最新コメント
検索
記事ランキング
タグクラウド

2023年12月23日

NBC偵察車の早期用途廃止への慚愧【軍事技術】

『もう少し技術的成熟をすべきだったなあ』
\PR!/

2024年度の防衛予算案が登場して、新装備の開発も進むことになりました。

しかし思い入れのあるNBC偵察車が早期に用途廃止となるようです。

図1 NBC偵察車
図1 NBC偵察車.jpg

引用URL:https://www.mod.go.jp/gsdf/neae/6d/photo/nbc_2.jpg

量産初号機に監督官刻印を入れたものとして、結構後悔が残るものになりました。

そんなNBC偵察車の思い出について書いていきます。
(前回記事):『 ASBMを撃墜しろだなんてむーりいー無理!!【海上自衛隊】
\こちらもご参考に!PR/

(1)初号機監督官をやってね!え?海の人間だけど?!

NBC偵察車は防衛省出向時に、検査官として関わりがありました。

(関係記事):『 【防衛省】知られざる地方防衛局・防衛事務所という組織のお仕事!
図2 検査官
図2 検査官.png
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/F8nfrYWaQAA4vgN?format=png&name=900x900

偶然の結果で、本来の陸検査官の代わりに監督刻印を押すことになったのです。

1.1 検査官ってなんやろな?

防衛省出向時には、製造される装備品の監督検査を行う「検査官」という仕事を行っていました。

図3 完成品
図3 完成品.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/rdb/chushi/030_kouhou/010_kouhousi/kouhou55.pdf

陸海空の装備品が製造されるとき、地方防衛局所属の検査官が監督・検査をして合格判定行うものです。

基本はそれぞれ陸海空の検査官が担当しますが、たまに陸装備を海自検査官が検査するなどします。

むろん事前教育はしっかり行われ、製造品への監督検査はしっかりできるようになっています。

1.2 NBC偵察車の予備監督官に指定ね!

会計法により、国が発注した工事・物品には必ず監督検査・完成検査は行う必要があります。

大規模な装備になると、複数の検査官を指名して検査漏れが無いようにします。

防衛省地方防衛局に出向したときは、前任者の契約業務を引き継ぎ検査官業務を引き継ぎます。

図4 潜水艦業務
図4 潜水艦.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/F68ALZObcAAAvMe?format=jpg&name=900x900

ちょうどNBC偵察車量産初号機の、予備監督官業務も引き継ぐことになりました。

「まあ、何もないから安心しとけ!」

そんな言葉が先輩検査官から掛けられますが、安心できないのが自衛隊です。

まさかの事態が発生します。

1.3 ちょいとNBC偵察車の監督検査してこいや!

NBC偵察車の量産初号機が完成して、あとは監督・完成検査立ち合いだけというときでした。

監督業務をしてた陸検査官が、陸自人事の都合で急きょ後方支援連隊の中隊長に上番することになります。

図5 後方支援連隊
図5 後方支援連隊.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/gsdf/mae/14b/butaisyoukai/kakubutai/7_log/images/keyvisual.jpg

急な話なので、当然後任者が来る予定が全くありません。

検査官を離れると、当然装備品の監督検査書に押印する権限が無くなります。

「ちょwwNBC偵察車の監督刻印誰が押すんですか?www」
「ペンギン!お前が完成検査の監督やっとけ!」

急きょながら、海の人間が陸自装備NBC偵察車の検査をすることになります。
\車両の系譜!PR/
\PR!/

(2)サスペンションに油いれてんのか〜い(怒)!

急きょNBC偵察車初号機の監督検査をすることになりましたが、ひどいものでした。

図6 NBC偵察車外観
図6 N偵.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/Em_ERO5UYAAcAz0.jpg:large

当時最新鋭だったはずのNBC偵察車は、設計者出てこ~い!の状態です。

2.1 サスペンションがいまいちすぎる!

96式装輪装甲車が比較的乗り心地の良い車両なので、安心できるだろうと思っていました。

『サスペンションに油入れてんのか〜い(怒)!』

実路の走行試験ではあまりの振動に、思わずこう叫ぶほど乗り心地が悪いものでした。

図7 バイク悪路走行
図7 バイク悪路走行.jpg
引用URL:https://global.yamaha-motor.com/jp/showroom/event/playsurvive/playsurvive2021/img-0002/pic_002.jpg

まあ、中間試験で合格してる以上は合格にするしかありませんでした。

2.2 エンジンをここに置いたのは誰だ!

NBC偵察車で一番悔やまれるのは、エンジンの位置です。

図8 96式
図8 96式.jpg
引用URL:wiki

96式はエンジンが運転席左にあり、安定性がありました。

しかしNBC偵察車は車体中央右にあり、車内スペースを圧迫していました。

当然横転性が上がっていましたが、陸自の合格基準内に入っていました。

これもまた試作車両で合格が出てる以上、量産車も合格印を出さざるを得ませんでした。
\PR!/

(3)もっと煮詰めるべきだったなあ

当時は量産スケジュールが詰まっており、合格印を出せというプレッシャーが大きくありました。

図9 S-10
図9 S-10.jpg
引用wiki

海自でS-10試作機を不合格にしたとき、装備スケジュールが大幅に狂った苦い思い出があります。

3.1 もっと時間があればなあ

当時は化学防護車と生物偵察車しかなく、NBC偵察車の装備化が急がれていました。

結果として問題が山積のまま、部隊配備予定数50両を大きく下回る結果になります。

もうちょっと煮詰めてから出荷すべき車両だったと、慚愧の念に堪えません。

技術者として反省すべきところだったと思っています。

3.2 パトリアならやってくれる!

NBC偵察車は早期に用途廃止となり、パトリアAMVの派生型が後継になるようです。

図10 パトリア
図10 パトリア.jpg
引用URL:https://www.defensehere.com/img/2023/09/Ekran-goruntusu-2023-09-20-100924-e1695193780828-850x478.jpg

中途半端に終わってしまったCBRN対策車両を、必ず達成してくれるでしょう!

期待して待っています。
\PR!/

菓子と関連情報紹介!ロゴ.png
防衛・軍事ランキング
↑ブログ主の更新意欲維持の為↑バナーをクリック↑
↑していただければブログ主が↑頑張ります↑
posted by sstd7628 at 14:48| Comment(4) | TrackBack(0) | 軍事技術

2023年12月06日

ASBMを撃墜しろだなんてむーりいー無理!!【海上自衛隊】

『ASBMだなんて聞いてないよ〜!』
\PR!/

2023年11月26日に海賊対処派遣中の護衛艦「あけぼの」の近くにASBMが撃ち込まれました。



図1 ノノ
図1 ノノ.jpg
引用URL:https://i.pximg.net/img-master/img/2013/03/01/19/19/06/33918180_p0_master1200.jpg

海自の中の人にしてみたら、ASBMなんてむーりぃー!と叫びたくなる状況です。

SSN-22ならともかくASBMを撃墜しろってのは、イージス艦以外では現状無理です!
(前回記事):『 潜水艦と機雷は存在するだけで脅威となる!【海上自衛隊】
\こちらもご参考に!PR/

(1)海賊対処中にASBMが飛んでくるなんて想定できるか!

海自ならASBM(対艦弾道ミサイル)ぐらい落とせ!なんて言われるかもしれません。

図2 イージス艦
図2 イージス艦.jpg
引用wiki

イージス艦とSM-3のイメージが鮮烈すぎるのも考えものです。

1.1 むらさめ型護衛艦だとほとんど対処不能!

現場にいた護衛艦「あけぼの」(DD108)は、むらさめ型護衛艦の8番艦です。

図3 護衛艦あけぼの
図3 護衛艦あけぼの.jpg
引用wiki

イージス艦とは違い対空レーダーは回転式のOPS-24B、FCS-2で誘導するESSMという状況です。

図4 OPS-24B
図4 OPS-24B.jpg
引用wiki

はっきり言って、弾道ミサイル探知能力なんて持っていません。

1.2 LINK11とCENTRIXSで情報が来たんだろうね

ASBM探知の情報は、米軍からLINK11とCENTRIXSで通報されたのでしょう。
(むらさめ型にはLINK16がない)
図5 LINK11
図5 LINK11.jpg
引用URL:https://electronicstechnician.tpub.com/14088/img/14088_91_1.jpg

情報共有でCENTRIXSは非常に参考になります。

図6 CENTRIXS
図6 CENTRIXS.jpg
引用wiki

情報が来たならば迎撃できそうじゃないか?と言われそうですが、個艦で捕捉できないと射撃は困難です。

イージス艦搭載のCECとEORが無いとかなり厳しいでしょう。

1.3 ESSMもそんなに高く飛べない

搭載してるESSMも射程最大約50kmと言われていますが、確実に命中させるにはもっと射程は短くなります。

図7 ESSM
図7 ESSM.jpg
引用wiki

ASBMに対しての現状における最善手としては、全速力で逃げるしかありません。

マッハ5以上で宇宙から降ってくるミサイルなんて、想定していなかった戦場としか言いようがありません。
\こちらもご参考に!PR/

弾道弾 (兵器の科学 1) [ 多田 将 ]

価格: 2970円
(2023/12/6 13:03時点)
感想(0件)


\PR!/

(2)飛んできたイラン製ASBMについては?

イエメン反政府勢力フーシ派は、イランからASBMを供給された模様です。

図8 ASBM
図8 ASBM.png

引用URL:https://i.postimg.cc/Hxct2h4Z/48.png(ORYXJAPAN)

ハリジ・ファルスと呼ばれる、イランオリジナルの対艦弾道ミサイルのようです。

2.1 めちゃくちゃ厄介だぞこれは!

ASBMなんてしばらくは無理だろうと、中国DF-21Dを見ていましたが意外なところから出てきました。

図9 機動
図9 機動.jpg
引用URL:https://tommytoy.typepad.com/.a/6a0133f3a4072c970b0162ff1110c7970d-800wi

DF-21Dのような機動を取るのであれば、探知は非常に難しいといえます。
(OPS-24やFCS-3の探知範囲外を滑空してくる)

ハリジ・ファルスのCEPが1m程度と主張されていますが、迎撃にはSM-2級の長射程SAMが必要です。

短SAMのESSMでの迎撃は、最後の手段としか言いようがありません。

2.2 イージス艦を海賊対処に派遣するのは本末転倒になる

海幕はイージス艦を海賊対処に派遣することを検討し始めたようですが、圧倒的に数が足りないといえます。

ASBM迎撃を行った場合、海賊対処法の武器使用根拠を超えてしまうためです。

海上警備行動や弾道ミサイル破壊措置命令という方法もありますが、法的整理が必要です。

2.3 しばらくは米軍に任せるしかない。

悔しいですけど、むらさめ・たかなみ・あきづき型の護衛艦ではASBM対処は厳しいでしょう。

戦闘システムを無理に作り変えるより、次期護衛艦に任せた方が無難です。

(関連記事):『 ついにFCS-4開発開始となるか?!【海上自衛隊】
\PR!/

(3)対艦弾道ミサイル対策が今後の目標かな?

将来の海戦においては、対艦弾道ミサイルからの防御が目標になるかもしれません。

図10 イメージ
図10 イメージ.jpg

引用URL:https://www.usni.org/sites/default/files/styles/hero_image_2400/public/Turnwall-PRO-11-19%201.jpg?itok=1HE9bqj7


ESSMの後継がNSAMになるか?それともSM-6になるか注目です。

3.1 探知さえできれば撃墜は可能!

海自はKh-31やSS-N-22を一つの目安として、CDSなどの戦闘システムを構築してきました。

図11 Kh−31
図11 kh−31.jpg
引用wiki

何とか探知さえできれば、ワンチャンスで撃墜は可能です。
(マッハ4で飛行して、探知から着弾まで十数秒の中でやるしかないけど)

とりあえずASBMは、発射されたら逃げるしかないですね!
\PR!/

菓子と関連情報紹介!ロゴ.png
防衛・軍事ランキング
↑ブログ主の更新意欲維持の為↑バナーをクリック↑
↑していただければブログ主が↑頑張ります↑
Build a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: