(2017年投稿記事です。)
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2017年になり海上自衛隊のDDH4隻の更新が完了いたしました。
空母だ!空母導入だ!なんて浮かれている声もありますが、それどころではありません。
本当に必要とされている、陸自水陸機動団への輸送力提供が出来ていないのが現状です。
今回は、空母より本当に必要な強襲揚陸艦についてお話します。
(前回記事):『 防衛省情報公開制度は内部では大変なんだよ〜 』
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(1)足りねー!全然輸送・補給能力が足りねーよ!!
現職の時、幕僚になるための教育を受ける時期がきます。
その中で、教育を受けてある課題を提示され、思わず叫んだのがタイトルの言葉です。
自衛隊の統合運用が当たり前の時代になってきたため、陸自や空自との統合作戦を学びます。
その中で、陸自から来た教官による統合作戦の教務である課題が出ました。
『西部方面普通科連隊(WaiR)の戦闘団を所定の島に揚陸せよ。
作戦期間は2週間、期間中の必要補給物資も輸送・補給させること』
こんな課題が出ました。
そのための必要な輸送艦の手配、補給物資の確保・輸送といった計画を立てていきます。
計画を立てれば立てるほど、
・輸送艦の数が足りね〜!(おおすみ型輸送艦だけでは運べない)
・車両数が多すぎて、全部載せられない!
・陸自用の燃料・弾薬・食糧ってこんなに大量なのかよ〜!
・ましゅう型輸送艦一隻を使っても足りないじゃないか!
こんな感じで悲鳴続出する状態になりました。
図1 輸送艦おおすみと補給艦ましゅう
一隻一隻ごとだと、とても大きな艦ではあります。しかし計画を立ててみるとその能力に愕然としました。
現状では、まったく陸自の作戦支援要求に対応出来ない現状がありました。
陸自の作戦に必要な燃料弾薬食糧の必要量が、海自にとっては膨大でした。
ただでさえ少ない補給艦を、陸自作戦部隊に同行させるとさらに他で補給が滞るのです。
『ここまで来ると、ワプス級強襲揚陸艦が必要になってくるぞ』
そんなことが、幕僚教育を受けていた仲間での共通認識になってました。
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(2)強襲揚陸艦は空母じゃなくて揚陸・補給拠点艦だ!
強襲揚陸艦は空母と同じだ!と誤解されることが多くあります。
実際に米海軍の強襲揚陸艦は、AV−8Bハリアー?Uが運用できるため、そう思われてしまいます。
図2 米海軍強襲揚陸艦ワプス級
引用URL:wiki
しかし、米海軍の場合は、海兵隊遠征隊(MEU)の支援という目的があります。
そのため、独自に航空支援が必要となるため艦載機が乗っています。
海上自衛隊が強襲揚陸艦を導入する場合は、水陸機動団を輸送揚陸させるという目的になります。
図3 海上自衛隊の新型輸送艦構想
引用URL:http://livedoor.blogimg.jp/corez18c24-mili777/imgs/d/6/d641c369.jpg
むしろ、揚陸・補給拠点艦としての能力を求められます。
併せて、揚陸部隊に対して十分な作戦補給物資を提供する役目を持たせる必要が出てきます。
そのために4万トンクラスの艦が必要になってきます。
空母よりも強襲揚陸艦が、現実的に海上自衛隊必要なものなのです。
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(3)必要なノウハウの習得は発展途上・・・
陸海空自衛隊にとって、部隊を揚陸させて作戦を展開する両用戦のノウハウ習得は、まだ発展途上にあります。
今まで統合運用が行われてきていなかったためです。
米国でも両用戦習得には、かなりの時間とノウハウが必要とされました。
全く別次元での運用能力が必要になってきているのが現状です。
真の意味での、統合運用となるための試金石とも言えます。
そのため、 空母みたいだ!など話よりも大事なことでもあります。
空母を持つより、強襲揚陸艦の方が現実的ですよ!
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海保の洋上拠点船舶として、多目的巡視船が活躍する可能性は出てきたといえます。
ただ人員の手当てが問題ですね〜。
イタリア海軍の視点からも、やはり3万トン級巡視船はデカいという印象があるのですね!
(空母「カヴ—ル」も似たような任務・機能を持つ)
右舷ランプウェーについて、どこで運用するのか?やはりナゾが残ります。
概算要求から12月末の本予算案決定までに、「白馬の騎士(ホワイナイト)」が登場して「天の声」が出て来ることをこれほど願ったことはないでしょう!
大臣折衝よりも、首相経験者の「手の声」は結構強いと聞いています。(海自江田島候補生学校学生隊庁舎整備の時、元海軍の某大勲位の天の声が(汗))
能登地震で「前線拠点がない」という問題に行き当たったので伊豆半島とかを考えた場合に必要というのは判ります(いず型巡視船ではかなり能力不足)。
1隻なら何とか賄えると思いますが、複数クルー制や複数船整備となるとかなり厳しいかと(従前なら海上保安官の陸上ポストに管区内採用の一般職事務官を配置するようにしている)。
https://www.kaiho.mlit.go.jp/04kanku/contents/003912.html
@イタリア空母「カヴ—ル」
ちょうど横須賀に来ていたので見学ついでにその話をしましたが、やはり「ちょっと大きすぎるんじゃないのか?」と言われました。。。
特に謎なのが右舷のランプウェーで車両輸送を想定していることになっていますが、離島で3万トンの船が横付けできる港なんてあるかいと。
(シチリア島からの島民輸送に「カブール」を使わないのか?と聞いたら鉄道&自動車の海峡大橋造っているので問題ないと。M7クラスの地震が起きる場所なのに)
https://trafficnews.jp/post/132821/2
@査定落ち
それが「白馬の騎士が出てくる可能性」がありまして(次の首相次第)。5商船高専の練習船は代替時期を迎えていて査定落ちすると思っていたら、某首相経験者のところに1校存在(山口の大島商船高専)したため、「天の声」で1隻10億×5隻=50億満額回答という「奇跡」が(爆)
海保の3万トン多目的巡視船が、令和7年度概算要求に登場してかなり驚いています。
最初のニュースで出てきたときは、ずいぶんなアドバルーンだな?と思ったのですが、本気で概算要求を出すとは国交省も本気かもしれません。
やろうと思えばできるけど、海保の運航人員が確保できるのか?まともに維持整備が出来るのかと疑問が湧いてきます。
イタリア空母「カヴ—ル」のように、民間人保護などを任務に盛り込みちょこっとばかり全通甲板にするのもあるかもしれません。
今後、国民保護活動や離島警備にどのように使うのか注目すべきでしょう。(査定落ちしそうな気配がするなあ)
過去記事に投稿するのは気が引けるのですが、明らかに関連することなので。。。
海保が多目的巡視船の建造を打ち出してきましたが、スペックを見る限り、USNのサンアントニオ級揚陸艦よりも大型です。
https://www.sankei.com/article/20240827-NOAASPKQFJPPDP7D667E7QSVVY/
台湾有事の際の避難民輸送(輸送艦は使えず、一般船舶も難しいとなると政府公船=巡視船)というのは判るのですが、他に南海トラフのような大規模災害時の海上拠点を志向しているとのことで大型船1隻よりも中型船3隻の整備の方が使い勝手が良いはずですが、敢えて大型船を選択したところに、本記事のタイトルである「空母より強襲揚陸艦が欲しいのが海自の本音」が垣間見える(海保をパブリック・アドバルーンとして使って「おおすみ」型の次の整備に活かしたい)のですが気のせいでしょうか?
妄想と一笑に付されるかもしれませんが「おおすみ」→「ひゅうが」→「いずも」と全通甲板の護衛艦取得に長らく時間をかけて達成した先例がありますので気になるところです。。。
陸自水機団が使用しない場合は、倉庫代わりに各種部品の一時保管庫になることが多いそうです。
陸自乗船者居住区は転用できませんが、その他のスペースは倉庫や乗員の訓練に転用しています。
設計時には、仮設燃料タンクを置こうとした船体屋とダメコンの観点から大反対したエンジン屋さんと応急工作のタッグによる熱いバトルが繰りひろげられました。
それ以外の作戦に使う場合そのスペースはどのように使われるのでしょうか?
基本としては、ドック型揚陸艦の方が車両を多く詰めます。
(アメリカの強襲揚陸艦が異常すぎるだけです。)
ただ、フランスミストラル級など人員も多く詰め込める強襲揚陸艦も多くなってきました。
海上自衛隊には、どちらが任務に合うのか思案のしどころです。
(水機1個連隊を1艦で輸送できるのがやはり主目標でしょうね)
政府内部でも、有事法制を作ったときに「どこからどこまで」有事(武力攻撃事態)の定義が、各省庁で結構バラバラのまま法律ができたこともあり解釈違いが結構発生しています。
もう少し、整理されればいいのですが放置されたままです。
民間船の借り上げについては、船員の乗船も含めて行う形になります。
ただ、船員の中には「業務従事命令」への拒否者も出るでしょうからそこをどうするかが決まっていません。
(予備自衛官を乗船させる案もありますが、なかなか進んでいません)
また先に答えた「武力攻撃事態対処法」はよくよく見返すと「国民保護法施行令(武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律施行令)」の間違いでした(失礼いたしました)
(有事法制関係は、似たような法律名が多くて結構苦労します。)
とはいえ有事における民間船の借り上げは合意の上なのですね。その場合は船員も乗り込むのでしょうか?
それと調べてみたら武力攻撃事態対処法は24条しか無かったのですが••••••。
有事の場合における、民間船の借り上げは合意の上での借り上げが主体となります。
国土交通大臣が主管する海上運送法第26条の「航海命令」は、災害や外国の政情不安による海上輸送が滞ることが予想される場合に出されるものです。
国土交通省も、有事ではこの海上運送法第26条による発令はできないという解釈となっています。
最悪の場合、武力攻撃事態対処法第135条を根拠とした指定公共機関となった海運会社に「業務従事命令」で運行を命令することになりますが、避難民の輸送や後方での物資輸送のみとなるでしょう。
装備品を搭載してミサイルが飛び交う中輸送するというところまでは強制できないといえます。
また指定公共機関への業務従事命令には、命令拒否者への罰則規定はないためあくまで「自発的協力をお願いする」ことに努める状況です。
自衛隊でも、演習時での大型装備品の輸送のため民間船をチャーターすることは昔から行われていました。
ただ、有事での野民間船借り上げ運用という発想ははっきり言うとソマリア沖海賊派遣の開始と震災までほとんどなかったといえます。
太平洋戦争での民間徴用船への護衛無での撃沈と、戦後弁済の悪行(沈没船舶弁済費に100%の徴税:債務踏み倒し)もあり遺恨が海上自衛隊と、民間商船関連団体との間で長く続いていました。 (ソマリア沖海賊派遣でようやく和解した状況です。)
震災でナッチャンworldが使えるとわかってから、民間船の揚陸船への活用の発想が陸自から出てきた経緯があります。
第1次反撃部隊は揚陸艦を使用して、脅威減少下で第2次部隊を輸送するという発想になっていってます。
今後は、島嶼防衛用のはしけ「バージ」の研究が防衛装備庁が進んでいることから、民間船を使う方向も考えらます。
(おおすみ型輸送艦3隻では、水陸機動団投入がやっとの状態です)
米軍のMLPやRORO船使用は、金のある軍隊だからできる揚陸方法です(みんな貧乏が悪いんや(涙)!)
obiekt.seesaa.net/article/312750772.html
obiekt.seesaa.net/article/162482629.html