MM2022のブログ

PR

プロフィール

MW2022

MW2022

カレンダー

コメント新着

天国にいるおじいちゃん@ Re:打席に入る前に、バットを天にかざして、天国にいるおじいちゃんに『力を貸してくれ』(08/24) 天国にいるおじいちゃんについては、 089…

キーワードサーチ

▼キーワード検索

2024.11.23
XML
カテゴリ: ネイチャー
加齢が脳を「保守化」させる

できることなら、自分と異なるグループ(アウトグループ)の人の考え方も、ただ「アウトグループだから」という理由で排除したりせず、異なる考え方を尊重し、互いを認め合いたいものです。

しかしこれは、脳科学的には難しい問題でもあります。実は、どのような相手に対しても共感的に振る舞い、人間として尊重し、認めていくという機能はとても高度なもので、前頭葉の眼窩前頭皮質という領域で行われています。

ここは25~30歳くらいにならないと成熟せず、さらに、しっかり発達させるためには、相応の刺激(教育)も必要になります。また、重要な部分なのに、アルコール摂取や寝不足といった理由で簡単に機能が低下してしまいます。しかも、その機能が得られるまでには人生の3分の1近い長い時間がかかるのに対し、 衰えてしまうのはとても速い のです。

ニュースなどで見る、いわゆる「キレる老人」を典型的なパターンとして思い描いていただけるとわかりやすいかもしれません。
老人が相手に有無を言わせず、自分の倫理だけを信じて、直情径行的に行動してしまうのは、前頭葉の背外側前頭前野が衰えているからかもしれません

一般に、加齢とともに思考が保守化すると言われますが、同じ理由で説明できます。実際は、脳が老化したから保守化したということが疑われるのです。

ここで言う保守化は、政治思想的な保守という意味ではなく、 自分が元々持っていた思想の傾向がより純化され、それ以外の意見は自動的に棄却される確証バイアスが働いて、さらに思考が硬直化していく

老化とともに、 自らの所属している集団の論理しか受け付けなくなってしまう のです。

脳科学的に見ると、 理性と直感が対立すると、ほとんどの場合、理性が負ける ようになっています。これは リベラルが保守に勝つことが難しい理由 でもあります。もっと身近な例で言うと、ダイエットがなかなか成功しないというのは、これと同じ構図によるものです。

保守の人は安全志向で、自分が得てきたこれまでの成功体験を信頼し、そこから大きく外れることなく生きる方がより賢い(安全だ)と考えています。安全確実な方法をより価値が高いとし、優先する慎重派と言ってもいいでしょう。

一方、 リベラルの人たちは、すでに存在している確実なパラダイムに対して、常により新しい別の選択肢がないかを考え続け、ロジックを更新していこうとします 。そして、 そうした行為自体が人間としてあるべき正しい姿だと考える傾向が強い と言えます。

極端な例かもしれませんが、1つの 思考実験 として以下のような状況を考えてみましょう。自分が尊敬する父親から、次のように教えられて育ってきたとします。父は自分に、「 困っている人がいたら必ず助けてあげなさい

では、実際にお隣さんが「うちは生活が苦しいから、これから毎日食べ物をくれないか」とか、「お宅にはクルマが余分にあるのだから、うちにも使わせてもらえないか」「洗濯機が壊れたから、好きなときにあなたの家で洗濯させてほしい」などと、要求してきたとしたらどうでしょうか。

父の教えに従うのであれば、隣人の要求に従うことが正しい振る舞い だということになります。しかし、 本当にその教え通りに生活を続けていたら、最終的にはこの隣人にすべてのリソースを奪われ破産してしまう おそれがあります。場合によっては、 生命の危険を感じる ことすら起こり得るかもしれません。

これは、決して個人の意思の力といったような問題ではありません。実際は、 人間が人間であり続けるため、脳は前頭前野に従い過ぎないように、つまり「賢くなり過ぎない」ように設計されている

生きるためには食べなければいけないのに、その本能に逆らってひたすらダイエットを続ければ、そのうち健康を害し、餓死すらしかねません。元々、トップダウンのシステムが弱くなるのが健康な状態で、そのようにできているのです。

その典型は女性と出産の関係かもしれません。女性が自分の生命維持を最優先するなら、子どもを産むという行為は、リスクが高過ぎると言えます。実際に、医療がこれほど発達していない時代には、お産で亡くなる女性も多かったのです。

しかし、それでは 種としての人間が絶えてしまいます 。だからこそ、 トップダウンではコントロールできないような、愛情や性欲、子どもへの愛着などが強くなるように仕組んである わけです。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2024.11.23 18:23:35


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: