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タナカマツヘイ
総合診療科 医学博士 元外科学会専門医指導医、元消化器外科学会専門医指導医、元消化器外科化学療法認定医、元消化器内視鏡学会専門医、日本医師会産業医、病理学会剖検医

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2019年08月22日

120歳時代ー健康寿命を延ばす道?E

120歳時代 ー健康寿命を延ばす道?E

健康寿命を延ばす?A

メトホルミンは1950年代に
英国で2型糖尿病(一般的な糖尿病) 濡れた若葉 みす?みす?しい.jpg

の治療薬として承認され、
米国では1994年にFDAの審査を通過した。

以来、第一選択薬として
数百万人の患者に処方されてきた。

今では、安価なジェネリック薬もあり、
世界で広く処方され、
世界保健期間(WHO)は
「必須」の医薬品と位置付けている。

メトホルミンは
血液からのブドウ糖の取り込みを促す
ホルモンである『インスリン』
に対する細胞の感受性を高める。

非常に多くの人がメトホルミンを服用しているため、
研究者は患者に見られる興味深いパターンに気づいた。

例えば、
メトホルミンを服用している患者は
”がんの発生率が低い”
ことが疫学的研究でわかった。

別の研究では
心血管系に対する有益な効果 が示唆されている。

さらに、糖尿病にかかると
一般的に寿命が数年短くなるのに、
英国人患者のデータに関する2014年の解析によると、

メトホルミンを服用していた年配の患者は
糖尿病でない同年代の対照群よりも
18%長生き
だった。

別の一般的な糖尿病治療薬である
スルホニル尿素剤を使っていた
患者よりも長生きであり、
長寿をもたらしたのは
糖尿病の管理ではなく、
『メトホルミン』そのもの
であることが示された。

メトホルミンが具体的にどう作用しているのか
は完全にはわかっていない。

ガレガソウという古来の生薬
に由来するこの薬の作用は
研究者の間で何十年も議論されてきた。

AMPK

AMPK(AMP-activated protein kinase)
という酵素がある。

細胞で燃料計のような働きをしており、
運動やカロリー制限などで
細胞の栄養が不足すると、

AMPKがただちに作動して、
エネルギーとなるブドウ糖(グルコース)
を細胞に届けるほか、
この輸送を助ける インスリン などの
ホルモンに対する
感受性を高める

また、 脂肪の分解を促進 して、
より多くのエネルギーを作り出す。

さらに、運動中には
AMPKが細胞のエネルギー生産機関である
ミトコンドリアの生成を促す

これらはいずれも健康を増進する。

mTORもある程度阻害するようだ。



【引用文献】
B. ギフォード(Bill Gifford)サイエンスライター
別冊日経サイエンス 人体の不思議
日経サイエンス編集部 日経サイエンス社 2018年2月17日

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2019年08月21日

120歳時代ー健康寿命を延ばす道?D

120歳時代 ー健康寿命を延ばす道?D

健康寿命を延ばす

重要なことは「より健康」に「長生き」することだ。

人の寿命は延びているが、
人生の後半は病気や障害に苦しむことが多い。

人口統計学者のファウペル(James W. Vaupel)と
エッペン(Jim Oeppen)が
2002年のScience誌で示したように、

長寿国の平均寿命は1840年代からほぼ直線的に延びてきた
(現在最も長寿なのは日本人女性)。

人間は人類史上買ってないほど長生きするようになった。

しかし、健康寿命(健康な生活を送れる期間)
は、それほど速くは延びていない。

つまり、晩年に病気や障害を抱えて、
衰えていく恐ろしい期間が実際には長くなっている。

ますます長生きするようにつれて変わったのは、
かかる病気の種類だけだ。

がんや心疾患による死亡率が下がり、
アルツハイマー病(日本ではまだ、アルツハイマー型認知症)
になる人が増えている。

65歳以上の米国人の9人に1人はアルツハイマー病などの
認知症を患い、そのリスクは80歳以降急激に高まる。

「アルツハイマー病が驚くほど増えているが、
この疾患が一般的になる70代後半から80代くらいまで
多くの人が生きられるようになった
のだから、当然だと言える」

とイリノイ大学シカゴ校の人口統計学者
オルシャンスキー(S. Jay Olshansky)は言う。

「このままでは事態はもっと悪くなると思う。 日の入り晩秋のイメーシ?.jpg

これに変わる道は、老化を遅らせて、
病気の期間と終末期を縮めることだ」。

先進国ではがんと心臓病、アルツハイマー病、糖尿病
を合わせて死因の約半数を占める。

100歳超えの人たちは
人生の最後に床に伏す期間が、
70代で亡くなる人よりもかなり短い
傾向が研究で示されている。

抗老化薬の成功には、
単に寿命を延ばすだけではなく、
健康で元気でいられる期間を
延ばすことが求めれると
オルシャンスキーは言う。

しかしごく最近まで、
そのような薬の開発には難しい”壁”があった。

米食品医薬品局(FDA)が老化を病気とみなしてこなかったからだ。

このため老化の過程そのものを
標的とした薬は承認されなかった。

老化を”測定”する客観的な方法はない。
当人の老化が速いか遅いかを知る血液検査はない。

これでは抗老化薬の効果を評価しようがない。

だが、2015年にFDAが
『メトホルミン』
の老化防止効果を評価する
臨床試験を承認したことで、
道が開けてきた。

メトホルミンは1950年代に
英国で2型糖尿病(一般的な糖尿病)
の治療薬として承認され、
米国では1994年にFDAの審査を通過した。

以来、第一選択薬として
数百万人の患者に処方されてきた。


【引用文献】
B. ギフォード(Bill Gifford)サイエンスライター
別冊日経サイエンス 人体の不思議
日経サイエンス編集部 日経サイエンス社 2018年2月17日

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2019年08月20日

120歳時代ー健康寿命を延ばす道?C

120歳時代 ー健康寿命を延ばす道?C

老化を止めるスイッチ?C

1970年代、イースター島の土壌から
真菌の成長を止める物質が見つかり、
同島の現地名「ラパ・ヌイ」から
「ラパマイシン」と命名された。

成長や増殖などの細胞活動に
必要なある酵素を
ラパマイシンが阻害することが
後にわかった。

これらの細胞活動は最終的に
細胞の機能を劣化させるため、
細胞活動に必要な酵素を阻害すると
細胞が元気でいられる期間が長くなる。

この酵素は「ラパマイシンの標的機構
(mechanistic target of rapamycin)」
を略してmTORと呼ばれ、
老化スイッチのオン・オフを
切り替えることで
動物の寿命を延ばすと見られている。

この経路こそ
「ラパマイシンの標的機構(mTOR エムトア)」
で、細胞という小さな工場の 電流遮断機 となっている。

ラパマイシンの構造を少し変えた 老犬セントハ?ーナート?.jpg

「アフィニトール」
という薬を抗がん剤として
販売しているノバルティス
による小規模臨床試験では、

この薬を投与された高齢者は
インフルエンザワクチンに
対する
反応が実際に高まった。

これはラパマイシンが
免疫応答を促進する
場合があることを示している。

ほかにも興味深い証拠がある。

健康な90代の人は
mTORの活性が低い
ことがオランダの研究で示されている。

次のステップは、資金が許せば、
高齢のイヌで長期的な研究を行い、
老化の進行を追跡することだ。

マウスでの結果と同様に
イヌが健康に長生きすれば、
ヒトでの臨床試験も考えられる
ようになるだろう。

「あと5年もすれば、
実際にどれくらいの効果があるかわかるだろう」
とケバーラインは言う。


【引用文献】
B. ギフォード(Bill Gifford)サイエンスライター
別冊日経サイエンス 人体の不思議
日経サイエンス編集部 日経サイエンス社 2018年2月17日

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2019年08月19日

120歳時代ー健康寿命を延ばす道?B

120歳時代 ー健康寿命を延ばす道?B

老化を止めるスイッチ?B

1970年代、イースター島の土壌から 柴犬2匹.jpg

真菌の成長を止める物質が見つかり、
同島の現地名「ラパ・ヌイ」から
「ラパマイシン」と命名された。

成長や増殖などの細胞活動に
必要なある酵素を
ラパマイシンが阻害することが
後にわかった。

これらの細胞活動は最終的に
細胞の機能を劣化させるため、
細胞活動に必要な酵素を阻害すると
細胞が元気でいられる期間が長くなる。

この酵素は「ラパマイシンの標的機構
(mechanistic target of rapamycin)」
を略してmTORと呼ばれ、
老化スイッチのオン・オフを
切り替えることで
動物の寿命を延ばすと見られている。

この経路こそ
「ラパマイシンの標的機構(mTOR エムトア)」
で、細胞という小さな工場の 電流遮断機 となっている。

ラパマイシンに欠点がないわけではない。

副作用があり、
一部の患者では口内炎が生じるほか、
感染症にかかる例が増える。

これは免疫応答を抑えるため。

マウスの実験では、
オスの睾丸の萎縮が見られた。

これらの副作用は
がん患者や移植患者など
すでに重篤な状態にある人には
許容できても、

健康な人に
抗老化薬として使う場合には
認められないだろう。

悪影響が効果を上回りかねない。

治療量ではなく、低容量にしたらどうだろう?

老年生物学の第一人者である
ワシントン大学(シアトル)の
ケバーライン(Matt Kaeberlein)
と同僚の
プロミスロウ(Daniel Promislow)は

低容量のラパマイシンを
中齢の飼い犬に与えるという試験を始めている。

イヌは私たちと同じ環境に暮らし、
年をとるとヒトと同じ病気にかかる。

ラパマイシンをほんの数週間与えた
イヌは心臓超音波検査の結果、
心臓の働きが若々しかった。

「ラパマイシンを与えなかった
イヌに比べ、心臓がよく収縮するのがはっきり見える」
と言う。

「老齢の動物では、おそらく
血流の低下が体の他の組織を衰えさせる
要因になっている」。

抗老化薬としての可能性
を期待させる材料として、

ラパマイシンは 低容量 では
免疫抑制剤ではなく、
免疫調節剤として作用すると
ケバーラインは言う。

それどころか、低容量では
いくつかの 免疫機構を
ようだ。


【引用文献】
B. ギフォード(Bill Gifford)サイエンスライター
別冊日経サイエンス 人体の不思議
日経サイエンス編集部 日経サイエンス社 2018年2月17日

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2019年08月18日

120歳時代ー健康寿命を延ばす道?A

120歳時代 ー健康寿命を延ばす道?A

老化を止めるスイッチ?A

1970年代、イースター島の土壌から
真菌の成長を止める物質が見つかり、
同島の現地名「ラパ・ヌイ」から
「ラパマイシン」と命名された。

成長や増殖などの細胞活動に
必要なある酵素を
ラパマイシンが阻害することが
後にわかった。

これらの細胞活動は最終的に
細胞の機能を劣化させるため、
細胞活動に必要な酵素を阻害すると
細胞が元気でいられる期間が長くなる。

この酵素は「ラパマイシンの標的機構
(mechanistic target of rapamycin)」
を略してmTORと呼ばれ、
老化スイッチのオン・オフを
切り替えることで
動物の寿命を延ばすと見られている。

この経路こそ
「ラパマイシンの標的機構(mTOR エムトア)」
で、細胞という小さな工場の 電流遮断機 となっている。

2009年、ラパマイシンで実験用マウスを長生きさせたとNaure誌に発表があった。

これは衝撃的な発見だった。
対象実験で哺乳類の寿命をここまで延ばした薬はそれまでになかった。

しかも単一系統のマウスだけでなく、 ウミカ?メ亀は万年.jpg

遺伝的に異なる 3系統 のマウスで効果が見られた。

どの系統のマウスも長生きし、
平均寿命だけでなく、 最長寿命 も延びた。

これはラパマイシンが老化の過程そのものを
遅らせる明白な証拠だと考えられた。

ラパマイシンを与えたマウスは概して、
与えなかったマウスに比べて長期に渡って
健康で若々しかった。

腱の柔軟性と弾力性が高く保たれ、
心臓や血管もそうだった。

肝臓も対象群のマウスよりも状態がよかった。
また年をとっても活発なままだった。

その上、投与開始が20ヶ月齢を超えてからだったのに、
平均寿命と最長寿命が延びた。

ヒトに例えれば、70歳の女性に薬を与えて
95歳まで長生きさせたことになる。

この実験は他の研究室で再現され、
さらに発展した。

成体になってから
ずっとラパマイシンを投与された
マウスは25%長生きした。

カロリー制限をした場合と
ほぼ同等だ。

もちろんマウスはヒトと違うが、
ラパマイシンは”何か”で老化を遅くして
加齢関連疾患の発症を遅らす
ことができる可能性を示した。

「ラパマイシンは初めて確かなあたりで、
これは本物かもしれないと
誰もが思った初の薬だった」

とカリフォルニア州ノバートにある
バック加齢研究所代表
ケネディ(Brian Kennedy)は言う。


【引用文献】
B. ギフォード(Bill Gifford)サイエンスライター
別冊日経サイエンス 人体の不思議
日経サイエンス編集部 日経サイエンス社 2018年2月17日

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2019年08月17日

120歳時代ー健康寿命を延ばす道

120歳時代 ー健康寿命を延ばす道

先進国の男性の平均寿命は、
80歳にわずかに届かない。

100歳まで生きられるのは
1万人中たったの2人で、
その大半は女性だ。

これまでで最も長生きした人は
フランス人女性の
カルマン(Jeanne Calment)
で、1997年に122歳で亡くなった。

下等生物を使った実験で、
細胞で栄養が不足すると
複数の有益なシグナル伝達経路
が作動することがわかった。

これらの経路は、
食料なしの期間を生き延びるために
進化したものだ。

老化を止めるスイッチ

1970年代、イースター島の土壌から
真菌の成長を止める物質が見つかり、
同島の現地名「ラパ・ヌイ」から
「ラパマイシン」と命名された。

成長や増殖などの細胞活動に
必要なある酵素を
ラパマイシンが阻害することが
後にわかった。

これらの細胞活動は最終的に
細胞の機能を劣化させるため、
細胞活動に必要な酵素を阻害すると
細胞が元気でいられる期間が長くなる。

この酵素は「ラパマイシンの標的機構 春の花.jpg
(mechanistic target of rapamycin)」
を略してmTORと呼ばれ、
老化スイッチのオン・オフを
切り替えることで
動物の寿命を延ばすと見られている。

2001年、南カリフォルニア大学の
生物学者ロンゴ
(Valter Longo)は、
実験で使っている酵母に
餌をやるのを忘れたまま週末に旅行に出た。

驚いたことに、しばらく完全な飢餓状態に置かれた
この酵母は通常よりも長生きした。

ロンゴは、その原因が
一連の生化学反応にあることを見出した。

この経路こそ
「ラパマイシンの標的機構(mTOR エムトア)」
で、細胞という小さな工場の 電流遮断機 となっている。

哺乳動物にも同じ経路が見つかっており、
mammalian target of rapamycinの略として
やはりmTOR エムトアと呼ばれる。

mTOR経路が活性化しているとき、
細胞という”工場”は着々と新しいタンパク質を
生産して成長し、やがて分裂する。

mTORがラパマイシン
あるいは一時的な飢餓などで
阻害されると、細胞の成長と分裂が遅くなり、
あるいは停止する。

ラパマイシンが移植臓器を守る免疫抑制剤として、
また最近ではがん治療薬として
効果があるのは、

それらの状態で問題になっている
細胞分裂の暴走を抑えるからだ。

ロンゴの研究から、
mTORが老化に果たしている
重要な役割が明らかになった。

栄養が少ないときは、
mTORが抑制され、
工場が効率のよいモードに切り替わる。

古いタンパク質をリサイクルして
新しいタンパク質を作り、

老廃物除去と修復を行う
細胞機構を強く働かせて
飢餓が終わるのをじっと待つ。

細胞分裂は遅くなる。

こうして動物は次の食事にありつくまで
うまく生き延びられる。

mTORは環境を感知し、
食料が豊富だと活性化する。

単純な生物の場合、
実に急速に成長し、分裂するようになる。

食料が豊富なときは、子孫を残す
のにもってこいなのだから、

mTOR経路が進化的に大成功を収め、
単細胞の酵母から
ヒトやクジラに至る多種多様な生物で
繰り返し使われてきたのも当然だ。

【引用文献】
B. ギフォード(Bill Gifford)サイエンスライター
別冊日経サイエンス 人体の不思議
日経サイエンス編集部 日経サイエンス社 2018年2月17日

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