060.Just Cause2

ジャストコーズ2




 本日はこちら「ジャストコーズ2」のレビューです。
 今回のGwG(2015/6/2〜6/17)で再び無料配信される、との情報を得たのでより多くの人に遊んでもらおうと、このタイミングでアップします。

公式サイト

 結論から申しますと、私このゲームすっごい好きです。客観的に分析すれば、まあ、良ゲーくらいでしょうか。しかしこのゲーム、個性がピカピカと光っていて、何か他に気に食わない点があったとしても、余裕で許せちゃうくらいに楽しい作品に仕上がっています。

 ジャンルタイプは、オープンワールド型アクションゲームです。非常に広大かつバラエティーに富んだ島々を舞台に、主人公リコ・ロドリゲスが「グラップリング」と「パラシュート」という二つの強力なガジェット(+多数の火器)を駆使して、パナウというこの小国に大混乱(カオス)を巻き起こす、というのがコンセプトになります。

 様々な銃器や爆発物を用いて、パナウ諸島に蔓延る軍事政権、その象徴たるプロパガンダや軍事施設などを次々に破壊していくのが楽しいわけですが、その爽快感を下からはっきりと持ち上げ、支えている要素が上記二つのガジェットです。

 グラップリングは何にでも引っ掛ける事のできるフックを付けたロープのようなものです。敵だろうと車だろうと、建物だろうと何でもござれです。これを使って、ある時は敵を引き寄せたり、ある時は「天誅」のように屋上に登ったりと、アクションだけでなく移動の幅もすごく広がります。
 さらにはこれ切り離し可能でして、反対側のフックを何かに引っ掛けるといった芸当も出来ます。敵と敵を繋いでごっつんこ、敵を車に繋いで一緒にドライブ、勿論車と車で衝撃的ごっつんこ、追ってくる車は地面とキス、あるいは敵を建物に吊るし上げて嗜虐心を満たすことも出来ちゃうわけです。
 ARやSR、ロケットランチャーなどの王道火器も揃った上で、グラップリングだけでも「戦闘」に関して様々なアプローチが試せます。

 さらにグラップリングは戦闘だけでなく、移動にも効率的に使用することができます。走っている車を強奪するためにわざわざ止めるのが面倒なら、このフックを打ち付けてしまえばいいのです。地面に発射して高速巻取り、の(地味な)テクニックを身に着けると汗をかきかき走るのが馬鹿らしくなるくらい便利です。

 続いてパラシュート。風を受けている状態で開くことができ、またいつでも切り離すことが出来ます。基本的な使用方法は高所から飛び降りて開くのですが、前述のグラップリングを用いて、手近な地面や建物にフックを引っ掛け巻き取ることでもパラシュート条件を満たすことが出来ます。
 近場に高いところがなくてもその場で出すことが出来る、というのが注目すべきポイントです。
 パラシュートを開いている間にもグラップリングは勿論使えますので、加速や着地点の設置、高度のバランス取りなど、本当に、各要素を「組み合わせる」ことで何倍にも楽しくなるのが本作の魅力です。

 ちなみにこの二つのガジェットは使用無制限、補充不要ですから空中で誤ってパラシュートを切り離してしまったりしても、何の問題もありません。

 と、このように二つのガジェットの存在によって、非常に空中に飛び出しやすいゲームになっていまして、これが美しい南国の島パナウと相性が良く、すばらしい開放感と爽快感を与えてくれます。
 これが私が本作をお勧めする最大のポイントですね。

 私は日本語版しかプレイしていませんので、こういうゲームなのだと受け入れていますが、どうやらこのゲーム、かなり規制を食らったらしく、本作の醍醐味を100%味わうには物足りないかもしれません。

 たとえば、本作はパナウに圧制を敷く軍事政権を打倒する、というのが大目的でして、各地には反乱軍(ゲリラ)が潜んでいます。リコは支援という形で彼らと関わっていくことになりますが、諸々大人の事情で、日本語版ではゲリラが配置されません。ストーリー部分にのみ出現し、ミッションクリアとともに風の如く消え失せます。
 海外版だと、解放した村や町にゲリラが常駐し、近づいた政府軍と勝手に戦闘を始めたり、リコの近くを巡回するゲリラが戦闘に加わってくれるようなのです。
 これによって共闘感や少しずつ変わっていく国の様子を感じられると思うと、残念な規制ですね。
 非常に広大な世界をパラシュートで、車で、あるいは徒歩で巡ることになるのですが、一人で軍を相手に大立ち回りを演じていると、ふと寂しさを覚える瞬間は確かにありました。

 また、規制の対象としてNPCにアクションを行えない、というものがあります。町や村に住む現地人にはいかなるアクションも許されない、という仕様です。銃で撃ったりはもちろん、車で轢いたり、爆発に巻き込んだり、あるいは話しかけたり、食品を買ったり、といったことが出来ません。
 まあ、このゲーム、もとから現地人と交流することはできませんで、誤射や巻き添えによって不当にヒートレベル(警戒レベル。レベルが上がるほど各地から政府軍が湧いて執拗にリコを追うことになる)が上がってしまう、ということを防げるので、私は逆に良かったと感じています。アクションを行えないといっても、押し出すことは出来るので邪魔に感じることはありませんでした。
 というかこのNPCたち、頭の中がお花畑のような、「こっちはお前らのために命を掛けて戦場を巡っているのに……」と思うくらい、平和ボケした会話をするんです。それが、すごく和みました(笑)。

 和みといえばもう一つ、至るところに街宣車が配置されていて圧制を敷く大統領「ベイビー・パナイ」の演説を聞かされるのですが、その出だしが
「やあ、パナウ国民の諸君! 僕だ……あ、いや、私だ!」
 って、初めて聞いたときは本気で吹き出しました(父親から政権を継いだばかりで間もない。また権力のみを目的とし、政治に関しては勉強していない、という背景が窺えます。故にBaby パナイ です。)
 こういう、シリアスなストーリーラインでありつつも、実際に歩いている世界には至るところにユーモアが散りばめられていて、「圧制からの解放」「クーデター」「血の臭い」というものを中和しているんですね。
 そんな中で、パナウという土地の美しさ、海の美しさ、雨が降ったときのしとしとという音の心地よさ、スコール、かと思えば雄大な山の中腹は一面が銀世界であったり、砂漠に覆われた島があったりと、「観光」についても筆舌に尽くしがたい魅力があります。

 ゲームの方向性としては、GTAとは違い、主人公が強い、タイプのオープンワールドゲーム。リアルで良いところはリアル、ゲームで良いところはゲームにしてしまう、そんなメリハリの利いた良ゲー、ですね。

 そろそろ夏ですし、南の島でパラシュート観光などいかがでしょう?(笑)

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2015年05月31日

この記事へのコメント
おお、記事をきっかけに遊び始めた、とか嬉しすぎます!
ありがとう! お役に立てたようで何よりです。

フック、楽しいですよね。パラシュートを開きながら加速のためにフックを打ち込んで引っ張る時の、「キリキリキリ……」という音がなんだかクセになります。

今どの程度まで進んでいるかはわかりませんが、頑張って攻撃ヘリを買ってみてください。これもまた世界が広がって楽しいですよ!
Posted by あるへ at 2015年07月09日 01:05
このゲームはしばらく積んでいたのですが、
こちらの記事を読んだのがきっかけで、
つい最近プレイし始めました。

いや〜、面白いですね、コレ!
わたしの場合は特に何も考えず、
ただ大暴れして楽しんでいるだけなのですが、
どうにも止め時が分かりません。

フックがまた最高です。
漫画の『進撃の巨人』に出てくる立体起動装置を
ゲーム化したらこんな感じになりそうです(笑)。
Posted by ききょー at 2015年07月07日 14:29
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