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2024.03.22
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カテゴリ: 報徳
「二宮翁夜話」 日めくり 
22日 




二宮翁夜話巻之3(【 】は夜話の通しで表記する)  

【122】 をう いは く、 山畑 やまはた あは ひへ 実法 みの とき 猪鹿 ちよしか 小鳥 ことり までも たりて、 これ らふ、 れい もなく はふ もなく、 仁義 じんぎ もなし、 己々 おのおの はら やしな ふのみ、 あは そだ てんと こゑ をする 猪鹿 ちよしか もなく、 ひへ 実法 みの らせんと くさ とり もなし、 ひと にして 礼法 れいはふ なき、 なん これ こと ならむ、 たはむ れに める うた に「 あき れば 山田 やまだ いね しし さる ひと 夜昼 よるひる あらそ ひにけり」 検見 けんみ きた 地方官 ちはふかん は、 こめ らんが ため なり、 検見 けんみ くる 田主 たぬし も、 作徳 さくとく らん ため なり、 作主 さくぬし もと よりなり、されども、 みな じん あり あり、 はふ あり れい あるが ゆゑ に、 心中 しんちゆう には あらそ へども、 らん およ ばぬなり、 の三 にん うち 、一 仁義 じんぎ 礼法 れいはふ わす れて、 私欲 しよく らば たちま みだ るべし、 世界 せかい 礼法 れいはふ こそ たふと けれ。  


【122】尊徳先生がおっしゃった。
「山畑に粟や稗が実る時には、猪や鹿、小鳥までも出て来て、これを取って食う。
礼もなく法もなく、仁義もない。自分の腹を養うだけである。
粟を育てようと肥しをやる猪や鹿もいない。稗を実らせようと草を取る鳥もない。
人であって礼法がないものは、これと異なるところがない。
私がたわむれに詠んだ歌に、
『秋来れば山田の稲を猪(しし)と猿、人と夜昼争いにけり』
とある。秋の収穫を調べに来る役人は、年貢米を取るためである。
調べを受ける地主も、耕作の利益を取るためである。小作はもとよりのことである。
けれども、皆仁があり義があり、法があり礼があるために、心中では争っていても、乱には及ばないのだ。
もしこの三人のうち一人が、仁義礼法を忘れて、私欲を押し張ったならばたちまち乱れるであろう。
世界は礼法こそ尊いものなのである。


 ■ 報徳秘稿 【54】恐れても恐るべきは、受財の楽しみ。勤めても勤むべきは、苦しみの施財也。受財の楽しみは畜生の道也。苦しみの施財は人道の元也。夫れ、禽獣は奪を知りて譲をしらず。故に、開闢以来今に至て安堵の地なし。人道は大神宮以来、今日を明日に譲り、今年を来年に譲り、天の恵みを受けて地に施し、親の恵みを受けて子に施し、譲り譲りて人道立ち、世界相続をなす。元仁義と云い、礼譲と云う。皆己が手の向えたる時の名也。己が手前へ向かう時は、仁も仁にあらず。礼も礼にあらず。勤むべし。恐るべし。

【訳】
恐れても恐るべきは、受財の楽しみである。
勤めても勤めるべきは、苦しみの施財である。
受財の楽しみは畜生の道である。苦しみの施財は人道の元である。
それ、鳥獣は奪うことを知って譲ることをしらない。だから、世界が開けて以来、現在まで安心安全に暮らす地がない。
人道は大神宮以来、今日を明日に譲り、今年を来年に譲り、天の恵みを受けて地に施し、親の恵みを受けて子に施し、譲り譲って人道立ち、世界相続を行う。
元仁義といい、礼譲という。皆自分の手を向うにむけた時の名である。
自分の手が手前へ向かう時には、仁も仁ではない。礼も礼ではない。
勤めなければならない。恐れなければならない。






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最終更新日  2024.03.22 00:00:21


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