森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.03.06
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カテゴリ: 身近な社会問題
2013年12月の会期末「国家戦略特区法」が国会を通過している。
この法律は日本で規制緩和を進め、外資の日本での自由な経済活動の容認に道筋をつける大変な法律だ。
この法律が成立したことも、その内容も、いまだに多くの国民は知らない。

国家戦略特区法とは、一言で言うと「特定の地区で、通常できないダイナミックな規制緩和を行い、多国籍企業が商売をしやすい環境を作ることで、国内外の投資家を呼び込む」という内容です。
東京や大阪では、 「学校や病院の株式会社経営や、医療の自由化、混合診療解禁など総合的な規制撤廃地区を設けてゆく。まさに「多国籍企業天国」が誕生する。
反対に格差が広がり、一般の国民の生活は大変苦しくなるだろう。
それは、この方向で最先端を行くアメリカを分析すれば容易に分かる。

この制度は導入してから成果が検証され、うまくいけば全国にも広げていく計画だという。
この国家戦略特区を、アメリカの金融アナリスト、ザック・バウマン氏は高く評価している。


2013年7月。政府による戦略特区有識者ヒアリングで、米国モルガンスタンーチーフエコノミストのロバート・フェルドマンは、医療に関する大幅な規制改革を提案した。
この中には、国民の医療の基本負担を6割、喫煙者は7割に引き上げることや、日本の診療報酬をアメリカと統一した疾患分類によって決定することなど、日本の医療制度をアメリカ式に変えていく内容は沢山盛り込まれている。

また、同年10月18日の国家戦略特区ワーキンググループの官邸資料見ると、最も重視されているのは保険外併用の拡充だ。
混合診療拡大することで、価格を自由に決められる新薬や医療行為が増え、特区内での医療費が高騰していくことになる。
その結果、周辺地区でも特区内と同じ治療の需要が上がるだろう。
だが特区と同レベルの新薬や治療法は、公費だけでは支えられないため、結局は規制緩和して公費部門を縮小し、自由診療部門を広げざるを得なくなる。
たとえ国民健康保険は制度として残っていても、使える範囲がどんどん狭くなり形骸化すれば、患者負担は重くなっていくだろう。

「そこで、民間医療保険のビジネスチャンスが生まれるのです」と、ザック・バウマンは目を輝かせる。
「国民健康保険の公費負担分が少なくなればなるほど、それ以外の医療や薬をカバーするために、日本人は民間保険に入るようになるでしょう。やがて貧困層と低所得高齢者、障害者だけが公的保険に入り、それ以外の国民が国民健康保険と民間保険の両方に加入するという、アメリカと同じ図式になります」

「医療・介護部門」が優良投資商品であることを海外投資家や保険や製薬会社はよく知っている。
70万人の加入者を持つ警察共済組合の医療保険は、アクサ生命が100%独占している。

アフラック社のチャールズ・レイク会長は、 TPP推進派の急先鋒である米国通商代表部の元日本部長だ。
「いま日本の医療費は39.3兆円でGDP比ではアメリカの半分ですが、特区で、これがアメリカ並みになれば、約80兆円規模の市場が生まれる。いや、日本は高齢化のスピードが速いから100兆円は見込めるでしょう」という。

つまり日本国民の命を守る国民皆保険制度を形がい化させて、アメリカと同じような儲かる医療制度に変えさせようとしているのだ。
その結果アメリカ資本の生命保険会社、製薬会社が日本で最大の利益獲得を目指して攻勢をかけているのである。
その目的が達成されたとは、現在のアメリカと同じような高額医療のために自己破産者が3人に1人という時代が到来する。その時はそんなに遠い未来のことではない。


この制度はいろんな制約があり、日本のような国民皆保険とは似ても似つかないものとなった。
かえって以前の制度より悪化して、国民を苦しめるものとなっている。
この結果、儲かって笑いが止まらない人が出た。保険会社、製薬会社、ウォール街のビジネスマンである。
なにしろ、そういう会社の人たちが、ロビー活動、政治献金で政府を動かしている。
オバマ政権の中枢に入り、オバマケアの法案を作ったのだから、国民の味方になって作るはずがない。
保険会社、製薬会社などが政府の後押しを受けて今まで以上の利益を上げる仕組みを作ったのである。
今度はその手法を日本に向けて攻勢をかけようとしているのである。
国民の生命を守る医療や介護が儲けのための手段として取り扱われてもいいのだろうか。

2014年1月のダボス会議で、安倍総理は、 「非営利ホールディングカンパニー(持ち株会社)型法人制度」について言及し、投資家たちに日本に新たに生まれる新市場アピールした。
この内容をよく読むと、実際は株式会社が出資できるようになっている。
ひとつの地域内の救急病院や慢性期病院、老人ホーム、介護・福祉施設などをまとめて傘下に置く巨大法人は、経営のプロが運営することで効率化と医療費削減を同時に進め、今の日本で医療、介護分野が抱える財政難と人材不足をしっかり解決できるという。

現在日本やカナダの国民皆保険制度は、相互扶助の精神で国民の命を守る役割を果たしている。
これがアメリカ資本のあくなき儲けの道具として解体させられようとしている。
巧妙にカモフラージュされて攻勢をかけられるので、我々は実態をよく観察・学習して、アメリカ資本の上陸を阻止するか、遅らせる努力をする必要がある。
そのために、有力な学習材料となるのは、堤味果さんのルポである。
「ルポ 貧困大国アメリカ」「沈みゆく大国アメリカ」などたくさんの本がある。
自分で本を読むだけではなく、何人かで集まって議論を深めていくことが極めて大切になる。
なおこの投稿は堤未果さんの本を参考にさせていただきました。





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Last updated  2024.04.07 11:00:13
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