森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2013.11.07
XML
私は以前石川啄木の短歌が好きでした。

はたらけどはたらけど猶わがくらし 楽にならざりぢつと手を見る

友がみなわれよりえらく見ゆる日よ 花を買い来て妻としたしむ

わがこころけふもひそかに泣かむとす 友がみな己が道をあゆめり

神経症で苦しんでいた時、石川啄木の短歌に浸っていた。自分の心境を表現しているようだった。
森田理論学習を積み重ねていく過程で、石川啄木に頼らなくても生きていくことができるようになった。
今振り返ってみると、これらの短歌は、常に自分と他人を比較して劣等感にさいなまれているようだ。自分の境遇、自分の能力、自分の努力を他人と比べて価値判断をしている。
その結果、他人の地位、能力に対して、どうして自分は社会的に恵まれていないのだろう。
もっと自分の努力は世間に認知され、それなりの評価を受けてもよいのではないか。

石川啄木は誰よりも名声を求め、経済的に裕福な生活を求め、他人からの承認を求めていたのではないだろうか。そういう生き方は息がつまりそうである。

これに対して、江戸末期の歌人で橘曙覧(たちばなあけみ)という人がいる。
現在はこの人の短歌が好きだ

たのしみは朝おきいでて昨日まで 無かりし花の咲ける見る時

たのしみはまれに魚煮て児等皆が うましうましといひて食う時

たのしみはあき米櫃に米いでき 今一月はよしという時

橘曙覧はもともと大商人の後継者として生まれた人だった。
ところが心境の変化が起こり家を捨て、名誉や利欲を求めず、清貧の生活をされたのである。
欲望を極限までそぎ落とし、自然と一体になり、人や家族を大切にし、あるがままに生きた方である。こうゆう心豊かな生き方は、物質的な欲望が暴走しないように抑えないと得られるものではない。
また人を押しのけてでも、自分の名声を勝ち取るという生活でも、かなえられるものではないと思う。

森田理論は「生の欲望」はどこまでも発揮してゆきなさいと言います。

その両者のバランスのとれた生き方が目標となります。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2013.11.07 07:09:44
コメント(2) | コメントを書く
[観念重視から事実重視への転換] カテゴリの最新記事


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


Re:石川啄木について(11/07)  
zero さん
橘曙覧の短歌、素晴らしいですね。日常に幸せがあることが感じられます。 (2013.11.07 08:39:53)

Re[1]:石川啄木について(11/07)  
zeroさん

平成6年天皇皇后両陛下がアメリカを訪問した時、クリントン大統領から、日本には清貧に生きた素晴らしい歌人がおられますねと紹介されたそうです。
そういえば、上杉鷹山もケネディ大統領が教えてくれました。
森田療法も将来外国で評価されて、初めてその価値が日本人に認知されるようになるだろうと見ています。
現在は森田理論のよさに気づいているのは、ほんの一部の人です。
逆輸入で、評価が高まるというのは、昔からの日本の伝統ですね。 (2013.11.07 17:50:20)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

寒い時期の脳卒中、… New! 楽天星no1さん

長谷寺~室生龍穴神… へこきもとさん

心食動操 メルトスライム25さん
神経症を克服します♪ ROSE33333さん
「私」がいる幸せ えみこた2さん

Profile

森田生涯

森田生涯

Comments

分からない歴20年子@ Re[2]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田生涯さんへ  お返事ありがとうござ…
森田生涯 @ Re[1]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 分からない歴20年です子さんへ コメント…
分からない歴20年です子@ Re:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田を知って随分経つのに今だに難しく感…
森田生涯 @ Re[1]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 長谷川勤さんへ 読んでいただいてありが…
長谷川勤@ Re:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田理論学習のすすめ のブログ 本日初…

Calendar


© Rakuten Group, Inc.

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: