トヨタでは、誠実( integrity)、謙虚( humility)、尊敬( respect for others)といった価値観を大切にしており、それらはトヨタにとって北極星のようなもので、私たちを導く光です
負けず嫌いではなく負け嫌いとは、もとはイチローの言葉だ。「負けたことがないのに嫌い」な負けず嫌いではなく、「負けて、その悔しさを知っているから嫌い」なのが負け嫌いだと、イチローは言う。章男はその言葉を借り、いまや、さまざまな場面で「負け嫌い」と口にする 。
「私は、豊田という名前や3代目というのは、ハンディキャップを背負っているようなものだと思っていた。でも、パラリンピックの選手たちと接したとき、彼らはハンディキャップを前向きに『個性』と捉えていますよね。それを見て、私も名前や立場を『個性』と捉えて生きていけばいいのだと思うようになりました」 心の葛藤を、脱した瞬間だった。それは、今日風にいえば、章男が本当の意味で多様性を理解したということになる。強烈な「個性」を持つ他者を受け入れることは、豊田家に生まれた自分自身の「個性」を受け入れることにつながったのだ。 章男が自らの境遇から逃げることなく、向き合い続けてきたからこそ達した境地である。アイデンティティー・クライシスの正面突破だ。
皆さんは自分のために自分を磨き続けてください。トヨタの看板がなくても、外で勝負できるプロを目指してください。私たちマネジメントは、プロになり、どこでも戦える実力をつけた皆さんに、それでもトヨタで働きたいと心から思ってもらえる環境をつくり上げていくために努力します
練習は裏切らないという言葉には、これだけやったらこれだけ返してくれるよねという思いが入ってしまっているんですよ。でも、報われるとは限らないという思いが生まれないと、愛ではない 。一方通行であるべきなのが、愛だと思いますね。
失敗とどう向き合うかが大切だ。失敗の原因を第三者に向けるのではなく、自分に何が足りなかったかを問うべきだ。だから、僕はバットやグラブの手入れを怠らない。失敗の原因を道具ではなく、自分自身に向けるために 。
「車高を低くすれば、デザイン領域が広がって、面白いクルマが生まれやすくなる」「サルでも知ってる」──。 「プラットフォームのパーツはすべて小さくする。しかも、以前より必ず性能を向上させろ」「一からやり直しですか」「ゼロから」──。 そして、「非常識だけが次の常識になる」「開発は喧嘩だ」など、トヨタらしからぬ攻撃的な警句の赤字がデカデカと画面に登場する。
「トヨタ自動車はアライアンス(提携)の下手な会社だ」と、豊田章男は公言してはばからない。現に過去、いすゞ自動車や米テスラとの提携に失敗している。 しかし、トヨタは今、カーメーカーから「モビリティカンパニー」への進化を掲げている 。それには、単独では限界がある。他社との提携なしに、それは実現できない。それどころか、生き残れない。思い切ってアライアンス、仲間づくりを図らなければならない。
私はトヨタを、クルマ会社を超え、人々のさまざまな移動を助ける会社『モビリティカンパニー』へと変革することを決意しました」 豊田章男は、2018年1月に米ラスベガスで開催されたCES(コンシューマーエレクトロニクスショー)の席上、衝撃の発言をした。
100年前、米国に1500万頭いた馬は、現在では1500万台の自動車に置き換わりました。そのときと同じか、それ以上のパラダイムチェンジが起きているのではないでしょうか
【感想】
日本経済を引っ張り続ける巨大企業・トヨタの創業3代目社長を務める豊田章男。究極の御曹司という立場ながら、自ら身の危険を顧みずテストドライバーに挑戦し、車作りがどれだけ大変なのかを学び、それを経営に活かすという、チャレンジ精神に溢れる社長。テストドライバーから始まりニュルブルクリンク24時間レースに参戦するなど、レーシングドライバーとしての活動も続けている。1つの事故で命を落としかねない危険なレースに、日本で時価総額断トツ1位の企業の社長が出場しているというのは、意外と世間に知られていないのではと思う。このバイタリティーは凄い。2018年の「トヨタをモビリティカンパニーにする」という発言は世間に衝撃を与えたが、この豊田社長の先を読む力、時代のニーズに合わせて柔軟に会社を変革していくんだという力強い覚悟を感じ、トヨタという会社のイメージを変えてくれた。
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