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二宮翁夜話巻之3(【 】は夜話の通しで表記する)
【130】翁曰く、某(それ)藩士某(なにがし)、東京(えど)詰にて、顕職を勤めたり、一朝退勤の命あり、帰国せんとす、予往きて暇を告げ、且曰、卿(きみ)が是迄の驕奢、実に意外の事なりといへども、職務なれば、是非無し、今帰国せんとす、是迄用ふる処の、衣類諸道具等は皆分不相応の品なり、是を持ち帰る時は、卿が驕奢退かず、妻子厄介も同く奢侈止らざるべし、然る時は卿が家、財政の為に滅亡に至らん、恐れざるべけんや、刀は折れず曲らざる利刀の、外飾なきを残し、其他は衣類諸道具、一切是迄用ひし物品は残らず、親戚朋友懇意出入の者等に、形見として悉く与へ、不断着寝巻の儘にて、只妻子而已(のみ)を具して、帰国して、一品も国に持ち行く事勿れ、是奢侈を退け、驕意を断つの秘伝なり、然らざれば、妻子厄介迄染み込んだる奢侈決して退かず、卿が家終に亡びん事鏡に掛て見るが如し、迷ふ勿れと懇々教えたれど、某(なにがし)用ふる事能はず、一品も残さず、船に積みて持帰り、此物品を売り売り生活を立て、終に売り尽して、言ふ可らざるの困窮に陥り果たり、歎ずべし、是分限を忘れ、驕奢に馴れて、天をも恐れず人をも憚らざるの過ちなり、我驕奢、誠に分に過ぎたりと心付かば、同藩に対しても、憚らずば有るべからず、是驕奢に馴れて自ら驕奢としらざるが故なり、歎ずべし。山寺の鐘つく僧は見えねども四方(よも)… 2025.09.18
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