森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.06.22
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カテゴリ: 神経質の性格特徴
今日は、青森県のりんご農家である木村秋則さんの紹介をしてみたい。

当時、絶対に不可能といわれた無肥料・無農薬のリンゴ栽培に取り組み、 9年の歳月をかけて成功させた。その間、自分の畑のリンゴは害虫や病気で花が咲かず1銭の収入にもなかった。
自殺まで考えたその木村さんが、今や欲しくても容易に手に入らないような引っ張りだこのリンゴの生産に成功したのである。

そんな木村さんはどんな人であるのか、とても興味がある。
木村さんは前歯がない。入れ歯をすればよさそうなものだが、そういうことには無頓着だ。
また木村さんは贅沢とは無縁の人であった。服装などにもこだわらない。
畳や襖はもう何年も替えていないらしい。
近所の捨て猫を家で飼うので、畳や襖を替えてもすぐに爪を立てられてしまうからそのままにしている。


断っておくが希少価値が高いからといって法外の値段をつけておられるわけではない。
そのための顧客管理のための年代物のパソコンが置いてある。
未だにMS-DOSのマシンを使っている。(2008年の取材当時の話)
そのパソコンの隣には、注文のファックスが山積みになっている。

木村さんはもともと好奇心の強い人であった。小学校の低学年の頃、祖父にせがんでロボットの玩具を買ってもらったことがある。木村さんは家に帰るまでにロボットをバラバラに分解していたという。
大人になってからは、使用できなくなったバイクやトラクターは自分で修理して使えるようにした。
エンジンの改造などはお手のものであった。
そして1つのことにのめり込むと、とことんまで執着するという面があった。
無肥料・無農薬のリンゴ栽培の取り組みもその一つである。
この点は我々神経質者の手本になるような人である。

その日木村さんはとても愛すべきキャラクターを持っておられた。

水戸黄門の笑い声から偉そうな雰囲気をきれいさっぱり抜き取って、陽気さを5割増にすると木村さんの笑い声になるかもしれない。
次に話が面白い。自分を飾る人ではないので、たいていは数限りない木村さんの失敗談を聞くことになるのだが、イントネーションと話の間が絶妙で引き込まれてしまう。
しかも彼の話にはいつもオチがつく。津軽弁の落語を聞いているような感じなのだ。

その木村さんは、リンゴの収入が全然ない時、キャバレーで客引き兼ボーイの仕事をされていた。
何年も続いている栄養不良のせいか木村さんはガリガリに痩せていた。

それを1日500円の契約で貸し衣装やから借りた安物のスーツに着替えて仕事をしていた。
意外なことに、不思議とキャバレーの支配人やホステスさんにとても可愛がられた。
ともに思い通りの人生を歩めないもの同士通じるものがあったようだ。
木村さんはそこで無肥料・無農薬のリンゴづくりの夢を語っていたという。
いつか成功させるという大きな夢を、ホステスさんたちも一緒になって夢見ていたのである。
ホステスさんは、木村さんが夕食も食べずに畑から店に通っていることを知ってからは、交代で弁当を作ってきてくれたという。
そこで3年勤められた。退職されたのはリンゴで生活できるめどが立ったからである。
支配人からは強く引きとめられたが、意思が固いとみて、 「じゃあ頑張って立派なリンゴを実らせてください」と言って、退職金を50万円包んでくれたという。
木村さんの人柄にほれ込むことがなかったら本来もらえるようなものではなかった。

リンゴの収入が全くないときに、周囲の人から白い目で見られたのも事実であるが、そういう時にでも味方をしてくれる人が周囲にいたという。
まったくの四面楚歌ではなかったのだ。孤立はしていたが孤独ではなかった。
電気代とか水道代が払えないときにこっそりと払ってくれた友達もいた。
スクラップ屋の主人もそのうち代金を取らないようになった。
「これ持っていけ」と言って、程度の良いエンジンとかをとっておいてくれたりした。
お金を借りていた銀行の支店長も、利息だけでも払おうと思って、お金をかき集めて持っていっても、受け取らないことはあった。
「それ払ってしまったら、生活費はなくなるだろう」 と言われたことがあったという。
税務署にも赤紙を貼られたけど、課長さんからは、 「いつかあんたの時代が来るから」と言ってずっと励ましてくれた。
リンゴがなるようになってからは、近隣の人は木村さんのリンゴ畑の境にあるリンゴの木を全部切り倒してしまった。いやみでそうされたのではない。
その方は木村さんのやり方に理解がある人で、 「木村さんの畑に自分のまいた農薬が少しでもかかったら、無農薬が台無しになる」と言って自分の家のリンゴの木を切ったのだ。
地元のフランス料理店のシェフは、木村さんの畑にきて、少しでもリンゴが売れるようにと言って、木村さんのリンゴを使った料理を考えてくれた。

木村さんは、自分1人で苦労しているようなつもりでいたが、周りで支えてくれる人がたくさんいたので、ここまでやってこられたのだと言われている。
実家の両親、婿入りした木村家の義理の両親も反対することなくずっと見守っていてくれた。
これだけの人を自然に味方につけていた木村さんはとてつもない人のように思える。

木村さんはもともと好奇心と執着性が強い性格の上に、自然や他人に対する絶対的な信頼感を持った人だった。
私たち神経質者も、心配性であらゆることによく気が付く、好奇心が旺盛である、生の欲望が強い、粘り強い、人の気持ちが手に取るようによくわかるという優れた特徴をもともと持っている。
これらは後から身に付けようと思っても身につくものではない。
そのもともと持っている優れた特徴を生かして、存分にそれらを花開かせて生きていけるようになりたいものだ。(奇跡のリンゴ  石川拓治 幻冬舎より引用)





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Last updated  2017.06.22 06:43:59
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分からない歴20年子@ Re[2]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田生涯さんへ  お返事ありがとうござ…
森田生涯 @ Re[1]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 分からない歴20年です子さんへ コメント…
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