森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2016.04.22
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カテゴリ: 生の欲望の発揮
日本には昔、戸主が歳をとると、家督を子どもに譲って隠居をするという習慣があり、生活に困らない楽隠居の身分を「うらやましいもの」と考える社会通念があった。
しかしこれは、老人がいつまでも大家族の支配者として頑張っていては、後継ぎがいつまでも支配者になれないので、隠居という体裁のいい名のもとに、老人を引退させたものと思われる。
実際には楽隠居になって仕事がなくなると、急に老けこんでしまい、世間の人もあまり相手にしてくれなくなるし、隠居させられる身にとっては、決して幸せではなかった。

現代でも定年退職すると、全く仕事から引退する人がいる。
定年退職する前でも、子どもが家を出てゆき、教育費がかからなくなる。
家のローンを払い終えた。親の遺産が転がり込んできた。生命保険が入った。
宝くじなどで一山当てた。等などの理由で消費生活一辺倒の生活に入る人もいる。

これについて水谷啓二先生は次のように言われている。
経済的に豊かな生活をしていても、何らかの意味でやりがいのある仕事をしていなければ、何となく生きがいが失われ、社会からも閉め出されたように思われて、人間として生きる張り合いがなくなるであろう。


森田先生も、「作業欲」は人間の根本的な欲望であると言われている。
もし、人から運動もしくは作業を取り除いたならば、そこに生命はない。
たとえば、小児たちは、身体的にも精神的にも、目が覚めている間は、寸時もじっとしていることはできない。
もしこの小児に対して、運動と作業を全く抑制したときには、その苦痛はいかばかりであろう。
大人でも、ひとたびこれを隔離し、何もさせなかった時には、はじめてはなはだしい退屈の苦痛を感じ、盛んな運動作業欲にかられるようになる。これが人の自然である。

私どもの心身が、たえず活動を営んでいることは、あたかも私どもの心臓や消化器などの内臓が、一時も休息することのないのと同様である。
作業に当たっては、つねに身体的および精神的の機能がよく調和的に働いているのであるが、もし身体的の作業が抑制され、あるいはその機会が奪われた時は、自然に考察、思想などの精神的な方だけが働くようになり、些細な自己の内的感覚にも気づくようになり、これを異常と思い、病的と判断するときには、ますますこれに対する考察や取り越し苦労をたくましくするようになり、しだいに病的感覚を養成するに至るのである。

これから言えることは、神経質者は考察、思想などの精神的な方だけが異常に突出して働くような状態に陥りやすい。
人間にはもともと運動欲、作業欲も備わっているのでそのバランスを意識する必要がある。
精神的な方だけが異常に突出していれば、相当運動欲、作業欲の活性化にエネルギーを投入する必要がある。
(慎重で大胆な生き方 水谷啓二 白揚社参照)






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Last updated  2016.04.22 06:46:07
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分からない歴20年子@ Re[2]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田生涯さんへ  お返事ありがとうござ…
森田生涯 @ Re[1]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 分からない歴20年です子さんへ コメント…
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