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2024年11月30日

護衛艦「いなづま」事故報告書発表について

『完全な初歩中の初歩のミスじゃねえか!』
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2023年1月10日に発生した、護衛艦「いなづま」座礁事故の報告書が公表されました。

予想以上の単純な凡ミス連鎖により、重大事故になったことが判明しています。

図1 護衛艦いなづま
図1 護衛艦いなづま.jpg
引用wiki

海図を見てなかったって?!標識を認識できないってなんだよ!

本気で水上艦の練度が心配になる結果でした。
(前回記事):『 ロシアがICBMを使いやがったか?!
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(1)原因は暗岩(あんがん)を認識していなかったから!

結論から言うと、護衛艦「いなづま」は暗岩の存在を知らずに突っ込んだことです。

図2 暗岩
図2 あんがん.jpg
引用URL:https://blog.canpan.info/oprf/img/sima-setu.jpg

船乗りとしてありえんミスを、実際にやってしまったことになります。

1.1 ありえんミスが起きてしまった

以前の記事で、機器のミスかな?という感じで書いていました。
(関連記事):『 「いなづま」の修理費があ!修理費がああ!!【海上自衛隊】

船務士として護衛艦に乗ってた経験から、暗岩を認識できないなんてないだろう?と思っていました。

図3 副直士官
図4 副直士官.jpg
引用URL:http://www.mod.go.jp/msdf/yokosuka/bosyusien/semaru/yamagiri/hirashiro.jpg

海図を見てる副直士官が、海図から暗岩を見つけて報告するはずです。

だけども、暗岩を最高速力で突っ切るという事故が起きてしまいました。

1.2 予定航路を変更したミスが出た!

国交省事故調査報告書を見ると、いくつもの凡ミスが重なっていることがわかります。
(JTSB事故調査報告書): https://jtsb.mlit.go.jp/ship/rep-acci/2024/MA2024-11-7_2023hs0004.pdf

図4 事故調査報告書
図4 事故調査.jpg
引用URL:https://jtsb.mlit.go.jp/ship/rep-acci/2024/MA2024-11-7_2023hs0004.pdf

?@予定航路は航海長が作成して、艦長承認したが事前研究会が開かれていなかった。(第1のミス)
?A事故1時間前に、速力試験の予定航路変更を艦長が指示。電子海図変更を確認せず。(第2のミス)
?B事故10分前に進路変更、電子海図を確認せず速力アップ(第3のミス)
?CCICや副直士官から再三にわたり標識の報告があるが試験中止せず(第4のミス)
?D事故2分前に針路変更(決定打となった第5のミス)

中間報告などで示された、謎の針路反転の理由がようやくわかりました。

試験予定航路を変更したため、妙な航跡となったのです。

図5 航跡図
図5 航跡図.jpg
引用URL:https://jtsb.mlit.go.jp/ship/rep-acci/2024/MA2024-11-7_2023hs0004.pdf

予定海域で試験を続行していれば、事故は起こらなかったでしょう。

1.3 マジに海上自衛隊は大丈夫か?

海上保安庁は、航行に支障がある暗岩に「孤立障害標識」を設置しています。

図6 孤立障害標識
図6 孤立障害.jpg
引用UURL:https://www.kaiho.mlit.go.jp/04kanku/safety/item/navi_koritu1.jpg

海図にもちゃんと記載され、事故発生前に標識があることが艦橋に何度も報告されています。

候補生学校で、徹底的に航行標識の見方を叩き込まれたはずが何で最高速力でぶっちぎるかなあ!

信じられない凡ミスの嵐で、事故が起きてしまいました。

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(2)正規分の正規さえ守れない!

正規分の正規という言葉があるのに、全く守られていない現状です。

図7 ミサイル艇
図7 ミサイル艇.png
引用URL:http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2005/2005/image/17p31404.png

最高速力を出す試験なのに、事前研究会さえ開いていなかったとは!

2.1 艦橋音響等情報記録装置の情報が無いのはなぜ?

今回の護衛艦「いなづま」の事故調査報告書について、少し疑問に思ったことがあります。

2008年の護衛艦「あたご」の事故以降、全艦艇に「艦橋音響等情報記録装置」が設置されました。

図8 あたご事故
図8 あたご.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/ddg/atago/img/main_177.jpg

2020年の掃海艇「のとじま」事故では、衝突に至るまでのエグイ情報が公表されています。

図9 のとじま事故
図9 のとじま.jpg
引用URL:https://jtsb.mlit.go.jp/ship/rep-acci/2020/MA2020-11-2_2019tk0015.pdf

結果として、掃海艇「のとじま」は損傷が激しく早期退役となります。

図10 損傷写真
図10 のとじま損傷.jpg

引用URL:https://jtsb.mlit.go.jp/ship/rep-acci/2020/MA2020-11-2_2019tk0015.pdf

しかしながら、今回の事故では音響情報の公表がありませんでした。

聞くに堪えない罵声が飛び交う状況だったのか、だれも会話してない異様な状況だったのか?
(まさか装置を作動させていなかったなんてことは・・・)

2.2 幹部中級艦艇用兵課程の弊害が出てきたか?

艦長の指揮能力低下の裏には、幹部中級艦艇用兵課程の弊害が徐々に表れたと考えています。

現在は、幹部中級艦艇用兵課程は廃止済みです。

成の時代に10〜15年ほど教育課程としてありましたが、弊害が大きかったと考えます。

江田島1術校の歴史からも、艦艇用兵課程は闇に葬られてしまったんですよね。

今度書いていようかと思います。
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(3)再訓練を急げ!

海上自衛隊は、2000年代のような不祥事の連鎖となりました。

どこかで負の連鎖を止めないと、また事故が起きるでしょう。

海外派遣・展開訓練が日常となり、変革をしなくてはいけません。

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2024年11月18日

拝啓内閣総理大臣閣下への懇願

『掃海艇うくしま乗員への慰労を!』
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2024年11月10日に、掃海艇「うくしま」が火災・沈没という事態が発生しました。

不明隊員1名は、まだ発見されておらず懸命な捜索活動が行われています。

図1 うくしま火災
図1 うくしまma.jpg
引用URL:https://www.jiji.com/news2/kiji_photos/202411/20241110at70S_p.jpg(時事通信)

原因究明を急ぐことは重要ですが、責任問題で犯人捜しをするより重要なことがあります。

総理大臣自ら、残された掃海艇「うくしま」乗員の慰問を早急にすべきです。
(前回記事):『 NSMミサイル搭載が話題のようで!
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(1)火災の責任を免責せよという意味ではない。

勘違いしてほしくないのは総理の慰問をもって、「火災の責任を免責せよ!」という意味ではありま
ん。


図2 観閲式
図2 観閲式.jpg
引用URL:https://i.ytimg.com/vi/fbHOyhaNITA/hq720.jpg?sqp=-oaymwEhCK4FEIIDSFryq4qpAxMIARUAAAAAGAElAADIQj0AgKJD&rs=AOn4CLCoXwRRsI9ILeKiSpJ6qvP8o83Opg

総理大臣は自衛隊の最高指揮官であり、隊員を指揮する職務です。

1.1 うくしま乗員の戦力回復を急げ!

掃海職務の乗員は、プロフェッショナルな職務であり簡単に代替できない隊員です。

自分たちの掃海艇「うくしま」が火災沈没して。ショックを受けています。

図3 モスクワ撃沈
図3 モスクワ撃沈.jpg
引用URL:https://ichef.bbci.co.uk/ace/ws/640/cpsprodpb/13C04/production/_124200908_c759bd1f-254f-4106-8a3f-0b52d7fe1403.jpg.webp

軍艦の撃沈・沈没は、海軍や海上自衛隊全体の士気を消沈させるほどです。

うくしま乗員にとっては、ショックであり意気消沈しています。

彼ら掃海艇「うくしま」乗員の士気回復や、僚艦・第43掃海隊(下関)を早期に戦力回復させる必要があります。

一番簡単に乗員の士気を回復させるのが、最高指揮官の慰労です。

火災と戦い疲労した隊員を、慰労するのも指揮官の役目です。

1.2 巡洋艦モスクワ乗員慰労を公開した理由を考えよ!

2022年4月16日に、ロシア海軍巡洋艦「モスクワ」が撃沈されました。

その後すぐに、ロシア海軍最高司令官が乗員を慰労する映像が報道されました。

図4 乗員慰労
図4 乗員慰労.jpg
引用URL:https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/04/20220417-OYT1I50066-1.jpg?type=large

軍艦乗員はすぐに替えが効かない人材であり、士気維持のため撃沈された乗員の慰労は必要なのです。

さらに「軍艦は国家なり」とも呼ばれ、国家が隊員を守るという意思の表れです。

掃海艇「うくしま」乗員を慰労することはけしからん!なんて思うかもしれません。

撃沈され救助された乗員を粗末に扱うのは、帝国海軍の悪習慣を引きずることになります。

1.3 シビリアンの力で海自を改革してくれ!

制服を着た官僚となった、海自上層部では体質改革は無理でしょう。

抜本的な改革を断行できるのは、シビリアン(文民)である総理大臣や防衛大臣だけでしょう。

石破総理大臣閣下、防衛に知見がおありであればぜひとも自ら足を運んでください!
(外遊後に真っ先に行くべきは、下関の「うくしま」乗員のところです。)
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(2)護衛艦「あたご」の失敗を挽回する機会ですよ!

石破総理が、2008年の防衛大臣時代に護衛艦「あたご」事故の際にやらかした事実は消えません。
(当時横須賀で関わったものは、みな唖然としました)
図5 護衛艦あたご
図5 あたご.jpg
引用wiki

あのとき大臣は、航海長を防衛省に呼びつけずヘリで直接横須賀に乗り込むべきでした。

2.1 指揮官の事後対応も立派な勤めです。

指揮官先頭!と写真映えのする行動は、マスコミには受けるでしょう。

しかし隊員にとっては、その後も対応してくれる指揮官を頼ります。

隊員から激情をぶつけられても、受け止めるのが最高指揮官の務めです。

2.2 ゼレンスキー大統領は負傷兵慰問を続ける

ウクライナのゼレンスキー大統領は、負傷兵の慰問で病院を訪問しています。

図6 病院訪
図6 病院訪問.jpg
引用URL:https://afpbb.ismcdn.jp/mwimgs/c/d/810wm/img_cd428ad1be50175f6e227dcb3ddf5c2f149148.jpg

大統領として防衛戦争を指導する、ゼレンスキー大統領は国家のあるべき姿を見せています。

負傷兵がまた戦場へ復帰するための士気高揚を、病院訪問によって行っているのです。

石破総理大臣がいま行うべきことは、「うくしま」乗員の士気を回復させることです。
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(3)中谷防衛大臣は何をやっておる!

あきれるのは、元陸自幹部だった中谷防衛大臣の動きです。

図7 中谷防衛大臣
図7 防衛大臣.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/press/kisha/images/kisha_nakatani.jpg

防大卒なのに、動きが遅いな!(周辺の人間も進言しなかったのか?)

3.1 北京大官主義(マンダリズム)に飲まれたか?

古い言葉ですが、北京大官主義(マンダリズム)という言葉があります。

高官が報告待ちになり、軽々しく行動するのはみっともないという意味です。

防衛大臣の行動は、マンダリズムの極みとも言えます。

11月11日に特別国会・内閣組閣があったとは言え、お粗末すぎます。

これが防衛大で教える「指揮官の心構え」なら、防衛大学校なんぞ不要だ!

現場は隊員が不足しており、早急に「うくしま」乗員の戦力回復が必要です。

責任追及ばかり優先して、「あたご」事故のように隊員を使い捨てしますか?

早急に隊員慰労に向かうべきです!
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2024年11月08日

NSMミサイル搭載が話題のようで!

『弾ヨコセ!弾ヨコセ!!弾ヨコセぇ〜!!』
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最近次期オーストラリア海軍艦艇のコンペで、日独艦艇が有利になってきたようです。

その中で、搭載する対艦ミサイルはNSMミサイルが有力となっています。

図1 NSMミサイル
図1 NSM.jpg
引用wiki
日本もFFMへの搭載を検討して、国産誘導弾と競合する懸念があるようですが・・・

すぐ撃てる対艦ミサイルなら、国産でも外国産でもどっちでもいい!すぐにヨコセ!
(前回記事):『 陸自輸送艦「にほんばれ」進水したけどこれから大変!
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(1)新世代の対艦ミサイルNSM

NSMについては、ノルウェーが原産国である次世代ミサイルです。

図2 JSM
図2 JSM.jpg
引用URL:https://milterm.com/wp/wp-content/uploads/2019/03/JSM%E3%82%92%E7%99%BA%E5%B0%84%E3%81%99%E3%82%8BF-35-768x525.jpg

F-35Aから発射するJSMも、NSMの派生品であり自衛隊に導入が始まっています。

1.1 ハープーンの後継として使いやすい!

アメリカや西側各国では、長らくハープーンミサイルが対艦ミサイルの主力でした。
図3 ハープーン
図3 ハープーン.jpg
引用wiki
1965年から開発が始まり、1971年に試射成功・1975年には量産開始となっています。

日本も1981年就役の護衛艦「いしかり」から、ハープーンを搭載しています。
(はつゆき型護衛艦より早く搭載した)

図4 護衛艦「いしかり」
図4 護衛艦いしかり.jpg
引用wiki

しかし古い設計と、射程の短さ(艦対艦で約150km)が次第に足を引っ張る形になります。

そんな中で、ノルウェーのコングスベルグ社が1990年代に開発したNSMが注目されます。

1.2 やや軽量だが射程は長くなる!

重量約650kgほどのハープーンに比べると、約400kgのNSMミサイルは軽いかもしれません。

しかしながら、ハープーンSSMが届かなかった射程200kmを狙えるものです。
図5 YJ−83
図5 YJ83J.jpg
引用wiki
中国のYJ−83Jなど長射程対艦ミサイルが続々登場する中、長射程ミサイルが必要でした。

ウクライナ戦争でのネプチューンミサイルなど、長射程対艦ミサイルは今後も必要です。

1.3 国産90式だ!17式だ!12式改善型だ!

中には国産誘導弾こそ性能が優れている!と思うかもしれません。
図6 90式
図6 90式.jpg
引用wiki
まあ国産誘導弾を信じたい気持ちはわかるのですが、使ってた側としてはねえ?

弾は高額だし備蓄は少ない、戦時の増産は絶望的というところがあります。

統合演習で自衛艦隊後方幕僚をやった身としては、性能比較より重要なものがあると思います。

(関連記事):『 艦補処自衛艦隊司令部後方幕僚に派遣!(その1)
『とにかく今すぐ撃てる長射程の弾いっぱい持ってこい!』
(体験すると、弾薬キチにもなるよぉ〜)
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(2)戦いは数だよ兄貴ィ!!

後方幕僚として、自衛隊統合演習を経験したものとしては「弾数こそパワー」と断言します(狂)!
(関連記事):『 幕僚編?B演習開始!交戦多発に苦戦するJTF!
図7 ドズル
図7 ドズル.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/EfnRpQ1UMAErBz2.jpg

数がそろうなら、外国産誘導弾も積極的に取り入れるべきです。

1.1 共通性があるNSMは魅力的!

NSMについては、西側で共通性のある対艦ミサイルとして数が見込めます。

まあ生産量がどのくらいになるか、まだ不明なところもあります。

図8 工場
図8 工場.jpg
引用URL:https://www.kongsberg.com/globalassets/kongsberg-defence--aerospace/3.-news-and-media/news/2024/nexus/dsc_5274_edit_liten.jpg?width=1040&quality=99&rxy=0.5,0.5

ノルウェーのほか、オーストラリアでも新工場が完成して増産体制が構築されています。

FFMについても、NSMを搭載できる技術的共通性を持てば有事の際に海外からの緊急輸入ができます。

2.2 弾が無いよう!弾ヨコセ弾ヨコセ!

演習時には何度も、対艦誘導弾の不足に苦しむ体験をしました。

演習前は『まあ備蓄弾薬でなとかなるだろう』と、楽観視していました。

いざ演習が開始され、何度も発生する海戦!不足する弾薬!すぐになくなる即応弾備蓄!
(関連記事):『 幕僚編?F反撃のJTF!第1次対艦総攻撃開始!

図9 弾ヨコセ!弾ヨコセ!
図9 妖怪.png
引用URL:https://www.irasutoya.com/2014/09/blog-post_739.html

妖怪首おいてけならぬ、妖怪弾ヨコセ!と狂気に舞い落ちる後方幕僚部の人間が続出します。
(関連記事):『 幕僚編?H再補給・JTF再編成、離島奪還への作戦準備!
米海軍からハープーンを分捕っても、まだ足りない!

トマホーク装備となり、現有弾薬ブロック?Wを強奪する海自の魂は弾薬不足からか?!

現場にいた人間としては、とにかく長射程の対艦弾がいっぱい欲しい!

国産だ!輸入弾だ!性能比較ガ〜!という前に、まずが数をそろえてほしいです。

2.3 アルゼンチンのエグゾゼ運用のような柔軟性が欲しい!

対艦ミサイルについては、陸海空で共通して使用できるような共通性も欲しいものです。

ハープーンのように、空対艦から艦対艦に転換するのに1発に3日かかるようではいけません。

1982年のフォークランド紛争でアルゼンチンは、艦対艦誘導弾を地上発射に転換しました。

図10 簡易発射台
図10 簡易発射台.jpg
引用URL:https://weaponsandwarfare.com/wp-content/uploads/2024/01/Exocet-in-Stanley.jpg

空中発射型エグゾゼMM40が5発しかなく、艦載型MM38を改造して陸上に設置しました。

すぐにぶっ放せる仕様になっていたからできた、苦肉の策です。

米軍のNMESISの原型といえる、汎用性の高い対艦ミサイル運用です。

図11 NMESIS
図11 .jpg
引用URL:https://media.defense.gov/2021/Sep/14/2002853114/780/780/0/210816-M-LC313-2226.JPG

17式艦対艦誘導弾や、23式空対艦誘導弾にここまでの汎用性はないでしょう。
(ブースターポン付けで艦載・航空機搭載に展開できるようにしてほしかった!)

NSMは汎用性と、価格の面で国産弾と勝負できる余地があります。
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(3)国産と輸入は並行していくべき!

弾薬備蓄については、国産と輸入を平行して行うべきでしょう。
図12 ウクライナ
図12 ウクライナ.jpg
引用URL:https://www.twz.com/wp-content/uploads/2023/08/10/ukraine-patriot-pac-2.jpg?strip=all&quality=85

ウクライナやイスラエルへのペトリ供与で、PAC-2ミサイルが枯渇して日本が米国に売却する状態になっています。

3.1 輸入途絶は厳しいよ!

有事の際は、輸入弾が迅速に納入されず枯渇する可能性もあります。

日米安全保障条約があるとは言え、どこまであてにできるか不明です。

図13 備蓄
図13 備蓄.gif
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/press/wp/wp2024/image/zuhyo03010601.gif
各種弾薬の備蓄が大増強されましたが、どこまで備蓄できるか?

とにかく想像以上に、有事の際は弾薬消耗が激しくなります。

3.2 まずは数を揃えよう!

<国産弾や輸入弾での性能比較は、平時の暇なときにでも行っておけばいい!
『アメリカ〜!そいつ(対艦誘導弾)をヨコセぇ!!』
NSMもとにかく安くて数がそろうなら、国産弾より優先して配備してもいいと思われます。

できれば長射程かつ威力があり数を揃えられる弾薬こそ、いま必要なものです!
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2024年09月26日

護衛艦さざなみ台湾海峡航行キター!

『だが!すずつきの凡ミスは許されない!』
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護衛艦さざなみが台湾海峡を航行する、チャンネルダッシュがついに行われました。

しかし2024年7月の護衛艦すずつき領海侵犯は、位置失念が原因となりました。

図1 護衛艦すずつき
図1 すずつき.jpg
引用wiki

精強な海自がそんなミスするはずが無い!と思うけど、結構根深い問題です。

やはりインド洋派遣以来練度が下がり続けているのか?
(前回記事):『 ロシア海軍オケアン2024演習をどう見るか?
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(1)位置確認は船乗りの基本!

船乗りは自分の位置を把握して航行するのが、基本中の基本レベルの話です。

図2 船舶航行
図2 航行.gif
引用URL:https://www.kaiho.mlit.go.jp/info/books/report2002/chapter2/images/02_01.gif

道路を渡るときは横断歩道を渡るくらい基本であり、韓国海軍を笑えない位にヤバい話です。
(関連記事):『 韓国レーダー照射を技術的視点から首謀者の推測へ!

1.1 頭より先に船を走らせるな!

船乗りならば徹底的に仕込まれる基本として、自分の位置を確認して航行するのが作法です。

図3 位置情報
図3 位置情報.jpg
引用URL:https://cf.kazi-online.com/public/4552a6f4-927c-49cb-a8fd-65cb6a5b188b.jpg

今回公表された内容は、自艦の位置情報を確認せずに航行してしまったとのことです。

問答無用で、船乗り失格と言えるレベルです。

1.2 司令部からの通信で初めて領海侵犯を知る!

さらに救いがたいのが、陸上基地からの通報で初めて艦長が領海侵犯を把握した事態です。

図4 CIC
図4 CIC.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/D8HT2U9UwAE0fTy?format=jpg&name=large

艦橋もCICも、一体何をやってたんじゃい!と怒りがこみ上げます。

ただいろいろ重なると、ろくでもないミスが平気で発生します。

1.3 思いあたる節が一杯だなあ!!

自分の現職時代を思い起こすと、結構いろんな複合要素が思い浮かびます。

指揮判断を下す艦長に、大事な情報が届かないことがCICには意外とあります。

さらにGPSの使い方や、通信設定などいろいろミスが重なった結果かな?

図5 警戒監視
図5 警戒監視.jpg
引用URL:http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2002/photo/frame/ap143024.htm

艦長交代2か月で、中国海軍監視に派出する運用の問題もあるでしょう。
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(2)艦長は適切な分散管理監督をできていたか?!

護衛艦勤務をして、CWCコンセプトが意外と民間分野に理解されていないことに気付くことがあります。

図6 艦長席
図6 艦長席.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/pco/gunma/pco_news/oota/images/o220416-6.jpg

今の時代は、艦長が全部命令指揮するというわけじゃないのが理解されていません。

2.1 権限委任と拒否権の複合戦(CWC)コンセプト

時たま話に出て来るCWCについてですが、簡単に言うと、

CWC=ドクトリン×指揮官の意図(考え)×権限委任×指揮官の拒否権

こんな感じです。

哨戒長など各種指揮官に、ある程度の権限委任をして艦全体の指揮を分散管理します。

攻撃・船務・機関・航空各指揮官は、指揮官の意図に合うように行動します。

図7 哨戒長
図7 哨戒長.jpg
引用URL:https://i.ytimg.com/vi/9Wb03kMKE-8/hqdefault.jpg

(関連記事):『 海上自衛隊船務士だって仕事してるもん!なんにもせんむ士じゃない!

関連記事でも書きましたが、哨戒長が全般指揮を取り艦長が監督をします。

このCWCコンセプトを理解しないと、護衛艦すずつきの事件を見誤ります。

2.2 艦長の意図は徹底されたか?位置確認は報告されたか?

各種報道を読むに、すずつき艦長は事件当時にCICにて指揮していたと思われます。

この時、艦橋の航行指揮官とCICとの間で指揮官の意図が周知されていたか?が問題です。

図8 艦橋
図8 艦橋.jpg
引用URL:https://lh5.googleusercontent.com/proxy/DZ4I1TA0pINEl4QS6Q5ZETuJtvITwWosVd2tI5u7fB8n_bAmTgZ_wUyGWX60Og85W5C261o74T3N2gaiTz2E7-7UDgTCEsRQaB0jHdf-TGJxIE8E

護衛艦「いなづま」座礁のように、艦橋とCICの意思疎通がうまくいかないことがあります。

艦長がちゃんと意図を徹底して、修正する必要があります。

さらに監視任務にあったということで、自艦位置情報を正確に把握できていたか?

艦橋の副直士官や、CICの態勢図でチェックして、位置把握が出来ていたか?

もしロストポジションしてたなら、指揮官に報告できる空気があったか?

意外と艦長に、重要情報が報告されていないことが結構あります。

『だれかが報告するだろう・データーで艦長も確認してるだろう』

完全な現場猫も真っ青な、事故要素満載です。

図9 艦長指揮
図9 艦長指揮.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/D8HTzQAU0AE15cK?format=jpg&name=large

意外とCICの艦長席って、必要な情報がすぐ手元に出るわけじゃないんですよね。

取得情報を整理統合して、見やすくしたものがLSDに表示されています。

艦橋又はCICが位置情報を取り間違えると、艦長が気付くのが遅れます。

2.3 艦長と士官・乗員の意思疎通が出来ていたか?

意外と見落としがちですが、艦長と乗員の意思疎通がうまくいっていたかも問題です。

艦長が交代してまだ2か月の時に、事件が発生しています。

図10 士官室
図10 士官室.png
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/Ea238IuUMAAR76b?format=png&name=240x240

艦長次第で、意外と士官室レベルで意思疎通が困難になる艦艇が存在します。

事件後すぐに艦長が更迭となったのも、意外と人間関係が原因かもしれませんね?
(衝突座礁事故の後でも、少しの間は艦長は現職に止め置かれる)
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(3)GPSの使い方も検証が必要だな!

留意が必要なのは、航法器材としてのGPSの使い方です。

図11 船舶GPS
図11 船舶GPS.png
引用URL:https://www.jha.or.jp/jp/shop/products/newpec/newpec_manual/manual/html/png/navi01_3.png

GPSに頼りすぎて、肝心な時に使えなくなったのかもしれません。

3.1 ロラン航法世代にはGPSを信用できない。

今の若い世代だと、GPSは当たり前で精度が高いモノと信じ切っているかもしれません。

ワイらのような ロラン・デッカ航法 で育った世代は、ど〜もGPSをいまいち信用できないんですよね。

図12 LORAN
図12 ロラン.jpg
引用URL:https://kotobank.jp/image/dictionary/nipponica/media/81306024012741.jpg

2000年まで、GPSはSA(選択的利用性)機能により精度がわざとずれていたんですから!
図13 SA解除
図13 .png
引用URL:https://www.enri.go.jp/jp/research/organization/nav/library/images/gps_sa/gps_sa_img01.png

米国は2007年以降SAによるGPS精度悪化を行わない、と宣言しましたがど〜だかね?

最近は中国沿岸部のGPS精度が、けっこう悪くなっているとの話を聞きます。

3.2 中国のGPS妨害も留意した方がいい

2022年以降、中国福建省(台湾の対岸)を中心にGPS妨害が激しくなっているという分析があります。

図14 GPS妨害
図14 GPS妨害.jpg
引用URL:https://www.gpsworld.com/wp-content/uploads/2024/05/Fig41080x525-1024x498.jpg

南沙諸島の人工島には、GPS妨害機器と思われるものが設置されています。

ロシアのクラスハ4に相当する電子戦装備を、中国を保有している可能性も十分あります。

図15 中国陸軍電子戦機器(南沙諸島配備器材?)
図15 中国電子戦機器.jpg
引用URL:https://www.armadainternational.com/wp-content/uploads/2022/03/Chinese-EW-Drill-Peoples-Daily-696x464.jpg

今後も電子戦には、留意が必要でしょう!
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2024年09月06日

令和7年度防衛費概算要求が出てきたよ!

『いろいろ価格高騰が進んでいるなあ』
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2024年8月末に、令和7年度防衛費概算要求が公表されました。

一番の驚きは、海自水上艦隊大改編となったことです。

図1 海自改編
図1 海自改編.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/budget/yosan_gaiyo/2024/yosan_20240830_summary.pdf

このほかにも、装備品の価格高騰や注目すべき点などがいくつも出てきました。

いくつかトピックスを取り上げたいと思います。
(前回記事):『 海保が強襲揚陸艦を持つのかい?!
\こちらもご参考にPR!/
(1)装備品価格高騰が激しいなあ!

材料費や為替レート激変の結果とはいえ、装備品の価格高騰が止まらない状況です。

図2 F-35戦闘機
図2 F-35戦闘機.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/budget/yosan_gaiyo/2024/yosan_20240830.pdf

F-35A戦闘機が1機150億円を超えてきたのは、かなり厳しい状況です。

1.1 護衛艦・潜水艦共に1000億円越え!

海上自衛隊についてみると、護衛艦と潜水艦共に1000億円を超えてきたのは要注意です。

図3 護衛艦潜水艦
図3 護衛艦潜水艦.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/budget/yosan_gaiyo/2024/yosan_20240830.pdf

もがみ型護衛艦のコンセプトでは、省人化・多機能型で500億円ほどで建造できていました。

いわゆるフルスペックになる、新型FFM(改もがみ型)がここまで価格高騰するとメリットが失われます。

最悪、令和7年度で1隻削減もありうるでしょう。(VLS搭載をあきらめるか?)

潜水艦に至っては、おやしお型1隻520億円の世界からものすごく高価になっています。

本気で価格低減のために、性能とのトレードオフを考慮すべきです。

図4 USV
図4 USV.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/atla/research/ats2023/pdf_oral_matl/15_1055.pdf

2023年度から研究が始まった、潜水避航型USVが潜水艦価格高騰の切り札になるかもしれません。

1.2 US-2価格低減と事業継続を断固として実施せよ!

製造継続が危ぶまれていた海上自衛隊のUS-2について、ようやく1機219億円の予算が付きました。

図5 US-2
図5 US-2.jpg
引用wiki

2021年に約170億円だった調達費用は、2024年度見積もりでは約700億円まで高騰しました。

数年に1機しか調達されず、部品製造事業者の撤退もあり9号機で生産終了とさえ言われました。

試作機1号(9901号)の部品流用などで、10号機の予算がようやくついた状況です。

図6 救難
図6 救難.jpg
引用wiki
救難専用機なんか不要だ!なんて意見もありそうですが、P-3CやP-1・戦闘機など外洋で墜落した航空機搭乗員を迅速に救助する装備は必要です。
(戦え!だけど救助なんか用意してない!では部隊の士気は上がりません)

US-2については、何としても価格低減と共に事業継続を行う必要があります。

1.3 中国に北太平洋を明け渡すかい?

1000海里以上を飛行して、迅速に救助を行えるUS-2飛行艇は貴重なものです。

図7 捜索救助協定
図7 捜索救助協定.png
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/EsZVRhtUYAAXJvj?format=png&name=small

1979年に日米で、洋上における捜索救助エリアを定めた協定があります。

日本側は、最大1700海里の所まで救助に向かいますがUS-2があってこその距離です。

US-2の価格高騰をもって、救難飛行艇放棄!捜索救難担当区域も破棄したい!

中国だったら、AG-600飛行艇をもって喜んで交代するかもよ?

図8 AG-600
図8 AG-600.jpg
引用URL:http://images.china.cn/attachement/jpg/site1004/20140116/001ec94a25c51441b36861.jpg

その代わり、小笠原列島に中国軍を常駐させしますか?(中国なら当然要求する)

短期的に予算抑制に目がくらんで、日本の主権を放棄するようなことは絶対避けるべきです。

US-2及び後継機の開発は、日本が独立国であることを示す装備品です!
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(2)通信衛星関係はいろいろ注目だね!

令和7年度概算要求は、衛星通信関係で色々注目点が出ています。

図9 コンステレーション
図9 コンステレーション.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/budget/yosan_gaiyo/2024/yosan_20240830_summary.pdf

コンステレーション衛星も注目ですが、各種通信衛星関係は面白いものが出てきました。

2.1 スターリンク衛星受信機整備開始!

艦艇乗りと言えば、一度出港したらネット回線に接続できないのが平成までの常識でした。

図10 艦艇
図10 スターリンク.png
引用URL:https://news.kddi.com/kddi/business-topic/2024/05/20/image/p_index_03.png

そんな中で、2024年遠洋練習航海にて「かしま」「しまかぜ」にスターリンク受信機を搭載する実証実験が行われています。

ダウンロード速度220Mbbsという、大容量通信で家族との連絡やネット回線に接続できる凄さです。

図11 予算
図11 予算.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/budget/yosan_gaiyo/2024/yosan_20240830_summary.pdf

働き方改革や勤務環境改善の切り札として、早期に各艦艇に装備して欲しいものです。

時代が変化しているのですねえ〜!

2.2 次世代FLTSATCOM導入に踏み切る!

通信関係で注目すべきは、米軍の衛星PATSに参加することです。

図12 PARTS
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/budget/yosan_gaiyo/2024/yosan_20240830.pdf

米軍や西側艦艇との衛星通信で、FLTSATCOMを1985年から海上自衛隊は使用してきました。

ただ送信速度は遅く、近年では電波妨害への脆弱性が問題となっていました。

ようやくというべきか、電波妨害に強い新型FLTSATCOMであるPATSへの参加が決まったというべきでしょう。

図13 衛星関連図
図13 衛星関連図.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/policy/hyouka/rev_gaibu/pdf/2023_01_siryo_054.pdf

防衛省専用Xバンド衛星「きらめき」の他、商業用衛星・コンステレーション衛星を組み合わせて使います。

ますます宇宙空間の利用が、重要なことになるでしょう。

2.3 きらめき1号2号後継衛星も重要になる!

防衛省専用Xバンド通信衛星「きらめき1号」「きらめき2号」が、宇宙空間で運用中です。

令和7年度概算要求にて、きらめき2号後継機の予算要求が出ました。

図14 きらめき
図14 きらめき.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/budget/yosan_gaiyo/2024/yosan_20240830.pdf

2024年10月には「きらめき3号」の打ち上げですが、あくまで民生用C2号機の代替です。

来年には「きらめき1号」の後継機予算要求も、控えており待ったなしの状況です。

海自がソマリア沖で活動できるのも、「きらめき2号」のおかげです。

今後も通信衛星には注目していきましょう!
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(3)J/FPS−Xの調達要求ならずか!

残念なのは、空自次期警戒管制レーダーJ/FPS−Xの要求が無かったことです。

図15 MIMO
図15 MIMO.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/atla/research/gaibuhyouka/pdf/MIMO_27.pdf

参考記事で、開発難航中と書きましたが2025年度(令和7年度)には間に合わず!
(参考記事):『 冷戦の亡霊OTHレーダーが復活するとは! 』 

3.1 古いレーダーサイトの更新を!

航空自衛隊のレーダーサイトには、まだ古い警戒管制レーダーサイトがあります。

図16 J/FPS−2
図16 JFPS-2.jpg
引用wiki

1970年代に配備が開始されたJ/FPS−2が3セット残っている上に、1950年代に米軍から供与されたレーダーサイトも2セットあります。
(米軍供与レーダサイト:襟裳第36警戒隊・串本第5警戒隊)

FPS−Xでは、ぜひとも換装を急いで欲しいですね!
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2024年08月10日

EAという不思議な防衛省個数表記のお話!

『EAだか1個だのいろんな単位表記があるよね!』
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防衛省の調達実績を見ると、いろんな装備が調達されています。

しかしたまに、不思議な単位で表記されるものがあります。

図1 訓練機雷
図1 訓練機雷.jpg
引用URL:https://twitter.com/jmsdf_krh/status/1658335486820364289/photo/2

例えばこの訓練用機雷ですが、調達補給上では1EAという不思議な単位を使います。

1発やろ!漢字を使わんかい!と思いますが、ものすごく深い理由があったりします。
(前回記事):『 アムラームのラ国とは驚いた! 』 
\こちらもご参考にPR!/
(1)そもそもEAってなんじゃ!1個と表記せんかい!

弾薬やいろんな部品を、調達補給するときEAなんて聞きなれない単位がけっこうあります。
図2 CIWS給弾
図2 CIWS給弾.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/sf/whatsnew/images/y453.jpg

1発とか、1セットとか日本語だといろんな表記が出来るでしょう。

1.1 EAは個数を表す単位表記!

主に海上自衛隊の話をしますが、良く海上自衛隊ではEAという単位を使います。

図3 食器
図3 食器.jpg
引用URL:https://twitter.com/JMSDF_PAO/status/1522395729595187262/photo/1
海自で有名な食器盤(テッパン)も、補給上は1EAと表記します。
(一枚じゃないんかい!)

いわゆる1個を表記するのに、わさわさEAと表記するのは補給上の都合です。

じゃあEAってなんの略なんじゃい!と考えるのは当然です。

1.2 米国の「each(それぞれ)」という表記から!

戦後海上自衛隊は、補給実施要領については米国のやり方を全面的に取り入れています。
(帝国海軍の踏襲をしなかった!)

図4 米国値札
図4 値札.jpg
引用URL:https://fastly.4sqi.net/img/general/width960/396643_aSR5euRVX_kQiS_XkPc0DcUiOotw2my9jP_is0KfXOU.jpg

米国では1個のことを1EA(each)と表記するのが、普通の状況となっています。

そんな米国のやり方を踏襲したため、海自では個数をEA表記するのが普通になります。

ただ面白い話があり、補給実施要領でのEAは「BACH(個/台)」だったりします。

元々補給用語で「BA(本)」(BALL)という表記があり、使用できなかったそうです。

1.3 補給の単位は面白い!

造修畑に進んだことで、補給の必要性・ありがたみを良く感じることがありました。

そんな中でも、補給の単位はいろいろありなかなか面白いところがあります
・SE:組(SET)
・OT:一式(OUTFIT)
・KT:キット(KIT)
・AY:アッセンブリ(ASSNBLY)

『ぜんぶ一緒じゃないですか〜!!』

けど不思議と使い分けていたりします。

ここまで来ると、漢字で表記した方がいいんじゃね?と考えてしまいます。
\海軍カレーを補給だ!PR/ \PR!/
(2)いまさら変更できない通信との相性!

陸自だと結構単位表記を、漢字で表記することがあります。

図5 陸自
図5 陸自.jpg
引用URL:https://img.aucfree.com/u309886610.1.jpg

ただし補給上は英語2文字の略語で、払い出しをします。

2.1 すべてはコンピューター通信が悪いんや!

補給システムはかつて紙で処理していましたが、現在はコンピューターを導入して進化します。
図6 キーパンチ
図6 キーパンチ.jpg
引用wiki

1950年代はパンチカードでデータ変換をして、通信で送信するようになってきます。

ここで一つ問題だったのは、6bit(びっと)のASCIIで通信をしていました。

図7 ASCII
図7 ASCII.png
引用wiki
アルファベットと数字、カタカナで表記をしてテレタイプ通信と組合わせて使用します。

当時の通信は、一文字6bitでの通信が当たり前でした。

ただ漢字やひらがなを使用できないため、1982年に漢字対応のASCIIが登場します。

しかし漢字を使うには、一文字16bitも使用する必要があります。
(英略字2文字なら12bitで済む!)
通信で一番大事なのは、「短く!bitを出来るだけ節約!」です。

そのため、1982年に漢字対応ASCIIが出ても補給の世界は6bitで処理されてきました。

2.2 海自テレタイプが漢字対応になったのは2005年(平成17年)!

映画などでは、テレタイプ端末から文字が打ち出されるシーンがあります。

図8 テレタイプ
図8 テレタイプ.jpg
引用URL:https://duino4projects.com/wp-content/uploads/2020/04/LOGGING-INTO-LINUX-WITH-A-1930S-TELETYPE.jpg

海上自衛隊の通信単位が8bitになり、漢字も使用できるようになったのは2005年(平成17年)です。

1952年の海上警備隊創設から、6bit通信を続けてきてようやく8bit通信が出来るようになりました。

ただここまでに、補給でのデーターは膨大な量になっています。

今まで使ってきたEAなどの単位を変更するのは、膨大な作業量になるため現実的ではありません。

そのため、海自は米海軍との連動を考え単位をそのまま使用することにしました。
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(3)海自にはEAと言う単位が染みついた!

とにかく米海軍との連動を第一に考えるのが、海上自衛隊です。

図9 米海軍
図9 米海軍.jpg
引用wiki

補給についても、米海軍と共通の考えをもっておくべきです。

3.1 油くれ!あいよ!何ガロンね!

米海軍と共通の補給用語を使用していれば、共同訓練も円滑に進みます。

図10 洋上給油
図10 洋上給油.jpg
引用URL:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bluebook/2007/html/h3/imgs/h3_06.jpg

リットルだの換算するより、ガロンで統一して記載した方が分かりやすくなります。
(単位換算をミスってして失敗したのが、インド洋給油量誤記載事件)

不思議な単位系にも、色々と重要な背景があるんですよ!
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2024年07月11日

潜水艦裏金?B終:チャンネルダッシュ作戦と今後どうなる!

『中国東海艦隊へのチャンネルダッシュで不祥事隠蔽だ!』
(検索除けです)
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護衛艦「すすづき」が、中国海軍基地にチャンネルダッシュ作戦をやったと聞いて!

次は台湾海峡突破の航行の自由作戦だ!だけどなにか勘ぐってしまいます。

図1 護衛艦「すすづき」
図1 護衛艦すすづき.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/dd/akizuki/#117-1

潜水艦裏金は、防衛大綱での潜水艦増強で加速したと考えられます。

国税局が、防衛産業に切り込んだのは「スイッチ」がきっかけ?
(前回記事):『 潜水艦裏金?A物品管理地獄と潜水艦失注の恐怖!
\こちらもご参考にPR!/
(1)22大綱以降裏金は拡大した?

平成22年12月に、22大綱にて潜水艦の22隻への増強が決まりました。

図2 22大綱
図2 22大綱.png
引用URL:http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2012/2012/pdf/24020202.pdf

潜水艦の世界にとっては、この世の春が来た状態です。

1.1 潜水艦増強で人員選抜に無理がかかった。

潜水艦乗員になるには、適正試験や厳しい試験が必要な正解です。

図3 潜水艦乗員訓練
図3 乗員訓練.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/stc/assets/img/kyouiku/bousui1.jpg

パイロット並みに過酷な試験をクリアして、乗員を増やす必要がありました。

しかしながら当時の海上自衛隊は、過酷な状況でした。

2006年に連取潜水艦「あさしお」が浮上中に貨物船に衝突して、舵が曲がるほどの損傷をしています。

図4 あさしお事故
図4 あさしお事故.jpg
引用URL:https://image2.sina.com.cn/jc/p/2006-11-22/U1716P27T1D414011F3DT20061122092600.jpg

そんな人手不足が進んだ状況で、潜水艦乗員を増やすと歪みがかかります。

モラル規律の面で本来入ってはいけない人間が、潜水艦乗員になってしまったといえます。

1.2 防衛費増強でモラルハザードが起きた。

私も海上自衛隊にいたものですから、予算増額となるとやることは決まっています。

図5 打ち出の小槌
図5 小槌.png
引用URL:https://www.irasutoya.com/2019/05/blog-post_61.html

不足する部品爆買い!ついでに○○艦の整備も豪華に!ヒャッハー!

予算は海幕から、いくらでも降ってくる!

造船所で修理をしていた、潜水艦乗員も同じ感じで色々要求がエスカレートしたのでしょう。

1.3 造船所は下請けとの架空取引で裏金を作る

ただこの時期は、契約監査が厳しくなっており艦船修理費に上乗せするのが難しくなります。

そこで造船所修繕部は、修理用部品発注として下請けと架空取引スキームを始めたのでしょう。

図6 循環取引
図6 循取引.png
引用URL:https://www.hitachi-systems.com/-/media/ind/travelerswan/column/22/image/column02.png

よくある手法ですが、J−SOX砲では共謀した架空取引を見抜けない弱点を突いています。

潜水艦という秘密の塊を利用した、裏金スキームは進化していったのでしょう。
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(2)国税庁は「スイッチ」から大金星を挙げたか?

今回裏金問題が発覚したきっかけは、大阪国税局の税務調査です。

図7 国税庁
図7 シンボル.gif
引用URL:https://www.nta.go.jp/chuijiko/img/emblem.gif

珍しいところが、防衛不祥事を暴く結果になりました。

2.1 ふつうは会計検査院か東京地検特捜部

防衛に関して贈収賄や不正会計を調査するのは、大抵の場合東京地検特捜部です。

図7 F-X商戦
図7 F-X.jpeg
引用wiki

F-104J戦闘機導入のころは、派手な汚職と検挙が相次ぎました。

会計検査院も会計不正があれば、しっかり調査して対応してたはずですが国税庁が事件を暴きました。

2.2 スイッチ納入は国税庁税務調査の草刈り場!

最近国税庁は、ゲーム機のニンテンドースイッチを足掛かりに各所で脱税摘発を加速しています。

図8 スイッチ
図8 スイッチ.jpg
引用URL:https://m.media-amazon.com/images/I/71Rb2fxVgWL._AC_UF350,350_QL80_.jpg

スイッチは2017年に発売され爆発的な人気を誇っていますが、転売屋簿の爆買いや会社が厚生費名目で爆買いなど税務上問題が起きました。

スイッチ販売リストを元に、各所で税務調査で結構脱税摘発が行われています。
(国税は税務調査資料として、販売リスト資料を請求できる権限がある。)

おそらく大量のスイッチが、神戸周辺の会社に納入されたのを不審に思ったのでしょう。

その結果として、潜水艦裏金に突き当たったと考えます。

潜水艦乗員の欲を出した結果が、今回の追徴課税と問題発覚につながったといえます。

2.3 潜水艦修理仕様書は秘密区分無しの行政書類

秘密の塊である潜水艦の修理仕様書を、国税庁が見るなんてケシカラン!と思うかもしれません。

しかし私ペンギンは潜水艦修理仕様書を書きましたが、秘密区分無しで書いています。

図9 仕様書
図9 仕様書.png
引用URL:https://www.irasutoya.com/2019/11/blog-post_860.html

修理仕様書そのものを秘密文書にしてしまうと、修理作業指示書などが非常に面倒になるためです。

おそらく官仕様書・川重部品発注表などを突き合わせて、架空取引を炙り出したと思われます。

完全に裏金スキームが暴かれた瞬間です。
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(3)指名停止と「真やむ」契約で手打ちかな?

おそらく2022年から調査が始まり、書類が残っている6年分を追徴課税認定したのでしょう。
図10 とうりゅう
図10 とうりゅう.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/operation/meimei/r00/img/28ss/13.jpg

今後の防衛省調査で、どこまで影響が広がるか見極める必要があります。

3.1 川崎重工は指名停止だろうけど・・・

ここまで来ると川崎重工の長期指名停止(おそらく1年以上)は、確実と思われます。

潜水艦の造船部門だけでなく、会社全体を対象に指名停止となります。

図11 潜水艦修理
図11 潜水艦修理.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/pco/gunma/pco_news/kouhousitu/images/kouhou1215-12.png

潜水艦の新造も修理も出来なくなりおしまいだ〜!と騒ぎ立てる人がいるかもしれません。

そんなときの魔法の言葉を唱えましょう!

3.2 真にやむおえない事由!

昔三菱電機が陸自の中SAMデータ漏洩で、長期間指名停止となったことがあります。

図12 中SAM
図12 中SAM.jpg
引用wiki

この時、レーダーやFCS-3などで大迷惑が掛かりました。

そんな指名停止を受けても、「真にやむおえない事由」という名目で随意契約が続きました。

哨戒機(P-1)や輸送機(C-2)など生産中製品は、真やむ契約で続くでしょう。

潜水艦は指名停止の上で、理由を付けて新規契約をすることになります。

3.3 潜水艦隊を解体せよ!

建造計画や修理計画を狂わせるため、契約自体は続行でしょう。

しかし海上自衛隊のけじめとして、潜水艦隊を解体するぐらいは行うべきです。
(潜水隊群は残して、あとは自衛艦隊直結に)

閉鎖体質の組織から裏金を潰すには、そのくらい大胆なことが必要ですよ!

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2024年07月08日

潜水艦裏金?A物品管理地獄と潜水艦失注の恐怖!

『地獄の2000年代は狂乱の宴と化す!』
(タイトル除け)
『政治とカネと海自総ざんげと潜水艦発注切り捨て』
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前回の記事で、前提条件となる時代背景から2000年代になるとさらに地獄が幕を開けます。

連続する海自不祥事と、実態から乖離する一般競争入札制度改悪!

図1 入札
図1 入札.png
引用URL:https://www.irasutoya.com/2016/01/blog-post_712.html

劣化する造修監督官人材!常に不足する官品在庫と造船所の緊急取寄!

そしてとどめに、2009年(平成21年)の潜水艦発注取りやめ!

川崎重工が利益供与を続けざるを得ない状況が、完成していきます。
(前回記事):『 潜水艦裏金?@おっ〇い!〇っはい!!おっ〇イ!!!
\こちらもご参考にPR!/
(1)2000年代の海自連続不祥事は悪夢だったね!

海自を始め防衛省全体での、特定秘密不適切取扱いが表に出てきました。

図2 海幕長謝罪
図2 謝罪.png
引用:朝日新聞

ただ2000年代にも、海上自衛隊の連続不祥事が大連発してます。

1.1 ろくでもない年代だったな!

海自が関係する不祥事を列挙してみると、ろくでもないものばっかりです。

?2002年;護衛艦うみぎり連続不審火
?@2003年2月:インド洋派遣給油量取り違え
 (給油量を取り違えたまま防衛庁長官答弁、間違い発覚後の隠蔽工作)
?A2004年〜2005年:護衛艦たちかぜ事案
 (いじめ自殺・恐喝・アンケート隠蔽)
?B2005年7月〜9月:潜水艦乗員7名(5隻)の大麻での逮捕
?C2006年2月:護衛艦あさゆきwinny事案
?D2006年9月:ミサイル艇3号の20mm機関砲暴発
?E2007年:イージス艦情報漏洩事件、山田洋行事件
?F2007年12月:護衛艦しらね火災
?G2008年2月:護衛艦あたご衝突事故
?H2008年10月:特別警備隊死亡事案

書き出してみたけど、海自の国民からの信頼が地に落ちた時代でした。

1.2 防衛費削減が続く暗い時代!

2000年代は、防衛費の削減が続きすべてにおいてお先真っ暗な時代でした。
図3 防衛費削減
図3 防衛費.gif
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/publication/wp/wp2022/image/zuhyo02040202.gif

平成13年度から平成23年度まで、10年連続防衛費が削減され続けてきました。

冷戦終結後の就職氷河期や、経済不況により防衛費はやり玉になります。

そんな声を受けて財務省主計局が2004年に、独自防衛計画案で防衛費1兆円減額・護衛艦38隻(16隻減)というデッドボールを投げてきます。
(あの時国民は財務省に喝采を上げていたんですよ?)

図4 16DDH概要図
図4 16DDH概要図.png
引用URL:https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11488652/www.mod.go.jp/j/approach/hyouka/seisaku/15/jizen/sankou/02.pdf

経済が苦しく海自の不祥事が続くときに、イージス艦2隻DDH2隻だの要求すれば国民の信頼を失いますよ。

1.3 随意契約から一般競争入札!倫理規程の制定

1998年(平成10年)の調達実施本部背任事件を受けて、防衛装備品入札制度の全面見直しが行われました。

図5 16式戦車
図5 16式MCV.png
引用wiki
従来随意契約が普通だった正面装備品についても、一般競争入札を前提にすることになります。

さらに自衛隊員倫理規程が制定され、監督官など接待が禁止となります。

これは軍艦・自衛艦を建造し続けた、造船業界にとって衝撃的な話でした。

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(2)海軍以来の伝統が崩れる!監督官の質的劣化も!

旧海軍以来の伝統として、軍艦建造は1社を指名して建造する慣習でした。

図6 海軍進水式
図6 進水式.jpg
引用wiki

だからシーメンス事件のような、大規模汚職が起きる要素が残っていました。

2.1 平成15年に艦艇の一般競争入札が導入!

海上自衛隊艦艇については、平成15年度に一般競争入札制度が導入されます。

図7 進水式(22DDH)
図7 進水式.jpg
引用URL:http://j.people.com.cn/mediafile/201308/07/F201308071401101479846787.jpg

写真は護衛艦「いずも」進水式の時ですが、護衛艦「ひゅうが」から競争入札になりました。

IHIMU(JMU)と三井玉野での壮絶な競合いの結果、IHIMUが赤字受注となった経緯があります。

19DD(あきづき)の受注では、赤字確実と言われ各社が入札辞退・三菱長崎がやむなく受注します。
(入札なら19DDは受注しない!と海幕に脅しをかけていた)

壮絶な競争入札の煽りを受け、艦船建造計画に狂いが出かねない事態でした。

潜水艦も競争入札にさらされ、16SS(そうりゅう)は三菱重工が入札受注します。
2社寡占と言われる潜水艦業界ですが、競争入札導入で受注が確約されなくなりました。

2.2 監督官の目を覆う質的劣化

潜水艦を含めた造船各社にとっては、海自監督官・検査官の質的劣化は見過ごせない状況でした。

○防産業に従事している方も、本ブログを見ていただいているので分かるかもしれません。

もし技術者であるはずの海自監督官から、こんな言葉を吐かれたらどうします?
・『(電気の)直流と交流って何ですかぁ?』
(マジにあった話です!)
・『公差って何なの?正確に工作できないんですか?』
(文系なのに監督官になった防大出身幹部がマジに発言した)

いやああああ!!!((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル!

図8 アホの子
図8 あほの子.png
引用URL:https://www.irasutoya.com/2016/12/blog-post_139.html

監督官の質的劣化ってレベルじゃねえぞ!

造船所も困るし艦艇乗員も困り、まともな造船所担当者を頼るようになります。

2.3 経理補給の運用硬直化!

海上自衛隊の補給物品管理は、常に在庫不足・修理予算無しが続きます。

造修補給所に物品を要求しても、
「在庫がありません!調達はいつになるか分かりません!」
と言う運用上すぐに必要なのに、造修補給所を頼れない状況でした。

図9 艦内洗濯機
図9 艦内洗濯機.png
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/FgdqaNdaMAA_MXm?format=jpg&name=medium

すぐに来ない官給品洗濯機などの艦内生活品、補給品を出してくれない阪神基地隊!
(神戸での定期整備中は、阪神基地隊が補給品供給の窓口です)

そりゃあ、ドラえもんみたくすぐ用意してくれる造船所にタカルなあ・・・

けどなあ!KPMSで補給品要求情報を出してこない、潜水艦側にも問題はあるぞ!
(KPMS:後方システムに吸収された部品請求データー送信システム)
要求が無ければ、官給品を買う根拠になる需要要求係数が出ないんだよう!

あと!スパナ・パッキンはCOSAL品で「諸器材等維持費」だバカ野郎!!艦船整備費に上乗せスンナ!!!
(艦船補給処・造修補給所で、何度もこのセリフを乗員・造船所に言ったことか!)

そんな中で、川崎重工神戸(当時は川崎造船)に悪夢が舞い降ります。
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(3)21年度潜水艦が査定落ち!川崎神戸危うし!

三菱神戸は乗員に便宜を図っても利益にならないと、早々に見切りをつけます。

図10 三菱神戸
図10 三菱神戸.jpg
引用URL:https://www.mhi.com/sites/g/files/jwhtju111/files/styles/original_image_style/public/2022-10/221012-1.jpg?itok=UvQ840o0

三菱は融通が利かずケチだ!と言うのは、そんな官僚的背景があります。

3.1 21年度潜水艦(21SS)査定落ちするかも?!

2007年(平成19年)ごろに、21SS(平成21年(2009年)度潜水艦)が無くなる?というウワサが飛び交います。
図11 そうりゅう6番艦
図11 そうりゅう6番艦.jpg
引用wiki

そうりゅう6番艦のころにちょうど潜水艦退役や、そうりゅう就役で潜水艦の枠が1つ余ることになります。
(練習潜水艦「あさしお」がAIP艦として寿命延長をしたため)

当時はまだ潜水艦16隻+練習潜水艦2隻の体制で、余分な潜水艦建造はできません。

世間ではサブプライムローン問題が取り上げ始められ、経済状況の悪化が懸念されて行きます。

結局概算要求からも、潜水艦は査定落ちして「あきづき型」3・4番艦同時建造になります。

3.2 狂乱の川崎神戸

あのころの川崎神戸は狂乱状態で加速度的に悪くなる景気の中で、2年に1回受注してた新造艦が吹っ飛んだのです。

『仕事が無い中で高度溶接技術者や関係各社の雇用を維持する』
『しかも次の年も受注できる確約はない状態』

普通の民間企業なら、事業撤退の判断をしてもおかしくない状況です。

しかもリーマンショックによる、世界的金融恐慌がさく裂します。

頼みの潜水艦出身の将官クラスは、潜水艦大麻事案の影響で影響力を失っていました。

21年度潜水艦が発注されなかったことが、裏金事案の直接的な引金になったと考えます。

『潜水艦に関して影響力のある幹部・海曹を増やそう!』
そんな発想になり、J-SOX法を潜り抜け裏金作りに走ったのかも?

3.3 監督官室にビール券の束が・・・

あの時期川崎神戸に潜水艦監督・検査に行くと、監督官室にビール券の束がポンと置いてあるなんてことが・・・
(もちろん受け取ってないですよ!)

図12 ビール券の束
図12 ビール券.jpg
引用URL:https://sasugaya.jp/wp/wp-content/uploads/2020/06/IMG_E3643-1024x1024.jpg
川崎神戸はここまで追い込まれてるのか!と驚愕しました。

図13 闇落ち
図13 闇落ち.png
引用URL:https://www.irasutoya.com/2018/11/blog-post_10.html 

完全に川崎神戸は、闇落ちした状態でした。

三菱の人は営業が、帰り際にスッと押し付けてくるスタイルでしたね。
(特に名古屋航空宇宙システム部はヤバかった!)

贈収賄に巻き込まれそうな、危険な時間を過ごした時代でした。

まだまだ地獄は続きます。
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2024年07月05日

潜水艦裏金?@おっ〇い!〇っはい!!おっ〇イ!!!

『こんなタイトルにしときゃ余計な検索はないだろう』
本タイトルは、検索除けにわざと書いてます。

『始まりはなだしお事件救済スキームから!』(ホントのタイトル)
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潜水艦の裏金問題について、特別防衛観察が決定するなど事件が広がっています。

一見すると、潜水艦乗員に会社が利益供与という分かりにくい話です。
図1 潜水艦
図1 潜水艦.jpg

引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/sbf/images/index/slide09.jpg

裏金スキームは、そんな簡単な話ではありません。

まずは時代背景と各種の関係性の話で、情報整理をいたしましょう。
(前回記事):『 潜水艦の裏金騒ぎがついに露見したな!
\こちらもご参考にPR!/
(1)昭和では当たり前だった

今回の裏金問題については、自衛隊員倫理規程に明確に違反するものです。

図2 自衛隊員倫理規程
図2 倫理規程.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/policy/agenda/meeting/rinri/pdf/gaiyo_01e.pdf

ただ昭和の時代には、問題にもならなかった話です。

1.1 昭和の感覚を悪い伝統にした

船舶の世界では、昭和の時代までは似たようなことが慣習としてありました。(ココ重要!)

艦船の建造・定期修理などでは、長期間になるためどうしても濃い人間関係が出来ます。

図3 艦船修理
図3 艦船修理.jpg
引用URL:https://daizokyo.or.jp/img/image1.jpg

昭和は浪花節の世界でもあり、乗員とのなれ合いも伝統でした。

昭和の悪い伝統が、今回の潜水艦裏金事件の背景にあることを覚えて欲しいです。

1.2 潜水艦隊の閉鎖体質も一因

潜水艦の世界は、いい意味でも悪い意味でも閉鎖体質(家族気質)の所があります。

そんな世界だから、伝統にとらわれ過ぎて改革の風が吹かなかったといえます。

1.3 潜水艦乗りの中にも危機感を持った人はいた!

潜水艦乗りの中にも裏金作りなどに疑問を持ち、危機感を持っていた人は何人もいました。

私ペンギンが、潜水艦艦長1名を裏金問題で更迭できたのも乗員の協力があったからです。

図4 乗員
図5 漁船 (2).jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/stc/assets/img/kyouiku/kan6.jpg

しかしそんな気概ある乗員は、昇進や潜水艦勤務から弾かれることが多かったのです。

家族主義の弊害が、裏金問題を発覚しにくくしました。

さらに潜水艦乗りは情報職種に進むことも多く、情報保全隊が潜水艦乗りの植民地でもありました。

警務隊や情報保全隊も信用できないのが、潜水艦裏金事件の背景です。
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感想(0件)

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(2)ペンギンの立ち位置をはっきりさせておきます。

本ブログで書いてきましたが、私は艦船造修(装備)畑の元幹部自衛官です。

潜水艦乗員としての教育は受けていません。

そのため今回の件について、俯瞰的な話と歴史を網羅することが出来ると思います。

2.1 情報保全上話せないこともある

潜水艦という機密の塊である以上、情報保全の立場から離せないこともあります。
(情報保全の刑事罰は、退職後も適用される)

本当に話せないことは、記載しません。(潜水艦の最大深度とか?)
|д・)つ(コトッ) https://fanblogs.jp/sstd7628/archive/206/0

そのうえで聞いていただければ幸いです。

2.2 入隊前と退職後の話もある。

背景は、1980年代までさかのぼります。

源流と言えることが昭和から平成にかけておきました。

そのため、入隊前のことは上司・先輩から伝え聞いた話も多くあります。

退職後も、いろんな話が流れてきました。

その辺もソース源を、隠蔽しながら書いていきます。

私ペンギンが、入隊年や退職年を書いていないのはそんな情報漏れを防ぐためです。
(このテクニックは、潜水艦出身の情報教官から教えてもらいました)

根拠が薄い情報となりますが、ご了承ください。
(今回の潜水艦裏金の件は非常に根に持っています!)

2.3 前提条件となる背景

・ペンギンは、潜水艦に関わった艦船装備幹部である。(艦補処・造補所・検査官)
・1980年代に、裏金の源流がある。
・情報源を明かすことはできないが、ぺンギンも関わりがあった。
・入隊前・退職後の情報のある。(口伝の歴史)
・潜水艦だけでなく、(官側の)潜水艦造修も責任の一端がある。
・情報保全隊・警務隊・観察本部も信用できない。

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(3)1988(昭和63)年なだしお事件がきっかけ!

全ての始まりは、1988年(昭和63年)のなだしお事件の後始末です。

図5 漁船
図5 漁船.jpg
引用URL:https://www.mlit.go.jp/jmat/monoshiri/judai/60s/fuji.jpg

はじめは、救済スキームとして裏金が出来ました。

3.1 金とコネのある造修部門がスキームを作った

潜水艦隊は1981年に設立されたばかりで、金と権力が当時はまだありませんでした。

造修所潜水艦科や、調達実施本部神戸分室などカネとモノを用意できる部門が協力して救済用としてのカネの捻出に企業を巻き込んで作られています。

悪い意味の家族意識が、源流にあります。

3.2 造修部門が力を失い艦隊が権力を増強

1990年代になると、造修部門など防衛庁の調達部門の癒着が問題となります。

結果として1998年(平成10年)に、「10改編」と呼ばれる海自後方部門大改編が発生します。

・造修所潜水艦科は武器部門が切り離される。
・大物装備品調達は、艦船補給所・補給本部に移管となる。
・造修補給所監督官は、3年ルールですぐに転勤となる。

結果として、造修部門が技術力と実務能力を徐々に失っていきます。

潜水艦乗員は、プロフェッショナルですからすぐに監督官の業務代行のような状態になります。

3.3 乗員の細部カスタムメイドオーダーが横行

調達実施本部の検査官は、造修所の定期修理艦船の監督を代行できなくなり監督の目が届かなくなります。

そうなると、潜水艦乗員の天下とも言えます。

潜水艦乗員は修理建造契約(物品納入)について、口出しできる権限はありません。
(造修部門の監督官・検査官のみが対応できる)

しかし細部を監督できるベテラン監督官がいなくなり、裏金スキームも暴走していきます。

艦船により細部ぎ装が違ってくるなんてのが横行し始め、裏金も増大します。
ここまでが序章で、さらに地獄は暴走します。
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2024年07月04日

潜水艦の裏金騒ぎがついに露見したな!

『関係者の中では知られた話だったんだ』
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2024年7月3日に、朝日新聞が川崎重工による潜水艦乗員への物品・現金提供について税務調査を受けたと報道しました。

防衛省も、川崎重工から報告を受けたをと発表しています。
図1 川崎重工
図1 川崎重工.jpg
引用URL:https://www.khi.co.jp/pressrelease/news_190318-1.jpg

エリート集団の潜水艦乗りがなんで?!と思うかもしれません。

しかし昔から行われてきた、潜水艦隊の悪習です。
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(1)闇が深い話だけど興味ある?

潜水艦がらみの裏金話は、情報保全を盾に長いこと放置されていました。
図2 スパイ
図2 スパイ.png
引用URL:https://www.irasutoya.com/2015/04/blog-post_985.html
造補所監督官が潜水艦の裏金問題に切り込んだら、スパイ扱いされ左遷されることなんて平気で起きていました。

外部のメスにより、悪い膿を全て出してくれることを望みます。

1.1 単純な話にするとトカゲの尻尾切りになるぞ!

この話は、造船所が潜水艦乗員に物品・現金などの贈賄をしたという単純な話ではないです。

むしろミスリードを誘って、海自は悪くない!という意図が見えます。

問題の本質は、もっと奥深く闇の深い話になります。

1.2 ほかの造船所にも飛び火するぞ

単刀直入に言うと、川崎神戸だけでなく三菱神戸・JMU横浜の潜水艦修理でも同様の話が今後出て来るでしょう。
(同様のことをやっているため)

さらに水上艦艇の建造・定期修理などにも、大きく波及するでしょう。

航空隊以外は、大混乱になるでしょうがそれでも内部浄化が望めない以上は、司法の介入を受けてでも改革すべきです。

1.3 ペンギンも首を突っ込んで飛ばされた人間なんだよな

実を言うと、私ペンギンもこの潜水艦裏金問題に首を突っ込み左遷された人間です。

情報保全は、犯罪行為隠蔽の道具じゃないのに!

裏金に関して潜水艦艦長1名の首を飛ばしたはいいけど、情報保全隊の事情聴取を受けて飛ばされました!

そのぐらい、闇が深い話なんです。

造修補給所・潜水艦隊・防衛装備庁(装備本部)・神戸の造船所など、かなりデカいスキームの中でドロドロとした話だけど興味のある人はいますか?

興味のある人がいたら、詳しく書いていこうと思います。(秘密保全の兼ね合いも含めて)

『すべては、なだしお事件から始まった』
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