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小説 「scene clipper」 Life goes on「田島さん、僕も結構な年齢になりました」リョウは少なからず驚いた。青木氏が叔父の墓に話しかけるその言葉遣いは意外だったのである・・・。自身の胸の内を、秘めていたであろう胸の内を、誰かに聞かれることが分かっていながら吐露するとは、あの特別な世界にいる人は、他者に自身の脆さと受け取られかねない振舞いを是としない。そんな風に認識しているリョウにとって、目の前の青木氏の言動は意外に思えた。 それに、50歳を過ぎたご自分の事を「僕」と表すのには何だか好感を抱いた。叔父が目の前に居たなら、そんな風に話しかけるだろう。本当に大切に思う人にならば、その接し方に生死の違いなど無縁である。自身がそういう接し方を大事にしてきたリョウは、叔父に対する青木氏の話し言葉に誠実さを感じて嬉しく思った。 「田島さん、実はあの日、田島さんにお会いしたあの日の朝、僕はもう死のうと思っていたんです。日本が戦争に負けて、何もかもが信じられなくなって、おまけに大切な両親を亡くして・・・それでも、もうちょっと頑張ってみようと、九州まで訪ねてきた親戚の叔父夫婦も空襲で亡くなっていた・・・それで、僕は生きる意欲を無くしていたんです。 そんな時でした・・・田島さんが僕を見つけて下さいました!・・・・・そして、『子供が遠慮なんかするな、子供は食うて寝て大きゅうなるんが務めじゃ、ほれ、早く食え!』 そう仰ってお持ちになっておられた握り飯を下さった。・・・あの握り飯の美味しかったこと・・・まるで昨日のように覚えております!・・・ありがとうございました!」 青木氏は、ほとんど叫ぶようにそう言って叔父の墓前に膝と両手の平をついて深々と頭を下げた。 何時も応援、ありがとうございます。
2024.08.29
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「原爆投下を正当化する理由はない」これは私が若い頃東京で知り合い親しくなった友人が言ってくれた言葉です。彼は日本語をかなり話せたし、ロックが好きで良く通っていたライブハウスで知り合い、たまたまアパートも近くお互いに行き来していました。ある年の夏、しばらく来ないし、ライブハウスにも顔を見せないな、と思っていました。彼の部屋の階下には主にカントリー、ブルースを流すお店があってそこで飲んでたら、コンコンと窓ガラスを叩く音がしてジョンデンバーを思わせるメガネをかけたジョン・〇・マッケナン(仮名)の顔が。指で入って来るように招いたが顔を横に振る。仕方なく大急ぎでビールを飲み干して二階へ行くとドアが開いたまま。上がり込んで話をした。浮かない顔をしていたので訳を聞くと、広島に行って来たと。「アメリカ人は見たら方がいいと思って、だから原爆資料館に行って来た」とそれだけで何だか嬉しかったのだが、しばし沈黙のあと「あれを、原爆投下を正当化する理由はない、してはだめと思った。リョウの家族、原爆犠牲者いない?・・・」と神妙な顔が痛々しいほどだった。「いない」と言うと彼はため息をついた。「でも、日本の人たちにごめんなさいと言います」そう言ってくれた。もっと嬉しくなった。「ジョンちゃん、そう言ってくれただけで、そう言ってくれるだけで多くの日本人が笑顔になると思うよ」そう言うと、彼は大粒の涙を流した。(アメリカにもこういう人がいるんだ)感動したことを今日思い出しました。
2024.08.09
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