森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2022.01.04
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今日は「啐啄同時」(そったくどうじ)という言葉を取り上げてみたいと思います。卵の中の雛が殻をコツコツとつつくことを「啐」と言います。
親鳥が外から卵の殻をコツコツつつくことを「啄」と言います。
雛と親が同時に殻をつつくことで、無事に雛が生まれてくるのです。
雛がコツコツつついているのに親鳥が気づいていないのでは困ります。
雛がつついていないのに、親が早まって殻を割っても困ります。

森田先生は、神経症の回復にあたっては、神経症者と援助者が「啐啄同時」の関係にならないといけないといわれています。
どうすればそんな関係になれるのか。

神経症で苦しんでいる人は、症状を治したいという気持ちを持っているかどうかが肝心です。親が、子供が不憫なので何とかしたいという気持ちが先行して、集談会にやってきましたというのは問題なのです。一歩譲っても、最終的には本人がやって来ることが必要です。

つぎに集談会にやってくる人は、様子見でやってくる人が多い。

神経症は、気になる不安を取り去ろうとしているうちに、精神交互作用によってどんどん悪化したものです。日常生活に支障をきたしています。
いわばアリ地獄に落ちたようなものです。
できるだけ早くアリ地獄から地上に這い出すことが必要です。
そのためには、別に森田療法でなくても構わないと思っています。
自分に合ったものを見つけて、生活が何とか回りだすということが肝心です。
この段階をクリアすると、最悪期から見るとだいぶ状況がよくなっています。
これで十分だと思われている人は、森田理論学習の必要はありません。
ところが多くの場合、不安にとらわれやすいという面は依然として残っています。今度は生きづらさの解消という課題に取り組む必要があります。
集談会における森田理論学習は、主にそういう人を対象としているのです。
森田理論学習によって、生きづらさを解消して、神経質性格者として、確固たる人生観を確立したい人がコツコツと殻を打ち破ろうとしているならばその人が適応対象者です。

これに対して親鳥にあたる先輩会員はどのように対応すればよいのでしょうか。

また森田理論に沿って人生観を確立した人もいらっしゃると思います。
生活の中に森田理論を応用している人です。
いわば成功体験を持っている人です。

そういう人にありがちなことは、自分のレベルに相手を早く引き上げてあげようとしてしまうことです。
アドバイスも上から下目線でのアドバイスとなります。

相手が見えていないということです。
相手を見るためには、自分の成功体験はしまっておいて、まず相手に寄り添ってあげることが大切です。
自分が話すのは極力少なくして、相手の話をよく聴く。
傾聴と共感と受容の気持ちを忘れないこと。
そして相手が少し頑張れば実行可能な課題をいくつか提案してあげる。
そしていつも気にかけてあげて、側にいて暖かい声をかけてあげる。
相手がその気になっていないときに、自己満足的なアドバイスをしても、ほとんど相手には届いていないと思います。
この点に留意すれば、いずれ相手から感謝されるようになります。





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Last updated  2022.01.04 06:31:22
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分からない歴20年子@ Re[2]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田生涯さんへ  お返事ありがとうござ…
森田生涯 @ Re[1]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 分からない歴20年です子さんへ コメント…
分からない歴20年です子@ Re:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田を知って随分経つのに今だに難しく感…
森田生涯 @ Re[1]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 長谷川勤さんへ 読んでいただいてありが…
長谷川勤@ Re:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田理論学習のすすめ のブログ 本日初…

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