森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.08.29
XML
森田先生は、 「神経症から解放されるための最も大事な条件は、とらわれから離れることである」と言われている。

もう一つは、自分の心がとらわれから離れられないときには、そのままにとらわれていることも、同時にとらわれから離れるところの1つの方法である。 (森田全集第5巻 244 ページ)

この言葉は、もう少し説明しないとわかりにくい部分だと思う。
まず、とらわれたときは、その不快感や恐怖などに対して、やりくりをしたり、逃げ出してはならない。
不快感や恐怖をそのまま味わいつくすという態度になればよいのだ。
苦しければ苦しいままに、恥ずかしければ恥ずかしいままに、イライラすればイライラするままに、沸き起こってきた感情をそのまま素直に感じていればよい。
単純で簡単なことのように思えるが、これを実践すること大変に難しい。一般的には不十分な人が多い。
仮に実践することができれば、神経症のアリ地獄の底に陥ることはない。

そうすれば、我々にもともと備わっていた自己内省力がマイナスに働いてくる。
注意や意識が身体の震えなどのちょっとした心身の変化に向けられくる。
また、自分の性格やふがいなさに向けられていく。
森田理論では、注意や意識をとらわれに向けると、注意と感覚の相互作用が始まる。
一旦始まった相互作用は、坂道を転げ落ちる雪だるまのように加速がついてどんどん増悪していく。
だから一旦始まった。不快感や恐怖などに対しては、とことんまで味わい尽くしてやろうという姿勢をとることが大変重要なのである。最悪なパターンは、十分に味わう過程を無視して、すぐに対策を立ててしまうことである。
これが森田先生が言われている、 「とらわれたときはそのままにとらわれていること」という意味だと思う。

しかし、とらわれた時にとらわれたままにしておくだけでは、神経症からの解放という意味では不十分である。
一方で森田先生は、とらわれたときは決して目的物を見失ってはならないと言われている。
これは、目の前にある仕事や家事や育児を簡単に放棄してはならないという事である。
あるいは、問題点や課題、夢や目標を見失ってはならないという事である。

私たちは、不安、恐怖、不快感、違和感などに襲われると、そちらのほうにばかり注意を集中させて、目的物はすぐに蚊帳の外になってしまう。しまいにはすっかり忘れてしまって、自分の気になる症状の解決に向かって全エネルギーを集中させてしまう。つまり不安と欲望のバランスが崩れ去っているのだ。

症状に陥った時は、森田先生の言われていることとは反対のことばかり行っている。
とらわれた時に、そのとらわれをなくそうとしたり逃げたりしている。
そして目の前の仕事や日常茶飯事は無視している。
こんなに苦しいのだから、他人は私に同情して、大目に見てくれるべきだと思っている。

神経症から解放されるということは、このように口で言ってしまえば簡単なことだ。
しかし実行は難しいことを肝に銘じて、森田理論の学習と実行で、ぜひ自分のものにしてもらいたいものである。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2024.06.03 10:55:25
コメント(2) | コメントを書く
[治るとはどうゆうことか] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

寒い時期の脳卒中、… New! 楽天星no1さん

長谷寺~室生龍穴神… へこきもとさん

心食動操 メルトスライム25さん
神経症を克服します♪ ROSE33333さん
「私」がいる幸せ えみこた2さん

Profile

森田生涯

森田生涯

Comments

分からない歴20年子@ Re[2]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田生涯さんへ  お返事ありがとうござ…
森田生涯 @ Re[1]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 分からない歴20年です子さんへ コメント…
分からない歴20年です子@ Re:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田を知って随分経つのに今だに難しく感…
森田生涯 @ Re[1]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 長谷川勤さんへ 読んでいただいてありが…
長谷川勤@ Re:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田理論学習のすすめ のブログ 本日初…

Calendar


© Rakuten Group, Inc.
X

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: