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理琉(ワタル)
自閉傾向の強い広汎性発達障害。鬱病から再起後、低収入セミリタイア生活をしながら好きなスポーツと創作活動に没頭中。バスケ・草野球・ブログ/小説執筆・MMD動画制作・Vroidstudioオリキャラデザインに熱中。左利き。 →YouTubeチャンネル
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2021年06月14日

【おすすめ本】『国会議員を精神分析する』PART1 ”強烈な自己愛パーソナリティの持ち主が生き残る世界”〜。

  • 「今の子どもたちは我慢を知らない」
    と言いながら、会議中のタバコを我慢できない議員

  • 批判されたかと思えば、
    その内容とは無関係な演説を延々と繰り広げる議員

  • 差別的な発言をとがめられても
    「そんなつもりではないので、差別と受け取った相手が悪い」
    という態度を崩さない議員



国会議員には、なぜこんな「ヘンな人たち」が多いのか。

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『国会議員を精神分析する』

この本では
精神科医であり、国会議員を経験した著者が、
国会に集まる「ヘンな人たち」の心理を分析していく。


ー目次ー
  1. 国会議員に”ヘンな人たち”が多い理由
  2. 出身別:政治家の自己愛のタイプ
    ?@世襲議員
    ?A政治家になりたくてなった議員
    ?B番外編:タカ派
  3. なぜ自己愛が強い人が生き残るのか
    ?@目立ってなんぼの選挙活動
    ?A多忙と閉鎖空間による洗脳
    ?Bさまざまな特権による自己愛の強化
    ?C政治主導したい官僚におだてられる
  4. まとめ

1.国会議員に”ヘンな人たち”が多い理由

選挙を勝ち抜き「政治家」になる人。
そしてそこへ長くとどまっている人たちは、
強烈な自己愛パーソナリティを持っているから。


自己愛パーソナリティとは、

  • 自分は特別に優れた存在で、
    「自分のすることは正しい」
    という前提で物事を見る

  • 「自分が、自分が」と、
    他者を踏みつけてでも
    自分が最前列に出ることをためらわない

  • 他者への共感性が低く、
    自分の言動が他者を傷つけることに気づかない

というような意識が強い状態のこと。



「自分は大切な人間」
という感覚は生きる上で必要だ。

しかしそれが強すぎると、
「自分は特別で偉大なのだから何をやってもよい」
という特権意識を育ててしまう。

その特権意識が強すぎる人たちが
国会議員として生き残っているという。

2.出身別:政治家の自己愛のタイプ

「自分は特別で偉大な存在である」
という特権意識をどうやって担保するか。

これは政治家の出身によって、
大まかな傾向があるという。

?@世襲議員

世襲議員、特に物心ついた頃から
「将来は父の後をついで政治家に」という場合は、

偉大な政治家である親や祖父に
自分を重ね合わせることで自己愛を満たす。


「私の父はこれだけ偉大な政治家だ、
 だからその子である自分は選ばれた存在だ」


という意識を強く持っている。

?A政治家になりたくてなった議員

政治家になりたくてなった議員の場合、

「政治家という権威の象徴」に
自分がなることで自己愛を満たす。


その動機はたとえば、

権力がほしい
コンプレックスを晴らしたい
利権でお金を儲けたい
偉い人になりたい

いずれの動機にしても、

政治家になることで
権威の象徴たる国会議事堂に入り、
限られた指定席に堂々と着く、
という特権意識を持てる。


?B番外編:タカ派

タカ派とは、
戦争や武力行使を容認する傾向のこと。

国会議員、特に
政治家になりたくてなった議員は
タカ派になりやすいという。

彼らは政治家という特別な指定席を目指して
ガツガツと進んできた人が多いため、
世襲議員より力や権力志向になりやすい。

強い国家
→それを作りだした自分こそ強い

強い軍事力
→それを操れる自分にこそ力がある

他国
→「強い国=自分」という自己像を傷つける存在


というように、
国家という最大の権威に
自分を同一化させたい欲求が強い
のだ。

3.なぜ自己愛が強い人が生き残るのか

このように、国会議員には
「自分は特別で偉大な存在」という
強烈な自己愛を持った人が多い。

では、なぜここまで強い自己愛を持った人が
国会議員として生き残るのだろうか。

それは
政治家になる過程と、なってからの境遇で
さらに自己愛が強化される仕組みがあるからだという。

?@目立ってなんぼの選挙活動

先日、某自民党議員が
「政治の世界では、悪名は無名に勝る」
と言っていたが、確かにその通りで、
知られなければ話にならないのは事実である。

第3章”自己愛が強くなければ選挙に勝てない” より

日本では選挙区選挙が中心である以上、
選挙は「目立ってなんぼ」である。

政策が優れている、人柄がすばらしい、
という以前に、

存在を知られなければ
当選すらできないという現実がある。

そのため、
候補者は「自分が、自分が」と目立ち、
支援者も目立たせるために動く。


その繰り返しが
「脚光を浴びるべき特別な存在」
という自己像を大きくしていく。

?A多忙と閉鎖空間による洗脳

  • 各種会議
  • 所属政党での活動
  • 選挙区へ何度も足を運ぶ

など、 国会議員はとにかく多忙。

休日は基本的になく、
睡眠不足と疲労で思考力が落ちていく。

そんな状態で、国会という
「私は特別、自分が自分が」
という人に囲まれているうちに
それが正しいと洗脳されていく。


激務でストレスフルなため余裕もなく、
ますます他者に寛容でなくなる。

?Bさまざまな特権による自己愛の強化

  • 電車やバスのフリーパス
  • 黒塗りの高級公用車
  • 議員専用エレベーターの赤じゅうたん

など、 議員にはさまざまな特権がある。

分刻みで激務の議員活動のための便宜だが、
こういった特別扱いは、
「自分は重大な仕事をしているので、
 順番など待たなくてもよい」


という
自己愛パーソナリティ特有の
誇大な自意識や特権意識を強化
していくことになる。

第4章”なぜ「政治家」は官僚の手玉に取られるか” より

?C政治主導したい官僚におだてられる

日本の政治は、表向きには
「政治家が法律を作り、官僚が実行する」

しかし実質的には
「法律を作るのも、実行するのも官僚」
「法律は各省庁の利益になるように作る」

だから官僚たちは、
自分たちが作る法律を通してほしいため、
政治家を「先生」と持ち上げる。

そして、政治家たちは
「偉大で完璧な存在でいたい」思いが強いために、
わからないことを素直に「わからない」と言えない。


官僚が、通してほしい政策の説明をしたとき、
内容がわからなくても「わかったフリ」をする。
答弁などでも素早くフォローする。

こうして、実際には手玉に取られている官僚に
チヤホヤされ、特権意識が強化されていく。


4.まとめ

<国会議員に「ヘンな人」が多い理由>
強烈に自己愛の強い人が生き残る世界だから

<自己愛が強い人が生き残る理由>
政治家になる過程と、
なってからの多忙や特別扱いにより、
自己愛がどんどん強化されていくから

「どうして平気であんなことを?」
と思えるような言動。

それは、彼らが
「自分という存在は特別だ」と
強く思いたいがためだった。

裏を返せば、 彼らの自己愛は、
親の偉大さや国家という巨大な力に
重ねなければ崩れてしまうのだろう。


本当は弱く、もろい自分を守るのに必死なのだ。


この本は、彼らの一見、不可解な言動を、
「どう自分を守ろうとしているのか」
という視点で見る方法を教えてくれた。



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