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源氏物語〔36帖 横笛 19〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔36帖 横笛〕 の研鑽」を公開してます。もっとも、人は相手を遠くから思い描いているうちは理想ばかりが膨らみ、実際に近づけば思い描いていた姿との違いに失望することもある。恋だけでなく、どのようなことでも空想を重ねすぎれば、やがて幻滅が生まれるものだと考えた。そう思いながら、今度は自分と夫人との年月を振り返った。まだ何の飾り気も見栄も知らなかった少年少女の頃に結ばれ、そのまま長い歳月を共にしてきた。その年月の積み重ねがあるからこそ、夫人が今では遠慮なく振る舞い、ときに気位の高い態度を見せるようになったのも無理のないことなのだろうと、大将は静かに受け止めていた。やがて少しまどろんだ頃、不思議な夢を見た。病床で最後に会った時と同じ袿姿の柏木が、すぐそばに立ち、今夜持ち帰った横笛を静かに手に取っている。夢の中の大将は、柏木もなおこの笛に強い執着を残しているのだと感じた。柏木は笛を見つめながら歌を詠んだ。
2026.09.07
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源氏物語〔36帖 横笛 18〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔36帖 横笛〕 の研鑽」を公開してます。しかし夫人は不機嫌なままで、一言も返事をしなかった。屋敷のあちこちでは寝ぼけた子どもが何かをつぶやき、女房たちもそれぞれの部屋で眠っている。人の気配に満ちた賑やかな自邸の夜と、静寂だけが支配していた一条の宮の夜とでは、あまりにも趣が違っていた。その対照を思い比べながら、大将は御息所から贈られた笛を静かに吹いた。その音を響かせながら、大将の心は自然と一条の宮へ戻っていく。自分が帰った後、御息所と宮はどれほど寂しい思いで月明かりを眺めているだろうか。今夜弾いた琴も、宮が合わせた十三絃も、そのまま部屋に置かれた。二人が亡き柏木を偲びながら静かに触れているのではないか。御息所は和琴にも優れていたはずだから、今ごろ母娘で静かに奏で合っているのかもしれない。そんな情景が次々と心に浮かんだ。さらに大将は、どうして柏木はあれほど気高く美しい宮を、形式の上では大切に扱い、本当の意味で深く愛そうとはしなかった。
2026.09.06
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源氏物語〔36帖 横笛 17〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔36帖 横笛〕 の研鑽」を公開してます。歌を交わしてもなお立ち去ることができず、大将はしばらくその場に立ち尽くしていた。気づけば夜はすっかり更けていた。ようやく自邸へ戻ると、格子はすべて下ろされ、屋敷中が寝静まっていた。一条の宮へ心を寄せ、たびたび見舞いに通っていることを夫人へ告げ口する者がいた。そのため、夫人は近頃、大将が夜更けまで外で過ごすことを快く思っていなかった。夫が帰宅した気配には気づいていたが、あえて眠っているふりを続けていた。大将は美しい声で古歌を口ずさみながら部屋へ入り、どうしてこんなに早く戸を閉めてしまったのだろう。皆あまりに引っ込み思案だ。これほど美しい月夜を誰も眺めようとしないとは惜しいことだとため息をつき、自ら格子を上げさせ、御簾も巻き上げさせて縁近くへ出ると、そのまま横になった。そして夫人へ、こんなすばらしい夜に眠ってしまう人があるものだろうか。少しこちらへ出ておいで。月を眺めながら話でもしようと声をかけた。
2026.09.05
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源氏物語〔36帖 横笛 16〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔36帖 横笛〕 の研鑽」を公開してます。また柏木が、生涯で最も大切な女性へこの笛を譲りたいと語っていたことまで思い出され、先ほど形見の琴に触れた時以上に胸の奥からさまざまな感情が込み上げてきた。大将は試しに笛を口へ当て、盤渉調を半ばほど吹き奏でた。澄みきった音色は静かな夜気の中へ遠くまで流れていった。亡き柏木の面影まで呼び戻すように感じられた。しかし吹き終えると、「故人を偲んで琴を弾くことはまだよいとしても、この笛を吹くのは、あまりにも晴れがましく、私にはまぶしすぎる気がする」と言い、名残を惜しみながら帰ろうとした。その時、御息所は別れを惜しむように歌を詠んだ。露深い葎の宿にも、昔の秋と変わらぬ虫の声だけが聞こえている。亡き人だけがいなくなり、季節も虫の音も昔のままであるという寂しさを託した歌だった。大将もすぐに返歌した。横笛の調べだけは昔と少しも変わらない。その音を奏でていた人だけが空しく世を去り、その余韻だけが尽きることなく胸に残る。
2026.09.04
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源氏物語〔36帖 横笛 15〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔36帖 横笛〕 の研鑽」を公開してます。今宵の音楽の余韻をそのまま託したような品であった。大将はその心遣いの深さを受け止め、胸にさまざまな思いを抱きながら夜更けの邸を後にした。大将は御息所から差し出された笛を前にすると、その由緒を思い返した。この笛は古くから伝わる名器だと聞いていた。このような女だけの住まいに置いておくのも、名高い楽器には気の毒なことだ。持ち帰って吹いてもらえれば、外で供人たちの先払いの声に交じる笛の音を、こちらでも楽しみに聞くことができるだろうと御息所はそう言って、静かに笛を大将へ託した。大将は遠慮するように、「未熟な私がいただくには、あまりにもふさわしくない品でしょう」と答えながら笛を手に取った。その笛は柏木が生前いつも愛用していたものであり、大将自身も何度となくその音色を耳にしてきた。自分ではこの笛の真価を十分に引き出せるほど巧みに吹くことはできない。
2026.09.03
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源氏物語〔36帖 横笛 14〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔36帖 横笛〕 の研鑽」を公開してます。秋の夜にいつまでも長居していては、亡くなった人から咎められるような気もするので、今日はこれで帰ることにしよう。また日を改め、新しい気持ちで訪ねて来たい。この楽器はそのまま置いておいてもらえないだろうか。人生にはいつ何が起こるかわからない。不意の別れが訪れないとも限らないので、それが気がかりなのだと語った。それでも大将は真正面から恋心を打ち明けようとはせず、遠回しな言葉の中にだけ思いを忍ばせて別れを告げた。その気持ちは十分に伝わるほどでありながら、最後の一線だけは越えようとしなかった。大将を見送った御息所は、「今夜の風雅なひとときをとがめる人などおりますまい。昔のことを思い出させるようなお話も、ほんの少ししか聞かせてもらえなかったのが残念でならない」と伝え、贈り物に一本の笛を添えて大将のもとへ届けさせた。笛は単なる餞別ではなく、亡き柏木を思い起こさせる形見でもある。
2026.09.02
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源氏物語〔36帖 横笛 12〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔36帖 横笛〕 の研鑽」を公開してます。言葉に出さないことこそ、口にする以上によく気持ちを表すものだ。人目を恥じているその様子に、かえって心が現れているように見えると詠んだ。それに応えるように宮は、想夫恋の終わりの部分だけを静かに合わせて弾き、夜更けの哀しみだけはよく聞き分けられるが、それ以外に何を語ればよいのだろうと返した。宮の爪音は実に趣深く、琵琶という大まかな響きを持つ楽器でありながら、長年磨き上げられた技が加わることで、澄み切った気高い音色となって夜気の中へ溶け込んでいった。ほんのわずかな時間しか演奏しなかったにもかかわらず、その響きは深く心に残り、大将はもっと聞きたいという思いを抑えきれなかった。宮はそれ以上弾こうとはせず、静かに手を止めてしまったため、大将は物足りなさを覚えながらも、その慎み深さにますます心を奪われた。やがて大将は名残惜しそうに立ち上がり、今夜は風流に心を任せて、さまざまなことをお見せしてしまった。
2026.09.01
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源氏物語〔36帖 横笛 13〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔36帖 横笛〕 の研鑽」を公開してます。言葉に出さないことこそ、口にする以上によく気持ちを表すものだ。人目を恥じているその様子に、かえって心が現れているように見えると詠んだ。それに応えるように宮は、想夫恋の終わりの部分だけを静かに合わせて弾き、夜更けの哀しみだけはよく聞き分けられるが、それ以外に何を語ればよいのだろうと返した。宮の爪音は実に趣深く、琵琶という大まかな響きを持つ楽器でありながら、長年磨き上げられた技が加わることで、澄み切った気高い音色となって夜気の中へ溶け込んでいった。ほんのわずかな時間しか演奏しなかったにもかかわらず、その響きは深く心に残り、大将はもっと聞きたいという思いを抑えきれなかった。宮はそれ以上弾こうとはせず、静かに手を止めてしまったため、大将は物足りなさを覚えながらも、その慎み深さにますます心を奪われた。やがて大将は名残惜しそうに立ち上がり、今夜は風流に心を任せて、さまざまなことをお見せしてしまった。
2026.09.01
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