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……いかん。二日目にしてやばい。全然書けん。書き溜めあるからいいけど、こんなんすぐに挫折するぞ。やるべきじゃなかったか……とにかく、更新はしましたのでどうかお読みになってくだせえ。
2011.03.31
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申し訳ありませんが、管理人は本日LE運営不能な状態に陥っているので緊急的に営業を休止いたします。誠に申し訳ありません
2011.03.30
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2011.03.29
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2011.03.28
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突然申し訳ないですが、今書いてる小説を更新し続けます。いや、全然進まないので……「一日更新し続けて、それを見てもらおう」と覚悟すれば書けるかなと。なんか昔聞いたブログダイエットみたいなもんですね。それじゃ、楽園のサジタリウス(第三稿)通称楽サジ3開始いたします。感想があれば途中でも是非に。
2011.03.27
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……はい、そこ物投げないでください。言いたいことは色々あるでしょうがまあ一つ落ち着いて。言うまでもないと思いますが、今回出てきた『鍵(キー)』は一年前まで放映していた傑作特撮ヒーロー物の丸パクリです。認めます。はい。いや、たまにあるんですこういうの。なんか面白いストーリーとか設定見るとそれの影響受ける(パクる)って。でも何に使うか悩んでたんですが、今回日の目を見れましたね(見せてよかったかは知らんけど前回はヘレナの話だったので、今回は麻紀の話。麻紀の過去から、戦う術を手に入れるまでを書くつもりでしたが…正直、地震は起こるわリアルがとんでもなく忙しくなるわで全然時間取れなくてこんな有様に。もっと色々書けたよなあ。今回の敵役も八年前から。しかし昔は『笑撃将軍』……馬鹿な名前つけたよなあ。初期設定だと十六将軍は全員~撃だったから、氷結も実は氷撃だったんです。あんまりにもあんまりなもので改めました。あいつの設定の元ネタは痛快娯楽復讐劇のラスボス――ではなく、少年誌では一番有名な麻雀漫画のキャラでしたね。ただルイも犠牲者として描いたのは、これから八年前の戦いに深く入り込むための布石でもあります。……しかしそんな機会あるのかなあ。これからますます忙しくなるだろうし、もうサイトは閉鎖した方がいいのかもしれん。どうすっか今本当に悩んでる最中で……いや、これは後書きで話す内容ではないな。もうちょっと麻紀関連で話作るべきだよな……ではまた、いつか会える日まで
2011.03.26
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「……あいつの遺体は?」「埋めてきた。まあボロボロのグズグズだったがな。あれはやっぱり、キーの影響か?」「多分ね……本来一本入れるだけでも使用者の肉体を破壊する代物だもん。ルイほどキーを使用した人間なら、死んだ後肉体が破壊されるのは当たり前だよ」「麻紀は?」「部屋で寝てるさ。静馬が付き添いたいと言ってるから残したが……初めての実戦だし、休ませてやってくれ」「ああ。しかし……お前らがあんなものを作っているとはな。どうして教えなかった?」「静馬の指示よ。完成するまでは秘密が漏れないようにって。でも、まさかあの子に使わせることになるなんてね……しかもあんな上手く戦えるとはね」「で、マジなのか。『ラビリンス』の中にあいつの幽霊が憑いてるってのは」「ゆ、幽霊!?」「いや、幽霊とは違うけど……まあ、遺産みたいなもんだね。カイゼルがあんなもの残してたんだ……」「カイゼルというのは、前に話した平行世界からの自分が来た男とやらか?」「ああ、カイゼル・スコープス……レジスタンスの仲間だった科学者だ。優しい奴で、世界を平和にしようと燃える理想家だった――キーの力でな」「当時、私たちは心の中であいつを馬鹿にしてたわ。出来っこないってね。カイゼルもどうせキーの力に飲みこまれて死ぬと思ってたけど、あんな死に方するなんてね……」「しかし、結局あいつの忘れ形見で麻紀たちは助かったんだ。詫びるしかないなこりゃ……」「まあ今はそれより、ルイから手に入れた四本のキーをどうするかよ。タクティカルレッドからしてもあれは貴重なもの、奪還戦をされる可能性は高いわ」「そいつは静馬と麻紀に任せようぜ」「フォルト?」「キーのやばさを一番知ってる男と、それを覚悟して戦うことを決めた女……キーの“守り人”に、これ以上ふさわしいのはいないさ」 「……パーソナリティデータ?」「ああ。カイゼルの遺産……『ラビリンス』の心臓部、一番重要な『迷宮回路』はあいつが八年前作ったものそのまま移植してるんだが、あいつその中に自分の記憶をデータ化して埋め込んでたんだ。恐らく、平行世界の自分と対消滅を起こしかけてた時だろうな。――自分が自分でなくなることを恐れて、自殺しちまう寸前のことだ」「そのデータが、私に戦い方を教えてくれたんですか?」「間違いない。自分以外の誰かが『ラビリンス』を使う時、誤った使い方をされないためのセーフティの役目もあるだろうが……導いてくれたんだ、あいつがお前を」「ふう……ちょっと会ってみたかった気もしますね。その彼に」「ああ。あいつもそれを望んだと思うよ、きっと。……ところでさ」「はい?」「あいつの……ルイの最後はどうだったんだ?」「はて、どうしてそんなこと聞きたいんですか?」「ちとばかしあいつには因縁があってね……個人的な話だけど」「……嘲笑ってましたよ、最後まで。完璧に、崩れることなく……」「……あいつも犠牲者だ。無論お前の言うとおり許せるもんじゃないが……長く続き過ぎた戦争の犠牲者なのは確かだ。決して、生まれついての狂人というわけじゃない」「ああなったのは同情できると?」「あの戦争に関わった中で、狂ってない人間なんか一人もいなかったよ。ルイだって、フォルトだって、そして俺だって、みんなどこかしこおかしかったんだ。……俺たちがカイゼルを好きになれなかったのは、唯一正気であろうとしてた奴だったからかもな」「――戦争は、人を狂わせるんですかね」「もしくは、狂わないと戦争なんかできないのかもな」「今日はもういいですか。さすがに寝たいので」「ああ、悪かったな。そんじゃまた明日」バタン「……狂ってた、か。人のことは言えねえよなホント……」「……あの日、ケースに存在しなかったキーは十本。俺がその時奪ったキーは五本。そして今四本回収した。……残り五本、必ず見つけてみせる。そして……」「……カイゼル、やっぱ俺は酷い男だよ。お前の意思を誰よりも知りながら、お前を裏切ろうとしている……許してくれるか? なあおい」 『MEMORIAL』
2011.03.25
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「つぅ……また吹っ飛ばされたか。サファイヤ、無事か?」「なんとかね……ったく、煙が立ち込めて全然見えない……でも、いったい何があったのよ? 私は確かに麻紀が刺されたところを見たのよ?」「あいつ、俺たちの行動を予測してたんだ。そして奴の対処も……だから、ルイが『FAKE』を使う一瞬のスキに『ILLUSION』を使ったんだ。幻影に惑わされたルイを倒すためにな」「ちょっと待ってよ、なんであいつが『FAKE』を持ってるってわかったのよ?」「決まってる、あの男が教えてくれたのさ」「ねえ、さっきから御加護とかいったい誰のことよ? 誰が麻紀にキーの使い方を教えたっていうの?」「一人しかいないだろ、そんな奴」「カイゼル・スコープスさ」「……!?」 「……あり~、まいったねこりゃ……♪」「姿どころか、『RIPPAR』まで幻覚だったとは……焦がされたのみならず、君に奪われて刺されるって、どんだけミジメ?♪」「幻覚見せれるのは確認しましたから、後は賭けでしたね。静馬達が手をこまねいてるだけなわけないのは知ってましたし、いい目くらましになりました。拘束から貴方が抜ける瞬間、『RIPPAR』を抜くその時が唯一のチャンスでした。ずいぶん危ない橋を渡りましたが、なんとか上手く行きましたね」「いやぁ僕、腹ブッ刺されるのは久々だなあ♪ 今まではキーの力で直してたけど、今回はさすがに無理っぽい♪」「この状況でその笑顔……いい加減、やせ我慢する必要はないんじゃないですか?」「――え?♪」「『スマイリー・ジェノサイダー』なんて的外れな名前ですね。見る人が見れば、貴方が全然笑ってないことくらいわかりますよ。まるでパックのように上っ面にだけ貼られた笑顔……むしろ、泣いてるようにしか見えませんね」「…………♪」「貴方が犯した罪からすれば、誰も貴方を許さないでしょう。だけど……泣きたい時は泣けばいいと思いますよ。男だろうが女だろうが、涙する資格は持ち合わせていると思いますから――」「…………♪」「はは、ははは……馬鹿言っちゃいけない♪」「え?」「あの日――敗残兵狩りの名目で行われた戦争反対デモ行進への絨毯爆撃で両親をミンチにされた時、僕は決めたのさ♪」「『こんなイカれた世の中で、正気でいる方がどうかしてる。世界が憎悪と悲しみに満ちてるなら――俺は一生嘲笑って(わらって)生きてやる』……てね♪」「…………」「だから死ぬ時も、笑うだけさ……♪ はは、ははは、はははははは、はは……♪」「…………♪」「最後まで笑みを崩さず……やはり貴方は、『スマイリー』でしたよ」つづく
2011.03.24
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幼い頃、仕事が忙しかった両親の代わりは祖母だった。子供の頃の記憶にいるのはいつでも祖母で、両親の記憶はほとんどと言っていいほどない。仕事が忙しいというより、子育てにあまり積極的ではなかったらしい。成長した後も祖母とべったりになったのは必然だろう。だから――あの日、祖母が亡くなった時、あまりにさっぱりそれを受け入れている二人に殺意すら覚えた。そりゃ職業柄人死にには慣れてるだろう。ずいぶん前からの病気だったから、受け入れる時間があったこともわかる。でも……あまりに淡白すぎるじゃないかと思った。だいたい元からこの人たちは『死』に大してあまりに無関心過ぎるのだ。そういう感情でないとやっていけない商売なのかもしれないが、だとしても非情に過ぎるじゃないか。だから――私と両親との溝はより深まっていった。 『CHAIN』『SMOG』「そらそらそらぁ♪」「なんの!」ガキャアン!「すごい……『SMOG』で『CHAIN』の鎖を逸らしている。鍵使いと呼ばれた男と互角に戦えるなんて……麻紀ならひょっとして」「互角? 馬鹿言ってんじゃねえよ!」「はあ、はあ、はあ……」「あれれ~♪ どしたのかな~♪ 何か調子悪いみたいだけど♪」「え、あ……」「いくら『ラビリンス』の力を借りてるからって、麻紀は所詮素人だ。キーを大量に使っての戦闘なんてそう長くできるわけがない! もう限界だ!」「勝手を……言わないでください。誰が……もうダメなんて言いました」「ええー?♪ 僕にはじゅーぶんダメっぽいけどなー♪ まあいいや♪ 殺すのは一緒だしー♪」「くっそ……みんなの仇が目の前にいるのに、見てるだけしかできないっての?」「あはは~、ごめんね~?♪ まあでも、鍵持ちとの戦いに一般人が参加しようってのが無謀……♪」「……なんて」「言うと思った?」「え?♪」ドォオン!「きゃあ!」「えー?♪ なんかでかいの出てきた♪ 戦車?♪」「八年前あんたらに破壊された私の愛車よ! あの時とは比べ物にならないほど強化されたこの車両、全ては一般人の私があんたらに勝つため、倒すため! 舐めんじゃないわよ! いっけえ、最大出力!」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……「ありり~?♪ 体が何か重くなってきたような~?♪」「指向性重力操作によるホールドだ……いかに貴様でも身動きとれまい! いけ、麻紀!」「はいっ!」『PLASMA』「追加武装のアローユニットを使って! キーから生ずるエネルギーを矢に変えて攻撃できるわ!」「了解! アローユニットセット、行きますよ!」ババババババババババババババババ……!「私もやる……主砲、標準セット!「うわ~い♪ 電気の矢と大砲、これは受けるとまずいかなぁ♪」「これで……最後! 受けなさい!」「みんなの仇! 取らせてもらうわ!」ビュウウウウゥッ!ドォォオオオン!!「や、った……ついに、あの悪魔を……!」「――!? ダメだ、離れろ!」「えっ……」ザシュ!「くはっ……!」「ごーめんねー、勝ったと思わせちゃった?♪ ざーんねん♪ そう甘くないのよ♪」「嘘……麻紀が刺された……なんで、さっき確実に命中したはずなのに!」「! まさかっ!」『FAKE』「悪いねー、ちょっと卑怯かもしんないけど、まあ僕はそんなこと気にしないし~♪」「なんてこと……あの超重力下で、キーを使い偽物作ったっていうの!?」「んなこたどうでもいい! 麻紀が、麻紀が!」「くっそ……まいりましたねこれは……」「まいったね~♪ でも世の中そんなもんそんなもん♪」「いえ、そっちじゃなくて――」「え?♪」「同じネタ使われたことが、ですよ」『ILLUSION』「な……♪」『VOLCANO』ボオオオオォォォォォォンッ!! つづく
2011.03.23
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『そういやお前んとこて、葬儀屋だったよな』『ええ、そうですけど』『ここら辺てどうしてだかあそこしか葬儀屋ないから、左手団扇だろうな』『でもないですよ。それに調子づいてボッタクリ同然の商売してたら、みんな敬遠するようになって遠いところで弔いするようになったり葬儀自体しなくなったりして仕事が減って仕方ないんです。ま、身から出た錆ですが』『酷い言い草だねえ……親だろ一応』『ならなんだってんですか。別に親とか関係ありませんよそんなこと。それに……私あの人たち好きじゃないんです』『はあ? なんでさ』『だって……あまりに無関心過ぎるんですもの』 「くっ……ううっ?」「あんた何寝てんのよ! 起きなさい!」「う、うん?」「ほ~ら、まだまだまだぁ♪」「くっ……!」(麻紀……くっそ、吹っ飛ばされて意識飛んでたか。昔の夢見ちまった……)「どうすんのよ!? いくら『ラビリンス』の力があっても、あいつ一人でルイを倒せるわけが……」「さて、ね。それは神のみぞ知るってところだ」「はあ!?」「なんとなくだが、あいつがキーを使える理由わかった気がする……それが事実なら、何とかなるかもしれん。神の――いや、奴の御加護がある限りな」「ヒュウヒュウ、頑張るねお姉ちゃん! でもまだ僕には敵わないかな~♪」「ふん、いつまで余裕ぶっていられますかね。二つ名でもあるその笑顔がいつ崩れるか楽しみですよ」「ん~、それは不可能かなー?♪」「あらら、ずいぶん自信ありげですね。しかしそう易々と……」「いや……無理だろうな」「は? 静馬、貴方まで私を見くびって……」「違う……そいつは、好きで笑ってるんじゃないのさ」「え……」「…………」「詳しい事情は知らんがな、戦闘に巻き込まれて、脳を損傷したらしいんだ。家族を失って孤児になって目覚めたそいつが、どこをどういう風に傷ついたかはわからないが……笑うことしかできなくなったんだ。誰かが死のうが体を痛めつけられようが、常に笑っているルイを誰もが気味悪がった。闇の世界に落ちるしかなかったそいつが偶然キーを手に入れ“スマイリー・ジェノサイダー(快楽殺人鬼)”となり、タクティカルレッドに入るのに時間はかからなかった」「…………」「やだな~♪ 僕は好きで笑ってるんだよ?♪ だって『殺す』のって楽しいじゃない♪ キーをいっぱい使ってバンバン死体を作ってくってものすっごく面白いんだよ? もう気持ちいいくらい……」「あっそ」「……は?♪」「貴方にそんな過去があるとは知りませんでした。ですがこちとらそんなこと知ったこっちゃありません」「え? え? なに、すごい無反応……」「何かと思えば……笑わせるんじゃないってんですよ。何が不幸な過去ですか。何が脳に損傷ですか。んなことが悪行していい理由になりますか。どんな不運だって、どんな人間だって、どんな目的があったって、絶対にやっちゃいけないことはあるんです。それをやったこいつには、どんな同情も慈悲もくれてやる資格はありません」「わ~い、すごいばっさりだ~♪」「……まあ、僕もそんなものいらないんだけどね♪」つづく
2011.03.22
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「いっくよ~♪ えいっ♪」『RIPPER』『CHAIN』「な、首筋に、いくつも鍵穴が……そこにキーを入れた?」「あれがキーの本当の使用方法だ。体のどこかにキーを刺すとそこが“鍵穴”になる。そこにキーを入れることでキーはその真価を発揮できるようになる――お前は入れてなかったから、精神の影響も低かったんだろう。まあその分できることも限られるがな」「な――今までは本気じゃなかったと!?」「そゆことー♪ ほんじゃま、いっくよー♪」ひゅんひゅんひゅんひゅんひゅんひゅん……ザシャア!「うわっと!」「あいつ……二つを融合させて即席の鎖鎌作ったの!?」「いえ、これは鎖鎌というより刃を持った腕……触手の様に無数に生み出されていく……」「ほんじゃま、これでどーだ♪」 「はあ、はあ、はあ……」「ねえねえ、みんなどーしたの?♪ もっと頑張ってよう♪」「な、なんて奴だ……我々が一度に攻めても全く隙を見せん」「くっ……やはり鍵持ちには、鍵持ちしか抗えんというのか?」「馬鹿言わないで迦稜! そんなことあってたまるもんか!」「あっはは~♪ 僕はそんなことどーでもいいんだけどさー♪ 君たちがさっさとやられてくれりゃ……ありゃ?♪」「……笑ってばかりで、トロいんだよてめえは。そんなんだから……」「あれ?♪ あれれれれ~?♪」ザシュザシュザシュウ!!「ま、てめえは笑うしかできねえんだけどさ……」「ブグッ! ゲブッ! ゴブッ!」「フォルト!?」「馬鹿、毒に冒された体で神速なんか使ったら……!」「しかし、奴はバラバラだ。なんとか勝った……」「馬鹿、ほざいてんじゃねえ……くそっ、やられた……」「なに?」『FAKE』「な……奴の体が、砂に……!?」「違う……こいつは『FAKE(模造)』のキーで作り上げたダミー……まさか、最初から偽物!?」「おかしいと思ったんだ……奴にしちゃ動きにキレがなさすぎる。『FAKE』ならキーの模造だって可能だろう――だいぶ能力は落ちるがな」「ちょっと待ってよ、じゃあ本物のルイはどこにいるのさ!?」 「忘れたのか……蹂躙将軍が興味を示すのは破壊と殺戮と――キーだけだ」「まさか……あいつの真の目的はキーの回収!?」「だとすればこれは我々をくぎ付けにする囮で、奴自身は静馬のところか!」「静馬はサファイヤのところにいるはず……急ぐぞ、あいつらだけでルイを止められるか!」つづく
2011.03.21
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「――確かに、鍵は忌々しい力かもしれない。でも、それだけじゃないと思わない?」「はあ? あんなイカれた力をどうする気だよお前?」「決まってる、キーの力自体はあらゆることに利用可能な素晴らしい物だ。それを何とか社会の役に立てれば、まさに理想だよ」「あのな、使っただけでそいつを狂わせる力なんかどう役立てるってんだ」「だからこそ、これを作ったんだよ。キーの力をリスクなく使用するためにね」「なんだこりゃ……鍵穴無数にできてるけど、まさかこれに入れるってのか?」「そう。この中には回路が無数に入り組んで構成されている。その中にキーの力をループさせると、入り組んだ回路を辿って行くうちに余分な精神汚染させるエネルギーは回路の中に留まり、純粋なエネルギーだけが使用できる――と、ずいぶん噛み砕いて説明するとそんな感じだね」「噛み砕きすぎてわかりやすいけど理解しちゃいかん気がする――しっかし面白い構造だな、まるで迷路だ」「迷路? はは、いいねそれ。じゃあこの装置の名は『ラビリンス』だ」「おいおい、そんな適当に名前決めていいのかよ。お前の人生の結晶なんだろ?」「はは、名前なんかなんだっていいさ。僕はキーを万人を幸福にする力にしたいのさ……鍵はわが手に」「ん?」「希望はこの手に、想いはこの胸に……」「――なに、それ」「鍵は所詮単なる力、その力で世界を善くしようとする想いがあれば、希望を掴めるんじゃないか――昔、キーの力で世界平和を目指した理想家の言葉さ」「お前の師匠のことか? だけど、そいつだって結局は……」「だからこそ、その夢は僕が継ぎたいんだ。――『神』だって、自分の力で世界を平和にしたいと思ったんじゃないかな? どう思う、死神?」「さて、な……彼の言葉を知る者は、もう誰もいないからな」 (『ラビリンス』自体は八年前、あいつの設計によるもの。俺はサファイヤにそれを実現できるように改良させただけのこと。そこで、あいつの弔いも兼ねてあの言葉を『ラビリンス』のイグニッションキー(起動条件)にした)(しかし……俺はそれを麻紀に教えていない。なのに、どうしてこいつは知ってるんだ!?)「ちょ、麻紀やめなさい! いきなり実戦使用なんて……!」「問題ありません! いきますよ!」『VOLCANO』ボオオオオオオオオオォッ!!「おわっと♪ ひゅーすごい炎♪」「爆炎を操るキー……すごい、何の説明もしてないのに『ラビリンス』を操ってる!」「お次はこいつ!」『PLASMA』バリバリバリバリバリバリバリバリバリッッ!!「うひゃあい♪ すっごい放電量♪」「『炎』と『雷』……同時に食らえばどんなバリアでも!」「あらあらあらたしかに、こいつはまっずいかもー♪」「駆け抜けろ稲妻! 突き進め焔! いっけぇ!!」ドオオオオオオオォォォンッ!!「す、すげえ……あんなにキーを使いこなして……お前説明した?」「してないわよ……なんで『ラビリンス』の使い方知ってんのよ……」(俺の設計図を覗き見てた? いや、そんなのであんな動きはできない。戦闘なんか素人のはずなのに、どうして……)「ふう……やっぱこの程度じゃまだまだですか」「いやあ、こっちもちょっとまずかったよう♪ で・も、まだまだまだまだまだだねぇ♪ そんじゃ、今度は僕からいっくよー♪」『VENOM』プシャアアアアアアアアアアァ……「!? 毒ガス!?」「やばい、逃げて!」『HEAL』『SMOG』プシャアアアアアアアアァァ……「あ、あれー?♪ 何したのー?♪」「なに、『HEAL(治癒)』と『SMOG(煙)』を混ぜて毒の中和剤をガス状に散布して打ち消したんですよ。毒ガスならぬ治癒ガスですね」「うっわすっごーい♪」「そんじゃ、僕も本気出さないとねー♪」つづく
2011.03.20
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「? どうかしました?」「いや、今なんか聞こえたような……人の声?」「気のせいでしょ、ここら辺に私以外に人は……」『CHAIN』「!?」ガシャアアアアン!!「きゃあ!!」「ま、窓から鎖が飛び込んできた!?」「『CHAIN』……鎖のキー。この力、まさか!」「お・ひ・さー♪ 元気してたーサファイヤ&死神ー♪ それと知らないア・ナ・タ」「な、なんなんですかこのファニーフェイスの小僧は?」「ちいぃ……死んだって情報はなかったが、正直貴様には死んでほしかったよ『スマイリー・ジェノサイダー』!」「よりによって、キー関連で一番危険なこいつが……!」「ああ、ご・め・ん・ねー♪ でもこっちにも事情ってのがあるのしゃっ・ざーい♪」(こいつ……顔は邪気の欠片も無い笑顔のくせに……冷たい。いや――何もない。まるで、空虚……)「二人とも、下がって!」「ろ、六連装ロケットランチャー!?」ドォオオオオオオオン!!「や、やりましたかね……?」「なわけ、あるかよ!」『GUARD』「ざーんねん♪ そんなんじゃ僕は倒せないよーだ♪」「今度は『GUARD(防御、装甲)』……キーマスターと呼ばれた怪物ぶりは相変わらずね」「一度に二つのキーを……そんなこと、可能なんですか?」「できなくはない。だけど、一つ入れるだけで発狂するような代物だ。二つ三つ入れれば……体が破裂するか心が一瞬にしてブレイクするかだ。あいつは例外中の例外だよ。狂気を越えた正気……あまりにもキーを入れ過ぎて、発狂の段階を超越し正常と化した狂人、狂気を正常とした普通の悪魔――蹂躙将軍、ルイ・カタストロフィ」「やだなー、そんな褒めないでよ~♪ そのとーり♪ 僕は蹂躙と殲滅戦が得意なタクティカルレッド一の虐殺魔でーす♪ ……おや?♪」「あんたは……あんたは死ね!」「今度は、リニアレールガン!? 馬鹿、キー相手にそんな攻撃が……!」ドゥンドゥンドゥン!!「くぅ……!」「だめだめだめ~♪ そんなんじゃ僕を倒すことは不可能だよ~♪」「わ、笑ってんじゃない……! あんたのせいで、仲間がどれだけ犠牲になったか……いいえ、仲間だけじゃない、戦争に何の関係も無い人たちまで……あんたは死ね!」「んー、おあいにくさまー♪ 僕殺すのは好きだけど殺されるのはあんま好きじゃないんだー♪ それじゃ、君が死んでねー♪」『RIPPER』「っ!」「サファイヤ!」『ILLUSION』ザシャアン!「――あ、あれ?」「あ、ありー?♪ おっかしいなー?♪ ちゃんと切ったと思ったのに、キレテナーイ♪ どいうこと~?♪」「キーに対抗できるのは、キーだけ……ですよね?」「おろろ~♪ 幻覚のキーかー♪ 僕としたことがこんなのにひっかっちゃうなんてねー♪」「麻紀っ!」「サファイヤさん、『ラビリンス』を私に下さい」「で、でも……」「私には、この戦いに参加する必然はありません。誰かを奪った奪われたという因縁もありません。悔恨や慙愧、贖罪の思いもありません」「はいー?♪ じゃ、どうしてわざわざキーなんて使ってまで戦ったりするの~?♪ 周りの誰かが傷ついてるとか、悪は許せないとか、人々を救いたいとか―?♪」「阿呆なことを。私はヘレナの様な正義感の塊じゃありませんよ。ただ単に……」そうしたいと……私が望んだからですよ。この間蛇羅麻紀が、戦うことを決めたからですよ。善意でも正義でもなく、ただ欲望として!自分が許さざる者と戦う力を、欲したからですよ!「鍵はわが手に、希望はこの手に、思いはこの胸に!」「っ! お前、なんでお前がそのセリフを……!」「『ラビリンス』よ、その内に秘めたる魔物を滅ぼす力をあらわせ!」 つづく
2011.03.19
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「……そうか、やっとか」「ええ、やっとね」「…………」「明日は忙しくなるな。まあいつもやってることだがな」「あら、葬儀はいいって言ってなかった?」「そういうわけにはいかんだろう……世間体というのもある」「……誰があんたらなんかに弔ってほしいか」「ん、何か言ったか麻紀?」「いいえ……なんでもありません」 「ル、ルイ、よりによって貴様が出てくるか……!」「えー♪ そんなのわかりきってるじゃない♪ 僕たちの中で一番キーの扱いが上手かったの僕だしー♪」「フォルトが切られた!」「フォルトがこうもあっさり……しかもなんだあいつ、手首から剣が飛び出してるぞ!」「あれがキーの力……『RIPPER(切断)』のキーはあらゆる刀剣の力を宿し、万物を切り裂く刃を生み出す」「ご説明どーも♪ それじゃ、このまま一気にやっちゃうよう♪」「舐めるなクソガキ! ハムみたく縛り付けてやらぁ!」ヒュンヒュン!「ごっめーん♪ 僕ハム好きじゃないの♪ だ・か・ら……♪」シャシャン!「ぐわっ! 俺の糸がこうもあっさり……!?」「君がスライスハムになってねえ♪」「おのれ、調子に乗るなぁ!」「フォルト、貴様もどうして呑気に寝ておるか! 大した怪我ではあるまい、さっさと……ん!?」「そ、そうしたいのは山々だが……ちくしょう体が……」「ま、まずい、毒物だ!」「なにぃ!?」「あったり~♪ さすがPKだねぇ♪ さっきの刃にこれ仕込んどいたの♪」『VENOM(猛毒)』「毒化のキーだと!? 一番危険なフォルトを狙いやがったな!」「クリス、手当しろ!」「言われなくても! 解毒はこっちでやるからそいつを引きつけて!」「承知! 輝け『オブリージュ』!」「おおっと♪ それって『デイスプ』?♪ まいったねえさすがに『RIPPER』でもこれ切るのは難しいや♪」「ええい、さっきからニヤニヤニヤニヤうっとうしいわ! 少しは真面目にやらんかぁ!」「えー?♪ 無理だってそんなの♪ だって僕は……♪」「……ま、無理でしょうね。だってこいつは……」「スマイリー……」「スマイリー? では、こいつがさっき話してたスマイリーなのか?」「違う……この男の二つ名は、『スマイリー』じゃない……こいつは……」「『スマイリー・ジェノサイダー(笑顔の虐殺者)』……」「タクティカルレッド十六将軍の一人ルイ・カテストロフィ……キー使いと呼ばれた狂人さ……」「笑顔の……虐殺者……」「えー?♪ びっどい言い草だなー♪ まあいいけど♪」「じゃ、二つ名に恥じないよう虐殺させてねえ♪」「来るぞ!」(……なんか、変だな)つづく
2011.03.19
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壊れている、というのはどういう意味だろう。正常ではない、普通とは違う、まともじゃない、他の人と別である。まあ、こんなところか。しかし、だとすれば……あいつは、壊れていると言えるのだろうか? 「なるほど……こいつは故障してるわね。じゃ、説明してもいい?」「どうぞ……」「って、なんで静馬まで来たんですか」「いや、あいつらに嗅ぎつけられたみたいで……逃げてきた」「相変わらずそういう直感は大したもんね……ちょっと怖いくらい」「犬レベルなだけですよ。そんじゃ、話戻して下さいな。せっかくの『ラビリンス』が使えなかったんですけど」「ああ、それはもう調べ済み。ちょっと回路が切断されてたのね。これならすぐだから」「さすがに二回も吹っ飛ばしたのはきつかったか……ま、しゃーない」「しゃーないじゃないですよ。あんな危ない代物もっときちんと管理して下さい」「うぐ……お前ホント容赦ないな。初対面の時からまんまだよ」「性分ですから。あるいは遺伝ですかね」「どんなDNA配列してりゃそういう性格になるんだよ……」「さあ? 私に聞かれても困りますねえ。そういうのは私の――」 そんなことないよ。麻紀ちゃんは優しい子だからねえ。 「……っ!」「ん、どったの麻紀?」「――何でも、ないです」「お待たせ。修理終わったから試してみて。あとこれは、前に話してた武装ユニットね」「――静馬」「んー?」「この武装ユニット、どうして弓の形してるんでしょう」「こいつがこの前急に言ってきたのよ、元々追加武装は検討してたけど、誰に使わせるか決まってなかったんだけどね」「貴方最初から私に使わせる気満々だったんじゃないですか」「――使わせる気なんかなかったよ。いや、使わせる気なんかないよ。今だって」「はい?」「ただ――やると言ったら、最高の武装を持たせてやろうと思っただけだ。お前が……ヘレナと同じ選択をするとしたらな」「うっ……」「あらら、優しいわね静馬?」「からかわないでくれねえかなサファイヤ……ん?」 「仮に――静馬がキーを麻紀に使わせるってことはあり得るかな?」「絶対ないな。キーのヤバさを一番理解してるのはあいつだ。まともに使わせるなんてあり得ん」「じゃあ、まともに使わせなきゃ?」「なんだと?」「何かしら特別な処置をすると? そんなことができるのは……」「サファイヤと、静馬くらいか。となるとあいつらサファイヤの家にいるな。こうなったら直接押し入って……」「そーれはやーめてくれないかなー♪ 今ちょっとそっちに用事あるんだー♪」「!?」「な、なんだ貴様、どっから入った!?」「! あんた、まさか……!」「は~い、みっなさんひっさしぶり~♪ 元気してたー?」「ル、ルイ・カタストロフィだと!?」「そ、そんな、なんでこいつが!」「ど、どうしたお前ら。この者がなんなのだ? 嫌ににやついた笑いをしているただの子供にしか見えんが」「ただの子供!? 馬鹿を言うな、こいつは、この男こそは……!」「やだなー、そんな警戒心バリバリしないでよ~♪ そんな冷たくしちゃうと……♪」『RIPPER』「ぐわっ……!」「フォルト!」「あっさり、殺しちゃうよ♪」つづく
2011.03.18
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「はあ、はあ、はあ……」「ここが金庫室か……しっかしよく来れたな。自分で自分を感心しちまうぜ」「さて、あれは……っ、あった、これだ!」「ははははは、ようやく見つけたぞ! これでこいつと合わせれば……ん、な、なんだこりゃ?」 「……そんないいもんじゃないさ。むしろ、俺は最もキーについて怒る資格のない男だろう」「でも、八年前キーを処分したのは静馬なんでしょう?」「処分なんてカッコつけれるもんじゃないけど、一応ね……あいつらも、連中も出し抜いて俺はキーを処分した。数多の人間の人生を狂わせ、壊していった百八本のキーは全て誰にも手が届かなくなった――ということになっている」「なって、いる?」 「静馬がキーを持ってる!? そんな馬鹿な!」「ああ。だってあいつ、あんだけキーを毛嫌いしてたじゃねえか。だからあんな無茶やって百八本のキーを処分しようと――んな奴が、どうしてキーを隠しもたなきゃならないんだよ」「簡単よ、キーが百八本なかったとしたら?」「なに?」「あいつが金庫室から奪ったときから、キーは何本か欠けていたと?」「ええ。あいつの性格知ってるでしょ? そりゃたまに突拍子の無いことや無茶もやるけど、基本的に憶病で物事を勘繰らないと気が済まないタイプよ。そんな奴が、何本か欠けたキーを見てそれ全部処分しようとすると思う? キーに対抗できるのは、キーだけなんだから」「てことは静馬、キーを何本か持ち出して、僕らにはキー全部処分したように見せかけてずーっと隠し通してたってこと?」「人を八年間も騙しやがって……あいつ」「騙してたのは悪いと思うがな、あいつを非難する資格はないと思うぞお前らは」「うっ……」「――まあ、キーの力に狂わされてたのは、みんなそうだったけどね」「お、俺は使ってないぞ!?」(あんたに頼りきりなのが嫌だったから使ってたんだっつーの)(言ってやるなよ……) 「……とにかく、どこにあるかわからんキーがあるとすれば、キー全てを始末するわけにはいかなくなった。だから俺はある程度残しておき、あいつらには全部処分したように見せかけた」「なんでわざわざそんな真似を。仲間だったんでしょ?」「キー関連に敵も味方も無い。キーを一旦入れた奴は手放させたとしても後遺症というか禁断症状というか、とにかくキーを求める激情が生まれる。だから、全部なくなったように見せかけるしかなかった――」「じゃ、静馬は一人でキーを集める気だったんですか?」「いや……俺はキーを使わないと決めてるからな。だから、サファイヤにあるものを依頼したんだ」「ああ、『ラビリンス』ですか」「――姿消して見てやがったな。そうだよあいつに頼んでたんだ。よりによってお前に感づかれるとは……」「まあバレちゃったものはしょうがないということで、それ私に下さいよ」「あのなあ、これはお前が今までちょいと使ってた遊び半分のいたずらオモチャじゃないんだよ。幾千もの人生を狂わせた悪魔の産物だぞ? 冗談で手にしていいような……」「誰が冗談なんて言ったんですか」「……あーやだやだ、だからお前には教えたくなかったんだよ。ちょっと待ってろ――ほら、これだ」「これがラビリンス……両手用のガントレットですね」「そこに鍵穴があるだろ? そこにキーを挿すんだ。それを使えば、キーの力を十二分に使用できる――リスクゼロでな」「ほうほう、ではちょっとやってみますか」…………シーン「ちょっと、何にもならないんですけど」「あれ? ちょいと貸してみ……おかしいな、こりゃどっか設計ミスか? サファイヤに確認する必要があるな……」「じゃあ、ちょっと私が行ってみますよ。そんなに遠くないですよね?」「ああ、そういや増加パーツあるとか言ってたな……じゃ、頼むわ」つづく
2011.03.18
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「――ちゃん、大丈夫?」「大丈夫だよ、すぐに良くなるから」嘘だ。それが嘘であることを私は知っていた。早晩死ぬような重病ではないが、もう助からないことを私は知っていた。そして、私が知っていることをこの人も知っていた。では……この嘘は誰のための嘘なのだろう? 「なんだ、ということは、麻紀もそのキーとやらを所有しているというのか?」「恐らくね……ったく、全然気付かなかったわ。よもやあの子がキーの所有者――“鍵持ち(キーユーザー)”だったなんてね」「それは私も同罪だ。仮にも同じ鍵持ちだったにも関わらず……」「え? 迦稜さんも?」「あのレジスタンスにいた連中は、いやタクティカルレッド側もかなりの数が鍵持ちになったさ。あれはキーを体のどこかに刺すだけで使えるからな」「かなりの数? そんなにキーなんてあるのですか?」 「――人の煩悩百八つ」「はい?」「にかけたかは知らんが、とにかく、『神の力』を封印したキーは総数百八本……それが世界中にばらまかれ、あらゆる人間に渡り、使用されていた」「使用されたって、誰でも使えるんですか?」「キーさえあればな。誰でも『神の力』は使用可能だ。――だから、あの戦争でも両軍がキーを使用した。キーに味方を殺され敵を殺し、奪う奪われたの繰り返しだ……」「まあそりゃ、誰でも楽にこんな力を使用できるとすれば使っちゃうでしょうねえ」「……楽に?」「?」「冗談じゃねえや。確かに使用するだけなら簡単だよ。だけどな、こいつな相当のリスクがあるんだよ」「リスク?」「言ったろ、キーを作り上げた『神』が、最後どうなったか」「肉体に、ダメージが?」「それもある。でも一番傷つくのは……心さ」「心?」「強大な力に取りつかれ、精神がおかしくなっていくんだよ。精神汚染ってやつだ。キーを入れた奴はみんな狂っていった、死んでいった。――それも、ロクな死に方じゃない」「…………」「戦場で敵に殺されるなんて一番マシな死に方だ。発狂して全身から血出して死んだり、狂乱して敵味方関係なく殺戮しまくって味方に殺されたり……そんなのが普通だったよ、あの頃は」「――そんなやばいもの、なんで使ってたんですか?」 「決まってるだろ、勝つためだよ」「んなっ……」「お前だって知ってるだろ、連中のやばさはさ。合成人間なんて序の口だぜ。そんな連中にまともな人間が勝つには……まともな手使ってちゃいかんだろ」「だ、だからって、人間を狂わせ破滅させる力なんか許されるわけがない!」「……それと同じことを、言った奴がいたわね」「え?」「お前も知っている奴だ――あいつが、我々の愚を糾弾し、キーを我々から奪い取った」つづく
2011.03.17
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やっとバスが通ったから、実家に戻りました。高速バス一時間かー……と思い待ってたら、突然交通の職員が来たもんだ。何かと思ったら「次のバスは四時間後でーす」……は? と思ったわ。しかもその次の次は普通に一時間単位なんだから。ふざけんなこの四時間はどういうことなんだと。でも待つしかないわけだけど、今日はあいにくとてつもない雪と風。もう三月も終わりだぞこの野郎。寒い寒い寒い。こんなとこ四時間晒されるんだからもうかじかんでしゃーない。凍死するかと思うたわ。乗れた時は暖房に感謝してそのまま到着までグースカ寝てたわ。んで実家帰ってみた。実家は地震の震源から離れてたからまだマシかと思ったが……あんま変わらなかったな。むしろ水が出ないってのはきつい。まあもうすぐ再開するそうだが。とりあえず少しの間こっちにいる予定。あちらは再開できるか難しいとこだし……さて、どうするか。
2011.03.16
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好きか嫌いかと聞かれれば、嫌いになる。どうしてと聞かれれば、答えたくない。おかしいと言われれば、そうですねと答える。でも、嫌い。嫌いだった。私はあの人たちが――嫌いだった。 「お前はそれをどこで手に入れたんだ? ここか? それとも別の場所か?」「ええと……結構昔の話になりますかねえ。私が来たばっかの頃、地震でLEが停電しちゃった時」「やっぱあんときセキュリティが停止してたのか……だけど、あれにはキッチリ電子キーによるロックがかけられてたはずだ。無理やりこじ開けた様子もないし、どうやって開けた」「は? 最初から鍵なんかかかってませんでしたよ?」「……へ?」「片づけの際あの倉庫に入って、変なケース開いてたから見てみたらあったんです」「……ああああああああああああっ、鍵閉めるの忘れてたああああああああああぁぁっ!!」「相変わらずの抜けっぷりですね……ま、私はこんなものを手に入れられたんで感謝しなくちゃいけないんですが♪」『ILLUSION』 「“鍵(キー)”? なんだそれは」「――もうずいぶん昔の話になる。俺達がいた惑星群の中で、ある時『神』と呼ばれた男が現れた」「一瞬にして森を焼き尽くし、砂漠を海に変え、空間を捻じ曲げ時間を弄ぶ……あらゆる武器は彼を殺すこと叶わず、たとえ殺せたとしてもすぐに再生する――そんな超能力を持った正に『神』が誕生したのよ」「な……そんな男が、本当に生まれたというのか?」「どう聞いても冗談にしか思えないけどね、実際にいたんだよそんな『神の力』を所有した男は。そいつは世界、全宇宙を制しようと力を使い、信者を集め、やがてその惑星を手に入れようとした。けど……」「?」「死んじまったんだよ、あっさりとな」「死んだ!? どうしてだ、死んでも再生するんだろ? どうして死んだんだ」 「……寿命だよ」「? 寿命? 不死の力を持った神が?」「いや、寿命というと間違いなんだが……とにかく、そいつは神じゃなかったんだよ。神の力は所有していたが、中身はただの人間――肉体が耐えきれず、崩壊していった。いくら再生しようが無駄だ。能力使えば使うほど壊れていくんだから意味がない。結局、過ぎた力だったってことさ。――ただ」「? ただ?」「死期を悟ったそいつは、自らの物質創成能力で世界一硬い金属を作り上げ、それらを分け己の力を封じ込めた。いつか自分の後継者が生まれた時、その『神の力』を与えるために――命と引き換えに、その力を自在に行使できる“鍵”を作ったんだ」「キー……つまりこれですね」『ILLUSION』「ば、馬鹿、うかつに使うな」「お気遣いなく。私とこれがどれくらいの付き合いだと思ってるんですか?」「ったく……ILLUSION、幻想、幻覚のキーか。相手の精神に作用し思い描いた幻想を見せる――ハロウィンの恐怖やお前の怪奇現象は全部幻覚か……だとしてもおぞましさは変わらんが」「ひっどい言い草――貴方の管理能力の無さのせいで私がこんな風になったというのに」「お前の性格とキーは関係が……あるのか? あるんじゃないのか?」「は……?」つづく
2011.03.15
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『おーい、新人紹介するぞー』『――新人?』『え、何それ?』『初めまして。間陀羅麻紀と申します』『今日からバイトとして入ってもらうことになったから。仲良くしてくれ』『バイト募集なんかウチしてたっけ……』『まさか、あのテキトーな張り紙で来たのか?』『ええ、今日からよろしくお願いします♪』 「懐かしいなあ……あんなんでよく来たよねホント」「静馬も来るとは思ってなかったらしいから、焦ってたよなあ。相当笑える顔してたぜ」「そんなことはどうでもいいんだ。さっきからお前ら何を言ってるんだ」「――確かに見たのか? あの男を」「疑いたいのはこっちよ。見たのが自分でなかったら全然信じなかったわ。でもね、あんな奴見間違えるもんですか。ピピニーやグレッドと違って、あの男が死んだなんて話は一つもなかったでしょ?」「そりゃそうだが……遺体の確認なんてまともに出来なかった戦いばっかだったんだ、出てこなくなったら、死んだと思って当然だろ」「だから、お前らはいったいだれの話をしてるんだ! いい加減はっきりせい!」「……タクティカルレッドの中には、狂人だの悪魔だの呼ばれた輩はたくさんいたが、その中でも敵味方誰からも恐れられた怪物がいた。それが『スマイリー』だ」「スマイ、リー? なんか、怪物と呼ばれる輩の割にはおかしな名前だな」「冗談じゃねえや! そんな略称だから勘違いすんだ、あの怪物の本当の二つ名は――!」「あっ!」「な、なんだPK」「もしあいつが関わってるとしたら、“アレ”が関係してないわけないじゃん!」「まあな。だとすれば、“鍵”を握っているのはやはり――」「――“鍵”?」 『――バイト希望?』『いや、そこに張り紙貼ってあるじゃないですか。それ見てきたんですよ』『え、あの張り紙で来たの!?』『なんですか、バイト欲しくて募集したんじゃないんですか?』『いや、そうだけど、あれで本当に人が来るとは――まあ、来たものはしょうがないか。えーと、履歴書とかある?』『ないわけないでしょ、貼り紙には書いてなかったけど一応持ってきました。はいどうぞ』『その馬鹿にした口調やめてくれないかな……あー、間陀羅麻紀……ずいぶん変わった名前だな。学生ね。……ん、間陀羅って、近所の間陀羅葬祭会館の?』『ええーーまあ』『?(なんだ、急に機嫌悪くなったな)』『それより、張り紙の条件は本当ですよね? 『住み込み可』っていうのは』『ああ、うん。部屋余ってるから……なに、住み込みで働くの?』『でなきゃこんなバイト募集しませんよ』 「こいつ受かる気あるのか、って思ったねあんときゃ」「合格させたの静馬じゃないですか」「まあ面白そうだったからね。実際色々役立ってるからあの時雇ったのは後悔してないよ。――しかし」「はい?」「フォルトのように、俺にも“ツケ”がある。お前の返答によっては、俺は……」 『ILLUSION』「…………」「!? うわっ!」「おや、どうかしました?」「……その力。やはり“鍵(キー)”がお前が持ってたか、麻紀――!」つづく
2011.03.15
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「? 麻紀はどこへ行った」「なんか、静馬の用事でお使いだってさ。今日は戻らないって」「――ホントにそうなのかね」「え?」「それが、今日我々を呼びつけた理由か?」「あれ? 皆さん今日はどうしてこちらに」「フォルトに呼び出されてな。突然なんだってんだ」「あれ、クリスは? 一緒じゃないのか?」「いや、まだ来てないのか。まあそのうち来るだろう。で、どうしたんだ」「なに、ちょっと嫌な予感がしたんでな。そんで、静馬の奴なんだが……」「……あ、あれ? 静馬いないよ。部屋もぬけの空だった」「逃げたか――相変わらずこういう嗅覚は優れてるんだよな。八年前もそうだったが」「あんときゃ完全にただのガキだと思ってたんだが……今でも信じられねえ」「お前だってさして年齢違わんだろうが。ま、それを言ったらみんなそうだがな」「八年前――タクティカルレッドと皆さんのレジスタンスの戦いか。あいつも参戦してたのか?」「参戦なんていいもんじゃねえや。右往左往してただけさ……ま、だからこそあんなことができたんだろうがな?」「?」「それはいいから、いい加減話してくれないか? どんなことで我々を急に呼び出したか」「――静馬が、いや、あの頃は死神だったか。あいつが何か裏でコソコソやってる時は、万全の準備してないといらんねえんだよ」「ええっ?」「なんだ? じゃあ別になんの根拠もなしに呼びつけたのか?」「いや、まあ言いたいことはわかるけどさ」「え?」「あいつが何かよからぬことをか……確かに気をつけてつけすぎるということはないか」「なんだ? お前らどうして静馬をそんな危険視してるんだ?」「まあヘレナは知らないからわかんなくて当然だけどね。八年前、静馬が死神って名乗ってた頃の話だし」「ホントとんでもなく迷惑な奴だったからな。いやだから、が正しいか。今もそんなもんだし」「はあ? あいつが? 変なところで好奇心が強い以外はただの凡人ではないか」「そんなとこじゃねえや。あいつの恐ろしいところはな……」「何するかわかんないところよ」「うわっ! いつの間に!」「つい今しがたよ。なによそんな驚いて」「いや、窓から入ってきた奴が言うなよそれを。どうして玄関から来ないんだよ」「――玄関からなんて怖くて行けなかったのよ。どこに目光らせてるかわからないし……」「え? 怖いって、何が?」「嫌なもの見た気がしたのよ。数日くらい前にこの辺をうろうろとしているのを。確信が持てなかったけど……静馬が行方不明、あの子も消えたとすれば……疑う必要があるわね」「どうしたのだ? 誰かを目撃したのかお前は?」「――スマイリー、覚えてる?」「――!?」「な、んだとぉ!?」 ――数時間前「正直に話してくれ。お前が“アレ”を持っているとすれば、それなりの対処というものが必要になってくる」「それなりの対処て、どんなのですか?」「――悪いが、茶化してる時間はないんだよ。いや、もう手遅れかもしれない。だったら、『それなりの対処』をしなくちゃならなくなる。そんなのは嫌だからな」「はあ……別に茶化してる気はないんですがね。どうする気なのか聞いてみたいのは本当だし。でもま、いいでしょ。お話なら構いませんよ――静馬社長」つづく
2011.03.14
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「……反応があった?」「ええ、間違いなく“アレ”の反応です。それもごく近くに」「とうとう見つかったか。よし、それじゃすぐにでも部隊を派遣して――」「いえ、もう派遣しました。あいつをね」「――あいつって、まさかあいつのことか?」「ええ。“アレ”に関してはあいつが一番適任ですからね」「……冗談じゃない。正気で言ってるのか? あんな狂人を再び世に出すなんてぎげはあああああああああああああっ!!」「私としては貴方のあまりにも簡単に噛むところと、いちいち叫ぶところが正気かと言いたくなりますよ」「それに……狂人なんて私たちが言えたセリフではないでしょう」 「あれ? 麻紀どこ行った?」「どうしたフォルト」「ああ静馬か。麻紀知らないか? あいつに用があるんだけど……」「あー麻紀ならお使い頼んだから今日は帰ってこれないよ」「お使い? なんのだよ」「なに、つまらんもんさ。んじゃ、俺は部屋で寝るとするよ」(はて……静馬が人にお使いなんて頼むかね。普通は自分で行っちまう奴なのに……中身知られたくないから)「…………」「もしもし、ちょっと今話せるか?」『いいけど、何?』 数時間前――『……麻紀、ちょっと話がある』『何でしょう?』つづく
2011.03.14
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「ふう……ようやく非常回路から通常回路への変換完了したよ」「やれやれ、これで外とも通信できるな。非常バッテリーだけじゃどうしようもないからな」「とんでもない地震だったよなあ……よく崩壊しなかったもんだ」「まったくだ、こうして生きてるのが奇跡に思えるよ」「私はヘレナがパニックに陥ってくれなくて残念でした」「やかましい、いったいいつの話をしているんだ。いい加減慣れたわ」「まあまあ。とにかくとんでもない地震だったなあ……あんなの初めてだぜ」「あーいや……さすがにここまでじゃないけど、前にもあったよ。地震で停電してしっちゃかめっちゃかになったこと」「ああ、そんなこともありましたね。色々物が崩れて大変でしたよあの時は」「うん? そんなことあったか?」「ああ、お前が来る前だったからな。はて、あれはいつ頃だったかな……?」「たしか、麻紀が来たちょっと後だと思うよ」「おや、そうでしたか?」「――あ!」「うん? どうかしたか?」「い、いや、なんでも……」(そうか、その手が……てことは、やっぱあいつ……)「…………」つづく いやあ、丁度SS始めた直後だったから遅れた遅れた。なんというバッドタイミン。しかし、これのせいでネタができてしまったとあれば……転んでもただでは起きないってか(自分で言うな
2011.03.13
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二日更新不能……長かった。とにかく、とにかく言おうネット上で知り合った友人たちに。いつもここを見てきてくださる不特定多数の皆さんに。俺は生きているぞいやまあ、実際やばかったんですけどね。電気は止まるし携帯も繋がらないしライフラインはほとんど停止してしまって。こうして生きてるのがめっけもんてところです。 なんとか電気も回復して食料品も手に入るようになったし、これでもう大丈夫でしょう。未だ余震が続くのは怖いですが……ま、ビビっててもしょうがないしね。 皆さま大変心配おかけしました。どうかこれからもLEをよろしく――待っててくれた人何人いるかわからんけど(ぉ
2011.03.13
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申し訳ありませんが、管理人は本日LE運営不能な状態に陥っているので緊急的に営業を休止いたします。誠に申し訳ありません
2011.03.12
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申し訳ありませんが、管理人は本日LE運営不能な状態に陥っているので緊急的に営業を休止いたします。誠に申し訳ありません
2011.03.11
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「……フォルト」「ん? なんだよ」「ちょいとばかし、付き合ってくれないか?」「? いいけど」 「って、付き合えってここかよ……お前ここ来るの嫌がってたじゃねえか」「だからお前呼んだんだよ、一人でこんなとこ来たくねえから……うぷ、さすがにホコリ多いな」(なんでかこいつここに来たがらないんだよな……ここの倉庫は創立当初からあるけど、色々入れ過ぎて何入ってるか誰にもわからないし。破壊された時だけだよなここ片付けるの)「あ、お前そこでいいわ」「あん?」「ちょっと待ってて」(……来るなってことか? 人を呼びつけておいてなんだよそれ。そんだけ俺に知らせたくないことがあるのか? ん、なんだあのケース)「……ちっ! やっぱなくなってやがる。ということは……」「おい、さっきから何一人でブツブツ言ってんだ。なんなんだよいったい」「――このこと、誰にも話さないでくれ」「え? ――わ、わかった」(話す気はないってことね……やれやれ、一旦こうなるとテコでも動かんからな。しゃーない。ここは退いておくか)(……ここは、だけどな)つづく
2011.03.10
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「只今戻りました」「うん? おまえどこに行ってたの?」「あら、女の子にそんなこと聞いていいんですか?」「そういう返しが来るようなとこってどこだよ……ところでさ、ちょっと話がある」「なんです?」「倉庫の管理データのことなんだけど」「倉庫って言うかあれはガラクタ置き場ですがね。それが何か?」「データ作ってるのお前だったよな」「私に担当させたの静馬じゃないですか。それが何か?」「……何か盗ってないよね?」「は? 何かって何ですか?」「いや、何かは何かというか……とにかく、あそこから物盗ってったりしないよね?」「とってきました」「え!?」「先日プリンターのインクジェットとか、予備の乾電池とか」「それ俺が指示した奴だよね!? とってきましたって、取ってじゃないんだよ!」「言葉がいい加減な静馬が悪いんでしょ。じゃ、私はこれで失礼させていただきますよ」「あっ、おい――行っちまった」「――否定はしなかったな、あいつ――仕方ない、あそこには近づきたくもないが、自分で確かめるしかないか……」つづく
2011.03.09
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「……なんか天候悪いな」「えー、曇ってるだけじゃない」「それが一番嫌なんだよ。晴れてるとも言えないし雨降るかもしれない半端なのが。外出もできんし洗濯物干すのも躊躇われる」「まあ言いたいことわからなくもないが……そんなの後にして、手伝え」「あー、書類溜まってるなあ結構……PK、なんとかしろ」「あの、僕こういった作業苦手で」「コンピュータのくせに事務仕事ダメて使えんにも程があるな」「フォルトでも呼んできたらどうだ?」「ダメだよフォルトは下手に大量の仕事与えると神速使って吹き飛ばすから」「あのスピード馬鹿が……」(どうせまた調子悪いから仕事なんてさせられんがな)「じゃあ……麻紀はどこにいる? 事務仕事は本来あいつの担当だろ?」「それがいねえんだよな。あいつどこ行ったのかしら」「前々から思ってたけど、管理緩すぎるよ静馬」「だいたい仕事はきっちりやるから文句は言えないんだよなあ。こういう仕事ほとんど押し付けてるから弱いんだよ」「バイトから正社員に入ったくらいだしねえ……てか、突然静馬がバイト連れてきたからビビったよあの時は」「いや……あの頃は三人でやってたろ? やっぱ人材少ねえなあなんて思ってたからバイト募集したんだよね。――まさか来るとは思わなかったが」「は? なんで来ないと思ったんだ」「だって貼り紙が「仕事は決まってないけどとりあえず募集」だもんなあ……ふざけてるのかと思ったよ」「しゃーねえだろうが、とりあえずどこもかしこも人手不足だったんだから、『雑用』とは書けないし」「そっちのほうがよほど悪いと思うがな……しかし、あいつもそれでよく来たな」「『寮完備』が効いたらしい」「バイトでそれは珍しいよね……」「そういえばあいつ、家族と折り合いが悪いんだったか?」「ああ。あいつのばあちゃんが亡くなってからどうもギクシャクしたようだな」「あれ、静馬聞いてたの?」「聞いてないよ。ただ、昔のクセでどうも調べたくなっちゃうんだよね。はは……」「……?」「さて、とりあえず今日必要な書類は終わったかな?」「あ、いやまだこれがある――なんだこれは」「ん、何?」「ええと……『LOCKMASTERSYSTEMの起動と運用管理に関する……うわっ!」「ははは……なんでもない、なんでもないんだよこれは」「血走った顔でダイビングキャッチした男が言う台詞かそれは!? なんなんだその資料は!」「だからなんでもないんだっての! ごめんなすって!」「あ、こら待て!」(……LOCKMASTER? まさか……)というわけで始めちゃいましたSS企画。また行きあたりばっかりだろうな……しかし、これから忙しくなるのでちょっと滞るかも。でもここを逃すと他にやる機会ないし……頑張るか。
2011.03.09
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申し訳ありませんが、管理人は本日LE運営不能な状態に陥っているので緊急的に営業を休止いたします。誠に申し訳ありません
2011.03.08
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「また陣川が犯人逮捕……って今度は誤認じゃない万引き犯現行犯だね。ってあれ? それだけじゃない?」「門馬というこの男、一年ほど前当時の北薗興産会長北薗氏の住み込みで運転手をしていましたが、書斎の金庫から金品を盗み外から泥棒が入ったように偽装しました。それ自体は単なる物取りですが、第一発見者の北薗氏の再婚相手摩耶子さんが書斎に入り、その後北薗氏が来ました。そしたら、ショックで脳梗塞の発作を起こし一命は取り留めましたが重度の障害で喋るのも困難になり記憶も途絶えがちに。本人は謝罪したいとか言ってますね」「しっかし陣川が犯人逮捕ねえ……それも変だが、門馬が万引きしたコンビニは陣川の家の近くだが、同時に一年前窃盗事件起こした北薗氏の屋敷にも近い。現住所にも遠いし、なんでわざわざこんなとこでやったんだ? ちょっと現場に行ってみるか」 「一年前門馬が盗んだのは現金のほかに貴金属に、オルゴール? 思い出深い代物でかなり大事にしていたようだな。しかし門馬はそれらを見ず知らずの男に売りさばいてしまったようだから見つかる確率はかなり低い――あ、陣川がやる気出してしまったぞ」「この行動力を経理に生かせよ……門馬の自宅に行ってみたら、アンティーク店のリストがあった。あいつ本当にオルゴールを取り戻す気だったのか? おっと、門馬が売った相手思い出したぞ。元不動産業経営で、倒産後詐欺で捕まった矢橋って男だ。暴力団とも繋がりがあるとかかなり怪しいが、現住所不明か。次行くとすれば――ん、なに、杉下さんがコンビニ行きたいって?」「あら、ここのコンビニの店長陣川さんとものすごく仲いいのね……よく色々話してるみたい。常連で毎日同じ時刻に通ってるとか。門馬を逮捕したのも当然この時間――ん?」「逃亡ルートも自分から袋小路入ったとしか思えません。一年前まで住んでた門馬にはあり得ない失態です。そもそも、今回の犯罪は単なる万引きに過ぎないから厳重注意で済むかもしれないのに、わざわざ一年前の犯罪自供した意味もわかりません。わざと万引きして陣川さんに捕まったとすれば全て納得がいきます。一年前の事件だって、長くお抱えの運転手して恩義もあったはずの北薗氏をちょっとのお金で裏切る真似するとは思ええませんしこっちも怪しい。まあしかし、なんでそんなことしたかはちょっと想像つきませんが」 「元会長の北薗氏は会社を私物化し横領していたことで告訴がもう間もなくおこるそうな。差し押さえで財産は全部会社側に回収される予定だ。奥さんの摩耶子さんも当然知っていたよな。その奥さんは元ホステスだが、かなり欲深な女で有名だったそうだぞ? 付き合っていた不動産会社社長を、会社がやばくなったらすぐ捨てたり……そ、矢橋と関係を持ってたんだ」「その矢橋の居場所を突き止めたが、陣川の馬鹿のせいで逃がしてしまう。その晩矢橋と摩耶子がオルゴールを巡って取引をしようとしたが、杉下さん達に取り押さえられる。これが例のオルゴールか……しかし、このオルゴールを矢橋は門馬から買ったわけではないらしいな。このオルゴールにいったいどんな秘密が隠されているんだ?」「一年前矢橋はとっくに別れたはずの摩耶子に頻繁に連絡を取っている。丁度その頃に門馬は窃盗事件を起こした。そしてあのオルゴールを摩耶子に高値で売ろうとした――おっと、写真出てきたな。って馬鹿! 証拠品のオルゴール勝手にいじくるな陣川……ん? な、なんだこりゃ?」 「一年前、矢橋は闇金からの借金に困り摩耶子さんを脅し、あの日家に押しかけて無理やり金庫を開けさせ奪っていった。警察に訴えるしかないけど矢橋のことを言うわけにはいかないから、門馬に頼んで見ず知らずの窃盗犯に見せかけたんだね。そして門馬はオルゴールを取り戻そうとしたけど、犯人を告白するわけにはいかないから自分が犯人だと訴えてわざと陣川さんに捕まることにしたんだ」「しかし、その脅しのタネは門馬と摩耶子の秘密の関係。最初から陣川を言葉巧みに操って利用してたんですね。だけど捕まった矢橋が自白するわけもなし、こいつらの計画を立証することは不可能です。引くしかありませんねえ」「――と、思わせといて実はもう全てわかっている。たかがオルゴールを逮捕されてでも欲しがった理由、それはあのオルゴールの中にあったある番号だった。スイスのプライベートバンクの口座番号、北薗氏の隠し財産が保管されている。口座番号以外では一円も動かせない銀行で本人と代理人以外は存在すら知り得ないその口座を、北薗氏が倒れた今預金を引き出せるのは代理人に指名された摩耶子だけ。それをオルゴールが盗まれた後教えられ、記憶障害にかかってしまったため知る方法はオルゴールの中にしかない」「しかしその金は、北薗興産から横領したもの。背任横領で告訴しようとしてるからこんな無茶な手段で回収しようとしたんだ。当然返還要求されるだろう。完全秘密主義の銀行だから銀行自体は応じないだろうが、摩耶子が引きだしたら検察も国税局もやってくる。つまり絶対に引き出せなくなってしまったわけだ。これで計画はパーだな」 「門馬の奴、摩耶子への愛は本物だったんだな。だからこそ陣川も門馬を信じれたんだろうが……やっぱ向いてないんだって刑事は。諦めればいいのにまだ懲りない」「懲りる人じゃないって。ま、この人の良さが魅力ではあるんだけどさ」 「んで次が最終回ですが……映画まだやってるのにいいんでしょうかここまでネタバレして」「てか、この最終回のためにあんな時間設定にしたんだろうな。やはりあの男の物語は終わっていなかったか……瀬戸内さんまで出てきて、とんでもないラストになりそうだぜ」
2011.03.07
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「前回バッタヤミーの力に魅了されヤミーを逃がしてしまった神林親子ですが、今度は二人で暴力団事務所に飛び込んでリンチします。もはや大暴走ですね。悪い奴をぶっ飛ばすお父さんを尊敬する眼差しで見つめる隆君の目にますますヒートアップしていきます。まずいですよこれ……」「後藤さんはヤミーを止めるかどうか迷ってるね。悪人を倒してるんだから、益はあっても害はないんじゃ……」「冗談、あの様見て言えるかよんなこと。世の中の戦争ってのはだいたい『正義』から始まるんだ。正義のためなら、人間って生き物はどこまでも残酷になれるからな――映司はしかし、どんな地獄を見てきたんだろうな。こんなこと普通言えないぜ」「過剰な正義感は時として悪より危険だ……今すぐ止めないと、取り返しのつかないことになるぞ」 「悪より醜悪な正義か……正義の味方に憧れている後藤にとってはきつい話かもしれんな」「いいんですよ、彼は伊達さんという師匠を手に入れましたから、何か間違っても止めてくれる人がいます。だから神林は止めなくては。バースバスターも使いこなせるようになったところで、ヤミー戦です」 「今度は悪徳政治家か……こんな怪物に襲われるなんて恐怖だよね」「映司か駆けつけて変身、神林もそこでやっと自分のしていることが一方的な暴力に過ぎないことに気付く。こんなのが自分がやりたかった正義なのかと正気を取り戻すが、ウヴァが隆を人質に取った。ピンチのところを伊達さん達が間一髪助け、隆は後藤さんに連れられ逃げる。神林はすっかり凹んでるな……」「こいつが正しいことをしたいという気持ちは本物なんだよ。でもそれが純粋過ぎたから付け込まれたわけで。正しいことをしたいというのは悪いことじゃない。でもそれをあまりに性急に力ずくでやろうとすると歪む。時間をかけても一つ一つゆっくりこなしていくしかないのだ。う~ん、映司らしいセリフだなあ」「一方、意気消沈してしまった隆は……ん、ウヴァ!? 隆の欲望でヤミーを作る気だぞ!」「バッタヤミーで対抗しきれなくなったからですね。こんな子供からヤミー作るとはなんて奴でしょう。しかし、どうしてまだ子供の隆君があそこまで正義をしようとしたのでしょう。その本当の理由とは」「――簡単だよ。お父さんに帰って来て欲しかったのさ。ヤミーを生むほど強い欲望じゃないけど、純粋な願い――ああ、お父さん帰って来て」 「ようし、ヤミーを仕留めるぞ。伊達とのコンビでウヴァからコアメダルを奪い、タタジャドルで一気にケリだ!」「ギンギンギン!ギガスキャン! タジャスピナーをスキャンし、火の鳥と化したオーズで突撃ぃ!! ヤミー撃破だ!」 「神林は家に戻り、弁護士を目指すことにしたそうな。まあこれで解決か……今回は大変だった」「『正義』っていうヒーロー物には深いテーマを扱ったからねえ……ま、二人はチョコ貰えたしよかったじゃない」
2011.03.06
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『どう? 調子は』「どうって言われても……実際に試すわけにもいかんし、わからんよ。ただでさえ起動実験だけで吹き飛ばしちゃったからな」『あはは、でもそんなことあっても全然平気なあたしの設計も凄いもんでしょ?』「いや、そこは材質に依存することが多いんじゃないかと……まあ、設計通りの物は出来たな。ありがと」『いいわよ代金は貰ってるから。でもさ、それ誰が使うの? 静馬?』「俺がこいつを使えるわけないだろ……しかし、他の連中にもなあ」『は? それじゃ誰も使えないじゃない』「――できれば、誰にも使って欲しくないってのはあるな」「……まあ、そりゃわからなくないけど、作った側としてはきちんと利用して欲しいわねー」「そうだな。とりあえずありがとう。例はまたきちんとするよ。んじゃ」「…………」「使いたくない、か……はは、我ながら馬鹿なこと言ったもんだ。俺が一番言っちゃいけないセリフだろうに……」「罪深さと愚かさは、八年前のままか――ん?」…………「気のせいか、誰かいたような気がしたんだが……まあいい、今日はもう寝よう」「……ホント、どうすっかなこれ」 『――ISON』「…………」そろそろSS開始できるかもしれん。まあ色々溜めてるの処分してからがいいのはわかってるんだが……ここ逃がすと次チャンスないからなあ
2011.03.05
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申し訳ありませんが、管理人は本日LE運営不能な状態に陥っているので緊急的に営業を休止いたします。誠に申し訳ありません
2011.03.04
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2011.03.03
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2011.03.02
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「え、杉下さんが観察対象!? そんで監察官の取り調べって、どういうこと!?」「いやまあ、この人は色々やってるから調査どころかとっくに追い出されても不思議じゃないんだが……匿名の告発状が届いたらしい。大河内さん出張なので監察官の栞さんが担当。とにかく、杉下本人からじゃなくて周りの人物から取り調べするみたいで、最初は米沢さんだ」 「今杉下さんが調べてるのは、ネット証券会社社長金谷の不審死。ネット証券で注目された若きエリートでしたが、最近脱税疑惑が噂されていた過中の死。米沢さんに聞いて飛び出していきましたが、ああこれやっちゃいけなかったんですか。死因は服毒死、パソコンに遺書らしきものが残っていました。遺体発見現場は隠れ家みたいなとこで、愛人用とのことですが……ホントですかね。しかし、今更ですが捜査権ないのに結構参加してんですよね服務違反なんですってこれ」「しかし、妙なところが多い。遺書も偽物の可能性が出てきた。それは杉下さんの成果だが……確かに問題ではあるな。取り調べにも勝手に付いてくるし。こう改めて言われるとこんなに問題行動だらけだったのか二人の捜査は」「まあまあ、今は事件に集中しようぜ。死亡推定時刻に被害者の携帯にかけている新聞記者がいた。森井という男は独占取材をお願いしていたようだが――どうにも気に食わんな。捜査妨害と違法捜査の疑いが強くなっていく一方、次の取り調べは角田課長。フォーイースト不動産という暴力団傘下の会社を内偵捜査中に遭遇した。企業恐喝専門の経済ヤクザだそうだが、ここの仙道社長が関連していると。しかし、いつもの課長の手伝いとか情報提供て無許可だったんだな。みんな色々やってんだなあ。んじゃ、今度は神戸だ」 「愛人用だって言ってたあの部屋、にしちゃ無味乾燥過ぎる。別の目的で使用されてた可能性が高い。そこで気になったのが、クレー射撃仲間の仙道だ。右肩上がりの業績に対し経常利益が少なかったが、それを暴力団関係の企業に流していたとしたら致命的なスキャンダルだ。仙道と金谷との何らかの繋がりがあるか……ん、メールマガジン?」「仙道が企業恐喝したリストと、金谷の会社が大口の顧客に送っていた推奨株、つまり売買を勧めたリストが一致。えーと……仙道が上場企業に恐喝を仕掛ける、その時知り得た会社の極秘情報を金谷に与え、推奨株にする――確実に当たるだろうけど、インサイダー取引じゃないの? 捜査二課が調べるでしょこんなの。それに、だったら仙道が金谷殺すのはおかしいじゃん」「そこで出てくるのが森井という記者です。彼は金融商品法やインサイダー取引について調べていました。で、彼のメモ帳盗み見してみたら――ありました現場の住所と死亡推定時刻金谷と会う予定の記録。彼の指紋も手に入れましたし、次は動機ですね」「――それにしても、杉下の勝手な捜査はいつものことなのに、どうしてこのタイミングで告発状など出てきたんだろう。誰かが杉下を観察対象にして懲戒解雇にしようと目論んでいるのではないか?」「まあ……映画の話になるが、あの件で特命係の後ろ盾がなくなったのは事実だからな。去年のことに関して例の一派が特命係に対し攻撃を仕掛けてきたってことはあり得るか。はっきり言えることは、栞さんは確実に杉下を懲戒処分にする気だな。さて杉下さんの聴取だが……その前に、事件の続きと行こうか」 「森井はあの日金谷と会う予定だったけど、突然キャンセルされたんだって。でも、森井にとって金谷は大事な取材相手だし、何かしら取材中諍いがあったとしたら服毒死はおかしいよね」「頭から説明した方がいいな。金谷と仙道の癒着関係は推理通り、しかし脱税疑惑が浮上して、森井がインサイダー取引を嗅ぎつけてきた。捜査二課が強制捜査に踏み切ろうとしていることを知った金谷は、森井に全てを告白し自主、自分が仙道に脅された被害者だということにして身を守ろうとしたんだ。だけど仙道に気付かれ、自殺に見せかけて処刑されたってとこだな。犯人はもう逮捕されるだろう――だから、もう一つの謎を明らかにしようか。どうして監察官聴取が今になって行われたか?」「実は栞さんと森井は内縁関係で、監察官として得た捜査情報を流していたのです。道理で二課が内偵調査してたインサイダー取引を知っていたわけです。その情報を元に独占取材を行おうとしたら金谷が殺され、自分が容疑者にされてしまった。焦った栞さんは、告発状を自分で書いて杉下さんを観察下に置き、捜査から遠ざけようとしたんです」「アホな女だ……しかし、大河内監察官はとっくにこの国家公務員法違反を察知していて、この監察官聴取を利用する気だったんだな。最初から罠だったんだ」「この女が情報漏らさなきゃ金谷が殺されることもなかったろうに……さて、じゃこいつの監察官聴取を始めようか?」 「次回……また陣川か……」「ホント静馬は陣川さんダメだねえ」
2011.03.01
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