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今日は一日いっぱい民生委員の一年に一度の出張研修。静岡県のさる老人介護施設を訪問し、取組みについての説明と施設見学をさせてもらった。
しかし、じつは私はこの研修に出かけるのをためらい、心残りを振り切るように出かけたのだった。
猫のマスクが臨終を迎えようとしていたのだ。朝の6時、出張の準備をしながらすでに目に曇りが出て来てい、横たわったままのマスクに、注射器でわずかながらの水と牛乳を飲ませた。顎の筋肉は固く硬直している。体温も低下していた。もうその死まで時間の問題だった。どこまで心臓がもちこたえるかだった。
「かわいい、かわいい。いい子だ、いい子だ」私は自分の顔をマスクの頭にすりつけながら耳元にささやいた。出かけるのを止めようかと思ったが、それもできかねた。
家人にこのまま寝かせておくように頼んで、7時、私は意を決して家を出た。
先祖にあたる猫のクロ(メス猫である)から数えて三代目のマスクだが、我家の長い飼い猫の歴史においてたくさんの猫達の死を見届けて来た。どういうものかみな私の腕の中で息を引き取っていった。マスクは1998年6月生れのちょうど18歳。猫としてはすでに老猫である。一昨年死んだマリと同じときに生まれた。マリも私に看取られながら私の腕の中で死んだ。マスクも私はみなと同じように抱きとって最期を送らせたかったのだ。それができないことが心残りで家をあとにした。
夕方6時半に静岡から帰宅すると、家人がマスクが午後2時に息を引き取ったことを知らせた。朝私が出て行ったときのまま横たわっていた。
「ごめんね。抱っこしてあげられなかったね。いい子だった、いい子だった。マスクは可愛い子だ」
それから私は丁寧に身体を拭き、梳り、真っ白な和紙に遺体を包んだ。私の仕事場に運び、大好きだった私の机の上に安置した。明日、マリが眠る墓地に埋葬する。
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