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2019年に防衛装備庁の研究で、陸自偵察バイクの電動静粛化という面白い研究が始まりました。
当時は夢物語であった、電動バイク技術を早期に確立しようという物です。
図1 偵察バイク
引用wiki
2024年1月には、カワサキがついに電動バイクの販売を開始しました。
陸自偵察バイクも、電動化の波に乗ることが出来るか?!
(前回記事):『 悲報くぅじーさんに捕捉される(涙)! 』
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(1)防衛装備庁新技術短期実証事業!
カワサキが発売した電動バイクは、防衛装備庁の新技術短期実証事業の成果として登場しています。
図2 電動バイク
引用URL:https://images.squarespace-cdn.com/content/v1/63c94d36684e583a7ae37e3b/bced4117-8cbd-46bc-b5ab-97cd9b8c1358/Captain-Electro-Kawasaki-Electric-Motorcycles-1.jpg?format=2500w
今後は、陸自偵察バイクへの転用が期待されます。
1.1 平成29年度(2017)に研究開始!
カワサキが受注した、電動化による偵察バイクの静粛化は2017年に防衛装備庁の研究に採用されました。
図3 研究内容
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/meeting/bouei_gijutsu/sonota/07_b.pdf
偵察部隊が使用するバイクを、リチウムイオン電池と電動モーター使用で静粛化する研究です。
新技術短期実証事業は、あくまで装備化前提ではなく新技術を研究するものです。
研究結果の続報が無かったのですが、2019年にカワサキが電動バイク投入のリリースをして、新技術短期実証事業の初の商業化事例となりました。
その後2024年1月に、「Ninja e-1」「Z e-1」を発売することになります。
1.2 Z e-1は偵察バイクに転用できそう!
注目すべきは、Z e-1と呼ばれるオフロードモデルが偵察バイクに転用できそうです。
図4 Z e-1
引用URL:https://www.kawasaki1ban.com/wp-content/uploads/2023/12/kawasaki_e-1_02-580x435.jpg
扱いは125CCのバイクと同等レベルで、現用偵察バイクの250CCよりは劣ります。
(出力が半分以下となっている。)
しかしながら、十分部隊研究として使用できる価値はあるでしょう。
1.3 電動バイクの軍事的価値は高まっている
2017年の開発開始当初は、電動バイクについてはあまり研究の比重が高いとは言えませんでいた。
カワサキも研究資金を求めて、防衛装備庁新技術短期実証事業に応募したほどです。
図5 開発途中
引用URL:https://global.kawasaki.com/en/corp/sustainability/report/2021/pdf/21_houkokusyo.pdf
しかし民生用にも軍事用にも、電動バイクの価値が高くなっており非常にタイムリーな研究となりました。
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(2)ウクライナ戦争での電動バイク
電動バイクの軍事的有用性を示したのが、ウクライナ戦争といえます。
図6 ウクライナ戦争
引用URL:https://cloud.rtl.it/RTLFM/News/Article/1920xH/veloci-silenziose-e-invisibili-ai-sensori-biciclette-elettriche-la-marcia-in-pia-dellaesercito-di-wide-site-yilhc.jpg
機動性と静粛性で、ウクライナ軍の足となっています。
2.1 対戦車弾まで運ぶ電動バイク!
ウクライナ戦争において、車両不足に悩むウクライナ軍は騎兵まで投入する事態となっています。
図7 騎兵
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/GEX4P-qWEAENzvp?format=jpg&name=medium
そんな中で、市販電動バイクを改造して軍事用に使い始めました。
皮肉なことに、機動力と生産性の高さから各所で活躍しています。
2.2 対戦車兵器とのコンビ
電動バイクは、供与された対戦車兵器と組合わせて運用もされています。
図8 対戦車兵器
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/FS9LSauWQAMa61z?format=jpg&name=small
対戦車兵器を投入するうえで、最も問題となるのが迅速かつ静粛に人員を投入できるかです。
電動バイクは、偵察の他に対戦車兵器配備への一つの解を出したといえます。
2.3 通信システムとの相性
偵察部隊の役目として、敵情報を入手して迅速に司令部に伝達することです。
図9 偵察兵
引用URL:https://twitter.com/13b_jgsdf/status/1309034994191544320/photo/1
大容量の情報を送信するには、通信機も電力をかなり食います。
陸自の広帯域多目的無線機(コータム)は、バッテリー駆動であり電力補給の場所が限られます。
電動バイクが使えれば、かなり使い勝手がよく大容量通信システムも使用可能になるでしょう。
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(3)電動バイクは偵察用に向いている
今まで自衛隊で電動化という物は、顧みられていない所がありました。
偵察用バイクも、その一つといえます。
3.1 真剣に検討する必要がある!
2017年の研究開始当初の偵察バイクの電動化は、あまり注目されていませんでした。
図10 バイク
引用URL:https://www.mod.go.jp/gsdf/neae/6d/photo/bike_2.jpg
偵察バイクはエンジンで動かすという、固定概念があったといえます。
しかしウクライナ戦争での活躍を見ると、電動バイクの必要性は高まったといえます。
3.2 充電方法の改善の問題はある。
カワサキから発売された電動バイクも、問題が無いわけではありません。
図11 バッテリー
引用URL:https://content2.kawasaki.com/ContentStorage/KMJ/Products/5370/a0372028-3b9e-43de-83f5-9dfebaf532fc.jpg
1個約11.5kgのバッテリー2本フル充電で、約4時間かかるという充電時間の問題です。
(燃料式なら10分もかからない)
野外において家庭用コンセントが存在しない状況で、太陽光パネルなどで電力供給を検討する必要があるでしょう。
しかしながら今すぐにでも、電動バイクの運用研究自体は始めるべきです。
せっかく防衛装備庁新技術短期実証事業にて、電動バイクの技術的知見を得たのですから!
今後の陸自における、しっかりとした研究ビジョンが必要です!
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今回登場したZ e-1については、まずは最初のモデルとして登場しました。
1回の充電で航続距離約90kmほどですが、民生用として普及すればもっと航続距離が伸びて来るでしょう。
いつの日か訓練展示にて、電動偵察バイクが走り回る日が来るかもしれませんね!
ついに偵察バイクも電動化の時代ですね。
電動化のメリットは静粛性や通信機器のバッテリーにも使え、相性がいいだけでなく、そのバッテリーはドローンの電源にも利用できます。つまり、電動バイクで偵察先まで行き、さらにドローンで偵察可能です。
また、電動バイクにすると、バイク用のガソリンが不要となり、ディーゼル発電機を準備すれば、補給も軽油だけで賄えます。まさに一石二鳥だと思います。また、日本製のバッテリーだと安心感があります。早期の部隊配備を期待します。