今が生死

今が生死

2020.07.12
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テーマ: 検診(22)
カテゴリ: 健康
中山先生について書かれた「鬼手仏心」を読むと中山先生は鬼の手のように人の体にメスを入れるがその心は仏で患者さんのために全力を尽くした神様のような人で若手医者の育成のためにも素晴らしい道筋をつくり実践してきた人として紹介されているが実際には欠点のない完璧な人はいないと思う。中山先生も千葉大教授時代に死亡診断書の死亡時刻を遅らせて内縁だった奥さんの遺産相続に便宜を払いお金をもらっていた事件があり、それが原因で千葉大を去り女子医大に移っている。腕は超一流だったが権威主義とか金集め体質とかもあったのかも知れない。しかしだからと言ってその業績や指導の内容などは消えるものではない。中山先生は食道がんその他の消化器系疾患の治療に際してもう少し早く見つかっていれば治してあげることが出来たのにと思うことがしばしばあった。そこで早期発見、早期治療の重要性を身に染みて感じられ女子医大に健診部門を立ち上げてがんの早期発見に尽力した。
先生は2005年6月に94歳で亡くなったがそれまでに慶応大学放射線科の近藤誠先生の「がんは放置が一番」、「手術も抗がん剤も放射線治療も却って死期を早める」「がんが治ったと言っているがそれは癌もどきで本当の癌は何をしても治らない」「検診は100害あって一利なし」などの著作も読まれていたのではないかと思う。自らが心血を注いで行ってきた外科手術や抗がん剤治療など全て否定され、早期発見のための検診も一利なしと否定されどのようなお気持ちだっただろうかと思った。「鬼手仏心」の本の中にはそれに関する記述はなかったが、恐らく「近藤誠先生は実際にがん患者を受け持って治療したことがないからそのようなことがいえるのだろう」と思っていたのではないかと思う。近藤誠先生は慶應義塾大学をトップの成績で卒業されたとの記述もあり、頭の良い方で海外の文献を含めあらゆる文献を読まれてそのような結論に至ったと思われるが、医学文献は山のようにある。その中から自分の考えに都合の良い文献を集めると近藤先生のような考えになることもあるのかもしれないが実際には治療の現場で日々奮闘し考えてきた先生の方が正しいことをいっていると思う。私は今まで実際の診療の場や健診の場で経験してきたことから、中山恒明先生の教えの方が近藤誠先生の理論よりはるかに重みがあり正しいと信ずる。





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Last updated  2020.07.13 12:42:51
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