森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2016.01.23
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肩や腰が痛いという慢性疼痛について考えてみたい。
慢性疼痛の人は病院にかかり、薬を飲み、鍼灸、マッサージ等を受けているが全く痛みがなくならないのである。
そういう痛みとの闘いが何年も続いている。それをたびたび口にすると周囲の人を悩ます。

そういう人たちに家族や身近な人どう接したらよいのか。平木英人先生の話を紹介したい。
慢性疼痛の人が痛いといってきたら「また痛んできた。今日はどのくらい痛い。どんな風に痛い」と問いかけてみてください。
患者さんは、自分の言葉で、その独特な痛みを伝えるでしょう。
「腰の真ん中から少し下あたりが、じんじんと火山が噴火するように痛い」というかもしれません。
そうしたら、聞いたとおりをそのまま口に出して返してあげるのです。
「腰の真ん中から少し下あたり。火山が噴火するようにじんじんと痛いんだね」と。

あなたはまた「腰の真ん中から少し下あたりなんだね」と返してやります。
「じんじん痛いの」といえば、「じんじんと痛いのか」と返します。
「どうしても起きあがれないのに、仕事をしなければと気ばかりが焦って」と言えば、「どうしても起きあがれないんだね。仕事もあるし焦るよね」と応じます。
こういったやりとりを通して、あなたは患者さんに対して、「あなたの痛みの場所や痛み方、苦しみ方がよく分かったよ」と伝えることになります。
患者さんは自分の訴えが相手に正しく伝わった、理解してくれたと感じます。

そしてそのあと、「辛いだろうが、希望をもっていこうね」と、励ましてあげるのです。
大切な相手であればあるほど、悩みを訴えられれば一生懸命考えてあげたくなるものです。
しかし、それが不要なのです。ただ受け入れるだけでよいのです。
こうしたやり方で接することができると、患者さんは痛みの悪循環に陥る必要がなくなります。
のたうち回ってまで相手に自分の痛みをわからせようとしなくてすむのです。
この態度が、慢性疼痛という病気に対する治療と看護、そして診療室介助の出発点であり基本となります。

相談した相手に通じないとなると、無意識のうちに痛みがどんどんとひどくなってきます。
患者さんが、「分かってもらえた」と感じると、それ以上に痛みはエスカレートしないものです。
慢性疼痛というのはそういう疾患なのです。

この考え方は神経症の治療と同じだと思います。
神経症も気質的な病気ではありません。

そういう人が集談会にやって来た時はまず相手の悩みをよく聞いて、共感し受容してあげるということだと思います。
この姿勢を崩して、すぐに森田理論の話を持ち出すことは、なんの効果もないということを肝に銘じておく必要があります。
(慢性疼痛 平木英人 ちくま新書 171ページより引用)





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Last updated  2016.01.23 06:56:16
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分からない歴20年子@ Re[2]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田生涯さんへ  お返事ありがとうござ…
森田生涯 @ Re[1]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 分からない歴20年です子さんへ コメント…
分からない歴20年です子@ Re:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田を知って随分経つのに今だに難しく感…
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