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図書館で『横尾忠則さんへの手紙』という本を手にしたのです。ぱらぱらとめくってみると、横尾さんの作品(カラー画像)が思いのほか並んでいる。・・・いわゆる見て楽しいビジュアル本でんがな♪【横尾忠則さんへの手紙】酒井忠康著、光村図書出版、2019年刊<「BOOK」データベース>より冒険王・横尾忠則氏へ捧げる、美術評論家・酒井忠康氏からの11篇のエール。<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくってみると、横尾さんの作品(カラー画像)が思いのほか並んでいる。・・・いわゆる見て楽しいビジュアル本でんがな♪rakuten横尾忠則さんへの手紙パリでの横尾忠則展覧会が語られているので、見てみましょう。p20~21<横尾さん、がんばれよ!> 3月のパリはすばらしい展覧会が集まっていた。 パリ市近代美術館のボナール、オルセーでのセザンヌとピサロの蜜月時代の作品を集めた展示、グラン・パレではアンリ・ルソー、そしてルーブルでは何と珍しいことにアングルの大展覧会が開催されていたのです。 こうした巨匠たちの展覧会が開催中のパリの一画で、日本人、横尾忠則の展覧会を見てわたしは「横尾さん、がんばれよ!」という思いで一杯になった。 なぜか? 柳田国男が伝説と昔話について書いていますね。伝説は植物のように動かしがたく、そこにあるもの。昔話は鳥のさえずり、伝承するもの。そこには粉飾もあるし、変化もある。僕は、ああ、同時期に展覧会をしていた巨匠たちは伝承で、横尾さんは昔話の語り手なのだ、と思った。 ボナールだって、最初は昔話の語り手だったはずなんです。ルネサンスの巨匠に比べれば。けれど、今は伝説になってしまい窮屈で囲われた世界から抜けられない。 横尾さんは違うんだな。画家宣言なんかしなくたっていいんです。グラフィックデザインだって、イラストだって、何をしてもいい。横尾忠則であることが、既に昔話の語り手なんです。 滝のポストカードを集積した作品がありますね。たとえばボナールなら一つの滝に集中して自己に仮託するでしょう。ところが昔話の語り手たる横尾さんは、すべてを公開する。フランス人にその意味が伝わったかどうか。欧州の表現形式の尺度で、絵画上の装飾、あるいは集積と受け止められはしないだろうか。 展覧会のポスターになった作品≪香港≫にしても、一度見たら忘れられないよね。今、風俗的な絵を描く人はみんなイラストレーターだけど、横尾さんは違う。作品の内にある社会性、他者の声は、イラストレーションの世界ではない。突き抜けてる。あるジャンルに類型化することができない。 こんなアーティスト、そうはいない。稀少ですよ。日本の芸術界に横尾さんという杭がもしなかったら、実に寂しい風景だと思いますよ。『横尾忠則さんへの手紙』1:まえがきにかえて
2020.01.31
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ネット巡りをすることは、ネット広告業界に対して「いいね♪」というクッキー情報を与えていることになります。ネット巡りすることで、ハンドル名の消費者が特定される恐れがあるそうです。スマホを持たない太子は、当分の間は安全といえるわけだが・・・スマホべったりのアホな女学生などが危険なようです。そのネット記事を見てみましょう。2020/1/23グーグル、クッキー提供完全廃止の衝撃度合い…ネット広告業界は存亡の危機に陥るのかより 電通がまとめた「2018年 日本の広告費」によれば、日本の広告費は6兆5300億円ですが、「インターネット広告費」は1兆7589億円(前年比116.5%)と5年連続で2桁成長を続けており、媒体としては地上波テレビ広告1兆7848億円(前年比マイナス1.8%)に肉薄しています。すでに米国ではネットがテレビを抜いており、日本も時間の問題だといわれています。 そんな急成長中のネット広告業界に衝撃を与えるニュースが飛び込んできました。米グーグルが1月14日に同社のウェブブラウザ「Chrome」でのサードパーティークッキー(Cookie)のサポートを、2年以内に完全に廃止する計画を発表したのです。これだけを聞いても、意味がよくわからない方もいると思いますので、まずはじめにネット広告についてわかりやすくご説明します。(中略)■高まる自社メディアの重要性 今回グーグルが発表したのは、サードパーティークッキーの使用を2年以内に完全に廃止するという内容でした。すでに米Mozillaは同社のウェブブラウザ「Firefox」についてデフォルトでサードパーティークッキーをブロックしていますが、市場の6割を占めるといわれているChromeでも廃止となる予定です。現段階でもChromeの設定をユーザーがブロックすることはできますが、今後はデフォルト(初期値)でブロックされることになり、ネット広告業界に大きな影響が出ることが予想されます。 欧州の一般データ保護規則(GDPR)や、米国のカリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)など、個人情報保護のための規制は強化されつつあります。とはいえ自社メディアを有している企業が取得するファーストクッキーについては対象とはなりませんので、今後広告主としてはますます自社メディアの重要性が高まるのではないかと思います。
2020.01.31
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図書館に予約していた『言ってはいけない中国の真実』という文庫本を待つこと8日でゲットしたのです。同じ著者の『上級国民/下級国民』という本を予約しているが、なかなか巡ってこないので、ちょっと前に刊行されたこの本を予約したら、即入手できたのです。【言ってはいけない中国の真実】橘玲著、新潮社、2018年刊<「BOOK」データベース>より崩壊説を尻目に急速な経済成長を遂げた人口13億の大国・中国。満州からチベット、内モンゴルまで、その隅々を旅した著者は、至るところで不動産バブルの副産物で「鬼城」と呼ばれるゴーストタウンに出くわす。高層ビルが林立する超モダンな廃墟が建てられる元となった「錬金術」の仕組みに着目し、日本と異なる国家体制、組織のあり方、国民性を読み解く新中国論。<読む前の大使寸評>同じ著者の『上級国民/下級国民』という本を予約しているが、なかなか巡ってこないので、ちょっと前に刊行されたこの本を予約したら、即入手できたのです。<図書館予約:(1/18予約、1/26受取)>rakuten言ってはいけない中国の真実人口ボーナスと人口オーナスが語られているので、見てみましょう。p193~196<生産年齢人口が減少するとバブルがはじける?> 日本は敗戦後にアメリカの占領下で経済の復興を成し遂げたから、アジアの国々のなかではもっとも早く人口ボーナスを享受することになったが、その分だけ人口ボーナスが終わるのも早かった。 団塊の世代がリタイアするようになると、若者よりも高齢者の数が多くなる逆ピイらミッド型の人口構成になる。そうなれば、働き手一人あたりの社会的な負担は重くなって可処分所得は減り、そのうえ将来の増税や社会保障の削減を見越して消費を控えるから景気が悪くなる。 人口が減れば必用な住宅の数も数なくなって、と院など一部を除けば地価も下落するだろう。このように人口構成が経済成長の重荷になった状態を「人口オーナス(負荷)」という。 長期的に見れば、人口ボーナスというのは需要の先食い(前借り)であり、人口オーナスでその儲けを吐き出すことになる。『老いていくアジア』で大泉氏は、日本の高度経済成長が人口ボーナスで説明できるように、1990年代以降の「失われた20年」は人口オーナスで説明可能だとしたうえで、東アジアの国々でも、いまや遅れてきた人口ボーナスが終わりつつあると述べる。 人口ボーナスの時期にちがいがある理由は、それぞれの国の現代史を見ればすぐにわかる。韓国は朝鮮戦争が、中国は膨大な餓死者を出した大躍進政策と文化大革命が、ベトナムはアメリカとの長い戦いがあって、本格的なベビーブームの時期が日本より「」と呼ばれた韓国、台湾、香港、シンガポールは日本からほぼ20年遅れて人口ボーナスが始まり、1980年代に「東アジアの奇蹟」を起こしたがこれらの国の出生率は日本よりも低く高齢化が急速に進んでおり、この1~2年で人口オーナスの時期に入ることになる。 文化大革命後にベビーブームの起きた中国は日本からほぼ30年遅れて人口ボーナスが始まり、1990年代からの改革解放による爆発的な経済成長につながった。中国の成長が他のアジア諸国を圧倒したのは、多産少子から少産少子への移行から生じる人口ボーナスとともに、農村から沿海部の都市への労働人口の大規模な移動が生産年齢人口の急増をもたらし、人口ボーナスの効果にレバレッジをかけたからだ。 しかしその中国も、一人っ子政策などの影響で少子高齢化が進むのも速く、2010年代からは人口ボーナスの効果はほとんどなくなり、早晩、人口オーナスの停滞期を迎えることになる。『言ってはいけない中国の真実』1:鬼城(ゴーストタウン)のメカニズム
2020.01.30
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図書館に予約していた『言ってはいけない中国の真実』という文庫本を待つこと8日でゲットしたのです。同じ著者の『上級国民/下級国民』という本を予約しているが、なかなか巡ってこないので、ちょっと前に刊行されたこの本を予約したら、即入手できたのです。【言ってはいけない中国の真実】橘玲著、新潮社、2018年刊<「BOOK」データベース>より崩壊説を尻目に急速な経済成長を遂げた人口13億の大国・中国。満州からチベット、内モンゴルまで、その隅々を旅した著者は、至るところで不動産バブルの副産物で「鬼城」と呼ばれるゴーストタウンに出くわす。高層ビルが林立する超モダンな廃墟が建てられる元となった「錬金術」の仕組みに着目し、日本と異なる国家体制、組織のあり方、国民性を読み解く新中国論。<読む前の大使寸評>同じ著者の『上級国民/下級国民』という本を予約しているが、なかなか巡ってこないので、ちょっと前に刊行されたこの本を予約したら、即入手できたのです。<図書館予約:(1/18予約、1/26受取)>rakuten言ってはいけない中国の真実鬼城(ゴーストタウン)のメカニズムが語られているので、見てみましょう。p188~190<二重権力と無責任> 中国社会の特徴は、あらゆる行政機構が共産党と(地方)政府の二重構造になっていることだ。 中国には約8700万人の共産党員がおり、各地方の代表が全国人民代表大会(全人代)で任期5年の中共中央委員会のメンバーを選任し、そこから7人の中央政治局常務委員が選ばれる。常務委員の序列1位が共産党のトップである総書記(国家主席)となり、序列2位(もしくは3位)が行政府である国務院の総理(首相)を務める。中国において、政府(国務院)は共産党委員会が決めたことを執行する機関に過ぎない。 共産党はこうした支配構造を、省や市、県などの地方組織ばかりか、国有銀行や国有企業など社会の隅々にまで張り巡らせている。そこには共産党員からなる委員会(細胞)が置かれ、その序列1位は書記と呼ばれる。 省長や市長、県長はその地方のトップではなく、共産党委員会(書記)の指導に従わなくてはならない。中国工商銀行や中国銀行は世界最大の金融機関で、形式上は頭取(CEO)が統治していることになっているが、実際には銀行内に共産党委員会が置かれ経営を監視されている。 こうした二重権力状態が、中国の社会制度をきわめて複雑なものにしている。 地方政府は市民の生活に責任を負うが、彼らは共産党委員会の指示に従っているだけだ。 共産党の書記は市民の代表ではなく、より上位の共産党委員会の命令で地方に送り込まれてくる。彼らが市民よりも上部機関の評価を気にするのは当然だ。このようにして、個々の問題に対していったい誰に権限と責任があるのかわからなくなってしまう。 近代的なガバナンス理論では、権限と責任は常に一体であることが求められる。ところが中国型のガバナンスでは権限と責任は分離してしまい、外部からはその実態が見えない。そのうえ中国では、真の権力者は責任をとらないと考えられている(責任をとらない者ほど大きな権力を持っている)。 中国の地方都市で鬼城と化したビル群を目にしたひとは、誰もが「なぜこうなるまで放置したのか」と疑問に思うだろう。日本でも1980年代末のバブルのときは異常な不動産開発が行われたが、中国のような巨大な廃墟は生まれなかった。それは「市場原理」によって、採算のとれないビルを開発した不動産業者や、そこに無理な融資をした金融機関は、責任をとって市場からの退出を迫られたからだ。 ところが中国では、大規模な不動産開発は地方政府と国有銀行が結託して行われており、そこには失敗に対して責任をとる主体がいない。リスクなしに利益を自分のものにできるならば、どれほど危うい事業でも開発を止めようとは思わないだろう。たとえそのような理性のある幹部がいたとしても、周囲の既得権層からたちまち排除されてしまうにちがいない。 オーストリアの経済学者フリードリッヒ・ハイエクは、市場原理以外に権力の暴走を止める効果的な方法はないとして、ソ連の社会主義経済の破綻を予言した。中国で起きている不動産バブルもこれと同じで、経済学的にはなにも特別なことはない。その規模がおそろしく大きい、ということを除けばだが。ウーム 「市場原理」に悪乗りしたような共産党王朝であるが・・・いつまで待てば自滅してくれるんでしょうね。一方、島国根性にますます染まるような我がニッポンではあるが。
2020.01.30
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前NSA長官兼2代目サイバー軍司令官のマイケル・ロジャーズさんが朝日のインタビュー欄で「大統領選への介入、外敵は試みるはず、法の下で対抗する」と説いているので、紹介します。(マイケル・ロジャーズさんのインタビューを1/29デジタル朝日から転記しました) 米国家安全保障局(NSA)は、世界最大の電子情報収集機関として知られる。頭文字が「No Such Agency(そんな組織はない)」を意味すると言われるほど秘密に覆われていたが、「スノーデン事件」で一端が浮かび、世界に衝撃を与えた。ネット時代の「サイバー新冷戦」の攻防を、NSAの前トップに聞いた。Q:インターネットの出現で世界はどのように変わりましたか。A:世界が、かつて見たことがないレベルでつながり、個人と個人の間で情報が流れています。これは素晴らしい発見や経済活動の高まりに貢献していますが、気をつけないと、悪用されかねません。Q:悪用とは?A:つながりは時に不正確な情報を広めたり、他人の意見や行動を操作したり、影響を与えたりすることにも用いられるのです。技術を悪用して、社会に緊張を生み出そうとしている人たちがいます。そのなかで、市民が自由に発信できる権利をどのように保障するのか、という課題が、民主主義国家に突きつけられています。アメリカでは2016年の大統領選でそのことが浮き彫りになりました。Q:ロシアの選挙介入ですね。A:ロシアによる選挙介入の試みは昔からありましたが、16年は規模が違いました。サイバー空間とソーシャルメディアも活用してメールや情報を盗み出し、ソーシャルメディアで偽情報を拡散させ、社会の対立をあおったのです。 開かれた社会の中でも人々が広く合意に至っていない問題はあります。銃規制であったり、性的自認であったり、国によって異なりますが、これらの問題は感情に響きます。ロシアが分断を作り出したわけではありませんが、分断を研究し、社会の不和を助長しようとしました。権威主義国家は、民主主義国家の自由な社会を逆手に取り、悪用しているのです。Q:まさにその大統領選当時、NSAのトップでしたね。うまく対応できなかったのですか。A:我々は、ロシアが介入の活動をしていることは感度良く捉えていたと思います。ただ、それがどれだけ幅広く、根深かったかは十分に理解できていませんでした。また、こうした問題に対応するために、社会の中で政府と民間企業が協力していく必要性も浮かびました。ソーシャルメディアを運営する会社に『あなたたちの問題だから解決しなさい』と言うだけではうまくいきません。Q:その経験は、情報機関としてのあり方を変えましたか。A:我々は情報機関として国内ではなく、海外から情報を得ることを目的としているため、米国の市民にどのような影響があり、投票行動をどのように変えたかを判断する立場にはありません。民主主義国家では、情報機関が国内の人たちの動きや意見を監視するのは好ましくなく、あくまで外敵が対象となるべきです。この点はこれからも変わりません。 ■ ■Q:今秋には米大統領選があります。NSAや国防総省は昨年、「ロシアや中国が介入を試みるだろう」と声明を出しました。A:私はそのときには既に政府から離れていましたが、16年の米大統領選は一度きりの問題ではありません。声明では、ソーシャルメディアを使った偽情報の拡散やサイバー攻撃の可能性に言及していますが、こうした行動を、目標達成のための手段であると捉えている国家や組織は確かにあります。Q:声明は中国の名前も挙げています。A:中国は、20世紀が『屈辱の世紀』だったと明言しています。その理由を探るなかで、西側諸国に経済的な繁栄や強大な軍事力をもたらした原因の一つは、20世紀を形作った技術の多くが西側によって開発されたことだった、との結論を得たのだと思います。 そこでデジタル時代を迎えるにあたっては自分たちで技術を開発し、世界標準とし、巨大な企業の創設につなげる必要があると判断したのです。華為技術(ファーウェイ)や中興通訊(ZTE)、アリババといったIT企業の存在には、こうした中国の戦略がみえます。Q:IT企業への中国の国家的関与をどうみていますか。A:これは中国だけのことではなく、国家として、経済競争力に直結する技術をどのようにとらえるかという問題です。技術は、国家の価値観を反映することがありますが、ある人にとって『安全な都市』に見える機能は、別の人には『巨大な監視プログラム』と映ります。重要な技術について、権威主義的国家、または権威主義的国家の中の機関から提供を受けることに抵抗がないか、考えるべきです。リスクが低ければいいですが、権威主義的な国による技術悪用を懸念する分野もあります。 ■ ■Q:でも、米国にも同じような問題がありませんか。13年にエドワード・スノーデン氏が告発したことで、NSAによる大規模な情報監視が明らかになりました。A:米国の法体系に異論を唱えることは、もちろん自由です。しかしスノーデン氏が情報を盗み出した後に米政府が行った複数の検証は、我々が法を順守し、情報を収集するときにおいても、市民のプライバシーを尊重する文化があったことを認定しています。米国市民に関する情報に接することが想定されるなかで、活動をやめるのではなく、情報にアクセスできる人や保存期間、他人との共有を制限する、という方法です。Q:それで人々の不安がなくなるとは思えませんが。A:完璧だとは言いません。しかし、我々が法体系の中で行動していたことは誇りに思っています。また、問題があれば立ち止まり、検証する文化もありました。私が長官として『情報に不適切に接していないことが確認できるまで、この活動は停止する』と指示したこともありました。NSAは民主主義社会の一部であると、自信をもって言うことができますよ。Q:NSAが、米国の友好国の首脳の携帯電話を盗聴した疑惑は情報共有に影響しましたか。A:私から見た限り、情報共有には何ら影響を与えませんでした。私は長官として複数の国に『私たちが行っていることが不都合ならば、関係を絶った方がいいのであれば、そうする』と伝えましたが、一国たりとも『情報を共有して欲しくない』『もう関係を絶ちたい』とは言いませんでした。 友好国や同盟国であっても、意見が異なることはあります。その場合は政治的リーダーが集まって、政策の枠組みについて決断をします。我々はその範囲で活動しますが、情報機関は枠組みを変えることが仕事ではありません。Q:グーグルやフェイスブックといった企業も、NSAとの協力に消極的です。A:民間会社がどのように情報を扱うかは、民主主義国家にとっても課題です。企業と国家は、双方ともにデータを集めて人間の行動を理解しようとする点では同じですが、国家は安全保障の観点であり、企業は利益のためです。この複雑につながった世界では、国家側だけ、あるいは企業側だけの視点から考えることは難しく、複数の視点を考慮した解決策を見つける必要があります。Q:米国は、軍事諜報の世界で「ファイブ・アイズ」(五つの目)と呼ばれる米、英、豪州、カナダ、ニュージーランドの英語圏5カ国の間で機密情報を共有し、特別な協力関係にあります。日本とはどう協力できますか。A:まず日米の観点から言えば、我々の情報組織はすでに密接に協力をしています。私がしばしば東京に行ったのは偶然ではありません。また、日本側のカウンターパートは全員知っており、情報機関だけでなく、安全保障の枠組みの関係者と頻繁に連絡を取っていました。ファイブ・アイズの問題に焦点をあてるより、情報がきちんと共有されていることの確認が重要だと思います。 もう一つ、ファイブ・アイズについてよくある勘違いは、全ての情報が一方的にもらえるということです。情報をもらいたいなら、出す覚悟も必要です。情報を伏せず、共有することで、より恩恵が得られるという結論に達し、強力な関係になったのです。 ◇マイケル・ロジャーズ:1959年生まれ。米海軍に約37年勤めた暗号や情報分析の専門家。14年3月~18年5月、NSA長官兼2代目サイバー軍司令官(海軍大将)。国家ぐるみといえば、1年前にハッカー集団、背景に中国政府かという記事がありました。(インタビュー)サイバー監視は正義?マイケル・ロジャーズ2020.1.29この記事も 朝日のインタビュー記事スクラップR15に収めておきます。
2020.01.30
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図書館で『横尾忠則さんへの手紙』という本を手にしたのです。ぱらぱらとめくってみると、横尾さんの作品(カラー画像)が思いのほか並んでいる。・・・いわゆる見て楽しいビジュアル本でんがな♪【横尾忠則さんへの手紙】酒井忠康著、光村図書出版、2019年刊<「BOOK」データベース>より冒険王・横尾忠則氏へ捧げる、美術評論家・酒井忠康氏からの11篇のエール。<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくってみると、横尾さんの作品(カラー画像)が思いのほか並んでいる。・・・いわゆる見て楽しいビジュアル本でんがな♪rakuten横尾忠則さんへの手紙 まえがきのあたりを、見てみましょう。p6~7<まえがきにかえて:酒井忠康> 横尾さんは数年前から『週間読書人』に「日常の向こう側・ぼくの内側」と題した日記欄をもっている。 毎日の天気や人との出会い、読書や展覧会の感想、あるいは病院通いまで、ちょいちょいと実に短く、その日の出来事を要約している。よくもこれだけ多岐にわたる領域のことをこなしているものだと感心する。 そのあいだにも絵を描き、版画をつくり、文書を書く。ときには小説まで書く。数々の講演やテレビ出演などにもつきあい、まったく多忙な御仁である…というほかない。 ところが、横尾さんという人は、ちっともざわざわした空気を感じさせない。どうしてなのかと、わたしは不思議でならない。 生の全体が感じさせる、それはある種の雰囲気なのかもしれない。 ◎ 最近、横尾さんから贈られた『アホになる修業 横尾忠則言葉集』(イースト・プレス、2018年)という本がある。 自身のエッセイや対談やインタビューやツイッターなどから選り抜かれたという言葉による一種の〇言集を、パラパラめくって、横尾さんのどこか醒めた情熱(?)に翻弄された。なるほど、そうかと得心がいった。「理屈をこねないで無頓着で暮らすのが一番です」とか、「人生も受身がいい/余計なことを考えたり/余計な努力をする必要もない。/その方が欲望に振り回されずにすむ」 あるいは「愚者として生きられたら最高や。/賢いばかりが人生違いまっせ」などなど、1ページに1つの割で260ほどの言葉がある。 最後がふるっている。「夏はカレーがいい。以上」となっている。笑っちゃいましたが、でもね、なかにはこんなのがあって、わたしは一撃を喰らい、付箋を付けたままである。「芸術は考えるより考えないことの凄さがある」と。 ◎ ああ、横尾忠則という人は、とにかくおもしろい。 ときどきハガキをくれる。文章が1枚で済まないときには、ハガキが①~③とつづきものとなる。横尾忠則現代美術館リピーターでもある太子は、企画展が変わるたびに、以下のとおり足を運んでいるのです♪横尾忠則を観に行こう♪11:自我自損展横尾忠則を観に行こう♪10:笑う横尾忠則展
2020.01.29
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今回借りた4冊です。だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は、強いていえば、「中国」でしょうか♪<市立図書館>・言ってはいけない中国の真実・横尾忠則さんへの手紙<大学図書館>・わが子に伝える「絶対語感」・東シナ海文化圏の民俗図書館で手当たり次第で本を探すのがわりと楽しいが・・・これが、図書館での正しい探し方ではないかと思ったりする(笑)************************************************************【言ってはいけない中国の真実】橘玲著、新潮社、2018年刊<「BOOK」データベース>より崩壊説を尻目に急速な経済成長を遂げた人口13億の大国・中国。満州からチベット、内モンゴルまで、その隅々を旅した著者は、至るところで不動産バブルの副産物で「鬼城」と呼ばれるゴーストタウンに出くわす。高層ビルが林立する超モダンな廃墟が建てられる元となった「錬金術」の仕組みに着目し、日本と異なる国家体制、組織のあり方、国民性を読み解く新中国論。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/18予約、副本6、予約1)>rakuten言ってはいけない中国の真実【横尾忠則さんへの手紙】酒井忠康著、光村図書出版、2019年刊<「BOOK」データベース>より冒険王・横尾忠則氏へ捧げる、美術評論家・酒井忠康氏からの11篇のエール。<読む前の大使寸評>追って記入rakuten横尾忠則さんへの手紙【わが子に伝える「絶対語感」】外山滋比古著、飛鳥新社、2004年刊<「BOOK」データベース>よりことばの離乳がしっかりできていれば、大きくなって学校へ行っても、勉強がよくわかるようになります。わが子を賢くしたいと思ったら、ことばの離乳は絶対に必要です。何歳から何を読んであげればいいのか、ひと目でわかる「絶対語感」習得カレンダー付き。<読む前の大使寸評>追って記入rakutenわが子に伝える「絶対語感」【東シナ海文化圏の民俗】下野敏見著、未来社、1989年刊<「BOOK」データベース>より古書につき、データなし<読む前の大使寸評>追って記入amazon東シナ海文化圏の民俗************************************************************とまあ・・・・抜き打ちのように、関心の切り口を残しておくことも自分史的には有意義ではないかと思ったわけです。図書館大好き419
2020.01.29
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図書館で『日本の備えを問う』という本を手にしたのです。著者は阪神・淡路大震災当時、姫路河川国道事務所に勤務しており、震災直後の復旧活動に従事したそうだが・・・このときの国交省の欺瞞や不手際がこの本で告発されているようです。【日本の備えを問う】中村文彦著、幻冬舎、2019年刊<「BOOK」データベース>より東日本大震災で派遣された緊急災害対策派遣隊は、勇み足だった?紀伊半島の土砂ダム整備事業は、単なる無駄遣い?数々の災害対応にあたってきた著者が、過去の事例を検証し、これからの防災の在り方を提言する。<読む前の大使寸評>著者は阪神・淡路大震災当時、姫路河川国道事務所に勤務しており、震災直後の復旧活動に従事したそうだが・・・このときの国交省の欺瞞や不手際がこの本で告発されているようです。rakuten日本の備えを問う「第二部 これからの防災の在り方」でハザードマップが語られているので、見てみましょう。p96~99<独自のハザードマップを作成しよう> 第一部で述べてきたように、国交省の内部で欺瞞が広がっている。前提そのものに嘘が紛れているため、結論も歪んだ方向に流れる。淀川・大和川の浸水想定図のように、基礎的なデータさえ不正が生じている。国の言うことを信じて良いのだろうか。 テレビなどでは「指示に従ってください」と言うが、本当に大丈夫だろうか。不安になる人も多いと思う。阪神・淡路大震災で救助隊に助けられた公助はたったの1.7%。自衛隊、消防の数には限りがあり、大災害ほど行政には守ってもらえない。自身、風水害が頻発する中、家族を、職場をどう守るのか。わたしたち個人はどうあるべきかについて、これから、一緒に考えていきたい。 まずは、私個人の危機管理行動について述べる。私は神戸市中央区に住んでおり、阪神・淡路大震災の経験から耐震性に優れたモノコック構造の家に、母と娘の3人で暮らしているので、地震は心配していない。 山手なので、ハザードマップで確認すると洪水・高潮の心配はない。自宅付近の坂の勾配は6%、駐車場を作るため掘削すると土の中から突然、直径1mの大きな石が4~5個出てくる。土石流の痕跡だ。国土地理院ホームページの活断層図を見ると扇状地であることがわかった。 神戸の山手は坂になっており、宅地にするには敷地を平らにする必用がある。この造成を行うと、土の中から花崗岩の大きな石が出てくる。昔はセメントが高価なためこれを石垣に利用して、セメントを節約している。父が自宅を買った昭和20年代は土地代と造成費が同額だったらしい。 では、私の家は土石流に襲われないのか? 危険はないのか? 今はその危険な沢にも砂防堰堤があり、周囲は階段状に宅地されているので土石流の心配はない。ハザードマップでも確認している。 神戸は平清盛が港を造ったが、土石流が襲ってくるため、人は海岸付近の平らなところでしか住んでいなかった。それが開港で、外国人居留地ができ、貿易の拠点、西洋文化の入り口として栄え、人が集まり、宅地が山裾まで広がった。(中略) 次に私の家庭事情を説明する。母は91歳で、見た目は健康そうに見えるが、高齢のため体調を崩しがちで、ないか、整形外科等に受診し、たくさんの薬をもらっている。このため、避難所に行けば関連死する可能性が高く、避難所に行くことが安全とはいえない。 関連死については、昔はさほど多くはなかったが、熊本地震では直接死50人に対し、高齢者を中心に関連死は4倍の200人になっている。したがって、私は情報収集と食料供給の面では避難所のお世話になるだろうが、避難するつもりはない。 以上のように、住んでいる家の環境、家庭状況によって自分はどう行動するかは個別に考えるべきで、家族と話しあって決めておく必用がある。また、ハザードマップは国交省ハザードマップポータルサイト、わがまちハザードマップなどを見れば、ご自宅の被害想定ができる。『日本の備えを問う』1
2020.01.28
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図書館に予約していた『プリズンホテル』という本を待つこと6日でゲットしたのです。浅田さん初期のエンタメ小説のようだが・・・期待できそうである。まさか、浅田さんに任侠道あるいはカジノ経営の友人はいないとは思うのだが。【プリズンホテル】浅田次郎著、徳間書店、1993年刊<「BOOK」データベース>より笑うか、泣くか?悪漢小説。超大型新人の最高傑作。<読む前の大使寸評>浅田さん初期のエンタメ小説のようだが・・・期待できそうである。<図書館予約:(1/13予約、1/19受取)>amazonプリズンホテル「プリズンホテル」という命名が語られているあたりを、見てみましょう。p58~60<4> 巡査は輪ゴムで束ねられた粉薬の袋を手に取った。「これは?」「胃薬です。コランチルという潰瘍の特効薬だ。もう二十年も常用している」 巡査は一袋を光に透かし見た。「どうやら、そのようですね」「ははあ、わかったぞ。キミはそれを、麻薬か覚醒剤だと疑ったんだな。そうか、桜会というのは、広域暴力団の関東桜会のことだろう。ばかも休み休み言いたまえ、この私が、胃薬の世話になってまでわが国の経済の発展に寄与してきたこの私が、ヤクザの親分に見えるのかね」 夫は巡査の手から薬をひったくると、散らかった品物を鞄につめ込んだ。「いやだいやだ。在職中はニューヨークのダウンタウンでもこんな仕打ちは受けなかったのに。それが会社をやめたとたん、山奥の温泉場でこのザマだ。人間、齢はとりたくないものだな。ところで…キミはあと何年かね」 老巡査は露骨な不快を作り笑いで補いながら答えた。「まだ4、5年はありますよ」 フン、と夫は鼻で笑った。「そうか。だが、5年たったらただの年寄りだ。まあ今のうちにせいぜい女房子供を大切にしておくことだな。近ごろ、はやっているそうだぞ、身勝手な亭主が定年と同時に家族から捨てられるらしい」 夫人はヒヤリとして、言葉をはさんだ。「あのう。先ほどお尋ねした件なのですが…」 巡査は夫から目をそらして、ロータリーを回ってきたタクシーに手を挙げた。「車でいらっしゃって下さい。山の上ですから歩くのはたいへんです。ことに、お年寄りにはね」(中略)「志保、なにをしている。早く来んか」 巡査に腰を折って頭を下げ、若林夫人は夫の後を追った。「おまえ、なんで薬を病院の袋に入れておかんのだ。今日に限って」「ごめんなさい。破けていたものだから」「虎ノ門病院の袋に入っていれば、あらぬ疑いをかけられずに済んだのに。不愉快だ」 冷房の利いた車内に入ると、観光地のそれらしく妙に愛想の良い運転手が笑顔で迎えた。「あの、奥湯元あじさいホテルに行って下さい」 ルームミラーの中の運転手の目から、突然しわの伸びる感じで笑いが消えた。「・・・プリズンホテルかね・・・」「いいえ、プリンスホテルじゃなくって、あじさいホテルです。あらやだ、これじゃさっきと同じ」 夫妻は思わず顔を見合わせた。「きっと名前が変わったんだろう。ほら、新装オープンのホテルだと言っていたじゃないか」「そう、そうですわね、きっと」ウン、「プリズンホテル」とは言いえて妙である。ネタバラシになるが・・・定年退職後のこの旅行は夫人が計画したもので、夫人のハンドバッグの中には捺印済みの離婚届がしのばせてあるのです。この作品は、講談あるいはカツベンのように登場人物の台詞が練られているのです。また、ロンドを舞うように前の章に手を加えて語られるので、記憶力の足りない読者にとってありがたいツクリになっています。
2020.01.28
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<図書館予約の軌跡209>『朝日デジタルの書評から』フォームや『読みたい本』フォームを作っているのだが、これを市図書館の予約に利用しようと、思い立ったのです。これまでの予約内容と予約候補は以下のとおりです。<予約中>・伊坂幸太郎『フーガはユーガ』(7/24予約、副本34、予約462)現在115位・伊坂幸太郎『クジラアタマの王様』(7/31予約、副本1、予約197)現在3位・デービッド・アトキンソン『日本人の勝算』(8/20予約、副本14、予約157)現在23位・劉慈欣『三体』(9/09予約、副本8、予約179)現在57位・森絵都『カザアナ』(9/21予約、副本11、予約109)現在21位・呉善花『韓国を蝕む儒教の怨念』(10/02予約、副本3、予約56)現在19位・橘玲「上級国民/下級国民」(10/24予約、副本16、予約283)現在176位・川上弘美『某』(10/27予約、副本7、予約70)現在34位・ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(11/13予約、副本19、予約534)現在404位・門井慶喜『定価のない本』(1/12予約、副本9、予約74)現在66位・村上龍『村上龍料理小説集』(1/26予約、副本1、予約0)現在1位<カートで待機中>・N・ネフスキー著『月と不死』・8月の果て・ある日うっかりPTA(副本4、予約39)・グレタたったひとりのストライキ<予約候補>・多和田葉子『尼僧とキューピッドの弓』・「歴史認識」とは何か・村田沙耶香『地球星人』・キネマ旬報(ありがとう、和田誠さん)・浅田次郎『大名倒産 (上・下)』:図書館未収蔵・有川ひろ『倒れるときは前のめりふたたび』:図書館未収蔵・東龍夫『ザ・ソウル・オブ くず屋』:図書館未収蔵・『オーバーストーリー』・柳美里『ねこのおうち』・橋本治『黄金夜界』・中園成生『日本捕鯨史』・高野秀行「ワセダ三畳青春記」・高樹のぶ子『アジアに浸る』・書物の破壊の世界史・つげ義春『ガロ 1968 前衛マンガの試行と軌跡』・メカニズムの事典・ディック『パーマー・エルドリッチの三つの聖痕』:図書館未収蔵・ヘミングウェイで学ぶ英文法:図書館未収蔵・内澤旬子『ストーカーとの七00日戦争』:図書館未収蔵・ジョージ・ミーガン『世界最長の徒歩旅行』:図書館未収蔵・八画文化会館vol.6 総力特集:レトロピア岐阜:図書館未収蔵・「月夜のでんしんばしら」谷川雁、C.W.ニコル:図書館未収蔵・カズオ・イシグロ著『癒されざる者たち』:図書館未収蔵・阿刀田高『裏声で歌へ君が代』・デジタルエコノミーはいかにして道を誤まるか:図書館未収蔵・ネルケ無方著『迷える者の禅修業』・ボリス・ヴィアン著『うたかたの日々』:芸工大に収蔵・禁じられた歌(田)<予約分受取:12/06以降> ・樹木希林『一切なりゆき』(2/27予約、12/06受取)・吉荒夕記『バンクシー』(11/27予約、12/11受取)・上田岳弘『キュー』(8/26予約、12/19受取)・有馬哲夫『原発・正力・CIA』(12/15予約、12/22受取)・Coloring in Wadaland 和田誠カラー作品集(11/24予約、1/04受取)・与那覇潤『知性は死なない』(1/04予約、1/07受取)・金子勝『平成経済 衰退の本質』(11/17予約、1/19受取)・浅田次郎『プリズンホテル』(1/13予約、1/19受取)・橘玲「言ってはいけない中国の真実」(1/18予約、1/26受取)【フーガはユーガ】伊坂幸太郎著、実業之日本社、2018年刊<「BOOK」データベース>より常盤優我は仙台市のファミレスで一人の男に語り出す。双子の弟・風我のこと、決して幸せでなかった子供時代のこと、そして、彼ら兄弟だけの特別な「アレ」のこと。僕たちは双子で、僕たちは不運で、だけど僕たちは、手強い。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(7/24予約、副本34、予約462)>rakutenフーガはユーガ【クジラアタマの王様】伊坂幸太郎著、NHK出版、2019年刊<「BOOK」データベース>より製菓会社に寄せられた一本のクレーム電話。広報部員・岸はその事後対応をすればよい…はずだった。訪ねてきた男の存在によって、岸の日常は思いもよらない事態へと一気に加速していく。不可思議な感覚、人々の集まる広場、巨獣、投げる矢、動かない鳥。打ち勝つべき現実とは、いったい何か。巧みな仕掛けと、エンターテインメントの王道を貫いたストーリーによって、伊坂幸太郎の小説が新たな魅力を放つ。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(7/31予約、副本1、予約197)>rakutenクジラアタマの王様【日本人の勝算】デービッド・アトキンソン著、東洋経済新報社、2019年刊<「BOOK」データベース>より在日30年、日本を愛する伝説のアナリスト×外国人エコノミスト118人だから書けた!大変革時代の生存戦略。【目次】第1章 人口減少を直視せよー今という「最後のチャンス」を逃すな/第2章 資本主義をアップデートせよー「高付加価値・高所得経済」への転換/第3章 海外市場を目指せー日本は「輸出できるもの」の宝庫だ/第4章 企業規模を拡大せよー「日本人の底力」は大企業でこそ生きる/第5章 最低賃金を引き上げよー「正当な評価」は人を動かす/第6章 生産性を高めよー日本は「賃上げショック」で生まれ変わる/第7章 人材育成トレーニングを「強制」せよー「大人の学び」は制度で増やせる<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/20予約、副本14、予約157)>rakuten日本人の勝算【三体】劉慈欣著、早川書房、2019年刊<「BOOK」データベース>より物理学者の父を文化大革命で惨殺され、人類に絶望した中国人エリート科学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)。失意の日々を過ごす彼女は、ある日、巨大パラボラアンテナを備える謎めいた軍事基地にスカウトされる。そこでは、人類の運命を左右するかもしれないプロジェクトが、極秘裏に進行していた。数十年後。ナノテク素材の研究者・汪森(ワン・ミャオ)は、ある会議に招集され、世界的な科学者が次々に自殺している事実を告げられる。その陰に見え隠れする学術団体“科学フロンティア”への潜入を引き受けた彼を、科学的にありえない怪現象“ゴースト・カウントダウン”が襲う。そして汪森が入り込む、三つの太陽を持つ異星を舞台にしたVRゲーム『三体』の驚くべき真実とは?アジア圏の作品として初のヒューゴー賞長篇部門に輝いた、現代中国最大のヒット作。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(9/09予約、副本8、予約179)>rakuten三体【カザアナ】森絵都著、朝日新聞出版、2019年刊<「BOOK」データベース>より平安の昔、石や虫など自然と通じ合う力を持った風穴たちが、女院八条院様と長閑に暮らしておりました。以来850年余。国の規制が強まり監視ドローン飛び交う空のもと、カザアナの女性に出会ったあの日から、中学生・里宇とその家族のささやかな冒険がはじまったのです。異能の庭師たちとタフに生きる家族が監視社会化の進む閉塞した時代に風穴を空ける!心弾むエンターテインメント。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(9/21予約、副本11、予約109)>rakutenカザアナ【韓国を蝕む儒教の怨念】呉善花著、小学館、2019年刊<「BOOK」データベース>より「不可逆的に最終合意」したはずの慰安婦問題をひっくり返したかと思えば、韓国の最高裁は、すでに日韓基本条約で解決済みの徴用工裁判で日本企業に対し、賠償判決を出す。一方で、文在寅大統領は中国、北朝鮮に擦り寄り、反日を加速させている。日本と韓国の関係は戦後最悪の状態にある。普通の日本人の感覚からすれば、まったく理解できない。いったいなぜなのか。ヒントは、反日主義にしなければならなかった韓国の歴史にある。それが現代にまで続き、自壊の道を辿っているのだ。韓国出身の著者がその謎を史実に基づき解き明かす。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/02予約、副本3、予約56)>rakuten韓国を蝕む儒教の怨念【上級国民/下級国民】橘玲著、小学館、2019年刊<「BOOK」データベース>より「下級国民」を待ち受けるのは、共同体からも性愛からも排除されるという“残酷な運命”。一方でそれらを独占する少数の「上級国民」たち。ベストセラー『言ってはいけない』の著者があぶり出す、世界レベルで急速に進行する分断の正体。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/24予約、副本16、予約283)>amazon上級国民/下級国民【某】川上弘美著、小学館、2019年刊<「BOOK」データベース>より名前も記憶もお金も持たない某は、丹羽ハルカ(16歳)に擬態することに決めた。変遷し続ける“誰でもない者”はついに仲間に出会うー。愛と未来をめぐる、破格の最新長編。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/27予約、副本7、予約70)>rakuten某【ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー】ブレイディみかこ著、新潮社、2019年刊<「BOOK」データベース>より大人の凝り固まった常識を、子どもたちは軽く飛び越えていく。世界の縮図のような「元・底辺中学校」での日常を描く、落涙必至のノンフィクション。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(11/13予約、副本19、予約546)>rakutenぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー【定価のない本】門井慶喜著、東京創元社、2019年刊<「BOOK」データベース>より神田神保町ー江戸時代より旗本の屋敷地としてその歴史は始まり、明治期は多くの学校がひしめく文化的な学生街に、そして大正十二年の関東大震災を契機に古書の街として発展してきたこの地は、終戦から一年が経ち復興を遂げつつあった。活気をとり戻した街の一隅で、ある日ひとりの古書店主が人知れずこの世を去る。男は崩落した古書の山に圧し潰されており、あたかも商売道具に殺されたかのような皮肉な最期を迎えた。古くから付き合いがあった男を悼み、同じく古書店主である琴岡庄治は事後処理を引き受けるが、間もなく事故現場では不可解な点が見付かる。行方を眩ました被害者の妻、注文帳に残された謎の名前ーさらには彼の周囲でも奇怪な事件が起こるなか、古書店主の死をめぐる探偵行は、やがて戦後日本の闇に潜む陰謀を炙りだしていく。直木賞作家の真骨頂と言うべき長編ミステリ。<読む前の大使寸評>古書店主の死から、戦後日本に潜む陰謀を炙りだすってか・・・面白そうである。<図書館予約:(1/12予約、副本9、予約74)>rakuten定価のない本【村上龍料理小説集】村上龍著、講談社、1998年刊<「BOOK」データベース>より料理をつくらない、しかし料理の真髄を知悉している料理人ー村上龍。ニューヨーク・パリ・ウィーン・リオ・ローマそして東京etc.を舞台に、男たちとは人生の懊悩を語りあい、女たちとは悦楽を分かちあうそのテーブルにこそふさわしい32の掌編小説をお届けしましょう。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/26予約、副本1、予約0)>rakuten村上龍料理小説集【月と不死】N・ネフスキー著、平凡社、1971年刊<出版社>より著者は日本民俗学界の異色の存在として知られるロシア人学者で,柳田国男,折口信夫らと親交を結び,沖縄,東北などの民俗を採録した。本書は日本語で発表された論文・書簡を網羅した唯一の著作集。<読む前の大使寸評>ロシア人にして、日本民俗学界の異色の存在が気になるのです。<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>heibonsha月と不死【8月の果て】柳美里著、新潮社、2007年刊<「BOOK」データベース>より日本統治下の朝鮮・密陽に生を受け、マラソンでの五輪出場を目指した亡き祖父・李雨哲。そのうしろ姿を追い、路上を駆けることを決意した柳美里。ふたりの息づかいが時空を越えて重なる瞬間、日本と朝鮮半島のあわいに消えた無数の魂が封印を解かれ、歴史の破れ目から白い頁に甦る。偉丈夫の雨哲と美丈夫の弟・雨根。血族をめぐる、ふたつの真実の物語が、いま日本文学を未踏の高みへと押し上げる。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>rakuten8月の果て図書館予約の軌跡208予約分受取目録R22好書好日トップ図書館情報ネットワーク 蔵書検索システム図書館予約の運用にも慣れて、速攻で入手するコツも何となくつかんだと思うのだ♪・朝日書評欄で探すとしたら、3ヶ月前掲載くらいのモノが狙い目かも。・専門的すぎるほどのモノは、予約0となっていることが多い。・受取館に収蔵しているモノは、移送する手間が省けるので早くなるだろう。・本屋の店頭に出た直後の新刊本・ウィキペディアでめぼしい著作を探す・神戸市図書館の予約順位は毎週火曜日(午前1時~3時) に更新されます。
2020.01.27
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図書館で『からだにおいしい魚の便利帳』という本を手にしたのです。ぱらぱらとめくってみると、美味しそうな魚が並んでいる。・・・いわゆる見て楽しいビジュアル本でんがな♪【からだにおいしい魚の便利帳】藤原昌高著、高橋書店、2010年刊<「BOOK」データベース>よりおいしい食べ方、手間なしシレピ、選び方・さばき方、冷凍解凍保存法、旬。お役立ちが満載。<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくってみると、美味しそうな魚が並んでいる。・・・いわゆる見て楽しいビジュアル本でんがな♪rakutenからだにおいしい魚の便利帳カツオ節としても、たたきとしても旨いカツオを、見てみましょう。p44~45<鰹> カツオでもっともよく食べられているのは本ガツオですが、ほかにも知らず知らず口にしているさまざまな種がいます。 刺身ではカツオに勝るとも劣らないハガツオや、ほとんどカツオの獲れない日本海のヒラソウダガツオなどは魚通にはたまらない美味です。 そばつゆの原料「ソウダ節」に使われるマルソウダガツオも知っておきたい魚です。 春に出てくる初ガツオは、脂がないのでたたきがおすすめです。ただし、脂はすくなくても旨みはたっぷりあり、お腹側の皮が薄くてやわらかいので銀皮造りもおすすめ。【初ガツオと戻りガツオ】 旬は春と秋。産卵期は夏と冬で、赤道周辺では周年。国内では、多くは夏に産卵している。関東の市場では1月から晩秋までの長期間見られるが、冷凍ものも多い。【塩辛】 新鮮なカツオの内蔵をじっくり熟成させた、静岡県焼津に古来伝わる珍味。絶好の酒のつまみだが、チャーハンなどにまぜても美味。(太子注:この塩辛を土佐では酒盗と呼んでいます)『からだにおいしい魚の便利帳』2:鱈『からだにおいしい魚の便利帳』1:飛魚
2020.01.27
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図書館で『からだにおいしい魚の便利帳』という本を手にしたのです。ぱらぱらとめくってみると、美味しそうな魚が並んでいる。・・・いわゆる見て楽しいビジュアル本でんがな♪【からだにおいしい魚の便利帳】藤原昌高著、高橋書店、2010年刊<「BOOK」データベース>よりおいしい食べ方、手間なしシレピ、選び方・さばき方、冷凍解凍保存法、旬。お役立ちが満載。<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくってみると、美味しそうな魚が並んでいる。・・・いわゆる見て楽しいビジュアル本でんがな♪rakutenからだにおいしい魚の便利帳鍋物としても、明太子としても旨いタラを、見てみましょう。p96~97<鱈> 鍋物の定番ともいえるタラ(マダラ)は、フランス、イギリス、スペイン、ポルトガルなどヨーロッパをはじめ世界中で好まれ、たくさん食べられている魚です。アイスランドとイギリスは、タラをめぐって戦争をしたこともあるほど。 タラの身はとても火が通りやすく、くずれやすいのが特徴。鍋物にするときなどは、いただく直前にサッと加熱する程度にしましょう。 【鍋物の季節に旬となる】 寒くなると入荷が増えてくる。そして厳寒のときに脂がのって白子が太る。なんといっても白子が価格を決めるので、オスのほうが断然値が張る。【じゃっぱ汁】「じゃっぱ」とはアラのこと。マダラでいちばんおいしいのが、この野性味あふれる、栄養豊富な青森の郷土料理。【スケトウダラ】 スケトウダラは、鮮魚としてはあまりなじみがありませんが、ちくわやかまぼこなどの練り製品や、たらこ、明太子の原料として、知らず知らず日本人が大量に食べている魚です。たらこはスケトウダラの卵であり、マダラの卵ではありません。 魚自体の味は、しっとり感や旨みではマダラに劣るものの、みそ汁や鍋物などにするとおいしくなります。『からだにおいしい魚の便利帳』1:飛魚
2020.01.26
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図書館で『からだにおいしい魚の便利帳』という本を手にしたのです。ぱらぱらとめくってみると、美味しそうな魚が並んでいる。・・・いわゆる見て楽しいビジュアル本でんがな♪【からだにおいしい魚の便利帳】藤原昌高著、高橋書店、2010年刊<「BOOK」データベース>よりおいしい食べ方、手間なしシレピ、選び方・さばき方、冷凍解凍保存法、旬。お役立ちが満載。<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくってみると、美味しそうな魚が並んでいる。・・・いわゆる見て楽しいビジュアル本でんがな♪rakutenからだにおいしい魚の便利帳ダシとしても、刺し身としても旨いトビウオから、見てみましょう。p98~<飛魚> 鳥のように滑空する姿が印象的なトビウオ。カツオなどの天敵に追われると、尾びれを振って加速し、軽く400mは飛びます。 そのままでもおいしいのですが、ちくわや煮干しなど、加工品としても大活躍しています。 早春の、40cmを超える大型のものは「大とび」と呼ばれ、なかなか美味。価格から考えても高級魚といえます。【春を告げる味わい】 ハマトビウオは「春とび」といわれ、春の味わい。冬から春に入荷し、出はじめは高価。ホソトビウオ、ツクシトビウオは「夏とび」といわれ夏が旬。こちらは安価である。【あごだし】 長崎や島根で夏に獲れるホソトビウオを使ってつくる。長崎では焼いて干し、島根ではゆでて干す。ともに「あご」という。
2020.01.26
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朝日新聞の吉岡記者といえば、チャイナウォッチャーとして個人的に注目しているわけで・・・・その論調は骨太で、かつ生産的である。中国経済がらみで好き勝手に吹きまくる経済評論家連中より、よっぽどしっかりしていると思うわけです。朝日のコラム「多事奏論」に吉岡桂子記者の記事を見かけたので紹介します。*****************************************************************************2020年1月25日(多事奏論)新型肺炎「忖度」はウィルスを広げるより 少し老けたが見覚えのある顔だ。 中国で呼吸器疾病で有名な医師、鍾南山(チョンナンシャン)さん(84)である。感染が世界に拡大する新型コロナウイルスの調査に武漢市へ赴いた専門家チームのリーダーに就いていた。 「ヒトからヒトへの感染が認められる」。習近平国家主席自らが封じ込めを指示した20日、国営放送の取材に対して当局が認めてこなかった懸念を初めて明言した。 新型肺炎SARSと呼ばれていた重症急性呼吸器症候群が中国で蔓延した17年前。鍾さんは広州市の病院で治療にあたり、英雄視された。病診の正しさだけではない。実態を隠して幕引きを急ぐ政府に対して「医学的には抑え込んだとは言えない」と喝破した。地方政府などによるごまかしの手法も暴いた。「多くの同僚が倒れているのに、ウソはつけなかった」そうだ。 当時、新米特派員として上海へ赴任したばかり。何が事実かわからない状況で取材していた私にも、印象深い人だった。 * その鍾さんは、10年前の新型インフルエンザ騒動で再び登場した。各地を視察後、言った。「死者数の発表は信じられない。ごまかしている地域がある」「情報の透明性と公正さが感染拡大を防ぐ大前提」。彼は共産党員である。反体制というよりも、一人の医師、人としてのモラルを感じた。 「なぜまた鍾南山なのか」――。 前国家主席胡錦濤氏の出身母体でもある中国共産主義青年団の機関紙中国青年報がこんな見出しの論説を載せていた。「(公式発表を)疑い、監視し、追及し、自分の意見を持って判断しなければならない」。地方政府の情報隠しに手を焼く中央政府の嘆きが浮かび上がるようだ。 そして、今回もまた、鍾さんだった。習政権は、人々に情報を信じてもらい、部下や地方政府にウソをつかせぬように彼の信用を使ったのだろう。過去の行動に裏打ちされた言葉だから人々に届く。習氏のお墨付きに安心したのか、この日を境に地方政府から発表される患者数が急増した。 信用は人に宿る。権威や機械だけではつくれない。スマホの決済や位置情報から顔認証システムまで、感染経路を追う技術は格段に進化した。だが、どんなデータを集めようと結局は扱う人に左右される。 * 危機は政治を試す。胡・前政権の発足と重なったSARSは、伝染そのもの以上に情報隠しが強い反発を招いた。権力闘争が絡んで、政治的にも危機に直面した胡氏は実態を隠した幹部らを更迭し、鍾さんら良心的な医師や独自の情報を発信するメディアを評価してみせることで乗り切った。 これをひとつのきっかけとして、普及期にあったインターネットが官製メディアを超えて新しい情報源として世論をより動かすようになった。ネットでつながった人々が当局とは距離を保ち、環境や教育などの市民活動に取り組む芽もでてきた。権威主義的な中国社会で、何かが変わるのではないか。そんな期待が生まれた時期である。 だが、習政権のもとで逆回転している。言論の統制は強まり、ネットは監視の道具と化した。政治闘争を兼ねた腐敗退治は効果をあげたが、異論封じが体制内で過剰な忖度を招いている。国際社会における中国の影響力は、17年前の比ではない。情報の開示と共有はもちろん、独裁政権のトップが事態を誤認しないことの重要度は高まっている。習政権になって伝染病に限らず、何人の新しい鍾さんが生まれただろうか。 自らの専門や担当する分野において、権力におもねらず自らの考えを述べることを積み重ねて信用を得た人の声は、いざというときに説得力を持って響く。逆に言えば、こうした人々の存在は、国家や組織の統治の危機管理としても必要なのだ。トップが目を背けたくなる事実を遠慮なく提示できる専門家は、社会の力だと思う。なにも、中国だけの話ではないけれど。(編集委員)*****************************************************************************多事奏論一覧に吉岡記者の中国論が載っています。<吉岡桂子記者の渾身記事33>:2019年12月21日<吉岡桂子記者の渾身記事32>:2019年11月23日
2020.01.26
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新聞に映画『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』の広告が出ているので、心騒ぐ大使であった。(1月24日より公開中)ということで、以下のとおり個人的予告を作って・・・公開初日に、劇場に足を運ぶことになったのです。【テリー・ギリアムのドン・キホーテ】テリー・ギリアム監督、スペイン=ベルギー=フランス=イギリス=ポルトガル2018年制作、1月24日鑑賞<movie.walker解説>より『12モンキーズ』『Dr.パルナサスの鏡』などの異才テリー・ギリアムが、30年もの時を費やし、スペインの傑作古典小説「ドン・キホーテ」を映画化。出演に、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のアダム・ドライバー、「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズのジョナサン・プライス、『007 慰めの報酬』のオルガ・キュリレンコら。第71回カンヌ国際映画祭のクロージング作品。<見る前の大使寸評>ということで、以下のとおり個人的予告を作って・・・公開初日に、劇場に足を運ぶことになったのです。movie.walkerテリー・ギリアムのドン・キホーテCM監督のトビーは、スペインの田舎での撮影中、謎めいた男からDVDを渡される。そのDVDは学生時代に自らが監督した「ドン・キホーテ」の映画だった。斯様にしてこの作品は劇中劇をとりこんで進行するのです。トビーがヒロインとして採用した女の子に、都会への夢を吹き込み・・・結果、憎まれるわけです。また、ウォッカ販売にいそしむロシア人富豪の企てたパーティーが悪意に満ちているわけです。さて、ドン・キホーテ役を演じた靴職人の老人の純粋な狂気はいかに!?・・・公式サイトを覗いてみました。公式サイト:ギリアム監督挨拶より この企画にあまりにも長く関わってきたので、 完成する日は一生来ないのではないかと思っていました。「ドン・キホーテ」の映画化に取り掛かったのは、1989年のことでした。当初から多くの障害があったものの、私はワクワクしていました。作者ミゲル・デ・セルバンテスの死後400年が経ち、このプロジェクトがやっと製作にこぎつけたのです。 分別のある人なら何年も前に止めていたでしょう。でも、最後は夢を諦めない者が勝つのです! この積年の願いを実現するために、大したお金にもならないのに、私を信じ、私に付き合ってくださった夢想家の皆さま全員にお礼を言いたいと思います。 スペインとポルトガルで、私の夢に現れた風景を見つけることができたおかげで、ようやく現代の観客に、この憂い顔の騎士の物語を贈ることができます。 本当に楽しめる映画が完成しました!
2020.01.25
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図書館で『鉄の文明史』という本を手にしたのです。古代日本へどのようにして鉄作りが伝播したのか・・・興味深いのです。【鉄の文明史】窪田蔵郎著、雄山閣出版、1991年刊<「MARC」データベース>より鉄を造る原材から、シルクロード、旧約聖書などの古代文化の中に見られる鉄など、鉄の歴史を西アジア、中国・韓国、日本にたどる。著者自らが足で調べた興味深い話の数々。<読む前の大使寸評>古代日本へどのようにして鉄作りが伝播したのか・・・興味深いのです。amazon鉄の文明史天秤吹子「第8章 鉄鋼業発展の軌跡」で日本の鉄鋼業が概観されているので、見てみましょう。p227~229<近代以前の概観> 日本の鉄器文化は縄文時代の終末期から弥生時代の初め頃に、農耕文化と一緒に大陸から導入されたものと考えられている。従って、今から約2300年ほど前に日本人に知られたものと推定される。やがて完成品輸入、半製品輸入の段階があったにしても、それより若干遅れた時期、多分300~500年くらい後にはごく小規模な原始製鉄法が、わが国で開始されたものと推定しても大過はないであろう。 わが国には太古の昔からこのような“たたら吹き”と呼ばれる製鉄技術があったことは、『古事記』や『日本書記』の神話や伝説の中にしばしばその用語が現れてくることでもわかる。また一衣帯水の韓国南部から1~2世紀頃になると鉄製品の舶載はもちろん、これらの技術を持った人々の往来が頻繁にあったことも当然考えられる。中国やツングースの影響もあったであろう。 日本で最も古い鉄器とされているものには、近年の調査では縄文時代終末期に遡る福岡県糸島郡二丈町の曲り田遺跡から発掘された鉄器片や、北九州市小倉南区の長行遺跡から発見された鉄斧がある。これらに続く弥生時代前期のものとしては、同県春日市や津屋崎町の遺跡から小鉄剣や鉄鏃が発掘されている。 このような萌芽期の鉄文化をもたらした渡来人達によって、その後に始められた原始的な製鉄法は、長い歳月を経過している間にその時代に対応した、それなりの経験の蓄積や技術の進歩があって、古墳・奈良・平安・鎌倉そして江戸の中期と、ささやかな程度のものではあったにしても何度もの技術革新が行われてきた。 鉄源溶解のための送風装置一つを例にとってみても、皮吹子、踏吹子、箱吹子、天秤吹子、水車吹子と逐次変っている。トロンプなどスペインの吹子も試用された。江戸初期前後に輸入された南蛮鉄も鉄山師達に大きな刺激を与えたであろう。 今日その技法が詳しく伝えられ、外国人にまで注目されている高殿内で大形炉と天秤吹子を用いて操業する永代たたらの技術、それが完成したのはようやく江戸時代の中頃になってのことである。この頃のわが国の主要な鉄産地は、島根・鳥取・広島・岡山を中心とする中国地方と、岩手県・宮城県北部や青森県南東部の二地域があげられる。 この当時の鉄鋼生産量は、現在の鉄鋼業とは全く生産体系が異なり、その製品は今日で言えば白銑に相当するズクやケラという鉄サイ分を多量に含んだ不均質なものであったので、不純物の全く含まれていない現代の粗鋼と対比して同列には論じられない。しかし大雑把に換算すると、江戸末期頃で年間鋼地金(包丁鉄)に換算して1万トンを若干上回る程度と推定される。 こうして昼夜通しで3~4日かけ、しかもおもに秋冬のみの操業で、1回が2~3トンといった乏しい生産量のものをかき集め、日本刀をはじめ、鍋・釜・農工具・建築金物類など、長い期間にわたってあらゆる鉄製品の需要をまかなってきたのである。『鉄の文明史』2:鉄の叙事詩『鉄の文明史』1:製鉄先進国
2020.01.25
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図書館で『鉄の文明史』という本を手にしたのです。古代日本へどのようにして鉄作りが伝播したのか・・・興味深いのです。【鉄の文明史】窪田蔵郎著、雄山閣出版、1991年刊<「MARC」データベース>より鉄を造る原材から、シルクロード、旧約聖書などの古代文化の中に見られる鉄など、鉄の歴史を西アジア、中国・韓国、日本にたどる。著者自らが足で調べた興味深い話の数々。<読む前の大使寸評>古代日本へどのようにして鉄作りが伝播したのか・・・興味深いのです。amazon鉄の文明史怪蛇とアンドロメダ王女「第3章 シルクロードの鉄」で鉄の叙事詩が語られているので、見てみましょう。p82~85<中央アジアで見た八俣遠呂智> シルクロードの中心地ウズベク共和国のタシケント市南230キロに、サマルカンド市がある。そこから僅か東東南へ70キロの場所に、国が代わってタジク共和国に属するがペンジケント市がある。ゼラフシシヤン河の水流を利用してできた運河の多いオアシス都市である。 13世紀には蒙古軍の侵入を受け、一旦は完膚なきまでに破壊されたが、地の利を得ているので再び人々が集まり近傍に町並が復興した。 この辺りは隊商交易の拠点で早くから鉄器文化が知られていたとみえ、隣接する紀元前2世紀のサラーズモ遺跡からは、刀、鏃、盾の鋲などの鉄製品が多数発見されている。この街の歴史博物館を見学したおりに、その外壁に漆喰の平面を鑿で線画風に彫った壁画があった。 ところがその絵は明らかに日本の八俣遠呂智のルーツともいえるもので、人面蛇身の二匹の怪物が馬上の騎士に切り殺されようとして、傷だらけになりのたうち回っている場面が彫られていた。この辺りも物語の伝播した道と考えられよう。(中略) 少し離れるが、川崎製鉄の広報誌『鉄』では、鉄の叙事詩と題して次のような二つの話を紹介している。一つはロシアのムーロムという町の領主パーヴェル公の妃が、羽の生えた魔性の蛇と通じてしまい王は退治を計画する。妃の策略で蛇の泣きどころを知り、王は弟のピョートルに依頼して、某僧院の壁の割れ目にあった名剣アグリークを得て退治している。もう一つはニーベルンゲンの物語で、王子ジーフリトが鍛治屋の弟子となったことから始まるが、非常な乱暴者であり喧嘩早いので、親方が恐ろしい龍の住む森に炭焼きに行かせた。 その結果王子は龍を退治して、名剣バルムンクとグルグント王グンテルの妹クリムヒルトを得ている。これらにはいずれも若干の後日譚がある。一脈の関連は無視できない構成である。しかしこうなると大蛇退治も色濃く潤色されたものと言わざるを得ないであろう。 狼にまつわる話も同様だがこの龍蛇退治の話も、シルクロード一帯さらにヨーロッパやアフリカなどにまで広大な地域に分布しており、古代文化の想像もつかない壮大な浸透力を思わせる。 オロチ神話の原形としては、ギリシャ神話のゼウスの息子ペルセウスが怪蛇からアンドロメダ王女を救った話や、ヘラクレスのアケロオス退治などが良く知られている。(中略) このようにみてくると、どうも西域地方に遠呂智のルーツがあるようで、中国の類似神話もこの方面と密接な関係があるようである。延々とシルクロードを伝わってくるうちに製鉄関連の種族に好まれ、農耕治水神話が換骨奪胎されてしまって、日本では時代の経過にともない製鉄神話になったようである。『鉄の文明史』1
2020.01.24
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図書館で『鉄の文明史』という本を手にしたのです。古代日本へどのようにして鉄作りが伝播したのか・・・興味深いのです。【鉄の文明史】窪田蔵郎著、雄山閣出版、1991年刊<「MARC」データベース>より鉄を造る原材から、シルクロード、旧約聖書などの古代文化の中に見られる鉄など、鉄の歴史を西アジア、中国・韓国、日本にたどる。著者自らが足で調べた興味深い話の数々。<読む前の大使寸評>古代日本へどのようにして鉄作りが伝播したのか・・・興味深いのです。amazon鉄の文明史「第3章 シルクロードの鉄」で製鉄先進国が語られているので、見てみましょう。p59~65<鉄を表す言葉の流れ> シルクロードの鉄器文化は紀元前十二世紀頃から八世紀頃にかけて、主としてヒッタイト系の製鉄技術を持った民族が東進、あるいは後に中途から西南進するなどして各地を漂泊し、トルクメンは勿論、ウイグル、タタール、キルギス、カザフなど、沿線に扶植していったものと推定されている。 その付近の言語を見るとほとんどチュルク語系である。現在のウズベク語の原形がこのチュルク語であって、チャガタイ汗国時代の用語、そしてウイグル、さらに突厥の言語にまで遡及するとされている。 それを裏付けるようにこの辺りを歩いてみると、これらの地域では製鉄先進国の言葉である。英語(Iron)でもドイツ語(Eisen)でもフランス語(Fer)、スペイン語(Hierro)でもない。独特の鉄を表現する言葉が用いられている。政治的影響力の強いロシア語(〇)ですらも、ソ連化教育によって使われる程度で、民族同士の間ではほとんど用いられていない。 砂漠やオアシスで、トルコ+イラン、トルコ+ロシア、トルコ+蒙古、あるいは朝鮮や中国、アラビアなどの混じりあった、複雑な混血を思わす人々に再三出会った。そうしてバイカル湖畔やアルマータ市の街角で、日本人と余りにも似通った容貌の人々に行き交うことにも驚かされた。 タクラマカン砂漠周辺でも中国中央部とは全く異なった、ウイグル族をはじめトルコ的風貌・習慣をもつ人々をしばしば見受けた。移住や連行の関係か飛石的に異民族が居住するところもある。 そこで鉄器文化の東遷と民族の関係を調べる目安として、鉄のことをどのように各地で表現しているか、ホテルや航空機の中での聞き齧りをカナ発音で写してみた。発音を表現するのはむずかしけ十分ではないが、辞書も参照して出来る限り拾ってみた。 その結果は地域独特の訛りや一、二の聞き違いもあろうが、大きく分けて次の通りであった。①古代トルコ語が若干変化した形で伝播した言葉を使う地域。中には全く異なる言語体系なのに借用語の形で定着している地域もある。②ツングース族は製鉄技術を知ったものの、鉄の表現に独自の用語を維持し、これがやがて南部へと伝播していき、民族によっては若干の変化を示している地域もある。③アラビア語は砂漠を漂泊した民族によってエジプトに入る一方で北上し、ヨルダン、シリアなどに至っている。④インド語系の言語は、インド諸族から中継ぎしたソグド商人などの鉄搬送を示すかのように、北上してパンジャブ地域からパミール高原、さらにアフガニスタンの一部など、いわゆる東西・南北の接点に残存している。⑤イラク・イランはペルシャ語が主流であるが、一部はインド語の影響も無視できないようである。なお隊商の往来した関係か、ソグド人の後裔とされているタジク族の言語はもちろん、アフガニスタンのパシュート語にも幾分親縁関係がみられる。⑥中国語の発音はティエで、迂遠な形でトルコ語の影響を受けていると言えよう。福建省まで下るとビンナン語ではティとなってくる。また日本語も大部分はさらに変化した形でこれに連接しているものと考えられる。ただ東北地方に残るテツの発音はツングース語系に属するということができよう。
2020.01.24
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図書館で『ムーミン谷へようこそ』という本を手にしたのです。スウェーデン国籍を持つトーベ・ヤンソンの風貌はどこかアジア的であり、フィンランドの血が現れています。扱う言語もスウェーデン、フィンランドのバイリンガルであることも興味深いのです。【ムーミン谷へようこそ】冨原眞弓著、ベストセラーズ、1995年刊<「BOOK」データベース>より【目次】ムーミンに登場するキャラクター/ようこそムーミンの世界へ(自然なしあわせのかたち/「ムーミン的」な暮らしとは/かわいい子には旅をさせよう/偶然にゆだねられた運命/もうひとりのトロール/自分探しの旅のはじまり/ムーミントロールの恋 ほか)/解説 トーベ・ヤンソンとムーミン<読む前の大使寸評>スウェーデン国籍を持つトーベ・ヤンソンの風貌はどこかアジア的であり、フィンランドの血が現れています。扱う言語もスウェーデン、フィンランドのバイリンガルであることも興味深いのです。rakutenムーミン谷へようこそ/TD>ムーミン谷の住人たちを、見てみましょう。p11~20<ムーミンに登場するキャラクター> ムーミン世界の住人たちは、れっきとした個人でありながら、種族の代表者でもあるというわけだ。それぞれが強烈な個性を持った存在なのだが、同時にそれぞれが属している種族の特徴もかねそなえている。たとえば、ヘムル族は一般的にお人好しだが権威主義的なところもあるとか、フィリフヨン族には潔癖症が多いとか、スナフキン族は放浪癖があるボヘミアンだといったぐあいに。 ムーミン世界の住人たちが、ひとりの作者のファンタジーから生れた完全なフィクションであるにもかかわらず、普遍性へと開かれた存在であり、ファンタジーの世界の外に生きるわたしたちにとっても身近な存在でありつづける由縁だろうか。■ムーミントロール 母親っ子の甘えん坊。初期の作品ではなにかとムーミンママに頼るが、独立独歩のスナフキンに憧れてもいて、自分もいつかはあんなふうに生きてみたいと思っている。9冊のシリーズを通して成長していくプロセスが描かれる。気立てがよくて、めったに起こらないが、感受性がゆたかで、そのぶん傷つきやすい。■ムーミンママ どんなときにも慌てず騒がず、頼りになる。すばらしく楽天的で、たいていの困難は苦もなく乗りこえる。 物に愛着を感じても執着はしない。だれよりも自由な精神の持ち主かもしれない。(中略)作者の母シグネがモデル。■ムーミンパパ 子どもっぽい。ちょっと無理をしても責任を引きうけたがるが、すぐ挫折してむくれる。手先の器用さが自慢。マイホーム主義を信奉しているわりに放浪癖があり、シリーズを通じて何度も失踪する。■スナフキン 直訳すれば「嗅ぎタバコをやる男」で、スウェーデン語名は「スヌスムムリク」。日本で流布している「スナフキン」は英語名の転用。自由と孤独を愛する詩人。人にも物にも執着せず、秋になるとムーミン谷を去って、旅に出る。大伯母さんから貰ったハーモニカと古ぼけた帽子を大事にしている。■ちびのミイ ミムラ族の中で「いちばん小さく」、名前はギリシャ文字のμ(小さいものの象徴)に由来する。作者によると「勇気があり、怒ることができ、ぜったいにへこたれず、前向きで、いつになっても大きくならない」。探究心旺盛、怖いもの知らず、単刀直入、ときとしてハードボイルド。■フィリフヨンカ ブルジョワの中年女性のカリカチュア。物はたくさん持っているが、孤独な生活をしている。病的なまでにきれい好きで潔癖症。好きでもない親戚づきあいをしようとしたり、祖母が住んでいたというだけで意にそわない家に住んだりする。(後略)『ムーミン谷へようこそ』2:ムーミン谷の冬『ムーミン谷へようこそ』1:トーベ・ヤンソンの言語環境
2020.01.23
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図書館で『ムーミン谷へようこそ』という本を手にしたのです。スウェーデン国籍を持つトーベ・ヤンソンの風貌はどこかアジア的であり、フィンランドの血が現れています。扱う言語もスウェーデン、フィンランドのバイリンガルであることも興味深いのです。【ムーミン谷へようこそ】冨原眞弓著、ベストセラーズ、1995年刊<「BOOK」データベース>より【目次】ムーミンに登場するキャラクター/ようこそムーミンの世界へ(自然なしあわせのかたち/「ムーミン的」な暮らしとは/かわいい子には旅をさせよう/偶然にゆだねられた運命/もうひとりのトロール/自分探しの旅のはじまり/ムーミントロールの恋 ほか)/解説 トーベ・ヤンソンとムーミン<読む前の大使寸評>スウェーデン国籍を持つトーベ・ヤンソンの風貌はどこかアジア的であり、フィンランドの血が現れています。扱う言語もスウェーデン、フィンランドのバイリンガルであることも興味深いのです。rakutenムーミン谷へようこそ/TD>「ムーミン谷の冬」あたりを、見てみましょう。p61~64<自分探しの旅のはじまり> ある冬の真夜中、ひっそりと寝しずまるムーミン屋敷の応接間に、青白い月の光が差しこんでいる。ムーミンたちは11月から4月にかけて冬眠するのだが、「月光にまっすぐ顔を照らされた」ムーミントロールだけが眼をさまし、どういても冬眠に戻れなくなってしまう。 夏のムーミン谷を包んでいたのが、ものみなすべてを養い育てる太陽の暖かい光と熱だとすれば、見わたすかぎりの銀世界と化したムーミン谷を照らすのは、青く冷たい光を投げかける月である。月が生きものに神秘的な影響をおよぼすというのは、古今東西を問わず広く認められる俗信だが、この作品でも月は決定的な役割を演じる。 とも訳せる『トロールの冬』という原題が示すように、なにが起きても不思議ではない魔法に満たされた季節、それがムーミン谷の冬である。夏の世界に君臨する太陽が何ヶ月も顔を出さなくなる北欧の長く暗い冬のあいだ、冬の世界をつかさどる月が、太陽の領域であった表の世界の日常を少しずつ浸食しはじめる。 こうして、月の光をまともに浴びたムーミントロールは、冬のムーミン屋敷の日常であるから引きはがされ、まったく異質と思える世界にひとりぼっちで放りだされる。子ども時代をまもなく終わろうとするムーミントロールにだけ訪れたとつぜんのに、ひとつのステージからべつのステージへと移るための通過儀礼の隠喩が読みとれる。 応接間の大きなタイルストーブのまわりでは、家族たちが夏の夢にいだかれて屈託なく眠っている。白いカヴァーで覆われた家具、時を刻むのをやめて久しい柱時計、テュールに包まれた埃っぽいシャンデリア、月光がきわだたせる暗闇。心なごませるはずの見なれた応接間が、ふいに不気味で見なれないものに変わる。 作者自身による挿し絵が重要なファクターとなる。たとえば、ムーミントロールが応接間にたたずむ頁大の挿し絵では、得体のしれない不気味な予感が、陰影あざやかな描線によってたくみに演出される。 手前に描かれているのは掛け布団をすっぽりかぶって眠るムーミンママだ。かろうじて耳だけがのおいている。ベッドの枠に掛かっているのはエプロンだろう。左手にある大きな柱時計は、黒い髪を振りみだし、両腕を腰にあてた、のっぺらぼうのおばけのようだ。(中略)・・・顔の見えないムーミンママの寝姿に、ムーミントロールの孤独が読み取れる。『ムーミン谷へようこそ』1
2020.01.23
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図書館で『ムーミン谷へようこそ』という本を手にしたのです。スウェーデン国籍を持つトーベ・ヤンソンの風貌はどこかアジア的であり、フィンランドの血が現れています。扱う言語もスウェーデン、フィンランドのバイリンガルであることも興味深いのです。【ムーミン谷へようこそ】冨原眞弓著、ベストセラーズ、1995年刊<「BOOK」データベース>より【目次】ムーミンに登場するキャラクター/ようこそムーミンの世界へ(自然なしあわせのかたち/「ムーミン的」な暮らしとは/かわいい子には旅をさせよう/偶然にゆだねられた運命/もうひとりのトロール/自分探しの旅のはじまり/ムーミントロールの恋 ほか)/解説 トーベ・ヤンソンとムーミン<読む前の大使寸評>スウェーデン国籍を持つトーベ・ヤンソンの風貌はどこかアジア的であり、フィンランドの血が現れています。扱う言語もスウェーデン、フィンランドのバイリンガルであることも興味深いのです。rakutenムーミン谷へようこそ/TD>トーベ・ヤンソンの言語環境が語られているあたりを、見てみましょう。p160~161<解説> ムーミンシリーズの生みの親、トーベ・マリカ・ヤンソンは、1914年、父ヴィクトルは彫刻家、母シグネは挿し絵画家という芸術一家の第一子として、フィンランドの首都ヘルシンキで生れた。 ムーミンを世に送りだしたとして有名であるが、もともとは画家となるべくヨーロッパ各地で修業をつみ、第二次世界大戦前後は政治風刺漫画家として活躍し、いわゆるの小説や短編をいまも定期的に発表している現役の作家であることは、北欧諸国はべつとして、それほど知られていない。 父はヘルシンキ生まれのスウェーデン系フィンランド人、母はストックホルム生まれのスウェーデン人で、家庭や芸術家の仲間うちでの共通語はスウェーデン語であった。トーベ自身もスウェーデン語教育の学校に通ったため、フィンランド語はあまり得意でなく、作品はすべてスウェーデン語で書かれている。 言語が個人をかたちづくるプロセスにおいてはたす決定的な役割を考えれば、言葉をあやつる作家にとってはなおのこと、こうした背景がヤンソン作品になんの影響もおよぼさなかったとは思えない。 むしろ、国民のほとんどがフィンランド語を母語にする国にあって、トーベ・ヤンソンがフィンランドで生まれ育ったフィンランド人でありながら、スウェーデン語を話す言語的少数派(全人口の約6%)に属することは、構造的なパラレルワールドが魅力のひとつともいえるヤンソンの作風を理解するために、避けては通れない重要なファクターだと、わたしは思う。 ヤンソン自身、ムーミン家族が自分の子ども時代の思い出にヒントを得ていることを認めている。「ムーミン物語はある程度までスウェーデン系フィンランド人の社会を反映しているのか」という1978年のインタビュー質問にたいして、つぎのように答えている。「反映していないわけがありません。 わたしが描いたのはスウェーデン系フィンランド人の家族です。どんな少数派グループにもみてとれる一種の孤立がそこにはみてとれるはずです。ただし悲壮感ぬきにです。(ムーミンたちは)互いに一緒にいてしあわせだと思っているし、自分たちが住んでいる環境や場所に満足しています。とはいえ、もちろん、はっきりそれとわかるスウェーデン系フィンランド人の特徴をもっています。それがいいか悪いかではなく、ただ単純にそうなのです」。 この「スウェーデン系フィンランド人の特徴」とはなにかについてヤンソン自身は明言していないが、ヤンソンが政治風刺雑誌「ガルム」に1929年から1953年の廃刊にいたるまで中心的な寄稿者のひとりでありつづけたことに着目してみたい。この雑誌が1923年の創刊時にかかげたスローガンは「スウェーデン的・自由・北欧主義」の三つである。スウェーデン系フィンランド人の話す言語といえば、多和田葉子が提唱するところのパンスカ(汎スカンディナビア語)そのものではないか♪
2020.01.22
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今回借りた5冊です。だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は、強いていえば、「予約本」でしょうか♪<市立図書館>・平成経済 衰退の本質・プリズンホテル夏・ムーミン谷へようこそ<大学図書館>・鉄の文明史・からだにおいしい魚の便利帳図書館で手当たり次第で本を探すのがわりと楽しいが・・・これが、図書館での正しい探し方ではないかと思ったりする(笑)************************************************************【平成経済 衰退の本質】金子勝著、岩波書店、2019年刊<「BOOK」データベース>よりバブルとバブルの崩壊から始まった平成時代。マクロ経済政策も、構造改革も、「失われた20年」を克服できないどころか、症状を悪化させてきた。セーフティーネット概念の革新、反グローバリズム、長期停滞、脱原発成長論などをキー概念に、一貫して未来を先取りした政策提案を行ってきた著者による30年の痛烈な総括。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(11/17予約、1/19受取)>rakuten平成経済 衰退の本質【プリズンホテル夏】浅田次郎著、徳間書店、1993年刊<「BOOK」データベース>より笑うか、泣くか?悪漢小説。超大型新人の最高傑作。<読む前の大使寸評>浅田さん初期のエンタメ小説のようだが・・・期待できそうである。<図書館予約:(1/13予約、1/19受取)>amazonプリズンホテル夏【ムーミン谷へようこそ】冨原眞弓著、ベストセラーズ、1995年刊<「BOOK」データベース>より【目次】ムーミンに登場するキャラクター/ようこそムーミンの世界へ(自然なしあわせのかたち/「ムーミン的」な暮らしとは/かわいい子には旅をさせよう/偶然にゆだねられた運命/もうひとりのトロール/自分探しの旅のはじまり/ムーミントロールの恋 ほか)/解説 トーベ・ヤンソンとムーミン<読む前の大使寸評>スウェーデン国籍を持つトーベ・ヤンソンの風貌はどこかアジア的であり、フィンランドの血が現れています。扱う言語もスウェーデン、フィンランドのバイリンガルであることも興味深いのです。rakutenムーミン谷へようこそ【鉄の文明史】窪田蔵郎著、雄山閣出版、1991年刊<「MARC」データベース>より鉄を造る原材から、シルクロード、旧約聖書などの古代文化の中に見られる鉄など、鉄の歴史を西アジア、中国・韓国、日本にたどる。著者自らが足で調べた興味深い話の数々。<読む前の大使寸評>古代日本へどのようにして鉄作りが伝播したのか・・・興味深いのです。amazon鉄の文明史【からだにおいしい魚の便利帳】藤原昌高著、高橋書店、2010年刊<「BOOK」データベース>よりおいしい食べ方、手間なしシレピ、選び方・さばき方、冷凍解凍保存法、旬。お役立ちが満載。<読む前の大使寸評>追って記入rakutenからだにおいしい魚の便利帳************************************************************とまあ・・・・抜き打ちのように、関心の切り口を残しておくことも自分史的には有意義ではないかと思ったわけです。図書館大好き418
2020.01.22
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<図書館予約の軌跡208>『朝日デジタルの書評から』フォームや『読みたい本』フォームを作っているのだが、これを市図書館の予約に利用しようと、思い立ったのです。これまでの予約内容と予約候補は以下のとおりです。<予約中>・伊坂幸太郎『フーガはユーガ』(7/24予約、副本34、予約462)現在130位・伊坂幸太郎『クジラアタマの王様』(7/31予約、副本1、予約197)現在15位・デービッド・アトキンソン『日本人の勝算』(8/20予約、副本14、予約157)現在35位・劉慈欣『三体』(9/09予約、副本8、予約179)現在70位・森絵都『カザアナ』(9/21予約、副本11、予約109)現在34位・呉善花『韓国を蝕む儒教の怨念』(10/02予約、副本3、予約56)現在20位・橘玲「上級国民/下級国民」(10/24予約、副本16、予約283)現在191位・川上弘美『某』(10/27予約、副本7、予約70)現在40位・ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(11/13予約、副本19、予約534)現在431位・門井慶喜『定価のない本』(1/12予約、副本9、予約74)現在73位・橘玲「言ってはいけない中国の真実」(1/18予約、副本6、予約1)<カートで待機中>・N・ネフスキー著『月と不死』・8月の果て・ある日うっかりPTA(副本4、予約39)・グレタたったひとりのストライキ<予約候補>・村上龍『村上龍料理小説集』・多和田葉子『尼僧とキューピッドの弓』・「歴史認識」とは何か・キネマ旬報(ありがとう、和田誠さん)・浅田次郎『大名倒産 (上・下)』:図書館未収蔵・有川ひろ『倒れるときは前のめりふたたび』:図書館未収蔵・東龍夫『ザ・ソウル・オブ くず屋』:図書館未収蔵・『オーバーストーリー』・柳美里『ねこのおうち』・橋本治『黄金夜界』・中園成生『日本捕鯨史』・高野秀行「ワセダ三畳青春記」・高樹のぶ子『アジアに浸る』・書物の破壊の世界史・つげ義春『ガロ 1968 前衛マンガの試行と軌跡』・メカニズムの事典・ディック『パーマー・エルドリッチの三つの聖痕』:図書館未収蔵・ヘミングウェイで学ぶ英文法:図書館未収蔵・内澤旬子『ストーカーとの七00日戦争』:図書館未収蔵・ジョージ・ミーガン『世界最長の徒歩旅行』:図書館未収蔵・八画文化会館vol.6 総力特集:レトロピア岐阜:図書館未収蔵・「月夜のでんしんばしら」谷川雁、C.W.ニコル:図書館未収蔵・カズオ・イシグロ著『癒されざる者たち』:図書館未収蔵・阿刀田高『裏声で歌へ君が代』・デジタルエコノミーはいかにして道を誤まるか:図書館未収蔵・ネルケ無方著『迷える者の禅修業』・ボリス・ヴィアン著『うたかたの日々』:芸工大に収蔵・禁じられた歌(田)<予約分受取:12/06以降> ・樹木希林『一切なりゆき』(2/27予約、12/06受取)・吉荒夕記『バンクシー』(11/27予約、12/11受取)・上田岳弘『キュー』(8/26予約、12/19受取)・有馬哲夫『原発・正力・CIA』(12/15予約、12/22受取)・Coloring in Wadaland 和田誠カラー作品集(11/24予約、1/04受取)・与那覇潤『知性は死なない』(1/04予約、1/07受取)・金子勝『平成経済 衰退の本質』(11/17予約、1/19受取)・浅田次郎『プリズンホテル』(1/13予約、1/19受取)【フーガはユーガ】伊坂幸太郎著、実業之日本社、2018年刊<「BOOK」データベース>より常盤優我は仙台市のファミレスで一人の男に語り出す。双子の弟・風我のこと、決して幸せでなかった子供時代のこと、そして、彼ら兄弟だけの特別な「アレ」のこと。僕たちは双子で、僕たちは不運で、だけど僕たちは、手強い。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(7/24予約、副本34、予約462)>rakutenフーガはユーガ【クジラアタマの王様】伊坂幸太郎著、NHK出版、2019年刊<「BOOK」データベース>より製菓会社に寄せられた一本のクレーム電話。広報部員・岸はその事後対応をすればよい…はずだった。訪ねてきた男の存在によって、岸の日常は思いもよらない事態へと一気に加速していく。不可思議な感覚、人々の集まる広場、巨獣、投げる矢、動かない鳥。打ち勝つべき現実とは、いったい何か。巧みな仕掛けと、エンターテインメントの王道を貫いたストーリーによって、伊坂幸太郎の小説が新たな魅力を放つ。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(7/31予約、副本1、予約197)>rakutenクジラアタマの王様【日本人の勝算】デービッド・アトキンソン著、東洋経済新報社、2019年刊<「BOOK」データベース>より在日30年、日本を愛する伝説のアナリスト×外国人エコノミスト118人だから書けた!大変革時代の生存戦略。【目次】第1章 人口減少を直視せよー今という「最後のチャンス」を逃すな/第2章 資本主義をアップデートせよー「高付加価値・高所得経済」への転換/第3章 海外市場を目指せー日本は「輸出できるもの」の宝庫だ/第4章 企業規模を拡大せよー「日本人の底力」は大企業でこそ生きる/第5章 最低賃金を引き上げよー「正当な評価」は人を動かす/第6章 生産性を高めよー日本は「賃上げショック」で生まれ変わる/第7章 人材育成トレーニングを「強制」せよー「大人の学び」は制度で増やせる<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/20予約、副本14、予約157)>rakuten日本人の勝算【三体】劉慈欣著、早川書房、2019年刊<「BOOK」データベース>より物理学者の父を文化大革命で惨殺され、人類に絶望した中国人エリート科学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)。失意の日々を過ごす彼女は、ある日、巨大パラボラアンテナを備える謎めいた軍事基地にスカウトされる。そこでは、人類の運命を左右するかもしれないプロジェクトが、極秘裏に進行していた。数十年後。ナノテク素材の研究者・汪森(ワン・ミャオ)は、ある会議に招集され、世界的な科学者が次々に自殺している事実を告げられる。その陰に見え隠れする学術団体“科学フロンティア”への潜入を引き受けた彼を、科学的にありえない怪現象“ゴースト・カウントダウン”が襲う。そして汪森が入り込む、三つの太陽を持つ異星を舞台にしたVRゲーム『三体』の驚くべき真実とは?アジア圏の作品として初のヒューゴー賞長篇部門に輝いた、現代中国最大のヒット作。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(9/09予約、副本8、予約179)>rakuten三体【カザアナ】森絵都著、朝日新聞出版、2019年刊<「BOOK」データベース>より平安の昔、石や虫など自然と通じ合う力を持った風穴たちが、女院八条院様と長閑に暮らしておりました。以来850年余。国の規制が強まり監視ドローン飛び交う空のもと、カザアナの女性に出会ったあの日から、中学生・里宇とその家族のささやかな冒険がはじまったのです。異能の庭師たちとタフに生きる家族が監視社会化の進む閉塞した時代に風穴を空ける!心弾むエンターテインメント。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(9/21予約、副本11、予約109)>rakutenカザアナ【韓国を蝕む儒教の怨念】呉善花著、小学館、2019年刊<「BOOK」データベース>より「不可逆的に最終合意」したはずの慰安婦問題をひっくり返したかと思えば、韓国の最高裁は、すでに日韓基本条約で解決済みの徴用工裁判で日本企業に対し、賠償判決を出す。一方で、文在寅大統領は中国、北朝鮮に擦り寄り、反日を加速させている。日本と韓国の関係は戦後最悪の状態にある。普通の日本人の感覚からすれば、まったく理解できない。いったいなぜなのか。ヒントは、反日主義にしなければならなかった韓国の歴史にある。それが現代にまで続き、自壊の道を辿っているのだ。韓国出身の著者がその謎を史実に基づき解き明かす。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/02予約、副本3、予約56)>rakuten韓国を蝕む儒教の怨念【上級国民/下級国民】橘玲著、小学館、2019年刊<「BOOK」データベース>より「下級国民」を待ち受けるのは、共同体からも性愛からも排除されるという“残酷な運命”。一方でそれらを独占する少数の「上級国民」たち。ベストセラー『言ってはいけない』の著者があぶり出す、世界レベルで急速に進行する分断の正体。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/24予約、副本16、予約283)>amazon上級国民/下級国民【某】川上弘美著、小学館、2019年刊<「BOOK」データベース>より名前も記憶もお金も持たない某は、丹羽ハルカ(16歳)に擬態することに決めた。変遷し続ける“誰でもない者”はついに仲間に出会うー。愛と未来をめぐる、破格の最新長編。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/27予約、副本7、予約70)>rakuten某【ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー】ブレイディみかこ著、新潮社、2019年刊<「BOOK」データベース>より大人の凝り固まった常識を、子どもたちは軽く飛び越えていく。世界の縮図のような「元・底辺中学校」での日常を描く、落涙必至のノンフィクション。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(11/13予約、副本19、予約546)>rakutenぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー【定価のない本】門井慶喜著、東京創元社、2019年刊<「BOOK」データベース>より神田神保町ー江戸時代より旗本の屋敷地としてその歴史は始まり、明治期は多くの学校がひしめく文化的な学生街に、そして大正十二年の関東大震災を契機に古書の街として発展してきたこの地は、終戦から一年が経ち復興を遂げつつあった。活気をとり戻した街の一隅で、ある日ひとりの古書店主が人知れずこの世を去る。男は崩落した古書の山に圧し潰されており、あたかも商売道具に殺されたかのような皮肉な最期を迎えた。古くから付き合いがあった男を悼み、同じく古書店主である琴岡庄治は事後処理を引き受けるが、間もなく事故現場では不可解な点が見付かる。行方を眩ました被害者の妻、注文帳に残された謎の名前ーさらには彼の周囲でも奇怪な事件が起こるなか、古書店主の死をめぐる探偵行は、やがて戦後日本の闇に潜む陰謀を炙りだしていく。直木賞作家の真骨頂と言うべき長編ミステリ。<読む前の大使寸評>古書店主の死から、戦後日本に潜む陰謀を炙りだすってか・・・面白そうである。<図書館予約:(1/12予約、副本9、予約74)>rakuten定価のない本【言ってはいけない中国の真実】橘玲著、新潮社、2018年刊<「BOOK」データベース>より崩壊説を尻目に急速な経済成長を遂げた人口13億の大国・中国。満州からチベット、内モンゴルまで、その隅々を旅した著者は、至るところで不動産バブルの副産物で「鬼城」と呼ばれるゴーストタウンに出くわす。高層ビルが林立する超モダンな廃墟が建てられる元となった「錬金術」の仕組みに着目し、日本と異なる国家体制、組織のあり方、国民性を読み解く新中国論。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/18予約、副本6、予約1)>rakuten言ってはいけない中国の真実【月と不死】N・ネフスキー著、平凡社、1971年刊<出版社>より著者は日本民俗学界の異色の存在として知られるロシア人学者で,柳田国男,折口信夫らと親交を結び,沖縄,東北などの民俗を採録した。本書は日本語で発表された論文・書簡を網羅した唯一の著作集。<読む前の大使寸評>ロシア人にして、日本民俗学界の異色の存在が気になるのです。<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>heibonsha月と不死【8月の果て】柳美里著、新潮社、2007年刊<「BOOK」データベース>より日本統治下の朝鮮・密陽に生を受け、マラソンでの五輪出場を目指した亡き祖父・李雨哲。そのうしろ姿を追い、路上を駆けることを決意した柳美里。ふたりの息づかいが時空を越えて重なる瞬間、日本と朝鮮半島のあわいに消えた無数の魂が封印を解かれ、歴史の破れ目から白い頁に甦る。偉丈夫の雨哲と美丈夫の弟・雨根。血族をめぐる、ふたつの真実の物語が、いま日本文学を未踏の高みへと押し上げる。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>rakuten8月の果て図書館予約の軌跡207予約分受取目録R22好書好日トップ図書館情報ネットワーク 蔵書検索システム図書館予約の運用にも慣れて、速攻で入手するコツも何となくつかんだと思うのだ♪・朝日書評欄で探すとしたら、3ヶ月前掲載くらいのモノが狙い目かも。・専門的すぎるほどのモノは、予約0となっていることが多い。・受取館に収蔵しているモノは、移送する手間が省けるので早くなるだろう。・本屋の店頭に出た直後の新刊本・ウィキペディアでめぼしい著作を探す・神戸市図書館の予約順位は毎週火曜日(午前1時~3時) に更新されます。
2020.01.21
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図書館に予約していた『Coloring in Wadaland 和田誠カラー作品集』という本を、待つこと10日ほどでゲットしたのです。かなり分厚い大型本であるが、これがほぼ全てカラー画像の作品で埋められいるのです。・・・極めつきのビジュアル本というか、大人向けの絵本のような体裁となっていて、ええでぇ♪【Coloring in Wadaland 和田誠カラー作品集】和田誠著、愛育社、2011年刊<「BOOK」データベース>より挿絵、ポスター、レコードジャケット、さらには旅のスケッチに色指定やCFの場面カットに立体まで。およそ1,000点を掲載した和田誠カラー作品の集大成。<読む前の大使寸評>かなり分厚い大型本であるが、これがほぼ全てカラー画像の作品で埋められいるのです。・・・極めつきのビジュアル本というか、大人向けの絵本のような体裁となっていて、ええでぇ♪<図書館予約:(11/24予約、1/04受取)>rakutenColoring in Wadaland 和田誠カラー作品集イラストレーションやアニメーションが語られているので、見てみましょう。p437~438<そのほか> 章立てを画材によって分類した。ほかに色指定と立体を加えたが、どれにも当てはまらないものがあるので、まとめて「そのほか」とした。 ぼくはイラストレーターで同時にグラフィックデザイイナーでもあるせいか、絵を描くだけでなく印刷効果をいつも考えている。描いたものがどう再現されるか気になるのはもちろん、印刷技術を通して初めて生まれる効果を工夫するのが好きだ。 色指定もその一つだが、三色刷りの三版、四色刷りの四版を分けて描き、印刷されることのよって初めて結果が現れる、というのをやることがあある。仕上がりを予想しつつ手書きの画稿だからズレが生じる、その偶然性に期待するのだ。 黒一色で絵を描き、別紙に何色もの色を塗りたくっておいて、黒の代わりにその色で製版する、というのも面白い効果が出る。 自分が撮った写真を自分が描いた絵に合成することもある。絵と写真の合成が珍しいわけではないけれど、人の写真を勝手に使うわけにはいかない。許諾だの使用料の交渉など何かと面倒だから、自分で撮ったものを使っている。写真もまた自分のイラストレーションの一部として生きるのが楽しい。 子ども時代からアニメーションに興味があった。初めて観たのは影絵アニメの「ジャックと豆の木」。子どもだから作者を知ろうとはしなかったが、大人になってから荒井和五郎という人の作品だということがわかった。 戦時中、学校の講堂で観た「桃太郎の海鷲」や「マー坊の落下傘部隊」など戦意高揚アニメも当時は面白く感じた。『Coloring in Wadaland 和田誠カラー作品集』1
2020.01.21
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図書館で『文学的商品学』という本を手にしたのです。膨大な数の書評を書いている著者だから、商品学と銘打つのは・・・いいんじゃないか。【文学的商品学】斎藤美奈子著、紀伊國屋書店、2004年刊<「BOOK」データベース>より商品情報を読むように、小説を読んでみよう。庄司薫から渡辺淳一まで、のべ70人の82作品を自在に読みとく。【目次】はじめにー商品情報を読むように小説を読んでみよう/1 アパレル泣かせの青春小説/2 ファッション音痴の風俗小説/3 広告代理店式カタログ小説/4 飽食の時代のフード小説/5 ホラーの館ホテル小説/6 いかす!バンド文学/7 とばす!オートバイ文学/8 人生劇場としての野球小説/9 平成不況下の貧乏小説<読む前の大使寸評>膨大な数の書評を書いている著者だから、商品学と銘打つのは・・・いいんじゃないか。rakuten文学的商品学「9 平成不況下の貧乏小説」でいくつか、見てみましょう。p228~233 全部が全部ではありませんが、プロレタリア文学の多くは三人称、いわゆる全知全能の神の視点で書かれています。だれか特定の個人というよりは、群像としての労働者=労働者階級を描くのがこのジャンルの目ざすところだからです。したがって、物語の外側にるいる語り手はみな、たいそう自覚的なマルクス主義者です。もう一作、よく知られた作品を読んでみましょう。 北海道では、字義通り、どの鉄道の枕木もそのまま一本一本労働者の青むくれた「死骸」だった。築港の埋立には、脚気の土工が生きたまま「人柱」のように埋められた。 北海道の、そういう労働者を「タコ(蛸)」といっている。蛸は自分が生きて行くためには、自分の手足をも食ってしまう。これこそ、全くそっくりではないか! そこでは誰をも憚らない「原始的」な搾取が出来た。「儲け」がゴゾリ、ゴゾリ掘りかえってきた。しかも、そして、その事を巧みに「国家的」富源の開発ということに結びつけて、マンマと合理化していた。抜け目がなかった。「国家」のために、労働者は「腹が減り」「タタき殺されて」行った。(『蟹工船』) 小林多喜二『蟹工船』の一節です。そういえばこれもマドロスものですね。船というのは他から分断された独立空間ですから、物語の舞台に適していたのかもしれません。『蟹工船』にも特定の主人公は存在しません。(中略) しかし、この理屈っぽさはどうでしょう。貧乏の構造を語ろうとするあまり、登場人物をさしおいて、ここでは語り手が「搾取」だの「国家」だのいう語をふりまわして演説をぶっちゃってる。描かれる対象(労働者)と描く人(語り手あるいは作者)との間に知的な距離があること。それがこのジャンルの隠れた特質ともいえましょう。<貧乏小説はダメ男としっかり者の女の物語である> さて、というように、同じように貧乏を扱いながら、私小説とプロレタリア文学のベクトルは一見まったく逆を向いています。内向きに閉じていく私小説と、外に向かってアジテーションするプロレタリア文学。トホホの私小説と、怒れるプロレタリア文学。 しかし、この二つには大きな共通項があります。 元祖貧乏小説とは、「知識階級=インテリゲンチャの貧乏小説」なのです。 自分自身をモデルにした私小説の場合、主人公は必ず作家か、または作家志望者です。家を追い出され、子どもをつれて街をさまようことになっても、書きかけの原稿は後生大事に抱えている主人公。これが「インテリ貧乏」でなくてなんでしょう。 この種の「インテリ貧乏」な男たちを間近に見ていた女性作家は、こんな風に書いています。 小山は、二度の監獄生活に懲りて社会運動から逃避し無名な原稿を書き、4年もつづけている男であった。彼の原稿は、不思議に、どんな大作を、どんなに根気よく書いて持込んでも、糸をつけておいたように、次から次から戻って来てしまうのである。 私と一緒になる動機にも、女を働かせる、という狡猾な考えを第一の理由としてひそませなければならない、みじめな男であった。「ね、お前、今度だけでいいから誰かに頼んで、少しつくって来てくれないか」 生活が窮して来ると、彼は、その切れの長い目を細くして、まじまじと私の表情をうかがいながら、今度こそ、今度だけだ、という風に、私に哀願するのであった。(「嘲る」) プロレタリア文学作家で、同時に私小説作家でもあった平林たい子の短篇の一節です。こんな男と結婚したのが運の尽きですが、女性作家の貧乏小説にはこの手が少なくありません。 ちょうど私小説やプロレタリア文学が文壇内部で話題になっていたころ、大衆に支持されて、ベストセラーになった貧乏文学がありました。林芙美子『放浪記』です。女学校を出て上京した林芙美子は、それからの5年間、日々の雑記をノートに書きためていました。その一部を編集して出版されたのが『放浪記』です。それは全編、こんな記述であふれています。 私は朝から何も食べない。童話や詩を三ツ四ツ売ってみた所で白い御飯が1ヵ月のどへ通るわけでもなかった。お腹がすくと一緒に、頭がモウロウとして来て、私は私の思想にもカビを生やしてしまうのだ。ああ私の頭にはプロレタリアもブルジョアもない。たった一握りの白い握り飯が食べたいのだ。(『放浪記』)『文学的商品学』2:フード小説『文学的商品学』1:浅田次郎『プリズンホテル』
2020.01.20
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図書館で『文学的商品学』という本を手にしたのです。膨大な数の書評を書いている著者だから、商品学と銘打つのは・・・いいんじゃないか。【文学的商品学】斎藤美奈子著、紀伊國屋書店、2004年刊<「BOOK」データベース>より商品情報を読むように、小説を読んでみよう。庄司薫から渡辺淳一まで、のべ70人の82作品を自在に読みとく。【目次】はじめにー商品情報を読むように小説を読んでみよう/1 アパレル泣かせの青春小説/2 ファッション音痴の風俗小説/3 広告代理店式カタログ小説/4 飽食の時代のフード小説/5 ホラーの館ホテル小説/6 いかす!バンド文学/7 とばす!オートバイ文学/8 人生劇場としての野球小説/9 平成不況下の貧乏小説<読む前の大使寸評>膨大な数の書評を書いている著者だから、商品学と銘打つのは・・・いいんじゃないか。rakuten文学的商品学お次はフード小説を、見てみましょう。p97~100<料理は男女間の距離を測る道具である> ちょっと気分を変えて、清水義範『12皿の特別料理』にいきましょう。 これは『村上龍料理小説集』や『ゆで卵』とはカラーのちがった料理カタログ小説集です。前の二冊との差は、『東京デザート物語』同様、料理が「食べるもの」ではなく「作るもの」として設定されている点です。 したがって、出てくる十二品はすべて家庭料理ないし家庭で作る本格料理です。おにぎり、ぶり大根、ドーナツ、鱈のプロバンス風、きんぴら、鯛素麺、チキンの魔女風、カレー、パエーリア、そば、八宝菜、ぬか漬け。 物語のパターンは二種類あり、①料理の基本を知らない主人公が身のほど知らずの難料理に挑戦するドタバタを描いたもの(台所格闘技系)と、②同じ料理が地域や家庭によってまったく別のものに化ける過程を描いたもの(異文化驚愕系)に分類できます。中鍋に水を入れて火にかけ、水のうちから大根を入れて下煮する。「お米を十粒くらいちょうだい」 わけがわからないまま手渡すと、大根を下煮している鍋に入れた。「どうしてそんなことするの」「大根のアクをとるためじゃないかな」 次にぶりのアラを冷蔵庫から取り出す。 「すっごいイキのいい色してるよね」 伸介はカマの部分を二つに分けるぐらいに、全体を大きめサイズに切り揃えた。ヒレとか、ぐちゃぐちゃのところとかは、切り捨てる。 それをさっと水洗いしてざるに入れ、高いところから塩を多めに振りかけた。表面に塩がまぶると、裏返してそっちにも塩をかける。(「ぶり大根」/『12皿の特別料理』) 暗喩もヘチマもあったものではありません。じつはこれ、小説であると同時に、その通りの手順でやれば料理も作れちゃうという一皿で二度おいしい本なのです。(中略) あくまでも小説としてこの本を読むと、同じ料理でも、外食のそれと家庭内のそれとでは、まったく意味が異なることがわかります。『12皿の特別料理』には性的なニュアンスや、記憶再生装置としての力はありません。そして、注意すべきは、この短篇集の人たちが、みな安定した男女関係の中で生きていることです。 夫の鮮やかな料理の手さばきに驚いて悲しくなる新米主婦(「ぶり大根」)、離婚した元夫に乞われて夫婦でいた頃の料理のメモを送るキャリアウーマン(「鱈のプロバンス風」)、名古屋生まれの夫の実家のきんぴらに憤然とする江戸っ子の妻(「きんぴら」)・・・。『文学的商品学』1
2020.01.20
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図書館で『文学的商品学』という本を手にしたのです。膨大な数の書評を書いている著者だから、商品学と銘打つのは・・・いいんじゃないか。【文学的商品学】斎藤美奈子著、紀伊國屋書店、2004年刊<「BOOK」データベース>より商品情報を読むように、小説を読んでみよう。庄司薫から渡辺淳一まで、のべ70人の82作品を自在に読みとく。【目次】はじめにー商品情報を読むように小説を読んでみよう/1 アパレル泣かせの青春小説/2 ファッション音痴の風俗小説/3 広告代理店式カタログ小説/4 飽食の時代のフード小説/5 ホラーの館ホテル小説/6 いかす!バンド文学/7 とばす!オートバイ文学/8 人生劇場としての野球小説/9 平成不況下の貧乏小説<読む前の大使寸評>膨大な数の書評を書いている著者だから、商品学と銘打つのは・・・いいんじゃないか。rakuten文学的商品学浅田次郎『プリズンホテル』が語られているので、見てみましょう。p117~119<個人経営のリゾートホテルはトンデモ城である> 舞台裏系リゾートホテル小説のヒット作といえば、これをあげないわけにはいけません。シリーズ化もされている浅田次郎『プリズンホテル』です。 舞台は山間の温泉リゾートホテル「奥湯元あじさいホテル」。風光明媚な立地ではあるものの、このホテルのスタッフは曲者ぞろいです。オーナーはヤクザの親分で、支配人はスタッフの中では唯一のホテルマン経験者ですが、失火が原因で一流ホテルをクビになり業界を転々としてきた人物。従業員は、ヤクザの子分と日本語がわからない外国人が半分ずつ。とんでもない混成チームによって、このホテルは運営されているのです。 この布陣が決まった時点で、小説の成功は約束されたも同然です。なにせ番頭が客を迎えるときの礼儀からして、こうですからね。「へいっ。うけたまわっておりやす。このたびは遠路はるばるのご到着、ご苦労さんにござんす。まずはワラジをお解きになりやして、ごゆっくりとご逗留下せえ」 黒田はそこまで言ってふいに顔を上げ、ひとけのないフロントに向かって叫んだ。「おいっ、若い者ンは誰もいねえのかっ。客人のご到着だ!」(『プリズンホテル』) 着任したての支配人が目をまわすのも、それと知らずに訪れたお客がひるむのも、これでは無理もありません。インテリアの趣味の悪さだって天下一品です。新支配人がホテル内を点検して歩くシーンを見てください。力いっぱいホテルマンの顔をして、花沢支配人は部屋から出た。 廊下に飾られた調度類の趣味も、早急に何とかしなければならない。エレベーターホールに突然置かれている鎧。裏山に面した出窓には、水牛のツノとか、打出の小槌を振り上げた大黒天とか、巨大な色絵ツボとか、正体不明な骨董類がゴテゴテと飾られている。階段の上がりがまちには、時代劇の番所でもあるまいに、サスマタ、ソデガラミ、ハシゴといった捕物道具がズラッと並べてあった。「たまらんなあ…」 中央階段を下りかけて、花沢は思わず呟いた。(同前)ウン この書評を見て、図書館に『プリズンホテル』の借出し予約を入れたのでおます。(副本2、予約0)となっていたので3日もすれば入手できるでしょう。
2020.01.20
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図書館で『20世紀デザイン』という本を手にしたのです。表紙の副題が「グラフィックスタイルとタイポグラフィの100年史」となっているとおり、各年代のポスターと文字書体のオンパレードで・・・ええでぇ♪【20世紀デザイン】トニー・セダン著、東京美術、2016年刊<「BOOK」データベース>よりデザインのインスピレーション、満載!20世紀の重要シーンを彩った、エポック的作品を一堂に。【目次】1900s/1910s/1920s/1930s/1940s/1950s/1960s/1970s/1980s/1990<読む前の大使寸評>表紙の副題が「グラフィックスタイルとタイポグラフィの100年史」となっているとおり、各年代のポスターと文字書体のオンパレードで・・・ええでぇ♪rakuten20世紀デザインポスターといえば、政権のプロパガンダという使い方がありますね。そのあたりが語られているので、見てみましょう。p110~111<プロパガンダ(パートⅡ)> 第二次世界大戦のプロパガンダへの様式的な手法を理解するにはまず、1930年代半ばから終わりにかけてのドイツで政治宣伝がどのように行われるようになったかを検討するとわかりやすい。アドルフ・ヒトラーは、1923年にミュンヘンでのクーデターに失敗後、獄中で「我が闘争」を書いた。 彼はそのなかで、プロパガンダは「受けがよくなくてはならず、最も知性の低い国民の理解力に合わせた知的水準にすべきである」と述べている。第一次世界大戦のポスターの様式について説明した際にも触れたが、ヒトラーはイギリスのプロパガンダの主要メッセージの非情さを褒め、逆にドイツの1914~1918年の大戦時のプロパガンダを、装飾的すぎて効果的でないとけなしていたことで知られている。(中略)ロージー・ザ・リベッター アメリカでは戦時中もアール・デコが支配的であったが、写実表現が中心の各種の伝統的様式も流行っていた。アメリカのプロパガンダポスターや書物では、アール・デコと構成主義様式が主であった。 アール・デコの依然とした人気は、ひとつには、第二次世界大戦前の数年間で、多くのヨーロッパのデザイナーたちがナチスドイツを逃れてアメリカに亡命してきたことによる。第二次世界大戦が始まって1、2年のポスターは、イギリス連合軍への支持を表明するものが主で、アメリカの大規模な生産基地が戦争に貢献していることを強調していた。 アンクル・サムが再登場し、“ロージー・ザ・リベッター”が、多くの雑誌の表紙やポスターで有名になった。そのポスターとは、1945年にJ・ハワード・ミラーがデザインした「We Can Do It!」だ。『20世紀デザイン』1
2020.01.19
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図書館で『20世紀デザイン』という本を手にしたのです。表紙の副題が「グラフィックスタイルとタイポグラフィの100年史」となっているとおり、各年代のポスターと文字書体のオンパレードで・・・ええでぇ♪【20世紀デザイン】トニー・セダン著、東京美術、2016年刊<「BOOK」データベース>よりデザインのインスピレーション、満載!20世紀の重要シーンを彩った、エポック的作品を一堂に。【目次】1900s/1910s/1920s/1930s/1940s/1950s/1960s/1970s/1980s/1990<読む前の大使寸評>表紙の副題が「グラフィックスタイルとタイポグラフィの100年史」となっているとおり、各年代のポスターと文字書体のオンパレードで・・・ええでぇ♪rakuten20世紀デザインアール・デコが語られているので、見てみましょう。p70~71<アール・デコの起源> アール・デコという言葉は、「現代装飾美術産業美術・国際博覧会」と深く関係する様式を指す。このイベントは万国博覧会という形式で、1925年4月から10月までパリで開催された。アール・デコという用語は、建築家のル・コルビュジエが、自身の『エスプリ・ヌーヴォー近代建築名鑑』のなかで「1925年アール・デコ博」という表題で紹介した一連のアイテムを呼称するためにつくったとされている。 アール・デコは、アール・ヌーヴォーと同じく、建築、インテリア、ファッション、製品デザイン、グラフィックデザインに当てはまる統一的スタイルのもうひとつの例である。その前のモダニズム様式を豪華にした形で、キュビズムの影響が目立つほか、ウィーン分離派、デ・スティルの要素も見られる。モダンアートをファッショナブルなライフスタイルに変換したものであり、贅沢、華やかさ、消費主義、マシン・エイジ文化の栄光を象徴していた。(中略) アール・デコは、装飾的傾向においてはアール・ヌーヴォーの要素を残しているが、アール・ヌーヴォーに見られた有機的なデザインではなく、その曲線的な傾向は、直線的フォルムと計算された曲線が交わる幾何学的スタイルに取って代わられた。グラフィックデザインにおいてのアール・デコは、かなりいろいろのものが混ざり合っている。 アール・デコ建築に顕著な幾何学的フォルムがグラフィックにもみられるが、表現様式は個々のデザイナーによってさまざまであった。フランスでは、A・M・カッサンドルやジャンン・カルリュがアール・デコの主唱者とされている。彼らは、1920年代終わりから1930年代にかけて、船会社、鉄道会社、百貨店、そしておなじみのアペリティフ・ワイン、デュボネなどのポスターをデザインしている。 1926年にフリッツ・ラング監督の映画『メトロポリス』のポスターをデザインしたハインツ・シュルツ=ノイダムをはじめとするドイツのデザイナーたちは未来派に近い作風だった。また、アメリカにおけるアール・デコのグラフィックデザインは、独自にジャズ・モダンと呼ばれ、アメリカ先住民やアステカ美術のテーマをモチーフにしていた。アール・デコといえば・・・『アール・デコの挿絵本』という本がお奨めです。ところで、奇しくもタイトルが似ている『北斎 宇宙をデザインす』という本を読んでいたので紹介します。【北斎 宇宙をデザインす】西沢裕子著、農山漁村文化協会、2006年刊<「BOOK」データベース>より【目次】修業時代/『北斎漫画』の世界/北斎のイマジネーション/デザイナー・北斎/北斎の「富士」/森羅万象を自在に描く/真正の画工となるを得へし<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくると、モノクロではあるが画像の多いのがええでぇ。その豊富な画像で例証する方針がいいではないか。rakuten北斎 宇宙をデザインす『北斎 宇宙をデザインす』1
2020.01.19
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図書館で『日本の備えを問う』という本を手にしたのです。著者は阪神・淡路大震災当時、姫路河川国道事務所に勤務しており、震災直後の復旧活動に従事したそうだが・・・このときの国交省の欺瞞や不手際がこの本で告発されているようです。【日本の備えを問う】中村文彦著、幻冬舎、2019年刊<「BOOK」データベース>より東日本大震災で派遣された緊急災害対策派遣隊は、勇み足だった?紀伊半島の土砂ダム整備事業は、単なる無駄遣い?数々の災害対応にあたってきた著者が、過去の事例を検証し、これからの防災の在り方を提言する。<読む前の大使寸評>著者は阪神・淡路大震災当時、姫路河川国道事務所に勤務しており、震災直後の復旧活動に従事したそうだが・・・このときの国交省の欺瞞や不手際がこの本で告発されているようです。rakuten日本の備えを問う第2章で。国交省のTEC-FORCE隊の活動が語られているので、見てみましょう。p21~24<第2章 東日本大震災の勇み足と点数稼ぎ> 2011(平成23)年3月11日、午後2時46分、震度7の地震が発生し、同時に大津波が東北地方沿岸一帯を襲った。死者は1万9630人、行方不明者は2569人に上った。地震・津波・原子力発電所の事故と放射能漏れによる複合災害で、被害は広域に及び戦後最悪の自然災害となった。 被災地方自治体等からの要請はなかったが、国土交通省が初めにしたことは、TEC-FORCE隊による所管施設の災害調査派遣だった。TEC-FORCE隊とは大規模な自然災害等に際して、被災自治体が行う被災状況の把握、拡大防止、早期復旧等に対する技術支援を実施する緊急災害対策派遣隊のことだ。 元々、国土交通省は排水ポンプ車や照明車などの災害対策用機械を保有しており、被災自治体の支援を行っていたが、災害時の支援を担う組織としては自衛隊・消防・警察のように注目度は高くなかった。そこで、ドイツの「技術支援隊」を参考に制服を作り、2008年4月にTEC-FORCE隊として発足させた。その後も体制の強化を図り、2018年4月現在の隊員数は9663名になっている。 東日本大震災発生当時、国交省防災課はTEC-FORCE隊の派遣を急がせる体制づくりを進めていた。近畿地方整備局の防災担当は、阪神淡路の教訓から先遣隊を早期に派遣し、現地の救命活動などを確認の上、必要な部隊のみを派遣することを主張し、安易な早期派遣に反対していた。その矢先に地震が発生。翌日の朝にTEC-FORCE先遣隊が出動した。 国交省防災課は先遣隊派遣後、すぐに本隊に食料を持たせ出発させるよう指示した。当時、私は近畿地方整備局で防災対策官を務めており、隊員の指揮を執る立場にあった。本省からの指示を受け、近畿地方整備局では先遣隊8名出発の3時間後に、本隊49名を続けて派遣した。他の地方整備局でも、本省指示により、すぐ本隊を出発させた。 とりあえずの終結地である福島県郡山国道事務所は、本省からの指示で災害対策車、TEC-FORCE隊であふれかえり、参集した部隊は仕事待ちの状態になった。事務所副所長から「人・車があふれかえり困っている。近畿地方整備局はいつ到着予定か」とゆっくり来てほしい旨の相談があった。阪神・淡路大震災の経験で、「人・車を被災地の外側の拠点に移動してもらい、必要に応じて随時派遣することが効率的だ」とアドバイスし、災害対策車の集結地は郡山から岩手河川国道事務所が管理する防災施設、一関アイポートに変更となった。 一関アイポートは東北自動車道の一関インターと、国道4号に近いことから、アクセスが良く、ここが災害対策車の再集結地点となり、そこから必用に応じて各被災地へ派遣することになった。TEC-FORCE本隊の道路チームは国道45号の調査に、河川チームは北上川の調査に向かった。 初めて中継された本省・東北地方整備局のテレビ会議では、国交大臣は「人命救助を第一に」を繰り返した。人命救助優先を受け、TEC-FORCE隊の活動報告に続き、東北地方整備局からは「道路啓開などより人命尊重で活動して参りたい」という発言までが飛び出した。人命救助のためには救急車などの緊急車両が通れるようにすることが最優先される。最も急ぐべき道路交通確保の道路啓開が理解されず、がっくりしたのを覚えている。ウーム 縦割り行政の弊害、あるいは税金の無駄遣いではないのか? 災害対応は自衛隊に一本化すべきである・・・国交省嫌いの太子はそう思うのだが。昨今の気候温暖化に対して国の防災基準がおっつかないわけで・・・国交省のようなお役所仕事で、有効な見直しができるのだろうか?
2020.01.18
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1・17は阪神・淡路大震災の追悼の日である・・・ということで、今年も東遊園地にでかけてみました。市役所の高層階から東遊園地を眺めてみると・・・一般公募で選ばれた「きざむ1.17」との竹灯篭が見られます。東遊園地では、鎮魂の竹灯篭に祈る人がたくさんいました。1年前の日記を覗いてみます。***********************************************************************追悼24年目の神戸には、一人暮らしの高齢被災者とそれを支える復興ボランティアがいるが・・・神戸は被災、復興の原点という思いがするのです。2019/1/18神戸・長田の復興住宅で「ふれあい喫茶1・17」より モーニングを楽しみながら、阪神・淡路大震災の記憶を語り合う「ふれあい喫茶1・17」が17日、神戸市長田区若松町3の復興住宅「フレール・アスタ若松」であった。入居者や近隣住民ら計約100人が集会所に集まり、地元婦人会が準備したコーヒーやゆで卵を味わいながら、被災当時の様子や亡くなった家族、知人への思いを伝え合った。 阪神・淡路で焼け残り、淡路市の北淡震災記念公園に移された「神戸の壁」があった地区。復興住宅前の記念碑「明日へわがまち」前などで追悼行事や炊き出しを続けてきたが、住民らが高齢化してきたことなどから「ゆっくりと語れる場を設けよう」と初めて室内で行われた。 同区二葉町2の男性(72)は「昨年までは寒くてお祈りだけで帰っていたが、暖かい屋内のおかげで、当時みんながどんな思いをしたかよく知ることができた」と話した。(西竹唯太朗)もともと神戸市は、ポートピア建設に見られたように土木建築ではピカイチの能力があるわけで震災復興では目を見張るスピードを見せてくれました。だけど、長田区の新アーケードでは新設後に一度も開けないシャッターがあったりで、被災者に寄り添うノウハウはいまいちなのが悔やまれています。東日本大震災の被災者からは、神戸の箱物重視が再開発の反面教師となっているとの声が聞こえるそうです。
2020.01.18
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図書館で『バンクシー・ビジュアル・アーカイブ』という本を手にしたのです。ゲリラ的な落書きアートなので、今も残っているとはかぎらないわけで・・・アーカイブ記録集になるのでしょうね。【バンクシー・ビジュアル・アーカイブ】ザビエル・タビエス著、グラフィック社、2018年刊<「BOOK」データベース>より天才覆面グラフィティ・アーティスト「バンクシー」。初期作から、2017年3月パレスチナ自治区ベツレヘムの「分離壁」の前にバンクシー自身が創設した“世界一眺めの悪いホテル”まで代表作品を収録。<読む前の大使寸評>ゲリラ的な落書きアートなので、今も残っているとはかぎらないわけで・・・アーカイブ記録集になるのでしょうね。rakutenバンクシー・ビジュアル・アーカイブ「世界一眺めの悪いホテル」を見てみましょう。p126~130<『THE WALLED OFF HOTERU』>ウォールド・オフ・ホテル*「世界一眺めの悪いホテル」 バンクシーがヨルダン川西岸の分離壁に再び戻り、2017年に見事なインスタレーションを発表。 自身の作品をふんだんに展示した、だれもが普通に宿泊できるホテルだ。 ニューヨークの一流ホテル「ウォルドルフ・ホテル」をユニークにもじったこのインスタレーションは、分離壁に閉じ込められ、絶望的な状況にあるパレスチナ人の窮状を忘れて、いかに西洋人が贅沢を楽しんでいるかを痛烈に思いしらせる。(*:walled offは「壁で隔てられた」の意)【WHERE IS IT?】ヨルダン川西岸ベツレヘムイスラエルの「防護壁」を見晴らせる場所予約して宿泊可能『バンクシー・ビジュアル・アーカイブ』1『バンクシー』1バンクシーといえば、これ♪
2020.01.17
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図書館で『バンクシー・ビジュアル・アーカイブ』という本を手にしたのです。ゲリラ的な落書きアートなので、今も残っているとはかぎらないわけで・・・アーカイブ記録集になるのでしょうね。【バンクシー・ビジュアル・アーカイブ】ザビエル・タビエス著、グラフィック社、2018年刊<「BOOK」データベース>より天才覆面グラフィティ・アーティスト「バンクシー」。初期作から、2017年3月パレスチナ自治区ベツレヘムの「分離壁」の前にバンクシー自身が創設した“世界一眺めの悪いホテル”まで代表作品を収録。<読む前の大使寸評>ゲリラ的な落書きアートなので、今も残っているとはかぎらないわけで・・・アーカイブ記録集になるのでしょうね。rakutenバンクシー・ビジュアル・アーカイブまず、有名な「FLOWER THROWER」を見てみましょう。p18~19<RAGE:THE FLOWER THROWER>激しい怒り:花を投げる人 バンクシーは、イスラエル・パレスチナ問題に強い関心を持ち、相当な危険を冒してこの地で活動している。その目的は、この問題を世に広く知らしめることと、自らの芸術の力により、このこう着状態を終わらせる方法を示し、試すことにある。「FLOWER THROWER」はバンクシーの作品中、最も有名かつ、刺激的だといえる。 作品集『Wall and Piece』(パルコ出版刊)の表紙に使われたことも大きいだろう。【WHERE IS IT?】ベツレヘムベイト・サファーアクリル樹脂をかぶせて保護。先日借りて読んだ『バンクシー』も付けておきます。。【バンクシー】吉荒夕記著、美術出版社、2019年刊<出版社>より「アートの世界は、最大級のジョークだよ。」--バンクシーなぜ、作品はオークション会場で細断されたのか?世界各地で巻き起こされる“事件”から、覆面アーティストの真相に迫る。<読む前の大使寸評>図書館に予約していたこの本を約2週間という短期間でゲットしたわけであるが・・・素早い予約が奏功したのかも♪<図書館予約:(11/27予約、12/11受取)>rakutenバンクシーバンクシーといえば、これ♪
2020.01.17
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元旦のデジタル朝日に『(対談)誰も否定されないこと』が載っていたので、紹介します。(1/01デジタル朝日から転記しました) 日本で近年よく聞く言葉に、「多様性」があります。わかったような気でいても、そもそもどんな意味で、何のために必要なのか、と問われると答えに詰まります。多様性について一から考えてみたい。そんな狙いで、オピニオン面ではシリーズ企画を始めます。さまざまな人種・宗教が入り交じる英国の街と、何百万年単位で命をつないできた生物の世界。かけ離れた「多様性」の現場を知る2人が話し合う対談から。福岡: ブレイディさんはパンクロックに憧れて高校卒業後に渡英し、低所得者が多い地域で保育士として働かれてきたそうですね。どんなとき多様性の大切さを感じますか。ブレイディ:多様性の対極が分断だとよく言われますが、私は多様性と分断は隣り合わせだと思っています。英国でも、宗教やEU(欧州連合)離脱などでは意見が真っ二つに分かれる。でも同じ場にさえいれば、日常的に対立しながらも相手を理解し、落としどころを探る知恵も身についていく。多様性の対極はむしろ、相手を知ろうとしない態度なんですね。福岡: それは、移民の姿も知らずに排斥しようとするような態度ということですね。ブレイディ:そうです。英国ではEU離脱派が多い地域は住民の多様性が乏しく、ロンドンなど移民や外国人が多い都市部では残留派が強い。やはり自分と異なる他者のいる場に身を置くと、身体で理解することがあるんです。逆に、現実の姿を知らないと「生活が厳しくなるのは移民のせいだ」と吹き込まれると、そう信じ込んでしまう。無知が原因で恐怖心がわきあがってくるのですね。福岡: 昨夏、出版された「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」は、アイルランド人のパートナーとの間に生まれた息子さんが、英国の中学で多様なルーツを持つ友達との交流や貧富、差別などに直面しながら成長していく話です。その中で「なぜ多様性が大事なのか」と尋ねる息子さんに、ブレイディさんは印象的な返答をします。ブレイディ:「うんざりするほど大変だし、めんどくさいけど、多様性は無知を減らす」と息子には答えました。福岡: うんざりするほど大変なことをして多様性を得るためには何が必要なのか。本では「エンパシー」(empathy)という言葉をキーワードに語っています。ブレイディ:息子の期末試験で「エンパシーとは何か」に答えさせる問題が出たんですね。私が辞書で調べたら、他人の感情や経験を理解する「能力」とありました。福岡: 息子さんは試験用紙に「自分で誰かの靴を履いてみること」と書いた。いい答えですね。ブレイディ:エンパシーと似た言葉に「シンパシー」(sympathy)があり、どちらも「共感」と訳されます。ただシンパシーは「かわいそう」や「共鳴する」という感情の動きで、対象となるのは特定の人です。一方、エンパシーは、他者の立場を想像して、理解しようとする自発的で知的な作業です。 *福岡: ここ数年、日本ではやった「 忖度」という言葉とは対照的ですね。相手の心を想像するのはエンパシーと同じでも、忖度は自分の身を守るためだけの利己的な行為と感じます。ブレイディ:そうですね。忖度は、自分の利益のために行う防御的な行為なのでしょう。日本社会に独特の同調圧力の強さにも関係しているような気がします。「共感」という言葉も日本で最近聞きますが、要するに「 いいねボタン」ですよね。福岡: 同調圧力というと、思い出す瞬間があります。研究者を志して20代後半でニューヨークへ行き、職場に向かう朝、深く楽に呼吸している自分に初めて気づいた経験です。日本では、見えない同調圧力に知らず知らずがんじがらめだったんだ、と。ブレイディ:わかります。私も19歳で初めて英国に旅して、小さなことだけど、誰もが気にせず自分が好きな服を自由に着ていて、「私も私自身でいられる!」と。それだけですごい解放感でした。福岡: 「銃・病原菌・鉄」や「文明崩壊」などの本で知られるジャレド・ダイアモンド博士と話したとき、こう言っていました。どの民族にも例えば「殺すな、盗むな、うそをつくな」という戒めは共通してあるけれど、 「他人に迷惑をかけるな」という戒めを重視する民族は日本人だけである、と。ブレイディ:へえー、面白いですね。「迷惑をかけない」という気持ちは、日本人の場合、行為だけでなく服装などにも及びますね。人を不快にさせない、集団から目立たない、といった理由で身なりをきちんとするわけで。福岡: 誰もが日本語が分かって当然という均質的な社会なので、言外の意味を忖度したり、空気を読むという圧力が生じてしまう。米国では、違う文化で生まれ育った人々がプアな英語で意思疎通しているため、言葉で表現したこと以外に気を回す余裕はないし、それを求められもしない。自分自身や自国の文化を相対化する環境に身を置く経験は貴重ですね。ブレイディ:「身を置く」っていい言葉。私は、エンパシーを働かせるためには土壌がいると思うんです。それは街で異なる人たちと実際に関わり合うこと。それが他者を想像するときの土台になる。ツイッターで頭の中だけの議論をするのはやめて、街に出ようよって思う。 *福岡: 「多様性」という言葉は1980年代後半、生物の種(しゅ)の多様性が必要だという形で提唱され、次第に広まっていったのだと思います。ブレイディ:先生のご専門ですが、「生物多様性」はよく聞く言葉ですよね。福岡: 一般にはライオンとか象といった数多くの「種」が存在していることを示しますが、実はひとつの種の中に多様性が存在することも、その種が生き延びるために不可欠なんです。ブレイディ:それはどういうことでしょうか。福岡: 何百万年といった生物界の長い時間軸の中では、いつ突然、環境が激変するかわからない。そのとき、ひ弱そうな個体のほうが生き延びるかもしれないんです。種が生き残るためには、個体のバリエーションが豊富なほうがいいという多様性ですね。ブレイディ:すごくスケールが大きな話ですね。福岡: アリには必ず2割程度、忙しいふりをしてサボっている個体がいます。この2割を取り除くと、残りの勤勉なアリの2割がまたサボりだす。天敵に攻められたときに戦うためとか、洪水の際に巣を直すためとか、いろんな説があるけどよくわからない。ブレイディ:面白いですね。人間という種にも、多様な存在の仕方があるほうが長い目では得なわけですね。福岡: そうです。平たく言えば「変わり者」を多く内包している社会の方が実は強靱だと示唆してくれます。でも生物学的には、人間ほど多様性に乏しい生き物はいません。人間は他の動物と比べ、遺伝子レベルでは非常に均質性の高い種です。肌の色や習慣、宗教などほんの小さな差異が大きな違いに見えるのは、逆に均質すぎるからなのです。ブレイディ:それは知りませんでした。福岡: 「人種」という言葉がありますが、我々「ホモサピエンス」はどんな組み合わせの男女でも子どもを作れる完全均一な種です。でも仮に現在、ネアンデルタール人が生き残っていたとしたら、彼らとセックスしても子どもができにくい。社会で少数派の彼らが差別される……なんてことがあったら、これが本当の「人種問題」ですよ。ブレイディ:今の人種の違いなんてどうでもよくなる、壮大な「人種問題」ですね。福岡: もう一つ、人間は唯一、「産めよ増やせよ」という遺伝子のたくらみから脱出できた種なのです。ブレイディ:「遺伝子のたくらみ」って何ですか?福岡: 例えば、ある種の昆虫は卵を約4千個産みます。大半は死んでも、1、2匹生き残って種をつなげばOK。つまり、生物において「個体」は「種」の保存に奉仕するための道具でしかない。それが「遺伝子のたくらみ」です。しかし人間だけは、「個体」に価値があると考えた方がより豊かな社会を構築できると気づき、それを人類共通の価値にしようと約束した。それが基本的人権の起源だと思うんです。ブレイディ:それなのに「個体同士」で争い合う歴史を繰り返しています。福岡: 不幸にも人間はつい群れたくなるんですね。そして、人種とか民族とか、国家といった階層を作りたがる。それゆえに争いごとが絶えないのです。 *ブレイディ:日本では、グローバリズム競争を勝ち残るためのツールとして「多様性」を標語のように掲げている企業も多いと聞きます。福岡: そうですね。生物学における多様性は何百万年、何億年単位の話なので、人間社会の多様性に目を戻すと、時間の射程が短すぎると感じます。その年の増収増益のためとか、10年後の世界市場でのシェアのためとか。ブレイディ:GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)などのグローバル企業も、多種多様で優秀な人材をかき集めながら、世界中でサービスの画一化を進めていますよね。誰もがどこでも同じように情報発信や共有ができ、どの国でも同じ味のコーヒーを飲めるようになった。しかし、結局は効率的に売り上げを最大化しているだけで、自分の利益のことしか考えていないんじゃないでしょうか。多様性とは真逆の方向に見えます。福岡: 私もそう思います。先端企業は「多様な人材でイノベーションを」といいますが、真の多様性とは、違う者の共存を受け入れるという、言わば利他的な概念です。本質的には自己の利益や結果を求めるものではない。多様性は、利己性より利他性になじみがあると思います。ブレイディ:そうですね。利他性を考えられるのは生物界では人間だけなのですか。福岡: いや、食うか食われるかの生物の世界にも利他的な関係性が見えるんです。植物は自らが必要とする以上に葉を作って光合成をし、その落ち葉で微生物が増え、葉や木の実を食べて虫や鳥は命をつなぐ。もし植物が自己の必要量しか光合成をしなかったら、他の生物は存在できません。ブレイディ:植物もそうなんですか。はたして人間には元来、利他的になれる力は備わっているのかな。「他人の靴を履いてみる」と言っても、「くさい靴」も「ダサい靴」もある。考えたくもない人の立場に立って発想してみるって、すごく難しい。「他人の靴を履こう」とする力を人間は本来的に持っているものなのでしょうか。福岡: 持っていると思いますが、自ら学ぼうとしないと自分の利他性に気づけないんです。何も知らないままでは他者の立場を考えられない。偏見や強者の支配にとらわれてしまいます。学ぶのは「自由」になるため。そして「自由」になれば、人間は「他人の靴を履く」こともできると思うんです。ブレイディ:自由になって他人の靴を履くって、しみじみいい言葉だなあ。福岡: 山に登ると遠くまで見渡せるように、勉強すれば人の視界は広くなる。すると、お互いの自由も尊重し合う力を持てるようになります。現在はトランプ氏的な「公平さ・公正さより本音」といった流れが世界で強まり、排除の論理が大手を振って歩いていますが、人間は「種よりも個が大事」と約束した存在です。紆余曲折はあっても、いつか正気を取り戻し、個と個の違いをみんなで認め、共有していこう、という方向へ進み出しますよ。ブレイディ:そう願っています……いや、私は楽観的なので絶対そうなると思います。多様性っていうと人種や文化、LGBTや社会階層など、属性の多様性に目が向きがちですが、実はアイデンティティーは一つじゃない。いくつかの組み合わせで一人一人のユニークな「自分」ができている。その個人が尊重されること、これが多様性なんだと思います。日本の社会もそう変わっていけますか。福岡: 日本でもいやおうなく異質な存在と出合う場が増えていますし、少しずつですが、「個」を尊重する方向に向かっていると思います。 ブレイディ 私もそんな気がします。いま気づきましたが、先生も私も、2人ともかなり楽観的なタイプなのかもしれませんね!(構成・藤田さつき、中島鉄郎) ◇福岡伸一:生物学者 1959年生まれ。青山学院大学総合文化政策学部教授・ロックフェラー大学客員教授。生命とは何かを「動的平衡論」から問い直す。代表作に「生物と無生物のあいだ」。児童文学「ドリトル先生航海記」の翻訳も。最新刊は「フェルメール 隠された次元」。 ◇ブレイディみかこ:保育士、ライター 1965年生まれ。96年から英国ブライトン在住。英国で保育士資格を取得し、「最底辺託児所」で働きながら執筆を始める。昨年「 ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」(新潮社)でノンフィクション本大賞を受賞。本紙で「欧州季評」を担当。(対談)誰も否定されないこと2020.1.01 ブレイディみかこ著『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』を図書館に予約しているのだが、待ち順は現在450位で、待ちくたびれております。【ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー】ブレイディみかこ著、新潮社、2019年刊<「BOOK」データベース>より大人の凝り固まった常識を、子どもたちは軽く飛び越えていく。世界の縮図のような「元・底辺中学校」での日常を描く、落涙必至のノンフィクション。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(11/13予約、副本19、予約546)>rakutenぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
2020.01.16
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図書館に予約していた『知性は死なない』という本を、待つこと3日でゲットしたのです。よくよく調べてみたら、この本をおよそ1年前に借りていたのです。・・・で今回記事を(その6、その7)とします。【知性は死なない】与那覇潤著、文藝春秋、2018年刊<「BOOK」データベース>より平成とはなんだったのか!?崩れていった大学、知識人、リベラル…。次の時代に、再生するためのヒントを探してーいま「知」に関心をもつ人へ、必読の一冊!【目次】はじめに 黄昏がおわるとき/平成史関連年表 日本編/第1章 わたしが病気になるまで/第2章 「うつ」に関する10の誤解/第3章 躁うつ病とはどんな病気か/平成史関連年表 海外編/第4章 反知性主義とのつきあいかた/第5章 知性が崩れゆく世界で/第6章 病気からみつけた生きかた/おわりに 知性とは旅のしかた<読む前の大使寸評>よくよく調べてみたら、この本をおよそ1年前に借りていたのです。・・・で今回記事を(その6)とします。<図書館予約:(1/04予約、1/07受取)>rakuten知性は死なないコミュニズムが語られているので、見てみましょう。p252~254 <コミュニズムを訳しなおす>網野善彦 いまでもかなりひろく読まれている、網野善彦という歴史学者がいました。南北朝時代を中心とする日本中世史の分野で、大きな業績を残したことで知られます。 周囲のマルクス主義者たちが、運動の挫折から「回心」して保守に転向するか、現実ばなれした教条主義に固執してあやまりを認めないかという両極にすすむなかで、マルクスの思想を機械的にあてはめた、史実に反する歴史解釈をきびしく批判するとともに、自身は終生、左翼の立場を堅持した人でした。そのあたりが、いまも党派を超えて読者をひきつけるのかもしれません。 何冊かの共著を出すなど、親交が深かった阿部謹也という西洋史の学者が今上天皇に面会すると、網野は明確に批判的な姿勢で、真意を問いつめたそうです。阿部のほうも、べつに「皇太子を大学に呼んで知名度をあげたい」といった不純な動機ではなく、被差別部落のような歴史的に根深い問題を伝えたくて進講に応じたのですが、それでも網野には許せなかった。それだけ、自分の信念に誠実な人でした。 その網野が最晩年の2001年、「『コミュニズム』を『共産主義』と訳したのは、歴史上、最大の誤訳の一つではないか」とのべたことがあります。 もっとも、ではどう訳すべきなのかについては語っていないため、真意は判然としません。じっさい、マルクスのいうコミュニズムをどう解釈するかは、ソビエト連邦の矛盾が顕在化したスターリン批判以降、広義の左派に属する学者のあいだで多様な議論があり、さまざまな立場がありました。 あまりおもしろくない立場としては、共産主義ではなく共同体主義としてとらえる、というものがあります。共同体主義とは、平成の日本でも一時的に有名人となったマイケル・サンデルのような、米国の哲学者の思想で、自立した「強い個人」を前提に社会をデザインするのは無理があるから、むしろ人びとに共通の道徳を埋めこむ場としての、家族や地域コミュニティのつみかさねを大切にしよう、といった主張です。 これはまさしくアメリカのような、徹底した個人主義が称揚される国においては、意味があります。しかし総理大臣が、私利私欲の追求を是とせず、村人どおしのたすけあいをモデルとした「瑞穂の国の資本主義」なる政策をかかげる国で、わざわざ学者が語るほどの思想でしょうか。 あるいは網野が歴史の原動力として、農民よりも商工業者に注目していたことをもって、「共同で生産する」というニュアンスの共産主義ではなく、もっと流通や消費の局面での「共同化」を考えていたのではないか、と推測することも可能です。網野さんの名著をひとつ付けておきます。【無縁・公界・楽】網野善彦著、平凡社、増補版1996年刊<「MARC」データベース>より近代から古代まで遡り、駆込寺や楽市など多様な領域に、人間の本源的自由に淵源する無縁の原理の展開をよみとる。日本歴史学の流れを捉え換えた画期的な名著。<読む前の大使寸評>無縁・公界・楽という三つのキーワードが、何やら断定的であり・・・・気になるわけです。<図書館予約:(11/29予約、12/07受取)>Amazon無縁・公界・楽網野善彦の世界byドングリ『知性は死なない』6:戦後思想の構図p108~110 『知性は死なない』5:ポピュリストの危険な身体p230~232『知性は死なない』4:言語・身体のマトリクスp145~148『知性は死なない』3:リベラルはなぜ衰退したのかp190~193『知性は死なない』2:「帝国適性」の高い中国p217~221『知性は死なない』1:「平成の欝」p10~13
2020.01.16
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今回借りた4冊です。だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は、強いていえば、「ビジュアル本」でしょうか♪<市立図書館>・日本の備えを問う・文学的商品学<大学図書館>・バンクシー・ビジュアル・アーカイブ・20世紀デザイン図書館で手当たり次第で本を探すのがわりと楽しいが・・・これが、図書館での正しい探し方ではないかと思ったりする(笑)************************************************************【日本の備えを問う】中村文彦著、幻冬舎、2019年刊<「BOOK」データベース>より東日本大震災で派遣された緊急災害対策派遣隊は、勇み足だった?紀伊半島の土砂ダム整備事業は、単なる無駄遣い?数々の災害対応にあたってきた著者が、過去の事例を検証し、これからの防災の在り方を提言する。<読む前の大使寸評>昨今の気候温暖化に対して国の防災基準がおっつかないわけで・・・お役所仕事で早急な見直しができるのだろうか?rakuten日本の備えを問う【文学的商品学】斎藤美奈子著、紀伊國屋書店、2004年刊<「BOOK」データベース>より商品情報を読むように、小説を読んでみよう。庄司薫から渡辺淳一まで、のべ70人の82作品を自在に読みとく。【目次】はじめにー商品情報を読むように小説を読んでみよう/1 アパレル泣かせの青春小説/2 ファッション音痴の風俗小説/3 広告代理店式カタログ小説/4 飽食の時代のフード小説/5 ホラーの館ホテル小説/6 いかす!バンド文学/7 とばす!オートバイ文学/8 人生劇場としての野球小説/9 平成不況下の貧乏小説<読む前の大使寸評>膨大な数の書評を書いている著者だから、商品学と銘打つのは・・・いいんじゃないか。rakuten文学的商品学【バンクシー・ビジュアル・アーカイブ】ザビエル・タビエス著、グラフィック社、2018年刊<「BOOK」データベース>より天才覆面グラフィティ・アーティスト「バンクシー」。初期作から、2017年3月パレスチナ自治区ベツレヘムの「分離壁」の前にバンクシー自身が創設した“世界一眺めの悪いホテル”まで代表作品を収録。<読む前の大使寸評>ゲリラ的な落書きアートなので、今も残っているとはかぎらないわけで・・・アーカイブ記録集になるのでしょうね。rakutenバンクシー・ビジュアル・アーカイブ【20世紀デザイン】トニー・セダン著、東京美術、2016年刊<「BOOK」データベース>よりデザインのインスピレーション、満載!20世紀の重要シーンを彩った、エポック的作品を一堂に。【目次】1900s/1910s/1920s/1930s/1940s/1950s/1960s/1970s/1980s/1990<読む前の大使寸評>表紙の副題が「グラフィックスタイルとタイポグラフィの100年史」となっているとおり、各年代のポスターと文字書体のオンパレードで・・・ええでぇ♪rakuten20世紀デザイン************************************************************とまあ・・・・抜き打ちのように、関心の切り口を残しておくことも自分史的には有意義ではないかと思ったわけです。図書館大好き417
2020.01.15
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<図書館予約の軌跡207>『朝日デジタルの書評から』フォームや『読みたい本』フォームを作っているのだが、これを市図書館の予約に利用しようと、思い立ったのです。これまでの予約内容と予約候補は以下のとおりです。<予約中>・伊坂幸太郎『フーガはユーガ』(7/24予約、副本34、予約462)現在149位・伊坂幸太郎『クジラアタマの王様』(7/31予約、副本1、予約197)現在32位・デービッド・アトキンソン『日本人の勝算』(8/20予約、副本14、予約157)現在41位・劉慈欣『三体』(9/09予約、副本8、予約179)現在81位・森絵都『カザアナ』(9/21予約、副本11、予約109)現在41位・呉善花『韓国を蝕む儒教の怨念』(10/02予約、副本3、予約56)現在24位・橘玲「上級国民/下級国民」(10/24予約、副本16、予約283)現在201位・川上弘美『某』(10/27予約、副本7、予約70)現在43位・ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(11/13予約、副本19、予約534)現在450位・金子勝『平成経済 衰退の本質』(11/17予約、副本6、予約18)現在3位・門井慶喜『定価のない本』(1/12予約、副本9、予約74)・浅田次郎『プリズンホテル』(1/13予約、副本2、予約0)<カートで待機中>・N・ネフスキー著『月と不死』・8月の果て・ある日うっかりPTA(副本4、予約39)・グレタたったひとりのストライキ<予約候補>・村上龍『村上龍料理小説集』・橘玲「言ってはいけない中国の真実」・多和田葉子『尼僧とキューピッドの弓』・「歴史認識」とは何か・キネマ旬報(ありがとう、和田誠さん)・浅田次郎『大名倒産 (上・下)』:図書館未収蔵・有川ひろ『倒れるときは前のめりふたたび』:図書館未収蔵・東龍夫『ザ・ソウル・オブ くず屋』:図書館未収蔵・『オーバーストーリー』・柳美里『ねこのおうち』・橋本治『黄金夜界』・中園成生『日本捕鯨史』・高野秀行「ワセダ三畳青春記」・高樹のぶ子『アジアに浸る』・書物の破壊の世界史・つげ義春『ガロ 1968 前衛マンガの試行と軌跡』・メカニズムの事典・ディック『パーマー・エルドリッチの三つの聖痕』:図書館未収蔵・ヘミングウェイで学ぶ英文法:図書館未収蔵・内澤旬子『ストーカーとの七00日戦争』:図書館未収蔵・ジョージ・ミーガン『世界最長の徒歩旅行』:図書館未収蔵・八画文化会館vol.6 総力特集:レトロピア岐阜:図書館未収蔵・「月夜のでんしんばしら」谷川雁、C.W.ニコル:図書館未収蔵・カズオ・イシグロ著『癒されざる者たち』:図書館未収蔵・阿刀田高『裏声で歌へ君が代』・デジタルエコノミーはいかにして道を誤まるか:図書館未収蔵・ネルケ無方著『迷える者の禅修業』・ボリス・ヴィアン著『うたかたの日々』:芸工大に収蔵・禁じられた歌(田)<予約分受取:11/15以降> ・そしてバトンは渡された(4/19予約、11/15大学図書館で見っけ)・川村元気『百花』(6/14予約、11/19受取)・樹木希林『一切なりゆき』(2/27予約、12/06受取)・吉荒夕記『バンクシー』(11/27予約、12/11受取)・上田岳弘『キュー』(8/26予約、12/19受取)・有馬哲夫『原発・正力・CIA』(12/15予約、12/22受取)・Coloring in Wadaland 和田誠カラー作品集(11/24予約、1/04受取)・与那覇潤『知性は死なない』(1/04予約、1/07受取)【フーガはユーガ】伊坂幸太郎著、実業之日本社、2018年刊<「BOOK」データベース>より常盤優我は仙台市のファミレスで一人の男に語り出す。双子の弟・風我のこと、決して幸せでなかった子供時代のこと、そして、彼ら兄弟だけの特別な「アレ」のこと。僕たちは双子で、僕たちは不運で、だけど僕たちは、手強い。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(7/24予約、副本34、予約462)>rakutenフーガはユーガ【クジラアタマの王様】伊坂幸太郎著、NHK出版、2019年刊<「BOOK」データベース>より製菓会社に寄せられた一本のクレーム電話。広報部員・岸はその事後対応をすればよい…はずだった。訪ねてきた男の存在によって、岸の日常は思いもよらない事態へと一気に加速していく。不可思議な感覚、人々の集まる広場、巨獣、投げる矢、動かない鳥。打ち勝つべき現実とは、いったい何か。巧みな仕掛けと、エンターテインメントの王道を貫いたストーリーによって、伊坂幸太郎の小説が新たな魅力を放つ。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(7/31予約、副本1、予約197)>rakutenクジラアタマの王様【日本人の勝算】デービッド・アトキンソン著、東洋経済新報社、2019年刊<「BOOK」データベース>より在日30年、日本を愛する伝説のアナリスト×外国人エコノミスト118人だから書けた!大変革時代の生存戦略。【目次】第1章 人口減少を直視せよー今という「最後のチャンス」を逃すな/第2章 資本主義をアップデートせよー「高付加価値・高所得経済」への転換/第3章 海外市場を目指せー日本は「輸出できるもの」の宝庫だ/第4章 企業規模を拡大せよー「日本人の底力」は大企業でこそ生きる/第5章 最低賃金を引き上げよー「正当な評価」は人を動かす/第6章 生産性を高めよー日本は「賃上げショック」で生まれ変わる/第7章 人材育成トレーニングを「強制」せよー「大人の学び」は制度で増やせる<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/20予約、副本14、予約157)>rakuten日本人の勝算【三体】劉慈欣著、早川書房、2019年刊<「BOOK」データベース>より物理学者の父を文化大革命で惨殺され、人類に絶望した中国人エリート科学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)。失意の日々を過ごす彼女は、ある日、巨大パラボラアンテナを備える謎めいた軍事基地にスカウトされる。そこでは、人類の運命を左右するかもしれないプロジェクトが、極秘裏に進行していた。数十年後。ナノテク素材の研究者・汪森(ワン・ミャオ)は、ある会議に招集され、世界的な科学者が次々に自殺している事実を告げられる。その陰に見え隠れする学術団体“科学フロンティア”への潜入を引き受けた彼を、科学的にありえない怪現象“ゴースト・カウントダウン”が襲う。そして汪森が入り込む、三つの太陽を持つ異星を舞台にしたVRゲーム『三体』の驚くべき真実とは?アジア圏の作品として初のヒューゴー賞長篇部門に輝いた、現代中国最大のヒット作。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(9/09予約、副本8、予約179)>rakuten三体【カザアナ】森絵都著、朝日新聞出版、2019年刊<「BOOK」データベース>より平安の昔、石や虫など自然と通じ合う力を持った風穴たちが、女院八条院様と長閑に暮らしておりました。以来850年余。国の規制が強まり監視ドローン飛び交う空のもと、カザアナの女性に出会ったあの日から、中学生・里宇とその家族のささやかな冒険がはじまったのです。異能の庭師たちとタフに生きる家族が監視社会化の進む閉塞した時代に風穴を空ける!心弾むエンターテインメント。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(9/21予約、副本11、予約109)>rakutenカザアナ【韓国を蝕む儒教の怨念】呉善花著、小学館、2019年刊<「BOOK」データベース>より「不可逆的に最終合意」したはずの慰安婦問題をひっくり返したかと思えば、韓国の最高裁は、すでに日韓基本条約で解決済みの徴用工裁判で日本企業に対し、賠償判決を出す。一方で、文在寅大統領は中国、北朝鮮に擦り寄り、反日を加速させている。日本と韓国の関係は戦後最悪の状態にある。普通の日本人の感覚からすれば、まったく理解できない。いったいなぜなのか。ヒントは、反日主義にしなければならなかった韓国の歴史にある。それが現代にまで続き、自壊の道を辿っているのだ。韓国出身の著者がその謎を史実に基づき解き明かす。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/02予約、副本3、予約56)>rakuten韓国を蝕む儒教の怨念【上級国民/下級国民】橘玲著、小学館、2019年刊<「BOOK」データベース>より「下級国民」を待ち受けるのは、共同体からも性愛からも排除されるという“残酷な運命”。一方でそれらを独占する少数の「上級国民」たち。ベストセラー『言ってはいけない』の著者があぶり出す、世界レベルで急速に進行する分断の正体。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/24予約、副本16、予約283)>amazon上級国民/下級国民【某】川上弘美著、小学館、2019年刊<「BOOK」データベース>より名前も記憶もお金も持たない某は、丹羽ハルカ(16歳)に擬態することに決めた。変遷し続ける“誰でもない者”はついに仲間に出会うー。愛と未来をめぐる、破格の最新長編。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/27予約、副本7、予約70)>rakuten某【ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー】ブレイディみかこ著、新潮社、2019年刊<「BOOK」データベース>より大人の凝り固まった常識を、子どもたちは軽く飛び越えていく。世界の縮図のような「元・底辺中学校」での日常を描く、落涙必至のノンフィクション。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(11/13予約、副本19、予約546)>rakutenぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー【平成経済 衰退の本質】金子勝著、岩波書店、2019年刊<「BOOK」データベース>よりバブルとバブルの崩壊から始まった平成時代。マクロ経済政策も、構造改革も、「失われた20年」を克服できないどころか、症状を悪化させてきた。セーフティーネット概念の革新、反グローバリズム、長期停滞、脱原発成長論などをキー概念に、一貫して未来を先取りした政策提案を行ってきた著者による30年の痛烈な総括。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(11/17予約、副本6、予約18)>rakuten平成経済 衰退の本質【定価のない本】門井慶喜著、東京創元社、2019年刊<「BOOK」データベース>より神田神保町ー江戸時代より旗本の屋敷地としてその歴史は始まり、明治期は多くの学校がひしめく文化的な学生街に、そして大正十二年の関東大震災を契機に古書の街として発展してきたこの地は、終戦から一年が経ち復興を遂げつつあった。活気をとり戻した街の一隅で、ある日ひとりの古書店主が人知れずこの世を去る。男は崩落した古書の山に圧し潰されており、あたかも商売道具に殺されたかのような皮肉な最期を迎えた。古くから付き合いがあった男を悼み、同じく古書店主である琴岡庄治は事後処理を引き受けるが、間もなく事故現場では不可解な点が見付かる。行方を眩ました被害者の妻、注文帳に残された謎の名前ーさらには彼の周囲でも奇怪な事件が起こるなか、古書店主の死をめぐる探偵行は、やがて戦後日本の闇に潜む陰謀を炙りだしていく。直木賞作家の真骨頂と言うべき長編ミステリ。<読む前の大使寸評>古書店主の死から、戦後日本に潜む陰謀を炙りだすってか・・・面白そうである。<図書館予約:(1/12予約、副本9、予約74)>rakuten定価のない本【プリズンホテル夏】浅田次郎著、徳間書店、1993年刊<「BOOK」データベース>より笑うか、泣くか?悪漢小説。超大型新人の最高傑作。<読む前の大使寸評>浅田さん初期のエンタメ小説のようだが・・・期待できそうである。<図書館予約:(1/13予約、副本2、予約0)>amazon本【月と不死】N・ネフスキー著、平凡社、1971年刊<出版社>より著者は日本民俗学界の異色の存在として知られるロシア人学者で,柳田国男,折口信夫らと親交を結び,沖縄,東北などの民俗を採録した。本書は日本語で発表された論文・書簡を網羅した唯一の著作集。<読む前の大使寸評>ロシア人にして、日本民俗学界の異色の存在が気になるのです。<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>heibonsha月と不死【8月の果て】柳美里著、新潮社、2007年刊<「BOOK」データベース>より日本統治下の朝鮮・密陽に生を受け、マラソンでの五輪出場を目指した亡き祖父・李雨哲。そのうしろ姿を追い、路上を駆けることを決意した柳美里。ふたりの息づかいが時空を越えて重なる瞬間、日本と朝鮮半島のあわいに消えた無数の魂が封印を解かれ、歴史の破れ目から白い頁に甦る。偉丈夫の雨哲と美丈夫の弟・雨根。血族をめぐる、ふたつの真実の物語が、いま日本文学を未踏の高みへと押し上げる。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>rakuten8月の果て図書館予約の軌跡206予約分受取目録R19好書好日トップ図書館情報ネットワーク 蔵書検索システム図書館予約の運用にも慣れて、速攻で入手するコツも何となくつかんだと思うのだ♪・朝日書評欄で探すとしたら、3ヶ月前掲載くらいのモノが狙い目かも。・専門的すぎるほどのモノは、予約0となっていることが多い。・受取館に収蔵しているモノは、移送する手間が省けるので早くなるだろう。・本屋の店頭に出た直後の新刊本・ウィキペディアでめぼしい著作を探す・神戸市図書館の予約順位は毎週火曜日(午前1時~3時) に更新されます。
2020.01.15
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デジタル朝日の連載コラム(歴史探偵おぼえ書き)をアトランダムにスクラップしているのだが・・・この際、これまで読んできた半藤さんの著作を並べてみようと思ったのです。・『「勝札」が輝いていた時代』(2019年記事)・『歴史と戦争』(2018年刊)・『文士の遺言』(2017年刊)・『昭和史をどう生きたか』(2014年刊)・『そして、メディアは日本を戦争に導いた』(2013年刊)・『愛国者の条件』(2006年刊)R2:『文士の遺言』を見直し***********************************************************************<『「勝札」が輝いていた時代 半藤一利』>デジタル朝日の連載コラム(歴史探偵おぼえ書き)で面白い記事があったので、見てみましょう。またスクラップと電子データの重複保存となったが・・・まあ いいか。2019年7月20日「勝札」が輝いていた時代 半藤一利より<「勝札」が輝いていた時代> 太平洋戦争も末期のこの国の惨憺たる様子は、これまでもうあきれるほど読者諸兄姉は読まされたことであろう。本土決戦に狂奔する軍部と、無理やりそれに従わせられる国民。軍部は勝つ意思も自信もなく、ただ戦うために戦う、戦いつづけることが目的になっていた。そのために国民を道連れにすることに何のためらいも、やましいところもなかった。 ――なんて話が、今回の主題ではなく、少しのんびりした事実を。すなわち宝くじの話である。いまになるとほとんど知る人はなくなったが、宝くじの前身とされる「勝札(かちふだ)」が政府のキモ煎りで、日本勧業銀行本・支店などで売りだされたのが、昭和二十年(1945)七月十六日。一枚十円で、この日から発売されて締め切りは、なんと、一カ月後の八月十五日ときたもんだ。 各新聞がにぎやかに発売を報じたが、ここには読売報知(現読売新聞)を長く引用する。「一等に当れば十万円、籤(くじ)運が悪く全然当らなくても勝ち抜くための献金となるこの勝札の抽籤(ちゅうせん)は売出締切十日後の八月廿五日、麹町区内幸町勧銀本店で一般公開して行はれる。第一回売出二億円(二千万枚)で十万枚一組に一等十万円一本、二等一万円九本、三等千円九十本、四等五十円九百本、五等十円一万九千本計二万本の当り籤があるから五本に一本は必ず当るわけ」 さてさて、売り出し締め切りの八月十五日に、天皇放送があって戦争は終わってしまう。勝札の抽籤ははたして行われたのであろうか。貧乏性ながら気になってならなかった。調べてみたら確かに、きちんとやられていた。敗戦後の八月二十五日に本店ではなく勧銀長野支店で。さりながら、十万円に当たった一等当選者のなかには不明のままの人もいたらしい。空襲で焼き殺されてしまったのか、と悪い想像をしている。 宝くじを何べんも欲をだして買ってみたが、いっぺんもいい目をしたことがない私は、一等十万円はいまの額にするといくらぐらいになるか、余計なことが気になってならない。日銀の企業物価指数で計算すると、二千百万円ほどになるそうな。もっとも十年ほど前の計算であるが。 とにかく勝札の名が象徴しているように、地図の上からは抹消され、そのころ空襲もなくなった東京には、勝利を信じてののどかな日々が訪れていたらしい。三月十日の空襲で焼けだされて、東京から新潟県に疎開していた私には存じないことであった。 漫談家で随筆家の徳川夢声が七月二十二日の日記に浅草のことを書いている。「他に何もなきこの興行街に、若き産業人たちが、地下鉄や都電を満員にしてやってくる。そしてガツガツと(映画や芝居を)二ツも三ツも見て行くのである。あわれふかき風景である」と。***********************************************************************【歴史と戦争】半藤一利著、幻冬舎、2018年刊<「BOOK」データベース>より幕末・明治維新からの日本近代化の歩みは、戦争の歴史でもあった。日本民族は世界一優秀だという驕りのもと、無能・無責任なエリートが戦争につきすすみ、メディアはそれを煽り、国民は熱狂した。過ちを繰り返さないために、私たちは歴史に何を学ぶべきなのか。「コチコチの愛国者ほど国を害する者はいない」「戦争の恐ろしさの本質は、非人間的になっていることに気付かないことにある」「日本人は歴史に対する責任というものを持たない民族」-80冊以上の著作から厳選した半藤日本史のエッセンス。<読む前の大使寸評>おお 半藤日本史のエッセンスってか・・・なるほど、既刊本からの短文を集めた構成になっています。<図書館予約:(7/11予約、12/09受取)>rakuten歴史と戦争『歴史と戦争』2:西郷隆盛をどう見るか『歴史と戦争』1:昭和十五年あたり***********************************************************************<『文士の遺言』>図書館で『文士の遺言』という本を手にしたのです。ウン 歴史探偵と呼ばれた半藤さんの薀蓄が・・・ええでぇ♪【文士の遺言】半藤一利著、講談社、2017年刊<「BOOK」データベース>より「歴史探偵」が薫陶を受けた作家たちの知られざる思想、苦悩、その素顔!あの戦争・戦後とは何だったのか?知られざる作家の肉声、創作秘話が炙り出すもう一つの「昭和秘史」!!<読む前の大使寸評>ウン 歴史探偵と呼ばれた半藤さんの薀蓄が・・・ええでぇ♪rakuten文士の遺言『文士の遺言』5:阿川文学p188~191『文士の遺言』4:合理的な戦略戦術p72~74『文士の遺言』3:丸谷才一論p175~179『文士の遺言』2:満蒙関連のお話しp78~81『文士の遺言』1:司馬さんの謎p82~85***********************************************************************【昭和史をどう生きたか】半藤一利著、東京書籍、2014年刊<「BOOK」データベース>より特攻に最後まで反対した指揮官の戦後。従容として孤島に身を殉じた将官からの手紙。空襲の空に凧を揚げていた少年。「阿部定事件」で中断した国会。反安保デモの終った夜…。史上例を見ない激動の時代に生きた人間たち、そして自分自身。「半藤昭和史」の対話篇、刊行なる。【目次】ふたつの戦場ミッドウェーと満洲ー澤地久枝/指揮官たちは戦後をどう生きたかー保阪正康/なぜ日本人は山本五十六を忘れないのかー戸高一成/天皇と決断ー加藤陽子/栗林忠道と硫黄島ー梯久美子/撤退と組織ー野中郁次郎/東京の戦争ー吉村昭/戦争と艶笑の昭和史ー丸谷才一/無責任論ー野坂昭如/幕末から昭和へ熱狂の時代にー宮部みゆき/清張さんと昭和史ー佐野洋/戦後六十年が問いかけるもの(辻井喬)<読む前の大使寸評>半藤さんの対談相手の12人が、なかなかのメンバーである。かの今次大戦に対して、行け行けどんどんの人が含まれていない人選がいいではないか♪rakuten昭和史をどう生きたか昭和史をどう生きたか(その1):満州国の成立過程昭和史をどう生きたか(その2):撤退と組織***********************************************************************【そして、メディアは日本を戦争に導いた】半藤一利, 保阪正康著、東洋経済新報社、2013年刊<「BOOK」データベース>より軍部の圧力に屈したのではなく、部数拡大のため自ら戦争を煽った新聞。ひとりよがりな正義にとりつかれ、なだれをうって破局へ突き進んだ国民…。昭和の大転換期の真相を明らかにし、時代状況が驚くほど似てきた“現在”に警鐘を鳴らす。【目次】序章 いまなぜジャーナリズム論か/第1章 戦争報道と商業主義/第2章 テロと暴力賛美の歪み、その内側/第3章 国際社会との亀裂の広がり/第4章 国家の宣伝要員という役割/第5章 暴力とジャーナリズム/終章 現在への問いかけ<読む前の大使寸評>戦中派が語るジャーナリズム論だけに・・・苦渋の歴史が見えるようです。rakutenそして、メディアは日本を戦争に導いた『そして、メディアは日本を戦争に導いた』2:昭和初期の総合雑誌は啓蒙主義『そして、メディアは日本を戦争に導いた』1:半藤さんの「40年周期説」***********************************************************************【愛国者の条件】半藤一利×戸高一成著、ダイヤモンド社、2006年刊<「BOOK」データベース>より教育が変われば、国も変わる。その覚悟はできているのか。日本人よ、気分に流されるな。「国のため」より立身出世、能力主義より官僚主義、国際感覚より「栄光ある孤立」、国民との約束よりも外圧…純粋な愛国心を歪め、国家を危うくするものの正体。【目次】巻頭対談 愛国心を教えることは可能なのか/第1章 愛国を論じる前に/第2章 「美しい国」づくりに必要なこと/第3章 日本海軍の人づくりに学ぶ/第4章 国家の命運を握る先見性/第5章 国家と軍が誤る時/第6章 なぜ昭和の海軍は破綻したのか/第7章 再軍備を語る前に知っておくべきこと/第8章 日本は歴史から何を学ぶか<読む前の大使寸評>この本の副題が「昭和の失策とナショナリズムの本質を問う」となっているように・・・安倍さんの危うさを問う意味でも、時宜を得た本ではないかと思うわけです。rakuten愛国者の条件『愛国者の条件』2:海軍あって国家なし『愛国者の条件』1:硬直した思考で計画された戦艦大和
2020.01.14
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図書館で『文士の遺言』という本を手にしたのです。ウン 歴史探偵と呼ばれた半藤さんの薀蓄が・・・ええでぇ♪ところで、帰って調べてみたら、この本をおよそ4ヶ月前に借りていたのです。・・・で今回記事を(その4、その5)とします。【文士の遺言】半藤一利著、講談社、2017年刊<「BOOK」データベース>より「歴史探偵」が薫陶を受けた作家たちの知られざる思想、苦悩、その素顔!あの戦争・戦後とは何だったのか?知られざる作家の肉声、創作秘話が炙り出すもう一つの「昭和秘史」!!<読む前の大使寸評>ウン 歴史探偵と呼ばれた半藤さんの薀蓄が・・・ええでぇ♪rakuten文士の遺言阿川文学が語られているので、見てみましょう。p188~191 <史実に責任を持って書く> 阿川さんにはじめてお目にかかったのは、昭和40年(1965年)のことです。当時わたくしは、『日本のいちばん長い日』を書いたばかり。同じ年に阿川さんは『山本五十六』を執筆なさっていました。 いまとなっては何の集いだったかは思いだせませんが、阿川さんが『日本のいちばん長い日』の評を雑誌の書評欄に書いてくださったので、そのお礼のご挨拶をしたのが最初です。阿川さんは、妙な顔をしながら「君にお礼をいわれる筋はないよ」とおっしゃるのです。 よく考えると無理もない話です。刊行当初、『いちばん長い日』は、大宅壮一さんの監修でだしていたからです。わたくしはその場で、事情を説明したのですが、少し経ってから阿川さんからこういわれました。「半藤さん。あの本は早く自分の名前にしたほうがいい。歴史ものを書くときは、歴史事実にたいして自分で責任をもたなければいけません」 阿川さんが『山本五十六』をだされたころは、左翼平和主義が全盛のころでした。戦前の罪悪感のみの歴史観の名残りがあり、私の記憶では、文壇、論壇問わず「戦前の軍人の評伝を書くなどケシカラン」と、阿川さんは総スカンを食っておられました。 小泉信三さんと大宅壮一さんが、単行本で推薦文を書いていましたが、逆にいうとほとんどの文壇人からは評価をされなかったのです。 わたくし自身も社内では「戦争を調べることにうつつを抜かしているなんて、おまえは姓を半藤から反動に変えたほうがいい」などと揶揄されておりました。 そのような時代だったからこそ、史実に責任を背負って書くべきだと考えたのでしょう。 阿川さんご自身が、のちに日本経済新聞の「私の履歴書」でこのように書いています。「幸いにして日本は、左がかりの戦後派文士たちが望むような国にはならなかった。おかげで、才能豊かならざる怠け者作家でも、何彼と美味しいものの食える世の中が来た。それはよかったけれど、文壇やジャーナリズムの一部から白眼視されている感じは、今尚残っている」 この一文を読んだとき、イデオロギーが幅を利かせ、このような大作家に苦闘を強いていたことのアホらしさに、なんともいえぬ気分になったものです。 <阿川文学の真髄> 阿川さんの歴史への姿勢を肌で感じたのは「私記キスカ撤退」のお原稿をいただいたときでした。わたくしは会社では文芸部門に縁がなく、ジャーナリズムの畑ばかりを歩んでいたものですから、作家・阿川弘之さんの担当をしたことがありません。実は、お原稿をいただいたのは、この一度っきりなのです。 編集長をしていた「漫画読本」が昭和45年に休刊となり、社内浪人になってしまった時分のことです。 何もせず禄を食むわけにもいかないので、「太平洋戦争 日本軍艦戦記」というグラフィックな雑誌をだすことにしました。そこで、すでに戦記文学の大家であった阿川さんにキスカ島からの撤退作戦について書いてほしい、とお願いに上がったのです。 ところが、「すでに幾人もの人が書いている。そのうえに何を書けっていうの」と、なかなか首を縦に振ってくれない。こっちもこの1冊に首がかかっているものだから、最後は、拝み倒して半ば無理やり引き受けてもらいまいた。 いただいたお原稿を見て驚いたのは、その丹念な取材手法でした。初出時にはすべて載せたのですが、謝辞として「元北海守備隊司令官・峯木十一朗氏、同参謀・藤井一美氏・・・」と二十名以上の方の名前が書かれていたのです。 文献だけでなく、短期間に当時ご存命だった関係者にはほとんど取材をしておられたのです。阿川文学の真髄である、事実をもって語らしむお原稿でした。『文士の遺言』4:合理的な戦略戦術p72~74『文士の遺言』3:丸谷才一論p175~179『文士の遺言』2:満蒙関連のお話しp78~81『文士の遺言』1:司馬さんの謎p82~85
2020.01.14
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図書館で『バカのための読書術』というふざけたタイトルの新書を、手にしたのです。ぱらぱらとめくってみると・・・タイトルと違って内容はまともでおます。いわゆるキャッチコピーでんがな。【バカのための読書術】小谷野敦著、筑摩書房、2001年刊<「BOOK」データベース>より現在、「知」は混迷状態に陥っている。インテリたちはかつてないほど熱心に西洋の新理論の輸入に血道をあげ、難解な言葉と言い回しに身をやつしている。その一方で、有名大学の学生がフランス革命の存在を知らなかったりする。では、この両極の中間に位置する人は、何をどう読めばよいのか。学校は出たけれどもっと勉強したい人、抽象的な議論がどうも苦手だという人。そういう「バカ」たちのために、本書はひたすら「事実」に就くことを指針とし、インチキ現代思想やオカルト学問、一時の流行に惑わされず、本を読み勉強するための羅針盤となるべき一冊である。本邦初「読んではいけない」リスト付き。<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくってみると・・・タイトルと違って内容はまともでおます。いわゆるキャッチコピーでんがな。rakutenバカのための読書術「現代国語」が語られているので、見てみましょう。p150~153<「現代国語」は面白くない> 高校へ入っても、やはりあまり『現代国語』の状況は変わらないのであった。そのころ私は、大江健三郎や太宰を個人的に耽読するようになっていて、その余慶のようなもので現代国語の成績だけは良かったが、教科書に載っているのは、相も変わらずへんてこりんな小説ばかりなのである。太宰なら、『津軽』の抜粋である。太宰には、中期短編に傑作がいくらでもあるのに、なんでよりによって『津軽』なのか。さらに漱石の『こゝろ』である。(中略) 西洋ではそのへん、どうなっているのか知らないが、そもそも東洋では、「学校」で教える文学といったら、漢文であり漢詩であった。先に述べたとおり、漢文、漢詩は、極力男女の情愛の世界などを扱わない。もっぱら歴史であり、倫理であり、あるいは厳密な作詩の規則に則った自然描写や友情である。 要するに西洋19世紀的な「文学」に相当するものは、学校で教えるような、少なくとも高校生までで教えるようなものではないのである。高校の国語教科書で役に立ったのは、むしろ、古文の文法と漢文である。現代国語だって、「現代国語」なのだから、文学を教えるのではなくて、現代日本語をきちんと読めて書けるように指導すればいいのである。教科書にはときおり、「文芸評論」が載っているが、それもやめるべきであって、文芸評論というのは論理の飛躍が身上だから、かえって論理的思考力を損なう。 それと、西洋19世紀的な、あるいはロマン派以降的な「文学」というのは、英文学者・劇作家・評論家の福田恒存が、聖書に出てくる羊の話を使って、「一匹と九十九匹と」というエッセイで述べたように、多数の人間には不要なものなのであり、そういった文学に関心を示すのは、全体の1パーセントくらいしかいないのである。 たとえば私は、将棋や野球に関心を持とうと努力したことがあったが、結局失敗した。努力して関心を持つというのは不可能に近いのであって、1パーセントは極端としても、全体の九割の人間はしょせん文学とは無縁なのである。『バカのための読書術』3:読まないでいい本『バカのための読書術』2:「史観」とは何か『バカのための読書術』1:蔵書派とカード派
2020.01.13
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太子在職中、長崎へ出張時の食事であるが・・・毎回、チャンポンか皿うどんの2択で事足りたわけで、つまりそれだけ地元に定着した飽きのこない料理であった。我がドングリ国にもリンガーハットが1軒あるので、ときどきこの店でチャンポンを所望している太子であるが・・・ネットでリンガーハットのランチメニューを見てみましょう。「リンガーハット」がランチメニューを改定! まさかの『370円餃子定食』爆誕へ!! よりランチメニューを改定現在もお得なランチを提供しているリンガーハット。今回改めてメニューの種類やオペレーションを見直すことで、ランチメニューのさらなる低価格化が実現したのだという。それでは「リンガーランチ」13種類を以下に記載しよう。価格はすべて税抜だ。長崎ちゃんぽん ランチメニュー・長崎ちゃんぽん 薄皮ぎょうざ 5個ランチ:690円(東日本)、690円(西日本)・長崎ちゃんぽん 薄皮ぎょうざ 3個ランチ:640円(東日本)、610円(西日本)・小さいちゃんぽん 薄皮ぎょうざ 5個ランチ:590円(東日本)、590円(西日本)・小さいちゃんぽん 薄皮ぎょうざ 3個ランチ:540円(東日本)、540円(西日本)長崎皿うどん ランチメニュー・長崎皿うどん 薄皮ぎょうざ 5個ランチ:780円(東日本)、760円(西日本)・長崎皿うどん 薄皮ぎょうざ 3個ランチ:700円(東日本)、660円(西日本)・小さい皿うどん 薄皮ぎょうざ 5個ランチ:590円(東日本)、590円(西日本)・小さい皿うどん 薄皮ぎょうざ 3個ランチ:540円(東日本)、540円(西日本)ぎょうざ定食 ランチメニュー・ぎょうざ定食 薄皮ぎょうざ 5個:370円(東日本)、370円(西日本)・ぎょうざ定食 薄皮ぎょうざ 10個:550円(東日本)、550円(西日本)・ぎょうざ定食 薄皮ぎょうざ 15個:590円(東日本)、590円(西日本)東京でコスパのいいランチといえばキッチンカーとなるようですが、店舗のランチでこのコスパに対抗できるのはリンガーハットぐらいのものか。安全な国産野菜を、機械化された調理器で炒めているところが、特筆すべきではなかろうか♪ キクラゲは自社の農場で生産とのこと。また、リンガーハットと競合するチェーン店として、マクドやKFCや花まるうどんなどがあるが・・・マクドを描いた映画がありましたね。【ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ】ジョン・リー・ハンコック監督、2016年米制作、H29.8.22鑑賞<movie.walker作品情報>よりカリフォルニア州南部の小さなハンバーガーショップ、マクドナルドを世界最大のファーストフードチェーンへと成長させた男、レイ・クロックの実話を描く人間ドラマ。創業者であるマクドナルド兄弟とミキサーのセールスマンだったレイとの出会いから、両者の対立まで、成功の陰にあったダークな側面までも映し出す。レイをマイケル・キートンが演じる。<観る前の大使寸評>封切り映画を観るのは『シン・ゴジラ』を観て以来のことではないか…手元不如意の大使のチョイスは、それだけ厳選されているわけでおます。movie.walkerファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ
2020.01.13
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図書館で『ぼくらの祖国』という本を、手にしたのです。この本のタイトルからして、ナショナリズム、領土を考える上で気になったのでおます。【ぼくらの祖国】青山繁晴著、扶桑社、2015年刊<「BOOK」データベース>よりぼくは知らなかった。なぜか。日本の学校では、教えないからだ。日本の大人も、語らないからだ、きみも、あなたも、ぼくもみんな日本国民だ。だけど日本をそこく、祖国として考えたこと、はっきり祖国として意識したことが、どれほどあるだろうか。東日本大震災と福島原子力災害が起きてしまった後の日本でこそ、それを問い直したい。【目次】明けの星の章/平壌の日の丸の章/永遠の声の章/硫黄島の章/手にとる希望の章/海鳴りの終章/ふしぎの本/重版のための、あとがき<読む前の大使寸評>この本のタイトルからして、ナショナリズム、領土を考える上で気になったのでおます。rakutenぼくらの祖国尖閣諸島の領有権が語られているので、見てみましょう。p223~225 <四の節> その「信じがたいこと」が2010年9月7日の中国漁船の体当り事件だろうか。 いや違う。そうした事件を引き起こしていく、根本のことである。 中国は1969年から突如、「尖閣諸島は古来、中国の領土だった」と主張する動きを始め、1971年12月に北京放送で、いわば公式に、尖閣諸島の領有権を宣言してしまった。 日本は驚いた。古来、どころか前年の1968年まで中国はまったく尖閣諸島に無関心で、尖閣の「せ」の字すら口にしたことはなかったからだ。 真実はどうか。日本は、サンフランシスコ講和条約が1952年4月28日に発効したとき、独立を回復したが、この尖閣諸島や沖縄本島などの南西諸島、それに硫黄島を含む小笠原諸島などは、その条約のなかで「当面はアメリカの施政下に置く」と定められていた。つまり、日本の領土のうちこの島々だけは、しばらくまだアメリカに返してもらえないと決めてあった。 だから、もしも本当に尖閣諸島が「古来、中国のもの」だったならば、中国は「ちょっと待て。もともと中国領だから、アメリカも日本も関係ない」と抗議するはずが、一切何も言っていない。中華人民共和国は、この2年半前の1949年10月1日に成立していたから、中国は本来、言い訳ができない。 そしてさらに、1953年1月には、中国共産党の機関紙「人民日報」で、「日本の尖閣諸島や沖縄がアメリカに占領され、日本の人民が抵抗している」という趣旨の記事を載せた。 1958年、北京の地図出版社が発行した「世界地図集」には、尖閣諸島の左、つまり西側にちゃんと国境線が点線で引かれている。中国は共産党の独裁国家だから、地図は勝手に手を出せない。 これらを総合すると、中国は間違いなく尖閣諸島を日本領だと考えていた。 その中国が急に「尖閣諸島は実は昔から中国のものだった」と言い始めたのは、明らかな理由がある。資源だ。石油と天然ガスだ。 1960年代の後半、国連は世界で資源探しをした。その時すでに、やがて石油が枯渇すると心配されていたからだ。探しても大した成果はなかった。ところが、ほとんど唯一、有望な海底油田、海底ガス田が見つかったのが、日本の尖閣諸島の海だった。『ぼくらの祖国』1
2020.01.12
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<『男はつらいよ お帰り 寅さん』を観た>新聞に映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』の広告が出ているので、心騒ぐ大使であった。(12月27日より、公開中とのこと)お正月ともなれば・・・やはり昔のように寅さん映画を観に行きたいではないか♪ということで、以下のとおり、個人的予告を作ったのです。これだけ準備して、劇場に足を運ぶことになったのです。。【男はつらいよ お帰り 寅さん】山田洋次監督、2019年制作、2020.1.08鑑賞<movie.walker解説>より山田洋次監督による国民的人気映画シリーズ「男はつらいよ」の、22年ぶりの新作にして通算50作目。葛飾柴又を舞台に、心温まるストーリーが描かれる。4Kデジタル修復されて甦る寅さん役の渥美清をはじめ、倍賞千恵子、吉岡秀隆、前田吟らおなじみの面々が再結集。さらに、後藤久美子が久々の女優業にカムバックを果たす。オープニング主題歌「男はつらいよ」を歌うのは桑田佳祐。<見る前の大使寸評>お正月ともなれば・・・やはり昔のように寅さん映画を観に行きたいではないか♪movie.walker男はつらいよ お帰り 寅さん公式サイトを覗いてみました。公式サイト:イントロダクションより 50年の歩みがあったからこそ完成した映画は、生みの親である山田洋次監督自身が「今まで観たことのない作品が出来た」と驚くほど、想像を超える奇蹟の映画。 小説家の満男(吉岡秀隆)は、中学三年生の娘と二人暮らし。最新著書の評判は良いが次回作の執筆にはいまいち乗り気になれないモヤモヤした日々。 なぜか夢の中には初恋の人・イズミ(後藤久美子)が現れて悩み出す始末。 そんな時、妻の七回忌の法要で柴又の実家を訪れた満男は、母・さくら(倍賞千恵子)、博(前田吟)たちと昔話に花を咲かす。いつも自分の味方でいてくれた伯父・寅次郎(渥美清)との、騒々しくて楽しかった日々。あの寅さんへの想いが、蘇る…「サワコの朝」が後藤久美子をとりあげていました。後藤久美子、女優業に抱いていた葛藤を告白「ここに私の居場所はない」より 12歳の時にNHK大河ドラマ『独眼竜政宗』に出演。そのあまりの美しさに“美少女旋風”が巻き起こり、ニックネーム“ゴクミ”が流行語になった。プライベートでは、21歳の時にF1レーサーのジャン・アレジさんと婚約。現在は、3児の母としてスイスで暮らしている。 そんな後藤は、15歳から5作出演した映画「男はつらいよ」で23年ぶりに女優業を再開。山田洋次監督からの熱意あふれる手紙に心を動かされ、復帰に踏み切ったという。 久しぶりに及川泉役を演じるにあたり「第一の不安は、せりふを覚えられるかでした」と明かす後藤は、家族と離れた2か月に及ぶ撮影期間中の話を語る。 また、空前のゴクミブーム時に抱いていた思いや、人気絶頂期に出会ったアレジさんと渡仏を決めた当時の心境を告白。さらに、ゴクミ流の子育てについても語る そして、23年もの間、映画やドラマに出なかった胸の内も。「ここに私の居場所はないなって思うこともありますし…」と言う後藤が女優業に抱いていた葛藤に阿川佐和子が迫る。舞台は過去と現在を交互に行き来するわけで・・・現在を描く4人の女優が後藤久美子、浅丘ルリ子、池脇千鶴、美保純と、太子好みで、ええでぇ♪とにかく、歴代のマドンナがほぼ全員顔を見せるわけで、これだけでもこの映画を観る価値があるというものでした。
2020.01.12
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図書館で『バカのための読書術』というふざけたタイトルの新書を、手にしたのです。ぱらぱらとめくってみると・・・タイトルと違って内容はまともでおます。いわゆるキャッチコピーでんがな。【バカのための読書術】小谷野敦著、筑摩書房、2001年刊<「BOOK」データベース>より現在、「知」は混迷状態に陥っている。インテリたちはかつてないほど熱心に西洋の新理論の輸入に血道をあげ、難解な言葉と言い回しに身をやつしている。その一方で、有名大学の学生がフランス革命の存在を知らなかったりする。では、この両極の中間に位置する人は、何をどう読めばよいのか。学校は出たけれどもっと勉強したい人、抽象的な議論がどうも苦手だという人。そういう「バカ」たちのために、本書はひたすら「事実」に就くことを指針とし、インチキ現代思想やオカルト学問、一時の流行に惑わされず、本を読み勉強するための羅針盤となるべき一冊である。本邦初「読んではいけない」リスト付き。<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくってみると・・・タイトルと違って内容はまともでおます。いわゆるキャッチコピーでんがな。rakutenバカのための読書術この本のキモとも言える「読まないでいい本」を、見てみましょう。p102~104<読まないでいい本を決める> 何しろ現代という時代は、恐ろしい量の本が流通している。だから、どうやって読む本を見つけるかより、どうやって「読まないでいい本」を決めるかのほうが重要だったりする。そして、「読まないでいい本」は個人の資質によって決まるから、自分の資質を見極めるのが大切になる。 世の知識人と言われる人たちは、たいてい若いころに濫読をやっている。たとえば哲学者の梅原猛は、今では日本文化の研究家として知られているが、若いころはドイツの哲学者ハイデッガーの研究をしており、日本研究へ向かったのは三十代も半ばを過ぎてからである。むろん、若いころの濫読がいけないというわけではない。なかには二十歳前に自分の資質がわかってしまうというような天才もいるだろうが、この本は天才のための本ではないから、自分の資質がわかるのは三十歳くらいと思っておけばいいだろう。 さて、最初に、書評を信用するな、と言ったままで、では新刊の価値をどうやって判定するのか言っていなかった。答えは待つのである。つまらない本は、出たときに絶賛されても、1,2年でたいてい誰も口にしなくなる。1,2年経ってもまだ評判が良かったら、その時読めばいい。 ただし、「賞」は信用してはいけない。日本では芥川賞と直木賞というのが一番有名な「賞」だが、その受賞作で本当にその名に値するものは少ない。学問的な書物に与えられる賞もいくつかあるが、これも人脈で決まったりするから信用してはいけない。 私は、これまで二度「本ノイローゼ」にかかった経験がある。一度目は大学院に入学したころで、「比較文学比較文化」という専攻のその大学院は、きっと博覧強記の人物がたくさんいるに違いないと思った私は、自分があまりに無知であることに恐怖を抱き、「名著」と言われているような本を片っ端から読みはじめたのである。 ところが、いったんこういう作業を始めると、「名著」でさえ数限りない。しかもたいていは難解で、長い。こちらは焦燥に駆られているからじっくり読むというわけにはいかず、訳もわからないままに読みとばすのだが、神田や高田馬場の古本屋街へ行ってしこたま「名著」らしきものを買い込んでくるうち、次に何を読めばいいのかわからなくなってしまい、四冊ぐらい同時並行で読んだこともあった。 恐らく、新しい環境に対する不安がこういう形で出たのだろう。だから、初めて就職したときも、ちょっとこれに近い状態になった。 書評よりも、いちばんの近道は、自分が興味を持った本のなかで触れられている本を読むこと、あるいは自分が興味を持った著者が挙げている本、ないし友人に勧められた本を読むことである。 太子はときどき、受賞作を載せた「文芸春秋」特集号を買ったりしたが・・・アホの極致だったりして(汗)。『バカのための読書術』2:「史観」とは何か『バカのための読書術』1:蔵書派とカード派
2020.01.11
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図書館に予約していた『知性は死なない』という本を、待つこと3日でゲットしたのです。よくよく調べてみたら、この本をおよそ1年前に借りていたのです。・・・で今回記事を(その6)とします。【知性は死なない】与那覇潤著、文藝春秋、2018年刊<「BOOK」データベース>より平成とはなんだったのか!?崩れていった大学、知識人、リベラル…。次の時代に、再生するためのヒントを探してーいま「知」に関心をもつ人へ、必読の一冊!【目次】はじめに 黄昏がおわるとき/平成史関連年表 日本編/第1章 わたしが病気になるまで/第2章 「うつ」に関する10の誤解/第3章 躁うつ病とはどんな病気か/平成史関連年表 海外編/第4章 反知性主義とのつきあいかた/第5章 知性が崩れゆく世界で/第6章 病気からみつけた生きかた/おわりに 知性とは旅のしかた<読む前の大使寸評>よくよく調べてみたら、この本をおよそ1年前に借りていたのです。・・・で今回記事を(その6)とします。<図書館予約:(1/04予約、1/07受取)>rakuten知性は死なない「言語と身体」や左翼思想が語られているので、見てみましょう。p108~110 <戦後思想の構図> 文化人類学の授業だったと思うのですが、人間にたいするアプローチには「言語」と「身体」の両極がある、と教わったことがああります。それ以来、ずっとこの対を意識しながら研究をしてきて、自分は結局「言語派」なのだな、と思うことがしばしばでした。 まさにこの本が言語をつかって書かれているように、ことばにはものごとを理詰めで分析していく作用があります。精神病者の語る、最初は理解不能としか思えない体験でも、「そもそも自己とはなにか」→「その人の自己はどこにあるのか」→「それはほかの人の自己とどのようにずれているか」とことばで腑分けしていくことで、「起こっていたのはこういう事態でした」というかたちで、ある程度まで理解可能にできる。 一方で身体という概念は、「どれだけことばで語ろう、とらえようとしても、けっしてとりつくすことのできないなにか」というニュアンスで用いられます。どれだけ委曲をつくしたことばで説明されても、どうにも「腑に落ちない」。そういうときに、「頭でわかっても身体が納得しない」といったりします。 戦後日本の論壇をある時期まで左派的な学者がリードしたのは、左翼思想が根本的に「言語派」だったからだと思います。こんにちではサヨクというと、原発とか靖国とか集団的自衛権といった「自分たちの気に入らないもの」に、ほとんどことばの体をなさない感情的な罵声をなげつける人だと思われているようですが、それはほんらいの左翼ではありません。 左翼思想、典型的にはマルクス主義が戦後の初期にあれだけ流行した主因は、ソ連の影響でもコミンフォルムの陰謀でもなく、「なぜ、われわれは無謀な戦争をしてしまったのか」を、分析的に語ることに成功したとみなされたからでした。 いわく、資本主義の社会では、資本家は労働者を搾取している。しかし、国内の労働者を搾取しきってしまうと、資本家の取り分がなくなってしまうので、今後は海外に植民地を獲得して、そこから搾りとらないといけない。こうして帝国主義が生まれるが、地球上の土地は有限なので、やがて帝国主義国どうしの植民地争奪戦が生じざるをえない。 中国や東南アジアの植民地化をめぐって争われた、あの戦争とはかような帝国主義戦争だったのであり、これから戦争をなくしていくには、そもそも帝国主義の根っこにある資本主義を廃絶しなくてはならない。こういう理屈です。この説明が、同時代におきたできごとをそれなりに理由づけているようにみえた期間、ざっくりいうと60年安保のころまでが、左翼知識人の黄金時代でした。 これにたいして「いや、それは偽りの説明で、なにかだまされた気がする」と声をあげたのが、1章でも名前の出た江藤淳のような保守の知識人です。江藤の本業が文芸評論家だったように、保守ないし右翼の思想家には言語より身体への志向、もうすこし正確にいうと「わかりやすく分析してしまうことばの作用よりも、そうやって分析しても語りつくせずにのこりつづける、違和感や情念の問題」に注目する傾向があります。 たとえば左翼思想の全盛期、世界のインテリのあいだで「社会主義リアリズム」の文学が流行しましたが、こんにち読まれることはほぼありません。おもしろくないからです。「資本家とたたかう労働者はすばらしい」といいたいなら、そう1行書けばすむ話で、そういう分析的な図式にはまりきってしまう物語は、文学の名に値しない。 むしろ文学とは「理屈としては正しくても、すなおに身体がのみこめない」状況における、人間の苦悩や葛藤を活写するためにあるのです。そういう感覚を土台に「いまの日本は、一見もっともらしい左翼のことばにふりまわされて、おかしなことになっていませんか」とよびかけたのが、昭和の保守論壇の人びとでした。『知性は死なない』5:ポピュリストの危険な身体p230~232『知性は死なない』4:言語・身体のマトリクスp145~148『知性は死なない』3:リベラルはなぜ衰退したのかp190~193『知性は死なない』2:「帝国適性」の高い中国p217~221『知性は死なない』1:「平成の欝」p10~13
2020.01.11
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図書館で『江戸人の老い』という新書を、手にしたのです。時代を超えて変わらぬ死生観とはどんなかな?・・・という興味で借りたわけでおます。【江戸人の老い】氏家幹人著、PHP研究所、2001年刊<「BOOK」データベース>より頑健・有能な大将軍であった徳川吉宗にも「老い」は訪れた。半身麻痺と言語障害を抱え手厚い介護を受ける一方で、側近たちに対しては往年の為政者としての力を発揮しつづけたという。家族との確執に悩み、七万字もの遺書をしたためた、ある偉人。世の安直な風潮を醒めた目で観察し、十八年にもわたる散歩の記録を残した不良老人。本書では丹念に史料を読みときながら、江戸に生きた三人の老いの姿を描き出す。それからの人生をどう生きるか?時代を超えて変わらぬ人生最後の問いへの示唆。<読む前の大使寸評>時代を超えて変わらぬ死生観とはどんなかな?・・・という興味で借りたわけでおます。amazon江戸人の老い「第3話 老人は郊外をめざす」で、敬順翁の続きを見てみましょう。p176~178 <落書き常習犯> 市井の隠者を自負して世の俗物たちを憐れみ笑った敬順は、また落書きの常習犯でもあった。 と言うと「落書きじゃなくて、落書でしょ?」と聞き返されてしまうかもしれない。かなり偏屈な爺さんだったとはいえ、まぎれもなく知的な老人の敬順が、まさか悪戯っ子や不埒な若者のようにラクガキなんかするはずはない。辛口のユーモアをたっぷり効かせて政治や世間を諷刺したラクショを書きまくったというならいざ知らず。たしかに、あれほど自然を愛し歴史と文化を尊んだ彼が、落書きの常習犯だったとは考えにくい。 しかし真実は曲げることはできない。論より証拠。『遊歴雑記』から、彼の犯行現場をいくつか拾ってみよう。 文化11年(1814)、野火止の平林寺にやって来た敬順は、松平信綱の時代に開削された野火止用水の流れを見て、「堀かねもむかしや広き野火どめの流れのどけき春の水音」と詠んでいる。ところで、この歌が書かれたのは短冊でも手帳でもない。ならばどこに。『遊歴雑記』には「やがて矢立取出し、杜撰にも惣門の柱に落書し置り」と書かれている。われながら感心しないとは思ったが、寺の門柱に落書きしてしまったというのである。 反省しながらも、敬順は同様なことを繰り返している。下総中山(千葉県市川市)の「法花経寺」では、祖師堂の丸柱に「しずかさや只折ふしはとりの経」の句を「楽書」したし、岩室の観音堂(埼玉県吉見町)では堂内の柱にやはり和歌か発句を落書きしている。観音堂の前の山桜が満開で花の香りも格別だったから、と弁解しているが、落書きに違いはない。 もっとも、街道沿いには落書き御免の茶店もあったようだ。川越ー松山間にあった神田屋八十八の店で、敬順は悠然と矢立を取り出し、軒先の柱に「旅なれた身にもうるさし秋の蠅」と書きつけている。店で休憩する旅人が発句を柱に墨書きしても、店の主人は何にも言わなかったのだろう。文句を言わないどころか、どうぞ落書きしてくださいと筆記具を提供する店もあった。『江戸人の老い』1
2020.01.10
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図書館で『文士の遺言』という本を手にしたのです。ウン 歴史探偵と呼ばれた半藤さんの薀蓄が・・・ええでぇ♪ところで、帰って調べてみたら、この本をおよそ4ヶ月前に借りていたのです。・・・で今回記事を(その4)とします。【文士の遺言】半藤一利著、講談社、2017年刊<「BOOK」データベース>より「歴史探偵」が薫陶を受けた作家たちの知られざる思想、苦悩、その素顔!あの戦争・戦後とは何だったのか?知られざる作家の肉声、創作秘話が炙り出すもう一つの「昭和秘史」!!<読む前の大使寸評>ウン 歴史探偵と呼ばれた半藤さんの薀蓄が・・・ええでぇ♪rakuten文士の遺言「合理的な戦略戦術」や『坂の上の雲』が語られているので、見てみましょう。p72~74 <合理的な戦略戦術こそ> 「文芸春秋」平成10年(1998年)8月号は「二十世紀図書館」という大アンケート特集を掲載した。ここで西田幾太郎『善の研究』や夏目漱石『吾輩は猫である』をおさえ、司馬遼太郎さんの『坂の上の雲』が第1位に選ばれている。この百年の日本最大の人気小説ということになる。この結果を見ての井上ひさし氏の感想をぶしつけながら長く引用する。「戦前戦中の大日本帝国は植民地主義に凝り固まってアジア諸国にたいへんな迷惑をかけた。当然、歴史学者たちも、そういう国民の思いを反英して、戦中戦前の日本を全否定する本を書いた。そのうちに、そう思うことに、日本人自身が疲れてきた。そこへ絶好の救いの手が現れたんですね。近代日本もその始まりは正しかったんだ、明治という時代は明るかったんだというふうに。この作品はまさに絶妙なタイミングで世に現れたわけで…」 こう紹介してみると、この小説の大事な点はいいつくされていて、それ以上につけ加えるべきなにものもない。これでお終いとしたいほどである・・・。 それでもこんど読み直してみて、一つ、アレアレと気づいたことがある。『国盗り物語』や『新史太閤記』の、司馬さんが描く織田信長と、この小説がまことによく似ているということ。『坂の上の雲』におけるロシア軍は、信長が迎え撃つ今川軍であり、日本海海戦はそのまま桶狭間の決戦に通じている。おれがすこぶる楽しい新発見であった。 要すれば、どちらも非常に簡明な、合理的な戦略戦術で勝利をかちとったということになる。司馬さんは書いている。「すぐれた戦略戦術というものはいわば算術程度のもので、素人が十分に理解できるような簡明さをもっている。逆にいえば玄人っだけに理解できるような哲学じみた晦渋な戦略戦術はまれにしか存在しないし、まれに存在しえても、それは敗北側のそれでしかない。日露戦争当時の政戦略の最高指導者群は、三十数年後の(太平洋戦争時の)その群れとは種族までちがうかとおもわれるほどに、合理主義的計算思想から一歩も踏みはずしてはいない」(「砲火」文春文庫) これを「余談」で書いてるが、余談どころか全巻をあげ、このことだけを司馬さんは書こうとしている。弱者の自覚のもとに、弱者の知恵と弱者の勇気のあらんかgりをふりしぼって合理的に戦いぬいた。それが明治という時代であった、と。 といっても、ものすごい天才や英雄ばかりが登場するわけではない。みんなチョボチョボ、秋山兄弟が「いなければいないで、この時代の他の平均的時代人がその席をうずめていたにいがいない」(第八巻「あとがき一」文春文庫)。ただし、人間としての誇りと気概がなければならない、それが条件ではあるが、と司馬さんはいうのである。 この小説のすばらしいところはそこなのであるが、それだけにヘタな読み方をするとあぶないところもある。世界に冠たる大日本帝国建設を誇らしげに書いたもの、ということになりかねない。そう読む人がいまの日本には相当に多くいるようである。『文士の遺言』3:丸谷才一論p175~179『文士の遺言』2:満蒙関連のお話しp78~81『文士の遺言』1:司馬さんの謎p82~85
2020.01.10
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図書館で『バカのための読書術』というふざけたタイトルの新書を、手にしたのです。ぱらぱらとめくってみると・・・タイトルと違って内容はまともでおます。いわゆるキャッチコピーでんがな。【バカのための読書術】小谷野敦著、筑摩書房、2001年刊<「BOOK」データベース>より現在、「知」は混迷状態に陥っている。インテリたちはかつてないほど熱心に西洋の新理論の輸入に血道をあげ、難解な言葉と言い回しに身をやつしている。その一方で、有名大学の学生がフランス革命の存在を知らなかったりする。では、この両極の中間に位置する人は、何をどう読めばよいのか。学校は出たけれどもっと勉強したい人、抽象的な議論がどうも苦手だという人。そういう「バカ」たちのために、本書はひたすら「事実」に就くことを指針とし、インチキ現代思想やオカルト学問、一時の流行に惑わされず、本を読み勉強するための羅針盤となるべき一冊である。本邦初「読んではいけない」リスト付き。<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくってみると・・・タイトルと違って内容はまともでおます。いわゆるキャッチコピーでんがな。rakutenバカのための読書術「第5章 歴史をどう学ぶか」から幾つか、見てみましょう。p116~120<「史観」とは何か> さいきん、「史観」という言葉をよく耳にする。「自由主義史観」とか「司馬史観」とかいうものだ。昔は「民衆史観」なんていう言葉もよく耳にした。私には、この「史観」とか「歴史観」とかいう言葉の意味がよくわからないのである。 たとえば、「司馬史観」とは何なのだろう、と思ってよく調べてみると、近代日本は国の近代化にがんばった、日清・日露戦争は立派に戦った。しかしそれ以後は、朝鮮を併合したりシナに無謀な進出をしたり米国と戦ったりしてダメになった、とか、そういう見方のことらしく、それは司馬遼太郎の長篇小説『坂の上の雲』やエッセイや講演から窺える、というのである。 しかしそれは、単に日本近代をどう評価するか、という問題に過ぎないではないか。だいたい司馬遼太郎は、何も近代ばかりを書いていたわけではない。古くは空海から、幕末・維新期に至るまで多くの小説を書いているのであって、それらはここで言われている「司馬史観」とは何の関係もない。 たとえばエーゲルは、人類はアジア的な段階からギリシャ的、ローマ的な段階を経てキリスト教的段階に至る、と考えたし、ユダヤ・キリスト教では、いずれ最終戦争が起こって、人々は最後の審判を受ける、と考えられ、仏教の末法思想では、ブッダ入滅後、正法、像法、末法の世界が順にやってきて世界が終わる、と考えられた。こちらのほうがよっぽど「史観」らしいが、かといってヘーゲルを含めてこれは一種の信仰であり、学問とは言えず、ヘーゲルの歴史哲学などというのは、ノストラダムスの大予言と大して変わらないたわごとである。(中略)<2種類の歴史の書き方> たとえば日本の通史を書くとき、わかっていることをすべて書く、ということはできないから、事実の取捨選択が要る。その場合、大きくわけて二つの書き方がある。 A. 藤原道長の栄華とか、信長、秀吉、家康とか、有名人、つまり政治家や軍人を中心とした歴史。 B. 中世の民衆はどういう生活をしていたか、人口変動はどうだったか、といった民衆史。 この二つである。現在、中学や高校で教える歴史は、この二つを適宜ミックスしたものになっている。戦前の公式的な教育の世界では、むしろAが中心で、特に天皇家に忠節を尽した人が英雄視されたので、楠木正成や東郷平八郎が英雄だったりした。戦後は、楠木や東郷はほとんど重要視されなくなったし、赤穂浪士の討入りなんてのも、あまり教科書には載っていない。 Bは、いっぱんにマルクス主義史学と言われるものの方法で、戦後のアカデミズムは一時期この勢力が強く、ために民衆史が研究の中心となった。中世史の網野善彦も、この系統である。これがいわゆる「民衆史観」である。そして、司馬遼太郎などは、アカデミズム史学が民衆史観に覆われた、その空隙を埋めるようにして、従来型のAの歴史を、史料を駆使して描き、人気作家になったのである。 だから、中学・高校時代に司馬や梅原猛を読んで「歴史ファン」になった者が大学の史学科などへ入ると、往々にして、民衆の暮らしに関する古文書を読まされたりして、信長も秀吉も出てこないので失望したりする。『バカのための読書術』1
2020.01.09
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図書館で『バカのための読書術』というふざけたタイトルの新書を、手にしたのです。ぱらぱらとめくってみると・・・タイトルと違って内容はまともでおます。いわゆるキャッチコピーでんがな。【バカのための読書術】小谷野敦著、筑摩書房、2001年刊<「BOOK」データベース>より現在、「知」は混迷状態に陥っている。インテリたちはかつてないほど熱心に西洋の新理論の輸入に血道をあげ、難解な言葉と言い回しに身をやつしている。その一方で、有名大学の学生がフランス革命の存在を知らなかったりする。では、この両極の中間に位置する人は、何をどう読めばよいのか。学校は出たけれどもっと勉強したい人、抽象的な議論がどうも苦手だという人。そういう「バカ」たちのために、本書はひたすら「事実」に就くことを指針とし、インチキ現代思想やオカルト学問、一時の流行に惑わされず、本を読み勉強するための羅針盤となるべき一冊である。本邦初「読んではいけない」リスト付き。<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくってみると・・・タイトルと違って内容はまともでおます。いわゆるキャッチコピーでんがな。rakutenバカのための読書術「第2章 私の知的生活の方法」が興味深いので、見てみましょう。p38~41<蔵書派とカード派> 梅棹忠夫の『知的生産の技術』(岩波新書)がベストセラーになった時、梅棹が勧めるカード式読書をすべく、大量にカードを買い込んだが、結局ほとんど使われずにゴミと化した、などという話がある。 呉智英も、『読書家の新技術』では、やっぱりカードを作ることを勧めている。実は私も呉の本の影響で、カードとカードボックスを買い込んで、最初のうちはせっせと書き込んでいた。が、いつしかやめてしまった。博士論文を書くときはさすがに1冊ノートを使ったが、その後はもう、カードやノートはおろかメモも取らない。もちろん梅棹や呉は、カード式が性に合っていたのだろうし、他にもカード式を取る人はいるだろう。 逆に、蔵書を増やすことを勧めるのが『知的生活の方法』(講談社)の渡部昇一である。私も、今は蔵書派である。 それで付箋紙を買ってきて、しかるべき箇所には赤いボールペンで線を引き、特に重要だと思ったら付箋紙を張る。最近では付箋紙もいろいろあるが、愛用しているのはシール部分が透明のものである。これはコピーを取る時に剥がさずに取れる。 梅棹はどうだか知らないが、呉はカード派であり、かつ図書館派である。図書館派ではいきおいカードに頼らざるをえないだろう。ただ、蔵書派となると、まず購入に金がかかるという問題、さらに、蔵書が増えると置き場が困るという問題が生じる。 文化人類学者の山口昌男なども後者の問題に苦しめられて、ある晩、本を入れる部屋が見つかったという夢を見たくらいだという。立花隆などのノンフィクション作家は、一仕事終わったら関係書物は古本屋に売る、という人が多いが、アマチュアの場合、一仕事終えたりできない。私は、資金に問題がなければ蔵書派を勧める。というのは、一冊の本はいろいろなものを含んでいることが多いからだ。 読んだ時にあ重要だと思わなかった一節が、後でふとひっかかるということがある。そういう時、図書館派だと、また図書館に行かなければならない。そういうことは渡部も書いている。まあ呉の場合、あまり資金潤沢ではなかったので図書館派になったということもあろうが、大学時代から同じアパートにずっと住んでいて、それは東京23区内だったので、地の利もあった。 これは、東京に住んでいる物書きが往々にして忘れていることなのだが、地方に住んでいると図書館派は苦しい。私は大阪大学に勤めていたころ、大学の近くで1人暮らししていたので、まず大学図書館が使えた。しかし阪大図書館というのは、『朝日新聞』紙上で館長が資金不足を嘆いたくらい貧弱で、しかも歴代館長がみな理系だという理系偏重の大学なので、文系の図書はさらに貧弱だった。 中之島に府立図書館があったのだが、手狭なため別に大きな分館を建てたはいいが、とにかく遠かった。大阪ですらこれなのだ。幸い、今はクロネコヤマトほか、電話やファックス、さらにはインターネットで本の注文ができて届けてくれるので、地方の人にはやはり蔵書派を勧める。まあ資金がない人は仕方がないが…。<『知的生活の方法』はそんなに悪くない> ところで、いま『知的生活の方法』を挙げた。これも売れた口だが、呉は、この本を「知方(チホー)」と読んでバカにしている。なるほど、確かに部分的に、ビールがいいかワインがいいかとか、黒パンがいいとか、結婚したほうがいいかとか、女のエクスタシーは1週間続くとか、いろいろ変なことが書いてあって、「なんじゃこりゃあ」と思うのは確かである。 私もカナダ留学中、暇だったので、日本の本が置いてある店でこれを見つけて買ってきて暇つぶしに読んだ。しかし、「呉智英教徒」もそろそろ冷静になってきて、よく考えると、渡部の本はそんなにひどいか、と疑問に思いはじめたのである。つまり、今挙げたような変な箇所を除くと、蔵書の勧めもそうだが、結構いいことを書いているのである。たとえば、これは『続・知的生活の方法』のほうだが、論文を書こうと思ったら、ある程度調べたところでまず書きはじめてみろ、と渡部は言う。そうすると、読まなければならない本が次々と出てくる、と言うのだ。これはまったくその通りである。ウーム 手元不如意の年金生活老人としては、蔵書派を始めるという選択肢はないわけだが・・・それを除くとお説ごもっともである。特に、パソコン内の書籍データとブログ履歴の連携なんかはカード派そのもとも、言えるのである。
2020.01.09
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図書館で『ぼくらの祖国』という本を、手にしたのです。この本のタイトルからして、ナショナリズム、領土を考える上で気になったのでおます。【ぼくらの祖国】青山繁晴著、扶桑社、2015年刊<「BOOK」データベース>よりぼくは知らなかった。なぜか。日本の学校では、教えないからだ。日本の大人も、語らないからだ、きみも、あなたも、ぼくもみんな日本国民だ。だけど日本をそこく、祖国として考えたこと、はっきり祖国として意識したことが、どれほどあるだろうか。東日本大震災と福島原子力災害が起きてしまった後の日本でこそ、それを問い直したい。【目次】明けの星の章/平壌の日の丸の章/永遠の声の章/硫黄島の章/手にとる希望の章/海鳴りの終章/ふしぎの本/重版のための、あとがき<読む前の大使寸評>この本のタイトルからして、ナショナリズム、領土を考える上で気になったのでおます。rakutenぼくらの祖国領土という視点で硫黄島が語られているので、見てみましょう。p130~135 <硫黄島の章> わたしたちには忘れたままだった領土がある。しかもそれは東京都の一部だ。首都の一部なのに、ぼく自身も忘れていた。 これはどこだろう。 東京都小笠原村の硫黄島だ。 もう一度、言う。ぼく自身も、外交と安全保障の専門家なのに、この硫黄島をずっと忘れていた。北朝鮮と拉致、中国やイラク、さまざまな問題が忙しくて忘れていた。これを思い出させてくれたのは、皮肉にもアメリカ人である。 2006年秋、アメリカ人のクリント・イーストウッド監督のつくったハリウッド映画「父親たちの星条旗」が公開され、話題になった。これが第二次世界大戦末期、1945年2月から3月の硫黄島の戦いを舞台にしているということは、ぼくも知っていたけれど、この映画にまったく関心がなかった。 勝ったアメリカの側から第二次世界大戦を描いた映画はいっぱいあるから、もはや見たくもなかった。 その頃、出張があって、ホテルでテレビをいつものようにつけっ放しにして原稿を書いていた。 するとクリント・イーストウッド監督がCNNの生放送のインタビュー番組に出てきた。そして「あの硫黄島を舞台にした映画はも一本ある」と言った。驚いた。画面のなかのキャスターもびっくりして、「同じ硫黄島の戦いを舞台にして二本、映画をつくというのはどういうわけか」と聞いた。 クリント・イーストウッド監督は「あの硫黄島の戦いでヒーローだったのは、わがアメリカの将兵だけじゃない、日本の将兵もヒーローだった」と、はっきり言った。そして「ヒーローだったから、二本目は日本の視点で、日本から見た硫黄島の戦いを、硫黄島でロケをして描いた」と続けたのだった。 ぼくは無意識に、いすを蹴り倒して立ち上がり、壁掛けテレビの下に行って、おい、ちょっと待ってくれと、気がついたら声を出していた。ふだん、独り言は言わないのに、声が自然に絞り出ていた。 というのは、硫黄島は立ち入り禁止である。その時も、今も。 ぼくら日本国民が入れない島にアメリカ人が入って、そこで映画を撮った。そしてアメリカの視点でつくったならまだしも、「日本の視点だ」というのは「ちょっと待ってくれ」となる。 なぜなら、もしもその視点がずれていたら、アメリカ人の見た硫黄島の戦いなのに、日本人から見たかのように、間違った硫黄島の戦いが子々孫々までずっと伝わっていくことになる。 人気の監督だからこそ、大変だと思い、出張から戻ってすぐに防衛庁に行き、長年つき合ってきたある幹部と会い「ぼくを硫黄島に入れてください」と求めた。 すると幹部は、あっさり「いいですよ」 ぼくは、防衛庁も官僚主義のはずが急に、聞き分けがよくなったとびっくりしたら、幹部は両手を振りながら、こう話した。「いや、青山さんね、毎年一回、遺骨収集という名目でね、限られた場所だけれど、そこに遺骨収集団も行ってもらっているし、それからNHKのテレビもそこに行ってもらっているし、それから国会議員とか有識者で硫黄島に行きたい人がいたら、そこに行ってもらっているから、そこに行けますから、そのリストに名前を入れますからちょっと時期を待ってください」 ぼくは即座に答えた。 「とんでもない」 どうしてか。 幹部の眼を見て話した。「硫黄島が立ち入り禁止なのは、政府が国民に見せられないことがあるからですね。防衛庁・自衛隊にとっても都合が悪いことがあって立ち入り禁止になっている。島全体が基地だから立ち入り禁止だと、表向きはそうなっているけど、それだけが理由じゃないでしょう。あなたが言っているのは、見せてもいい部分をつくって、そこだけ見せて、テレビの硫黄島特集といっても、そこの映像が中心で、それでは本当じゃない。ぼくを1日でいいから自由に歩かせてください。自由に歩いて国民のかたがたに硫黄島は本当はこうでしたと伝えたいんです」 幹部は声が急に大きくなった。「そんなことできるわけないでしょう。あなただけ入れたら、あと、どんなことになるのか、今までもいっぱいね、来たよ。プライドばかり高い有名なジャーナリストとか、そういう人も入れねばならなくなって、大混乱するから、とにかく駄目だよ。(後略)」2007年に観たクリント・イーストウッド監督の『硫黄島からの手紙』です。【硫黄島からの手紙】クリント・イーストウッド監督、2006年制作、2007年観賞<大使寸評>せりふは全て日本語であり、役者は全て日本人だし・・・見終わったあと、これはアメリカ人監督の作った映画だったんだとあらためて思った。確かな考証があり、日本人が見ても違和感のない“日本映画”であったと思うが・・・・まず感慨を覚えるのはこのような“日本映画”を作ったアメリカ人とは?監督とは、脚本家とはどんな人なのか?ということです。goo映画硫黄島からの手紙
2020.01.08
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