査した形跡がない。そして1年前、JPモルガン・チェースは130億ドルを支払うという発表があった。そうした支払いの一方、経営者は刑事訴追されないことになる。 エリック・ホルダー司法長官によると、犯罪の原因は「企業文化」にあり、個人に責任はないということらしいが、ならば犯罪組織や「テロ組織」も同じことだろうと批判されている。そのホルダー長官は今年9月、辞任を表明した。 巨大金融機関は違法な商売で儲け、多くの庶民の生活を破壊し、その金融機関が破綻すると国民のカネで救済、そうした行為の証拠を司法省などは隠蔽、犯罪行為の当事者は起訴されずに今でもカネ儲けに勤しんでいる。アメリカで富を独占している0.01%とはそんな連中だ。日本のエリートはこんなアメリカを「理想郷」と考えている。 しかし、アメリカの経済は崩壊状態にある。基軸通貨と見なされてきた「ドル」を印刷する特権と強大な軍事力による脅しで支配システムを維持しているが、すでにロシアや中国を中心とする国々はドル離れを始め、軍事力の優位も揺らいでいる。つまり、「アメリカ帝国」は急速に衰退している。それを見てなのか、ネオコン/シオニストやペルシャ湾岸の産油国が編成したIS(イスラム国。ISIS、ISIL、IEILとも表記)は金や銀を通貨にするという。
2014.11.14
ウクライナとシリアで焼夷弾(白リン弾)が使われているとHRW(ヒューマン・ライツ・ウォッチ)が批判している。ウクライナではアメリカ/NATOの支援を受けたキエフ軍、シリアでは政府軍が使用したとのだという。ウクライナではクラスター爆弾をキエフ軍は住民に対して使ったともHRWは報告していた。 白リン弾は高温で燃え、消すことが困難なため、肉を溶かして骨に達する。人体に深刻なダメージを与える対人兵器として使われ、一般的には化学兵器と見なされている。2008年12月にイスラエル軍がガザへ軍事侵攻しているが、その際にも使われた。クラスター爆弾は大量の小型爆弾を広範囲にばらまくため、不発弾が地雷化することで問題になっている対人兵器だ。 キエフ政権と新ロシア(ドネツクとルガンスクの統合人民共和国)は停戦で合意に達したが、その直後から戦闘で壊滅的な打撃を受けたキエフ軍の立て直しに使われるだろうと指摘されていた。10月26日にキエフ体制が実施した議会選挙、11月2日に共和国が実施した選挙の後、キエフ軍はドネツクの学校を攻撃するなど、戦闘が再開される雰囲気が強まっている。 今年2月にネオ・ナチが主導する形でクーデターが実行され、憲法の規定を無視してビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除することに成功した。それより前にアメリカのビクトリア・ヌランド国務次官補とジェオフリー・パイアット駐ウクライナ米国大使が電話で次期政権の人選について話し合っているのだが、その中でヌランドはEUの対応がソフトだと不満を口にしている。 会話の中でヌランドは「EUなんかくそくらえ(F*ck the EU)」と口にしているが、その理由はEUの話し合い路線への苛立ちがあった。実は、話し合いは順調に進み、2月19日にヤヌコビッチ大統領は反政府派と停戦で合意したと発表している。 ところが、その直後にネオ・ナチ、つまり「スボボダ」や「UNA-UNSO」といったステファン・バンデラを信奉する勢力のメンバーが破壊活動を活発化させる。石や火炎瓶を投げるだけでなく、チェーンを手に、ピストルやライフルを撃ち始め、広場で狙撃が始まって死傷者が急増、合意を実行に移すことは困難な状況になったのである。この狙撃はスボボダの創設者で、新体制移行後に国家安全保障国防会議の議長になるアンドレイ・パルビーだと言われている。 ヌランドの思惑通り、話し合いによる解決は粉砕されて2月27日には銀行家あがりのアルセニー・ヤツェニュクを首相とする暫定政権が発足した。ヤツェニュクはパイアットと電話で連絡し合っている際、ヌランドが高く評価していた人物。 こうした流れを見ても、アメリカ/NATOを後ろ盾とするキエフ体制が話し合いで解決するとは思えない。戦えると思えば、破壊と殺戮を続けるはずだ。アゾフ、ドンバス、ドニエプルといったネオ・ナチ系の「私兵」をキエフ軍に組み込むとも言われている。2月に新体制へ移行した直後、議会は6万人規模の国家警備軍(親衛隊)の創設を承認したが、メンバーの主体はネオ・ナチで、ナチスの「親衛隊」に似た存在。正規軍を掌握し切れていないキエフ政権はこうしたネオ・ナチ色の濃い武装勢力に頼らざるを得ないのだろう。 こうした「私兵」のスポンサーはドニエプロペトロフスクのイゴール・コロモイスキー知事。ウクライナ、イスラエル、キプロスの三重国籍を持つ「オリガルヒ」で、生活の拠点はスイスのジュネーブで、東部や南部の民族浄化作戦で黒幕的な存在で、オデッサの虐殺でも主導的な役割を果たしたとされている。 キエフ政権はロシア軍が越境したと、例によって根拠を示すことなく宣伝、アメリカ/NATOもまともな証拠を示すことなく、そうした主張をしてきた。ヌランドはネオコン/シオニストだが、アメリカの中間選挙でこの勢力が議会で影響力を強めた。脅して言うことを聞かせるしか能がないアメリカとしては、武力を全面に出すしかないのだろうが、その先にはあるのは「冷戦」でなく、「核戦争」である。ネオコン/シオニストを押さえ込めなければ、人類に未来はない。
2014.11.12
新自由主義を採用している以上、富の集中は必然で、アメリカの場合、上位0.1%の富裕層が保有する富は全体の22%におよび、下位90%のそれと同じだという。特に富の集中が著しいのは上位0.01%で、その比率は11%に達する。日本の支配層もそうした仕組みに憧れ、自分たちも富を独占しようと目論んでいることは間違いないだろう。そう考えなければ、安倍晋三政権の政策は説明できない。 安倍政権は消費税の税率を上げ、法人税の税率を引き下げようとしている一方、社会福祉の仕組みを破壊、さらに国を巨大資本が支配する仕組みに作り上げるTPPを推進している。中央大学の富田幸雄名誉教授によると、日本では企業の利益に対する実際の納税額の割合(実効税負担率)が低く、例えば2013年3月期の場合、最も低い三井住友ファイナンシャルグループは0.002%、次いでソフトバンクは0.006%、みずほファイナンシャルグループは0.09%、三菱UFJファイナンシャル・グループは0.31%といった具合だ。(富岡幸雄著『税金を払わない巨大企業』文藝春秋、2014年) これだけ低い一因は大企業への優遇策があるのだが、そのベースには1970年代の後半から進んだオフショア市場のネットワークがある。ロンドン(シティ)を中心として世界に張り巡らされ、スイス、ルクセンブルグ、オランダといった古いタックス・ヘイブンに比べて秘密度が高い。この仕組みに最も精通しているのは金融機関のはずで、実際の税率はさらに低いだろう。 このネットワークは投機市場と結ばれ、「国境なき巨大資本」や富裕層だけでなく、麻薬資金のロンダリングにも利用されている。UNODC(国連薬物犯罪事務所)によると、2010年の前に麻薬取引の利益は年間6000億ドルに達し、金融機関でロンダリングされている資金の総額は1兆5000億ドルに達するという。(UNODC, “Annual Report 2010”) 今から2年前、HSBCのプライベートバンクに勤めていた元従業員が約2万4000人の外国人口座に関する詳細な記録を含む資料を入手、ギリシャで出されているホット・ドック誌の編集者、コスタス・バクセバニスは同銀行ジュネーブ支店にあるギリシャ人の口座を明らかにしている。 この情報をギリシャ政府はフランスの財務大臣から知らされていたが、ギリシャ当局は脱税の捜査には消極的で、動いていなかった。そこでバクセバニスはリストを公表したのだが、この公開に怒った当局は迅速に編集者を逮捕している。 実は、アメリカの圧力で西側がロシアに「制裁」を始めると、ロシア政府は公的な立場の人間が外国で銀行口座を持てないようにルールを変更した。アメリカが各国のエリートを買収していることは公然の秘密だが、その報酬をタックス・ヘイブンに隠すことができないようにしたわけだ。これは日本でも導入すべきルールだろう。 菅直人政権にしろ、野田佳彦政権にしろ、安倍政権にしろ、社会的な「強者」が富を独占する不公正な仕組みを強化しようとしているが、彼らにしてみるとまだ不十分。おそらく街頭に餓死者が溢れるまで「貧困問題」は存在しないと主張する気だろう。その仕組みを早く実現するため、安倍政権は選挙を実施するかもしれないらしいが、庶民が疲弊した社会は脆弱。崩壊する可能性もある。 富岡名誉教授は自著の中で次のようなことを書いている: 「日本を戦争に駆り立てた原因のひとつに、国家財政のもろさや経済の脆弱さがあげられます。日本の財政や経済の弱さを補うために、他国に侵出を企んだのです。」(前掲書)
2014.11.12
11月10日から11日にかけてAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の首脳会議が開かれたが、その直前、中国とロシアの新たな天然ガス供給契約が明らかになった。EUを想定して作られた「西ルート(またはアルタイ・ルート)」の施設を使い、ロシアから中国へ年間300億立方メートルの天然ガスが提供されるという内容。今年5月には年間380億立方メートルの天然ガスを供給することが決まっているので、大型契約の第2弾ということになる。ロシアにとって中国はEUを上回る存在になってきた。 EUの指導層はアメリカの指示に従ってロシアに「制裁」しているが、これで最も打撃を受けるのはEUだと当初から指摘されていた。それが形になってきたと言えるだろう。中国の存在感が増し、EUの影は薄くなってきた。EUは「アメリカなしに生きられない」状況になりつつある。アメリカ支配層の思う壺だ。 APECの首脳会議に合わせてアメリカはTPP(環太平洋経済連携協定)を誇示してしていた。ロシアのウラジミル・プーチン大統領はTPPについて、アメリカが自分にとって都合のいい地域経済協力機構を構築しようとする試みだと表現したが、この「アメリカ」は巨大資本だと解釈しなければならない。当然、中国も同じように考えているはずで、TPPへ中国やロシアが参加しないだろう。中国はFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)を打ち出している。 現在の経済状況を考えれば、ロシアと中国が参加しなければ、効果的な貿易経済協力関係を打ち立てることは不可能。TPPは経済的に大きな意味を持たない協定だということだが、それでもアメリカが推進するのは、アメリカの巨大資本が環太平洋地域を支配する帝国に作り替えたいからだ。 今回の首脳会談へも少なからぬ影響を与えているであろう動きがある。ロシアと中国が明確に「ドル離れ」を始めているのだ。すでにロシアはアメリカの財務省証券を大量に売却しているが、それだけでなく、貿易の決済をドル以外の通貨で行う姿勢を明確にしている。今回の天然ガス取り引きも中国の元を使うようだ。 そうした流れはロシア以外にも見られ、全世界的に金が見直されている。リビアのムアンマル・アル・カダフィ政権は貿易の決済をドルやユーロでなく、「金貨ディナール」を導入しようと考え、金塊をアメリカから引き揚げようとした。同じようにイラン、ベネズエラ、そしてドイツもアメリカへ預けている金塊を手元に置こうとしている。 現物取引だけなら金の相場は暴騰しても不思議でない状況だ。金相場の高騰を嫌うアメリカは「ペーパー取り引き」で価格を抑え、さらにNSAを使って相場を操縦しているとも言われている。しかも、金の現物をめぐって奇妙なことが起こっている。 これまで各国は保有する金塊の多くをアメリカのニューヨーク連銀やケンタッキー州フォート・ノックスにある財務省管理の保管所に預けている。ドイツは預けている金塊1500トンを引き揚げようとしたが、連邦準備銀行は引き渡しを拒否する。交渉の結果、そのうち300トンを2020年までにドイツへ引き揚げることで合意した。 これも含め、ドイツは2020年までの8年間でアメリカとフランスから合計674トン、つまり1年あたり84トン強を引き揚げる計画を立てたのだが、2013年に返還されたのは37トン、そのうちアメリカからのものは5トンにすぎなかったともいう。そこで、アメリカに保管されているはずの金塊は消えてしまった、つまり誰かが盗んだのではないかという噂が流れている。 アメリカ経済の内情は惨憺たるもで、政府が発表する経済指標も信頼されていない。不適切な「季節調整」で数字を操作している疑いがあり、求職活動をあきらめた人が増えた結果、失業率が低下。しかも低賃金の仕事しかない状況で、生活の実態は悪化している。それを景気の好転とメディアは宣伝している。 そうした状況が生じている理由は富が集中しているから。上位0.1%の富裕層が保有する富は全体の22%で、下位90%のそれと同じ。上位0.01%だけで11%を占める。これが現在のアメリカだという。公教育の崩壊や学費の高騰で庶民は高等教育を受ける権利を事実上、奪われている。 これだけ富が集中したのは、そうした政策を1970年代の後半から推進しているから。その政策をヨーロッパに持ち込んだのがイギリスのマーガレット・サッチャーであり、アメリカ、ヨーロッパ諸国、日本、中国などが続いた。ボリス・エリツィン時代のロシアもそうで、「オリガルヒ」と呼ばれる大富豪を生み出している。 アメリカも「オリガルヒ」に支配されている。勿論、日本の「エリート」もそうした社会を築こうと考え、貧富の格差を拡大する政策を推進、TPPにも熱心だが、その強欲な勢力の支配システムを支えている大きな柱、ドルが揺らいでいる。その震源にいる人物がプーチンであり、オリガルヒは何としても彼を排除しようとするだろう。
2014.11.11
アメリカは恐怖で支配するしか能のない国だということをコンドリーサ・ライス元国務長官は認めた。控えめで穏やかに話すアメリカの言うことを聞く人はいないとFOXニュースのインタビューで語ったのだが、それだけアメリカが世界の人びとから信頼されていないということにほかならない。アメリカ政府が嘘八百を並べ、中東/北アフリカ、最近ではウクライナを侵略していることは本ブログで書き続けてきた通り。 10月24日にロシアのソチで「バルダイ国際討論クラブ」の会議が開かれた。そのテーマは「新しいルールか、ルールなきゲームか」。その会議でウラジミル・プーチン露大統領はアメリカが「唯一の超大国」として身勝手な行動を始め、国際法を無視、カオスを地球上に広げていると語った。そうしたアメリカの命令に各国のリーダーを従わせるため、ビッグブラザー、つまり電子情報機関のNSAを使って各国のリーダーを監視、脅迫しているとも指摘している。全くその通りだ。 残虐さを売り物にしているIS(イスラム国。ISIS、ISIL、IEILとも表記)の登場、カナダで引き起こされた銃撃事件、プーチン大統領との関係悪化を見てアメリカ国民や世界は「より強いアメリカのリーダーシップ」を受け入れる準備ができたともライスは語っているが、これこそがISをアメリカが作り上げた理由だろう。 世界各国から傭兵を雇い入れてきたのはサウジアラビアなどペルシャ湾岸の産油国であり、中東の石油産業を支配してきたアメリカがその気になれば、ISが石油を生産、精製、輸送、販売することは不可能に近い。ISの販売を請け負っている会社はARAMCO、つまりSOCAL(スタンダード石油カリフォルニア)、テキサコ、スタンダード・オイル・オブ・ニュージャージー、ソコニー・バキューム(後のモービル)が出資している巨大企業だと言われ、トルコやイスラエルも輸送や販売に協力していると伝えられている。 ISは戦闘員をシリアへ潜入させる際、トルコの情報機関MITの支援を受け、ヨルダンにも潜入ルートをISは持っていると言われている。そうした戦闘員の大半は非シリア人。シリア政府によると、そうした「外人部隊」は25万人以上。またシリア北部で入手された記録によると、反シリア軍の戦闘員は41%がサウジアラビア人、19%がリビア人、シリア人は8%にすぎなかったという。新疆ウイグル自治区からカンボジアやインドネシアを経由、トルコの情報機関MITの手引きでシリアへ入っているともいう。 しかし、戦闘能力の高さではチェチェンからの傭兵が注目されている。チェチェンの反ロシア勢力はグルジアのパンキシ渓谷を拠点にしているが、そこでCIAはチェチェン人をリクルート、訓練していると言われている。ISに参加しているチェチェン人は200名から1000名とされている。戦闘を経験したウイグル人が中国で破壊活動を行うのと同じように、チェチェン人は帰国後、ロシアを攻撃する可能性が高いだろう。 1970年代の終わりにアメリカが編成したイスラム教スンニ派の戦闘集団は当初、ソ連軍と戦う「自由の戦士」と呼ばれたが、ソ連軍の撤退でプロジェクトは終了、2001年に登場したときは「アル・カイダ」という名前で呼ばれる「テロリスト」になっていた。こうした戦闘集団を作り上げたのはズビグネフ・ブレジンスキーだが、ライスはその孫弟子にあたる。 そうした「テロリスト」と戦うと称してアメリカは中東を軍事侵略、戦乱を中東から北アフリカへ広げ、破壊と殺戮が繰り広げられている。ウクライナでアメリカはネオ・ナチを「自由の戦士」として使っているが、その一部はチェチェンで中東/北アフリカの「テロリスト」とつながっている。そうした「テロリスト」のISはアメリカ(ネオコン/シオニスト)にとって理想的な戦闘集団。中東や北アフリカを分割する道具になっている。 アメリカは自国の軍隊を使うだけでなく、傭兵を雇い、侵略と占領を続けている。そうした戦略の中心にいるのがCIAと国務省で、正規軍は嫌がっている。そこでサウジアラビアなどに戦費を負担させ、ISのような傭兵を雇っているわけだ。言うまでもなく、この連中は日本にもカネと戦闘員を提供させようとしている。
2014.11.11
イギリスのデイリー・メール紙によると、ウィンストン・チャーチルは1947年にアメリカのスタイルス・ブリッジス上院議員と会い、ソ連を核攻撃するようハリー・トルーマン大統領を説得して欲しいと頼んでいたという。 これはFBIの資料で明らかになったというが、チャーチルがソ連を破壊したがっていたことは広く知られている。ドイツ軍がソ連を攻撃している際に傍観していただけでなく、その戦いでドイツ軍が敗北し、1945年5月に連合国に降伏すると、首相だった彼はソ連に軍事侵攻するための作戦を立案するようにJPS(合同作戦本部)へ命令している。 その作戦計画はドイツが降伏文書に署名した2週間後に提出されたが、それによると、7月初頭に数十万人の米英軍が再武装したドイツ軍約10万人を伴って奇襲攻撃することになっていた。実行されなかったのは、参謀本部が計画を拒否したため。攻撃ではなく防衛に集中するべきだという判断だった。 アメリカ軍の内部にもソ連を先制核攻撃したがっていたグループが存在する。1946年6月には「ピンチャー」という暗号名で呼ばれる先制核攻撃案が発効、48年に「ロバート・マックルア将軍は、統合参謀本部に働きかけ、ソ連への核攻撃に続く全面的なゲリラ戦計画を承認させ」(クリストファー・シンプソン著、松尾弌訳『冷戦に憑かれた亡者たち』時事通信社、1994年)、その翌年に出された統合参謀本部の研究報告ではソ連の70都市へ133発の原爆を落とす(Oliver Stone & Peter Kuznick, “The Untold History of the United States,” Gallery Books, 2012)ことになっていた。 ライマン・レムニッツァー統合参謀本部議長やカーティス・ルメイ空軍参謀長といった将軍たちは1957年にソ連を先制核攻撃する計画をスタートさせ、1962年にミサイル危機が起こるとソ連を攻撃するべきだとジョン・F・ケネディ大統領に詰め寄っていたともいう。(Martin Walker, "The Cold War," Fourth Estate, 1993) 1963年6月にケネディ大統領はアメリカン大学の卒業式でソ連との平和共存を訴えているが、その翌月に150基のICBMが実戦配備され、10月には300基へ増強されると核戦争になってもソ連を圧倒できると好戦派の将軍は信じた。将軍たちの前に大統領が立ちふさがっていたわけだ。 そうした中、1963年11月上旬にシカゴで大統領暗殺計画が発覚する。これは未然に防がれたが、その月の22日にダラスで大統領は殺されてしまった。CIAは「ソ連黒幕説」を流したが、これはFBIが偽情報だとリンドン・ジョンソン新大統領へ伝えたため、「報復攻撃」にはつながらなかった。 実は、ソ連を攻撃するという案は第2次世界大戦が勃発した頃、すでに存在していた。「日本・アングロ(米英)・ファシスト同盟」を結成してソ連と戦おうという案があったというのだ。(Anthony Cave Brown, “"C": The Secret Life of Sir Stewart Graham Menzies”, Macmillan, 1988)この戦争を「民主主義勢力」と「ファシズム勢力」との戦いと単純に考えるべきではないということでもある。 戦前の日本を考えると、日本は関東大震災の復興資金調達を頼ったことからJPモルガンの影響を強く受けるようになっているが、この巨大金融機関は1932年の大統領選挙で当選したフランクリン・ルーズベルトを排除するためにクーデターを計画したことでも知られている。これはスメドリー・バトラー少将らの議会証言で明らかにされた。 このJPモルガンと最も深く結びついていた人物と言われている人物が「適者生存」を信奉していた井上準之助。1929年に内閣総理大臣となった浜口雄幸はこの井上を大蔵大臣に据え、JPモルガンが望むような「新自由主義」的な政策を推進、景気を急速に悪化させている。その結果、失業者は急増、農村では娘が売られるという惨状を生み出したわけだ。 井上は1932年2月に暗殺されるが、そのころ駐日アメリカ大使として来日したジョセフ・グルーはモルガン財閥の一員で、戦後はジャパン・ロビーの中枢として「右旋回」を指揮している。 グルーの妻は「黒船」で有名なマシュー・ペリー提督の末裔。日本で少女時代を過ごしているが、その際に親しくなった九条節子は後に大正(嘉仁)天皇と結婚、貞明皇后と呼ばれるようになる。つまり、モルガン財閥は日本の皇室にも太いパイプを持っていた。戦後、天皇制の維持を定めた日本国憲法をあわてて作った一因はこの辺にあるのだろう。天皇の戦争責任を問う声が大きくなる前に形を作っておきたかったように見える。第9条などの条項は急ぐ必要がなかった。戦前も戦後も日本の支配構造は基本的に変化していないということだ。
2014.11.09
トルコ軍がIS(イスラム国。ISIS、ISIL、IEILなどとも表記)を支援しているとアメリカのニューズウィーク誌が報じている。アメリカ、ペルシャ湾岸産油国、イスラエルと同じようにトルコがシリアのバシャール・アル・アサド体制を倒すプロジェクトにトルコ政府が参加していることは本ブログでも指摘してきたことだが、興味深いのは西側の「有力メディア」がこの事実に触れている点。 1999年にユーゴスラビアを先制攻撃した後にアフガニスタンを占領、2011年にはリビアを空爆、さらにシリアを攻撃しようとしたNATOにトルコは参加している。2003年にイラクを先制攻撃したのもNATOを主導するアメリカを中心とする軍隊だ。 イラク攻撃は「連合軍」を編成したが、総勢38万人のうち19万2000人がアメリカ、次いでイギリスが4万5000人。そのほか米英と同じアングロ・サクソン系のオーストラリアが2000人、ウクライナのクーデターで拠点になったウクライナが194人だった。このイラク攻撃でサダム・フセイン体制は倒されたが、これはネオコン/シオニストの悲願。 イスラエル/ネオコンは1980年代からイラクのサダム・フセインを排除しようと計画していたのだが、これは国務長官だったジェームズ・ベーカーをはじめとするグループの考え方とは逆。イスラエル/ネオコンはイラクを「親イスラエル体制」に作り替え、ヨルダンからトルコまでを「親イスラエル国帯」にしてシリアとイランを分断しようとしていたのだが、それに対してベーカーたちはフセインを湾岸産油国の防波堤と認識していた。 この対立は1988年の大統領選挙を前に休止するが、1991年の「湾岸戦争」で顕在化する。ベーカーが担いでいたジョージ・H・W・ブッシュ大統領はフセインを排除しないで休戦するのだが、これに怒ったのがポール・ウォルフォウィッツ国防次官(当時)などのネオコンたち。 ウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官によると、ウォルフォウィッツは1991年の段階でシリア、イラン、イラクを殲滅すると話していた。その怒りが1992年のDPG(国防計画指針)草案につながる。潜在的なライバルを潰し、資源を押さえ、アメリカの支配する新しい世界秩序を築こうというビジョンが描かれた内容で、草案作成の中心がウォルフォウィッツ次官だったことから「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。 ジョー・バイデン米副大統領は10月2日、ハーバード大学でニューズウィーク誌と重なる主張を展開している。ISとの「戦いは長くかつ困難なものとなる。この問題を作り出したのは中東におけるアメリカの同盟国、すなわちトルコ、サウジアラビア、アラブ首長国連邦だ」と述べたのだ。 また、こうした国々はシリアのバシャール・アル・アサド政権を倒すため、反シリア政府軍へ何万トンもの武器、何億ドルもの資金を供給して中東を混乱させたと指摘、さらにトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は多くの戦闘員がシリアへ越境攻撃することを許してISを強大化させたと後悔していたと語っている。 おそらく、バイデンは「口を滑らせた」わけでなく、「後悔している」という表現はトルコに対する政治的な配慮だろう。ISの後ろ盾になっているネオコン/シオニスト、サウジアラビア、カタール、イスラエルなどとアメリカのベーカー・グループはつばぜり合いを始めたように見える。 NSAが全世界の政府を監視していることは1972年にNSAの元分析官がランパート誌で明らかにしているが、こうした事実を国のトップがアメリカの支配層に配慮しないで口にすることは注目に値する。 こうした覇権主義を前面に出しているのがネオコン/シオニストであり、「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」に基づく政策を彼らは打ち出している。この草案は2000年にネオコン系シンクタンクのPNACが公表した「米国防の再構築」につながり、ジョージ・W・ブッシュ政権はこの方針に従って中東への侵略と国内のファシズム化を進めた。 ネオコン/シオニストは西側のメディアを従え、彼らに都合の良い「仮想現実」を人びとに信じ込ませ、世界にカオスを広めている張本人。ロシアのウラジミル・プーチン大統領は「アメリカ」と表現しているが、こうした行為を公然と批判し始めた。例えば、10月24日にロシアのソチで開かれた「バルダイ国際討論クラブ」での発言。 今回のテーマは「新しいルールか、ルールなきゲームか」。1991年にソ連が消滅、アメリカとソ連が対立するという冷戦時代は終わり、それまでの国際秩序は崩壊したわけだが、その後の世界ではアメリカが「唯一の超大国」として身勝手な行動を始め、国際法は無視されてカオスが地球上に広がっていると語る。アメリカは世界の支配者として振る舞い、そのためにビッグブラザー、つまりNSAを使って各国のリーダーを監視、脅迫しているとも指摘している。 こうしたカオスを生み出す行動と逆のことをしようとプーチンは呼びかけているように聞こえる。国際法や国際協定に従い、独善的な行動は止め、他者の権利を尊重して新しい相互依存体制を築いていこうというわけだ。 現在、ネオコン/シオニストを中心に集まっている勢力は長期的な見通しがなく、それに替わって自分たちに都合良く作り上げた「予定説」を信仰しているだけ。目先の利害には興味を持つが、哲学もなければ理念もない。 そうしたネオコン/シオニストをプーチンは公然と批判したわけだが、それだけでなく、西側の一部支配層も彼らから離れ始めた可能性がある。ネオコン/シオニストに従属している安倍晋三のような人物を首相にしている日本が置かれた状況は「日独伊三国同盟」を結んだ当時と似ている。
2014.11.09
鹿児島県の伊藤祐一郎知事と県議会は10月7日に九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の再稼働に同意したという。東京電力福島第一原発の事故で大量の放射性物質を環境中に放出、その影響は福島県はおろか、太平洋を越えてアメリカの西海岸に影響は現れているようで、カリフォルニアで先天性甲状腺機能低下症の子どもが増えているとする研究報告もある。 当然、日本でも影響は現れている。福島第一原発事故の時点で18再以下だった福島県民の甲状腺へどのような影響が出ているかを福島県は調べているが、今年6月30日の検査結果によると、受診した約30万人のうち104人が甲状腺癌やその疑いがあると判定されたという。 疑いも含めると10万人当たり約35人。事故前から実施されている宮城県などの癌登録では、10代後半における甲状腺癌の発生率は10万人当たり1.7人だというので、大きな影響が出始めていると言わざるをえない。 無症状の人を網羅的に調べているので、症状がある人を調べた癌登録より発生率は高くなるとする弁明もあるが、そう主張したいなら、その後、無症状だった癌患者に症状が現れていることを示さなければならない。それとも、甲状腺癌は無症状のまま終わるというのだろうか? 事故直後から鼻血がよく出る、あるいは口内炎が同時にいくつもできるといった話は聞かれた。そして甲状腺の異常が多発していることが発覚、少なからぬ子どもがリンパ節転移などのため、甲状腺の手術を受ける事態になっている。 もし、「健診」によって手術すべきケースが見つかっているだけだとするならば、これまで手術すべき人が手術を受けずにきたことになり、年を経てから身体に異常が現れていなければならない。が、そうした報告はないわけで、「健診説」は説得力がない。 それでも影響を否定しようと必死な人たちは「過剰診療」と批判しているのだが、手術を行っている福島県立医大の鈴木真一教授は「とらなくても良いものはとっていない」と反論している。 そうした状況であるにもかかわらず、「専門家」と称する人たちは、福島県内の子どもで見つかっている癌は、被曝の影響ではないと言い張っているらしい。チェルノブイリで子どもの甲状腺癌が増えたのは事故後約4年目以降であり、甲状腺癌は成長が遅いからだという。勿論、説得力は全くない。チェルノブイリでも事故隠しはあったのであり、隠しきれなくなったのが4年目だということだろう。 事故で放出された放射性物質の総量はチェルノブイリ原発事故の1割程度、後に約17%に相当すると発表しているが、その算出方法に問題があるとも指摘されている。つまり、計算の前提では圧力抑制室(トーラス)の水で99%の放射性物質が除去されることになっているが、今回は水が沸騰していたとみられ、ほとんどの放射性物質が環境中に漏れ出たと考えるべき状況。トーラスへの爆発的な噴出で除去できないとする指摘もある。 いずれにしろ圧力容器内の放射性物質がストレートに外部へ出た可能性が高いと言うことであり、原発の元技術者であるアーニー・ガンダーセンは少なくともチェルノブイリ原発事故で漏洩した量の2〜5倍の放射性物質を福島第一原発は放出したと推測している。(アーニー・ガンダーセン著『福島第一原発』集英社新書) 原子力利権集団も被害を隠しきれないと焦り始めたようで、福島第一原発の事故に伴う住民への健康対策を提言するという環境省の「専門家」会議は福島県の甲状腺検査について「心身に負担を与えてしまうなどの問題を指摘」し、「今後のあり方を十分に議論するよう求めている」らしい。情報隠しの仕組みを作ろうとしているとしか考えられない。あとは特定秘密保護法で隠蔽するつもりなのだろう。 こうした住民への影響だけでなく、少なからぬ作業員が犠牲になっているとする噂も流れている。ホームレスの人びとなら闇から闇に葬り去ることは容易。そうした作業は広域暴力団が行い、最終的な処理のために全国の大学医学部が巻き込まれているとする真偽不明の話だ。原発の敷地内で死亡しなければ事故と死との因果関係はないとするのが原発推進派の基本姿勢であり、ありえない話ではない。 原発推進派のマスコミが行った世論調査でも再稼働反対は過半数を占めているが、福島第一原発の事故を見れば当然だろう。長い間、マスコミが広めてきた「安全神話」など吹き飛んでしまった。鹿児島県知事にしろ、県議会にしろ、「安全神話」を信じているわけではなく、「先の事故」よろ「目先のカネ」といったところだろう。要するに欲ボケ。 原発だけでなく、消費税の再増税も「民意」を議員や官僚は無視している。すでに日本の経済は崩壊しはじめているのだが、一向に気にしていない。ボリス・エリツィン時代のロシアと同じで、国民の資産をアメリカの巨大資本に贈呈、自分たちも「お零れ」に与って巨万の富を築こうとしている。今後、どのような政権が誕生しても巨大資本の支配が揺るがないよう、TPPを成立させようともしている。 議員や官僚は「民意」を無視しているわけだが、選択肢のない選挙で「民意」を政治に反映させることは不可能。選択肢があったとしても、選挙を経てきたたわけでない官僚が情報を独占して政策を決定しているような国で「民意」が反映される余地はない。「民意」が反映されているように見えても、メディアに洗脳されて「エリート」が決めた政策を同意しているのが実態だ。 選挙だけで民主主義が機能することはないことを昔の人も承知していた。例えば、アメリカの独立宣言も「革命権」を認めている。 まず、すべての人は平等に造られ、創造主によって生命、自由、幸福の追求を含む権利が与えられていると宣言、そのうえで、そうした権利を確保するために作られた政府が国民の意思に背くなら、その政府を改革し、あるいは廃止して人民の安全と幸福をもたらすためにもっとも適当と思われる原理に基づき、そのような形で権力を形づくる新しい政府を設ける権利が人民にはあると主張している。 この宣言との関係が深いとされているのがアメリカ憲法の修正第2条。「規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるので、人民が武器を保有し、携帯する権利は、これを侵してはならない。」とある。 この革命権が担保になって選挙は機能する。革命権を行使する覚悟のない国民が民主主義を享受することはできない。そうしたことを見通したのであろう、日本では「刀狩り」が行われた。
2014.11.08
アル・カイダの象徴的な存在だったオサマ・ビン・ラディンは2011年5月、パキスタンのアボッタバードでアメリカ海軍の特殊部隊「NSWDG(通称、DEVGRU、またはSEALチーム6)」に殺されたことになっている。そのチーム6の元隊員だというロブ・オニールがビン・ラディン殺害の実行者として名乗り出た。 この話を聞いて奇異な感じを受けた人は少なくないだろう。襲撃の3カ月後に暗殺に参加したチーム6のメンバー20名がアフガニスタンで死亡したとAPが伝えているのだ。乗っていたヘリコプターが撃墜されたのだという。このヘリコプターにオニールは乗っていなかったということになる。オニールは2012年4月にエスクワイアー誌のインタビューに応じているが、まだ隊員だったようなので、撃墜の時にも隊員だ。インタビューでは名前が伏せられている。 しかし、状況証拠やアボッタバードの住民の証言はビン・ラディン暗殺の話に大きな疑問を投げかける。 まず、オサマ・ビン・ラディンは腎臓が悪く、「9/11」の2カ月前、2001年7月には治療をするためにアラブ首長国連邦ドバイの病院へ入院していたと伝えられている。人工透析しなけらばならない状況だったようだ。 その入院患者を見舞うために家族のほか、サウジアラビアやアラブ首長国連邦の著名人が訪れているのだが、その際にCIAの人間と会ったとフランスのル・フィガロ紙は報道している。そうした病人が山岳地帯でゲリラ戦を指揮することは不可能だろうと考える人は少なくない。 しかも、エジプトで出されているアル・ワフド紙の2001年12月26日付け紙面には、オサマ・ビン・ラディンの死亡記事が掲載されている。その10日前、肺の病気が原因で死亡し、トラ・ボラで埋葬されたというのだ。その10年後、チーム6は誰を殺したというのだろうか? 実際、襲撃された家にオサマ・ビン・ラディンは住んでいなかったとアボッタバードの住民は語っている。その家の上空に現れたヘリコプターは1機だけで、10人から12人を屋根に降ろして飛び去り、20分ほどして戻ってきて降りていた人を回収、この作戦に参加していた人びとはパシュトゥーン人の言葉を話していたとも住民は語っている。 ところが、飛び去ろうとしたヘリコプターは爆発で炎上、生存者はいなかったという。その家にビン・ラディンがいて死体を運び出したとしてもアメリカ側の手に渡っていないことになる。海で埋葬したともアメリカ政府は主張しているようだが、その埋葬を行ったとされる艦船の乗組員はその事実を知らない。 2011年といえば、春先からリビアやシリアでアメリカ/NATOやサウジアラビアは体制転覆を目指して軍事作戦を始動させているが、その地上軍としてアル・カイダが使われたことは明確になっている。IS(イスラム国。ISIS、ISIL、IEILとも表記)もその延長線上にある。 この年の10月にはリビアのムアンマル・アル・カダフィが殺され、その直後にアル・カイダの旗がベンガジで翻っている。その5カ月前にビン・ラディンを殺したことにしなければ、アメリカ政府はビン・ラディンと手を組んだという構図になり、「9/11」は何だったのかという疑問にもつながってしまう。そうなると、2001年から始められた中東や北アフリカへの侵略戦争の実態を無視できなくなる人が増えても不思議ではない。 ビン・ラディンを黒幕とする「イスラム過激派」が「9/11」を実行、アメリカは「テロとの戦争」を開始、中東や北アフリカを「民主化」するために戦っているという筋書きを維持するためには、ビン・ラディンが2011年5月まで生きていたということにする必要もある。 アメリカ政府は、2011年5月にSEALチーム6がオサマ・ビン・ラディンを殺したという話を崩すわけにはいかないわけで、オニールの「暴露」はアメリカ政府にとって願ってもないことだろう。
2014.11.07
イラクやシリアで破壊と殺戮を繰り返し、残虐さを誇示しているIS(イスラム国。ISIS、ISIL、IEILとも表記)はイスラエルについてほとんど語らず、パレスチナ人の苦境を救おうとはしていない。イスラエルもISを無視している。 駐米イスラエル大使だったマイケル・オーレンは退任前の2013年9月、イスラエルはシリアの体制転覆が希望だと明言、バシャール・アル・アサド体制よりアル・カイダの方がましだとエルサレム・ポスト紙のインタビューで語っているが、明確な発言としてはそれくらいだろう。 現在、ISはシリアからイラクにかけての地域で戦っているが、元々はイラクを活動の舞台にし、ISI(イラクのイスラム国)と呼ばれていた。この集団は2006年1月にAQI(イラクのアル・カイダ)が中心になって組織されている。AQIは2003年にアメリカがイラクを先制攻撃、サダム・フセイン体制を倒した後に入り込んできたグループだ。つまり、ISはアル・カイダ系であり、イスラエル大使はアサド体制を倒すためなら手を組むと言っていたグループだ。 前にも書いたことだが、ジョー・バイデン米副大統領は10月2日にハーバード大学で行われた講演で、IS(イスラム国。ISIS、ISIL、IEILとも表記)という「問題を作り出したのは中東におけるアメリカの同盟国、すなわちトルコ、サウジアラビア、アラブ首長国連邦だ」と述べた。後に謝罪したというが、この発言に間違いはない。ただ、ネオコンやイスラエルが抜けていることが問題なだけ。 ネオコンはアメリカではなくイスラエルを第一に考えるグループだが、より正確に言うとウラジミール・ジャボチンスキー派。ジャボチンスキーは軍事強硬派で、リクードの祖とも言われている。第1次世界大戦でイギリス軍に参加、イギリスの情報機関MI6や破壊工作機関SOEの協力を受け、シオニストの武装集団ハガナを創設、この集団が後にイスラエル軍の中核になった。「テロ組織」と言われるイルグンやロハメイ・ヘルート・イスラエル(レヒ。スターン・ギャングとも呼ばれる)はハガナから派生した。 バイデンの口から「同盟国」を批判する発言が飛び出した理由は、自分たちがISを作り出したわけでないと認識しているからだろう。副大統領もバラク・オバマ大統領、レオン・パネッタ前国防長官、チャック・ヘーゲル国防長官と同じようにジェームズ・ベーカー元国務長官とリー・ハミルトン元下院外交委員長を中心とするグループに所属しているということだ。 ベーカーは共和党のロナルド・レーガン政権で国務長官を務め、ネオコンと対立していた。1970年代までは民主党がイスラエルに近いと言われていたが、ジェラルド・フォード政権で台頭したネオコンが1980年代に共和党を浸食、ベーカーたちと対立することになったわけだ。2001年に大統領となったジョージ・W・ブッシュはネオコンに担がれていた。共和党と民主党は表のライバル、裏では政党の枠を超えたネオコンと非ネオコンの対立がある。 ネオコンはイスラエルのため、サウジアラビアなどペルシャ湾岸産油国の資金を使い、アメリカの武力を利用して戦っているように見える。サウジアラビアやカタールはISに資金や武器を提供、アメリカ/NATOは戦闘員を訓練し、恐らく情報も提供している。それに対し、アメリカはイラク政府への武器供給を渋り、ISに関する情報も渡していないと言われている。ISが勢力を伸ばしているのではなく、アメリカがISの勢力拡大を支援していると言うべき状況だ。 こうした状況を理解する上で重要な情報がニューヨーカー誌の2007年3月5日号に掲載されている。本ブログでは何度も紹介しているシーモア・ハーシュのレポートで、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアの三国同盟はシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラをターゲットにした秘密工作を開始したと指摘している。この構図は1970年代の終盤、アメリカがアフガニスタンで秘密工作を始めた時点で作り上げられたが、今でも続いている。 長い間、アル・カイダを動かしていた人物はサウジアラビア王室に所属するのバンダル・ビン・スルタン。王立空軍大学を卒業、アメリカのマクスウェル空軍基地で訓練を受け、ジョンズ・ホプキンス大学でも学んでいる。1983年から2005年までは駐米大使、12年から今年4月までは総合情報庁の長官を務めた。現在は国家安全保障問題担当の顧問。 総合情報庁長官時代の昨年7月末、彼はロシアを極秘訪問、ウラジミール・プーチン大統領らに対し、シリアからロシアが手を引けば、ソチで開催が予定されている冬期オリンピックをチェチェンの武装グループの襲撃計画を止めさせると持ちかけたという。 シリアから手を引かないとオリンピック期間中に襲わせると脅しているとロシア側は理解、プーチン大統領はバンダル長官に対し、サウジアラビアとチェチェンの反ロシア勢力との関係を知っていると応じたようだ。脅しに行き、プーチンを怒らせてしまう。ソチでの「テロ」はなかったが、三国同盟はウクライナでの工作を本格化、今年2月にクーデターを実行した。 チェチェンの反ロシア勢力はグルジアのパンキシ渓谷を拠点にしている。そこでCIAはチェチェン人をリクルート、訓練して戦闘員を養成している。その一部がシリアへ派遣され、ISの戦闘員として200名から1000名が戦っていると伝えられている。 シリアではウイグル人も戦闘に参加、その人数は今年の夏に急増したという。新疆ウイグル自治区からカンボジアやインドネシアを経由、トルコの情報機関MITの手引きでシリアへ入るのだとされている。その後、戦闘員は中国へ戻って攻撃を繰り返してきた。民族浄化に失敗したウクライナの東部へISの戦闘員を投入する可能性もあるだろう。 ネオコンにとってISは重要な道具として機能している。中間選挙の結果、アメリカの議会ではそのネオコンの影響力が強まるわけで、アメリカ軍が前面に出るのか、ISが勢いをさらに増すのか。もうひとつの問題はどこまで戦闘員をコントロールできるかということ。 ロビン・クック元英外相が死の1カ月前に書いたように、アル・カイダ(基地、ベースを意味)はCIAが雇い、訓練した数千人におよぶ「ムジャヒディン」のコンピュータ・ファイル(データベース)。いわば派遣戦闘員の登録リスト。派遣切り、あるいは派遣を辞めた戦闘員を管理しきれるかということだ。派遣を辞め、元の雇い主を攻撃する可能性もある。それが傭兵というもの。いずれにしろ平和からは遠のきそうだ。
2014.11.06
アメリカの中間選挙は予想通り共和党が勝利、上下両院で主導権を握ったようだ。この「2大政党」は政策面で大差がなく、経済面では巨大資本/富豪層を優遇、外交面ではイスラエル/シオニストの強い影響下にあるわけだが、それでも「派閥」程度の違いはある。例えば、ネオコン(ウラジミール・ジャボチンスキーの流れ)との関係は共和党が強い。 今回の選挙結果を招いた大きな原因のひとつがバラク・オバマ大統領にあると考える人は少なくないだろう。「チェンジ」を約束して当選したにもかかわらず、前政権の政策をほとんど「チェンジ」できなかったことへの失望だ。 勿論、オバマであろうと、ジョン・ケリーであろうと、ヒラリー・クリントンであろうと、ジョン・マケインであろうと、ミット・ロムニーであろうと、政界で伸し上がるためには支配層と何らかの結びつきが必要であり、ネオコン/シオニストを無視することもできない。議会の中に真の反体制派や革命家が入る余地はない。 選挙とはそうした制約の中で行われるわけで、「支配層とのつながり」を理由に議員や候補者を全面否定できるのは革命やクーデターで体制を変えようと決意している人だけ。そうでなにもかかわらず選挙を揶揄するのは、単に強者、あるいは時流におもねっているだけだろう。保身を図りながら「反体制」を気取り、一種の「優越感」に浸っているとも言える。 オバマが大統領に当選した際、多くの人は「チェンジ」を期待した。もしオバマが敗北し、共和党の候補者がジョージ・W・ブッシュ政権の政策を継続していたならオバマへの希望は続いただろうが、そうはならなかった。そして、オバマへの失望は「二大政党制」という名の一党独裁体制への批判につながっている。そうした意味で、オバマの勝利はアメリカを民主化するために必要なステップだった。 そのオバマ政権は一昨年終盤から昨年初めにかけて政策の変化を図っている。その象徴的な出来事がデイビッド・ペトレイアスCIA長官とヒラリー・クリントン国務長官の辞任。アメリカを戦争に導いていたCIAと国務省のトップが挿げ替えられたということだ。 ペトレイアスはネオコン/シオニストの思えめでたい軍人で、2008年10月にアメリカ中央軍の司令官になっている。中央軍は中東や南アジアでの戦闘を担当しているが、前任者のウィリアム・ファロンはイラン攻撃に反対、ブッシュ・ジュニア政権と対立して2008年3月に「辞任」、ネオコン/シオニストが後釜に据えたのがペトレイアスだった。(間に代行としてマーチン・デンプシー陸軍中将が入っている。)そしてオバマ政権はペトレイアスをCIA長官にする。 ファロンが追い出される1年前、調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュは、アメリカ、サウジアラビア、イスラエルの3カ国がシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラをターゲットにした秘密工作を始めたとニューヨーカー誌に書いている。秘密工作はCIAと特殊部隊が行っているが、そうした動きに正規軍のファロンが反対していたということになる。 現在、オバマ政権はイランと話し合う姿勢を見せ、昨年は、ロシアの介在があったとはいうものの、アメリカ/NATO軍を使ったシリアへの直接的な軍事介入を断念している。そうした流れの中、IS(イスラム国。ISIS、ISIL、IEILとも表記)が突如、勢力を拡大させてきたことは本ブログで何度も書いてきた。 こうした中、レオン・パネッタ前国防長官、チャック・ヘーゲル国防長官、そしてマーチン・デンプシー統合参謀本部議長は比較的、慎重な発言を続けている。パネッタとヘーゲルの後ろ盾はジェームズ・ベーカー元国務長官とリー・ハミルトン元下院外交委員長を中心とするグループ。ブッシュ・ジュニア政権がイラクを先制攻撃した際に浮上、その攻撃を批判していた。 ただ、ヘーゲル長官が軍事作戦の主導権を握っているわけでなく、明確な攻撃の意図を知らせるように安全保障問題担当補佐官のスーザン・ライスに尋ねていると伝えられている。ライスはマデリーン・オルブライト元国務長官の弟子であり、オルブライトはズビグネフ・ブレジンスキーの教え子。オバマもブレジンスキーの教育されたとも言われているので、そうだとするなら、ブレジンスキーの周辺が軍事戦略を作成しているのかもしれない。 このベーカーは1980年代、国務長官時代にイラクをめぐってネオコンと対立していたことでも知られている。ネオコンやイスラエルがサダム・フセインの排除を主張していたのに対し、フセインをイランからペルシャ湾岸の産油国を守る存在だと位置づけて擁護していた。 ホワイトハウスではベーカーに近いグループが勢力を盛り返しているのだが、そうした中、今回の選挙で議会はネオコン/シオニストが影響力を強めた。ペトレイアスは机上の空論を弄ぶタイプだと言われたが、ネオコンにもそうした側面があり、だからこそ危険。 そうした机上の空論を主張してきたひとりが国防総省の「ONA(ネット評価室)」で室長を務めてきたアンドリュー・マーシャル。シカゴ大学で経済学を学び、卒業後は国防省系のランド・コーポレーションに入って核戦争を研究、冷戦時代はソ連脅威論を叫び続け、ソ連消滅後は中国脅威論を主張している。 「アラブの春」やウクライナでの出来事はネオコン/シオニストがアメリカを戦争への道へ引きずり込んでいることを明確にした。ロシアは早い段階から指摘していたが、最近では中国もアメリカへ見切りをつけ、ロシアとの関係を強めている。香港で続く「民主化運動」の背後にNED(CIAの資金供給機関)が存在していることは本ブログでも何度か指摘、中国もアメリカへの警戒感を強めているはずだ。EUとロシアを分断させるというアメリカ政府の戦略が裏目に出たという側面もある。 戦争を行うにしろ、回避するにしろ、中国とロシアとの接近はアメリカの支配層にとって良くない展開。ジョン・ケリー国務長官が「米中関係の強化」を訴えたというが、そうした発言をするのは当然だろう。そうした思惑を破壊しかねないのが議会選挙の結果だ。
2014.11.05
新ロシア(ドネツクとルガンスクの統合人民共和国)で11月2日に行われた選挙で自主独立派が圧勝した。この動きを国連の安全保障理事会は非難する決議を採択しようとしたらしいが、ロシアに阻止されたという。その前、10月26日にキエフ体制が行った議会選挙では好戦派が勝利しているので、ペトロ・ポロシェンコ大統領もそうした流れに引きずられ、西側メディアも世界を戦争へ導くプロパガンダをはじめる可能性が高い。 キエフ体制の議会選挙ではこれまで首相を務めてきたアルセニー・ヤツェニュクの「人民戦線」が22%強を獲得して第1党になり、ステファン・バンデラ派の一角を占める「ラディカル党」が7%、そしてティモシェンコ元首相の「祖国」が6%、ステファン・バンデラ派の「スボボダ」が5%だった。この政党はいずれも好戦派で、停戦には否定的。とりあえず停戦で合意したペトロ・ポロシェンコ大統領の「ポロシェンコ・ブロック」は22%弱で第2位に留まった。 今年2月にネオ・ナチが前面に出て実行されたクーデターに反発したウクライナ東/南部の人びとだが、5月2日にオデッサで反クーデター派の住民が虐殺され、続いてドネツクやルガンスクでも破壊と殺戮が始まってから独立を目指す動きが明確になっている。自治権で収まる段階は過ぎ、東西の対立は修復不能だろう。 こうした中、キエフ体制がウクライナの領土を維持するためには独立派を消滅させるしかない。「イスラエル建国」のときと同じように、前から住んでいる人びとを殺すか追い出すということ。そしてオデッサの虐殺があり、東/南部での民族浄化作戦が始まる。 ドネツクやルガンスクからオデッサにいたるウクライナの東/南部は、1922年にウラジミル・レーニンが住民の意思を問うことなくウクライナへ贈呈した「元ロシア領」であり、今年3月16日に行われた住民投票で96.8%がロシアへの併合に賛成したクリミアは1954年にニキータ・フルシチョフが住民の意思を問うことなくウクライナへ組み込んだ「元ロシア領」。そうした地域に住む人びとを追い出し、自分たちのものにしようとしているのが西部の人びとだ。 こうした無茶な要求を可能にしているのはアメリカ/NATOが後押ししているからにほかならない。電話の盗聴を恐れたのか、4月12日にジョン・ブレナンCIA長官がキエフを極秘訪問してからウクライナ制圧作戦は本格化する。その2日後にアレクサンドル・トゥルチノフ大統領代行が制圧作戦を承認、22日にはジョー・バイデン米副大統領がキエフを訪問、それにタイミングを合わせ、オデッサでの作戦について話し合いが持たれている。そして5月2日の虐殺。 6月2日にはデレク・チョレット米国防次官補がキエフ入りし、ルガンスクへの空爆が始まる。ウクライナの正規軍の内部には、情報機関や治安機関と同じようにクーデターに批判的な人が少なくないため、キエフ政権は東部や南部での民族浄化作戦にネオ・ナチのメンバーを主体に編成した「親衛隊」、あるいはアメリカやポーランドの傭兵会社が派遣した戦闘員に頼っているのが実態だという。アメリカ政府はCIAやFBIの要員をキエフへ派遣、軍事顧問団も入れている。 この軍事作戦は残虐なものだが、その根底にはキエフ体制の支持者が東部や南部のロシア系住民を否定する感情がある。例えば、クーデター前からビクトリア・ヌランド米国務次官補から高く評価されていたヤツェニュク首相は在米ウクライナ大使館のサイトに掲載された文章の中でそうした人びとを「劣等人類」と表現、投機家ジョージ・ソロスと結びついて台頭したユリア・ティモシェンコ元首相はウクライナにいる800万人のロシア人(ロシア系住民)を核兵器で皆殺しにすると口にしている。世論調査をすると東部の゙ドネツクやルガンスクに対して軍事力をもっと使うべきだとする比率は50%に達する。西部の住民は63%、北部/キエフは54%、中部は44%だという。 ただ、キエフ側は正規軍を掌握し切れていないため、ネオ・ナチや外国から雇い入れた傭兵に頼っているのが実態。そうしたこともあり、民族浄化作戦では新ロシア軍に惨敗した。停戦の期間にアメリカ/NATOはテコ入れし、戦闘態勢を整えたようだが、それで勝てるかどうかは不明。 キエフ体制の支持者もそうした状況を知っているのか、NATOへの加盟を支持しているようだ。加盟賛成派は西部で74%(強く賛成は44%)、北部/キエフで64%(強く賛成は38%)、中部で50%(強く賛成は30%)に達する。NATOが東/南部へ攻め込めばロシア軍と衝突、核戦争に発展する可能性が高いことを気にしていないのだろう。核戦争と言っても「スーツケース核」とか「ミニ核」と呼ばれている戦術核兵器ではなく、戦略核兵器の撃ち合いだ。 石原慎太郎と同じように、ネオコンは核兵器で脅せば誰でも自分に従うと思っているらしいが、ロシアをそうした脅しの通用する相手だと考えてはならない。ウクライナへの対応でアメリカの元政府高官も驚くほどロシア政府は話し合い、外交的解決にこだわってきたが、その一方で世界戦争が勃発すると見通し、それを恐れないと明言している。脅しの通用しない相手にネオコンは「チキンレース」を仕掛けたということだ。本人たちはどう考えているか知らないが、日本の政府、マスコミ、そしてロシア嫌いの「リベラル派」や「革新勢力」はネオコン側につき、核戦争への道を選択している。 目前に迫ったアメリカの議会選挙では上院も下院も共和党が勝つと予想されている。ネオコンに引きずられ、人びとを裏切り続けてきたバラク・オバマ大統領だが、両議院とも共和党が主導権を握った場合、戦争の可能性はさらに高まるだろう。戦争で仲間を増やすためにも集団的自衛権は重要であり、韓国を敵に回すような言動を続ける日本政府へ怒りの声をぶつけるのも当然だ。 アメリカ国内に正常な判断のできる人間がどの程度残っているのか、EUの欲ボケしたエリートが目覚めるのかどうか、日米欧以外の国々が戦争回避のために団結できるのかどうか・・・世界はきわめて危うい状況の中にあるのだが、これまで世界を支配してきたシステムが崩壊する可能性が高まっているということでもあり、かすかながら希望の光は見える。
2014.11.04
アメリカやその同盟国から重火器の提供を受けていた反シリア政府勢力の「穏健派」、ハラカト・ハズムやシリア革命戦線がアル・カイダ系のアル・ヌスラに投降、保有するTOW対戦車ミサイルやグラート・ロケット(ソ連が開発した多連装ロケットランチャー)を含む武器を手渡したという。 シリアの反政府軍に「過激派」も「穏健派」もなく、「FSA(自由シリア軍)」や「シリア国民連合」はホテルのロビーや西側の人びとが描く妄想の中に存在しているだけだと言う人もいる。これまでも「穏健派」に提供された資金や武器がアル・カイダ/IS(イスラム国。ISIS、ISIL、IEILとも表記)へ流れていると指摘されていた。 武器の提供だけでなく、バラク・オバマ米大統領は5000名程度の戦闘員を訓練し、アル・カイダ/ISと戦わせると言っているようだが、2011年3月にシリアで反体制運動が武装蜂起へ移行した直後、トルコにある米空軍インシルリク基地では反政府軍の兵士に対する訓練が始まっている。その教官はアメリカの情報機関員や特殊部隊員、あるいはイギリスとフランスの特殊部隊員だという。また、2012年にはヨルダンの北部に設置された秘密基地でアメリカの情報機関や特殊部隊がISの主要メンバー数十人を含む戦闘員を軍事訓練したと伝えられている。戦闘員の訓練はアル・カイダ系武装集団/ISの戦闘力を高めているだけだ。(元々、アル・カイダはアメリカの訓練を受けた戦闘員のリストだが。) ヨルダンでの軍事訓練があった年の11月、デイビッド・ペトレイアスCIA長官が辞任、翌年の2月にはヒラリー・クリントン国務長官もホワイトハウスを去ったことは記憶に止めておくべきだろう。両者は北アフリカや中東を武力で破壊しようとする一派に属していたが、それに対抗してジェームズ・ベーカー元国務長官とリー・ハミルトン元下院外交委員長を中心とするグループが動き始めたのだ。オバマ大統領のほか、レオン・パネッタ前国防長官やチャック・ヘーゲル国防長官もこのグループの指揮下にあると言われている。 1980年代、国務長官だったベーカーはロナルド・レーガン政権でネオコンと対立していた。イラクのサダム・フセイン体制を倒すか、擁護するかで衝突していたのだ。この対立が原因でイラクへの武器密輸が発覚、「イラクゲート事件」と呼ばれるようになる。その際、ベーカー側にはジョージ・H・W・ブッシュやロバート・ゲーツも含まれていた。そのベーカーがジョージ・W・ブッシュ政権以降も動いている。当然、ネオコンも対抗するわけだが、そうした中、台頭してきたのがISだった。 こうした勢力が出現することは2007年の時点で予告されている。調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュがニューヨーカー誌の2007年3月5日号に書いた記事によると、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアの3国同盟はその時点でシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラをターゲットにした秘密工作を開始していたのだが、その手駒としてアル・カイダが使われるのは必然だった。実際、イラクではAQI(イラクのアル・カイダ)を中心にISの母体が2006年に編成されている。 ホワイトハウスでネオコンの影響力が低下していた2013年5月、ネオコンのジョン・マケイン上院議員はシリアへ密入国、FSAの幹部やISを率いているアブ・バクル・アル・バグダディと会談、そのアル・バグダディを動かしている人物がサウジアラビアのアブドゥル・ラーマン・アル・ファイサル王子だと言われている。この王子をはじめとするペルシャ湾岸の富豪がスポンサーというわけだ。 ISは石油や天然ガスで資金を作っているとも言われている。イラクやシリアで盗んだ資源をトルコのジェイハンへパイプラインで運び、そこからタンカーでイスラエルへ輸送、そこで偽造書類を受け取り、EUで売りさばくという仕組みだと伝えられている。 こうした資金がISへ流れ込むことを阻止すれば戦闘員を雇うことはできない。アメリカが武器の提供や軍事訓練を止めれば戦闘力は大幅に低下する。逆に、アメリカが偵察衛星の撮影した画像や傍受した通信内容などをイラク政府やシリア政府へ伝えれば、簡単に鎮圧されるだろう。鎮圧できないということは、その意思がないということだ。
2014.11.03
キエフ体制の議会選挙は脅迫と暴力が横行するもので、投票率は低かった。過去の投票率が平均67%なのに対し、今回は52%にすぎない。合法政権を今年2月のクーデターで倒して成立した違憲体制であり、反発する人が多いことは当然だろう。 そうした憲法違反の体制が存在できているのは、アメリカ/NATOが支えているからにほかならない。「解釈改憲」のレベルを超えている。破壊と殺戮を続けてきた東/南部ではこの体制が受け入れられるはずはなく、民族浄化でロシア語を話す人びとを消し去り、西部に住む「親米派」の人びとを移住させるしかない。 そうした問題を抱えて行われた選挙だが、第1党になったのは首相を務めてきたアルセニー・ヤツェニュクの「人民戦線」で、22%強を獲得した。ヤツェニュクは「祖国」のメンバーだったが、あまりにもユリア・ティモシェンコ元首相が嫌われているため、分けたのだろう。勿論、分離は形式的なもので、背景が西側の「国境なき巨大資本」だということに変化はない。 第2位はペトロ・ポロシェンコ大統領の「ポロシェンコ・ブロック」で、22%弱。次いで「自助党」の11%、「反対ブロック」の9%、ステファン・バンデラ派の一角を占める「ラディカル党」が7%、そしてティモシェンコ元首相の「祖国」が6%、ステファン・バンデラ派の「スボボダ」が5%、「コミュニスト」が4%と続く。このうちコミュニストは潰されてしまっている。 事前の世論調査ではポロシェンコ・ブロックが30%でトップ。人民戦線は11%にすぎなかった。逆転の原因はステファン・バンデラ派が人民戦線に投票したことにあると言われている。停戦を決めたポロシェンコを第1党にさせないため、好戦的な姿勢を見せている人民戦線を勝たせたということのようだ。 つまり、人民戦線の背後にはネオ・ナチが存在しているのだが、そのネオ・ナチはアメリカ/NATOから軍事訓練を受けるような集団で、西側の巨大資本を後ろ盾にする人民戦線とは相性が良い。祖国やスボボダも仲間だと言えるだろう。 こうした好戦派の得票率を合計すると40%になるが、世論調査をすると東部の゙ドネツクやルガンスク(ナバロシエ)に対して軍事力をもっと使うべきだとする比率は50%に達する。地域ごとでは、西部の住民は63%、北部/キエフは54%、中部は44%だという。西部や北部の人びとは戦争熱に浮かされている。 報道管制が布かれているため人びとは東部でキエフ軍が惨敗した事実は知らず、NATOを後ろ盾にすれば簡単に勝てると考えている可能性がある。実際、NATOへの加盟に賛成している人は西部で74%(強く賛成は44%)、北部/キエフで64%(強く賛成は38%)、中部で50%(強く賛成は30%)。 こうした中、軍や親衛隊の中で除隊を求める動きがあり、注目されている。ネオ・ナチは自分たちの要求が受け入れられないなら半年以内に武装蜂起すると脅しているようで、そうした蜂起に参加させないため、ポロシェンコ大統領は除隊を許さないという見方もある。 アメリカのネオコンはイスラエル、サウジアラビア、トルコなどと手を組み、中東/北アフリカを戦乱で破壊しているが、その手駒として使っているのがアル・カイダ、最近ではIS(イスラム国。ISIS、ISIL、IEILとも表記)。ウクライナではネオ・ナチを使っているわけだが、それだけでなくアメリカは東部で破壊工作(テロ)を実行させるため、秘密部隊の準備を始めたとする情報も流れている。NATO加盟国には「秘密部隊」が存在しているわけで、NATOに加盟したがっているウクライナではすでにそうした部隊が存在している可能性が高く、近いうちに何らかの動きがあるかもしれない。
2014.11.02
アメリカ/NATOを後ろ盾とし、暴力に支配されたキエフ体制が10月26日に議会選挙を行ったのに続き、11月2日に反ネオ・ナチのノボロシア(新ロシア、ドネツクとルガンスクの統合人民共和国)が選挙を行うが、それを前にキエフ側は攻撃を激化させている。停戦はキエフ軍が崩壊したことを受けて実現、アメリカ/NATOからの軍事援助を受け、態勢を立て直して攻撃を再開すると見られていたが、そうした見通しが現実化しつつあるようだ。 今年2月にキエフで憲法の規定を無視したクーデターで合法政権が倒された直後は自治権を要求していたウクライナ東部の住民だが、キエフ政権による民族浄化作戦で多くの住民が殺され、100万人近い住民がロシアへ避難するという事態になっていることを考えれば、自治権で収まる話ではない。世界的な投機家、ジョージ・ソロスの資金が入っているヒューマン・ライツ・ウォッチでさえ、キエフ側が住民に対してクラスター爆弾を使ったと批判しているが、それだけでなく白リン弾が使われた可能性は高く、弾道ミサイルが撃ち込まれたとも言われている。 ウクライナの元首相でオリガルヒ(一種の政商)のひとりでソロスの手先として台頭したユリア・ティモシェンコが創設した「祖国」はビクトリア・ヌランド米国務次官補から高く評価されていたアルセニー・ヤツェニュクも所属している政党。 そのティモシェンコがネストル・シュフリチ元国家安全保障国防会議副議長と電話で話している音声がインターネット上に流れたが、その中で彼女はロシア人を殺すと主張、ロシアの焦土さえ残らないようにすると口にしている。ウクライナにいる800万人のロシア人(ロシア系住民)をどうするかと問われると、彼女は核兵器で皆殺しにすると言っている。 こうした考え方をしているのはティモシェンコだけでない。NATOの訓練を受けてきたネオ・ナチ(ステファン・バンデラの信奉者)はオデッサの虐殺を実行、東部の民族浄化にも参加、ヤツェニュクはアメリカのウクライナ大使館のサイトに掲載された文章の中でウクライナの東部や南部の住民を「劣等人類」と表現している。 キエフ体制はオデッサの虐殺を捜査する意思を見せていないが、ペトロ・ポロシェンコ大統領は10月23日にオデッサでこの虐殺を「必要だった」と言ってのけた。オデッサも東部での民族浄化も黒幕/スポンサーは、ウクライナ、イスラエル、キプロスの三重国籍でスイスのジュネーブを拠点にするオリガルヒのイゴール・コロモイスキー。クーデター後、ドニエプロペトロフスクの知事に任命された。 キエフ体制は新たな軍事作戦を準備する時間稼ぎのために停戦したにすぎず、「和平プロセス」を尊重する意思がないことは最初から多くの人が指摘していた。イスラエルが「建国」する際と同じように、彼らは破壊と虐殺で住民を追い出し、自分たちのものにするつもりだろう。これが彼らのいう「安定」。 キエフ体制は正規軍に頼れないことを認識しているはずで、ネオ・ナチの部隊を整備する一方、国外から傭兵を導入しているのだが、問題はそれだけでない。新たな議会では15から20%の議席がネオ・ナチ系だと見られているのだが、そのネオ・ナチが6カ月以内にクーデタを再び行うと宣言しているのだ。 アメリカ/NATOやその傀儡は他国との約束を守らず、国際法も無視して軍事侵略を繰り返しているが、その結果、ウラジミル・プーチン露大統領は西側との秘密交渉を辞めると宣言することになった。アメリカ支配層に買収された西側(EUや日本など)のエリートではなく、人々に直接語り掛ける姿勢を見せ始めたのだ。腐敗したエリートに見切りをつけたということだろう。 この宣言をまとめた記事の翻訳があるので、それを最後に紹介する。金沢美術工芸大学の大谷正幸准教授が翻訳している。
2014.11.01
先月、アメリカをはじめとする少なからぬ国で「キル・ザ・メッセンジャー」というタイトルの映画が公開されている。ハンガリー、マレーシア、カナダ、フィリピン、ポルトガル、ロシア、ウクライナ、エストニア、インド、ルーマニア、クウェート、オーストラリア・・・・といった具合だが、日本は予定されていないようだ。 この映画の主人公、ゲーリー・ウェッブは実在したサンノゼ・マーキュリー紙の元記者で、1990年に起こったサンフランシスコ地震に関する報道でピューリッツァー賞を受賞したことがある。筆者は個人的にも情報交換した経験があり、その誠実な態度は今でも忘れられない。 しかし、ウェッブは2004年12月、ピストルで頭を撃ち抜いて自殺してしまう。頭へ2発の銃弾を撃ち込んでいるということで「他殺説」も流れているようだが、状況からすると自殺の可能性が高いと見られる。ただ、その背景にアメリカの有力紙、つまりワシントン・ポスト紙、ニューヨーク・タイムズ紙、ロサンゼルス・タイムズ紙などとの闘いがあったことは間違いない。 闘いの原因は1996年8月、サンノゼ・マーキュリー紙に連載された「闇の同盟」というレポート。ロサンゼルスへ大量に流れ込んでくるコカインとニカラグアの反革命ゲリラとの関係にメスをいてた内容だった。この反革命ゲリラは「コントラ」と呼ばれ、その背後にはCIAが存在していた。 CIAが資金調達に麻薬取引を利用していることは公然の秘密で、ベトナム戦争の際に東南アジアで行っていた工作に関しては研究者のアルフレッド・マッコイ(現在はウィスコンシン大学マディソン校教授)が『ヘロインの政治学』という本を出している。ベトナム戦争で使われた麻薬はヘロインで、その原料はケシ。ケシの生産地は「黄金の三角地帯」と呼ばれている。そこにはクン・サという人物が君臨していた ベトナム戦争が終わった後、1986年に米陸軍の「情報支援活動(ISA)」の任務で行方不明米兵を捜索していた情報将校のジェームズ・グリッツ(通称、ボ・グリッツ)中佐はそのクン・サに会うことに成功した。 その際、クン・サはグリッツに対してCIAの麻薬取引について語っている。この取り引きを行っていたのはフェニックス・プログラム(本ブログで何度か取り上げたので、今回は詳細を割愛)の人脈。セオドレ・シャックレーやトーマス・クラインなどはマッコイの著作にも出てくる人物で、イラン・コントラ事件にも登場する。クン・サの口から出てきた人物の中で犯罪組織とアメリカ政府をつなぐキーマンだとされたのがリチャード・アーミテージ。日本を戦争へと導いているグループのひとりだ。 コントラを使ってニカラグアの革命政権を倒そうとしていた頃、アフガニスタンでCIAはイスラム(スンニ派)の武装集団を組織、ソ連軍と戦わせているのだが、ここではヘロインが利用された。ケシの生産地はパキスタンとアフガニスタンをまたがる山岳地帯。アフガン戦争の勃発でケシの最大生産地は東南アジアからこの地域へ替わった。ここで生産されたヘロインをヨーロッパへ運ぶ主要ルートのひとつがコソボを通過、アメリカの支援を受けたコソボ解放軍(KLA、またはUCK)の資金源になっている。 コントラのコカイン密輸に関する情報をアメリカの有力メディアは触れたがらないが、1985年にAPの記者だったロバート・パリーはこの取り引きに関する記事を書き、検閲の網をくぐり抜けて表に出ている。彼らの情報源はコントラの教官を務めていたアメリカ人だった。その後、パリーは有力メディアの世界から追放され、現在はインターネット上で活動している。 パリーの記事から11年後、ウェッブはロサンゼルスを舞台としてコントラとコカインとの関係を記事にしたわけだが、そこでアフリカ系の人びとが怒りの声を上げ、公民権運動の指導者やカリフォルニア州選出の上院議員、そして下院議員も半数が麻薬問題の徹底的な調査をジョン・ドッチCIA長官やジャネット・レノ司法長官らに要求し始めたのだ。 こうした動きもあり、有力メディアはウェッブを攻撃し始めた。ロサンゼルス・タイムズ紙の場合、ウェッブを攻撃するため、1994年に自分たちが書いた記事を否定しているのだが、それほどの圧力がかかっていたということだろう。 ジャーナリストだけでなく、ロサンゼルス市警も1980年代に麻薬取引の捜査班を編成、捜査を進めるのだが、その中心にいた捜査官は1990年頃、スキャンダル攻勢で警察から追い出されてしまう。 1970年代にもこの問題を調べていた捜査官がいたのだが、この人物、マイク・ルパートは1977年に警察から追い出されている。後に彼はジョン・ドッチCIA長官へ直接この問題を質問、CIAは内部調査することになる。そして1998年にIGレポートが公表され、ウェッブの記事が正しいことを再確認することになった。が、有力メディアは謝罪も訂正もしないだけでなく、今でもウェッブを攻撃している。なお、ルパートは今年、自殺している。
2014.11.01
日本経済の破綻が指摘される中、日本銀行は10月31日に開かれた金融政策決定会合で追加緩和に踏み切ることを決めた。国債を月に8兆円から12兆円購入、長期国債の保有残高は年間約80兆円相当のペースで増加させるのだと伝えられている。株価のテコ入れ(相場操縦)も続けるのだろう。 GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も株式の運用比率を倍増させるようだが、その一方で国債を売却すると言われている。巨大資本、富豪層の資金を運用しているファンドなどを儲けさせる、あるいは救済させるために年金資金を使うのだろうが、そうだとするならば、天井が近いのかもしれない。 金融緩和によって供給される資金は資金は結局、投機市場へ流れ込んでしまう。相場を引き上げるかもしれないが、実体経済を立て直したり雇用を改善することはない。これはFRB(連邦準備制度理事会)に長らく君臨していたアラン・グリーンスパンも認めている話。実際、この政策で日本の経済を立て直すことはできていない。長期的には悪い影響を及ぼす。 そこで日銀の決定を「狂気」と表現する声も外国から聞こえてくるが、日銀の内部にも反対意見は多かったようで、政策決定に参加した9名の政策委員のうち4名が反対したという。 勿論、日本の「エリート」は賢い。金融緩和が景気へのテコ入れにつながらないことは承知しているはず。つまり、真の目的は別のところにある可能性が高い。金融緩和でアメリカ政府や日米の巨大資本が助けられたことを考えると、そこに目的があるということなのだろう。庶民を食い物にして巨大資本/富豪層を儲けさせることが官僚たちの役割だと言われても仕方がない。 ソ連消滅後、その後継国家になったロシアではボリス・エリツィンという「国境なき巨大資本」の操り人形が君臨していた。外部の犯罪組織的な色彩の濃いグループはエリツィンの周辺にいた腐敗集団と手を組み、国民の資産を不公正な手段で手に入れ、巨万の富を築いて「オリガルヒ」と呼ばれるようになる。当時のロシアでは、このオリガルヒが政府をも支配していたのだが、西側の支配層は全世界を同じ構造にしようとしている。そのひとつの仕掛けがTPPだが、今回の金融緩和にもそうした臭いがする。
2014.11.01
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