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2024年度の防衛予算案が登場して、新装備の開発も進むことになりました。
しかし思い入れのあるNBC偵察車が早期に用途廃止となるようです。
図1 NBC偵察車
引用URL:https://www.mod.go.jp/gsdf/neae/6d/photo/nbc_2.jpg
量産初号機に監督官刻印を入れたものとして、結構後悔が残るものになりました。
そんなNBC偵察車の思い出について書いていきます。
(前回記事):『 ASBMを撃墜しろだなんてむーりいー無理!!【海上自衛隊】 』
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(1)初号機監督官をやってね!え?海の人間だけど?!
NBC偵察車は防衛省出向時に、検査官として関わりがありました。
(関係記事):『 【防衛省】知られざる地方防衛局・防衛事務所という組織のお仕事! 』
図2 検査官
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/F8nfrYWaQAA4vgN?format=png&name=900x900
偶然の結果で、本来の陸検査官の代わりに監督刻印を押すことになったのです。
1.1 検査官ってなんやろな?
防衛省出向時には、製造される装備品の監督検査を行う「検査官」という仕事を行っていました。
図3 完成品
引用URL:https://www.mod.go.jp/rdb/chushi/030_kouhou/010_kouhousi/kouhou55.pdf
陸海空の装備品が製造されるとき、地方防衛局所属の検査官が監督・検査をして合格判定行うものです。
基本はそれぞれ陸海空の検査官が担当しますが、たまに陸装備を海自検査官が検査するなどします。
むろん事前教育はしっかり行われ、製造品への監督検査はしっかりできるようになっています。
1.2 NBC偵察車の予備監督官に指定ね!
会計法により、国が発注した工事・物品には必ず監督検査・完成検査は行う必要があります。
大規模な装備になると、複数の検査官を指名して検査漏れが無いようにします。
防衛省地方防衛局に出向したときは、前任者の契約業務を引き継ぎ検査官業務を引き継ぎます。
図4 潜水艦業務
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/F68ALZObcAAAvMe?format=jpg&name=900x900
ちょうどNBC偵察車量産初号機の、予備監督官業務も引き継ぐことになりました。
「まあ、何もないから安心しとけ!」
そんな言葉が先輩検査官から掛けられますが、安心できないのが自衛隊です。
まさかの事態が発生します。
1.3 ちょいとNBC偵察車の監督検査してこいや!
NBC偵察車の量産初号機が完成して、あとは監督・完成検査立ち合いだけというときでした。
監督業務をしてた陸検査官が、陸自人事の都合で急きょ後方支援連隊の中隊長に上番することになります。
図5 後方支援連隊
引用URL:https://www.mod.go.jp/gsdf/mae/14b/butaisyoukai/kakubutai/7_log/images/keyvisual.jpg
急な話なので、当然後任者が来る予定が全くありません。
検査官を離れると、当然装備品の監督検査書に押印する権限が無くなります。
「ちょwwNBC偵察車の監督刻印誰が押すんですか?www」
「ペンギン!お前が完成検査の監督やっとけ!」
急きょながら、海の人間が陸自装備NBC偵察車の検査をすることになります。
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(2)サスペンションに油いれてんのか〜い(怒)!
急きょNBC偵察車初号機の監督検査をすることになりましたが、ひどいものでした。
図6 NBC偵察車外観
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/Em_ERO5UYAAcAz0.jpg:large
当時最新鋭だったはずのNBC偵察車は、設計者出てこ~い!の状態です。
2.1 サスペンションがいまいちすぎる!
96式装輪装甲車が比較的乗り心地の良い車両なので、安心できるだろうと思っていました。
『サスペンションに油入れてんのか〜い(怒)!』
実路の走行試験ではあまりの振動に、思わずこう叫ぶほど乗り心地が悪いものでした。
図7 バイク悪路走行
引用URL:https://global.yamaha-motor.com/jp/showroom/event/playsurvive/playsurvive2021/img-0002/pic_002.jpg
まあ、中間試験で合格してる以上は合格にするしかありませんでした。
2.2 エンジンをここに置いたのは誰だ!
NBC偵察車で一番悔やまれるのは、エンジンの位置です。
図8 96式
引用URL:wiki
96式はエンジンが運転席左にあり、安定性がありました。
しかしNBC偵察車は車体中央右にあり、車内スペースを圧迫していました。
当然横転性が上がっていましたが、陸自の合格基準内に入っていました。
これもまた試作車両で合格が出てる以上、量産車も合格印を出さざるを得ませんでした。
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(3)もっと煮詰めるべきだったなあ
当時は量産スケジュールが詰まっており、合格印を出せというプレッシャーが大きくありました。
図9 S-10
引用wiki
海自でS-10試作機を不合格にしたとき、装備スケジュールが大幅に狂った苦い思い出があります。
3.1 もっと時間があればなあ
当時は化学防護車と生物偵察車しかなく、NBC偵察車の装備化が急がれていました。
結果として問題が山積のまま、部隊配備予定数50両を大きく下回る結果になります。
もうちょっと煮詰めてから出荷すべき車両だったと、慚愧の念に堪えません。
技術者として反省すべきところだったと思っています。
3.2 パトリアならやってくれる!
NBC偵察車は早期に用途廃止となり、パトリアAMVの派生型が後継になるようです。
図10 パトリア
引用URL:https://www.defensehere.com/img/2023/09/Ekran-goruntusu-2023-09-20-100924-e1695193780828-850x478.jpg
中途半端に終わってしまったCBRN対策車両を、必ず達成してくれるでしょう!
期待して待っています。
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防衛・軍事ランキング
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試作機から非常に多くの人が関わり、ようやく装備品が出来るという状況があります。
能登半島地震では、冬の日本海を北上してLCACでアプローチするという非常に過酷な運用になっています。
(冬の日本海は非常に荒れるため相当揺れます)
LCACの寿命が厳しい中で、何とか頑張って欲しいと思います。
やはり自分がかかわったプロジェクトが早期中止や廃止となるのは、言い表せない無念が残ります。
次の装備がしっかりとしたものになるか、今後の頑張りが大事でしょう。
けどホントに無念だなあ・・・
ペンギン様のご経験とは比較にならない小さなレベルの話しですが、私が以前務めていた会社で携わったプロジェクトが中止になったと最近になって元上司から聞くことがありました。正直それが妥当な決着だろうなという予想は内心していましたが、当時はそれでも一生懸命成功させようと同僚と頑張っていた思い出が浮かび、寂しくなります。
ペンギン様の抱かれる感情は私の小さな経験のものとは比較にならないでしょうが、心中をお察しします。
今回は残念でしたが、より良い装備が願わくば国産で実現することを祈ります。