森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2016.12.30
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カテゴリ: 感情の法則
宮本武蔵の「五輪書」にはこんな一節があります。
「太刀にても、手にても、ゐつくという事をきらう。ゐつくは、しぬる手也。ゐつかざるは、いきる手也」
これは、敵や相手と戦う時に、相手の刀の先や手などに、自分の視線や意識を「居つかせて」しまってはダメだということです。
剣先の動きだけにとらわれるのではなく、視野を広く大きくとって、「その場全体」をふあーっと捉えなければならないということなのです。

なにしろ戦いと言うのは、いつどこから刺客が襲ってくるのか分からない。
周囲ばかりに気をとらわれていると、その隙をついて、目の前の相手が思わぬ動きに出るかも分からない。
つねに「その場全体」をとらえ、さまざまな気配の変化に注意を払う必要があります。
もし変化にとっさに反応できなければ、命を落としてしまうこともあります。
その危険予知能力の高さが、勝敗のゆくえ、命のゆくえを握っているわけです。


このことを森田では「無所住心」と言っている。
我々の心が最も働くときは、「無所住心」といって注意が一点に固着、集中することなく、しかも全神経があらゆる方面に常に活動して、注意の緊張があまねくゆきわたっている状態であろう。
この状態にあって私たちは初めてことに触れ、物に接して、臨機応変、すぐにもっとも適切な行動でこれに対応することができる。
昆虫のように、触角がピリピリしてハラハラしている状態である。

電車に乗っていて吊革を持たず立っていて、少しの揺れにも倒れず本も読める。
スリにも会わず、降りる駅も間違わない。
また車を運転しながら、音楽を聞く。ナビを見たりしていても、車線変更もでき、赤信号ではとまる。交差点では歩行者や自転車に乗った人にぶっつかるようなこともない。

誰でも最初自動車教習所に通い始めて、初めてハンドルを握った時はとても緊張したと思います。初心者のうちはウインカーやバックミラー、シフトレバー、ブレーキ、アクセルなどが気になり、あちこちに注意が向いて固定してしまいます。
車を操作するということが精一杯で、安全に車を動かすための注意の気配りはできていません。
バックをしていて横にぶっかったりして、不安定な走行になります。

でもその段階を乗り越えると、自分の不安や動作にばかり向いていた注意はまんべんなく行き渡るようになります。

また目の動きも適切になり、危険を回避しながらスムーズに車線変更も出来るようになります。

いくら不安な問題を抱えていても、注意の大半は安全走行のために緊張しているのです。
緊張感がなく弛緩状態で車を運転していると危ないことこの上もありません。
「無所住心」という森田の考え方は、症状のみに注意を向けるのではなく、車の運転の時のように、四方八方に注意が向いてくるような生活のことをいいます。





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Last updated  2016.12.30 06:57:07
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分からない歴20年子@ Re[2]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田生涯さんへ  お返事ありがとうござ…
森田生涯 @ Re[1]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 分からない歴20年です子さんへ コメント…
分からない歴20年です子@ Re:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田を知って随分経つのに今だに難しく感…
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