森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2016.07.14
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カテゴリ: 生の欲望の発揮
森田先生は薪割りについてこう説明されている。

薪を割る時には、斧も手元も、少しも念頭に置かないで、ただ打とうとする薪の一点にのみ注意を集中して、斧を打ちおろせば、必ず最もよく命中する。

これに反して、もし心が、自分の態度や手元の方に集中する時には、その目的物に対する工夫はそっちのけになってしまって、ただいたずらにハラハラしないように・手の震えないようにとばかり、無理な努力をして、手元はますますぎこちなくなり、10遍20遍いつまで稽古をしても決して上達の見込みはない。

神経症の治りにくい人は、必ずそのうまくできること・そのコツのところ・自分の今まで思いがけなかったこと等に対して、それぞれこれに感心し・なるほどと思うことはしないで、「どうも自分は不器用で、あんな風に、うまくできない」「自分は何事にも、すべて研究心が足りない」と言うふうに考えて、薪割りの実際の事には、少しも身が入らず、いたずらに自分の心の内面ばかりを見つめて観察している。
はなはだしきは、薪の方は見ないで、目を閉じて、話の文句ばかりを考えているという風である。

そしてその時の日記には、「薪割りの講話で、非常にうるところがあった。我々は何事にも研究心を進め、興味を起こすようにしなければならぬ」という風に書いて、薪割りのことはケロリと忘れて、ふりむきもしない。

早く治る人は、必ず早速手を出して、薪割りを始める。そして教えられたとおりにやってみると、思いがけなく直ちに適切に割れるようになる。そこでますます自分自身の工夫も起こり、ますます興味も出てくるのである。
(森田正馬全集第5巻 P640、641、644より引用)

この話で森田先生は何を伝えたかったのか。

それらは森田理論では「生の欲望の発揮」ということである。
「生の欲望の発揮」は生きている限り、燃やし続けなければならない。
さらにその考え方を進めていくと、日常茶飯事から目をそむけてはならない。
しんどいから、面倒だから何もしない。お金さえ出せば人がやってくれる。
少しくらい手を抜いても誰も見ているわけではないということになると、どんどん怠惰な生活に陥ってしまう。それに慣れてしまう。
すると神経質な人は、自分の意識や注意が、不快な気分や身体の違和感に向かって暴走を始めるのである。
「生の欲望の発揮」というのは堅苦しい言葉に聞こえるかもしれない。
中身を見てみると10段階ぐらいのレベルがある。
最初はイヤイヤ仕方なくである。そこから段階を踏んで弾みをつけてゆく。
そしてそのうち一人一芸に挑戦できるようになると、飛行機が離陸するスピードに達してきたという証であると思う。





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Last updated  2016.07.14 06:52:18
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分からない歴20年子@ Re[2]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田生涯さんへ  お返事ありがとうござ…
森田生涯 @ Re[1]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 分からない歴20年です子さんへ コメント…
分からない歴20年です子@ Re:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田を知って随分経つのに今だに難しく感…
森田生涯 @ Re[1]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 長谷川勤さんへ 読んでいただいてありが…
長谷川勤@ Re:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田理論学習のすすめ のブログ 本日初…

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