最新コメント
検索
記事ランキング
タグクラウド

2024年06月25日

冷戦の亡霊OTHレーダーが復活するとは!

『冷戦期の亡霊が現代に蘇る!
\PR!/

最近防衛装備庁が与那国島にて、新型レーダーの試験場を整備していることが話題になりました。

令和5年度に、行政評価を受けたOTHレーダーです。

図1 レーダー
図1 レーダー.png
引用URL:https://www.soumu.go.jp/main_content/000191485.pdf

冷戦期の超兵器OTHレーダーが現代に蘇るとは、想像もしていませんでした。

MIMOレーダーと組みわせて、本土防空の切り札となるか!
(前回記事):『 韓国レーダー照射事件は玉虫色の決着!
\こちらもご参考にPR!/
(1)OTHレーダーとは何ぞや?

いきなりOTHレーダーと言っても、何のことか分からないかもしれません。

図2 防空レーダー
図2 ガメラレーダー.png
引用wiki

空自のJ/FPS-5(ガメラ)レーダーを、引き合いに出して説明していきましょう。

1.1 レーダーは水平線より遠くは見えない!

FPS-5ガメラレーダーは、BMDの切り札として活躍しています。

図3 ミサイル探知
図3 ミサイル探知.png
引用URL:https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10953661/www.mod.go.jp/e/d_act/bmd/bmd.pdf

強力なレーダ—ですが、水平線の先にある物体までは探知できません。

これは電波が直進するため、通常のレーダーでは水平線より下の超遠距離の探知は難しいのです。
(北朝鮮弾道ミサイルの発射の瞬間を、日本が探知できない理由!)

図4 水平線
図4 水平線.jpg
引用wiki

1.2 冷戦期のOTHレーダー

そんな中でも冷戦期に弾道ミサイルの早期探知を目指して、OTH(超水平線)レーダーが開発されました。

図5 原理
図5 OTHの原理.jpg
引用wiki

短波が電離層で跳ね返り遠距離に到達する原理を利用したのが、OTHレーダーの基礎となっています。

冷戦期には、米ソ両国がOTHレーダーを建設して弾道ミサイル探知を目指していました。

図6 ドゥーガ2
図6 ドゥーガ2.jpg
引用wiki

ソ連のOTHレーダーは、巨大な鉄格子となり強力な電波を出していたそうです。

1.3 中国のOTHレーダー

OTHレーダーについては、中国も配備を進めています。

図7 巨大レーダー
図7 巨大レーダー.jpg
引用URL:https://k.sinaimg.cn/www/dy/slidenews/8_img/2017_04/400_34714_206076.jpg/w640slw.jpg

アメリカの攻撃を遠距離から探知するために、中国内陸部に巨大レーダーを設置しています。

既に九州沖縄列島を監視下に置き、ASBM(対艦弾頭ミサイル)と組合わせてA2ADを計画しています。

図8 探知距離
図8 探知距離.jpg
引用URL:https://k.sinaimg.cn/www/dy/slidenews/8_img/2017_04/400_34709_430163.jpg/w640slw.jpg

OTHレーダーは、冷戦の亡霊ながら現代でも使用し続けられている物です。
\ソ連のレーダーは怖いぞ!PR/ \PR!/
(2)日本のOTHレーダー計画

現在与那国島で試験が始まったのは、短波帯表面波レーダ(固定式)の研究という物です。
図9 研究
図9 研究.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/policy/hyouka/seisaku/2023/pdf/jizen_04_honbun.pdf

対中国を睨んだ、早期探知レーダーとなるでしょう。

2.1 1980年代にもOTHレーダー計画はあった!

実は1980年代の日本でも、OTHレーダー導入が計画されていたことがありました。

図10 防衛白書
図10 防衛白書.gif
引用URL:http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/1986/w1986_03021.gif

1986年(昭和61年)の防衛白書では、本土防空・洋上防空に最適であるとして導入検討開始をしています。

当時はソ連爆撃機による日本本土攻撃が危惧されており、米国製OTHレーダーを導入しようとしていました。

ただ冷戦崩壊と共に、OTHレーダー導入計画は立ち消えになっています。

巨大施設と広大な敷地、多額の費用が掛かるためです。

2.2 NICTの海洋レーダー研究が転機!

転機となったのは、NICT(情報通信研究機構)の海洋レーダー研究です。

図11 海洋レーダー
図11 海洋レーダー.png
引用URL:https://www.soumu.go.jp/main_content/000191485.pdf

平成19年(2007年)に海洋基本法が制定され、海洋状況把握(MDA)が求められるようになりました。

総務省のNICTが研究を進めていた海洋レーダー研究が、与那国島で長期間実施されました。

この間に台湾有事をめぐる動きが活発化して、OTHレーダーを駆使した海洋状況把握(MDA)と中国沿岸の状況探知を考慮する形になります。
図12 海洋状況把握
図12 海洋状況把握(MDA).png
引用URL:https://www.mod.go.jp/atla/research/ats2019/doc/yamazaki.pdf

防衛省でも似たような研究を進めていたため、統合してMDAのために研究を行ことになりました。

冷戦期に立ち消えとなった、OTHレーダーが復活したのです。

さらに防衛省が研究していた新技術を利用して、より小型化を目指しています。
2.3 MIMO技術をOTHレーダーに使用!

平成23年以降に研究が始まり、革新的技術と言われたMIMOレーダーという物があります。

図13 運用構想図
図13 運用構想.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/atla/research/gaibuhyouka/pdf/MIMO_27.pdf

警戒管制用のFPS−7の後継として、小型分散型レーダー(バイスタティックレーダー)の開発が進んでいます。

対空用としては現在開発が難航していますが、各種技術をOTHレーダーに転用しようとしています。

図14 小型アレイ
図14 小型アレイ.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/atla/research/gaibuhyouka/pdf/MIMO_27.pdf

巨大になりがちだった短波用アンテナと管制装置を、MIMO技術により小型化しようという物です。

開発が難航するFPS-Xの技術を、海洋監視に転用することで技術的熟成を図ることが出来ます。
\中国軍H-6を探知せよ!PR/ \PR!/
(3)OTHレーダーを活用せよ!

OTHレーダーは、水平線外の遠距離探知を可能にするものです。

図15 極超音速誘導弾
図15 極超音速誘導弾.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/policy/hyouka/seisaku/2022/pdf/jizen_02_honbun.pdf

極超音速誘導弾の目標選定にも、十分役立つでしょう。

冷戦期の亡霊OTHレーダーが、日本を救う!
\PR!/

菓子と関連情報紹介!ロゴ.png
防衛・軍事ランキング
↑ブログ主の更新意欲維持の為↑バナーをクリック↑
↑していただければブログ主が↑頑張ります↑

2024年06月18日

韓国レーダー照射事件は玉虫色の決着!

『真相は文在寅逮捕で明らかになるか?!』
\PR!/

2024年6月に、日米韓防衛当局会談が行われました。

2018年12月の韓国レーダー照射事件は、再発防止で一応の決着となります。

図1 会談
図1 会談.jpg
引用URL:https://img.hani.co.kr/imgdb/japan/news/resize/2024/0603/171737331351_20240603.JPG

結局真相は闇の中に葬られ、ぎくしゃくした日韓関係が再開するようです。

これは文在寅前大統領の逮捕まで、真相は出てこないでしょう。
(前回記事):『 空自F-35B戦闘機の燃料に関する大問題!
\こちらもご参考にPR!/
(1)2018年に何があったか?

すでに5年半前のことになりましたが、2018年に日韓が緊張状態に陥りました。

図2 レーダー照射事件
図2 照射事件.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/surround/radar/final_view/21x_hosoku3.jpg

2018年12月20日、海自P-1哨戒機が韓国海軍駆逐艦から火器管制レーダー照射を受けました。

1.1 火器管制レーダー照射という異常事態

本ブログでも、2018年から2019年にかけて何本かのレーダー照射関連記事を書きました。
(関連記事):『 韓国レーダー照射彼らはルビコン川を渡ってしまった。
(関連記事):『 韓国レーダー照射を技術的視点から首謀者の推測へ!
(関連記事):『 韓国レーダー照射「電波要表」という秘密文書がある。

海軍の世界では火器管制(FC)レーダー照射は『撃つぞ!』という敵対行為となります。

図3 CUSE
図3 CUES.jpg
引用URL:https://imgv2-2-f.scribdassets.com/img/document/458784055/original/30008b72e9/1713337910?v=1

2014年に日韓共に署名した海上衝突回避規範(CUES)において、FCレーダー照射は明確な違反行為です。

海自P-1哨戒機から、韓国海軍に国際VHFで問い合わせても何も回答が無く防衛省は事態公表に踏み切りました。

1.2 韓国の反発と泥沼の水掛け論に発展

2018年12月22日には、韓国軍当局はFCレーダー照射は誤って発生してしまったとの見解が出てきました。

これで本来ならば海軍同士の手打ちとなるはずが、その後泥沼化していきます。

12月24日にはFCレーダー照射の事実を否定する、異例の展開になります。

図4 現場映像
図4 現場映像.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/surround/radar/20181228z.html

本来表に出るはずのない、現場映像やレーダー照射音が公表されるなど泥沼化していきます。

GISOMIA問題や輸出管理問題など、各種問題も絡んで2019年以降は日韓関係が対立してきました。

1.3 2024年になりようやく決着!

韓国では、2022年に文在寅大統領が退任して尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が発足します。
図5 尹錫悦大統領
図5 ユン政権.jpg
引用wiki

まともな保守中道政権が誕生して、ぎくしゃくしていた日韓関係も修復されていきます。

2024年6月1日に行われた、日韓防衛相会談にてレーダー照射問題の決着がつきました。

図6 三者会談
図6 三者会談.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/profile/minister/kihara/photo/20240602d.jpg

とりあえず、再発防止と共同訓練の再開という玉虫色の決着となります。

米国としても日韓が対立したまま、ずるずると時間が過ぎるのを座視できないとの判断でしょう。

まあ真相究明には程遠いですが、一応の手打ちとなるでしょう。

\韓国海軍だ!PR/ \PR!/
(2)韓国側から興味深い説明も!

真相解明にはほど遠いですが、韓国側から事件に関する興味深い説明が出てきました。
図7 韓国青瓦台
図7 韓国大統領府.jpg
引用URL:https://www.opencheongwadae.kr/resources/images/mps/main/visual/bg.jpg

レーダー照射事件に、韓国青瓦台(大統領府)が大きく関与していたと説明があったそうです。

2.1 従北政権文在寅大統領の時代

2018年当時は、従北政権とまで言われた文在寅(ムン・ジェイン)大統領の時代でした。

図8 南北会談
図8 南北会談.jpg
引用URL:https://img.hani.co.kr/imgdb/japan/news/resize/2021/0201/161213605088_20210201.JPG

北朝鮮の金正恩総書記と何度も会談するなど、従北体制がヒドイ状態でした。

そんな中で発生した、レーダー照射事件は韓国にとって何としても有耶無耶にしたいことだったのでしょう。

2.2 韓国大統領への報告は12月23日か?

今回の日韓国防相会談に先立ち、制服組同士の話し合いで韓国から重要な説明がありました。
『文在寅大統領が隠蔽を指示したため何も言えなくなった』

事件発生当初からささやかれていた、韓国大統領府による隠蔽工作がはっきりと証言されました。

最初はFCレーダー照射を認めながら、突然レーダー照射を否定する不可解な行動に根拠があったわけです。

図9 時系列
図9 時系列.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/surround/radar/index.html

時系列を読み直してみると、12月24日になり韓国の主張が突然ひっくり返ったことが分かります。

おそらく12月23日に、文在寅大統領に報告が行われ隠蔽指示が出たため主張が反転したのでしょう。

やはり文在寅大統領が、騒動の火種となったといえます。

2.3 今のうちにケリをつけるのが最善でしょう

色々文句もあり真相究明には程遠いですが、妥協の産物として今回の合意となりました。

2027年には韓国大統領選挙があり、親北派の野党が優勢です。

図10 曹国(チョ・グク)
図10 チョグク.jpg
引用wiki
何もなければ、玉ねぎ男なんて言われたチョ・グク(曹国)元法務部長官が大統領になるでしょう。

またまた反日政権に逆戻りとなり、関係改善は不可能になります。

今のうちに最終的不可逆な解決をしておいた方が、日本にとっても有利です。

\PR!/
(3)文在寅前大統領逮捕フラグ?!

文在寅前大統領は現在、自宅近くで書店を経営しているようです。

図11 文在寅
図11 書店.jpg
引用URL:https://image.ajunews.com/content/image/2023/04/26/20230426111325900621.jpg

しかし隠蔽証言がでてきたことで、逮捕が近いかもしれません。

3.1 2020年黄海公務員事件で大規模捜査!

文在寅前大統領については、2020年に黄海にて海洋水産部公務員が北朝鮮に射殺された事件の隠蔽を指示したとされています。

図12 捜索
図12 捜索.jpg
引用URL:https://japanese.joins.com/upload/images/2023/12/20231208090121-1.jpg

北朝鮮が射殺したことを知りながら、「自主的に北へ亡命した」など北朝鮮擁護を続けました。

捜査が進展しており、そろそろ逮捕になるかもしれません。

だからこそレーダー照射事件と合わせて、韓国政権が日本に譲歩して来たと見えます。

3.2 文在寅前大統領で真相が解明されるか?

韓国大統領経験者は、ほとんどが逮捕・亡命・自殺という末路を辿ってきました。

図13 李明博
図13 李明博.jpg
引用URL:https://img1.yna.co.kr/photo/yna/YH/2018/03/14/PYH2018031405580088200_P4.jpg

逃げ切りかと思われた、李明博(イ・ミョンバク)元大統領も収賄で逮捕実刑判決となりました。

文在寅前大統領も、2024年〜2025年には逮捕されて真相が出て来るかもしれません。

真相究明の時間を、楽しみに待ちましょう!
\PR!/

菓子と関連情報紹介!ロゴ.png
防衛・軍事ランキング
↑ブログ主の更新意欲維持の為↑バナーをクリック↑
↑していただければブログ主が↑頑張ります↑
posted by sstd7628 at 10:46| Comment(4) | TrackBack(0) | 世界情勢

2024年06月07日

空自F-35B戦闘機の燃料に関する大問題!

『海自JP-5に合わせるのか空自JETA-1にするのか?』
\PR!/

2024年度末に、ついに空自F-35B戦闘機飛行隊が新田原基地で創設されます。

海自「いずも型」護衛艦への搭載を考慮した、STOVL機となります。

図1 いずもF-35B
図1 いずもF-35B.jpg
引用URL:https://twitter.com/JMSDF_SDF/status/1445297105791172613/photo/3

喜ばしいことですが、実運用をするときの大問題はどうなるのでしょう?

空自F-35Bの燃料は、空自のJP-4(JET A-1)なのか海自のJP-5にするのか?!
(前回記事):『 イージスにMT30使うの大丈夫?部品供給できる? 』 
\こちらもご参考にPR!/
(1)ジェット燃料ってどれも同じじゃないの?

もしかすると、ジェットエンジン燃料なんてどれを入れても問題ないと思うかもしれません。

図2 戦闘機燃料補給
図2 戦闘機燃料補給.jpg
引用URL:https://twitter.com/jasdf_hyakuri/status/1165880908848619522/photo/4

まあ確かに、燃えりゃ何でもいいかもしれませんけど!
(関連記事):『 海上自衛隊の燃料なめてんじゃねーよ(激怒)!!

1.1 空自はJP-4からJET A-1燃料へ!

あまり知られていませんが、空自ジェット燃料はJP-4という燃料が使われていました。
図3 JP-4
図3 JP-4.jpg
引用wiki

簡単に説明すると、灯油とガソリンを混ぜたワイドカット系燃料です。

ただ平成28年度以降、民間航空機と同じJET A-1燃料に移行が進んでいます。
(大火力リークス資料より)

図5 JET A-1
図4 JetA-1.jpg
引用URL:https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783531/rc/2020/02/26/061c9f880658665cb1b8a36f62ff3521983e09c4.jpg

軍用で色々添加物を入れていたけど、安全性が確認できたため民生用と同じものに移行しています。
(大量生産する民間用の方が、燃料費が安くなるため)

普通なら、空自F-35BもJET A-1と思うかもしれません。

1.2 海自海軍航空機はJP-5!

ここで問題になるのが、海自や米海軍の航空機はJP-5という燃料を使用することです。

図6 JP-5
図5 JP-5.jpg
引用URL:https://d1ldvf68ux039x.cloudfront.net/thumbs/photos/1908/5651137/1000w_q95.jpg

ケロシン(灯油の元)をベースにした燃料で、艦上航空機には欠かせない燃料です。

なぜ空自・空軍の燃料と違うものを使うのか?それは艦上火災での延焼を防ぐためです。
図7 艦上火災
図7 艦上火災.jpg
引用URL:https://www.usni.org/sites/default/files/styles/embed_medium/public/Caiella-NH-JA-22%202.jpg?itok=PAmBVRzV

艦載機の火災は怖いですよ〜!なかなか火が消えません。

そのため、引火点が高いJP-5(61℃)を使用して何とか延焼を食い止める方策をしています。

1.3 ガソリン系は艦上に置きたくない!

海上自衛隊や海軍では、ダメコンの観点から引火しやすいガソリン燃料は極力搭載しないのが大原則です。

図8 護衛艦とね
図8 護衛艦とね.jpg
引用wiki

内火艇や複合作業艇用のガソリンタンクは、極力投棄しやすいようになっています。

とにかく、船の中に燃えやすい燃料は持ち込みたくありません!

となると、F-35B戦闘機の燃料をどうする?海自艦船側タンクをどうする?になります。
\F-35戦闘機のすごさを!PR/ \PR!/ 創業百余年の老舗が作る完全手作りの栗きんとんです♪
(2)空自F-35BにはJP-5が理想的だけど・・・

合理性を考えると、米海軍・海兵隊と同じくF-35BにJP-5使用が理想です。

図9 米海兵隊F-35B
図9 米海兵隊.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/FE4rY_UXMAAcs1u?format=jpg&name=4096x4096

しかし空自が、色々と割を食うことになるんですよね、

2.1 空自にJP-5用各種機器を用意させることになる

空自にJP-5を使用させるとなると、新たに地下燃料タンクなど新設する施設が多くなります。
図10 基地燃料タンク
図10 基地燃料タンク.png
引用URL:googlemap

JP-4やJET A-1に加えてJP-5を扱うことになり、空自の燃料補給取扱いが複雑化します。

さらにKC-46についても、JP-5を空中給油させるために改造が必要でしょう。

空自の別基地にF-35Bが着陸したとき、燃料補給が出来ないことも考えられます。(ココ重要!)

それでもなお、空自にJP-5使用を押し付けるか?となり費用対効果の問題が出ます。

2.2 海自護衛艦にJP-4(JET A-1)を使用させるか?

海自護衛艦に搭載する航空機は、JP-5を使用しています。

図11 空中再補給
図11 空中給油.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/sf/news/10/img/1021/02.jpg

護衛艦「いずも」「かが」だけにF-35Bを搭載するのだから、海自護衛艦にJP-4燃料タンクを設置するというのも考えられます。

ただこの場合、艦上救難員や応急工作員などのコワいお兄さんがたを納得させられるかな?

図12 仕事増やすなゴルァ!
図12 艦上救難.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/sf/news/09/0901.html#sf001-4

さらに海自艦艇装備の人間も、JP-4燃料搭載は遺伝子レベルで嫌がります。(可燃物キライ!)

さらに洋上補給での航空燃料補給用に、補給艦もJP-4専用タンクに改造する必要があります。

海自にとっては、JP-4搭載は絶対嫌だろうな〜!

2.3 英国F-35BはJP-5を使用

参考として、英空軍と英海軍F-35BはJP-5を使用しています。

図13 空中給油
図13 英国.jpg
引用URL:https://www.raf.mod.uk/index.cfm/_api/asset/image/?filePath=/raf-beta/assets/Image/401DBF52-17CF-46E1-BF09704B814DB31C-20211003_155418.jpg

これは、英国海軍と空軍が同じF-35Bを使用しているため可能になったといえます。

英空軍タイフーン(EF2000)が、JP-8(JET A-1)を使用していることから航空機別にしたことになります。

さて航空自衛隊は、どちらの燃料を使用することになるでしょうか?

既存施設を使えるJP-4が、最適ではあるけど?
\PR!/
(3)戦闘機の燃料は難しいね!

戦闘機や航空機の燃料は、簡単にはいきません。

図14 ストーブ異常燃焼
図14 異常燃焼.jpg
引用URL:https://i.gzn.jp/img/2018/12/16/nite-gasoline-erroneous-fuel/00.jpg

石油ストーブ(灯油)に、ガソリンを入れたら異常燃焼するのですから!

3.1 海自のJP-4受け入れが妥当かな?

費用対効果だけで考えると、海自がJP-4(JET A-1)を我慢して受け入れるのが正解かもしれません。

図15 P-3C
図15 P-3C.jpg
引用URL:https://twitter.com/jmsdf_smatg/status/1437311726953713668/photo/3

P-3CやP-1など、陸上発進する海自固定翼哨戒機ではJET A-1を使用しています。

火災からの安全性教育をして、地道に意識を変えるしかないかもしれません。

けど、空自のカネでJP-5大量調達もアリだぜ!!
\PR!/

菓子と関連情報紹介!ロゴ.png
防衛・軍事ランキング
↑ブログ主の更新意欲維持の為↑バナーをクリック↑
↑していただければブログ主が↑頑張ります↑

2024年06月01日

イージスにMT30使うの大丈夫?部品供給できる?

『ロールスロイスのエンジンには不安しかない』
\PR!/

イージス・システム搭載艦に、ロールスロイス製MT30エンジンが採用されるという報道がありました。

もがみ型護衛艦にも使用しているエンジンであり、海自のニュースタンダードになりつつあります。

図1 MT30エンジン
図1 MT30.jpg
引用URL:https://www.rolls-royce.com/~/media/Images/R/Rolls-Royce/Defence/2200_banner.jpg

ただ古い護衛艦に乗っていた身としては、ロールスロイスか・・・となるくらい不安があります。

悪評を克服してLM2500を超えるGTエンジンに大化けするか?!
(前回記事):『 イスカンデルMに戦術核を搭載できるのか?
\こちらもご参考にPR!/
(1)MT30は悪いエンジンじゃないんだけど!

海上自衛隊のエンジン屋さんは、今この状態かもしれません。

図2 頭を抱える
図2 頭を抱える.png
引用URL:https://irasutofree.com/illustrations/9971

またロールスロイスか!悪夢はもういやあああ!!!

1.1 MT30は夢のエンジンだぜ!

私はロールスロイス否定派ではないですよ!ホントだってば!

図3 F-1支援戦闘機
図3 F-1支援戦闘機.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/asdf/airpark/GUIDE/equipment/aircraft/img/f1.jpg

F-1支援戦闘機のエンジン(ロールスロイス製)で、さんざんこき下ろしたけどさ!
(関連記事):『 GTエンジン沼にはまってみないか? 』 
MT30GTエンジンの発表当初(2000年)は、ホントに海軍に変革をもたらす!と言われました。

図4 LM2500
図4 LM2500.jpg
引用wiki

LM2500エンジンしかなかった高速高出力エンジンに、さっそうと登場したMT30!

1.2 統合電気推進などににピッタリ!

MT30エンジンが歓迎されたのは、IEP(統合電気推進)に非常に向いているからです。

海上自衛隊でも、砕氷艦「しらせ」などでIEPとなりました。

図5 あさひ型護衛艦
図5 あさひ型護衛艦.jpg
引用wiki
さらに「あさひ型」護衛艦以降では、巡航時電気推進と機械式推進のCOGLAGに進化しました。

LM2500では運転効率が悪いため、MT30は代替手段として非常に注目されました。

図6 構造
図6 構造.png
引用URL:https://www.rolls-royce.com/~/media/Files/R/Rolls-Royce/documents/country/japan/mt30-brochure-japanese.pdf

GT1本で40MWという、夢のような高出力はレーザー砲やレールガン搭載も可能にする出力です。

LM2500エンジン2本分の出力を、MT30は1基で出せます。

1.3 信頼性のある航空機用エンジンから派生!

?T30は、ボーイング777用エンジンのトレント800をコアエンジンにした派生型です。

図7 トレント800
図7 トレント800.jpg
引用wiki
信頼性についてはお墨付きと言えるだけの、非常に優れたエンジンです。

だからこそ、各国海軍の新型艦艇にMT30が採用されているといえます。

図8 各国採用艦艇
図8 各国海軍.png
引用URL:https://www.rolls-royce.com/~/media/Files/R/Rolls-Royce/documents/country/japan/mt30-brochure-japanese.pdf

順調に進めば、日本がMT30エンジンの最大のユーザーになるでしょう。

\護衛艦を勉強!PR/ \PR!/
(2)SM1A/Cの二の舞いにならなきゃよいけど!

かつてMT30の前に、夢のエンジンWR-21が英45型駆逐艦に搭載されました。

図9 WR-21
図9 WR-21.png
引用URL:https://www.researchgate.net/profile/Ji-Jeong-3/publication/267500656/figure/fig2/AS:392068531802118@1470487830978/WR-21-intercooled-and-recuperated-gas-turbine.png

結果は散々なものになっています。

2.1 大丈夫?SM-1A/Cみたいにならない?

古い海自の人間にしてみれば、あさぎり型護衛艦以降に搭載したSM1Aエンジンを思い出すでしょう。

図10 あさぎり型
図10 あさぎり型.jpg
引用wiki

最近だと、あきづき型護衛艦(19DD)がSM1Cを搭載してるほどです。

他に「ましゅう型」補給艦にも搭載するなど、海自ではロールスロイスエンジンを多く使っています。

しかし修理や部品製造に、どれだけ苦労したことか!

2.2 部品が来ねえんだよう!

海自エンジン屋さんにしてみれば、SM1A/Cほど手を焼かされるエンジンはなかったでしょう。
図11 部品
図11 部品.jpg
引用URL:https://media.licdn.com/dms/image/C5612AQGUQ857zGUnLg/article-cover_image-shrink_600_2000/0/1520208890211?e=2147483647&v=beta&t=VBxqopH4qbXHp1cYCc1ncrJQXrJj2bwjAtwbQAd79Qo

特に部品は高いわ!修理回答が遅いわ!と非常に川崎重工業も苦労しました。

あげくに本機の販売成績が英国の他にはオランダにしか売れず、日本が最大のユーザーになってしまいました。

さすがに切れたのか川崎重工業が、2012年にSM1A/Cの権利を全て買取国産化してしまいます。

図12 事業譲渡
図12 国産化.png
引用URL:https://www.khi.co.jp/corporate/timeline/pdf/125history_19.pdf

ロールスロイスエンジンをめぐっては、海自は強い恨みを持っています。

2.3 MT30も押し付けられるかも?

MT30については、海外販売成績がいまいち伸び悩んでいます。

図12 コンステレーション級
図12 コンステレーション級.png
引用wiki

米国の次期フリゲート「コンステレーション級」でのエンジン受注に失敗しており、MT30のさらなる受注が見込めない状況です。

日本はFFMにて22隻+ASEV2隻と、順調にMT30搭載を増やしています。

またまたSM1A/Cのように、日本が最大ユーザーとなってしまうかもしれません。

エンジンの形態管理も、とてつもなく大変なんですよ!
\川崎の苦労!PR/ \PR!/
(3)MT30採用を素直に喜べない

MT30もカタログスペック上は、ホントに良いエンジンなんですよ!

ただロールスロイス製と言うだけが、不安の種です。

3.1 GCAPも大丈夫か?

航空自衛隊の次期戦闘機(GCAP)の共同開発も、いよいよ本格化しました。

図13 GCAP
図13 GCAP.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/policy/defense/nextfighter/images/nextfighter_06.jpg

機体やレーダーはともかく、エンジンはロールスロイスが主開発企業となるでしょう。
(やはり戦闘機用エンジン開発ノウハウのあるロールスロイスは強みがある。)

かつてのT-2/F-1で、非力なアドーアエンジンに散々悩まされた悪夢がよみがえります。

MT30も気が付いたら日本がメインユーザーになっているかもしれません。

今後も情報に注意していきましょう。
\PR!/

菓子と関連情報紹介!ロゴ.png
防衛・軍事ランキング
↑ブログ主の更新意欲維持の為↑バナーをクリック↑
↑していただければブログ主が↑頑張ります↑
Build a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: