再出発日記

再出発日記

PR

フリーページ

お気に入りブログ

『イラク水滸伝』(復… New! Mドングリさん

10/22-2:山形県・山… New! 天地 はるなさん

ベランダだより 202… New! シマクマ君さん

体感治安の悪化 New! 七詩さん

「おすわり」2 New! ポンボさん

カレンダー

2008年02月13日
XML
カテゴリ: 邦画(08)
この映画に期待したのは、映画としての完成度ではない。先週 「デスノート」 について語ったので、どのように決着がついたのか一応確かめておきたかっただけ。よって、確認しておきたいことは以下の三つだけだった。

この映画でL(エル)は、デスノートを使うか。
前作でデスノートは焼却処分にしたとなっていたので使うはずがない、という人もいるかもしれないが、いつ焼却したかは語られていなかった。しかもあのノートは紙の切れ端に書いても、効力を発するのである。でも使ってしまったら前作のラストはなんだったのだ、と言うことにはなるけれどもね。

Lは本当に死んでしまうのか。
もし死ななかったら、あの映画のラストは何だったんだ、と非難轟々だというかもしれないが、けれどもなんでもあり、というのが続編ものの伝統ではある。そうやって、人気が出た主人公のシリーズ化というのも過去ないわけではない。(「ゴジラ」シリーズ、「男たちの挽歌」)

監督が中田秀夫に変わったが、彼の持ち味は出るのか。 ということである。

結果はどうであったか。

すみません、以下はある意味ネタばれです。

L change the WorLd
監督 : 中田秀夫
出演 : 松山ケンイチ 、 工藤夕貴 、 福田麻由子 、 南原清隆 、 福田響志 、 佐藤めぐみ 、 平泉成 、 藤村俊二 、 鶴見辰吾 、 高嶋政伸



中田監督はなぜこの作品を引き受けたのだろうか。「デスノートの世界とは全く違った世界を作りたかった」と監督は言っているらしいが、それはこういいかえることができる。「デスノートはあれだけで完結した作品である。配給は金もうけのために三匹目のどじょうを狙って、私に白羽の矢が立った。けれども、あの世界以上のものを作るのはそもそも無理だ。しかし私も次回作のために、お金はほしい。どうせどんなB級作品を作っても、あれだけのキャラクターならば、そこそこ儲かるだけの宣伝はするだろう。それならば、キャラのみを変えてB級作品を作ればいい。それからともすると、あの前作で天才待望論的な作品世界を作ってしまった。小泉待望論なんかを見ていると、そんな世の中はあぶなかしくて見ていられない。私はそれも壊したい。」もちろん、まじめにそういうテーマに取り組むという手段もあったのでしょうが、中田監督は映画業界を熟知しているので、えらい目をしてまじめに取り組めば取組むほど、その映画は売れなくなるということをよく知っていたわけです。だから、あえて突っ込みどころ満載のB級映画を作って、一番最後に付け足すように、 「よく覚えておくんだ。天才一人で世界を変えることなんかできないんだよ」 とエルに言わせるわけである。(紋切型でまるで説得力がないセリフであるが、松山ケンイチ人気で映画館に足を運ぶ若者にとってはそのぐらいで十分説得力はあるのである。)これで配給も利益が出るし、中田監督も次回作が作れる、しかも若者の天才あるいは英雄待望論に少しだけストップをかけることができる、三方丸くおさまって万々歳ということである。B級作品万歳。中田監督はつくづく「大人」である。だから中田ホラーは今回はほとんど封印されている。

そういうわけで、今回冒頭前作の「デスノート」の映像はふんだんに出るが、そもそもデスノートの世界観を壊すことが目的なので、当然ノートは使われない。ただ、私自身はひそかにノートは使わないが、次のからくりは使ってほしいと思っていた。
デスノートにより、エルは23日後に死ぬことが決定していた。それは言いかえれば、23日間は「絶対に死なない」ということと同議である。それを使ってエル自身が絶対に死ぬようなところにわざと赴き状況を逆転させるというからくりである。
けれどもそれさえ使われなかった。
それぐらい使ってよ、と私は思う。そうでないと冒頭デスノート世界が映像として出た意味がないじゃん。
でもそれぐらい徹底しないと「デスノート」の世界は壊れないのかもしれない。

だから、よって、結局、エルは死ぬのである。まあいいんだけどね。

脚本はむちゃくちゃだったけれども、松山ケンイチ 、福田麻由子も持ち味をきちんと出していて、気持ちよかった。工藤夕貴は別人に思えるくらいに役になり切っていたと思う。高嶋政伸は脚本がむごかったので、頑張っているんだけど、説得力がなかった。存在感が出ていたのは、工藤夕貴ら人類抹殺計画に賛同している若き女性テロリスト佐藤めぐみの「行っちゃっている」演技である。かわいらしい女の子が狂信的になり、残酷になると本当に怖い。これだけはホラーだった。彼女、どっかで見たなあ、みたなあ、と思っていたら、なんと「ちりとりてん」のA子だった。びっくり。正反対の役だ。まだ映画にほとんど出ていないので、これから注目。

ところで、今秋の少年ジャンプで「デスノート」特別編が掲載されていた。夜神月が死んで三年後の物語である。キラもどきが出現してニアが退治するという筋書きだ。結局この特別編でわかったことは、もう二度と第三部「デスノート」はありえないということだ。なぜなら、デスノートの存在はニアだけでなく、FBIも日本の警察も何人も知れ渡っていて、今回ニアが簡単にキラもどきを退治できたように、今度デスノートが出現しても普通の展開ではデスノートは使えなくなっているからだ。今度使えばありえるのは、ハルマゲドン、デビルマンの世界になる。キラ軍団が出現して、戦争になるだろう。この物語の魅力である、頭脳戦にはならない。そんなマンガを描いても意味はないだろう。結局「デスノート」はそのような際もののとして、マンガの歴史に埋もれていくのが、真っ当な展開と言うものだ。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2008年02月13日 23時31分41秒
コメント(2) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ

利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


読み切りの事  
た~ん さん
どうも
(^o^)/
俺としてはですね、Cキラでもなんでもいいんですが、
あれを『人殺し』と一蹴するのは構わないんだけども、
夜神月だって、
「ただの『人殺し』である」
という事を一応書いておくべきだったんじゃないかと思うんですよね。
あれじゃ、信念や理想があれば同じ『人殺し』でも英雄的?であるかのように読めるんじゃないかという気がするんです。
要するに夜神月ってキャラは、
ちょっと賢いのかもしんないけど、他は別に、特別でもなんでもない、ただのわがままな子供、
自分の理想というか妄想を他人にも押し付けたがる独り善がりの、簡単に言えばただの『ガキンチョ』でしかないわけで、
そういった事を、お節介で馬鹿丁寧になるのかもしんないけど、(いろんな人が読むにせよ)看板は少年誌なんだから、
大人がちゃんと書いておくべきじゃなかったかと俺は思うんですね。
あ、でも、もしかしたら、松田の言動の「気持ち悪さ」でそういうバランスを取ろうとしてたのかなぁ?
(2008年02月14日 04時27分54秒)

Re:読み切りの事(02/13)  
た~んさん
「月も人殺しである」と書くべきである、と言うはその通りだと思います。それを書ききれない、と言うところに、おそらく原作者自体が、月はもしかしたら単なる人殺しではないのかもしれない、と思っている可能性があります。そもそもこの原作者の正体は未だにわからないのですが、そうあり方時代が、今の2チャンネル時代の「幼稚さ」を示しているような気がしてなりません。「人間とは何か」をあまり突き詰めては居ないのではないでしょうか。
デュークは「人間て面白い」とはいうのですが、あの場合、自殺する可能性と言うのは私は50%以下だったと思います。あんな短篇で、「人間て面白い」と思われたら堪らない、と言うのが私の感想です。
「きわもの」として漫画史の中にうずもれて欲しい、と書いた所以です。 (2008年02月17日 00時22分24秒)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

キーワードサーチ

▼キーワード検索

コメント新着

ヒフミヨは天岩戸の祝詞かな@ 自然数の本性1・2・3・4次元で計算できる) ≪…三角野郎…≫は、自然数を創る・・・  …
永田誠@ Re:アーカイブス加藤周一の映像 1(02/13) いまはデイリーモーションに移りました。 …
韓国好き@ Re:幽霊が見えたら教えてください 韓旅9-2 ソウル(11/14) 死体置き場にライトを当てたら声が聞こえ…
韓国好き@ Re:幽霊が見えたら教えてください 韓旅9-2 ソウル(11/14) 死体置き場にライトを当てたら声が聞こえ…
生まれる前@ Re:バージンブルース(11/04) いい風景です。 万引きで逃げ回るなんて…
aki@ Re:書評「図書館の魔女(4)」(02/26) 日本有事と急がれる改憲、大変恐縮とは存…
北村隆志@ Re:書評 加藤周一の「雑種文化」(01/18) 初めまして。加藤周一HPのリンクからお邪…
ななし@ Re:「消されたマンガ」表現の自由とは(04/30) 2012年に発表された『未病』は?
ポンボ @ Re:書評「図書館の魔女(4)」(02/26) お元気ですか? 心配致しております。 お…
むちゃばあ@ Re:そのとき 小森香子詩選集(08/11) はじめまして むちゃばあと申します 昨日…

バックナンバー

・2024年11月
・2024年10月
・2024年09月
・2024年08月
・2024年07月
・2024年06月
・2024年05月
・2024年04月

© Rakuten Group, Inc.
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: