森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.06.03
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カテゴリ: 行動のポイント
音楽家の久石譲さんは、オンリーワンよりはナンバーワンを目指したいという。
オンリーワンであればよい、というのは向上心のかけらもないということだといわれます。

もっと言えば、その社会から降りる、ドロップアウトすることを意味する。
「いい曲ができないんですけれど」
「いいですよ。一生懸命努力したんでしょう。だったらしょうがない」
こんなことを言われて慰められても、ちっとも心が軽くならない。
むしろその程度のものでいいのかと憤りたくなる。
書くからには、いい曲にしたい。
そうしなければ、作曲家としての命運など、あっという間に尽きてしまう。


私の以前勤めていた会社の営業マンで、常にトップクラスの営業成績をたたき出す人がいた。
その人は、見るからに神経質性格の持ち主であった。しかし彼は神経症とは全く無縁だった。
それは真面目で努力家、細かいことによく気がつきやすいという神経質性格を、自分の類まれな長所として捉え、営業活動に存分に活用していた。
口癖は、得意先は10個役にたつことを積み重ねて行っても、 1個、相手の機嫌を損なうことをすると途端に信用を失う。だからアンテナを幅広く張って地道なことを数多くこなしていた。
一度でも信用を失うと、その得意先は他のライバル会社に簡単に鞍替えしてしまうといっていた。

そしてもう一つは、社内でライバルとなる成績優秀な営業マンの動向を常にマークしていた。
ライバルの営業成績よりも少しでも上回ることを目標としていた。
さらに彼は毎年優良営業マンとして社長表彰を受けていた。それも彼の目標だった。
そういう目標がなかったら他の営業マンと同じ程度の成績に甘んじていたのではないだろうか。
彼はオンリーワンであったが、そのうえでナンバーワンを目指していた。

以前、民進党が政権与党だったとき、事業仕分けというのがあった。

その時、事業仕分けをした女性の議員の人が、 「ナンバーワンではどうしていけないのですか。ナンバーツーでもいいのではないですか」と言っていた。
これは資本主義の仕組みをよくわかっていないのではないかと感じた。
資本主義社会では勝ち組企業が圧倒的な力の差を見せつけて、1人勝ちというケースが多い。
負け組企業は市場から退場させられたり、 M&Aで吸収合併させられてしまう。
資本主義社会では常にライバル企業と生死をかけた生き残り競争を繰り返しているのである。

これは資本主義の弊害ではあるが、よい悪いにかかわらずそういう流れになっている。

アメリカや東欧諸国では、オリンピック選手がドーピング検査に抵触する場合がある。
特に金メタルが予想されている選手は、どうしても金メダルをとりたい気持ちが強くなる。
ナンバーワンになるためには、ドーピング検査で引っかかるかもしれないという危険を犯しながらも、薬物に手を出してしまう。
つまり、ナンバーワンになるために、ともすると他人を蹴落をしたり、違法行為に手を染めてしまうということになる。
ナンバーワンを目指す事は、やる気やモチベーションを高めることにつながるが、反面「かくあるべし」を助長して、自分を苦しめる原因になるということは心しておくべき問題である。
またナンバーワンを目指す生き方は、目標がしっかりしている面があるが、休む暇がなく、いつも神経が緊張している。

オンリーワンというのは、 SMAPが歌った「世界に1つだけの花」という歌で有名になった。
これは森田理論の「己の性を尽くす」という考え方に近いものだ。
世の中にはいろんな花がある。どの花もそれぞれの道で精一杯生きていければよい。
人と比較したりして、自分を卑下する必要は無い。それぞれによい点や能力があるはずだ。
自分の特徴や能力を見極めて仕事を選択し、人と競争することなく、マイペースで生活していくことである。

ただ楽器の演奏をしていて思うことですが、その演奏技術を高めていったり、継続していくためには、マイペースで練習だけしていると、途中でマンネリになり練習に身が入らなくなる。
同好の士を集めて切磋琢磨したり、演奏会を企画して、人前で披露するという目標がないと長続きはしない。末永く楽器に親しみ、上達しようと思えば、マイペースでやればよいというだけでは無理があるような気がする。
オンリーワンというのはマンネリ化に陥りやすく、意欲や気力を維持するということは難しい。

また、オンリーワンの生活は、自営業で成功した人や年金がたっぷりある人は可能であるかもしれないが、会社勤めなどをしている人は実質不可能である。
憧れの生き方であるが、絵に描いた餅のようなものである。
だがこの考え方には、物、自分、他人、お金、時間などそのものが持っている特徴や能力を見つけ出して、最大限にその力を発揮するという考え方がある。
森田理論の「物の性を尽くす」という考え方である。
人間本来の生き方としては真っ当な生き方である。
ただ、貨幣経済で翻弄させられているために、全く相反する生き方を押し付けられているのである。

こうしてみると、ナンバーワンがよいとかオンリーワンがよいとか言う問題では無いと思う。
ナンバーワンにもよい点もあれば、悪い点もある。オンリーワンも理想的ではあるが、問題点もある。
それぞれのよいところを取り入れて調和を図ることが必要なのではなかろうか。





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Last updated  2024.06.03 23:34:20
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