世界を旅して人生を変えた世界一周者 50人で作った1冊。飛行機に一歩飛び乗れば、過去の自分なんて関係ない。人生最後の日のあなたが後悔するか、満足できるかどうかは今のあなたが踏み出す一歩で決まっていく。
★タイで出会った少女
僕が授業の準備でちょっぴり早く学校へ行くと、彼女は決まって、一人黙々と日本語を勉強していた。僕は彼女に話しかけてみた。
僕「なんでそんなに日本語を勉強するの?」
彼女「日本のことが大好きなの!日本に行くのが夢なの!」
僕「なーんだ!そんなことなら学校1週間くらい休んで、さくっと行っちゃえばいいじゃん!」
世界一周を満喫中の僕は、得意げに答えた。すると、彼女の顔が一瞬で曇った。過去の自分を初めて責めた。
彼女「旅行で行くことなんて、きっと一生できないと思う」
僕「なんで?」
彼女「…そんなお金は、私の家にはないわ」
彼女「だから私は日本語を勉強しているの。日本語ができれば、それを活かして日本で仕事ができる」
言葉に詰まった。浅はかすぎる自分の言葉に後悔した。( 自由に旅ができるのは、当たり前のことじゃない。彼女がこんなにも行きたい日本で、僕は大学にも行かずに、何をしていたんだろう? )
★インドのおっちゃんの涙
とある宿でカレーを食べて食中毒になった時、偶然宿のロビーにいたリキシャのおっちゃんが病院まで運んでくれた。朦朧とした意識の中、何も食べずに点滴を打ち続けて3日間。体力が回復して、おっちゃんにお礼のお金を払おうとすると、
おっちゃん「いらん」
僕「…少ないってことなのかな?いくら欲しいの?」
おっちゃん「金は受け取らない」
僕「なんで?」
おっちゃん「 インド人が君に迷惑をかけた。だから俺は、同じインド人として君のために動いたまでだ 」
おっちゃんの目には、うっすら涙が溢れていた。「せっかくタージ・マハルを楽しみに来てくれたのに、苦しい思いをさせて申し訳ない」
★親から100万を借りて世界一周へ
「 大学生は、お金はないけれど時間はあります。でも、社会人になったら、お金はあるけど時間はありません。だから今の子どもの間に、無利子で投資してください 」
「行動を起こすことは、奇跡を起こすことなんじゃないかな」何か新しいことを始める度に、今も意識する 。
★バングラデシュのグラミン銀行
首都ダッカにある、ノーベル平和賞を受賞した銀行。 貧困をなくすことを目的に設立されたこの銀行は、世界でも珍しい、貧困層を対象にした無担保融資を行っている。お金を貸すだけではなく、教育や保健などの社会サービス、農村の女性の自立支援まで 。
(人は未来への希望をエネルギーに変えて、生きられる。希望の有無が、人を大きく左右するんじゃないか)
日本の愚痴ばかりこぼしてきた自分。青い鳥を捕まえるみたいに、幸せになれる場所を探しにいった。だけど結局、日本より良い場所はどこにもなかった。マクドナルドの店員が、あんなに笑っている。
( 今在るものを大切に抱きしめていたいし、守っていきたい。もし欠けてきたとしても、文句を言うのではなく、私自身が誰かの希望になれるように、補っていきたい )
★シャネルやプラダは何もしてくれない
シャネルやプラダは何もしてくれません。今まで魅力を感じていたものが急に色あせて見えて、それが例え高価なものであっても、私の人生においてちっとも輝かなくなってしまいました。バッグパック1つで365日過ごせる、と分かった私の生き方や考えはどんどんシンプルになっていきました。
例えば旅に出る前の私は。10分の遅刻すらも許せないようなところがありました。自分ならこうすると思う事は、他人にも求める。今なら「10分遅刻したからビールおごりね」と言える。
★価値観のコレクションを壊しては創る旅
「原子爆弾を落とされた過去から、君はアメリカのことをどう思っているんだ?」
「前の世代の問題だから、僕から言えることは無い」
何とも無責任な言葉。その瞬間の宿のオーナーの表情を今でも思い出す。
そんな結論で済めば、誰も苦労しないよ。そんな顔をしていた。
「 日本人がこうして、ヨルダンやイスラエルにたくさん来てくれることは嬉しい。でも、あまり言わないけど、みんな結局遊びに来るだけで、パレスチナが抱える問題のことは何も理解していない 」
「歴史系の番組を作るには、原爆とかアウシュビッツとか、そういう歴史的な出来事に自分だったらどう向き合うか?っていう主観が問われる。そこが、もろに番組に反映されるから」
★2011年3月11日、ニューヨークにて
2011年の3月11日、私はニューヨークにいた。新聞はどれも1面、東北で起きた地震の記事だった。日本にいなくても、私が出来る事って?募金。それしか思い浮かばなかった。手作りの募金箱と新聞の1面を飾る地震の記事だけを持って、タイムズスクエアに向かう。想像以上の人が声をかけてくれて、募金して、心配してくれた。その理由は1つだ。 きっと、私が日本人だったからだ。みんあ、世界各地で地震や災害が起こった時、日本がどれだけの援助をしてきたか知っているんだ。自分が日本人だという事を心から誇りに思った 。
★世界一周の意味
世界一周はあくまで、目的でもゴールでもなく、手段であり、きっかけであると私は思う。 夢が変われば、人生は変わる。旅は、出会いと別れの連続である。旅は、未知なる世界へ飛び出す不安を克服するものである。旅は、生きる喜びを知るものである。旅は、無駄なプライドや価値観を捨て去るものである。そして、自分の本質や夢を再定義する時間である 。
【感想】
実際に世界一周を果たした50人が実体験をもとに書き上げた1冊だけあって、リアリティがひしひしと伝わってきて、読んでいて「自分も世界一周したい!」という思いがますます強くなった。自分の大きな価値観の1つとして、「人生は1度きりなのだからやりたい事をしてから死にたい。だからある程度お金を貯めて世界一周旅行に行く」という目標がある。世界一周航空券、という便利すぎるチケットがあるのもこの本で知れたし読んで本当に良かった。
新品価格 |