本日はこちら「スナイパーゴーストウォリアー3」のレビューです。
んー……まぁ、私は面白かったんだけどね。お勧めはできないかなぁ。いやいや面白かったんだけどね? 同時に障害も結構あるので。
ジャンルはFPSですが、狙撃に特化したゲームとして他に類を見ない珍しいゲームです。他に比べるものといえば昔GwGで配信されたことのある「スナイパーエリート」シリーズくらいしかないです。
で、スナエリと比べるとどうかというと……ね、まぁ、スナエリの方が3倍難しいけど、3倍面白いよって感じ。
ただ本作にもちゃんと良いところはあって、たとえば本作の舞台は現代なので武器が現代のものなんですよね。スナエリではサイレンサーという概念が無いので周囲の雑音に紛れて狙撃する必要がありましたが(それが面白くもあった)、本作では自分のペースで狙うことができます。
また、オープンワールドベースのフィールドになっており、プレイヤーは様々な手段を用いてミッションクリアを目指すことが出来ます。特にこのゲームは狙撃に向いた高所というものが至る所に配置された親切でぬるいゲームでもあるので、敵がこちらに気付かずおろおろしている様を眺めながら悠々と狙撃できる優越感みたいなのはスナエリよりもよっぽど感じられました。
そんなわけで本作は結構まったりのんびり遊べるスナイプゲームです。
オープンワールドなのでミッションに関わる場所以外にもたくさんの遊び場「ポイント・オブ・インタレスト」が用意されており、探索は十二分に楽しめました。
実績に難易度が関わらないので、私が終始ノーマル難易度で遊べたのも大きいですね。この難易度だと息を止めた時に、スコープの中に風や重力を加味した着弾地点が表示されるので、そこに敵の頭を合わせて撃つだけで神スナイプを体現できるのはすごく楽しいです。
最初、スナイパーライフルのスコープに倍率だけでなく「エレベーション」と呼ばれるダイアルまで付いていて、これを切り替えても見た目何も変わらないし、いったいどんな機能なのか不思議だったのですが、調べてみると……んまぁ、専門用語は私もわからないので省くとして、わかりやすくいうと、近距離ではなくたとえば300mや400m離れた敵を撃つとするじゃないですか、そうすると弾は重力の影響を受けて落下していくわけですけど、あんまり遠いと弾が落ちすぎてスコープの外から敵を狙ったり、撃っても着弾点を視認できなくなっちゃいますよね。
それを、スコープの中にあるレンズをちょいと動かして、見えるようにするっていうのがエレベーションの役割なんです。
それを意識して見てみると、たしかにエレベーション0mと300mでは違うんですよね。
エレベーション0mの状態で300m離れた敵を撃つ時は、大分上を向いて撃たなきゃならないんですが、ちゃんと敵との距離に近いエレベーションの値に(つまりこの場合は300m)に設定してやると、0mや50mの距離で狙撃するのと同じ感覚で敵を狙うことができるようになるのです。
また、現代銃撃ゲームでお馴染みとなったドローンで索敵してタグを付ければどんな小さな豆粒でも存在がわかるようになるし、プレイヤーはここと決めた狙撃ポイントから一歩も動かずにエリア内の敵配置を把握し、敵に気付かれぬまま一歩も動かずに拠点を一掃することが出来るのです。
かなり楽しい。
さて、貴重なスナイプゲーということでその存在自体が貴重な本作ですが、無視できないマイナスポイントも多数存在します。
一つ目は何といっても言語の壁。
かなりネイティブでべらべら話すので、お話は理解できないと思っていいです。私もわかりませんでした(笑)
主人公ジョンが誘拐された弟ロバートを探すために活動していることはわかります。この兄弟のお話と流れについてはムービーなり演出なりでかなりわかりやすいのですが、それとは別に主人公の所属する部隊が目指す最終的なミッション目標がわかりづらく、ストーリーを一周した後も、結局こいつらは何がしたかったのかよくわかりませんでした。
捕虜を救出するために迎えにきたヘリを思いっきり撃ち落としてしまったりしたこともありました(笑)
つまり日本ストアには無く、ローカライズもされていない作品です(でも他ハードは以下略)。
二つ目はありえないほど長いロードです。
これには理由があるのですが、初見は面食らうと思いますよ。私のXbox One Xでもロードに一分半、結局最後にボタンを押してから移動が出来るようになるまで二分ほどかかりました。その間は素晴らしいBGMをご堪能下さい。ちょうど1ループします。
これは、ワールドマップの全ての情報を読み込んでいるためです。スナイプゲーなので、ちょっと離れたくらいで敵配置がリセットされたり、敵がリポップしないための仕様で、苦渋の決断だったろうと思います。個人的に。
その煽りなのか、敵の数が少ないんですよね……。あんまり密集していても発見されやすくなって無理ゲーになるのですが、広大な敵拠点であっても中に10人いるかどうか(笑)
敵の種類もかなり少ないです。
ただし、一度倒した敵はその地域のどこへ行ってもファストトラベルしてもそのままです。
いったんゲームや地域を離れてロードが発生すると落とした拠点もリポップしますけどね。なので敵は有限ではないです。
最初のロードを我慢すれば他あらゆることはシームレスなのは良いことですが、見える範囲を描画するのであんまり遠くを見たりするとラグが発生したり、遠すぎる敵は見えなかったりと、あまり期待するほどの出来ではありません。その辺はやっぱりクオリティが良くないかな。グラフィックの緻密さに関しても、あんまりクライエンジンの性能を引き出せているとは思えません。
ただ、そんなゲームゲームした手触りが、結構好みだったりするんですよね。必要以上にリアルじゃなくて、あぁ、それは仕様ね。そこはそういうルールなのね。と、線引きされているような……。
実績としては何も特別なものはなく、出来ることを淡々とこなしていけば全て解除することはできます。空中キルやレッジキル、ロードキルなどは、この実績のために意図的に用意されたシチュエーションというのはほとんどなく、自分で意識して稼いでいかないと成り行きに任せていては達成は難しいですけどね。
その中の一つの実績に手を焼きました。
なんのことはない、ある地域のサイドクエストを全てクリアする、というだけの実績なのですが……。
アクト2最後のミッションにしてアクト3の導入となるミッションにおいて、なんやかんやあって潜入したあとダクトから脱出するシーンがあります。無事地上に脱出すると即座に長いムービーが入り、終わると今度は長い無線通信になります。この時、自由に移動ができるのですが、だらだらと無線を聞きながら手持ち無沙汰にうろうろします。……しますよね?
で、さっき出てきたダクトを見てみようとするじゃないですか。
するとね、消し忘れたイベントフラグがまた立ち上がって、でももう存在しないイベントをゲームが永遠に探し続けるんですよ。
一切の操作が効かなくなって強制終了しかなくなります。しかしゲームはオートセーブされているので進行に問題はありません。
一度終了して、また起動してロードすれば問題なくメインストーリーは進みます。
メインミッションは!
実は、長い無線通信が終わってジョンの悪態が終わった後、更に待っているとサイドミッションを受けるためのフラグが立つ無線が入るのです。
そしてこいつを聞かないと絶対にそのミッションは受けられません。
私は一周目において、奇跡的にメインミッションが完全に終了するタイミングで、サイドミッションの告知が入る直前にダクトに戻ってしまいフリーズしました。
それゆえ、この後に飛ばしてしまったサイドミッションがあることに気付かずにエンディングを迎えてしまいました。
一周クリアした後にどこかのタイミングでフラグを折ってしまったことに気付いたときはかなりの脱力感に襲われましたが、少し時間を置いてから考え直し、もう一周しようか、と思った時に、「あ、私はこのゲーム嫌いじゃないんだ」と認識しました。
で、件の二周め。どのミッションがサイドミッション開始の鍵になるかはわかっていたので慎重に進めましたが……自分があの時あのタイミングで自らフリーズポイントに飛び込んだことをすっかり忘れていて……まったく同じミスをもう一度繰り返してしまいました。
結果、アクト3のメインミッションも進めつつ、「あれぇ、おかしいな。もうサイドミッション発生していていいはずなのに……」と(笑)
一応このゲーム、スロット一個にオートセーブする方式なので、過去には戻れないんですよね。
しかし、その時の私はゲームを信じていませんでした。ついでに自分のことも信じていませんでした!(爆)
つまり、鍵となるメインミッションを始める前に回線を切っており、オフライン状態で始めていたのです!
この奇跡的なバックアップがあったからこそ、三度目はフリーズポイントに近づくことなく無線を最後まで聞き届けられました。
そしてこの時になって初めて、この無線の後に更に無線があり、それがサイドミッションのフラグになっていることに気付いたのです。
ああ、長かった。
そんなわけで大抵の人、大抵のプレイならばミッションが終わればさっさと丘を下りて、そこには二度と近づかないのでなんてことはないバグポイントであり、なんてことはない実績だったのですが、私にとっては鬼門となった実績と、そしてミッションでした。
そんな風にね、信じられないバグがちょいちょいあるんですよね。
地形にハマって落下モーションのまま動けなくなったりね。落下モーション中はファストトラベルできないので、こうなったら完全に詰みですね。
ジャンプアクションゲームではないジャンルにおける「ジャンプ」って、ぶっちゃけ地形にハマって動けなくなることを回避するための機能なんですよね。
それが仇になってスタックするとか、本末転倒もいいところ。
長々と語ってしまいましたが、総評として。
このゲーム、ぶっちゃけすごくもないし、とりわけ面白くもないです。ストーリーもキャラの扱いが雑だし(バシリスクの退場の扱い、弟との邂逅と別れ)、秘密結社との絡みとか、キャラ立ちとか。
それにバレットカメラも単調で種類が少ないのですぐに見飽きます。
先に述べたようにゲームの開発力、基礎力も大分足りてないです。
でも、面白いことしようとする姿勢は見て取れました。そのために一生懸命頑張ったことは感じ取れました。そしてそういった姿勢、勢いは決してうまくはないけれども、ミッションの作り方や「ポイント・オブ・インタレスト」の中にちゃんと息づいているのがわかりました。
だから私はこのゲーム嫌いじゃないんです。
でもお勧めしづらいんです。
補足
このゲーム、日本語で書かれた情報は少ないので、一応もうちょっと補足しておくと、本作の難易度はかなりぬるいです。
狙撃がメインなので、敵の視認範囲外からターゲットを一発決めれば脱出してクリアですし、ノーアラートで潜入しろっていう目標があったとしても、大抵どこかしらにおあつらえ向きな潜入ポイントがあって、敵の包囲網の9割くらい無視して中枢にいけちゃったりします。
やろうと思えばかなりサクサクですよ。
ただまぁ、それは難易度ノーマルでの話。息を止めれば着弾点が見えるなんていうチート機能が封じられれば、スナイプすること自体がリスキーで難しいゲームに化けますから。
また、DLCですが、これは追加実績はないので無視してもいいレベルです。
追加キャンペーンの一つである「エスケープ・オブ・リディア」は英語がわからないのもありますが、まったくの意味不明で、「これは無料体験版か」と思えるほど中身がなく、プレイ時間自体も非常に短いです。
逆に「サボタージュ」は狭いながらも新規のマップがあり、本編にも出てきた「彼」がいかにして「アルマージ」となったかを追跡できる物語だったので個人的評価は高いです。
ちゃんと探索してー、武器をカスタマイズしてー、ミッションも意外と数があってー、本編の延長として楽しめました。
↓へいへい、ぼーっとしてると頭パーンしちゃうゾ☆
(AP弾だとほんとにパーンする!)
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確かにスナエリは良いゲームでした。重力落下と風向きの仕様に慣れてくると、それらが機能しない低難易度が物足りなくなってくるレベルで楽しかったですね。撃った時の快感が段違いでした。
また、本作とは逆に消音機能がなく、銃の精度や構造のシンプルさから比較的近距離での狙撃になっていたのが、ステルスモノのゲームとして非常に相性が良かったのだと思います。
私は本作はその辺を無視して遊んだので、もしかしたら勿体ない遊び方だったかもしれません。
狙撃モノで現代戦となると、スナイパーライフルの性能が良すぎて扱いが難しいのかもしれませんね。かといってリアルを拘ろうとするとどんどんマニアックになっていってゲーム向きではないのかもしれません。
ただ、最近になって本作の続編が発売されましたし、スナエリのゾンビ無双ゲーも新しい物が控えてますし(これは狙撃か?w)、スナイパーライフルが浪漫の塊で、需要があるのは確かですね。