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2024年08月22日

中国海軍艦艇も耐衝撃試験をやるんだね!

『初めて見たけど手慣れているね!』
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2024年8月上旬に、中国海軍の052型駆逐艦で興味深い動画が出ました。

航行中の新造艦に対して水中爆破に対する、耐衝撃試験の映像です。

図1 耐衝撃試験
図1 耐衝撃試験.jpg
引用URL:https://x.com/i/status/1821176609841541131

機雷や魚雷などの水中爆発に対する試験は、地味だけど重要な試験です。

米海軍並みに、各種試験分析など中国海軍の技術発展が見て取れます。
(前回記事):『 EAという不思議な防衛省個数表記のお話! 』 
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(1)耐衝撃試験とは何ぞや?

海軍の耐衝撃試験(SHOCK TRIAL)と聞いても、ピンとこないかもしれません。

図2 米海軍試験
図2 米海軍.jpg
引用URL:https://nationalinterest.org/sites/default/files/styles/desktop__1260_/public/main_images/ShockTrial.jpg?itok=B8WE45bg

米軍では、新造艦に対して必ず行う水中爆発に耐えることを確認する試験です。

1.1 結構激しい試験だよ!

軍艦は、航空機やミサイルばかりでなく機雷や魚雷など水中爆発にも耐える必要があります。

設計やシミュレーションでは分からない、実際の爆破衝撃に耐えるか試験をします。

動画:米空母耐衝撃試験
URL:

見た目が派手なので、一時的にニュースになるけど深い考察がされていません。

けっこう爆破した後の検証も、重要な技術開発になります。

1.2 海上自衛隊でも実施!

海上自衛隊でも護衛艦に対する、耐衝撃試験は実施されたことがあります。
(参考記事):『 艦艇開発隊の大衝撃!日本でのショックトライアル実施!
図3 海自耐衝撃試験
図3 海自耐衝撃.png
引用URL:http://www.mod.go.jp/msdf/frdc/whatsnew/ssc/taishogeki.files/image002.png

私ペンギンも、2回ほど耐衝撃試験に参加したことがあります。

予想以上の衝撃と、シミュレーションでは分からない貴重なデーターが収集できます。

・ディーゼル発電機は、耐振防護をしても停止しやすい。
・ガスタービンエンジンは、衝撃があっても運転を継続できる。
・レーダー回転部など回転する装備のターレットは、衝撃に結構弱い。
・パッキンやOリングを使うと、配管系はかなり耐える!


シミュレーションでは、ガスタービン機関は爆破衝撃で緊急停止すると予想されていましたが結構頑丈にできているものですね〜!

実際にやってみないと、分からないものも結構あります。

ただ海自は、耐衝撃試験は金がかかるとしてあまりやらなくなったんですよね!

1.3 対振動装備はきちんとしよう!

軍用装備は、ごっつい格納ラックに入れて対振動性能をこれでもかと要求します。
図4 サーバー
図4 サーバー.jpg
引用URL:https://res.cloudinary.com/tbmg/c_scale,w_800,f_auto,q_auto/v1564232055/sites/tb/articles/sup/ET/2010/features/0910_ET_feat2_fig01.jpg

耐衝撃性能を緩和すれば、装備品を安く市販品で済ますことが出来るかもしれません。

しかし水中爆破の耐衝撃試験を経験すると、考えが変わります。

耐衝撃試験では、耐振措置をしてない市販品は全部壊れました。

けっこう耐衝撃試験は重要ですよ!
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(2)中国海軍の耐衝撃試験は本格的だね!

052DL型を使った中国海軍の耐衝撃試験は、かなり本格的であり勉強になります。

図5 振動後部
図5 振動後部.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/GUYaBpqa8AIb1z7?format=jpg&name=large

なかなか052型駆逐艦も、侮れない耐衝撃性能を持っているようです。

2.1 試験用機雷はPMK-2弾頭部か?

今回の中国海軍耐衝撃試験では、試験用機雷と思われる写真もあります。

図6 試験用機雷
図6 試験用機雷.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/GUYbmcKXgAAKDC5?format=jpg&name=large

特徴的な、紅白に塗装した弾頭部と人間との対比から上昇機雷の弾頭と思われます。

試験発火装置を取り付けており、おそらくPMK-2弾頭部ではないか?

図7 PMK-2
図7 PMK-2.jpg
引用URL:http://images.china.cn/attachement/jpg/site1004/20130823/001ec94a25c513814e9b1c.jpg

2013年に撮影された、PMK-2の敷設状況から見てほぼ同一と思われます。

なかなか最新型の機雷を投入するとは、中国海軍も気合が入っています。

2.2 航行中でレーダーも停止していない!

注目すべき点は、052型駆逐艦が航行しながら耐衝撃試験を行っているところです。

図8 航行中
図8 爆破.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/GUYZ-8ma8AIeiwa?format=jpg&name=large

試験用炸薬は、推定約250kgぐらいで水深約30mくらいと見込まれます。 (マストを超えた水柱から推定)

米軍では耐衝撃試験は船を停止させて行いますが、中国海軍は航行しながら試験をしています。

より実戦的に試験をしていると言えるとでしょう。

回転中のレーダーも、衝撃で停止していないことが分かりました。

052型駆逐艦については、予想よりも船体設計強度が強靭と言えます

2.3 試験関係者が手慣れている!

映像の中には、艦橋にて試験関係者が集合しているシーンかあります。

図9 試験関係者
図9 関係者.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/GUYaJXSa4AAUa9F?format=jpg&name=large

全員がマスクを着用して、タイベックス(防護服)を着用した人物もいます。

おそらく中国海軍は、これまでに何度か耐衝撃試験を実施していたのでしょう。

その中で、爆破衝撃時に艦内にホコリやチリが激しく舞い散るのを経験したと思われます。
(海自耐衝撃試験でも、同じ現象が起きました)

中国海軍も、この手の試験の技術試験をしっかり行っていると読み取れます。
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(3)Quicksinkが登場して水中爆発対処は重要!

今までなら、水中爆発は機雷や魚雷だけに注意していれば済みました。

図10 Quicksink
図10 Quicksink.jpg
引用URL:https://i.ytimg.com/vi/bsgd0evUtSg/hqdefault.jpg

最近米軍は、Quicksinkなんていう対艦航空誘導爆弾を登場させてきました。

3.1 対艦ミサイルより安い対艦型JDAM!

Quicksinkは、米軍JDAMの派生型として開発が進んでいます。
図11 概要
図11 概要.jpg
引用URL:https://www.navalnews.com/wp-content/uploads/2022/03/quicksink-3-scaled.jpg

安いJDAMを利用して、艦艇に命中させず船底近くの水中で爆発します。

対艦ミサイルでは不可能だった、1発での撃沈も可能となります。

3.2 水中弾対策は重要になる!

かつては水中弾対策なんて、第二次世界大戦で消滅したと思われました。

しかし対艦ミサイル価格高騰により、安い誘導爆弾が見直されています。

今後の軍艦は、水中弾などの耐衝撃性能が重要になるでしょう。
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posted by sstd7628 at 14:32| Comment(4) | TrackBack(0) | 軍事技術

2024年06月25日

冷戦の亡霊OTHレーダーが復活するとは!

『冷戦期の亡霊が現代に蘇る!
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最近防衛装備庁が与那国島にて、新型レーダーの試験場を整備していることが話題になりました。

令和5年度に、行政評価を受けたOTHレーダーです。

図1 レーダー
図1 レーダー.png
引用URL:https://www.soumu.go.jp/main_content/000191485.pdf

冷戦期の超兵器OTHレーダーが現代に蘇るとは、想像もしていませんでした。

MIMOレーダーと組みわせて、本土防空の切り札となるか!
(前回記事):『 韓国レーダー照射事件は玉虫色の決着!
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(1)OTHレーダーとは何ぞや?

いきなりOTHレーダーと言っても、何のことか分からないかもしれません。

図2 防空レーダー
図2 ガメラレーダー.png
引用wiki

空自のJ/FPS-5(ガメラ)レーダーを、引き合いに出して説明していきましょう。

1.1 レーダーは水平線より遠くは見えない!

FPS-5ガメラレーダーは、BMDの切り札として活躍しています。

図3 ミサイル探知
図3 ミサイル探知.png
引用URL:https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10953661/www.mod.go.jp/e/d_act/bmd/bmd.pdf

強力なレーダ—ですが、水平線の先にある物体までは探知できません。

これは電波が直進するため、通常のレーダーでは水平線より下の超遠距離の探知は難しいのです。
(北朝鮮弾道ミサイルの発射の瞬間を、日本が探知できない理由!)

図4 水平線
図4 水平線.jpg
引用wiki

1.2 冷戦期のOTHレーダー

そんな中でも冷戦期に弾道ミサイルの早期探知を目指して、OTH(超水平線)レーダーが開発されました。

図5 原理
図5 OTHの原理.jpg
引用wiki

短波が電離層で跳ね返り遠距離に到達する原理を利用したのが、OTHレーダーの基礎となっています。

冷戦期には、米ソ両国がOTHレーダーを建設して弾道ミサイル探知を目指していました。

図6 ドゥーガ2
図6 ドゥーガ2.jpg
引用wiki

ソ連のOTHレーダーは、巨大な鉄格子となり強力な電波を出していたそうです。

1.3 中国のOTHレーダー

OTHレーダーについては、中国も配備を進めています。

図7 巨大レーダー
図7 巨大レーダー.jpg
引用URL:https://k.sinaimg.cn/www/dy/slidenews/8_img/2017_04/400_34714_206076.jpg/w640slw.jpg

アメリカの攻撃を遠距離から探知するために、中国内陸部に巨大レーダーを設置しています。

既に九州沖縄列島を監視下に置き、ASBM(対艦弾頭ミサイル)と組合わせてA2ADを計画しています。

図8 探知距離
図8 探知距離.jpg
引用URL:https://k.sinaimg.cn/www/dy/slidenews/8_img/2017_04/400_34709_430163.jpg/w640slw.jpg

OTHレーダーは、冷戦の亡霊ながら現代でも使用し続けられている物です。
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(2)日本のOTHレーダー計画

現在与那国島で試験が始まったのは、短波帯表面波レーダ(固定式)の研究という物です。
図9 研究
図9 研究.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/policy/hyouka/seisaku/2023/pdf/jizen_04_honbun.pdf

対中国を睨んだ、早期探知レーダーとなるでしょう。

2.1 1980年代にもOTHレーダー計画はあった!

実は1980年代の日本でも、OTHレーダー導入が計画されていたことがありました。

図10 防衛白書
図10 防衛白書.gif
引用URL:http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/1986/w1986_03021.gif

1986年(昭和61年)の防衛白書では、本土防空・洋上防空に最適であるとして導入検討開始をしています。

当時はソ連爆撃機による日本本土攻撃が危惧されており、米国製OTHレーダーを導入しようとしていました。

ただ冷戦崩壊と共に、OTHレーダー導入計画は立ち消えになっています。

巨大施設と広大な敷地、多額の費用が掛かるためです。

2.2 NICTの海洋レーダー研究が転機!

転機となったのは、NICT(情報通信研究機構)の海洋レーダー研究です。

図11 海洋レーダー
図11 海洋レーダー.png
引用URL:https://www.soumu.go.jp/main_content/000191485.pdf

平成19年(2007年)に海洋基本法が制定され、海洋状況把握(MDA)が求められるようになりました。

総務省のNICTが研究を進めていた海洋レーダー研究が、与那国島で長期間実施されました。

この間に台湾有事をめぐる動きが活発化して、OTHレーダーを駆使した海洋状況把握(MDA)と中国沿岸の状況探知を考慮する形になります。
図12 海洋状況把握
図12 海洋状況把握(MDA).png
引用URL:https://www.mod.go.jp/atla/research/ats2019/doc/yamazaki.pdf

防衛省でも似たような研究を進めていたため、統合してMDAのために研究を行ことになりました。

冷戦期に立ち消えとなった、OTHレーダーが復活したのです。

さらに防衛省が研究していた新技術を利用して、より小型化を目指しています。
2.3 MIMO技術をOTHレーダーに使用!

平成23年以降に研究が始まり、革新的技術と言われたMIMOレーダーという物があります。

図13 運用構想図
図13 運用構想.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/atla/research/gaibuhyouka/pdf/MIMO_27.pdf

警戒管制用のFPS−7の後継として、小型分散型レーダー(バイスタティックレーダー)の開発が進んでいます。

対空用としては現在開発が難航していますが、各種技術をOTHレーダーに転用しようとしています。

図14 小型アレイ
図14 小型アレイ.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/atla/research/gaibuhyouka/pdf/MIMO_27.pdf

巨大になりがちだった短波用アンテナと管制装置を、MIMO技術により小型化しようという物です。

開発が難航するFPS-Xの技術を、海洋監視に転用することで技術的熟成を図ることが出来ます。
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(3)OTHレーダーを活用せよ!

OTHレーダーは、水平線外の遠距離探知を可能にするものです。

図15 極超音速誘導弾
図15 極超音速誘導弾.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/policy/hyouka/seisaku/2022/pdf/jizen_02_honbun.pdf

極超音速誘導弾の目標選定にも、十分役立つでしょう。

冷戦期の亡霊OTHレーダーが、日本を救う!
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2024年06月07日

空自F-35B戦闘機の燃料に関する大問題!

『海自JP-5に合わせるのか空自JETA-1にするのか?』
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2024年度末に、ついに空自F-35B戦闘機飛行隊が新田原基地で創設されます。

海自「いずも型」護衛艦への搭載を考慮した、STOVL機となります。

図1 いずもF-35B
図1 いずもF-35B.jpg
引用URL:https://twitter.com/JMSDF_SDF/status/1445297105791172613/photo/3

喜ばしいことですが、実運用をするときの大問題はどうなるのでしょう?

空自F-35Bの燃料は、空自のJP-4(JET A-1)なのか海自のJP-5にするのか?!
(前回記事):『 イージスにMT30使うの大丈夫?部品供給できる? 』 
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(1)ジェット燃料ってどれも同じじゃないの?

もしかすると、ジェットエンジン燃料なんてどれを入れても問題ないと思うかもしれません。

図2 戦闘機燃料補給
図2 戦闘機燃料補給.jpg
引用URL:https://twitter.com/jasdf_hyakuri/status/1165880908848619522/photo/4

まあ確かに、燃えりゃ何でもいいかもしれませんけど!
(関連記事):『 海上自衛隊の燃料なめてんじゃねーよ(激怒)!!

1.1 空自はJP-4からJET A-1燃料へ!

あまり知られていませんが、空自ジェット燃料はJP-4という燃料が使われていました。
図3 JP-4
図3 JP-4.jpg
引用wiki

簡単に説明すると、灯油とガソリンを混ぜたワイドカット系燃料です。

ただ平成28年度以降、民間航空機と同じJET A-1燃料に移行が進んでいます。
(大火力リークス資料より)

図5 JET A-1
図4 JetA-1.jpg
引用URL:https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783531/rc/2020/02/26/061c9f880658665cb1b8a36f62ff3521983e09c4.jpg

軍用で色々添加物を入れていたけど、安全性が確認できたため民生用と同じものに移行しています。
(大量生産する民間用の方が、燃料費が安くなるため)

普通なら、空自F-35BもJET A-1と思うかもしれません。

1.2 海自海軍航空機はJP-5!

ここで問題になるのが、海自や米海軍の航空機はJP-5という燃料を使用することです。

図6 JP-5
図5 JP-5.jpg
引用URL:https://d1ldvf68ux039x.cloudfront.net/thumbs/photos/1908/5651137/1000w_q95.jpg

ケロシン(灯油の元)をベースにした燃料で、艦上航空機には欠かせない燃料です。

なぜ空自・空軍の燃料と違うものを使うのか?それは艦上火災での延焼を防ぐためです。
図7 艦上火災
図7 艦上火災.jpg
引用URL:https://www.usni.org/sites/default/files/styles/embed_medium/public/Caiella-NH-JA-22%202.jpg?itok=PAmBVRzV

艦載機の火災は怖いですよ〜!なかなか火が消えません。

そのため、引火点が高いJP-5(61℃)を使用して何とか延焼を食い止める方策をしています。

1.3 ガソリン系は艦上に置きたくない!

海上自衛隊や海軍では、ダメコンの観点から引火しやすいガソリン燃料は極力搭載しないのが大原則です。

図8 護衛艦とね
図8 護衛艦とね.jpg
引用wiki

内火艇や複合作業艇用のガソリンタンクは、極力投棄しやすいようになっています。

とにかく、船の中に燃えやすい燃料は持ち込みたくありません!

となると、F-35B戦闘機の燃料をどうする?海自艦船側タンクをどうする?になります。
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(2)空自F-35BにはJP-5が理想的だけど・・・

合理性を考えると、米海軍・海兵隊と同じくF-35BにJP-5使用が理想です。

図9 米海兵隊F-35B
図9 米海兵隊.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/FE4rY_UXMAAcs1u?format=jpg&name=4096x4096

しかし空自が、色々と割を食うことになるんですよね、

2.1 空自にJP-5用各種機器を用意させることになる

空自にJP-5を使用させるとなると、新たに地下燃料タンクなど新設する施設が多くなります。
図10 基地燃料タンク
図10 基地燃料タンク.png
引用URL:googlemap

JP-4やJET A-1に加えてJP-5を扱うことになり、空自の燃料補給取扱いが複雑化します。

さらにKC-46についても、JP-5を空中給油させるために改造が必要でしょう。

空自の別基地にF-35Bが着陸したとき、燃料補給が出来ないことも考えられます。(ココ重要!)

それでもなお、空自にJP-5使用を押し付けるか?となり費用対効果の問題が出ます。

2.2 海自護衛艦にJP-4(JET A-1)を使用させるか?

海自護衛艦に搭載する航空機は、JP-5を使用しています。

図11 空中再補給
図11 空中給油.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/sf/news/10/img/1021/02.jpg

護衛艦「いずも」「かが」だけにF-35Bを搭載するのだから、海自護衛艦にJP-4燃料タンクを設置するというのも考えられます。

ただこの場合、艦上救難員や応急工作員などのコワいお兄さんがたを納得させられるかな?

図12 仕事増やすなゴルァ!
図12 艦上救難.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/sf/news/09/0901.html#sf001-4

さらに海自艦艇装備の人間も、JP-4燃料搭載は遺伝子レベルで嫌がります。(可燃物キライ!)

さらに洋上補給での航空燃料補給用に、補給艦もJP-4専用タンクに改造する必要があります。

海自にとっては、JP-4搭載は絶対嫌だろうな〜!

2.3 英国F-35BはJP-5を使用

参考として、英空軍と英海軍F-35BはJP-5を使用しています。

図13 空中給油
図13 英国.jpg
引用URL:https://www.raf.mod.uk/index.cfm/_api/asset/image/?filePath=/raf-beta/assets/Image/401DBF52-17CF-46E1-BF09704B814DB31C-20211003_155418.jpg

これは、英国海軍と空軍が同じF-35Bを使用しているため可能になったといえます。

英空軍タイフーン(EF2000)が、JP-8(JET A-1)を使用していることから航空機別にしたことになります。

さて航空自衛隊は、どちらの燃料を使用することになるでしょうか?

既存施設を使えるJP-4が、最適ではあるけど?
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(3)戦闘機の燃料は難しいね!

戦闘機や航空機の燃料は、簡単にはいきません。

図14 ストーブ異常燃焼
図14 異常燃焼.jpg
引用URL:https://i.gzn.jp/img/2018/12/16/nite-gasoline-erroneous-fuel/00.jpg

石油ストーブ(灯油)に、ガソリンを入れたら異常燃焼するのですから!

3.1 海自のJP-4受け入れが妥当かな?

費用対効果だけで考えると、海自がJP-4(JET A-1)を我慢して受け入れるのが正解かもしれません。

図15 P-3C
図15 P-3C.jpg
引用URL:https://twitter.com/jmsdf_smatg/status/1437311726953713668/photo/3

P-3CやP-1など、陸上発進する海自固定翼哨戒機ではJET A-1を使用しています。

火災からの安全性教育をして、地道に意識を変えるしかないかもしれません。

けど、空自のカネでJP-5大量調達もアリだぜ!!
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2024年05月24日

イスカンデルMに戦術核を搭載できるのか?

『弾頭をモザイクにしたのは情報戦か?!』
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2024年5月21日から、ロシアは戦術核兵器使用を想定した軍事演習を開始しました。

すぐさま核兵器使用とはなりませんが、ロシアは準備をしているということでしょう。

図1 戦術核航空機
図1 戦術核航空機.jpg
引用URL:https://twitter.com/nukestrat/status/1792945231244963967/photo/4

問題は、戦術核演習の中でイスカンデルMミサイルが登場してきたことです。

イスカンデルMミサイルに搭載する戦術核兵器は、本当に完成しているのか?
(前回記事):『 追悼ジェームズ・アワー元米海軍中佐
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(1)イスカンデル弾頭にモザイクが!

今回の戦術核使用演習において、今までにない動きがありました。

図2 イスカンデルモザイク
図2 イスカンデルモザイク.jpg
引用URL:https://twitter.com/nukestrat/status/1792945231244963967/photo/2

イスカンデルMミサイルの弾頭に、モザイク処理をしてロシア国防省が動画を公開しました。

1.1 イスカンデルMに戦術核?

ウクライナ戦争にて、すっかり評判を落としてしまったイスカンデルMミサイルはロシアの短距離弾道ミサイルです。

図3 イスカンデルM
図3 イスカンデル.jpg
引用wiki

2006年に登場して、2008年のグルジア紛争にて実戦使用されました。

その後第二次ナゴルノ・カラバフ紛争でも使用され、強力な兵器と思われていました。
(関連記事):『 イスカンデルミサイル使用と各所紛争頻発!【世界情勢】

しかし戦術核が搭載可能とされながら、今まで戦術核搭載型が披露されたことはありません。

今回の核兵器軍事演習にて、搭載可能なように報道が行われています。

1.2 INF条約により中距離戦術核が無かった!

1987年に発効した中距離核戦力全廃条約(INF)により、米ロ共に核搭載中距離弾道ミサイルを破棄していました。

図4 署名
図4 署名.jpg
引用wiki

射程500kmから5500kmまでの、核搭載可能な弾頭ミサイル・巡航ミサイルを破棄するものです。

双方とも、多数の戦術核とミサイルを破棄しています。

図5 SS-23
図5 SS-23.jpg
引用URL:https://twitter.com/halmiso1/status/1052193199630901256/photo/1

ただロシアが核搭載可能な巡航ミサイル9M729(イスカンデルK)を開発し、条約は破棄されました。

普通に考えると、イスカンデルMミサイルに搭載可能な戦術核兵器は存在しないはずです。

1.3 核搭載可能を匂わせる写真

2018年にロシアでの展示会「アルミヤ2018」にて、イスカンデルMが核搭載可能であると匂わせる展示がありました。

図6 弾頭展示
図6 弾頭部.jpg
引用URL:https://twitter.com/halmiso1/status/1051565203039637505/photo/1

ソ連最初の核兵器RSD-1と並べるように、イスカンデルMの弾頭部と戦術核を展示しています。

ただ情報が修正され、真ん中の核弾頭とされたのはSS-20用核弾頭の模型とされています。

図7 SS-20
図7 SS-20.jpg
引用URL:https://photo.weaponsystems.net/image/s-lightbox/n-RSD-10%20missile/--/img/ws/ar_ssm_rsd10_m4.jpg

ロシアが新規に小型戦術核弾頭を開発できたとは思えないので、謎が残るところです。
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(2)核弾頭は何を再利用したのか?

ウクライナ戦争では、核搭載可能な巡航ミサイルKh-55が使用され弾頭部部品が回収されています。

図8 弾頭部の部品
図8 弾頭部部品.jpg
引用URL:https://mil.in.ua/wp-content/uploads/2022/12/Polish_20221202_111828025.jpg
ロシアは、核搭載可能ミサイルにて脅しをかけているといえます。

2.1 SS-23の弾頭部を再利用?

イスカンデルMへの核搭載可能性の一つとしては、INF条約で廃棄されたSS-23「スパイダー」の弾頭部を再利用するものです。

図9 SS-23
図9 SS-23.jpg
引用wiki

INF条約で規制された、射程500kmを下回るミサイルでしたがソ連が自主的に廃棄を決めたものです。

ミサイルについては、イスカンデルMミサイルとほぼ同規模であり弾頭部を流用出来ます。

図10 SS−23弾頭部
図10 SS-23弾頭部.jpg
引用URL:https://english.sawtbeirut.com/wp-content/uploads/2021/04/Ukraine-800x549.jpg

ただ米ソの核査察で、核弾頭は全て解体されていることから可能性は低いといえます。

2.2 SS−21「トーチカ」の核弾頭を流用?

可能性として高いのは、SS-21「トーチカ」の核弾頭9B79をイスカンデルMに流用した可能性です。

図11 SS−21
図11 SS-21.jpg
引用wiki

SS-21については、ウクライナ戦争で双方が使用しているほど便利な短距離弾頭ミサイルです。

射程については、最大約185kmでありINF条約の対象外となっています。

図12 9M79B
図12 9M79B.jpg
引用wiki

特に核弾頭搭載の9M79Bシリーズは、現在でもロシアが予備弾頭として保有しています。

2.3 イスカンデルには十分搭載できる

SS-21は、イスカンデルM(9K720)ミサイルの原型となっています。

核兵器の開発が、米露とも停滞している状況から考えて十分可能性があります。

図13 モザイク映像
図2 イスカンデルモザイク.jpg
引用URL:https://twitter.com/nukestrat/status/1792945231244963967/photo/2

弾頭部にモザイクを掛けたのは、弾頭部の形状からSS-21弾頭部を流用していると悟られないためではないかと推測されます。

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(3)ロシアの核戦力はいまだナゾが多いねえ!

米国は比較的に、核弾頭の写真を公開することが多くなっています。

図14 B-61爆弾
図14 B-61.jpg
引用wiki

それに比べ、ロシアはいまだ秘密のヴェールに包まれています。

3.1 形状も未だ不明のものが多い

ロシアの核弾頭については、形状についても不明であることが多くなっています。

図15 R-27
図15 R-27.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/Fs4-GpSXwAYXMQi?format=jpg&name=900x900

R-27の核弾頭は、1986年のK-219の事故によりようやく弾頭形状が判明します。

なかなか秘密の扉が開かず、憶測を呼ぶところがあります。

ただ今でも、イスカンデルMミサイルに核弾頭が搭載できるか怪しいところがあります。

今後の情報に注意していきましょう。
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2024年05月10日

人工衛星もステルスの時代か〜!

『アナルプラグ型衛星じゃなくてよかった・・・!』
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2024年5月7日に、防衛省よりステルス衛星実証実験の情報が出てきました。

最近は衛星にも、ステルス性が求められるようになったといえます。

図1 ステルス衛星
図1 マルチミッション衛星.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/press/news/2024/05/07b.html

ステルス性能については、実空間で測定しないと分からないところもあります。

通信衛星や偵察衛星を補完できる、即応型衛星よ早く来い!
(前回記事):『 軍転法による仁義なき戦い呉編!
\こちらもご参考にPR!/
(1)ステルスを極めるとこんな形になるのか!

衛星と言うと、大抵は気象衛星ひまわりのような形状を想像するかもしれません。
図2 気象衛星ひまわり
図2 気象衛星ひまわり.jpg
引用UURL:https://www.data.jma.go.jp/sat_info/satellite/Himawari89/img/Himawari89_2.jpg

しかし宇宙監視レーダーだと、地球上から捕捉しやすいという問題があります。

1.1 軍用衛星はできるだけ探知されたくない!

人工衛星を軍事用に利用することは、冷戦時代から数多く行われてきました。

偵察衛星などは、人工衛星利用の極致と言えるでしょう。

図3 KH-9
図3 KH-9.jpg
引用wiki

1970年代にアメリカで使用された、偵察衛星KH−9はこんな禍々しい姿をしていました。

低高度(高度約300km以下)で、レーダー探知を避けフィルムを地球上に落とすためこんな形になったと言われています。

現代でも、軍事用偵察衛星は探知されないためにいろんな工夫をしてると言われています。

1.2 ア〇ルプラグ型衛星?!

アメリカではステルス偵察衛星として、とんでもない形状の偵察衛星が1999年に打ち上げられています。

Misty-2(USA-144)という物で、高度約600km付近を飛行している模様です。

図4 Misty-2
図4 MISTY-2.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/DTW_zc_W0AEH3Un?format=jpg&name=large

どう見てもア〇ルプラグ・・・
(米国は大真面目にこんな衛星を作ったのか・・・)

衛星の前に巨大バルーンを作り出し、電波探知を回避するそうです。

図5 電波探知回避
図5 電波探知よけ.jpg
引用URL:https://satelliteobservation.net/2018/03/08/contested-space-ii-countermeasures/#jp-carousel-7073

地上の他に、宇宙空間の他の衛星から探知されないようにするには実際に打ち上げてみるしかありません。

1.3 衛星は落とされる物として考えないと!

意外と見落としがちですが、有事になれば通信衛星や偵察衛星は最初に攻撃される目標でしょう。

図6 ASAT
図6 ASAT.jpg
引用URL:https://www.eurasiantimes.com/wp-content/uploads/2021/10/ASAT-e1634934669867.jpg

すぐに代替衛星を打ち上げたくても、通常の大型衛星では間に合わなくなります。

かつてのSDI計画のように、宇宙では衛星戦争が勃発して次々に衛星が撃ち落とされます。

図7 SDI計画
図7 SDI.jpg

引用URL:https://ahf.nuclearmuseum.org/wp-content/uploads/2018/07/Artist.jpg

小型衛星をたくさん打ち上げることが必要ですが、宇宙空間でどれだけレーダーに映りにくいか実証実験をする必要があります。
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(2)計算と実測データーが違うことはよくある!

人工衛星については、シミュレーションでRCSを計算できる!なんて意見もあるかもしれません。

図8 航空機
図8 航空機RCS.jpg
引用URL:https://www.mdpi.com/aerospace/aerospace-09-00734/article_deploy/html/images/aerospace-09-00734-g001-550.jpg

航空機のRCSについては、ほぼシミュレーション通りになると言われています。

2.1 艦船のRCSは実測値が全然違う!

しかし艦船のRCS計測実験を海上自衛が行ったところ、設計段階のシミュレーションと全然違ったという実体験があります。

図9 艦艇RCS
図9 艦艇RCS.jpg
引用URL:https://www.emcos.com/images/Applications/App_Ships4_RCS_Problems_in_Ship_Simulation_Model.jpg

以前にも、艦艇のRCSについて書いた記事があります。
(参考記事):『 軍艦のステルス性の誤解と効果の狙いについて!【軍事技術】

設計段階でシミュレーションをしていた艦艇について、実測値はかなり違っていました。

RCSが大きいと言われていた「あさぎり」型護衛艦は、それほど大きくなかったことが判明しています。

ほぼシミュレーション通りのRCSであったのは、「こんごう」型護衛艦ぐらいです。

実環境で計測して、初めて分かることも結構多くあります。

図10 電波暗室
図10 電波暗室.jpg
引用URL:https://media.defense.gov/2009/Jan/27/2000634197/2000/2000/0/090121-F-3571D-130.JPG

艦艇は、戦闘機のように電波暗室で測定できるものではないですからね〜!

2.2 宇宙空間は何があるか分からない!

人工衛星については、地球上からの監視レーダーの他に衛星からの探知を検証する必要があります。

図11 SSA
図11 SSA.gif
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/publication/wp/wp2022/image/zuhyo03010302.gif

地上から探知できなくても、高高度軌道の衛星に居場所を探知されると攻撃される恐れがあります。

今回の、即応型マルチミッション衛星についても宇宙空間での実証試験は重要といえます。

小型衛星で、ステルス性を極めるとどれだけ探知しにくくなるか実験すべきでしょう。
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(3)使い捨て衛星の時代が来るか?

民間企業ではキャノンが、超小型衛星の開発と実証を進めています。

図12 キャノン衛星
図12 キャノン衛星.png
引用URL:https://global.canon/ja/technology/pdf/canon-frontier-2018-j.pdf

高価格の大型人工衛星と併用して、小型使い捨て衛星を打ち上げる時代が来るかもしれません。

3.1 護衛艦から人工衛星を打ち上げ出来たらいいなあ〜

将来的には、護衛艦VLSから人工衛星を打ち上げるような戦術も検討すべきでしょう。

SM-2ミサイルの弾頭を交換して、人工衛星を搭載できるかな?
(誘導システムと弾頭炸薬を外せばスペースが開きそう・・・)
図13 SM-2
図13 SM-2.jpg
引用URL:https://media.defense.gov/2002/Jun/13/2002290720/600/400/0/020613-N-0000X-002.JPG

なんにせよ、即応型マルチミッション衛星は今後注目すべきものですよ!

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2024年04月18日

Kawasakiは電動偵察バイクの夢を見るか?

『偵察バイクの電動化は必要だ!』
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2019年に防衛装備庁の研究で、陸自偵察バイクの電動静粛化という面白い研究が始まりました。

当時は夢物語であった、電動バイク技術を早期に確立しようという物です。

図1 偵察バイク
図1 偵察用バイク.jpg
引用wiki

2024年1月には、カワサキがついに電動バイクの販売を開始しました。

陸自偵察バイクも、電動化の波に乗ることが出来るか?!
(前回記事):『 悲報くぅじーさんに捕捉される(涙)!
\こちらもご参考にPR!/
(1)防衛装備庁新技術短期実証事業!

カワサキが発売した電動バイクは、防衛装備庁の新技術短期実証事業の成果として登場しています。
図2 電動バイク
図2 電動バイク.jpg
引用URL:https://images.squarespace-cdn.com/content/v1/63c94d36684e583a7ae37e3b/bced4117-8cbd-46bc-b5ab-97cd9b8c1358/Captain-Electro-Kawasaki-Electric-Motorcycles-1.jpg?format=2500w

今後は、陸自偵察バイクへの転用が期待されます。

1.1 平成29年度(2017)に研究開始!

カワサキが受注した、電動化による偵察バイクの静粛化は2017年に防衛装備庁の研究に採用されました。

図3 研究内容
図3 偵察バイクの電動化.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/meeting/bouei_gijutsu/sonota/07_b.pdf

偵察部隊が使用するバイクを、リチウムイオン電池と電動モーター使用で静粛化する研究です。

新技術短期実証事業は、あくまで装備化前提ではなく新技術を研究するものです。

研究結果の続報が無かったのですが、2019年にカワサキが電動バイク投入のリリースをして、新技術短期実証事業の初の商業化事例となりました。

その後2024年1月に、「Ninja e-1」「Z e-1」を発売することになります。

1.2 Z e-1は偵察バイクに転用できそう!

注目すべきは、Z e-1と呼ばれるオフロードモデルが偵察バイクに転用できそうです。
図4 Z e-1
図4 Z e-1.jpg
引用URL:https://www.kawasaki1ban.com/wp-content/uploads/2023/12/kawasaki_e-1_02-580x435.jpg

扱いは125CCのバイクと同等レベルで、現用偵察バイクの250CCよりは劣ります。
(出力が半分以下となっている。)
しかしながら、十分部隊研究として使用できる価値はあるでしょう。

1.3 電動バイクの軍事的価値は高まっている

2017年の開発開始当初は、電動バイクについてはあまり研究の比重が高いとは言えませんでいた。

カワサキも研究資金を求めて、防衛装備庁新技術短期実証事業に応募したほどです。

図5 開発途中
図5 開発途上.jpg
引用URL:https://global.kawasaki.com/en/corp/sustainability/report/2021/pdf/21_houkokusyo.pdf

しかし民生用にも軍事用にも、電動バイクの価値が高くなっており非常にタイムリーな研究となりました。

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(2)ウクライナ戦争での電動バイク

電動バイクの軍事的有用性を示したのが、ウクライナ戦争といえます。

図6 ウクライナ戦争
図6 ウクライナ戦争.jpg
引用URL:https://cloud.rtl.it/RTLFM/News/Article/1920xH/veloci-silenziose-e-invisibili-ai-sensori-biciclette-elettriche-la-marcia-in-pia-dellaesercito-di-wide-site-yilhc.jpg

機動性と静粛性で、ウクライナ軍の足となっています。

2.1 対戦車弾まで運ぶ電動バイク!

ウクライナ戦争において、車両不足に悩むウクライナ軍は騎兵まで投入する事態となっています。

図7 騎兵
図7 騎兵.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/GEX4P-qWEAENzvp?format=jpg&name=medium

そんな中で、市販電動バイクを改造して軍事用に使い始めました。

皮肉なことに、機動力と生産性の高さから各所で活躍しています。

2.2 対戦車兵器とのコンビ

電動バイクは、供与された対戦車兵器と組合わせて運用もされています。

図8 対戦車兵器
図8 対戦車兵器.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/FS9LSauWQAMa61z?format=jpg&name=small

対戦車兵器を投入するうえで、最も問題となるのが迅速かつ静粛に人員を投入できるかです。

電動バイクは、偵察の他に対戦車兵器配備への一つの解を出したといえます。

2.3 通信システムとの相性

偵察部隊の役目として、敵情報を入手して迅速に司令部に伝達することです。

図9 偵察兵
図9 偵察兵.jpg
引用URL:https://twitter.com/13b_jgsdf/status/1309034994191544320/photo/1

大容量の情報を送信するには、通信機も電力をかなり食います。

陸自の広帯域多目的無線機(コータム)は、バッテリー駆動であり電力補給の場所が限られます。

電動バイクが使えれば、かなり使い勝手がよく大容量通信システムも使用可能になるでしょう。
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(3)電動バイクは偵察用に向いている

今まで自衛隊で電動化という物は、顧みられていない所がありました。

偵察用バイクも、その一つといえます。

3.1 真剣に検討する必要がある!

2017年の研究開始当初の偵察バイクの電動化は、あまり注目されていませんでした。

図10 バイク
図10 バイク.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/gsdf/neae/6d/photo/bike_2.jpg

偵察バイクはエンジンで動かすという、固定概念があったといえます。

しかしウクライナ戦争での活躍を見ると、電動バイクの必要性は高まったといえます。

3.2 充電方法の改善の問題はある。

カワサキから発売された電動バイクも、問題が無いわけではありません。

図11 バッテリー
図11 バッテリー.jpg

引用URL:https://content2.kawasaki.com/ContentStorage/KMJ/Products/5370/a0372028-3b9e-43de-83f5-9dfebaf532fc.jpg

1個約11.5kgのバッテリー2本フル充電で、約4時間かかるという充電時間の問題です。
(燃料式なら10分もかからない)
野外において家庭用コンセントが存在しない状況で、太陽光パネルなどで電力供給を検討する必要があるでしょう。

しかしながら今すぐにでも、電動バイクの運用研究自体は始めるべきです。

せっかく防衛装備庁新技術短期実証事業にて、電動バイクの技術的知見を得たのですから!

今後の陸自における、しっかりとした研究ビジョンが必要です!
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2024年03月22日

イスカンデルはおそロシア!

『変態技術者め、イカれた進歩をしやがって!』
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ウクライナでKN-23が使用されている間に、ロシアのイスカンデルMミサイルが進化して来たようです。

そんなところに、電子誘導モジュールを増設するんか!

図1 イスカンデル背景
図1 イスカンデル背景.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/GIfu2DbXEAA5qxc?format=jpg&name=large
ウクライナ戦争の長期化で、なかなかグロテスクな技術的進化遂げるようになりました。

やはりロシアの技術思想は、おそロシア!
(前回記事):『 防衛省日鉄呉工場跡取得と毒まんじゅうの不安!
\こちらもご参考にPR!/
(1)デコイに続いて電子モジュールか!

2024年3月13日に、ウクライナで発見されたイスカンデルMミサイルの破片から奇妙なものが発見されました。

図2 ミサイル尾部
図2 ミサイル尾部.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/GIvcrLzXMAEV-R0?format=jpg&name=large
一見すると、普通のイスカンデルMミサイルの破片に見えます。

1.1 ミサイル尾部に誘導モジュール?

以前に発見されたイスカンデルMミサイルについては、囮デコイ搭載の存在が判明するなどおそロシア技術が良く表れていました。

図3 ミサイルデコイ
図3 ミサイルデコイ.png
引用URL:https://twitter.com/CAT_UXO/status/1502936791665491970
(関連記事):『 イスカンデルのデコイ機能がついに露見?!【軍事技術】

この時は、ミサイル尾部にデコイランチャーを装備して実際に使用していることが判明しています。

Kh-101巡航ミサイルにも、フレア発射機能が搭載されるなどなかなかイカれた技術思想はバカにできません。

そんな中で、イスカンデルMミサイルの尾部に新たな機能が搭載されていました。

1.2 ここにGNSSモジュールを付けるかぁ(呆)?!

今回発見されたイスカンデルMミサイルの破片には、デコイ発射口に電子機器が装備されていました。

図4 GNSS
図4 GNSSモジュール.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/GIfu3gkXsAARMBw?format=jpg&name=large
なかなかイカれた位置に、GNSS受信モジュールを装着したものです(呆れ)。

ロケット噴射の熱でカバーが焦げていますが、中身までは損傷していないようです。

普通のミサイル技術者なら、ここに電子機器を装着しようとは思わないなあ・・・

それだけロシアも、焦っているのかもしれません。

1.3 残弾不足と電波妨害対策のためかな?
2023年の団塊で、イスカンデルMミサイルなどがかなり撃ち尽くしているとの報道が出ています。

図5 ミサイル残弾
図5 ミサイル残弾.jpg
引用URL:https://twitter.com/ukraine_map/status/1736778969079226500/photo/1

特にイスカンデルMミサイルは、開戦から相当数を発射して残りが少なくなっています。

さらにロシア・ウクライナ(NATO?)双方の電波妨害により、精密誘導が厳しいようです。

図6 セヴァストボリ
図6 セヴァストポリ.jpg
引用URL:https://www.navalnews.com/wp-content/uploads/2023/11/Sevastopol-GPS-Jamming-26-Nov-2023-scaled.jpg

セヴァストポリ軍港周辺でも、かなりの電波妨害が起きているようです。

その対策として、GNSS受信モジュールを追加したのかもしれません。

やはりロシアの技術思想は、西側と異なるおそロシア状態です。
\弾道ミサイル!PR/ \PR!/
(2)KN-23に還流すると厄介だな!

ウクライナ戦争では、北朝鮮KN-23が実戦使用されたものの精度が悪いようです。

図7 北朝鮮KN-23
図7 KN-23.jpg
引用URL:https://i2.obozrevatel.com/news/2024/1/5/filestoragetemp-61.jpg?size=2010x1050

問題はKN-23がイスカンデルMのような改造を受け、北朝鮮に技術がバックフィットされることです。

2.1 KN-23の精度はどのくらいなのかな?

KN-23については、ロシアに輸出されたものはかなり精度が悪くなっています。

もしかすると、GNSSなどの精密誘導装置をわざと取り外しているかもしれません。

図8 イスカンデルコンピュータ—
図8 コンピューター.jpg
引用URL:http://militaryrussia.ru/i/284/185/TgQ38.jpg

北朝鮮のKN-23の成功具合から、イスカンデルM搭載システムと同程度の能力はあるはずです。

図9 KN-23命中
図9 KN-23命中.jpg
引用URL:https://img9.yna.co.kr/photo/yna/YH/2022/01/15/PYH2022011500480004200_P2.jpg

相当な命中精度に加えて電波妨害対策をされたKN-23が登場すると、安全保障上危険と言わざるを得ません。
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(3)KN-23改の登場に注意!

今後数年以内に、ウクライナ戦争の教訓を得たKN−23改が登場するかもしれません。

図10 スカッド
図10 スカッド.jpg
引用wiki

かつて北朝鮮がスカッドミサイルのコピー商品販売で、ミサイル技術を習得していました。

今後注目すべきものになるでしょう!
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2023年12月23日

NBC偵察車の早期用途廃止への慚愧【軍事技術】

『もう少し技術的成熟をすべきだったなあ』
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2024年度の防衛予算案が登場して、新装備の開発も進むことになりました。

しかし思い入れのあるNBC偵察車が早期に用途廃止となるようです。

図1 NBC偵察車
図1 NBC偵察車.jpg

引用URL:https://www.mod.go.jp/gsdf/neae/6d/photo/nbc_2.jpg

量産初号機に監督官刻印を入れたものとして、結構後悔が残るものになりました。

そんなNBC偵察車の思い出について書いていきます。
(前回記事):『 ASBMを撃墜しろだなんてむーりいー無理!!【海上自衛隊】
\こちらもご参考に!PR/

(1)初号機監督官をやってね!え?海の人間だけど?!

NBC偵察車は防衛省出向時に、検査官として関わりがありました。

(関係記事):『 【防衛省】知られざる地方防衛局・防衛事務所という組織のお仕事!
図2 検査官
図2 検査官.png
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/F8nfrYWaQAA4vgN?format=png&name=900x900

偶然の結果で、本来の陸検査官の代わりに監督刻印を押すことになったのです。

1.1 検査官ってなんやろな?

防衛省出向時には、製造される装備品の監督検査を行う「検査官」という仕事を行っていました。

図3 完成品
図3 完成品.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/rdb/chushi/030_kouhou/010_kouhousi/kouhou55.pdf

陸海空の装備品が製造されるとき、地方防衛局所属の検査官が監督・検査をして合格判定行うものです。

基本はそれぞれ陸海空の検査官が担当しますが、たまに陸装備を海自検査官が検査するなどします。

むろん事前教育はしっかり行われ、製造品への監督検査はしっかりできるようになっています。

1.2 NBC偵察車の予備監督官に指定ね!

会計法により、国が発注した工事・物品には必ず監督検査・完成検査は行う必要があります。

大規模な装備になると、複数の検査官を指名して検査漏れが無いようにします。

防衛省地方防衛局に出向したときは、前任者の契約業務を引き継ぎ検査官業務を引き継ぎます。

図4 潜水艦業務
図4 潜水艦.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/F68ALZObcAAAvMe?format=jpg&name=900x900

ちょうどNBC偵察車量産初号機の、予備監督官業務も引き継ぐことになりました。

「まあ、何もないから安心しとけ!」

そんな言葉が先輩検査官から掛けられますが、安心できないのが自衛隊です。

まさかの事態が発生します。

1.3 ちょいとNBC偵察車の監督検査してこいや!

NBC偵察車の量産初号機が完成して、あとは監督・完成検査立ち合いだけというときでした。

監督業務をしてた陸検査官が、陸自人事の都合で急きょ後方支援連隊の中隊長に上番することになります。

図5 後方支援連隊
図5 後方支援連隊.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/gsdf/mae/14b/butaisyoukai/kakubutai/7_log/images/keyvisual.jpg

急な話なので、当然後任者が来る予定が全くありません。

検査官を離れると、当然装備品の監督検査書に押印する権限が無くなります。

「ちょwwNBC偵察車の監督刻印誰が押すんですか?www」
「ペンギン!お前が完成検査の監督やっとけ!」

急きょながら、海の人間が陸自装備NBC偵察車の検査をすることになります。
\車両の系譜!PR/
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(2)サスペンションに油いれてんのか〜い(怒)!

急きょNBC偵察車初号機の監督検査をすることになりましたが、ひどいものでした。

図6 NBC偵察車外観
図6 N偵.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/Em_ERO5UYAAcAz0.jpg:large

当時最新鋭だったはずのNBC偵察車は、設計者出てこ~い!の状態です。

2.1 サスペンションがいまいちすぎる!

96式装輪装甲車が比較的乗り心地の良い車両なので、安心できるだろうと思っていました。

『サスペンションに油入れてんのか〜い(怒)!』

実路の走行試験ではあまりの振動に、思わずこう叫ぶほど乗り心地が悪いものでした。

図7 バイク悪路走行
図7 バイク悪路走行.jpg
引用URL:https://global.yamaha-motor.com/jp/showroom/event/playsurvive/playsurvive2021/img-0002/pic_002.jpg

まあ、中間試験で合格してる以上は合格にするしかありませんでした。

2.2 エンジンをここに置いたのは誰だ!

NBC偵察車で一番悔やまれるのは、エンジンの位置です。

図8 96式
図8 96式.jpg
引用URL:wiki

96式はエンジンが運転席左にあり、安定性がありました。

しかしNBC偵察車は車体中央右にあり、車内スペースを圧迫していました。

当然横転性が上がっていましたが、陸自の合格基準内に入っていました。

これもまた試作車両で合格が出てる以上、量産車も合格印を出さざるを得ませんでした。
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(3)もっと煮詰めるべきだったなあ

当時は量産スケジュールが詰まっており、合格印を出せというプレッシャーが大きくありました。

図9 S-10
図9 S-10.jpg
引用wiki

海自でS-10試作機を不合格にしたとき、装備スケジュールが大幅に狂った苦い思い出があります。

3.1 もっと時間があればなあ

当時は化学防護車と生物偵察車しかなく、NBC偵察車の装備化が急がれていました。

結果として問題が山積のまま、部隊配備予定数50両を大きく下回る結果になります。

もうちょっと煮詰めてから出荷すべき車両だったと、慚愧の念に堪えません。

技術者として反省すべきところだったと思っています。

3.2 パトリアならやってくれる!

NBC偵察車は早期に用途廃止となり、パトリアAMVの派生型が後継になるようです。

図10 パトリア
図10 パトリア.jpg
引用URL:https://www.defensehere.com/img/2023/09/Ekran-goruntusu-2023-09-20-100924-e1695193780828-850x478.jpg

中途半端に終わってしまったCBRN対策車両を、必ず達成してくれるでしょう!

期待して待っています。
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2023年10月22日

拘束発射というミサイル屋さんが見たくない現象【軍事技術】

『拘束発射が起きました!アンギャ—ー!!!』
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陸海空自衛隊を問わず、ミサイルを扱う人にとって最も体験したくない現象があります。

そいつは、拘束発射(こうそくはっしゃ)と呼ばれる現象です。

図1 VLS
図1 VLS.jpg
引用wiki
ホットローンチをするVLSなどで、ブースターが点火してミサイルが飛び出していきます。

そのミサイルが飛び出さない現象があるんですよ。
(前回記事):『 F-2卿にF-2の珍しい写真を捧げましょう!【自衛隊】
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(1)イヤー!拘束発射発生!

ウクライナ戦争の中で、あるロケット発射失敗の映像が流れました。

図2 ロケット発射失敗
図2 ロケット発射失敗.png
引用URL:https://twitter.com/kamipapa2/status/1699616612834537604

この画像を、見た方も多いかと思います。

1.1 射撃関係者は恐怖モノだろうなあ

ロケット発射失敗により、ブースターが点火したまま発射車両が森に突っ込んでいく光景です。

普通の人なら、何だただのロケット発射失敗か!なんて思うかもしれません。

しかしミサイル関係者にしてみると、
『イヤー!拘束発射!見たくないい!!』
と恐怖の対象になるでしょう。

図3 11短SAM
図3 11短SAM.jpg
引用URL:https://www.flickr.com/photos/90465288@N07/39227773454/in/album-72157632230016328/

ミサイルやロケットが飛び出していかない恐怖は、想像を絶するものがあります。

1.2 拘束発射ってなんだ?

拘束発射という言葉は、一般的ではないので戸惑うかもしれません。

簡単に言うと、
『ミサイル発射時に、発射レールから外れず拘束されたままブースターが燃焼し続ける』
そんな現象です。

図4 シースパローランチャー
図4 シースパロー.jpg
引用wiki

一例として、シースパローランチャーを見てもらればわかります。

ミサイル本体は、レールガイドによって発射筒内に固定されています。

ブースターの点火と推進開始によって発射レールの固定が解けるのですが、たまに固定されたままになります。

VLSでも、本当に偶然発生することがあります。

1.3 拘束燃焼試験は安全性を確認するため!

時たま、誘導弾の試験に関する入札について「拘束燃焼試験」という文言があります。

これは、拘束発射が発生したときに爆発せずほかの誘導弾に延焼しないための確認です。

図5 拘束燃焼試験
図5 拘束燃焼試験.png
引用URL:https://media.defense.gov/2016/Oct/07/2001645552/1920/1080/0/160808-N-DM751-001.JPG

この画像は、米海軍LCS用の対艦ミサイルランチャーの拘束燃焼試験です。

このとおり、拘束発射でボウボウに燃焼しても安全になるように試験はされています。

しかしながら、拘束発射は本気でコワい代物です。
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(2)海自でもあった拘束発射!

海上自衛隊では、拘束発射があったのかという疑問があると思います。

図6 試験艦あすか
図6 試験艦あすか.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/ase/asuka/#6102-2

実は、試験艦「あすか」にVLSを搭載したときに1度発生しています。

2.1 新アスロック技術試験にて拘束発射発生!

現在の07式垂直発射魚雷投射ロケット(07VLA)が、新アスロックと呼ばれていた時期に発生しました。

図7 新アスロック
図7 新アスロック.jpg

引用wiki

ちょうど技術研究本部(TRDI)で、技術試験を行っていた時に発生しています。

第二次発射試験の時に、Mk41VLSから弾が飛び出ず拘束発射で火の海になりました。
(関連記事):『 【自衛隊】装備品の配備には試験だらけでとても長い!
関連記事で書いた「大変なこと」は、この拘束発射の事象発生です。

2.2 火の壁が出現!

私ペンギンは、試験艦あすかには乗艦してはいませんでした。

しかしながら、実験部に持ち込まれた発射映像は地獄でした。

図8 SM-3
図8 SM-3.jpg
引用URL:https://www.navalnews.com/wp-content/uploads/2023/04/7277584-1024x578.jpg.webp

SM-3を発射したくらいの火炎が、数十秒間噴射している映像が艦橋から撮影されました。

2.3 VLSは陸揚げして大修理!

海上自衛隊のVLSで初めての拘束発射発生ということで、VLSを陸揚げしての大修理となりました。

試験艦「あすか」の上甲板などもペンキが焼けこげ、修理費1億円くらいがかかる結果となります。

拘束発射は、ホントにダメージが大きいですよ!
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(3)拘束発射はマジで怖い!

ミサイル屋さんが、拘束発射はマジで怖い!というのが実感できた体験でした。

拘束発射が起きると、ロケットランチャー搭載車両なんて簡単に動き出します。

あれは二度と経験したくない、恐怖の体験といえます。
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posted by sstd7628 at 17:03| Comment(6) | TrackBack(0) | 軍事技術

2023年09月24日

キャハ?!T-14アルマータ戦車を全○にしてみました?【軍事技術】

『T-14アルマータ戦車の無修正写真流出!』
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ロシアのT-14アルマータ戦車は、量産車両がなかなか出ず写真も限られていました。

出てくる写真は、軍事パレードでのきれいな姿ばかりです。

図1 T-14アルマータ
図1 T-14アルマータ.jpg
引用wiki
そんな中で、T-14アルマータの装甲を外した無修正全○写真が登場してきました。

ロシアって、写真流出にとことん無頓着だよね・・・
(前回記事):『 Technical Answers to Richard's Japanese Submarine OSINT Questions【軍事技術】

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(1)T-14アルマータの無修正写真だ!

ウクライナ戦争で全く投入された実績のない、T-14アルマータ戦車についてはどうなっているのか不思議でした。

図2 T-14正面
図2 T-14正面.jpg
引用wiki
2022年よりロシア軍事展覧会アルミヤで、展示が始まったばかりです。

1.1 装甲を剥がした無修正写真が流出してるのか・・・

そんな中で、装甲を外したT-14アルマータの写真が出ていることが分かりました。
図3 装甲を外したT-14
図3 装甲を外したT-14.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/F6s2Zi-WoAAJdkl?format=jpg&name=small

2015年に初登場した最新鋭戦車なのに、装甲を外した写真がもう出回っているのか・・・

しかしながら、なかなか砲塔部分の隠れていた部分が全て見えており貴重な写真です。

どうも2021年あたりに、すでにロシア国内放送でこの映像が流れたようです。

対戦車弾を物理的に無効化する、ハードキル型アクティブ防御システム(APS)のZaslin設置位置もしっかりわかる大変貴重な画像です。

しかしながら、どこかで見たことのあるシルエットだなー?

1.2 T-95戦車オブイェークト195の試作車写真に似てるんだ!

記憶をたどると、2019年に紹介したT-95戦車の試作車両写真がありました。

図4 T-95戦車
図4 T-95戦車.jpg
引用URL:https://ic.pics.livejournal.com/bmpd/38024980/6039392/6039392_original.jpg

ロシアの軍事を知るときに利用させてもらっている、BMPDニキ( https://bmpd.livejournal.com/ )が2018年に公開した写真を、いつも利用させてもらっています。

ホントにオブイェークト195に、そっくりなのがT-14アルマータの内部構造といえます。

まあT-95戦車の技術を利用して、無難に完成させたといえます。

以前にも、T-95戦車の記事を書きましたがT-14の装甲を外した写真が出てくるとは思いませんでした。
(関連記事):『 【ロシア】幻の「T-95戦車」スクープ写真流出か?!

1.3 T-14は量産できていないとみるべきか?

2022年11月ごろに、T-14アルマータ戦車はロシア南西部地域の軍事訓練場に移動したという情報が駆け巡りました。

図5 T-14ドンバス
図5 T-14ドンバス.jpg
引用URL:https://www.armyrecognition.com/images/stories/news/2022/december/Russian_latest_generation_tank_T-14_Armata_would_be_deployed_in_Ukraine_Donbas_region_925_001.jpg

いよいよ最新鋭戦車投入か?!と思われましたが、結局は実戦投入が確認できないままです。

20両程度という生産数で、ウクライナ戦争の戦車損耗補填が最優先となり量産に移行できていないようです。

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(2)ロシアって写真がいつも漏洩するよね

ソ連時代はともかく、ロシアになってからよく写真情報が漏洩するようになりました。

図6 巡洋艦モスクワ撃沈
図6 巡洋艦モスクワ撃沈.jpg
引用URL:https://topwar.ru/uploads/posts/2022-04/thumbs/photo_2022-04-18_04-03-08.jpg

巡洋艦モスクワの被弾した写真なんかは、本来漏洩しちゃいけない画像情報なのに・・・

2.1 なんでドックで揚陸艦と潜水艦が大破するんですかぁ!

ここ最近のニュースで一番驚いたのは、クリミア半島のロシア海軍基地セバストボリで揚陸艦と潜水艦が撃破されたことです。

図7 大破揚陸艦
図7 大破揚陸艦.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/F56CjxTWUAA7rSi?format=jpg&name=large

まあ、揚陸艦はあれだけ炎上していたから目立ちやすいでしょう。

しかしながら潜水艦の方は、撃破できたか戦果不明で衛星写真からでしか確認できない状況でした。

BDA(戦闘損傷評価)を相手にさせないためには、写真情報などは絶対漏洩してはいけないものです。

潜水艦が生きているかもしれないというだけで、脅威評価が上がるほどです。

2.2 なんで潜水艦撃破写真がネットに上がるんですかぁ!

そんな中で、2023年9月18日にはドック入渠中に攻撃を受けたキロ級潜水艦の写真が流出します。

図8 キロ級潜水艦
図8 キロ級潜水艦.jpg
引用URL:https://twitter.com/CITeam_en/status/1703736274484334701/photo/1

何で詳細な写真が出るんですかあ!これは完全に大破でしょうが!ウクライナ海軍大喜びですよ!

ホントにロシアの防諜体制が機能してるのか、疑問を呈するしかありません。

電子機器の発達により、簡単に写真をネットに挙げられるとはいえものすごい時代になりました。
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(3)マジにウクライナ戦争はどうなる?

ウクライナの反撃と共に、黒海艦隊司令部が巡航ミサイル攻撃で攻撃されるなど混沌としてきました。

図9 黒海艦隊司令部攻撃
図9 黒海艦隊司令部攻撃.jpg
引用URL:https://ichef.bbci.co.uk/images/ic/512xn/p0gg7v3z.jpg

こりゃあ、クリミア半島が早期にウクライナによって奪還される可能性も出てきたといえます。

今後も、ウクライナ情勢とロシアから目が離せないですよ!
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