419.EMMA: Lost in Memories


 本日はこちら「エマ:ロスト イン メモリーズ」のレビューです。

 ストアでは和訳が歪ですがなんとなくどんなゲームかは察していたので、プレイ自体に驚きはなかったのですが、まさかここまでの即死ゲー……いうなればアイワナゲーだとは思ってませんでした。攻略開始10分後には、これ本当にコンプできるのか、気力が保つのか不安になっていました(笑) セレステとか絶対やりたくないですもんね。


 ゲーム自体は面白かったです。

 インディーゲーらしく難易度が不安定で、鬼のように難しいステージも感覚だけでポンポン行けるようなステージも同じ難易度の中で混在しています。
 全50あるストーリーステージをやっとの思いでクリアしたと思ったら、メモリーチェストと呼ばれるやりこみステージが難易度別にそれぞれ30、全部で90のステージがあると分かったときには軽く絶望しかけましたが、上記のようにステージのレベルデザインが不安定なので、たとえハード難度であろうと楽なステージはあると信じて突き進みました。
 ま、私の勘に狂いはありませんよ(笑)
 どの難易度、ストーリーステージの序盤だろうと突然やってくる鬼畜ステージに気を付ければ(気を付けてもどうにもなりませんけど)全体のボリュームはそうきつくはないです。

 この鬼畜ステージですよね。
 そうだなぁ、マリオメーカーとかやったことあるとわかるかもしれませんが、自分がステージを作っていて、ちょっと難しくしようと思ってギリジャンとか特定の素早いコマンドが必要な技とかいれるじゃないですか。たとえばスライディングの後にキャンセルでジャンプとか。
 自分が作り手だとして、ステージを作っていると、こういった特殊な難易度の高い操作も「自分にとっては」当たり前の感覚になってくるんですよね。
 その結果、作りこんでいくとなんともけったいなステージが出来上がる。そのステージは立て続けに特殊なアクションを必要としつつも、自分にとっては児戯に等しい操作なので(あと単純に解法もわかっているので)楽にクリアできるわけです。
 じゃ、このステージはイージーとまではいかなくても、ノーマルくらいかな、と。

 そんな自分本位なステージデザインが目立つのですが、ままインディーゲーム。インディーと銘打てば多少の気遣いの無さは目をつぶってくれるもの。




 なわけねーだろいいかげんにしろ。
 1ドット、いや1フレームのタイミングの差が生死の分かれになるようなアイワナゲーをやりたくて買ったんじゃないんだ。
 俺は、あのPVで流れてた美しいBGMを聴きたかったんだ。で、いったいどこでそれが聴けましたか? これはもう詐欺じゃね?
 昔、I,Zombieというインディーゲーを遊んだ時にも、PVでは流れていたBGMが本編では一切使われなかったという経験があるので、そういったこともあるとは思っていました。
 あの時はPVの方がうるさく好みではないBGMだったので、むしろ安心したものですが、今回は少なからずBGMに惹かれたのも購入を後押ししたわけなので、やっぱりなぁ。
 せめてPVのBGMと同等のクオリティを持つならまだ許せたのですけど……。

 とはいえ。
 本作を頭から非難しまくるのもやや気が引けるんですよね。
 だって……面白かったんだもの(笑)

 BGMの件を除けばストア説明に偽りなしです。
 Lost in Memoriesの副題通り、走った後には何も残らない、記憶が消えていく、ステージを進むごとに可能なアクションが一つずつ使えなくなっていく、という演出は斬新だと思いました。一度走り出したら止まれないのも時の不可逆性を示しているのかな。正直ごめん、ストーリーは意味不明だった。無理無理、嫌嫌言ってる間にポンとあの展開。察しはするけど移入はできないかな。
 本作は鬼畜なタイミングアクションですが、同時にやはりパズルゲーです。
 試行錯誤を繰り返しながらどのタイミングでジャンプするか、壁に張り付いたあとは登るのか降りるのか、ここでダブルジャンプするべきかなどなど、様々なことを考えながら一つの解法にたどり着きます。
 本作の、面白くてさらに鬼畜なのが、ここから。

 解法がわかったからといってそれがクリアではないってことですね。
 前述の通り「道は見えた! あとはこのフレームジャンプを成功させるだけ!」ってなことで何度も何度も何度もうまくいくまで繰り返すんですよ。
 意外とそれが楽しくもあり、やっぱり辛かったです。
 あんまりにもうまくいかないときは、もしかして自分はとんでもない思い違いをしてるんじゃないか、思い込みから自分に余計な縛りプレイをさせてるんじゃないかと、自問自答したりしました。
 結局のところ(おそらく)解法はたった一つしかないので、自分の通った道が正解だったのでしょう。

 マリオメーカーの話に戻りますが、あえて難易度を抑えて、ほどよく難しく、そのステージを走るだけでそのゲームの全てを理解し、気持ちいいと感じてもらえる、そのゲームの何が楽しいかを実感してもらえる、そんなプレイヤーの心理を踏まえたレベルデザインをする方がはるかに難しいんです。
 ぶっちゃけ鬼畜ゲーなら誰でも作れるんです。

 そんなわけでね。
 作り手、生産者ってぶっちゃけ消費者の顔が見えず、一方通行だと思うでしょ?
 逆なんですよ。相手の顔が見えない職業こそ相手のこと考えなきゃいけないんです。特にゲームは。エンターテインメントですから。今でこそストアの方向性からゲーム販売の敷居はかなり下がりましたけど、基本には忠実になるべきです。
 自分がやりたいことより相手に喜んでもらうことをやるべきです。エンターテインメントはサービスです。

 と、なんか説教臭くなりましたが、詐欺PVに引っかかって安物掴んじゃった自分も悪いですよね(汗)
 繰り返しになりますが安物、ぺっ、と突き放すにはなかなか惜しいゲーム性を持ってるのも事実で、うーむ実にやりにくい。

 とりあえずJanduSoft、Sand Bloom、お前らのこと覚えたからな。

↓なんだかんだ言って脳内でああ行ってこう行ってそこからこうなってと解法を考える時間は楽しい。


↓こんな鬼畜ステージがたまに出現する。これひどくね?



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2020年10月23日

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