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2022.08.17
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片平信明略伝

駿河みやげ(斯民第一編第十号)に、「西个谷氏は杉山区並びに庵原全体につき語るに、『杉山に農業補修学校がある、明治8年11月の設立で、夜学校も設置している。日本に実業補習学校あるは、これを始めとする。杉山村の今日あるのは、全く片平信明翁の力によるものにて、報徳教の効果、最も顕著なるは、この地なるべし。』
「西个谷氏は庵原村の戸長をも勤めたことがある、今は東報徳社の社長である。『庵原では従来積立金もあったが、諸種の共有金を集め明治14年ごろには79円59銭、明治18年には利殖し552円となった。
明治18年5月農商務省第20号布達、済急趣意書が達せられ、勤倹貯蓄を勧められたことから、この積立金を土台としてその7月7日に発起し、規約を結んで、奢侈の弊風を直し、また各人に勤労をすすめ、毎年1月、5月の両回、各戸より10銭ずつ積立てることを定めた。この積立金は、終に積って最近二千四百円ほどなり、内千二百円余りで戦役記念のために他村の山林を買い、明治38年にに杉、ヒノキ25万7千本を植栽した。30年の後には、少なくも2万円の収入を得るだろうから、うち8千円を280戸に分配し、その余はすべて学校の資本財産とし、また村に寄附しようと計画』とある。
 駿河みやげ(斯民第一編第十号)に、牧田包栄氏の家の座敷の扁額に、品川弥次郎の遺墨があるとあり、この話を思い出す。
『衛君(衛の32代君主)が蒲の野に行った時、一人の老父があえぎながら一所懸命多くの松の苗を植えているのを見た。衛君は老父に問うた。「老父よ、おまえはどうして松の苗をうえているのか。老父は答えた、「将来、屋根の棟(むね)や梁(はり)とするためです」衛君は言った。「老父よ、年はいくつか」「八十五歳です」衛君は笑って言った。「この松の木が大きくなっても老父は用いることはできまい」「木を植えるのは、それを用いるのを百年後にまつものです。君は必ずこれをその世に用いようとされるのか。ああ君の言葉はどうして国をたもつ者にふさわしい言葉といえましょうか。私は老いてはいますが、死んでも、ひとり子孫のための計をなさないでおきましょうか」と。衛君は大いに恥じて謝まって言った。「私が間違っていた。あなたを師をしよう」と。そして老父をねぎらうのに酒食を以てした。詩に曰く、「貽厥孫諒以燕翼子。於老父有焉」明治三十一年十月二十三日、念仏庵主筆』」とある。

​司馬遼太郎の「 街道をゆく」のオランダ紀行に、オランダ北部の全長30キロの大堤防を車で走るシーンが出てくる。左が海、右が湖。10キロほど走ったところで停車し、司馬さんは高台に立つ。海には白い波が立つが、湖は波もない。「国土とはこういうものか!」小さい展望塔には、三人の男たちの土を耕す姿がレリーフされていて、「将来を立てないと民族はなくなる(“Een volk dat leeft, bouwt aan zijn toekomst”)」と刻まれている。「今、私たちが立っている現在もかつての人々が将来を思って営んでくれたおかげである」と司馬さんは思う。私たちもまた将来の人々のために現在を営む必要がある。​

*締切大堤防 Afsluitdijk


オランダ語の名称は、"Afsluit"(閉鎖、締め切り)と"Dijk"(堤防)という二つの単語から成り立っていて、日本語名称もそこから来ている。 この堤防は、ゾイデル海開発プロジェクトの一環であり、かつてゾイデル海(湾)であったアイセル湖を、外海である北海(厳密には北海に繋がっているワッデン海)から仕切っている。 淡水化し水位を下げたアイセル湖の 4 箇所(北ホラント州のウィーリンガーメール、フレヴォランド州の北東ポルダー、東フレヴォランドと南フレヴォランド(現在のアルメレ、レリスタット、ドロンテン、ゼーヴォルデの各基礎自治体))では大干拓地が造成された。
堤防の南西端は北ホラント州のヴィーリンゲン基礎自治体、東北端はフリースラント州のウォンセラデール基礎自治体である。
締切大堤防上には、欧州自動車道路 E22/A7(E22:国際 E-ロードネットワーク、イギリス西部~同・マンチェスターManchester~オランダ・アムステルダム Amsterdam~ドイツ・ハンブルク Hamburg~スウェーデン・マルメ Malmö~ラトビア・リガ Rīga~ロシア・モスクワ MockBa~ロシア中央部まで5,320km、A7:ドイツ連邦高速道路、デンマーク国境~オーストリア国境まで 963km ドイツを縦断)が通っている。
 展望台の登り口にある、大堤防の石を積み上げる男たちが刻まれたレリーフは、
「将来を樹てないと、民族はなくなる。」(EEN VOLK DAT LEEFT BOUWT AAN ZIJN TOEKOMST)と題されている。
File:Monument afsluitdijk en omgeving 28-06-2019. (actm.) 16.jpg -  Wikimedia Commons

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最終更新日  2022.08.17 03:53:41
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