森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2025.10.10
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森田先生は修養は実際を離れてはいけないと言われています。
実際と修養が不即不離でなくてはならない。
事上の禅が必要だと言われている。
これを次のような例で説明されている。

Ⅿ君は、中学では1番で卒業し、士官学校には、ただ1回で、17人に1人の競争試験に合格して、入学したのだから、優秀な人です。
それが大尉にまでなって、それをやめて今は精神病院の看護人をしている。
どうして、そうなるかというと、神経質のいろいろな思想の矛盾からの結果です。
はじめ僕のところに入院し、その後、古閑君・佐藤君のところと、その間、郷里に帰ったり、上京したりして、長い間隔はあったけれど、森田療法の遍歴者であって、療法のための療法、修養のための修養で、いつまでも、物足りないという気分のために、修養ということに執着しています。

Ⅿ君が軍人としての勉強をすれば、すなわちそれが修養になり、向上するけれども、それをやめて、いたずらに修養という机上論にとらわれるから、それが思想の矛盾になって、逆に人生は退歩するばかりである。


この話によると、Ⅿ君は症状を治すことを唯一最大の目的にして生活していることが分かります。
森田先生は神経症を治すための修養はやめて、その時その場で、必要に応じて必要なことを必要なだけ取り組むことが肝心であると言われています。

神経症で苦しんでいる人は、不安や恐怖、違和感、不快感などがあると、まずそれを取り除いて万全の精神状態を作り上げてから行動しようとする。
また仕事をするにあたっては、頭の中で「これならなんとかなる」と納得しようとする。徹底的にシミュレーションをしないでとりかかると失敗ばかりしまうと考えてしまう。
失敗すれば費やした労力やお金が無駄になりかねない。人から嘲笑される。
効率を重視し、やらなければよかったというのは何とか避けたい。
リスクをとることを怖れ、再起不能に陥ることを避けようとする。
挑戦や行動をした結果、たとえ失敗しても貴重な経験の蓄積は、人間としての成長につながるという考えは無視しているのである。

森田先生は「事上の禅」で伝えたいことは次のようなものです。
不安や恐怖、イヤな気分を観念の世界でどうにかしようとするのではなく、それらを「あるがまま」に認めて受け入れ、目の前の「なすべきこと」に視線を移して行動するということになります。

例えば、緊張や不安を感じているときに、「どうしてこんなに不安なんだろう」「この不安を取り除かなければ」と考えるのではなく、「不安を感じていても、やるべき仕事や家事に手をつける」という態度で生活することです。
感情や気分と実践・行動はきちんと分離するということです。

​行動を通じて現実に向き合うと、その結果として、心が次第に安定し、より豊かな生活を送れるようになる ということです。​



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Last updated  2025.10.10 06:29:40
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分からない歴20年子@ Re[2]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田生涯さんへ  お返事ありがとうござ…
森田生涯 @ Re[1]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 分からない歴20年です子さんへ コメント…
分からない歴20年です子@ Re:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田を知って随分経つのに今だに難しく感…
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