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『おーい、新人紹介するぞー』
『――新人?』
『え、何それ?』
『初めまして。間陀羅麻紀と申します』
『今日からバイトとして入ってもらうことになったから。仲良くしてくれ』
『バイト募集なんかウチしてたっけ……』
『まさか、あのテキトーな張り紙で来たのか?』
『ええ、今日からよろしくお願いします♪』
「懐かしいなあ……あんなんでよく来たよねホント」
「静馬も来るとは思ってなかったらしいから、焦ってたよなあ。相当笑える顔してたぜ」
「そんなことはどうでもいいんだ。さっきからお前ら何を言ってるんだ」
「――確かに見たのか? あの男を」
「疑いたいのはこっちよ。見たのが自分でなかったら全然信じなかったわ。でもね、あんな奴見間違えるもんですか。ピピニーやグレッドと違って、あの男が死んだなんて話は一つもなかったでしょ?」
「そりゃそうだが……遺体の確認なんてまともに出来なかった戦いばっかだったんだ、出てこなくなったら、死んだと思って当然だろ」
「だから、お前らはいったいだれの話をしてるんだ! いい加減はっきりせい!」
「……タクティカルレッドの中には、狂人だの悪魔だの呼ばれた輩はたくさんいたが、その中でも敵味方誰からも恐れられた怪物がいた。それが『スマイリー』だ」
「スマイ、リー? なんか、怪物と呼ばれる輩の割にはおかしな名前だな」
「冗談じゃねえや! そんな略称だから勘違いすんだ、あの怪物の本当の二つ名は――!」
「あっ!」
「な、なんだPK」
「もしあいつが関わってるとしたら、“アレ”が関係してないわけないじゃん!」
「まあな。だとすれば、“鍵”を握っているのはやはり――」
「――“鍵”?」
『――バイト希望?』
『いや、そこに張り紙貼ってあるじゃないですか。それ見てきたんですよ』
『え、あの張り紙で来たの!?』
『なんですか、バイト欲しくて募集したんじゃないんですか?』
『いや、そうだけど、あれで本当に人が来るとは――まあ、来たものはしょうがないか。えーと、履歴書とかある?』
『ないわけないでしょ、貼り紙には書いてなかったけど一応持ってきました。はいどうぞ』
『その馬鹿にした口調やめてくれないかな……あー、間陀羅麻紀……ずいぶん変わった名前だな。学生ね。……ん、間陀羅って、近所の間陀羅葬祭会館の?』
『ええーーまあ』
『?(なんだ、急に機嫌悪くなったな)』
『それより、張り紙の条件は本当ですよね? 『住み込み可』っていうのは』
『ああ、うん。部屋余ってるから……なに、住み込みで働くの?』
『でなきゃこんなバイト募集しませんよ』
「こいつ受かる気あるのか、って思ったねあんときゃ」
「合格させたの静馬じゃないですか」
「まあ面白そうだったからね。実際色々役立ってるからあの時雇ったのは後悔してないよ。――しかし」
「はい?」
「フォルトのように、俺にも“ツケ”がある。お前の返答によっては、俺は……」
『ILLUSION』
「…………」
「!? うわっ!」
「おや、どうかしました?」
「……その力。やはり“鍵(キー)”がお前が持ってたか、麻紀――!」
つづく
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