先日DLCを除いて実績コンプしましたのでレビューしちゃいます。
タイトルはこちら「デウスエクス ヒューマンレボリューション」です。
以前の記事でも述べましたが、私はトライ&エラーを重ねてじわりじわりと進んでいく(あるいは行動範囲を広げていく)ゲームが好きでして、そんな要素の強いこのステルスアクションゲームというのが大好物なんです。
本作はそんなステルスアクションを軸としながらも、そのスタイルを投げ捨てて真っ向から突入プレイも可能な、自由度の高いゲームとして脚光を浴びました。
前作がいくつか存在するのですが、ストーリーの繋がりはかなり弱いので本作から始めて問題ありません。
公式サイト
自由度が高いことの裏返しに、各要素の詰めが甘い(=ぬるい、難易度が低い)ということがあります。おそらく、たまに忍んで、見つかったら応戦して、見えている出口に直行して……というような何でもありなプレイをすると、顕著に感じると思います。
私はステルス派なので、二周みっちりノーキルノーアラートでステルスしましたが、プレイの方向性をある程度縛ると、ちょうど良い歯ごたえになると感じました。
(一周でコンプするつもりでしたが、気付かない間にミスをしていたらしく、ノーアラートは次周持ち込みとなりました。一周終わって予習が済んだので、二周目は快適にかつスタイリッシュに忍ぶことができました。これもステルスアクションの醍醐味ですね)
そして自由度が高い事のもう一つの裏返しに、序盤の展開がもどかしい、という点があげられます。
実は私もこれに非常に惑わされました。経験値を貯めてポイントをゲットし、そのポイントを使ってステルスや銃撃戦、あるいはハッキングや会話に特化したスキルを得ていくのですが、当然、序盤は何も持っていません。
そのくせ序盤のステージからある目標に対して様々なアプローチや解決法があるため、何も知らない初見プレイだとまさに「こちらを立てればあちらが立たず」状態になり、ハッキングして扉を開けたいのにできない、そこに通気口が見えているのに障害物が重くてどかせない、できない、できない、できない、のオンパレード。育てたスキルを用いれば解法の一つは難なく達成できますが、私のような神経質で、とりあえず初見のマップは全部回らないと気がすまない、みたいな性格だと、この(事前にスキルを上げておけば)できるけどできないこのもどかしさを痛切に感じ、決してゲームが面白くないわけではないのにゲームをするのが辛い、という感覚に襲われました。
それでも現時点でXPを得られる行動を全てこなして地道にマップを回っていれば、次の街に行く頃にはたいていのことは過不足無く出来るようになっていますし、もどかしい思いをした最初の街にももう一度戻ってくることになりますからその時に改めて挑戦すればいいわけです。
それに二周目ともなれば、流れを把握していますから、そのような些細なことは気にならなくなります。
とにかくこのバランス調整は、自由でありながらどのようなスタンスでも一定の歯ごたえがあり、とても楽しかったのですが、この初見の序盤だけは、この自由度のためにむずむずさせられっぱなしで苦労しました(笑)。
クリアしてしまった今となっては、もう味わえませんので、これから初めてプレイする方はこの最序盤で、存分にむずむずしちゃってください。
私の大大大好きなステルスアクションゲーとして「ヒットマン アブソリューション」があります。いや、アブソはヒットマンじゃない、ブラッドマネーだ、などと諸説ありますが、とりあえずそれは置いといて、何が言いたいかというと「敵会話」です。
ステルスで誰にも気付かれずに進んでいると、当然敵側の心理は日常の繰り返し状態ですから、敵同士がよく会話しているんですよね。
ステルスアクションの醍醐味と言えばこの敵会話なのですが、私はヒットマンアブソでその敵会話の真骨頂を見ました。
で、こちらデウスエクスの敵会話に戻しますと、やっぱり物足りないですね。一方でこれは仕方ないことだとも思います。
なぜならヒットマンアブソとデウスエクス他ステルスゲーでは、敵の置かれた状況がまったく違うからです。
ヒットマンアブソで47が潜入するのは、まさに日常の中であり、デウスエクス他ステルスゲーで主人公が潜入するのは起きている事件の中だからです。
デウスエクスの主人公・ジェンセンは勃発した事件の真相を解くため否応なしに、それに関連する施設へ潜入することになります。つまり、敵はあらかじめ自分たちの警備する施設の重要性を把握し、スパイが来る、ということ前提で警備しています。
ですので、自然と交わされる会話の内容も、ゲーム進行に沿い、ゲーム世界観に関連した内容に、どうしてもなってしまうんです。
特に本作は「人類の進化」「オーグメンテーションのもたらす可能性」をテーマにしており、それは現実にも通じる社会性のある深いテーマであり、ゲーム全体を通してこのテーマに非常に真摯です。ですので、手に入るEbookや新聞はオーグメンテーションの話題で持ちきりで、街中のNPCですらオーグメンテーションの是非について語ります。
どこを見てもオーグメンテーションというキーワードに統一された世界なわけです。
一応、PCをハッキングすれば他愛も無い会話を垣間見れますが。
そんなわけで、ヒットマンアブソに見られたその世界を生きる人々の息吹というものを感じられず、何かにつけて現在進行形の事件や状況について再認識させられるわけです。世界観の統一、ゲームから発信するメッセージという点で非常に有効に働いているわけですが、だんだんお腹いっぱいになってしまい、終盤は新聞やEbookなども表示だけさせて読みませんでした。
会話と言えば、ストーリーもやはりオーグメンテーションを基点に壮大な陰謀が展開されます。人体拡張の是非を主要となる人物それぞれが独自の理念、正義を持って主張しており、彼らとの会話はとても楽しいです。このゲームが上質で大人なゲームと呼ばれる所以は、この人物たちの主張が互いには相反しつつも、誰もが真摯にこの問題に向き合っていて、はぐらかされはすれども安易な嘘はついていないというところです。
そうそう、声優さん、いい味出してますね。ガンダムに疎い私はシャアの声、というよりアークザラッド2のシュウの声、と言われた方がしっくりきます(笑)。
とまあ、攻略中はお腹いっぱいになるほどステルスを堪能できました。このゲームの一番の醍醐味はステルスプレイでしょうが、スキル構成からマップ構成からそれ以外のプレイにも柔軟に対応されており、なるほど評価が高いわけです。
とても楽しんでプレイできました。
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