森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.11.28
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カテゴリ: 生の欲望の発揮
五木寛之氏が次のように語っておられます。

僕はいつも考えていたのが、何で自分が敗戦のときに、かつての大日本帝国である植民地に、その植民地の支配国の少年として生まれたかということです。
あのとき、もし自分が朝鮮人として生まれていたならば、8月15日は祖国が復活した喜びの日である。日本人だから、あそこでは自分の祖国が崩壊した、悲惨な生活の始まりだったわけです。
自分は子供だったから別に植民地にしようと思って朝鮮にいたわけでもないし、朝鮮人を蔑視していたわけでもないんだけれど、でも自分は日本人であったという烙印が背中に押されている。
植民地支配の子弟であった。だから、さまざまなかたちでの迫害とか、戦後の苦しみを得るのは当然のことなんだ。
でも、「俺は別にそういう気持ちはなかったよ、俺は子供だったから責任はなかったよ」と言えないのが、 宿業 なんです。植民地支配者の子弟、その一族の烙印を背中にポンと押されている。
それは否定できないですよ。(親鸞と道元 五木寛之、立松和平 297ページより引用)

自分の力ではどうすることもできないことは確かに存在しています。

白人に生まれたかったのに、黒人として生まれてきた。
平和な時代に生まれてきたかったのに、太平洋戦争の最中に青春時代を過ごす羽目になった。
先進国に生まれてきたかったのに、その日の食べるものにもありつけない貧しい国に生まれてきた。五木寛之氏はこれらを宿業と呼んでいる。

過酷な宿業を背負って生まれてくると、差別や偏見にさらされます。
地位や財産を没収され、命が危険にさらされます。
実際にその宿業の下で虫けらのような悲惨な死を遂げる人も後を絶ちません。
この人たちは失意のうちにこの世を去るために生まれてきたのでしょうか。
仕方のない事なのでしょうか。

森田先生の立場は、そういう境遇を素直に受け入れなさいということです。
自然に服従し、境遇に柔順なれということです。
つまり理不尽で、自分の気持ちや考え方と真っ向から対立している現実を素直に受け入れましょうという考え方です。現実否定、現状否定、事実否定という考え方はとっていません。

事実に対する自覚を深めて、事実唯真の立場を確立していきましょうという考え方です。
そしてそこに自分の居場所を確立していきましょうという考え方です。

森田先生の考え方にはもう一つ大切な考え方があります。
自分の立ち位置が自覚できたならば、そこから 運命を切り開いていく という考え方です。

ですから、人それぞれに取り組むべき課題は異なります。
その課題がやりがいがあるとか小さすぎるとかは関係がありません。
自分に与えられた課題に真剣に取り組むということが肝心です。
宿業振り回されて犬死するような人生であってはならない。
宿業を素直に受け入れて、自分の立ち位置を明確にして、少しでも運命を切り開いていくという方向に向かっているかどうかが問題になってくるのです。





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Last updated  2020.11.28 06:20:05
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分からない歴20年子@ Re[2]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田生涯さんへ  お返事ありがとうござ…
森田生涯 @ Re[1]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 分からない歴20年です子さんへ コメント…
分からない歴20年です子@ Re:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田を知って随分経つのに今だに難しく感…
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