両手のひらを外に向けて両肘を曲げて
手のひらを肩の高さに胸を張ってください。
できるだけ肩甲骨を近づける感じでー
そのまま左後方に左ひじを先に上半身を捻ってゆきましょう。
正面に戻って今度は右に
次は手を組んで、両手のひらを上に向けて、
ゆっくりと両手を挙げて、天井を見上げましょう。
背筋が伸びたら、顔を正面に戻して、ゆっくりと左に、
広背筋、胸の横を伸ばすように倒します。
横が伸びたら同じ要領で逆に倒します。)
ドクターも実践できる「スマホ首」解消
時流2019年7月16日 (火)配信
診療や調べ物、論文執筆などで
長時間動かずにいて、
同様の症状が出てしまったドクターにもお勧めだという。
(聞き手・まとめ:m3.com編集部・小島領平)
首をマッサージしても効果は2、3割
——text neckの症状に対して何をするとよいのでしょうか。
突発的な痛み以外は薬物治療が効かない
ケースがほとんどなので、
「肩甲骨はがし」をお勧めします。
『両肘を肩の高さから徐々に上げていき、
限界になったらゆっくりと後ろに引いてください。
肩甲骨を上から押し込んでいく感覚で』。
これを5回行うと、肩の可動域が広がります。
肩を外転する動作は、
肩関節と肩甲骨の横の動きと、
肩甲上腕運動が2:1の割合で動いているのですが、
肩甲骨は普段動かさないので
肋骨に癒着してしまいます。
それを“はがす”のがこの運動です。
首を支えている筋肉の7、8割は
肩甲骨と上腕から来ているので、
いくら首を回しても、
2、3割しか動かしたことになりません。
だから、首をボキボキ鳴らすほど動かしても
いまいちすっきりしないのです。
また、強いマッサージ、肩たたきなどは筋損傷を引き起こし、
それが瘢痕化して血流が悪くなると硬結ができてしまい、
強く指圧しても気持ちよさを感じなくなってしまいます。
「肩甲骨はがし」のような運動は、
体幹の深部にあるコアマッスルが付いている骨を動かし、
筋膜(ファスシア)、筋腹を
たくさん動かすことで血流が良くなり、
筋緊張が緩和されます。
おまけに姿勢も良くなります。
——愁訴があるものの
X線などに異常が認められない場合、
単にNSAIDの貼付剤などを処方するだけでなく、
こうした体操の指導もすれば患者の満足度が高まりそうです。
そうですね。
自律神経による愁訴の発生機序
を医学的にきちんと説明した上でならば、
患者は疎外感を味わわずに済むでしょう。
ただし、「肩甲骨はがし」は肩の疾患がある人は、
悪化させてしまうリスクがあるため、注意が必要です。
——開業医の間で盛んに行われているエコーガイド下の筋膜リリースはいかがでしょうか。
エコーで確認しながら、
筋膜と筋膜の間に生理食塩液(生食)を注入
して筋膜をはがし、可動性を高める治療法です。
局所に鎮痛薬を注射するトリガーブロックとともに、
頸部痛に対して筋膜間に注入して
筋肉の滑動が改善することを目的に行っています。
論文化されていないので
エビデンス的に確立されていませんが、
生食を使うので材料費がかからず、
エコーを見ることで正確に注入することができるので、
医療側に人気の治療法です。
ただ、姿勢改善、疼痛改善の効果はあるものの
一過性のことも多く、
『慢性痛』ならばやはり運動をすることが大切であると思います。
ため息も重要な対処法
——ほかに対処法はありますか?
深呼吸、腹式呼吸が勧められます。
腹式呼吸をすることで横隔膜が上下運動するのですが、
横隔膜は自律神経の密集地帯。
吐く息を意識的にゆっくりとする
と自律神経が刺激されて副交感神経が優位になり、
リラックスするのです。
睡眠中の呼吸がずばりそうですね。
——私はよく、仕事が詰まるとため息をついてしまうのですが、
それにもリラックス効果があると。
そう、腹式呼吸と一緒、
ため息も体にとって重要なのです。
例えば、ご家庭で奥さんもしくは旦那さん
がため息をついていたら要注意です。
交感神経が優位になって、攻撃的になっている状態ですね。
手足の冷えや血圧が上がっていたら可能性が高いでしょう。
ただ、ここで「ストレスがたまっているよ」と忠告すると、
「誰のせいでストレスがたまっていると思っているの!!」
とますます交感神経を刺激してしまいます。
あくまで、相手を心配して
「リラックスして手足を温めるなど、
副交感神経を高めた方が体にいいよ」
と優しく話すことが大切です(笑)。
スマホは真ん中に掲げない
——携帯デバイスを使う際の注意点は?
デバイスを片手で持って肘を浮かし、
顔の正面で見たり操作したりする姿勢
が最も良くありません 。
デバイスを正中線上には掲げず、
持っている方の腕側にずらし、
そちらの肘を反対側の手で持つ姿勢 にすると、
肩の筋緊張が全然違います。
また、パソコンも含めて
やはり不動化が良くありません。
30分に一度は休憩 を取り、
「肩甲骨はがし」などの運動をすることを勧めます。
どんなに良い姿勢だとしても、
同じ体勢を続けていたら
体の下の方に水分がたまってしまいます。
これは、手術後の患者も同様で、
早期に動かした方が
その後の痛みが少ないとされています。
長い時間、同じ姿勢でいると
体がむくんでしまうからです。
姿勢も大切ですが、動かすこと、
「不動化」の排除はとても重要です。
——ドクターも診察中、不動になる方がいそうです。
ありますね。
ずっと机に座ってカルテを入力していたら、
あるいは診療後に、急に姿勢を変えて調べ物をしていたら、
首や肩の不調が出ることがあります。
私は予防のため、臨床では診察室で動くようにしています。
整形外科は動けない患者も多いので、
私の方から動いた方がたくさんの患者を診察できますし、
自分自身の体の調子が良いです。
——健康のために触診しよう! と。
そう。そして、積極的に運動指導しよう! と(笑)。
運動指導すると自分も体を動かしますから。